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最新の眼科手術 眼付属器 涙道内視鏡手術

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434

昭和学士会誌 第76巻 第

4

号〔

434‑435

頁,2016

特  集 眼科治療の進歩

最新の眼科手術 眼付属器 涙道内視鏡手術

昭和大学医学部眼科学講座

  吉田 真人

は じ め に

 流涙症を主訴とする涙管通過障害は古くから知ら れており,先天性鼻涙管閉鎖症,加齢性鼻涙管閉塞 症が特に疾患として代表的である.しかし,20 世紀 半ばになるまで系統的報告は少なく,1976 年 L.T. 

Jones による Sugery of The Eyelids and Lacrimal  System で眼瞼・涙器付属器としての概念が確立 してきた.そして,その検査・治療法は,長く盲目 的に行われてきた.生理食塩水を洗浄針といわれる 鈍針を用いる通水法,また金属製ブジーによる  閉鎖・閉塞部位の穿破・拡張である.

 画像診断として,造影剤による単純造影撮影,食 塩水を用いたスピンドル MRI もあるが涙道は,涙 小管自体の内径が 0.9 mm 程度と細く,また,正常 涙嚢は 1 から 3 mm と言われており,診断がついた としても結果として盲目的金属ブジーによる治療と ならざるを得なかった.

 涙点から涙小管・涙嚢までの内腔が扁平上皮,鼻 涙管は円柱上皮であると組織学では示されている.

また近年,栗橋らは屍体人の涙道解剖を積極的に行 い加齢性鼻涙管閉塞症の解剖的性差を示し,女性が 多いことを示している.しかし,内視鏡が登場する まで依然治療法は変化がなかった1)

 盲目的手技の問題点は,術者の練度により結果に 大きな差がでてしまうこと,金属製ブジーによる上 皮障害,仮道形成を起こすことである.通水テスト でさえ,手先の感覚で狭窄・閉塞部位を探る必要が あるためラーニングカーブと結果が術者のセンスに 左右されがちなことも問題である2)

手術法について

 まず,内視鏡手術の前に行われてきた根治術とい

われる観血的手術である涙嚢鼻腔吻合術・Jones チューブを用いた涙嚢鼻腔吻合術の説明をしなけれ ばならない.前者は,鼻涙管閉塞症に対して施行さ れるもので,皮膚切開を行い鼻骨・涙骨付近に骨窓 をドリルで作製し鼻粘膜と涙嚢粘膜を吻合する鼻外 法・鼻内から淚骨付近を鼻内内視鏡下で穿破し,涙 嚢を切開する鼻内法がある.また,上下涙小管・総 涙小管完全閉塞(grade 3)では,鼻涙管閉塞症よ り上部での閉塞のため Jones チューブ(特殊な硬質 ガラス管チューブ)を涙丘下で結膜切開し眼窩内側 壁から涙嚢を通過して鼻腔に留置する方法がある が,現在では厚生省の認可したチューブが販売され ておらず,認可されていないが自作のチューブや小 切開硝子体手術用のガイドカニューラを代替品とし て治験した手術報告があるが,症例検討するほどの 手術件数には依然至っていない.

 問題点としては,鼻外法は局所麻酔で施行でき るが,必ず皮膚切開痕が数センチ鼻部皮膚に残り, 

患者の整容的な傷跡を残す.鼻内法は,全身麻酔下 の手技となること,内視鏡の進歩(HD や 4K)でかな り局所的な切開が可能にはなってきてはいるが,涙 嚢と鼻腔粘膜に仮道を形成する手術であることには  変わりがない.ただし,根治率は両者とも 90%を 越えると報告があり,今後も施行される手術法と考 える.

 本題に戻るが,涙道内視鏡の基本的なコンセプ トは生理的涙道の再建を直視下で行うことである.

同時に,狭窄・閉塞部位の診断も可能である.ただ し,涙小管に 10 mm 以上ブジーを挿入できない場 合は,涙小管閉塞 grade 3 の為,内視鏡手術の適応 外である.

 涙道内視鏡ファイバーは,外形 0.9 mm の光源付 き硬性鏡でいわゆる double lumen になっており, 

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最新の眼科手術 眼付属器 涙道内視鏡手術

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先端から生理食塩水を射出できるようになってい る.現在,世界最細と言われる内視鏡で,ファイ バーテック社製と町田製作所社製の二つのみで CCD 受光部を光源とともに持ちモニターに出力し ている.光源受光部は,眼内内視鏡ファイバーも接 続できるようになっており共通である.

 局所麻酔(リドカイン等)を涙嚢洗浄のように  涙嚢まで浸潤させ,同時に滑車神経ブロックもしく は内眼角に浸潤麻酔を行う.鼻内は,噴霧で鼻粘膜 収縮をはかった後ボスミンと局所麻酔薬で麻酔する.

そして,涙点拡張針を用いて 0.9 mm 以上に涙点を 拡張し,内視鏡先端をモニターで確認しながら挿入 する.徐々に先端を推し進め,時々生理食塩水を  射出し視界を確保する.閉塞部位まで先端を推し進 め直接穿破できたら,鼻内内視鏡で先端を確認して 涙道チューブを挿入・留置して終了である.(DEP)

 もう一つの方法は,内視鏡にアンギオ針外筒のよ うなシースをかぶせ,シース先端を直視しながら  進め,閉塞部位を穿破し(SEP:Sheathguidedendo- scopicprobing),鼻内から確認して涙道チューブと 連結させて鼻内に西畑式攝子を用いて鼻内視鏡下で 引き抜き留置し終了するシース誘導チューブ挿入法

(sheath-guidedintubation:SGI)3‑5). 涙道内視鏡手術の問題点と展望

 まず,メリットとしては生理的涙道再建が第一に 挙げられる.また,局所麻酔下で比較的短時間で手 術が可能で,日帰りで入院の必要がないことが挙げ られる.造影剤等を使用しないで,涙道狭窄・閉塞 部位を同定出来ることである.デメリットとしては,

涙道内視鏡・光源セットがやや高価な割には他の 

腹腔鏡や鼻内内視鏡と比べていまだ画質が悪く,暗 いことである.そして,あまりに細いため扱いにも よるが,熟練した術者が使用した場合ですら数百例 以内に破損してしまう脆弱性がある.技術の進歩に より改善が期待するところである.

 また,涙道手術と眼瞼手術の適応についてである.

涙道通過障害は多分に加齢における眼瞼弛緩性変化 と密接に関係しており,眼瞼下垂や眼瞼皮膚弛緩症 を手術しても涙道障害は放置されている症例も多々 あり,L.T.Jones が提唱した眼付属器としての概念 をもとに,もっと眼科医が積極的に関わるべきかと 筆者は考えている.実際には他の手術手技を習得す るのも時間が掛かり,臨床の場で視力保持の次に位 置づけられているのは,いたし方ないと思われる.

 最近では,経口抗がん剤の普及に伴い新たな涙道 通過障害の副作用も重要となってきている.今後,

眼球以外の眼科手術領域として普及すると思われる.

1) 鈴木 亨.内視鏡を用いた涙道手術(涙道内視 鏡手術).眼科手術.2003;16:485‑491.

2) 藤井一弘,井上 康,杉本 学,ほか.シリ コーンチューブ挿入術による仮道形成とその対 策.臨眼.2005;59:635‑637.

3) 杉本 学.シースを用いた新しい涙道内視鏡下 手術.あたらしい眼科.2007;24:1219‑1222.

4) 鈴木 亨,野田佳宏.鼻涙管閉塞症のシリコー ンチューブ留置術の手術時期.眼科手術.2007; 

20:305‑309.

5) 井上 康,杉本 学,奥田芳昭,ほか.慢性涙

嚢炎に対する涙道内視鏡を用いたシリコーン

チューブ留置再建術.臨眼.2004;58:735‑739.

参照

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