TiNi 形状記憶合金エンジンカーの授業実践
著者 松永 泰弘, 石上 雄規
雑誌名 技を媒介とした学びに熱中する子どもの育成プログ
ラム ; 2012
ページ 19‑30
発行年 2012‑03‑31
出版者 静岡大学教育学部
URL http://hdl.handle.net/10297/7201
丁 iNi形 状記憶合金 エ ンジンカーの授業実践
技 術 教 育 講 座
松 永 泰 弘
石 上 雄 規
1.は
じめ に平成24年度 か ら完全実施 され る新学習指導要領 中学校技術 にお ける 目標 において 「技術 を適切 に評価 し活用す る能力 と態度 を育て る」 とい う文言が新 たに加 わった。
技術・家庭科教育 に求 め られ る生涯 学習 の基礎 とな る力 は
,生
活体験 を見つ め直 し問題 点 を解決す ることの良 さや喜び を実感 しなが ら価値観 を形成 し,生
涯 にわた り自己の生活 をよ り良 く豊かに改善 してい く意欲や態度 を追究す ることで ある。教材 に使用 され る形状 記憶合金 は,変
形 させ た後,お
湯 に付 けただけで もとに戻 る とい う驚 き・不思議 さを備 え た材料 である。近年 では、能動 カテーテル 、ハイブ リッ トカー のエ ンジンの 自動制御 開閉 グ リルユニ ッ ト、触覚デ ィスプ レイに応用 され るな ど、形状記憶合金 は多岐 にわた る研究、開発 が され てお り、実用域 は更 に広 が るもの と予想 され る。 この よ うな教材 を使用す るこ とで、 日常生活 との結びつ きを学び、生徒 の興味・ 関心 を惹 きつ け、学習意欲 を高 めるこ とができる学習 内容 として提示 した。 また、 これ まで小 中学生 を対象 に した授業実践 を行 い、教育的価値 の考察・検討 を行 つて きた。
本実践では、中学校技術 にお ける形状記憶合金エ ンジンカー(図 1)製 作 の授業実践(2005) の内容 について検討 を行い、 ものづ くりの技能だけでな く、新素材や新エネル ギー開発 な どの新 しい技術 に触れ 、エネル ギーの利用 にお け る技術 と社会・環境 との関わ りについて 学習す る。 また、実験 と試行錯誤 を繰 り返 し、問題解決能力や 自発 的、創造的な学習態度 を養 うことを重視 した授業実践 を行 う。
(b)組立図(」w―Cad図面)
図
1
教材用形状記憶合金 エ ンジンカー (a)摸型」
/
/ r k
\
2
教 材 用 形 状 記 憶 合 金 エ ン ジ ンカー実践で使用 したエ ンジンカーのシャーシに関 しては穴あきアル ミ板 を用いて、軽量化 と ボール盤での穴あけ作業 を無 くし、作業時間の短縮を図ることとした。また、 これまで、
タイヤにCDを用いていたが、材料の確保の難 しさから、合板で製作 されたタイヤを用いる ことに した。エンジンカーの製作に使用 した材料を表 1に示す。
表
1
材料寸 法 l mal
TiNi形状 記 ヽ金 ワイ
o03×
525 2 Af50°C
穴あきアル ミ反 160× 130×
10
I型ア ー ム 170× 10 5 ユニバーサルアームセ ッ卜(タ ミヤ)
L型ア ー ム ユ ニ バ ー サ ル ア ー ム セ ッ アミじ
(プー リー
o50
3 ユニバーサルアー ムセ ッ ダミじ中プー リー o25 3
:1=):*ttV7* A'2,,
フ ミじ六 角 シ ャ フ o3× 150 3nullシャフ トセ ッ フミヤ
丸 シ ャ フ o3× 100 2 3nullシャフ トセ ッ 7さ
ネ ジ シ ャ フ 03× 100 3nullシャフ トセ ッ フミご
クランク 2 3nllllシャフ トセ ッ フミご
トラックタイヤホイール 2 ラックタイヤセ ッ フミ」
ペ ッ トボ トル
合 板 o120 3
30 つ乙
糸 ゴム ブ ッシュ
'29s
4
ブ ッ シ ュ 31s 2
スペーサー
ス ペ ー 1
スペーサー
3
授 業実 践 の概 要本実践では藤枝市立青島中学校の技術科教諭である小澤先生主導のもと、形状記憶合金 カーの実践を行つた。実践には
TAと
して授業に参加 し、教材の準備、授業の流れを提案 し た。実践の概要を以下に示す藤枝市立青島中学校における授業実践
[期間
]平
成23年
度 6月29日
〜平成24年
度 3月 中旬 [対象]藤
枝市立青島中学校第2学
年(260名
)[時間
]月
、水、木、金(1、2時
限 目)[場所
]技
術科室名 称 個 数 ri詈
1
1
授業実施 日 授業時間数 授業 内容
① 6/29, 7ノ6
2時
間 事前調査及び金属 の性質 を理解す るための実験
② 7/13, 9/7, 9/14
3時
間 形状記憶合金 リングの製作③ 9/28
1時
間 エンジンカー動力部分の模型の製作④ 10/5
1時
間 製作 した リングを用いた模型 が正常 な回転動作 を行 うか実験⑤ 10/12, 10/19
2時
間 疑問点、問題点の把握 と共有、実験を 通 し問題解決⑥ 10/26
1時
間 回転原理 ま とめ⑦ 11/2
1時
間 形状記憶合金 ワイヤーの入水角度及び深度 を測定
③ 11/16, 12/7, 12/14, 1/13, 1/27, 2/10
6時
間 エ ンジ ンカー の組 み立 て⑨ 3/2〜
継続中
エ ンジ ンカー の組み 立 て お よび走行 試験形状記憶合金 カー製作 を題材 とした指導計画
4
教 師 の取 り組 み お よ び生 徒 の あ らわ れ本実践において、これまでの内容に新 しい内容 を付 け加 え、生徒の学びを引き出す取 り 組みを行つた。以下に本実践における取 り組み、生徒の反応、あらわれを示す。
4‑1
事前調査これまでの形状記憶合金の授業実践において、授業最終 日に行 うアンケー ト結果および 授業風景か らで しか形状記憶合金エンジンカーの教育的効果を検証す る事ができなかった。
そのため、授業実践前後における生徒の意識の変化をみることができなかった。そこで、
本実践では実践前後において、生徒の新学習指導要領の 目標 に新たに掲げられている『 技 術 を適切に評価 し、活用す る態度』に関 して授業前後 において生徒の意識 にどのよ うな変 化がみ られたか調査を行い、エンジンカー実践の教育的効果 を検証す る事 とした。質問内 容を図
2示
す。図
2の
質問1に
関 しては広義での無駄 とされているエネルギーの利用における技術 と社 会、環境 との関わ りなどに関する生徒の知識の確認を行 うこと、質問2で
は自動車の走行 時、無駄 とされているエネルギーを生徒が 日頃、 どの程度意識できているか確認 を行 うこ とを事前調査のね らい とした。同様の質問を授業最終 日に行い、これ らのね らいに関 して 生徒が、 どの程度、理解関心を持ち、技術 を適切 に評価 し活用する事ができるようになったか調査 を行 う。 また、各質問においては図
3に
示す 図を調査用紙 に使用す るクラス と使 用 しない クラス とを分 け、調査用紙 中の図の有無 にお ける生徒 の回答 の変化 に関 して も調 査す る事 とした。質問1に関 して、図無 しのクラスにおいては全体の約
3%か
ら 17%、 図有 りのクラスに おいては約10%か
ら40%と
適切 な回答 がで きた生徒 は半数 にも満 たなかった。身 の回 りで 無駄 とされてい るエネル ギーの利用 に関 して、生徒 の知識不足が明確 となった。質 問
2に
関 しては質問 1よ り回答数 が多かった。 日頃か ら家庭 で 自動車 に接 してい るた め、無駄 なエネル ギー を想像 しやす か った と考 え られ る。 回答 では特 に排気 ガスを無駄 な エネル ギー だ とす る意見が多 くあった。 また、図有 りのクラスにおいてはブ レー キや車 と タイヤの摩擦 を無駄 なエネル ギー として考 える生徒 もいた。エ ンジンカー を製作 し、摩擦 が走行時 に強 く影響 してい ることを実感す るこ とで、事後調査 において『 摩擦』 とい う回 答 のポイ ン ト数 も上昇す る と考 え られ る。図の有無 による回答数 の比較 において、図有 りの質問 1に 関 しては3〜
5種
類 の回答、質 問2に関 しては5〜7種
類 回答 と、図無 しの質問以上の回答数であつた。 この ことか ら、調 査用紙 にお ける図の有効性 を示す ことができた。図
3
事前調査用紙 中の図【質問1】
私達は 自然界のエネルギー資源 を人間が使 えるエネルギーに変換 し、生活に利用 していま す。
例 えば、 自然界のエネルギーで利用 されていないエネルギーや、人間がエネルギーを使 う時に排出され る無駄なエネル ギーを利用 もしくは再利用す る方法は具体的にどのよ うな ものがあ りますか。図を使 うなど自由に考えて、挙げてみ よう。
【質問2】
自動車が走行 している時に有効に使われていないエネルギー もしくは無駄なエネルギーに ついて書いて ください。
図
2
事前調査項 目質 問
1質 問 2
温
│゛
4‑2
金属の性質 を理解す る為の実験本実践では授業導入部分において、形状記憶合金だけでな く、私達の身の回 りやエ ンジ ンカーにも使用 されている金属 (銅線、スチール線、銅パイプ、真鍮パイプ
)を
取 り上げ、『 金槌で叩く』『 やす りで磨 く』『 電気を通す』『 熱 を加 える』といつた実験を通 し、『光沢』、
『熱伝導性が高い』、『電気伝導性が高い』『延性展性 を持つ』 とい う金属の性質を理解す る 授業内容を新たに加 えた。
これにより、新学習指導要領に挙げられている『
A技
術 とものづ くり』における(2)のイ『製作品に用いる材料の特徴 と利用方法を知 ること。』に関 して、形状記憶合金だけでなく、
身の回 りの金属についても興味関心を持て、実感 を伴った理解につながると考えた。
金属を研 く、叩 く作業は どの生徒 も熱心に行 つていた。物 を綺麗 にす る、輝 かせ る作業 を盛 り込んだことで、生徒の興味を引 くことができた。また、引き伸ばす作業では どこま で薄 くできるか競い合 う生徒 もいた。その中で引き伸ばす事の大変 さを実感 し、缶、車の フレーム、包丁を作る作業を人が行つたらとても大変だと言つている生徒 もいた。
また、授業内で、『デ ィズニーラン ドで見た事がある (銅を引き伸ば してメダルを作る機 械)』『 アル ミ缶 もアル ミを薄 く延ば したものなんだ。す ごい力で伸ば したんだろ うな。』 と い う発言があ り、身の回 りの工業製品の加工に関 して実感 を伴った理解ができ、技術を評 価 している生徒 もみ られた。また、『金属を叩 くと熱 くなるのは、金属の原子が擦れ合 うか らかな。』 とい う発言があ り、金属の性質についても理解 を している生徒がみ られた。形状 記憶合金についてはバーナーの火 に近づけた時に直線の状態に戻 るところを生徒に見せた ところ、歓声があがった。授業の中でも形状記憶合金 フイヤーが欲 しい と言 う生徒がお り、
他の金属 と比べ、特異な性質を持つ形状記憶合金に興味関心を示 していることが分かつた。
(a)紙やす りで磨 く作業 (b)金槌 で叩 く作業 図
4
授業風景4‑3
エ ンジ ンカー動 力部模 型の製作 と回転実験本 実践では構造 が単純で製作が容易 な動力部模型 を各 自が製作す る中でエ ンジンの基本 構造 を学び、 これ までの授 業で製作 した リングを用いてエ ンジンが回転 をす るか確認 実験
│̲
を行 える時間を新 しく取 り入れた。
実験 を通 し、動作 に関す る疑問点や 問題点 を生徒一人二人が把握、他 の生徒 と共有 を行 い、試行錯誤す る中で解決へ導 けるよ う、教師側 は助言や 問題 を共有で きる時間を作 り、
生徒 の主体性 を尊重 した授 業 を行 うこ ととした。 また、その中で生徒 の問題解決能力や他 者 との意見のや りと りの中で コ ミュニケー シ ョン能力 を育 める授業 を 目指 した。
エ ンジンの製作 に関 して、 どの生徒 も意欲的に取 り組 んでいた。実験では約
5割
の生徒 は回転 させ ることがで きた。残 りの生徒 に関 してはプー リー を固定す る軸がずれ 、回転 をしないケースや リングの接合部が回転 中にほ どけて しま うケースであつた。
単純 な構造 でプー リーが回転 を始 めることに対 して驚 きや 自分 の作 った作 品が動 くこ と の喜び を感 じる生徒 が多かった。 また、授業 のま とめ時 に使 用 した ワー クシー トにおいて は図
6(a)の
よ うにエ ンジンが回転 しない原 因を他者 と比較 し考 える生徒や、図 6(b)のよ うになぜ 、左 回転 をす るのか疑間に感 じてい る生徒がお り、疑 問や 問題 点 を把握 してい る ことがわか る。授業が進むにつれ て、ま とめワー クシー トに変化がみ られた。 図 7(a)に おいてはプー リ ーの軸 間距離 がエ ンジンの回転 に影響 を及 ぼ してい ることに気付 く生徒や、図7(b)にはエ
(a)エ
ンジンの製作図
5
実践風景/す z彦 「1
図
6
ワー クシー ト記述 内容啓れ
も
1/2グ 鰤
(b)回
転実験E
』
「
(b)
ンジンをお湯 に浸 ける深 さが浅い方が回転速度が上昇す ることに気付 く生徒、図
7((c)に
はエ ンジンが回転す る原理 を図を使 い、解 明 しよ うとす る生徒 がみ られ た。授 業 内で も生 徒間で意見交換 をす るな ど、疑問点 を解決 しよ うとす る態度 がみ られ た。ヽ̲"̲■ 口中ぃ せ
=セ■に 、告●IFtt■ i号たマ打■ をから
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■■ポ 鷲ぞ轟 省雀 単│・卜 触 ふマk■̲… 缶 ザ
llllポ ll轟 鸞鷲旨糞 i11聾
tt̲3イil´な ″
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(c)
図
7
ワークシー ト記述内容4‑5
回転 原理 ま とめ回転原理 の説 明に関す る生徒の発言や記述 において図8のよ うに『形状記憶合金をお湯
図
8
回転原理 に関す る生徒の意見に浸 ける と直線 にな り、回転 を始 める』 とい つた内容 の記述が多 くみ られ た。 しか し、 こ れで は回転 の向きが本来 の向き と逆 になつて しま う。 そ こで、回転実験 の最後 の授業 にお いて、 クラス全体 を適切 な回転原理の理解へ と導 く必要があつた。本実践においては、教 師側 か ら回転原理 を全 て説 明す るのではな く、理解す る手掛 か りとな る実験や ヒン トを与 え、動作原理 を考察す る時間 を設 けた。 この授業 において、動作原理 に関す る生徒 の漠然 とした理解 が、明確 な もの となることを 目指 した。
授 業で行 つた回転原理 に関す る実験お よび ヒン トの内容 、予想 され る生徒 の反応 を以下 に示す。
■形状 回復温度 の測定実験
温度計 を用 いて形状 回復力 の強 さと、お湯 の温度 との関係 を観 察す る。
【予想 され る生徒の反応】
・温度が高い方が戻る力が強い。
・大体70℃以上で形状が完全に回復す る。
■ヒン ト①
図
9に
お ける下プー リー部 を、軸aを
中心 とし半分 に した左右 (A,3)において回転時、布 に差 が生 じる こ とを提示す る。
【予想 される生徒の反応】
・
B側
のフイヤーが高温で熱せ られるため、プー リーで曲げられたワイヤーが直線に戻ろ う とす る形状回復力が強 く回転をする。・
B側
の方が下プー リーのB4111がお湯に浸かつている面積が広いか ら温められ るワイヤー の長 さも多い。だか ら力のバランスが崩れて回転す る。図 9 ヒント① ワイヤーの温度分布変化の動画
(映像の一部
)■ ヒン ト②
下プー リーで 曲げ られ た ワイヤーの形状 が直線 に回復す る力 がプー リー の回転力 に変 わ り、温度 によって も回転力 が違 うことを実験動画で提示す る。(図 10)
【予想 され る生徒の回答】
ヒン ト①でみ られた温度分布 より、下プー リー部においてフイヤーの形状回復力が働 き、
回転力が発生す るが、温度差の違いか ら
B側
の回転力が強 くな り、左回転をする。形状回復温度の測定実験において、生徒は高い温度 (70℃以上
)の
方が完全に形状が回 復 し、低い温度 (60℃以下)で
は形状回復が不完全であることに気付 くことができた。 こ の実験をもとにパ ワーポイン トを用いた ヒン ト①の説明において、『 ワイヤーの温度分布変 化』の動画を提示 した。回転中にワイヤーの温度が図9にみ られ る形で変化をしてい く様(a)手を離すと右回転する映像 (60℃以下の湯
) (b)手
を離すと左回転する映像 (70℃の湯)図
10
ヒン ト②プー リーの回転原理の実験映像 (映像の一部)
(a)動作原理追究 (b)温度測定
(d)意見の共有 図
11
実践風景(c)ヒ ン トの説明風景
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子を見せた時点では、予想 していた回答は得 られなかつた。次にヒン ト②のプー リーの回 転原理の実験映像 (図
10)を
見せた ところ、生徒の意見の中で図 12に挙げる回答があ り、与えられたヒン トを自分な りにま とめ、回転原理 を導 くことができた生徒がみ られた。 し か し、全体の
5割
も満たなかった。そこで垂直にエンジンをお湯に浸けた場合の追加実験 を行 った。最初にエンジンの動作を予想 してもらい、実験 を行つた。予想では全体の約
8割
の生徒が、これまでのヒン トを元に、『 下プー リーの左右 俎 に働 く力がつ り合い、エンジンは動 かない』 とい う予想 を立て、実験によりこれを実証す ることができた。その実験の中で、
生徒か ら『 上プー リーを少 し手で動かす とワイヤーの温度分布に差が生 じて、バ ランスが 崩れて回転を始める』 とい う発言があつた。 この意見をクラス全体で共有 した結果、先ほ どよりも多 くの生徒が回転す る原理を理解す ることができた。 この結果か ら、最初に、エ ンジンをお湯 に対 して斜 めに した時の図を見せて回転原理 を考えるのではな く、最初に、
お湯に対 して垂直にした時、下プー リーの左右ABにおいて力がつ り合い、エンジンは動か ないことを理解 した上で、回転す る原理を考える方が良いことが分かつた。
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「
図
12
ワークシー ト内容4‑6
入水 角度 及 び深 度 の計測これ までの授業実践 においてはエ ンジ ンをお湯 に浸 ける角度 は教師側 か ら提示 していた。
しか し、本実践 にお ける、 これ までの動力部摸型 を使 つた回転実験 において、エ ンジンを お湯 に浸 ける角度 、深 さがエ ンジ ンの回転 に影 響 を及 ぼ してい るのではないか とい う生徒 の意見 があつた。 そ こで、生徒たちが 自分の製作 したエ ンジンが安定 して回転す る入水角 度お よび深度 を装置 (図
13)を
用 いて計測 し、エ ンジンカーの設計 にその値 を用 い ること とした。試行錯誤 しなが ら、エ ンジンの最適値 を求 める実験 を行 う中で生徒 の問題解決能 力 を育む こ とができる授業 を 目指 した。授 業 ではアル コール ランプ を使用す ることがで きなかつた為 、実験 の度 に電気 ポ ッ トか らお湯 を汲み に行 かなけれ ばな らなか つた。そのため、各班 (5人
)に
計測装置が1台とい うこ とも影 響 し、計測 に時 間がかかつて しま った。大変 な作業 なが ら、班 内で協力 を しな′ IJ彎
t〔多 毎
i′11=k:11iィ ll,1:ズ 電 (1
が ら計測 を行 う姿が伺 えた。測定結果 か ら 45° 〜70° 付近で安定 した回転 を行 うと答 えた 生徒 が多 く、お湯 に浸 ける深 さは
5mm〜 10mmで
なるべ く水面に近い方 が回転速度が速い と答 える生徒が多かった。 図 14の よ うに表 を作 つて回転の評価 を丸 と三角 を使 いま とめて い る生徒 もみ られた。感覚的ではあるが、 この授業 を通 して生徒 らは形状記憶合金エ ンジ ンの性能 を実験 によ り確認す ることができた。図
13
エ ンジンの最適角度 および深度計測装置御荘
IJやし、 も
「
Ю.ヽゆ 〇∞ Ю.N∞N
4‑7
エ ンジ ンカー の組み立 てエ ンジンカー の組み立てについては先行研究 において製作 された設計図を用い ることに した。 しか し、動力部分 は可動式であ るため、シャー シ との接合部分 はニカ所 にな る点 を 留意 した。実験で導いた値 を用いて角度 を調節 し、動力部分お よび シャー シを製作す る。
徐 々に車の形 になることに喜び を感 じなが ら、多 くの生徒 がエ ンジンカーの設計 図 を読 み進 め、意欲 的 に製作 を してい る。 これ までは形状記憶合金エ ンジンのエ ンジン性能 の追 求 を行 つてきたが、今後、完成 した生徒 か らエ ンジンカー としての性能 を追求できるよ う、
教師側 か らはた らきか ける必要がある。特 にエ ンジンカー としては走行性能 はシャフ トと 軸受部 の摩擦 が影響 してい るこ とか ら、摩擦 に関 して、車 としての追求 がで きるよ う、教 師の支援 が必要である。エ ンジンカーの組み立ては現在 も継続 中である。
図
14
ワー ク シー ト 140 ム︐
︑
〇卜一
ヽ 縦
\ オ
(a) シ ャー シの組 み 立 て (b)タイヤの接着
図
15
授業風景5.ま
とめ中学校技術科 にお ける形状記憶合金エ ンジンカー を用 いた授業実践 において、以下の内 容 を教授 できる授業方法 を提案 した。
・ 金属の性質 を実感 をもつて理解 できる。
・ 新素材や新エネル ギーの開発 に関す る新 しい技術 に触れ る。
・ エネル ギーの利用 における技術 と社会・環境 との関わ りについて学習できる。
・ 試行錯誤・実験 を繰 り返す ことで生徒 の問題解決能力や 自発的、創造的な学習態度 を 養 うことができる。
・ 動作原理 に関 して理解 できる。
・ グループ活動 の中で表現力や コ ミュニケー シ ョン能力 を養 うこ とがで きる。
実践 の 中では特 に形状記憶合金 ワイヤー をエナ メル線 を用 いて、 リングにす る過程 が難 しく、エ ンジンの回転実験や、エ ンジンカーの組み立ての最 中に リングがほ どけて しまい、
再び時間をかけて リングを製作す る場面が多 々見 られ た。 エ ンジンカー の組 み立てが長 引 いて しまってい る事 もこの事が原 因 と考 え られ、教材化 にあたって更なる改良が必要であ る。
教材用形状記憶合金エ ンジンカーはエ ンジンに最適 な動作 を させ るために、プー リー の 軸 間や形状記憶合金 の長 さ、湯 に浸 ける角度 な ど追求で きる箇所 を数多 く含 んだ教材 であ る。 その為 、本教材 を扱 う教師や生徒 のニー ズに合 わせ て追及箇所 を設定で きる面 白さを 含 んだ教材 だ と考 え られ る。追求す ることに時間 を充てたい と考 える教師は、既 に リング になった形状記憶合金 を使用 し、時間の短縮 を図 る。細か く、丁寧 な作業 を生徒 に学んで もらいたい と考 える教師 は リングを製作す ることを一か ら行 えば よい。 この よ うな、生徒 や教 師のニーズに応 え られ るよ うに、授業方法の検討やエ ンジンカーの改良、解析 をよ り 行 つてい く必要がある。
本研究の一部 は平成23年度科学研究費補助金 (課題番号 :21500869)の援助 による。