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インターネットにおけるコミュニケーションツールの利用とパーソナリティ特性との関連 [ PDF

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インターネットにおけるコミュニケーションツールの利用とパーソナリティ特性との関連

キーワード:スキーマ,インターネット,依存,気晴らし 人間共生システム専攻 臨床心理学指導・研究コース 鈴木 智子 Ⅰ.問題と目的 1.インターネット利用 現在までのインターネット研究はインターネット利用 を病理として扱い(小寺, 2014),詳細な行動内容について の検討が行われていない(安藤, 2004)ことが問題として 指摘されている。ここで,石田(2014)は嗜癖の心理的メ カニズムについて「その行動をすることによって何らか の欲求が満たされる(もしくは不快な状況から解放され る)ことや,その行動に意識的・無意識的に大切な意味 があるといった行為者の心理的課題と関連する必要性」 を考慮することが心理臨床学的理解をするうえで重要で あると述べており,行為者のその行為に対する意味や体 験を詳細に検討することには意義がある。また,インタ ーネット利用には及川(2002)などにおいて注目されてい る「気晴らし」の効果もあることが推察され,インター ネットの依存といったネガティブなものだけでなく,利 用のポジティブな効果についてもあわせて検討する必要 がある。 2.パーソナリティ障害に関する研究 アメリカ精神医学会の診断基準 DSM-5 では,パーソ ナリティ障害群として 10 のパーソナリティ障害を掲載 している。その障害群の枠組みに基づき,国内外でも様々 な研究が行われている。さらに,DSM の 10 のパーソナ リティ障害群の枠組みでの研究以外にも様々な枠組みに 基づく研究が見られ,パーソナリティ障害を引き起こす 中核的な心理的問題と仮定されているYoung, J(1990)の

「早期不適応スキーマ(Early Maladaptive Schemas)」の

概念に基づいたスキーマに注目した研究(井合・根 建,2013)などパーソナリティ障害群を広く取り扱う研究 を行うことにも意義がある。 3. インターネット利用とパーソナリティ特性との関連 Davis(2001)は,文献研究から背景に精神疾患がある場 合と社会的適応の問題がある場合とでインターネットの 依存の過程が異なることを示唆している。日本における インターネット依存研究は,小寺(2014)の文献レビュー 研究により,不安,ストレス,孤独感,精神的健康との 関連が検討されていることが示されている。パーソナリ ティ障害特性とインターネット利用について検討したも のは,自己愛との関連をみた(田中, 2005; 和田,2008; 河内・森脇, 2015)しか見当たらなかった。しかし,イン ターネット利用も他者とのやりとりを目的としたアプリ ケーションも多いことから,パーソナリティ障害に類似 した心性を有する人の行動が異なったものとなることが 示唆され,それらの特性をもつ人々のインターネット利 用行動を検討することには意義がある。 これらのことから卒業論文では,大学生におけるパー ソナリティ障害傾向と携帯電話の利用・携帯電話依存傾 向との関連の検討を行った。その中では,パーソナリテ ィの偏り傾向として,DSM を参考に独自に作成した尺度 から拒絶や侮辱,恥への敏感さから他者との関わりを避 ける「回避」,自分に自信がなく他者から嫌われる不安が 強い「見捨てられ不安」,孤独感から他者を求める「依存」 という3つのパーソナリティにおける偏り傾向が抽出さ れた。これらの「回避」,「見捨てられ不安」,「依存」と いう3つのパーソナリティの偏り傾向が,携帯電話依存 傾向に影響を与えることが示された。また,藤・吉田 (2009)のインターネット利用行動との関連から,パーソ ナリティ特性から生じる不安感やパーソナリティ特性に よって日常抑制している欲求を解消するために携帯電話 を利用していることが推察された。しかし,インターネ ットのどのような機能が影響しているか詳細な検討はで きず,課題として残された。 4. 本研究の目的 本研究ではインターネットの利用とパーソナリティ障 害特性についての関連について検討することを目的に, 特に他者との関わりについて注目するためにスキーマ尺 度を採用し,関連をみていくことにした。また,関連を みていくうえで様々な研究においてインターネット依存 との関連が示されている現在の感情についてもあわせて 影響を検討する。 Ⅱ.方法 調査協力者 Z 大学と Y 大学に通う大学生・大学院生 133 名を分析の対象とした。分析対象者の内訳は,男性74 名, 女性59 名,年齢は平均 21.06 歳(SD=1.82)。

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2 調査時期 X 年 11 月下旬〜12 月下旬 調査内容 質問紙の構成及び内容はTable.1 に表記。 Ⅲ.結果と考察 1. スキーマ質問紙についての因子分析の結果 スキーマ質問紙について因子分析(最尤法,Promax 回転) を行った。その結果,Schmidt&Young, J(1995)の上位 3 因 子とほぼ同様のまとまりとなり,「関係回避(Disconnection)」 「過剰な他者への依存(Overconnection)」「関係無視 (Exaggerated Standards)」と命名した(Table.2)。 2. POMS とスキーマによるインターネット利用の差 POMS およびスキーマ質問紙を独立変数,インターネ ット利用時間,頻度,送受信の速さ,インターネット依 存の程度を従属変数とする被験者間2 要因の分散分析を 行った。POMS は下位因子得点の合計点の平均値による 群分けを行い,スキーマは下位尺度得点の上位下位30% で群分けを行い,使用した。 頻度:活気と過剰な他者依存において,活気の主効果が 有意であった。(F(1, 79)= 3.72, p <. 10)。加えて,交互作 用が有意であった。Tukey 法による多重比較の結果,活 気のL 群において,過剰な他者依存の H 群に比べて L 群 の得点が高かった(p < .05)。また,過剰な他者依存 H 群 において,活気のL 群に比べて H 群の得点が高かった(p < .10)。(Fig.1,Table.3) 相手の返信:抑うつ・落ち込みと過剰な他者依存におい て,抑うつの主効果が有意であった(F(1, 81)=3.99 p < .05)。加えて,交互作用が有意であった(F(1, 81)=2.91 p < .10)。Tukey 法による多重比較の結果,抑うつの L 群 において,過剰な対人依存のH 群に比べて L 群の得点が 高かった(p < .05)。また,過剰な他者依存において L 群 において,活気のL 群に比べて H 群の得点が高かった(p < .05)。(Fig.2,Table.4) これらの結果から,活気のない過剰な他者依存傾向が 強い人々がインターネットを利用する頻度が少ないこと, 過剰な対人依存しておらず,抑うつでない人はインター ネットにおけるコミュニケーション相手として返信時間 が遅い他者とコミュニケーションをよくとっていること が推察された。このことから,依存的なパーソナリティ 傾向を有する人々は受け身的であり,活気というポジテ ィブな感情を持ちにくい時は人に主体的関わろうとする 機会が減ることが推察される。 相手の返信:緊張・不安と関係無視において,交互作用 が有意であった(F(1, 80)= 3.56, p < .10)。Tukey 法による 多重比較の結果,緊張不安のH 群において,関係無視の L 群に比べて H 群の得点が高かった(p < .10)。また,関 1. フェイスシート 性別・年齢・所属大学・所属学部・学年 2. インターネット利用状況 利用するインターネットツール 最も利用するインターネットツール 最も利用するツールの利用法、送受信の双方向性(5件法) 送受信の頻度(3件法)、コミュニケーション相手 3. インターネット依存尺度 Young, K(1996/2008)「Diagnostic Questionnaire」を

独自で改訂した(4件法)。 4. インターネット利用の利点 藤・吉田(2009),友納(2013)を参考に項目を筆者が作成した (多重選択式) 5. POMS短縮版 横山(2005)によるもの(5件法)。 6. スキーマ質問紙 Young&Brown(1990/1995)の「Youngスキーマ質問紙 (Schema Questionnaire)」(短縮版)から項目を各因子3 項目ずつ抽出した。 Table.1 質問紙の構成と内容 第1因子 第2因子 第3因子 1 (32)私はほかの人たちの前では守りの姿勢を解くことができないと感じる。あるいは私はほかの人たちから疎外されていると感じる。他人が意図的に私を傷つけようとしていると感じる。(不信・虐待) .87 -.06 -.01 2 (44) 私はグループの外にいると感じる。(社会的孤立) .84 -.09 -.01 3 (33) 私は周囲になじめない。(社会的孤立) .80 -.06 .03 4 (15)私にふりかかったあらゆることについて、私をいたわり、それを共有し、あるいは心の底から気づ かってくれるような人を得たことがほとんどない。(情緒喪失) .77 -.06 -.08 5 (43) 私が近しく感じている人たちが私から去っていったり見捨てたりするのではないかと心配だ。(見捨てられ) .71 .09 -.07 6 (42) 私はいざものごとを成し遂げるとなると無能である。(失敗) .67 .23 -.17 7 (30) 人は私が感情的に堅苦しいと見なしている。(感情抑止) .64 -.06 .04 8 (11) 誰かが私を裏切るのは時間の問題だろう(不信・虐待) .62 -.01 .05 9 (45) 私は何か悪いことが起こりそうだという感じから逃れられないように思う。(傷つきやすさ) .57 .02 .26 10 (23) 私は他人からの愛、注目、尊敬に値しない。(欠損) .52 .18 .11 第1因子 第2因子 第3因子 11 (22) ほかの人たちのほとんどは、仕事や業績といった領域において私よりもはるかに有能である。(失敗) -.20 .79 .07 12 (09) 私が職場や学校ですることのほとんどは、ほかの人たちができることに及ばない。(失敗) .06 .66 -.01 13 (21) 私は自分自身の日常生活をうまくこなす能力があるとは感じない。(依存) .13 .61 -.03 14 (10) 日々の生活での活動となると、自分は依存的な人間だと思う。(依存) .03 .58 -.16 15 (01) 私は自分自身の日常生活をうまくこなす能力があるとは感じない。(依存) .00 .49 .11 第1因子 第2因子 第3因子 16 (08)私が提供しなければならないものは、ほかの人たちによる貢献よりもはるかに価値の高いものであると感じ る。(自己特別視) -.19 .04 .71 17 (29) 私はベストを尽くす。私は十分だと満足することができない。(厳密な基準) .01 .01 .63 18 (35)私はたやすく自分を義務感から解放することができず、あるいは自分の失敗を許すことができない。(厳密な基準) .18 .09 .58 19 (14)私は自分が気づかっている人とたちの世話を焼くために忙しすぎるので、自分のための時間がほと んどない。(自己犠牲) .00 .03 .49 20 (06)私は自分をものすごくコントロールしている、ほかの人たちは私のことを感情的でないと思ってい る。(感情抑止) .05 -.19 .42 21 (27) 私はたいてい、最後には身近な人たちの面倒をみる羽目になっている。(自己犠牲) .20 -.01 .36 因子相関行列 第1因子 第2因子 第3因子 第1因子 ― .45 .44 第2因子 ― ― .12 第3因子 ― ― ― 第1因子 :関係失敗(Disconnection) (α = .91) Table.2 パーソナリティ傾向尺度(n = 133 , R2 = 44.77) 第2因子: 過剰な他者依存(Overconnection) (α = .77) 第3因子 :関係無視(Exaggerated Standards) (α = .73) 交互作用 POMS スキーマ N M SD 活気 過剰な他者依存 F値 活気L 過剰な他者依存L 20 22.9 .48 過剰な他者依存H 26 8.56 .43 活気H 過剰な他者依存L 14 14.25 .41 過剰な他者依存H 23 15.62 .51 *p<.05, +p<.10 Table.3 POMSの活気と過剰な他者依存スキーマによる利用頻度の平均の比較 主効果 .07 1.65 3.72+ 交互作用 POMS スキーマ N M SD 活気 関係無視 F値 抑うつ・落ち込みL 過剰な対人依存L 23 2.91 .29 過剰な対人依存H 15 2.60 .51 抑うつ・落ち込みH 過剰な対人依存L 10 2.50 .53 過剰な対人依存H 37 2.57 .50 3.99* 1.21 2.91+ 主効果 Table.4 POMSの抑うつ・落ち込みと関係無視スキーマによる相手の返信の速さの平均の比較 *p<.05, +p<.10

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3 係無視H 群において,緊張・不安の L 群に比べて H 群 の得点が高かった(p < .10)。(Fig.2,Table.5) 活気と関係無視において,交互作用が有意であった (F(1, 80)= 3.84, p <. 10)。Tukey 法による多重比較の結果, 活気のH 群において,関係無視の H 群に比べて L 群の 得点が高かった(p <. 10)。また,関係無視 H 群において, 活気のH 群に比べて L 群の得点が高かった(p < .05)。 (Fig.3,Table.6) 自分の送信:混乱と関係無視において,交互作用が有意 であった(F(1, 75)= 5.62, p <. 05)。Tukey 法による多重比 較の結果,混乱のH 群において,関係無視の H 群に比べ てL 群の得点が高かった(p < .10)。また,関係無視 H 群 において,混乱H 群に比べて L 群の得点が高かった(p < .05)(Fig.5,Table.7) 関係無視の特性が強い人は緊張・不安が強い時や返信 の速い他者と返信をとっており,混乱した時は自分の返 信が速くなることから,不安に対処できるような他者と 連絡を取り合う,混乱が収まるように自分の返信を早く し,自分の集中力を高めるなどの自助努力を行い自身の 感 情 の 揺 れ に 対 処 し て い る 様 子 が う か が え た 。 Thayer&McClain(1994)は「気晴らし」は「不快な気分 を変えようとする方法」や「集中力を求められる時にす る方法」と定義し,好きなことに向かうことでしなけれ ばならない課題や状況に向かうための活力を取り戻す方 法となることを示唆している。このように,関係無視の 傾向が高い人は混乱状況にある時にも自分で他者と連絡 をとることで「気晴らし」をし,対処しようとしている ことが推察された。また,活気というポジティブな感情 を有する時も相手からの返信時間が速くなっており,関 係無視の特性が強い人は返信相手にコミュニケーション が速い人を選択している可能性が示唆された。以上のこ とから,関係無視の人々は自分のその場の感情によって インターネット上で他者をうまく利用しながら日常に対 処していることが示唆された。 3. スキーマタイプの分類 Young, J et al. (2003/ 2008)をもとに「早期不適応スキ ーマ」に関して,「DSM のⅡ軸診断におけるカテゴリカ ルな手法とは異なり,ディメンジョナルな手法を採用」 し,1人に複数のスキーマを有する可能性を示唆してい ることから,タイプ分けによる分類を試みた。スキーマ 尺度の因子下位尺度平均点によるクラスター分析(Ward 法)を行い,「対人依存型」(7 名,5%),「バランス型」(71 名,53%),「不安定型」(19 名,14%),「自己解決型」(36 名,27%)の 4 群を得た。 スキーマタイプの4類型を独立変数,インターネット 利用時間を従属変数とする被験者間1要因の分散分析を 行った結果,有意な差が見られ(F(3, 117)= 2.69, p < .05), 「不安定型」は「バランス型」よりも得点が高かった(p < .05)。 交互作用 POMS スキーマ N M SD 緊張・不安 関係無視 F値 緊張・不安L 関係無視L 25 2.68 .48 関係無視H 18 2.78 .43 緊張・不安H 関係無視L 11 2.82 .41 関係無視H 30 2.5 .51 *p<.05, +p<.10 Table.5 POMSの緊張・不安と関係無視スキーマによる相手の返信の速さの平均の比較 主効果 .40 1.00 3.56+ 交互作用 POMS スキーマ N M SD 活気 関係無視 F値 活気L 関係無視L 21 2.67 .48 関係無視H 26 2.73 .45 活気H 関係無視L 15 2.80 .41 関係無視H 22 2.45 .51 1.81 3.84+ *p<.05, +p<.10 Table.6 POMSの活気と関係無視スキーマによる相手の返信の速さの平均の比較 主効果 .47 交互作用 POMS スキーマ N M SD 混乱 関係無視 F値 混乱L 関係無視L 24 2.46 .51 関係無視H 21 2.67 .48 混乱H 関係無視L 9 2.67 .50 関係無視H 25 2.28 .54 *p<.05, +p<.10 主効果 .51 .51 5.62* Table.7 POMSの混乱と関係無視スキーマによる自分の送信の速さの平均の比較

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4 スキーマタイプの4類型を独立変数,インターネット 利用頻度を従属変数とする被験者間1要因の分散分析を 行った。その結果,有意な差が見られ(F(3,129)= 2.83, p <.05)。「不安定型」が「バランス型」「自己解決型」よ りも得点が高かった(p < .05)。 パーソナリティ障害傾向を有すると考えられた「不安 定型」の人がパーソナリティの統合のとれた型であると 考えられた「バランス型」と「自己解決型」に比べイン ターネット利用時間が長く,インターネット依存の程度 が高いことが明らかになった。これは,卒業論文の結果 が一部支持されたといえる。また,「不安定型」が「自己 解決型」に比べてもインターネット依存傾向が少ないこ とが示唆された。ここで,利用する利点に注目するとど のタイプにおいても,利点として「暇つぶし」「いつでも 利用できる」などといった利便性に着目した回答が多く, 直接的に情緒的なやりとりを行っているというよりも, インターネットを「気晴らし」として利用していること が窺える。及川(2002)は,ストレス対処研究の文脈で「気 晴らし」を効果的に活用することは重要であるが,ある 群には「気晴らし」への依存といったある種の依存状態 を引き起こす人々がいることを指摘している。本調査で 行われたインターネット利用を「気晴らし」として捉え た時,「バランス型」や「自己解決型」といったパーソナ リティ傾向を有する群にとってはインターネット利用な どの人とのかかわりの中での「気晴らし」が依存とはつ ながりにくく,ストレス対処となりうること推察された。 特に,「自己解決型」のひとびとは時間数に「不安定型」 と統計的に差がないものの,インターネットを通したコ ミュニケーションツールに依存していないという結果を あわせて考えると,「自己解決型」の人に対して人とふれ あうような他者との関わりの中でストレスを発散させて いくような支援法が有効に働くことを示唆した。その反 面,「不安定型」の人々は他者との関わりを促していくだ けの支援では依存的利用を伴う可能性があるため,考慮 が必要であるが,最も利用時間が多いことも考慮すると, 他者との関わりを求めていることが示唆され,「不安定型」 のひとびとにも安心して関わりを持てる支援がどのよう なものなのか支援法を配慮する必要性が考えられた。 Ⅳ.今後の課題 本研究は一般の大学生を対象にし,他者との関わりと いう視点からスキーマについてのみを聴取したものであ り,DSM が挙げているような自我の統合の程度などまで は統制できていない。そのため,パーソナリティ障害傾 向として考察してきたが,その病態水準の程度が境界例 水準であるかは考慮できていない。また,第一因子の項 目の一部である見捨てられ不安心性や,第三因子と類似 した自己愛心性は青年期にあらわれる心性として注目し ている研究も多い(小塩,1998; 安立,1999)。そのため、臨 床群にも適応できる結果か青年期特有の結果かについて は,今後臨床群を含めた幅広い対象を含めた研究を行う 必要があり,今後の課題とする。 Ⅴ.主要引用文献

American Psychiatric Association (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision;高橋三郎・染矢伸一訳(2014) DSM-5 精 神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院

Davis R. A. (2001). A cognitive-behavioral model of pathological Internet use. Computers in Human Behavior, 17, 187-195 藤桂・吉田冨二雄 (2009). インターネット上での行動内容 が社会的・攻撃性に及ぼす影響:ウェブログ・オンライン ゲームの検討より 社会心理学研究, 25(2), 121-132 Bell, Lorraine(井沢功一朗,松岡律訳)自傷行為とつらい 感情に悩む人のために ―ボーダーライン・パーソナリティ 障害(BPD)のセルフヘルプマニュアル― (2006). 誠信書房 石田哲也 (2014) 嗜癖概念に関する臨床心理学的理解の現 状と課題 臨床心理学, 14, 6, 851-852 小寺敦之 (2014). 日本における「インターネット依存」調 査のメタ分析 情報通信学会誌 31(4), 51-59, 201 及川 恵 (2002) 気晴らし方略の有効性を高める要因―プロ セスの視点からの検討― 教育心理学研究 50, 185-1 Young, K. (1998). Caught in the Net: How to Recognize

the Signs of Internet Addiction- and a Winning Strategy for Recovery. John Wiley & Sons, Inc. (小田嶋由美子・訳 インターネット中毒―まじめな警告です 毎日新聞社) Young J. E. (1990). Cognitive Therapy for personality

参照

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