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角 由 佳

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Academic year: 2021

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- 9 -

高校再指統合にともなう新学科「食ビジネス科jの立ち上げとその充実 一地域と連携した食育の実践活動を通して一

高度学校教育実践専攻 学校・学級経営コース

角 由 佳

.実習校の概要

平成24年4月,鴨島商業高校と阿波農業高校 が再編統合し,吉野)11高校が誕生した。再編統 合 に よ り , 生 徒 数 は430名 余 り と な り , 中 規 模 の専門高校となった。新高授においては,これ まで、両校が培ってきた商業教育・農業教育を継 承するとともに,食の安全・安心の観点からの 教育を加え,商業科・農業科併設のメリットを いかした教育を目指している。

再編統合にともなう新設学科「食ビジネス科j

は,食ビジネス従事者の育成と,地域食材を使 ったオリジナノレ商品の開発という 2点をねらい としており,平成24年 2月には新しい実習棟が 完成した。生徒は実習棟において,カフェ経営 実習を行い,体験的に経営を学ぶ。実習棟での 実践活動は,食ビジネス科にとって,学習成果 の発表の場であるとともに,学校と地域を結び 付ける重要な役割を担っている。

2. 実践研究の自的と実習課題

本研究においては,以下のプロセスを経て,

実習課題を設定した。

く カ テ ゴ リ ー の 揺 出 >

新しい高等学技づくりに対する問題意識をも とに.

r

吉野川高校J,

r

食ビジネス耗J,

r

食 育j

f

地域連携jの 4つのカテゴリーを抽出した。

く 研 究 の 構 造 化 >

本研究においては,特に「食ピジネス科j

実 習 責 { 壬 教 員 兼 松 儀 郎 実 習 指 導 教 員 佐 言 秀

I食 育

J

の2つを研究の中心に置いて,

r

吉 野 )11高校」と「地域連携Jの2つを関連付け,相 互の関係性を捉えながら構造化した。

r

食 ピ ジ ネス科j と「食育Jの 2つは,特に結び付きが 強いと考えられる。「吉野川高校」における食 ビジネス科の位置付けや,実習棟での実践活動 を通した「地域連携jなど,食ビジネス科の充 実は,新しい高等学校づくりのなかで大きな意 味をもっ。

<実践研究課題と研究の目的>

実践研究課題を「高校再編統合にともなう新 学科

f

食ピジネス科Jの立ち上げとその充実一 地域と連携した食育の実践活動を通して‑Jと 設定した。具体的には,食ピジネス科の教育の 充実を国ることを主目的とし,新高校の学校運 営に参画しながら,家庭科担当教員としての専

F

号性をいかして,実習棟を有効に活用するなど,

食育の実践活動iこ取り組み,地域に聞かれた学 校づくりについて考察する。

<実習課題の設定>

[実習課題A]新高校・吉野)11高校 [実習課題B]食ビジネス科の教育の充実 {実習課題C]食育の浸透

{実習課題D]地域連携の深化 く 観 点 の 設 定 >

各実習課題に対応し,組織の協{動化,これか らの高等学校の専門教育の在り方,教員として の教科の専門性のいかし方,高校の地域におけ

(2)

- 10 - る役害1],の 4つの観点を設けた。

3.新高校のピジョンと課題

フィーノレドワークに先立ち,実習校のピジョ ンと課題を整理した。(・:ピジョン,・:課題)

【実習課題 A

。生徒数の増加と学校規模の拡大にともなう,

新高校の活性化と教育活動の充実

・実習棟の活用を通した地域連携の深化 .商業科・農業科の連携による教員の協働性の

向上と生徒間の相互理解の促進

【実習課題B]

・商業科と家庭科との連携による食ビジネス科 の教育の充実を百指した基礎固め

E生徒の食ピジネス科理解の深化と学習への輿 味・関心・意欲の向上

【実習課題C]

・商業科・農業科併設をいかした多面的な「食J の理解と充実した食育の実践活動

幽実習棟での実践活動への意欲喚起と,地域と 連携した取組への発展

【実習課題0]

.実習棟での実践活動による関かれた学校づく りの促進と,地域活性化八の貢献

掴生徒の地域への愛着心の向上と,地域の期待 に応える新高校づくり

4. 論点整理

学校アセスメントを踏まえて,論点を整理し た。論点の項目は次のとおりである。

[実習課題 A

①新しい学校復の構築,@情 報発信,@新入生の希望や期待に応える教育 [実習課題B] ①自立した職業人への準信教 育,②学科の特質と地域での役割,@高校で の学習と将来の生活との関連付け

[実習課題

cl

①家庭科教育と食育,@人間 教賓としての食育,③校内体制づくりと地域 性,@生徒自身の問題意識の喚起

【実習課題

01

①地域振興への役割の自覚,

②地域への愛着心,③学校への信頼と愛著

5.実践研究の実施

フイ}ノレドワークにおける取組内容は,以下 のとおりであり,その成果と課題を整理し,あ

らかじめ設定した観点を踏まえて考察した。

【実習課題A

く教員アンケートの実施 (37・11月)

3月・ 7月の調査では,教員は新高校の教育 や新しい学校づくりを肯定的に捉え,前向きで あったが,

1 1

月の調査では,その意識が後退し ていた。学科の特質をいかした教育や,教科の 枠 を 越 え た 教 員 同 士 の 連 携 の 必 要 性 に つ い て は,統合前から一貫して高い。また,地域連携 による学校の活性化や地域からの信頼・愛着の 深化も求めている。統合後,実習棟の有効活用 への期待は,強くなった。

く校内委員会冒第 1学 年 団 へ の 参 画 >

生徒の実態に応じ,修正を繰り返しながら,

より適切な指導体制を創り上げていった。また,

I期生である 1年生生徒には,問題への柔軟か っ迅速な対応が行われた。さらに,第1学年団 での教育相談会は,家庭との連携により,生徒 の学校生活への意欲を喚起した。この取組を,

今後,学校全体の取組へと発展させたい。

土 成 農 場 へ の 徒 歩 遠 足 や 体 育 祭 で の 新 競 技 は,学科の枠を越えた生徒間交流と3 学科聞の 相互理解を促す機会となった。今後,さらに交 流を深める学校行事へと拡大する必要がある。

〔考察〕①教員の協働化の進展には,見直しゃ 修正を重ね,より適切な指導体制を構築してい

(3)

- 11 - く必要がある。②問題には迅速かっ柔軟に対応 し,教員簡での共通理解が必要である。③学習 や生活商で問題のある生徒を支えるため,学年 団と家庭の連携構築が求められる。④学校行事 は,教員聞の相互理解を深めることにつながる。

【実習課題B]

く実習棟の活用に向けての取組>

実習棟の見学や試作会など,体験的な学習に よって,食ビジネス科での学習や活動への興味

・関心・意欲が高まった。平成24年度は,実習 棟の本格的な活用に向け,食ピジネス科全体で の予備的な実践活動を構想した。今後は「食を 提供する者j としての自覚を高める取組や,平 成25年度以降の実習棟での授業展開など,具体 的検討が必要である。

<食ビジネス科ニュースの発行>

「食ビジネス科ニュース

J

を8回発行し,生 徒の食ビジネス科についての理解を促した。ま た,教員にも配布し,食ピジネス科の理解を深 めようとした。今後は,生徒の視点から食ビジ ネス科の情報を積権的に発信していくことが望 ましい。また,ホームページへの掲載は,学校 外への情報発信となり,今後,内容の一層の工 夫が求められる。

く生徒アンケートの実錨 (4. 7・11月)

4月以降,学校行事などを通じて,他の学科 との仲間づくりが順調に進んでいる。一方,学 校生活への満足度はだんだんと後退しており,

人間関係や学習のつまずきなどが影響している と考えられる。食ピジネス科の学習や実践活動 についての理解は次第に深まっており,実菅棟 での活動意欲l

4月以降,一貫して高い。食 に関する興味・関心は食育の授業実践後,一旦 は向上したが,継続的な取組が必要である。

〔考察〕①中学校教育から高等学校の専門教育

への円滑な接続を図るために,専門教科への興 味・関心を高め,その理解を深める必要がある。

②高等学校から実社会への円滑な移行を図るた めに,将来の職業生活の準備として体験を重視 した学習活動を積掻的に取り入れていくことが 求められる。

【実習課題C】

<金育の捜業実践 (6・11月)

食ビジネス科を対象とした6月の授業では,

家庭科教育の色彩が強かった。授業後の

f

食と どジネスをつなげた食育が必要Jという指摘を 受け,商業科教員と連携しながら進めた

1 1

月の 授業では,

r

食を提供するJ立場に立つことで,

食ピジネス科の生徒としての自覚を高めた。今 後は,商品開発の発想、など,学習したことをい かし,実習棟での実践活動につなげていくこと が必要である。

く食育講演会の企画・実施>

3年生対象の食育講演会を企画・実施した。

学校外の食の専門家と関わり,筆者の家庭科教 員としての専門性が向上した。他の分野の食の 専門家と多面的に連携しながら,学校全体へ食 育を浸透させることが今後の課題である。

〔考察〕①専門学科の特質をいかした教育には,

担当教科の枠にとらわれず, 1:也の教員との連携 した教育活動が求められる。②学校外の専門家 と連携した教育活動は,教員の教科の専門性の 向上につながる。

[実習課題D]

く地域貢献事業の取組>

2・3年生は,日頃の専門的な学習をし、かし た地域貢献活動を行った。生徒は地域の人々と 甚接関わり,この活動が地域振興や活性化につ ながっていると実感することで,有用感を高め た。今後

1

年生段階からの取組へと拡大して

(4)

- 12 - いくことが望まれる。

< 開 放 講 座 の 実 施 >

学校外の専門家と連携し,実習棟での開放講 座を初めて実施した。受講者の新高校への興味

・関心の高まりと,食ピジネス科の学習や地域 連携への大きな期待感を感じた。今後は,開放 講座の広報活動の工夫や食ビジネス科生徒の講 座への参画が課題である。

〔考察〕①専門的な学習をいかした,積極的な 地域貢献の機会と場の設定が求められる。②高 等学校には地域の斬新なアイデアを教育活動に いかしていく柔軟性が必要である。@開かれた 学校づくりには,地域の人々が高等学校に足を 運びやすい環境の整備が求められる。

6.総括的考察 く 研 究 内 容 >

各実習課題について,生徒の成長・変容を視 座として,総括的に考察した。

【実習課題

A

】教員が協働しながら,新高校の 充実を目指しp 前向きに取り組む姿勢は,生徒 間にもまとまりを生み出した。また,学校行事 を通じた教員間の相互理解は,生徒の学科関の 交流を深め,他学科の学習や活動への興味・関 心を高めた。

【実習課題B】実習棟の見学や試作会など予備 的な体験学習の設定,専門学科についての情報 発信により,生徒の金ピジネス科における学習 や活動への理解が深まり,意欲が向上した。

【実習課題

C] r

食を提供するJという視点に 立った食育など,専門教科以外で教員が力量を 発揮することで2 生提は,専門学科生徒として の自覚を高めた。また,専門家と連携した食育 講演会の企画による教員の専門性の舟上は,生 徒の専門的学習への興味・関心をより高めると

ともに,学習意歌の向上につながった。

[実習課題

D]

学校外での地域貢献活動を通じ て,生徒は地域への有用惑を感じた。また,地 域の人々と直接関わることで,地域の学校に対 する期待感を感じ取ることができた。

く 研 究 方 法 >

研究方法の特徴は,次のように捉えることが できる。

ヨ〉新しい学校づくりのプロセスをたどりながら 新高校の充実を自指した。

②カテゴリーの抽出や研究の構造化を通して,

研究課題、に多面的にアプローチした。

@実習課題ごとに観点を設定するなど,研究の 基礎臨めを大事にした。

④論点整理を行い,研究の意図を明確にした。

⑤実践研究を進めるなかで,新たに見出される 課題にも着目した。

く 提 雷 >

研究内容・研究方法の総括的な考察から,次 のことを提言した。①指導体制の構築,②専門 学科併設の強みをいかした取組,③中学校教育 からの円滑な接続,④実社会への円滑な移行,

⑤学科の特質をいかした取組,@教科の枠を越 えた専門性の向上,⑦地域貢献活動の推進

7.省察編

まず,入学前の自分を,

r

教育的人間力J,

r

教 育実践指導力j,

r

学 校 改 善 指 導 力jの3領域 から援り返った。次に 2年間の学びを振り返 り,授業,学校課題フィールドワーク,異校種 フィーノレドワーク,ゼミにおける指導,の4点 について,学諺による自分自身の変容を省察し た。今後も大学践での学びをいかし,学校教育 の充実を目指して,課題を多角的に捉え,広い 視野を持って,追究していきたい。

参照

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