417
渉外的な法律関係を規律するにあたって︑外国の実質法規を︑当該法律関係の準拠法とLてではなく︑国際私法
によって指定された準拠実質法上の構成要件を具体化するデータ ︵Datum︶ として考慮するという見解が︑近時︑
ドイツの研究者を中心に有力に主張されている︒たとえば︑ドイツに常宿所を有するドイツ人同上が外国において
交通事故を惹き起こした場合︑ドイツの国際私法によれば︑不法行為準拠法は︑当事者の共通本国であり︑共通骨
居所地でもあるドイツ法となるが︑加害者が事故地の交通規則に違反していたか否かが︑イ法行為準拠法であるド
四一七
国際私法におけるデータ理論について
一 はじめに
ドイツにおけるデータ理論の屁開門 若トの考察
h むすび はじめに エーレンツケァイクのデ・1タ理論
野 佐
寛岡 法(45 1)4J8
四一八
イツ民法八二三条▲項が規定する過火の判断にあたって掛酌される︒また︑契約準拠法をドイツ法とするイランへ
のビールの輸出契約について︑イランにおけるいわゆるイスラム革命の結果︑イランへのアルコール類の輸入が禁
止されたため︑その履行が不可能となったという事案において︑イランの輸入禁止措置により契約の履行が事実上
不可能となったことが︑ドイツ民法二凶二条における行為基礎の喪失を構成する事実とLて考慮される︒このよう
に︑当該法律関係の準拠法に属さない外国の実質規定 − すなわち︑右の例における事故地の道路交通規則︑イラ
ンの輸入禁止に関する法律 − を︑準拠法が定める構成安件を具体化するための与件︵データ︶ として︑準拠実質
法を過川する段階で考慮Lようとするのが︑いわゆるデータ理論 ︵Da︵uヨTheOrie︶ であるり
このようなデータ理論は︑右に挙げた例からも窺うことができるように︑一面において︑従来の学説・判例が必
ずLも十分な検討を加えることなく︑いわば自明のこととLてきた問題について︑一つの理論的な説明を試みたも
のとみることができる︒LかL︑データ理論の対象とする関越が︑近時の国際私法をめぐる議論の中でも︑とりわ
けその解決が掴難とされる問題︑すなわち︑いわゆる﹁不法わ為準拠法の柔軟化﹂ に什う不法行為地法の新たな理
論的位置づけにかかわる問題や国際契約に関する第三田の強打法規の適川にかかわる問題であることからみても︑
そこには単なる理論的な説明の試みを越えて︑渉外的な法律関係の規律方法それ臼休に関する根本的な問いかけが
内包されているように思われる︒たとえば︑データ理論の最も有力な提哨者であるジュイムは︑ヨーロッパの学説
および判例において︑内因法を適用する際に﹁外国での事象を考慮する﹂ という傾向が強くなっており︑その場A‖
に外国の法規が特別な役割を損じるとLた上で︑﹁凶際私法の伝統的な指定の技法︵くerweis亡ngS︷echnik︶は︑きっ
と近い将来には︑おそらく外回と関連をもつ事件を解決するためのその他の方法の小の一つにすぎないという二と ・ になるであろう﹂ と述べている︒さらにまた︑データ理論は︑不法行為および契約の分野だけではなく︑後述する ⁚仁 ように︑最近では︑家族法や国際刑蔽の領域においても主張されるようになっており︑それらの主張を通観すると︑
419l玉】際私法におけるテ」夕_坪論について
近時のデータ理論は︑渉外的な法律関係を規律するための新たな方法論の導入を志向するものとみることができる︒
その意味において︑この理論につき検討を加えることは︑今後わが国における渉外的な法律関係の規律のあり方を
考える上でも︑何がしかの意義があるように思われる︒そこで︑本稿は︑従来わが国において必ずしも十分な検討
がなされてきたとはいいがたいデータ理論について︑その主張するところを紹介し︑その意義と問題点について若 川 †の考察を加えようとするものである︒
ところで︑周知のように︑このようなデータ群論は︑もともと︑アメリカの国際私法学者エーレンツヴァイクに
よって︑‡張され︑その後︑彼の高弟にあたるジュイムによってドイツにもたらされたものである︒あらためて述べ
るまでもなく︑エーレンツヴァイクは︑著名な彼の国際私法理論である︑いわゆる法廷地法︑※義理論︵−e※fOritheOry︺
によって広︿世に知られるが︑アメリカにおいてすらほとんど影響力を及ぼすことがなかった彼の理論が︑何故ド
イツにおいてこのような広がりをもって論じられるに至ったかは︑それH休興味深い問題といえようじ もっとも︑
近時ドイツにおいて主張されているデータ理論は︑いずれもエーレンツヴァイクの理論に起源をもつことを認めて
はいるものの︑実際その意図するところにはかなりの相違があるように思われる︒そこで︑以†ではまず︑この群
論の最初の提唱者とされるエーレンツヴァイクあデータ理論を紹介し︑次いで︑そのようなデータ理論が︑その後︑
ツにおいてどのような展開を遂げているかを考察することにしたい︒ ドイ
︵1﹀ 周知のように︑ドイツにおいても︑不法わ為の準拠法については不法けわ地法主義が原則として採用されているが︑外国 に
おけるドイツ人間の不法行おについては︑一九川二年一∴月七口の ﹁帝国領域外におけるドイツ阿民の損セ=についての法適用
に関する命令﹂ が有在している ︵RGB︻.Ⅰ﹀S.ヨ空︒同命令↓条一項は︑ドイツ領域外におけるドイツ人間の不法行為につい
てドイツ法の適用を定めており︑学説上異論はあるものの︑連邦通常裁判所は現行法として同規定の効力を認めている︵BGH
く.ドM﹁亡麗︼丹BGHN慧㍍NN︶︒したがって︑本文のような場合には︑ドイツ法が不法行為の準拠法になるものと考えられる︒
閃一九
開 法(45ユノ 420
川二〇
なお︑判例は︑この他定を双〃化して︑外同人についても共通本国が同時に共通常店露地である場A‖には︑その他の法を当事
者間の不法行為について適用するとしており︑サ説の多くもこのような立場を承認しているとみられるりたとえば︑BGHv.甲
︺﹂霊山﹀BGHN讐∵諾=N.コく一芸い﹂当N=lPRax−慧芯−uO Aコヨ.HOh−〇︹J.くg︼.只reNer﹂コ⁚P冒コCheコerK〇ヨコ︼eコtarNuヨ
BGB一Bd.吾N.A亡f−.L蛮声RN∴○㌔∞一芸Art.u∞EGBG加山S︻audiコgerVOコHOffmaココ︐F︶ヨmeコtarN亡m BGB一Art∴麗ぎF
EGBGBJN.A亡f︼.﹂篭N﹀RNJN∞﹂NごG.Kege−﹂コtematiOコa−esPriくatre︹ht﹀リAufr這芦S.芝Pなぉ︑んの拭過周命令
については︑折茂豊﹃渉外不法行為法論﹄ 二川一七頁 ︵∵凡七穴年︺ および中野便一郎﹁渉外的道路交通事故と共通属人は
の適用′ドイツ判例理論の展開 − ﹂仰い法学雑誌用一巻∵サ一川∴一閃四頁︵一九九⁚牛︶参照り とくに︑中野二pq
二真以下は︑ドイツにおける共通属人法の適用に関する近時の判例・学説について詳細な検討を行っている.
︵旦 く箪BGH′∴甲N﹂芸やNJW−霊ナ窯=WM︻諾や£N=IPRax−悪声−班Aコヨ.MEbert=Rabe−sN霊﹂g.﹂慧芦−㌫
An芦Ba亡n︼.この判決については︑拙稿.国際取引の公法的規制と国際私汰−西ドイツにおける判例を小心として ー ﹂
松井芳郎・木棚照一・加藤雅仁編F同際取引と法﹄一し六打へ ︵一九八八午︺ 参照ハ
︵1一Dat亡コ︼の訳語については︑﹁所ケ﹂ ︵桑Hl二郎教授︶︑−与件﹂ ︵五十嵐清教授︶︑﹁資料﹂ ︵井之上宜H助教授−などが考え︑りれ
るが︑Datuヨの内容についても論茶の間に相違があることを考慮して︑本稿では原語のまま﹁データ﹂を川いることにトたいり
なお︑それぞれの訳語については︑パウル・ハインリリヒ・/イハウス ︵桑叩一.郎訳︶ ﹁ヨーロッパ川際私法上断たな苗は#ん
するか﹂は学新報八⁚巻九−号∴mリh育へ︵ 九七川年︶︑⊥卜嵐清﹁亡命ドイツ法学署のアメリカ法への影響﹂札幌法サ六巻÷
∴合併rlケ∵九真︵⁚九九五年︶︑井之上宜い﹁H際私法における特別連結論について﹂高岡法†一巻二り二圧七正二⁚九九〇井︶
参照︒
︵4︶ 国際家族法の分野についてデータ理論の導入を提晒するヘスラHは︑彼の研究の出発点がE際家族はに関する判例にみられ
る特別な実質化の傾向︵P−ateria−isieruコ讐teコdeコN︶にあったとし︑すでに弟﹁の裁判所が︑実質法の通用の平面における方法
論上の基礎づけなしに︑抵触法卜排除された実質法を準拠実暦法のり般条項の小で考慮していると指摘している∩H.J.Hess−er﹀
Dat亡コ†TheOrie亡コd Nweis︻ufi腑keitdesぎterコatiOコa︼eコPr才atrechts∵コ=AIbert A.EhreコNノ完im亡nd dasiコterコatiOコa−e
Pri一ま﹁e︹ht﹂蛮声S.戸また︑データ群論に批判的なゾンネンベルガーも︑﹁実質法上の不砕定概念 ︵たとえば︑違法性や
十の福祉その他これに顆するもの︶ や民法一三八条︑二川∴条のような一般条項を︑外国と関連しているにもかかわらずドイ
ツ法が準拠法となっている事実関係に適合させるために︑第▲二川の規定の助けを借りてそれらをいっそう明確にすることがで
きるか︵それどころか明確にしなければならないか︶︑そしてそれはいかなる要件の下で許されるかといった問題は︑国際私法
の対象ではない‖ そこにおいて問題となっているのは︑古くから知られた実暦法⊥のテーマである﹂と述べて︑この間題の在
421国際私法におけるデ→タ理論について
在自体は以前から認識されていたことを明らかにしているり sOコneコberger一iコ⁚P冒コCheコerKOヨヨeコtarNtlヨBGB−Bd.JN.
Auf−.﹂篭〇−RN.かEiコ︼eit亡コgEGBGB.
へ5︶ ﹁不法石為準拠はの柔軟化︵A亡コOCker亡コgdesDe−iktsstatuts︶﹂は︑伝統的な不法行為地法︑†義の緩和を意味しているくg︼.
H一宮コder㍍urA亡f−宍ker亡コgdesDe=ksstat亡tS▼RabelsN.NO Jg.一−滑河S.蓋−⁝Staudiコger・言コHミf∃aココ一a.a.〇⊥Anm.
RN−NPしたがって︑﹁不法有為準拠法の柔軟化﹂に付い︑不法わ為地法の意義は必然的に低下することになるが︑本文の例 ▼
のように︑データ理論は︑不法行為唯拠法の決定とは別個に︑わ為規範としての有為地の交通規則・安仝規則の考慮を可能に
するという機能を持つ1 この点について︑中野俊一郎助教授は︑﹁ドイツの通説・判例か︑いわゆるローカル・データ理論によ
って行為他の交通規則︑安全規則の顧慮を説くのは︑不法有為地は︑†義の緩和のために必要なろ丁ップであったと考︑ろられる﹂
と評価している‖ 中野1醐掲 ︵1︶ ∵パ○頁︒
︵6︶ H際契約における第三国の強行法規の適用に関しては︑いわゆる強行法規の特別連結︵SOnderaコk邑pどコg︶論が有力である
が︑データ理論は︑契約準拠法の実質規定の枠内で箭三岡の強行法規を考慮するものとみることかできる︒くg−.P.〇.P冒︼bert−
A亡S訂コdische Eiコgriffsコ彗∃a︼s Datuヨ﹂PRax−悪声S.H︹︶r E.くetter一K︹已isiOコSreChtニche Frageコbei greコN亡ber・
SChreiteコdeコSub亡コterコehmer<ertr厨eコ山ヨhd亡Stユean−ageコba亡一Nくg−RWiss芦Jg.﹂器㌘S.誓ミf.
︵7︶ EJay∃e一Aus︼旨d山sche Rechtsregelコ亡コd Tatbestaコd i己旨discher SachコOr∃eコ1Betracht亡コ常コNu EhreコNWeigs
Datu∃・The雪ie﹂コ⁚Ged賢htコisschrきf守A−bertEhreコNWeig一︼警ぶ一S.畠f.
√8︶ H.・J.﹀Hesskr﹀SachrechtニcheGeコera−k︼ause︼uコd iコterコatiOコa−esFa∃こieコreCht﹂諾ぃ一S.1山賀f.
︵9︶ S.Gr亡コdmaココ一Ber賢ksichtig亡コg a亡S−賢discher Rechts<〇rSte亡コgeコヤヨStrafrechtN亡r︒DatuヨtheOr耳一im iコter・
コati︹三a−eコStraTecht一NJW−蓋い﹂N訟ff.
︵10︶ わが国にぉいてデータ理論に触れた文献としては︑ル之土∴別掲 ︵3一∴九七二九八百へ︑小野■前掲 ︵1︶ ∵ハ0肯へ︑.h
十嵐・前掲 ︵3︺一九百へなどかある程度である︒
︵11︺ エーレンツヴアイクの法廷地法︑J義理論を包折的かつ批判的に考察したものとしては︑丸岡松雄教授の優れた研究がある
丸岡松雄﹁エーレンツヴァイクの法廷地法︑†義理論 ︵一︶ 〜︵三︶﹂岡山大†法経学会雑誌一し巻四某二頁以†︑一八巻一=Y九
し真以下︑二J=つ二 ∵頁以† ∴九六八年〜一九六九隼︶︺
四二一
岡 拭(45−1)422
ニ ューレンツヴァイク竺丁−タ理論
一 ﹁エーレンツヴァイクの体系の安をなしているのがデータ理論である﹂り これは︑エーレンツヴァイクの高
弟にあたるジュイムの言葉であるが︑そこで述べられているエーレンツヴァイクのデータ珊論とはいったいいかな
るものなのであろうか︒ここでは︑エーレンツヴアイクの言共によりながら︑彼の見解を検討することにLたい︒
ところで︑当のエーレンツヴァイクによれば︑﹁データ﹂という用語を川いて︑外阿の法規が準拠法以外の‖的で
参照される場合を明らかにしたのは︑カリーであるとされているゥ いうまでもなく︑カリー・は︑市名な﹁統治利益
分折 ︵gOくernヨeコtanterest aコa−ysis︶﹂ の珊論の提岨者として知られるが︑外国法の機能について次のように述
べている=すなわち︑﹁いかなる目的のためにわれわれは他州法を参照するのであろうかりわれわれは︑多様な異な
る目的のためにそれを行う︒そのうちのあるものは法の抵触と無関係であり︑そしてまたあるものは抵触法の小心
問題とは何らの関係もない︒そのような中心問題とは︑二つまたはそれ以上の州の利益が潜在的に関連する場∧‖に︑
適切な裁判規範 ︵ru︼eOfde︹isiOコ︶ を発見することである︒しかし︑われわれは︑しばしば︑裁判規範を発見する
ためにではなく︑まったく別な目的のために外国法を参照することがある﹂︑㌣このように︑カリⅠは︑外固法を
参照することの意味を分析した上で︑﹁裁判規範﹂を提供する法として︑つまり準拠法︵applicab︼e︼aw︶として外
国法が適用される場人‖と︑法廷地の裁判規範に関連する﹁データ﹂を提供するにすぎない場合とを区別している︒
それでは︑外国法がそのような﹁データ﹂として参照される場合とは︑具体的にはどのような場合であろうか︒
カリ一によれば︑これには︑法選択規則︵︹hOice占fJawrtユes︶が適用される場人Llと︑それがまったく利川されない
場合とがあるとされる︒すなわち︑法選択規則とは無関係に外国法が参照される場合1とは︑たとえば法廷地の相続 川.∴
423 川際私法におけるデータ埋.論について
法が相互主義をとる場合である︒つまり︑法廷地の相続法が︑外国人による土地の相続を許可する前提として︑相
続人である当該外国人の本国法がアメリカ人に対Lても自国内の不動産相続を許すことを要求している場合︑相続
人の本国法は︑裁判規範である法廷地の利続法を適用するために必要なデータとして参照される︒また︑道路交通
規則や日曜日の営業取引を禁止する規則は︑行為規範 ︵ru−eOfcOコduct︶ であって︑それらの規則を制定している
州の領域内での行為に対してのみ適用される∩ したがって︑たとえ法廷地法が裁判規範とされる場合にも︑法廷地
の領域外で行われた行為に対しては︑法廷地の行為規範は適用されず︑当該行為他の行為規範がそれに代わること
になる︒このように︑これらの場合には︑外国法は︑法選択規則を介することなく︑法廷地の裁判規範にとって雇
要なデータとLて参照されるのであるり
一方︑カリーは︑法選択規則も︑裁判規範を選択するためにではなく︑法廷地法上の裁判規範の適用に必要なデ
ータを提供するという二次的な口的に用いられる場人口があるとする︒そのような場合の例として︑カリーは︑次の
ような労働者災害補償の事例を挙げている︒すなわち︑ニューヨーク州の企業によって雇用された労働者が同州内
で発生した労働事故によって死亡したという事例で︑長年同州内で夫婦とLて生活してきたその妻が労働者災害補
償の請求をした場人口︑裁判規範を提供するのはいうまでもなく法廷地であるニューヨーク州の法律である︒しかし︑
この ﹁夫舶﹂がいずれもイタリア人であり︑イタリアにおいて宗教上の儀式を挙げ︑その後夫婦として生活Lてき
たという場Aには︑ニューヨーク州の労働者災害補償法が規定する死亡した労働省の ﹁寡婦﹂ の賀件に関連して︑
その婚姻の有効性が問題となる︒カリ1によれば︑ここにおいて︑﹁ニューヨーク州法の解釈の過程は︑婚姻の有効
性を﹃支配﹄する法として−−婚姻挙行地であり︑その当時における当事者の住所地である ー イタリア法を指
定する ﹃法選択規則﹄ が介人することによって中断される﹂り しかし︑この場合にも︑﹁イタリア法は裁判規範を提
供するものではない︒なぜならば︑ニューヨーク州の労働者災害補償法の下でニューヨーク州の雇用者から補償を
川.∵
l対 日こ(d5 = 424
川二川
受けるニューヨーク州住民の権利の問題に関するイタリア法は存んしないからである﹂︒したがって︑たとえイタリ
ア法によれば当該婚姻が無効と判断されるとしても︑それはせいぜいイタリア裁判所がその婚姻を有効なものとし
て承認しないことをわれわれに知らせるにすぎないとされるのである︒
このように︑カリーは︑外国法が参照される場合の中には︑われわれが一般に準拠法として外国法が適用される
場A‖と観念するものIカリーがいうところの裁判規範として適用される場合 − と︑法廷地法を適用するため
の要件や判断資料として参照される場A‖とがあることを明らかにし︑後者の場合における外国法を﹁データ﹂ と呼
ぶことによって︑両者の柵違を別確にしようと試みている︒もっとも︑カリーは︑﹁データ﹂として外国法を参照す
る場合を彼の統治利益分析論のいわば射程外の問題として扱っており︑﹁データ﹂とされる外国法規の権難および内
容やその参照の方法についてもんに述べた以上の分析を行ってはいな丹∵紫するに︑カリーは︑彼の統治利益分析
論の正当件を補強する論拠としてんのような区別を明らかにしているが︑それを越えて︑﹁データ﹂として外国法を
参照することに積極的な意味を与えるまでには至っていないように思われる︒
二 右のようなカリ1の妃解に対して︑とりわけ﹁データ﹂としての法規の参照という方法に横擁的な意味を与
えようとしたのが︑エーレンツヴァイクであるり 彼はまず︑カリーの理論について次のように述べる︒すなわち︑
﹁カリーは︑抵触法の ﹃理論﹄ に関わりな︿︑外国の法規の下で取り扱われるべき一定の問題についての新しい用
語をアメリカの用語法の小に取り人れたといわねばならない︒彼は ︑そのために︑外国の法規が単なる ﹃データ﹄
として適用される場合を︑法の選択によって外国の裁判規範を必要とする場合と対照させている︒しかし︑この新
しい用語は︑法律関係性質決定や反致という用語のように︑さらにホいヨーロッパの学問と経験を知った卜でそれ
が提案されていたならば︑きっと役に立ったであろう﹂︑む
このようにエーレンツヴアイクは︑﹁データ﹂としての法規の参照という方法を積極的に評価し︑それに基づ︿独
425 国際私法におけるデー一夕押.…釦二ついて
自の理論を展開している︒彼の理論の第一の特色は︑カリーが明らかにした﹁データ﹂としての外国法規に加えて︑
﹁道徳的データ︵mOra−data︶﹂という概念を新たに導入したことである︒すなわち︑エーレンツヴァイクは次のよ
うに述べる︒﹁外国的要素の存在にもかかわらず︑一般に何らの議論もなく︑法廷地法がまった︿日動的に適用され
ている潜在的に非常に大きな別の一群の事例が存在している︺ これらの事例では︑その置き換え︑もっともそのよ
うなことはめったにないことではあるけれども︑それが争点となりうる内国規定は︑止義あるいは衡平という言葉
によって表現されている︒わたしは︑これらの事例を︑地域的データニOCa︼data︶と同じように︑定義上は外国法
︑ に︑エーレンツヴァイク に服する ﹃道徳的﹄ データに関するものとして分離することを提案する﹂と=このよう
は︑外国的要素に基づいて外国法が適川されるべき場合であっても︑公平や止義の観念が問題となるときは︑裁判
所は常に法廷地法の基准によってきたとして︑そのような場合における法廷地法の基準を﹁道徳的データ﹂と呼び︑
通常の法適用の場人‖とは区別すべきことを提唱しているり たとえば︑エーレンツヴァイクは︑道徳的データの例と
して次のような事例を挙げている︒﹁外国会社の証券の売却についての外国契約を仮定する︒そして︑その契約の特
定履行訴訟において︑原県じは︑第三国で私信を秘密に抜き取ることによって不適切に証拠を得ており︑汚れた手︵unclean
haコds︶で衡平を求めるものであると叫し立てられたとする︒契約地法であれ︑会社設五地法であれ∵不法行為地法
であれ︑裁判所が︑自国法以外の法に基づいてそのような抗弁を許すことが考︑そられるであろうか︒裁判所は︑股
此=が ﹃問題となっている争点について公正かつ詐欺︵fraudOrdeceit︶ によることなく行為した﹄かどうか︑ある
いは裁判所は ﹃不公止や悲意によって汚れた者に対Lては衡平法裁判所の扉を閉ぎすというH律的な命令﹄を適用
すべきかどうかについて︑常に自らの見解を過用するであろう﹂︑と︒さらにまた︑次のような例も挙げられてい
る︒オーストリア裁判所がスイス法を準拠法とする契約について判断Lなければならない場合︑スイス比法には問
題となる争点に関する規定が欠けており︑また先例もないとする︒ スイス民法一条二項によれば︑そのような場合︑
川二丘
l試】Jニ(45 1)426
川
17
−1.
15
川二Lハ
裁判官は﹂斗法者の役割において新しい規定を創造しなければならないが︑オストリアの裁判甘にスイスの裁判官
の道徳的判断を要求する二とがまじめに主張できるであろうか︑と=エレンツヴアイクによれば︑このようなク
ー ︑ノ∴ンズ ︵c−eaコhands︶ の原則や禁反言などの衡平法上の抗弁︑﹁信義誠実﹂ の原則︑﹁並‖艮なる風俗﹂ のよ
うな価仙判断の補充が必要な概念に関して︑各国の裁判所は従来から卓国の基準に従ごしおり︑それは裁判官の心
理として当然のことであるとされるのである︒
他力︑データ理論のもう一つの柑とされる﹁地域的データニOCa−data︶﹂については︑エー レンツケァイクは︑
カリーの ﹁データ﹂概念をはばそのまま受け継いでいる︒ すなわち︑前述したニューヨーク州の労働者災書補償法
の通用に関連して参照されるイタリアの婚姻法をはじめとして︑相互の保証を要件とする別紙法に閲連して参照さ
れる相続人の本国法︑動車事故における事故地の交通規則︑履行不能に関連して参照される外国の通商禁止法規
︑ などエーレンツヴァイクによっても︑いずれも地域的データの例とされているりエーレンツヴ7イクの第二の特
色は︑先にカリ一について彼が論評した言葉にもあるように︑ヨーロッパの国際私法理論との関係でこれらの問題
を考察していることである︒すな.わち︑エーレンツヴ7イクは︑ヨーUツパの学者も︑法廷地の砥触規則によって
直接に指定される外国規定を︑内国規定の適用要件を構成する外国規定あるいは﹁事実﹂ として現れる外国規定と
並置することによって難似の区別を行っていると指摘した上で︑とくにヨーロッパ国際私法における﹁先決問題﹂
との類似件に.三﹇及しているり いわく︑裁判規範とデータとの区別をする場合︑われわれは︑次のことを心に留めて
おかなければならないり すなわち︑そのような区別は︑絶対的に確定的なものではな︿︑学問的な議論上人気のあ
るあの問題︑つまりヨーロッパ理論の先決問題について提案された様々な解決と同様に︑その道き換えが求められ
ている内国規定の表現とその解釈の﹁相対的な﹂結果だということである︑と︒このようにエーレンツヴ7イクは︑
裁判規範とデタとの区別はあくまでも朴対的なものであり︑結局それが内国実質法規の解釈に依存しているとい
427 国際私法におけるデータ理論について
︿22 う点で︑ヨーロッパの国際私法理論における先決問題の議論に相通じる面があると理解しているのであるっ
このように︑エーレンツヴァイクのデータ理論は︑﹁地域的データ﹂と﹁道徳的データ﹂という︑その性質も︑そ
の内客および適用の根拠も異なる二つのデータから構成されている︒両者に共通する点は︑データとされる法規が︑
6
24
リ」
その性質上︑特別な理論的根拠によることなく︑いわば﹁自動的に︵a亡tOヨatica喜﹂適用されるという点であか︒
この意味で︑エーレンツヴァイクは︑データという用語を︑概念的な分析のためにではなく︑主とLてアメリカの
判例を通しての事実的な観察の結果を表すために用いている︒それでは︑これらのデータは︑エーレンツヴァイク
の国際私法理論の巾で︑どのように位置づけられているのであろうか︒
エーレンツヴァイクは︑渉外的な法律関係の中で︑抵触法⊥の問題が生じない場人‖を﹁非選択︵コOn・ChOi︹e︶﹂ の
事例とLて︑抵触法理論の適用対象から除外をする︒彼は︑抵触法理論の適用対象を︑条約や制定法︑定式化され
た︑あるいはまだ定式化されてはいないが真正の判例法上の規則および事実的解釈といったすでに確立されたルー
ルによってカバーされていない状況に限定しているが︑右に述べた意味において︑﹁非選択の事例﹂はこれをさらに
2 制限するものということができる︒ところで︑データとLて適用される外国法規あるいは法廷地法は︑先にみたよ
うに︑法廷地の実質法規の構成要件的要素とLて︵地域的データの場合︶︑あるいは正義や公平といった実質規定上
の可般条項における価値概念を充足するために︵道徳的データの場合︶︑いわば自動的に適用されるのであり︑その
意味で法選択ということは問題とならない︒すなわち︑エーレンツヴァイクによれば︑データとしての法の適用は︑
その性質上自明であり︑法選択理論の対象外の問題︑つまり﹁非選択の事例﹂に該当するとされるのである︒Lた
がって︑法選択の場合を対象とする彼の法廷地法主義理論も︑データの問題についてはそもそも適用されないこと
になる︒ 1 三 以上のことから︑エーレンツヴァイクのデータ理論は︑大略︑次のように要約することができるであろトγ︒
四二L
同 法(45 1J428
円二八
① 法廷地法が裁判規範として適用される場合であっても︑その実賀規定の構成費什に関連して︑特定の外国法
規が ﹁地域的データ﹂ として参照される場合があるh その場人目︑外国法規が裁判規範として過川されるか ︵この場
合には︑いわゆる先決問題の事例となるものと思われる︶︑あるいはデータとして参照されるか︑また︑いかなる同
の外凶法規が適用されるかは︑いずれも当該実質規定の内容およびその解釈によることになるL
② これに対して︑外国法が裁判規範として適用される場合であっても︑実質規定上の一般条項における正義や
公平といった価値判断にかかわる問題については︑﹁道徳的データ﹂として法廷地法が常に適用されるじ その場八じの
根拠は︑裁判仔の行動に関する心理学的分析である‖
③ さらに︑このようなデータとしての外国法規あるいは法妊地法の適用は︑﹁非選択﹂の場人口に該叫する︒した
がって︑法選択の場合を対象とする抵触法上の理論はこの場合には適用されないい
︵1︶ EJa︶∃e一Aus−賢dische Renhtsrege−コuコd↓athestaコd iコー賢d訂cher S冥hコOrヨeコーBetrachtuコ笥コ2亡EhreコZWeigs
Datuヨ.↓he雪je−一首⁚Ged賢htnisschrきf箸とbert EhrenNノ蒜ig﹂蛮声S.窒.
︵2ノ データ理論について論じたエーレンツヴァイクの主要な文献としては︑次のものがあるりA.A.EhreコZ一言ig.L〇︹a一aコdPlOra−
DataiコtheCOコfニctOfraws‖TerraIコCOgコ叫ta一B亡ffa−OLaノ′1Review一ノ10−﹂中一莞皐p.いい∵d.︼Priノ蛮e−コterコati〇コa−Law一
Geコeral Par︻﹂浣↓一p.ヨこd.一﹁UCa︼al乙Pどra−Da︹aiコthcCOコf−ictOf raws∵n⁚T−一reeコ山scSSi〇コS〇ntheC︵︶nf−ictCf
LaノくS﹂笥P p.㌫∵d.−︹喜fctsぎa Nutsheニーurd.ed二−警ヰ﹇P﹂︼﹂Q︺.
︵3︶ EhreコNWeig¶﹁OCa︼aコd M雪a︼Data iコthe C喜f−i︹t Uf Laws⁚↓erra lコC品コitⅣ︵s⊂Prひコ.付︶一p.いu⁚id二耳iく竺乃
−コternatiOコa−Law︵s亡pra n.N︶−p.00u.
︵4︶ カリーの統治利益分析の理論については︑丸岡松雄﹁カリーの政府利益の理論 ︵ 〜︵ム︶﹂岡山大学法学会雑誌二三巻一
=T皐︑∵サ∵賢.二・門l一っ.九二見︑∴川巻一‖ケ÷÷貝︑∴サ∴督 ︵∵几七三年〜七卯年∵ 砂川恋仲﹁アメリカ舵触はにおけ
る利益分析論−−カリーの基礎理論を小心として ー ﹂同際法外交雑汗仙八︼巻ム‖ケ一打︵ ﹁一九八∵年︶ などが詳しいり
︵5︶ B.C亡rrie▼Se−entedEssays呂︵heC〇コfニctOfLaws﹂宗ぃも.宗.
429[E=祭私法におけるデ【タ理論について
︵6︺ Currie一Supraコ.㌢p.芦たとえば︑当時のカリフォル二7州道蹟管埋法︵PrCbateC〇de︶二五九条は︑非居住者である外
国人の州紘について︑そのような舶互主義をとっていた︒
︵7︶ Curコel Supraコ.ぃもp.霊悪.
︵8︶ Currieこupraコ.いーp.琴
︵9︶ CurrielSupraコ.いこ︺p.さコ.さらに︑カリーは︑ニューヨク州裁判所は︑本せのような情報をFにして︑原批=かニューヨ
ーク州はの意味における﹁喜郎﹂ であるか√=かを引き紘き決定することになるが︑ニュヨーク州払の正しい解釈に従い︑¶
該男女が誠実に大姉の関係を維持していたとすれば二寡婦﹂の用語は原告を含むとされるかもしれない︑と述べている︒id.も.
ご.したが⁚ノて︑カリ一においては︑イタリア法における当該嫡血の有効件は︑あくまでも原拙=がニL−ヨーク州法卜の﹁妾机L
に該1・1するかハかの判断査料と考えーりれており︑わが国やヨーロッパ国際私法における先決問題︵/へ︑Cr昔age︶﹂とい∵たよう
なそえ万はされていないJ
﹁川︺ ヵリーは︑両君が区別されるべきことを次のように強調Lていたが︑少なくとL品﹂血の議論にわいては︑彼の統治利益分析
論の対象を裁判規範の発見の嫁入‖に限定していた=いJlく︑﹁その区別は︑定ぺ化することが雉Lく︑また通川する二とL㈹撫
であるが︑それは本哲雨であり重要であるり 法の低触は︑われわれが実践しているように︑ま﹁たく種々の的のために外用
はを参照することに関係するり われわれがそれらを区別することを怠れば︑少なからぬ程度︑厄 介な問題をもたらすことにな
るその区別かより容易に過川され得るためには︑それが明仰にされ︑より適切に述べられることが必懲である′ そして︑わ
れわれは︑裁判規範を党兄するということ以外の‖的で外同法か参照される場人についても﹁とよく知ることが必粟である=
LかL︑さし叫たり︑わたしは︑すべての祇触のホ案を ︵上 外国法を参照する的が裁判規範を発見するためであるという ‖ う=と て︑以卜にわける議論は︑ 場人‖と ︵2⁚それを参照することがその他の的であるとい場人に分矧する二とにする そし
前者の場ム‖に巌密に眼定される﹂︑と′ currieふupraコ.㌢p﹂声なお︑ケィは︑トレイナ一瓶川ハの川決を引川しっつ︑外国
法か裁判規範のために参照される場合でなくても︑カリーのアプローチが必要とする法廷他の政策と利益S注意深い分析は有
益であるとして︑﹁データしとして外国法が参照される場人=についても利益分析の方正あ石川性を説いている㌧HIH一アa︶∵C〇コ芸ct
CfLaノ誘⁚FOrei讐LawasDatumlCa︼ifCrniaLawReまっW﹀く○︼.黒r巳嵩中pp一いぃ若.
︵‖︶ ヵリーが﹁データ﹂として外川法が参照される場人‖を明んかにLた論史においてむ︑︑主要なテーマとされたのは︑利ヤ⁚関係
のある当事者が時宜を得た適切なん拭で外国法の適用を主張∴凡証しない限り︑裁判所は法廷地はによって裁判することがF ︒ 続的正義にかなうとい∴ノ⊥﹂とを論証することであ﹁たこの点については︑丸岡工別掲﹁カリーの政府利益の理論 ︹∵﹂岡山
入学法学会雑誌∴二一巻∵サ三頁注 ︵6︺ を孝雄1日 したがって︑カリーは︑いわばその傍論として︑外国法が裁判規範以外の
用二九
聞iム(451)430
四二O
Fl的で参照される場人‖には︑この原則か必ずしも¶てはまらない旨を述べるにとどまっている︵ Currie︸St壱raコ.u.p.謡.
⁚12︶ Eh﹁竺NW︹ig一LO︹a−aコdMOra−Da︷aiコ︷heCOコf−ictOしawsJn⁚↓hreeDis︹uSS山OnS︵s亡praコ.N︶も.缶一
ハ13︶ EhreコN/扁i準﹁宍a−andP冒ra−Datain︵heCOコf−i︹tOfLawsこn⁚↓hreeDis︹uSSiOnS︵s亡praコ.N︶一p.芦なお︑エーレン
ツヴアイクは︑外国的要素があるにもかかわ左ず︑抵触法によることなく法廷地法か直ちに通用される場︵‖とLて︑他に強行
法規と一統法規の場令を挙げているい See∵d.Priva︻eln︹ernatiOコa−﹁a/二supran一N︶もp.謡・↓↓一
︵14︶ EhreコZWeig−﹁宍a一aコd MOra−Data iコ︻heCOコ≡ct〇︻Laws一iコ⁚Three Dhs︹uSSi毒S︵supra戸いじp.芦
︵15﹂ EhreコN′くe軒﹁宍a−andMOra︼Da︵ain︵heCOn≡ctO嶋Laws∵コ⁚↓hreeD許ussiOnS︵supran.N︶一pP.u干巴こd.﹀Priノ1巴e
Iコ︵emati〇na一Law︵supraコ.N︶︐Pp∴送⊥芸一
︵16︶ エーレンツヴアイクは︑道徳的データの例として︑本文に述べたものの他にも︑禁反言や法人桁▲小=認のは埋などの抗弁や︑
不法行わにおける﹁過失﹂の基準︑﹁海冒の通常の慣行﹂や﹁適度の速度﹂といった海は上の倫理的基準など︑正義や公平︑あ
るいは風俗や旧習・慣行に関連する多様な規嘉を挙げているJ Ehreコヨ完ig.L宍a−andP冒ra−Dataiコ︵heCOnf−ic︵OfLaws一
iコ⁚ThreeDis︹⊂SSiC−︼S︵supraコ.N一.pp﹂?いー‖id.一Pr才ate−コterコa︷i〇naしaw︵supran.N︶一PP.詔∞−⁚峯−C〇nfli︹︻s︵s亡pra
コ.N︶一pp.苫⊥完.
︵17︶ このように︑道徳的データが≠に法廷地はによるとする︑十張は︑裁判所の実際の行動の観察と裁判宮の判断の心理†的な分
析に基礎を帯いているド∴/エイムは︑このような見解の昔後には︑心理学の知識が祇触は理論に⊥ りてもせけ人れられなけれ
ばならないLlいうエーレンツげ∴′イクの信念が什存するとLている㌧Ja︸岳e﹀a一a.〇.︵Aコヨ.ご︼S.山箪
︵川︶ ノ︑g−.−H.﹂こHess訂r−Sa︹︸︼﹁e︹l己訂heGeコera︼k︼ausel und山コternatぎコa石s Faヨニ山3reCht﹂重器一S﹂巴叶一
︵19︶ EhreコNWeig.LO︹a−賀dP︼Ora︼DataiコtheCOコfH︹tOfLawⅥ﹂コ⁚↓hr諸D山s︹亡乱〇コS︵苫praコ.N︶▼Pp.缶上ごid.一Priノ1a︵e
lコ︷erコatiOコal Law︵supraコ■N︶一pp.∞い監.
︵20︶ EhreコNノ扁ig↓﹁○︹a−aコd7言ra−Da︵a iコ︵he COnf−i︹︵Of La竜S∵コ⁚Three Disc亡SSiロコS︵s⊂pra n.N︶一p⊥ごid二Priva︵e
lコ︵ernat訂na−Law︵supraコ.N︶一p.芝.
︹21︶ EhreコZWeigu LO︹a−and M〇ra−DatP i−ニhe C告f−i︹︷〇f Laws⁚↓erra−コC〇gnita︵stlpraコ.N︶一P.い00・いじ⁚id.一Pri/1巴e
lコ︵e﹁コa︻iOn巴Law︵supraコ.N︶も.∞㌢
﹁22︺ エーレンツヴァイクは︑先決問恕に関するヨーロッパの経験が︑常に法祉地の兢触規則によるとか︑あるいは本問題の唯拠
法所属国の抵触規則によるというようむ二般的な準則に基づ︿解決が妥当でない二とを明Lりかにトているとトて︑先決問題に
ついても法基地の実蟹法規の解釈に依存せしめている︒そして︑前述のカリ1の設側に関して︑ニューヨ〜ク州の補侶法が輔
431「鼎祭私扶におけるデー=一夕理論について
姻挙行地法の†で有効に婚姻Lているすべての女件のために規定されていると解釈されるならば︑答えるべき先決問題は存在
せず︑その法がデータとして適用されることになろう︑とLている︒EhreコNWeig一LO︹a−al乙MOra︼DataiコtheCOnf︼ictCf
Laws=TerraIコ︹Ogコita︵s亡praコ.N︶一P.いゃなお︑先決問題に関するエーレンツヴァイクの見解については︑丸岡松雄﹁ユー
レンツヴァイクの法廷地法︑土義理論︵二︶︑二二︶﹂岡山大学法経学会雑誌⁚八巻∵サ一〇三−一〇閃頁︑二号一閃七頁︵↓九∴
九年︶ 参照り
︵ハニ EhreコZWeig﹀﹁買a︼aコdP冒ra︼DataintheCOココi︹tOfraws⁚Terraln︹Ogコita︵s亡praコ.N︶も.ひの.
︵24︶ EhreコZWeig▼LO︹a︼andMOra−DataiコtheCOnf︹tOへLaws∵コ=ThreeDis︹uSSi〇コS︵s毛raコ一N︶も.芦ジュイムも︑エ
ーレ︑/ツヴァイクの理論を発札的原理 ︵he亡ristischePrinzip訂コ︶ と呼んでいるりJa︶∃eも.a.〇.︵Anm﹂︶一S﹂︼.また︑エー
レンツヴアイクが判例の観察を重視Lていることについては︑丸l岡∵別掲 ﹁エーレ︑/ツヴ7イクの法廷地紋︑一十兼坪論 ︵一ニ
八巻三=.プ▲ハ一九一穴∴八頁参照︒
︵25し EhreコZWeiglPr;ateIコternatil︺コa−Law︵supran.N︶も.諾∵d.一C昌fH︹tS︵supraコ.N︶一Pp.誤⊥完こd.一Spe︹ificPriコ︹ip−es
Cf Pri昌teTraコSコatiCコa−﹁aw¶Ret︼︹uei︼desCO亡﹁S∵岩垂†ll﹀pp﹂慧⊥蓋㍍○干N≡.
︵邦ニ ューレンツヴァイクは︑次のように述べている∩ データという用語は︑地域的データを法廷地法または外匝l法に︑迫穂的デ
ータを法廷地法に割り振る二とによって︑抵触法理論の適用範囲をさ・りに限定することを企図Lているり その場合︑この用語
によって狭められるのは︑批触法ではなく︑抵触法理論であるり さらに先取リLていえば︑純情利益も︑優先の原作︑抵触法
的正義︑争点の個別化︑あるいはプロパー・ロウむ︑地域的データとしての法廷地決または外国法の漣択︑あるいは道徳的デ
ータとLてのは延地法の選択に何ら影響を及ばさないであろう︑と︒EhreコNWeig−L宍a−andPどra−DataintheCOコf−i︹tOf
Laws∵コ⁚ThreeDis︹亡SSiOコS︵s亡praコ.N︶も.∞N.なお︑エーレンツヴ7イクが抵触法理論の適川対象を限定していたことにつ
いては︑丸岡∴別掲﹁エーレンツヴアイクの法廷地は主義群論︵﹂岡山大学法鋒学会雑誌一七巻四号囲八h頁︵一九六八年︶
参照
︵27︶ EhreコZWeiglPriくatelnterコatiOna︼﹁aw︵supraコ.N︶も.宗こd二COnf−icts︵s亡praコ.N︶もp一読⊥声また︑ジュイムも︑次
のように述べている︒エーレンツヴァイクのデータ理論を単純な公式に表すとすれば︑それは次ふ∵﹂とを意味Lているじ すな
わち︑ある規i疋の越川は ー それが内国のものであれ外国のものであれ−−∴叩ら理論的な考慮を必要とLない=それゝhの過
用可能惟は︑いわばそれ・h∴身から∩明であるり つまり︑抵触法は︑﹁裁判規範﹂を扱うだけである︑と︒Jay2eも.a.〇﹂Anm.
こ1S.謡.
︵埜⁚ノエイムは︑エーレンツヴアイクの紙触法理論におけるデータ理論の位窟づけを︑次の七段階の原則にまとめている︒Ja︸貞e﹀
川二二
岡 法(451)432
川 エーレンツヴァイクのデータ理論の継受
一エーレンツヴァイクのデータ理論は︑その後︑アメリカにおいてはほとんど言及されることがないにもかか
わらず︑ドイツでは∴疋の支持者を見いだし︑さらに様々な法分野において展開をみせるまでに至っている︒とこ
ろで︑彼のデータ群論がドイツにおいてこのような広がりをもって論じられるようになった︑干たる理由としては︑
次のような点が考︑そゎれる︒
第一に︑エーレンツヴアイクも指摘していたように︑ヨーロッパの学説・判例においても︑渉外的法律関係の規 ‖﹁二.一 U.
a.a.〇﹂Aコ一声∴声S.亡f.すなわち︑
① ﹁道徳的データL か問堪となる場∧には︑準拠法の決声▲札は何ら必要ではない︒それは法廷地漬の問題だからである1
② 外囲の ﹁地域的データ﹂ は内田実督規定の範囲内で考慮することができる︒そのために︑その内国別定か外囲法に伴えら
れることはない=
③ 次に︑まず椰立した批触規定か存在しているか▲木=かが確認されなければならないそのような抵触規定は︑仁張されるだけ
では仁分でむく︑﹁現わ規ハ疋 ﹁名erati扁ru︼e︶.であることが市嬰であるり
④ そのような批触胤ハ疋が存在しない場人には︑﹁末パル戊の規則 ︵incllOat几r已e︶﹂︑すなわら判例の結論の怯健にな二しいる
が︑まだ完仝には整理されていない未完成の規則が探求されなければならない
⑤ そのような規則も欠けている場合には︑法廷他の実質規ハ疋の法‖的がを照されるり 内周美督規定の解釈は︑内国法の通用
にも外国法の池川にも通じうるり
⑥ そのような朋杏によっても︑鹿川されるべき尖督規定に圭らない揚人=には︑は廷地法か過川される︑
⑦=堰後に︑管轄裁判前が﹁硬≠な扶底地 ︵㌻ru∃C〇n完コieコS二 であるかH=かは︑常に吟味されなければならない
三 ドイツにおけるデータ理論の展開
433 日際私法におけるデーータ_叩.論について
梓にあたって︑準拠法所属国以外の外国の法規を考慮する二とがすでに以前から認められてきたということであるし
たとえば︑ドイツの通説・判例によれば︑不法行為の領域における不法行為地法︑t義の緩和に伴い︑有為地法以外
の法秩序が不法行為準拠法とされる場合であっても︑行為地の安全法規および行為規範 ︵Sicherheits・uコd
くerha−teコSnOrヨen︶は︑叫事者の行動の法的な評佃に関連Lて考慮されると解されてきたじ また︑国際契約の分野
においても︑契約準拠法所属国以外の第三国の通商規制法規が︑準拠実質法上の履行不能や公け良俗違反の前提と
して︑各国の裁判所によって考慮されてきたことはすでによ︿知られているところである︒データ坪論は︑もとも
と︑このような現象を合理的に説明するH つの理論として︑ヨーロッパの国際私法理論の小に導人されたものとみ
ることができる=
第∴に挙げられるべきは︑このようなデータ理論が︑エーレンツヴァイクの法廷地法︑‡義理論からは二ル切り離
して考察することが可能であったという点であるり すでに述べたように︑エーレンツヴアイクは︑﹁データ﹂の問題
を抵触法理論の対象外の問題としており︑したがって︑彼の法廷地法主義理諭もデータの問題には適用されないと
していた︒そのために︑伝統的な国際私法理論の立場からは受容することが困難な彼の法廷地法主義理論も︑デー
タ理論を導入する障宣=とはならなかったのである︒
さらに節二の点として︑ドイツにおけるデータ理論の普及に関しては︑ジュイムの貢献を兄逃すことができない
であろうリ ブユターが︑データ理論は︑エーレンツヴァイクがアメリカ法について行った考察に引き続いて︑ジュ
イムがそれをさらに展開し︑ドイツの法理論の小に導入したものであると述べているように︑エーレンツヴァイク
竺丁−タ理論は︑ジュイムの紹介を通じて︑ヨーロッパの研究者の注‖を集めることになったことはポ=定できない‖
さらにまた︑近時︑様々な分野でデータ理論の導入を試みている若手の研究者の多くが︑直接または間接にジュイ
ムの指導を受けていることからみても︑ドイツにおけるデータ理論の展開に関して︑ジュイムはきわめて大きな役
付.∴
岡 法(45 lJ434
ほ テ一夕現論の展開
二 国際不法行為法
不法行為の分野において︑外国法を﹁データ﹂ として考慮すべきことを量も詳細に説いているのがシュトルであ
る︒シュトルは︑まず第一に︑行動地︵Hand−ungsOrt︶において妥当している行為規範の考慮について︑次のよう
に述べる︒すなわち︑渉外的な不法行為事件において︑不法行為責任の基準および責任の効果を決定するのは不法
行為準拠法である︒不法行為準拠法として指定された法秩序が︑行為規範または﹁保護法規︵SchutNgeSetNen︶﹂の
違反 ︵BGB八二三条二項︶ を不法行為の饗什としている場合︑その行為規範および保護法規はその凹のそれを意
味している︒しかし︑▲不法行為法上判断されるべき行為が別の回で行われた場合には⁚不法行為準拠法の責任規定
が本来子宝していない事実関係︑すなわち外国における事実関係にその規定を転用することが必要となる︒その場
ム︑一方で︑不法行為準拠法の音任規定の意義および目的に合致する限り︑行動地で妥当している行為規範または
保護法規が内国のそれに代わらなければならない︒他方︑内国の行為規範も︑それが外国における事実関係に適合
する場A‖には︑外国の行動地におけるその遵守を要求することができるじ この点においても︑およそ問題となるの
は不法行為準拠法の責任規定の合目的的な解釈である︒外国の行為規範は︑﹁適用﹂されるのではなく︑この責任規
定の枠内で考慮されるのである︑と︒こうして︑シュトルは︑その解釈をドイツ法の場合に当てはめている︒すな 近時有力に主張されている三つの分野− その展開の様子を概観することにしたい 川∵川
剤を果たしているとみることができるu
それでは︑データ理論は︑ドイツにおいてどのような展開を遂げているのであろうか︒以下では︑データ理論が
不法行為法︑契約法︑家族法 について︑とくに学説を中心として︑
435 しEI際私法におけるデータ理論について
わち︑ドイツ民法二七六条一項後段は︑一般に︑交通に必要な注意を払う義務を課しているが︑行為者は︑他の交
通関与者がその地域の事情に従って遵守されていると信頼することが許される︑すべての行為規範を遵守している
場合にのみ︑その地域においてこの義務を果たしているといえる︒したがって︑たとえば︑道路のどちら側を通行
すべきかという規則や交通標識に関する規則のように︑交通関与者のその場における相互反応をコントロールする
交通法規については︑信板保護の観点からも︑それらの法規が考慮される必要がある︒これに対して︑ヘルメット
の着用義務やシートベルトの装弟義務に関する規定は︑他の交通関与者の保護を臼的としているわけではないから︑
1 黄佳の根拠としては当然には考慮されない︑と︒
次に︑シュトルは︑不法行為における先決問題の処理に関して次のように述べる︒ドイツにおける通説的見解に
よれば︑たとえば︑監督義務者の責任 ︵BGB八二二条︶ の場合における監督義務の#釆‖や扶養義務者が死亡した
場合に認められる扶養権利者の加害者に対する賠償請求権 ︵同八四四条二項︶ の前提となる扶養義務の存否のよう
な︑不法行為準拠法上生じる﹁先決問題﹂ については︑不法行為準拠法によるのではなく︑法廷地国際私法によっ
て指定されるそれぞれの問題の準拠法 − たとえば︑監督義務の準拠法および扶養義務の準拠法 −が適用され
るり しかし︑そのような先決問題の抵触法的処埋が適切であるか︑それは最初から視野を狭iすることにならない
かは疑問である︒むしろ︑不法行為実質規定と関連する法概念の意義は︑渉外的事実関係の場合にも︑その実質規
定のそれぞれの目的に応じて︑実質法上独立して決定されなければならないのではなかろうかり もしもその間いが
肯定されるとすれば︑その外国法は − その法目的に従ってその法が問題となる限り −︑単に間接的に構成要作
の要素︵TatbestandsmOmeコt︶あるいは﹁データ﹂として作用するのであり︑つまり︑法として適用されるのでは
なく︑法的事実 ︵Renhtstatsache︶ として実質法上考慮されるのである︑と︒このように︑シュトルは︑不法行為
準拠法上の法律問題について︑いわゆる﹁先決問題的処理﹂によるよりも︑準拠実質法上の合理的な解釈を優先し︑
川
洞三五
聞 法(j51)436
⊂、l′
その場合に︑関連する外国法は不法行為準拠法の枠内で評価されるべき単なる法的事実であると解しているのであ
か︒
このような不法行為の構成要件に関する問題のみならず︑不法行為の効果に関連して︑データ理論の適用を︑⊥張
するのがヴアーブナーである︒ヴァーグナーは︑たとえば︑交通事故発生後に被害者が加害者の常住他国に転居し︑
そこで損害賠償の訴訟を提起したというように︑不法行為の発生後に両当事者が共通の﹁環境の法︵U︼ゴWe−trecht︶﹂
を有することになった場合について︑損害調整︵SchadeコSregu−ieruコg︶の単純化を達成し⁚不法行為法の損害回復
機能に応えるという理由かゝ㌧不法行わ準拠法を分割し︑不法行為童任の要件は事故当時の不法行為地法によるが︑
責任の効果は‖頭弁論終結時の叫事者の共通環境の法に従って判断されるとの宣揚を主張していかり この場合︑ヴ
ァーグナ1は︑伝統的国際私法理論の立場から︑準拠法の分割︵d晋e芯ge︶と準拠法の変更︵StatuteコWeChseニと
いう理論構成によって︑んの土張を理由づけているか︑あわせてデータ理論り立場に基づく理論構成についても考
察を加えている〝一それによれば︑慰謝料請求の場A‖には︑その算定にあたって︑たとえばドイツ民法八川七粂のよ
うな衡平条項︵Bi≡gkeitsk−arlSe−︶−−−慰謝料について︑被害者は余銭による衡平な賠侶を請求できるーーーが関越
となるり これは︑エーレンツヴァイクのいう﹁道徳的データ﹂ の典刑土的な例であり︑法廷地法によって判断される
べき問題である︒したがって︑たとえば外国で交通事故が発生したという場A︑責任の紫什は外国法によるとして
も︑判決∴﹂Hい推しの時点で当事者がドイツに共通常居所を有するときは︑慰謝料請求の貨走去準はドイツの許定法
によって判断されるり一方︑現状回復請求については︑たとえば外国で毀損された物の修理をドイツで行ったとい
う場合︑その損害の算定はその修理が行われた他の基準によるべきであるから︑﹁地域的データ﹂としてドイツの損
害賠償基準が考慮されることになかウニのようにして︑ヴァーグナーは︑不法行為の効果の問題に関しても︑デー
タ理論を適用することができるとの立場を明らかにしていか︒
43了 国際忍法におけるデータ.叩.論について
三 国際契約法
近時︑国際契約に関連してデータ理論が提唱されるのは︑契約準拠法所属国以外の第三国の強行法規が問題とな
る場合である=すなわち︑B国の販売業者がA田のメーカーから商品を輸入するためにB国法を準拠法とLて売買
契約を締結したところ︑A国政肘がその商品の輸出を禁止し︑これに違反する取引を無効としたという事案におい
て︑契約の履行を求められたB国の裁判所は︑A国の輸出禁止法にどのような効力を認めるべきかが問題となる︒
このような場合の解決方法として従来から有力に主張されているのは︑次のT↓つの見解である︒一つは︑右の輸出
禁止法のように私法的な法律関係に強石的に介入する法規 ︵いわゆる介入規範︵Eingrif冴コOrヨ︶︶ は︑契約準拠法
とは利伸の基準によって独立して連結され︑適用されるとする﹁強行法規の特別連結︵SOnderaコkn昔fung︶﹂の立
場である︒これに対して︑もう一つの見解は︑これらの法規は︑契約準拠法上の履行不能または公序良俗などに関
川
川.L さらに︑不法行為法の分野におけるデータ理論の展開に関しては︑これを明文で採用したと考えられる国際条約 および若†の国内立法が存在することを指摘Lておく必要があるであろう︒たとえば︑一九七一年の道路交通事故 の準拠法に関するハーグ条約七条は︑﹁準拠法のいかんにかかわらず︑責任の決定にあたっては︑事故当時その他に おいて効力を有した交通および安全法規 ︵r昔−esdecircu︼atiOnetdes打urit和︶ が考慮されるものとする﹂と規定 している︒支配的な見解によれば︑この規定は︑事故地の交通および安全法規に対して︑単に準拠法上の構成要件 的効力 ︵↓atbestandswirkuコg一datuヨef訂ct︶ を認めたにとどまり︑規絶的効力 ︵NOrmWirkuコg︶コOrヨe︻fect︶ を認めるものではないと解されていか︒また︑生産物の市場他国の安全法規の考慮を妨げないとする︑一九七三年 の生産物責任の準拠法に関するハーグ条約九条︑および行為他における安全法規および有為規範が考慮される旨を 規定するスイス国際私法一川二条丁一項なども︑同一の思想に湛づくものと考︑そられる︒
圧
川
1声】臼さ(45 1)438
1
四三人
する規定の構成要件に該当する事実として考慮されるとする立場である︒ドイツでは︑学説上︑特別連結説が有力
に主張されているが︑判例はむしろ後者の立場をとっている︒
ルベルトである∪彼は︑ ところで︑このような第三国の強行法規に関してデータ理論の適用を主張するのがミュー
まず︑特別連結説について︑それが実質的な衡平の考慮︵Biigkeitserw霹un︶を排除するものであると批判してい
る︒すなわち︑特別連結説によれば︑外国介入規定をドイツ法と同様に法律として扱うのであるか︑h︑その法律効
果として考えられるのは︑法律の禁止違反を理由とする無効 ︵BGB一三四条︶ か原始的不能 ︵同二〇六条︶ もし
くは後発的不能︵向二七五条︶といった法律上の不能であるじ このことは︑特別連結をすると決めることによって︑
実質法のレベルにおいてもその法的な判断が†め決定されることを意味する︒つまり︑外国介入規定にドイツ法と
同等の法としての資楷を認めることによって︑裁判甘は︑法律違反あるいは履行不能の存在という問題に関して︑
もはや評価の余地をほとんど有していない︒なぜならば︑法律の規定から生じる履行不能は︑衡平の根拠からする
と当該契約当事者の関係では別の責任分担のあり方が適切ではないかといった点を顧慮することなく︑成立するか
らである︒
これに対して︑外国介入規定を内国実磐法の枠内で考慮するという判例の立場によれば︑外国介入規定は︑公序
良俗違反 ︵BGB一三八条︶ もし︿は事実上の履行不能︑さらには行為基礎の喪失 ︵同二些一条︶ を構成する事実
とLて考慮される︒ミュールベルトは︑外国規定がそのような構成要件の血における﹁地域的データ﹂として考慮
されることによって︑同時にそれは実質的な衡平の考慮に道を開くものであると︑判例の立場を積極的に評価して
いる︒いわく︑﹁裁判官は︑外国介入規定から事実上の不能が発生するかどうかという問題についてずっと白山であ
るばかりでなく︑それによって個別契約の責任分担の観点をも取り入れることが可能になる︒したがって︑彼は履
行不能を否定すべき場合であっても︑さらになお⁚⁝・行為基礎の喪失というとくに事芙に適合した制度を援用する
439 阿際私法におけるデーータ.叩論について
四 国際家族法
国際家族法の分野についても︑すでにジエイムがデータ理論の有用性について論じていたか︑近時︑この分野に
おいて詳細な研究を公表しているのがヘスラーである︒彼は︑また︑エーレンツヴアイク竺丁−タ理論を﹁国際私
法のT一段階性 ︵NweistufigkeitdesIPR︶﹂という構想によって再構成しようと試みており︑以下では彼の見解を小
心に国際家族法におけるデータ理論の展開をみることにしたい︒
ドイツでは︑近時の一連の家族法の改正によって︑たとえば養子縁組の基本的要件として﹁子の福祉﹂を要求す
る規定︵BGB一七四一条一項︶や婚姻の継続を認めることが﹁不当に苛酷︵uコNuヨutbareH腎te︶﹂な場合には所
定の別居期間を経ないでも離婚を認める規定 ︵同一五六五条二項︶ のように︑一般条項がしばしば用いられるよう
になっている︒このような一般条項は︑現代生活の多様性に対応するために実質法上必要なものであると理解され
ているが︑ヘスラーは︑渉外事件においては︑それは︑外国法にとって新たな − つまり︑抵触法上の指定とは別
の平面での − 進入‖であることが明らかとなってきたとする︒そのような例として︑ヘスラーが挙げるのが次の
ような︑︑主ンヘン区裁判所の判決であか︒
四三九 ︹ソ二 ことが可能である﹂︑と︒さらに︑フユターもまた︑このようなデータ理論の柔軟性について︑﹁データ理論の長所 は︑この方法によれば︑しばしばあまりに硬直的であると感じられ︑そして往々にして不満足な結果に至る︑外国
﹁.4 介入規定の直接通用を回避することができるという点に示されている﹂と述べていか︒
このように第三国の介入規定についてデータ理論を適用する見解は︑基本的に従来の判例の立場を支持しっつ︑
それが方法論的に確立された理論的な基礎づけもなく行われてきたという認識に立って︑データ理論にその理論的
二J 基礎を求めようとしているのであか︒