ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 1
CTD 第 2 部
2.6 非臨床試験の概要文及び概要表
2.6.4 薬物動態試験の概要文
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 2
用語及び略語一覧
ATP adenosine triphosphate アデノシン三リン酸
AUC area under the concentration-time curve 血中濃度曲線下面積
AUC(INF) area under the concentration-time curve from time zero extrapolated to infinite time 投与後た血中濃度曲線下面積0 時間から無限時間まで外挿し
BSEP bile salt export pump 胆汁酸塩輸送ポンプ
BCRP breast cancer resistance protein 乳癌耐性蛋白
BDC bile duct-cannulated 胆管カニューレ挿入
BMS Bristol-Myers Squibb ブリストル・マイヤーズ スクイブ社
BSP bromosulphothalien ブロモスルホフタレイン
CLTp total plasma clearance 総血漿クリアランス
Cmax maximum concentration 最高血中濃度
CYP cytochrome(s) P450 チトクロームP450
DCN document control number 文書管理番号
GLP Good Laboratory Practice 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準
GSH glutathione グルタチオン
HCV hepatits C virus C 型肝炎ウイルス
IC50 concentration required for 50% inhibition 50%阻害濃度
Km michaelis constant ミカエリス定数
LC-MS/MS liquid chromatography with tandem mass spectrometry 液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析 MRP multiple drug-resistance protein 多剤耐性蛋白
MRT mean residence time 平均滞留時間
NADPH β-nicotinamide adenine dinucleotide phosphate β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 NTCP sodium-taurocholate cotransporting polypeptide タウロコール酸ナトリウム共輸送体
OAT organic anion transporter 有機アニオントランスポーター
OATP organic anion transporting polypeptide 有機アニオン輸送ポリペプチド
OCT organic cation transporter 有機カチオントランスポーター
Pc permeability coefficient 透過係数
P-gp P-glycoprotein P 糖蛋白
PK pharmacokinetics 薬物動態
QC quality control 品質管理
QWBA quantitative whole-body autoradiography 定量的全身オートラジオグラフィー rOatp rat organic anion transporting polypeptide ラット有機アニオン輸送ポリペプチド
T-HALF Elimination half-life 消失半減期
Tmax time to reach maximum concentration 最高血中濃度到達時間
UGT uridine diphosphate glucuronosyl transferase ウリジン二リン酸グルクロン酸転移酵素 Vss steady-state volume of distribution 定常状態分布容積
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 3
目次
1 まとめ ... 6 2 分析法 ... 11 3 吸収 ... 13 3.1 吸収及びバイオアベイラビリティ ... 13 3.1.1 In vitro における吸収 ... 13 3.1.2 In vivo における吸収 ... 13 3.2 単回投与後の吸収 ... 14 3.2.1 マウス ... 14 3.2.2 ラット ... 14 3.2.3 イヌ ... 14 3.2.4 サル ... 15 4 分布 ... 16 5 代謝 ... 20 5.1 In vitro での代謝 ... 20 5.2 In vivo での代謝 ... 21 5.2.1 マウス ... 21 5.2.2 ラット ... 22 5.2.3 ウサギ ... 22 5.2.4 イヌ ... 23 5.2.5 サル ... 23 5.2.6 ヒト ... 24 6 排泄 ... 25 6.1 マウス ... 25 6.2 ラット ... 25 6.3 ウサギ ... 26 6.4 イヌ ... 26 6.5 サル ... 27 6.6 ヒト ... 27 7 薬物動態学的薬物相互作用 ... 29 8 考察及び結論 ... 32 9 参考文献 ... 37ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 4
表一覧
表7-1 In vitro における薬物代謝酵素及びトランスポーターの阻害剤としてのダク
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 5
図一覧
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 6 1 まとめ ダクラタスビル塩酸塩(BMS-790052)は、C 型肝炎ウイルス(HCV)の非構造蛋白 5A(NS5A) 複製複合体に対して高い選択性を有する、新規作用機序の低分子阻害薬(直接作用型抗ウイルス 薬)である。ダクラタスビルのフリー体又は塩酸塩を試験で使用したが、用量及び濃度はフリー 体に換算して表記した。ダクラタスビルの非臨床薬物動態(PK)は、一連の in vitro 試験並びに マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びサルを用いたin vivo 試験に基づいて評価した。げっ歯類とし てラットを選択し、非げっ歯類としてはイヌ及びサルを選択した。当初、単回投与トキシコキネ ティクス試験で、イヌの血漿中ダクラタスビル曝露量がサルのそれよりも大きかったことから、 非げっ歯類としてイヌを選択した。その後、臨床試験でヒトにダクラタスビル25 mg を単回経口 投与した結果、代謝物 BMS-795853(ダクラタスビルの脱カルボキシメチル体)はヒト血漿中で 定量下限未満であったが、代謝物 BMS-805215(ダクラタスビルのピロリジン環水酸化・転位化 合物)が定量可能であり、ダクラタスビルの血中濃度曲線下面積(AUC)値に対する BMS-805215 の AUC 値の割合は約 5%であった。BMS-805215 は、サル及びイヌの両方で評価された。 BMS-795853 は、サルよりもイヌにおいてかなり高い濃度で存在した。さらに、イヌ及びサルに ダクラタスビルを経口投与した結果、ダクラタスビルのAUC 値に対する BMS-795853 の AUC 値 の割合は、サル(1.3%以下)よりもイヌ(10%~32%)で高値であった。以上より、ダクラタス ビ ル と その 代 謝物 (BMS-805215)の十分な曝露量がサルで得られ、また、イヌにおける BMS-795853 の曝露量は他の種に比べてかなり大きかったことから、ダクラタスビルの毒性評価 では、長期投与試験にサルを選択した。ダクラタスビルの代謝物プロファイル及びトキシコキネ ティクスの詳細な検討は、それぞれ薬物動態試験の概要文及び毒性試験の概要文に記載した。 初期の探索試験において、マウス、ラット、イヌ及びサル由来の各種生体試料は蛋白沈殿法に より調製し、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)法により分析した。医 薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(GLP)に準拠したトキシコキネティクス試験で マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びサルから得られた血漿試料は、妥当性を検証したLC-MS/MS 法を用いてダクラタスビルを単独で又は他の被験物質と併せて分析し、その血漿中濃度を求めた。 なお、使用した分析法は、これら被験物質に対して高感度で、精度良く、正確であった。 各種動物に経口投与後のダクラタスビルの吸収は速やかで、最高血中濃度(Cmax)の到達時間 (Tmax)は 0.5~2.9 時間の範囲であった(CTD 4.2.2.2.1)。ダクラタスビルの絶対バイオアベイ ラビリティ値はマウスで100%超、ラットで 50%、イヌで 100%超、サルでは 38%であり、マウス、 ラット及びイヌでの良好な吸収性(50%以上)は、ヒトでの良好な絶対バイオアベイラビリティ
(67%、AI444044 試験)と一致することが示された。In vitro 及び in vivo 試験データから、ダク
ラタスビルはP 糖蛋白(P-gp)の基質であるが(CTD 4.2.2.2.1)、乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質 ではないことが示された(CTD 4.2.2.2.2)。したがって、P-gp は、ダクラタスビルの経口吸収を抑 制する可能性がある。イヌにおいて、ダクラタスビルの吸収はpH に依存していた(CTD 4.2.2.2.1)。 ダクラタスビルのpH 依存の吸収は、ファモチジン(AI444009 試験)又はオメプラゾール(AI444024 試験)を併用投与したときのヒトで確認され、バイオアベイラビリティは胃内 pH の上昇に伴っ て減少した。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 7 マウスに静脈内投与後のダクラタスビルは速やかに消失し、半減期(T-HALF)は 1.1 時間であっ た(CTD 4.2.2.2.1)。一方、ラット、イヌ及びサルでは、ダクラタスビルは緩やかに消失し、T-HALF はそれぞれ3.3~4.7、3.9 及び 3.7 時間であった。総血漿クリアランス(CLTp)はマウス、ラット 及びサルよりもイヌで大きく(CTD 4.2.2.2.1)、マウス、ラット、イヌ及びサルでそれぞれ 9.3、 9.1~14.8、20.3 及び 12.4 mL/min/kg(各動物種で報告されている肝血流1)の10%、16~27%、66% 及び28%相当)であった。 マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル及びヒト血清蛋白に対するダクラタスビルの結合率は、 濃度10 μM でそれぞれ 98.2%、98.3%、99.5%、96.5%、95.1%及び 95.6%であった(CTD 4.2.2.2.1)。 ダクラタスビル(濃度0.1~10 μM)の in vitro ヒト血漿蛋白結合率は濃度に依存せず、濃度 1 μM (0.739 μg/mL)では 98.0%であった(CTD 4.2.2.3.1)。ダクラタスビルの ex vivo 血漿蛋白結合率 は、健康被験者で99.4%、HCV ジェノタイプ 1 感染患者で 98.9%~99.3%、Child-Pugh 分類 A、B 及びC の肝障害患者ではそれぞれ 99.4%、99.1%及び 99.0%であった(AI444013 及び AI444004 試 験)。したがって、蛋白結合の違いによるダクラタスビルの体内動態の種差はないと考えられた。 ダクラタスビルの血漿中濃度に対する血液中濃度の比はヒトで 0.77~0.82、動物では 0.56~1.08 と同程度の値であり、当該濃度比からダクラタスビルは血液中で優先的に血漿中に分布すること が示唆された(CTD 4.2.2.2.1)。 ダクラタスビルの定常状態分布容積(Vss)は、ラット、イヌ及びサルでそれぞれ 3.6、5.4 及び 2.2 L/kg で、報告されている全身水分量1)よりも大きかったことから(CTD 4.2.2.2.1)、ダクラタ スビルは血管外に分布することが示唆された。Long-Evans ラット(有色)に[14C]ダクラタスビル を単回経口投与後の放射能の組織内分布は、雌雄SD ラット(アルビノ)に[14C]ダクラタスビル を単回経口投与後の放射能の組織内分布、並びに雄性 SD ラットに[14C]ダクラタスビルを反復経 口投与後の放射能の組織内分布と類似していた(CTD 4.2.2.3.4 及び CTD 4.2.2.3.5)。[14C]ダクラタ スビル由来の放射能は速やかに吸収され、体内に広範に分布した。有色ラットにおいて、血漿中 放射能濃度に対する組織中放射能濃度の比が最も大きかった組織は、副腎(6~13)、肝臓(8~15) 及び消化管(2~135)で、放射能濃度が低い又は定量下限未満の組織は、神経組織、分泌器官、 脂肪、生殖組織、骨/筋肉、呼吸器及び水晶体であった。有色ラットにおいて、[14C]ダクラタス ビル由来の放射能の消失は、皮膚、ブドウ膜、脾臓、胸腺、腎皮質及び副腎で緩やかであった。 これら組織中の投与後840 時間(35 日)の放射能濃度は、ブドウ膜で 1.967 μg-equivalents/g、残 りの組織では0.08~0.147 μg-equivalents/g[定量下限(0.069 μg-equivalents/g)に近い値]を呈した。 [14C]ダクラタスビルを用いた組織分布試験の結果は、非標識ダクラタスビルを用いた in vivo 試 験の結果と一致し、ダクラタスビルが肝臓(マウス、ラット、イヌ及びサル)で濃縮されること、 また、ダクラタスビルの脳(マウス及びラット)への移行が抑制されることが示された。さらに、 野生型マウス及びP-gp ノックアウトマウスを用いた試験から、血漿中ダクラタスビルに対する脳 中ダクラタスビルのAUC 比が野生型マウスよりも P-gp ノックアウトマウスで大きく、静脈内投 与後及び経口投与後でそれぞれ3.5 倍及び 5.4 倍であったことから、P-gp はダクラタスビルの脳 への移行を抑制することが示唆された。 ラット肝細胞を用いた取り込み試験結果から、受動輸送と能動輸送の両方がダクラタスビルの
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 8 肝取り込みに関与することが示された(CTD 4.2.2.2.1)。しかしながら、ヒト肝細胞では、ダクラ タスビルの肝取り込みは主に受動拡散に起因することが示された(CTD 4.2.2.3.2)。当該試験結果 は、ダクラタスビルが有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1、OATP2B1 又は OATP1B3 の 基質ではないことを示したin vitro 試験の結果(CTD 4.2.2.3.3)と一致した。 妊娠SD ラットに[14C]ダクラタスビルを経口投与したとき、母動物組織及び胎盤への放射能の 移行は速やかであった(CTD 4.2.2.3.5)。[14C]ダクラタスビル由来の放射能は、投与後 4 時間の胎 児肝臓中のみに検出され、母動物血漿中濃度に対する胎児肝臓中濃度の比は0.19 であった。他の 胎児組織では、放射能は検出されない又は定量下限未満であった。これらの結果は、ダクラタス ビルとその代謝物は胎盤を通過するが、胎児組織への移行は抑制されたことを示唆する。授乳中 のラットに[14C]ダクラタスビルを経口投与したとき、乳汁中放射能は投与後 4 時間で最高濃度に 達し、母動物血漿中放射能に対する乳汁中放射能のCmax 比及び AUC 比は、それぞれ 1.27 及び 1.55 であった(CTD 4.2.2.3.5)。これらの結果から、ダクラタスビルの投与を受けている女性から 授乳中の乳児は、ダクラタスビルとその代謝物に曝露される可能性のあることが示唆された。 マウス、ラット、イヌ、サル及びヒト由来の肝ミクロソームにおいて、ダクラタスビルの代謝 速度は同程度であった(CTD 4.2.2.2.1)。しかしながら、肝細胞におけるダクラタスビルの代謝速 度はマウス、イヌ及びサルよりもラット及びヒトで遅かった(CTD 4.2.2.2.1)。ダクラタスビルの 11 種類の代謝物は、各種の肝ミクロソーム、肝 S9 画分及び肝細胞中で生成された。ヒトに特有 の代謝物は検出されなかった。また、グルタチオン(GSH)抱合体は検出されなかった。[3H]ダ クラタスビル又は[14C]ダクラタスビルとラット、イヌ、サル及びヒト肝ミクロソームとをインキュ ベートした結果、肝ミクロソーム蛋白と放射性物質との不可逆的結合がわずかながら認められた (CTD 4.2.2.2.1 及び CTD 4.2.2.4.8)。 ダクラタスビルのin vivo 代謝は多数の酸化物の生成を特徴とし、排泄物中に検出された代謝物 の数は、ヒトで8 種類、マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びサルでは 8~16 種類であった(CTD 4.2.2.4.2 及び 4.2.2.4.3)。未変化体が血漿中の主化合物で、マウス、ラット、ウサギ、BDC イヌ及 びサルの血漿中放射能のそれぞれ75%~90%、85%~88%、90%~93%、88%~94%及び 74%~86% を占めた。無処置のマウス、ラット、ウサギ及びサルにおいて、投与量のそれぞれ 19%、28%、 26%及び 27%が代謝物として排泄物中から回収された。胆管カニューレを挿入した(BDC)ラッ ト、イヌ及びサルでは、投与量のそれぞれ36%、17%及び 33%が代謝物として回収された。無処 置動物の排泄物中に検出された主要な代謝物は、サルで BMS-805215(活性代謝物、投与量の 17.5%)、マウスで BMS-795853(活性代謝物、投与量の 6.3%)、マウス、ラット及びウサギでは BMS-952328(それぞれ投与量の 7.4%、9.8%及び 1%)であった。BDC 動物における主代謝物は、 ラット及びサルでBMS-805215(それぞれ投与量の 10.5%及び 12.6%)、イヌでは BMS-795853(投 与量の6.0%)であった。胆汁中、糞便中又は尿中に検出された他の代謝物は、投与量の 5%未満 に相当した。 ヒトに[14C]ダクラタスビルを単回経口投与した結果、投与後 240 時間で投与量の 94.24%が回収 され、そのうち 58.9%及び 30.1%がそれぞれ未変化体及び代謝物として回収された。代謝物は主 として酸化により生成した(CTD 4.2.2.4.2)。In vivo での代謝物プロファイルはすべての種で類似
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 9 し、ヒトに特有の代謝物はなかった(CTD 4.2.2.4.2)。ダクラタスビルがヒト血漿中の主たる放射 性物質で、血漿中放射能の97%~100%を占めた。BMS-805215 はヒト血漿中に検出された唯一の 代謝物で、血漿中放射能のわずか2%を占めた。ヒトにダクラタスビル 25 mg を単回経口投与し たとき(AI444001 試験)、ダクラタスビルに対する BMS-805215 の AUC の割合は約 5%で、また、 60 mg を 1 日 1 回 7 日間反復経口投与したとき(AI447009 試験)、ダクラタスビルに対する BMS-805215 の AUC の割合は 5%未満であったことから(CTD 4.2.2.4.9)、BMS-805215 は血中の 微量代謝物であることが示された。尿中及び糞便中の主代謝物は、BMS-805215(尿中及び糞便中 でそれぞれ投与量の0.2%及び 15.2%)及び BMS-795853(尿中及び糞便中でそれぞれ投与量の 0.1% 及び4%)であった。 ダクラタスビルの消失には、代謝クリアランス、糞便中排泄、胆汁クリアランス及び腸内分泌 などの複数の経路が関与する(CTD 4.2.2.5.1、CTD 4.2.2.5.2、CTD 4.2.2.5.3、CTD 4.2.2.5.4、CTD 4.2.2.5.5、CTD 4.2.2.5.6)。動物で投与量の 0.4%~0.8%、ヒトでは投与量の 6.4%が未変化体として 尿中で回収されたことから(CTD 4.2.2.4.2)、腎排泄は主要な消失経路ではないことが示された。 In vitro 試験データから、ダクラタスビルは多剤耐性蛋白(MRP)2 の基質ではないことが示され た(CTD 4.2.2.5.7)。 チトクローム P450(CYP)3A4 は、ダクラタスビルの代謝を担う主酵素であり、BMS-805215 (ヒトの主代謝物)の生成に関与する。ヒトにダクラタスビルを投与したとき、相当な量のダク ラタスビルが酸化反応により代謝されるため、CYP 活性の変化はダクラタスビルの消失に影響を 及ぼす可能性がある。ダクラタスビルは P-gp の基質であるため、P-gp を介した薬物相互作用が 生じる可能性がある。健康被験者に CYP3A4 及び P-gp の阻害剤であるケトコナゾールを併用投 与したとき(AI444005 試験)、ダクラタスビルの曝露量は増加し、また、CYP3A4 及び P-gp 誘導 剤のリファンピシン又はエファビレンツを併用投与したときには(AI444012及びAI444034試験)、 ダクラタスビルの曝露量は減少した。これらのデータは、ダクラタスビルの曝露量がCYP3A4 及 びP-gp の阻害剤又は誘導剤により影響を受けることを示すものである。 In vitro 試験から、ダクラタスビルは CYP3A の可逆的及び時間依存的な弱い阻害剤であること が示された(CTD 4.2.2.2.1)。肝細胞を用いた誘導試験データ及びベーシック又はメカニスティッ クスタティックモデル解析3)の結果に基づくと、ダクラタスビルはCYP1A2 及び CYP2B6 の誘導 剤ではないが、CYP3A4 を誘導する可能性がある(CTD 4.2.2.4.5、CTD 4.2.2.4.6 及び CTD 4.2.2.7.1)。 しかしながら、AI444008 試験において、ダクラタスビルとミダゾラム(親和性の高い CYP3A の 基質)との間で薬物相互作用はみられなかった。さらに、ダクラタスビルはヒトの遺伝子組換え ウリジン二リン酸グルクロン酸転移酵素(UGT)1A1 を阻害した[50%阻害濃度(IC50) = 12.7 μM、 CTD 4.2.2.7.2]。しかしながら、AI444014 及び AI444010 試験において、高ビリルビン血症[総ビ リルビン又は間接ビリルビン(UGT1A1 基質)の上昇]とダクラタスビルの投与との間に相関性
がなく、ダクラタスビルによるUGT1A1 の in vitro 阻害は、in vivo では認められなかった。
ダクラタスビルは、Caco-2 細胞におけるジゴキシン輸送及び OATP1B1、OATP1B3、OATP2B1、
有機アニオントランスポーター(OAT)1、OAT3、有機カチオントランスポーター(OCT)1、
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 10
トランスポーターを阻害し、広範囲のIC50値を呈した(CTD 4.2.2.2.1、CTD 4.2.2.7.3、CTD 4.2.2.7.4、 CTD 4.2.2.7.5、CTD 4.2.2.7.6、CTD 4.2.2.7.7、CTD 4.2.2.7.8 及び CTD 4.2.2.7.9)。タウロコール酸
ナトリウム共輸送体(NTCP)の阻害は、認められなかった(CTD 4.2.2.7.8)。総ダクラタスビル
(結合型ダクラタスビル+遊離型ダクラタスビル)の曝露量又は遊離型ダクラタスビルの曝露量
とIC50値との比較から、ダクラタスビルはP-gp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3 及び BSEP の基質
との薬物相互作用を生じる可能性があるものの、NTCP、OATP2B1、OAT1、OAT3、OCT1 及び OCT2 の基質との薬物相互作用は生じないと考えられた。なお、AI444004 試験で HCV 感染患者 にダクラタスビル60 mg を反復投与したときのダクラタスビルの Cmax 値 2.34 μM(1.73 μg/mL) を参考値とし、薬物相互作用の発現の可能性を評価した。ヒトでの薬物相互作用試験(AI444027 試験)において、高親和性P-gp 基質であるジゴキシンの曝露量に及ぼすダクラタスビルの影響は、 軽度から中程度[AUC(TAU): 1.27 倍増加、Cmax: 1.65 倍増加]であった。また、別の薬物相互作 用試験(AI444054 試験)において、OATP1B1、OATP1B3 及び BCRP の基質であるロスバスタチ ンの曝露量に及ぼすダクラタスビルの影響は軽度[AUC(INF): 1.58 倍増加、Cmax: 2.04 倍増加] であった。さらに、薬物相互作用試験(AI447009 試験)において、ダクラタスビルは、高親和性 OATP 基質であるアスナプレビルの曝露量に対して臨床的意義のある影響を及ぼさなかった。こ れらのデータに基づくと、P-gp、BCRP 又は OATP の他の基質の PK に及ぼすダクラタスビルの影 響は、臨床上わずかであると予測された。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 11 2 分析法 初期の探索試験において、マウス、ラット、イヌ及びサル由来の各種生体試料を蛋白沈殿法に より調製し、ダクラタスビルを単独で、又は他の被験物質(BMS-805215 及び BMS-795853)を併 せて液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)法により分析した(CTD 4.2.2.2.1)。 なお、探索試験とその分析法に関する詳細な情報は、各トキシコキネティクス試験報告書に記載 した。 後期の試験においては、マウス(CTD 4.2.2.1.1 及び CTD 4.2.2.1.2)、ラット(CTD 4.2.2.1.3、CTD 4.2.2.1.4 及び CTD 4.2.2.1.5)ウサギ(CTD 4.2.2.1.6 及び CTD 4.2.2.1.7)、イヌ(CTD 4.2.2.1.8、CTD 4.2.2.1.9 及び CTD 4.2.2.1.10)及びサル(CTD 4.2.2.1.11 及び CTD 4.2.2.1.12)の血漿中のダクラタ スビルを単独で又は他の被験物質を併せて分析するため、妥当性を検証したLC-MS/MS 法を使用 した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.2)。サル血漿中のリバビリン及びペグインターフェロン ア ルファ-2b は、それぞれ LC-MS/MS 法(CTD 4.2.2.1.13)及び電気化学発光法(CTD 4.2.2.1.14) により分析した。同一の動物種に対して複数の分析法が存在するのは、分析対象に複数の被験物 質を追加したためであり、また、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)から外部試験施 設 社、米国)に分析法を引き渡したためである。リバビリン及びペグインターフェ ロン アルファ-2b の分析は、それぞれ 社(米国)及び 社(米 国)にて実施された。 安定同位体標識の内標準を添加した後、GLP 適用毒性試験から得られた動物血漿試料を固相抽 出法により前処理し、逆相LC-MS/MS 法により分析した。質量分析装置による被験物質の検出は、 ターボイオンスプレー®による陽イオン化法により行った。すべての動物種の血漿試料において、 ダクラタスビルを単独で分析するときの標準曲線は、2 又は 5~2000 ng/mL の濃度範囲であった。 複数の被験物質とともにダクラスタルビルを分析するときの標準曲線は、2~2000 ng/mL の濃度 範囲であった。すべての測定において、使用した回帰モデルは1/x2で重み付けした直線であった。 リバビリンに関しては、標準曲線は5~1000 ng/mL の濃度範囲で、使用した回帰モデルは 1/x2で 重み付けした直線であった。ペグインターフェロン アルファ-2b に関しては、標準曲線は 500 ~32000 pg/mL の濃度範囲で、使用した回帰モデルは 1/y2で重み付けした直線であった。血漿試 料が採取時から分析時までの間安定であることを保証するため、血漿試料の長期安定性を検討し た。各種の動物及びマトリックスにおける分析法の詳細を薬物動態試験概要表のTable 2.6.5.2 に 示す。 マウス、ラット、イヌ及びサル血漿中の被験物質の分析法について、分析実施施設間のクロス バリデーション試験を実施した。BMS で品質管理(QC)試料を調製し、分析した後、 社に送付して分析した。また、各動物種の実試料も両施設で分析し、比較検討した。その結果、 両施設で得られた分析結果に有意な差はみられなかった。 LC-MS/MS 法による血漿試料の分析結果は、予め設定した判定基準[検量線作成用標準試料の 少なくとも4 分の 3 及び QC 試料の少なくとも 3 分の 2 の測定値が理論値の±15%以内(最低濃度 の標準試料では±20%以内)である]を満たした。また、血漿中ペグインターフェロン アルファー 2b の分析結果は、予め設定した判定基準[検量線作成用標準試料の少なくとも 4 分の 3 の測定値
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 12
が理論値の±20%以内(最低濃度の標準試料では±25%以内)であり、全 QC 試料の少なくとも 3
分の2 かつ各濃度の QC 試料の少なくとも 2 分の 1 の測定値が理論値の±20%以内である]を満た
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 13
3 吸収
3.1 吸収及びバイオアベイラビリティ
3.1.1 In vitroにおける吸収
人工膜透過性評価において、濃度100 μM でのダクラタスビルの透過係数(Pc)は、pH 5.5 及
び7.4 でそれぞれ 442 ± 168 及び 486 ± 183 nm/sec(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.16A、CTD
4.2.2.2.1)で、高い膜透過性を示し、ヒトで良好な吸収性を示す化合物の Pc 値2)と類似している。 P-gp を含めたいくつかの排泄及び取り込みトランスポーターを発現する Caco-2 細胞単層膜を用 いて、ダクラタスビルの双方向透過性を検討した。その結果、ダクラタスビル濃度 0.3 μM 及び pH 7.4 で、頂側膜側から側底膜側の方向の Pc 値は 15 nm/sec 未満と小さく、側底膜側から頂側膜 側の方向のPc 値は 364 ± 101 nm/sec と大きかった。流出比(側底膜側から頂側膜側の Pc/頂側膜 側から側底膜側のPc)は 24 を上回り、ケトコナゾール及びシクロスポリン(P-gp の阻害剤)の 存在下で、それぞれ1.6 及び 0.8 に低下した(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.16B、CTD 4.2.2.2.1)。 これらのデータから、ダクラタスビルはP-gp を含む排出トランスポーターの基質であることが示 唆された。そこで、ダクラタスビルが P-gp の基質であることを確認するため、P-gp ノックアウ ト(mdr 1a/1b)マウスへのダクラタスビル(3 mg/kg)の経口及び静脈内投与試験を実施した。P-gp ノックアウトマウスにダクラタスビルを 3 mg/kg の用量で経口及び静脈内投与したときの AUC(0-8 h)値は、野生型マウスの AUC(0-8 h)値のそれぞれ 1.7 倍及び 2.3 倍であった(薬物動態試 験概要表Table 2.6.5.3A、CTD 4.2.2.2.1)。これらの結果から、ダクラタスビルは P-gp の基質であ ること、また、P-gp はダクラタスビルの経口吸収を抑制し、ダクラタスビルの排泄を仲介する役 割を担う可能性のあることが示された。 ヒトBCRP 発現 MDCK 細胞及び野生型 MDCK 細胞を用いた、[3H]ダクラタスビルの双方向透 過性試験において、両細胞での透過比は類似していたことから、ダクラタスビルはBCRP の基質 ではないことが示された(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.16 G、CTD 4.2.2.2.2)。ヒト MRP2 発現 Sf9 細胞から調製した膜小胞を用いた、[3H]ダクラタスビルの取り込み試験において、[3H]ダクラ タスビルの取り込みはアデノシン一リン酸(AMP、エネルギー輸送なし)及びアデノシン三リン 酸(ATP、エネルギー輸送あり)の存在下で同程度であり、MK-571(MRP2 の阻害剤)による影 響を受けなかったことから、ダクラタスビルはMRP2 の基質ではないことが示された(薬物動態 試験概要表Table 2.6.5.16H、CTD 4.2.2.5.7)。 3.1.2 In vivoにおける吸収 マウス、ラット、イヌ及びサルに経口投与後のダクラタスビルの吸収は速やかで、Tmax はそ れぞれ0.5、2.7 ± 1.2、2.9 ± 1.6 及び 2.0 ± 0.0 時間であった(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.3A、 2.6.5.3B、2.6.5.3C 及び 2.6.5.3D、CTD 4.2.2.2.1)。ダクラタスビルの絶対バイオアベイラビリティ の値は、マウスに3 mg/kg の用量で経口投与したとき 100%超、イヌに 3 mg/kg の用量で経口投与 したときには100%超と大きく(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.3A 及び 2.6.5.3C、CTD 4.2.2.2.1)、 これら動物種でのダクラタスビルの吸収性は良好であることが示された。一方、ラット及びサル
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 14 におけるダクラタスビルの絶対バイオアベイラビリティの値は小さく、ラットに5 mg/kg の用量 で経口投与したとき50%、サルに 2.83 mg/kg の用量で経口投与したときには 38 ± 17%であった(薬 物動態試験概要表Table 2.6.5.3B 及び 2.6.5.3D、CTD 4.2.2.2.1)。なお、ヒトにおけるダクラタスビ ルの絶対バイオアベイラビリティの値は67%で、良好な吸収性を示した(AI444044 試験)。 ラットにダクラタスビルを静脈内及び門脈内投与したときの投与後0 時間から無限時間まで外 挿した血中濃度曲線下面積[AUC(INF)]値は、それぞれ 3.7 ± 0.15 μg•h/mL 及び 2.8 ± 0.49 μg•h/mL と同程度であったことから、ダクラタスビル経口投与時のバイオアベイラビリティは、肝初回通 過効果による影響を受けないことが示唆された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.3.B、CTD 4.2.2.2.1)。イヌを用いたクロスオーバー法による試験において、ファモチジン投与で胃内 pH を 上昇させたとき、ダクラタスビルの絶対バイオアベイラビリティ値は89%(ペンタガストリン投 与時)から 48%(ファモチジン投与時)に低下したことから、ダクラタスビルの経口吸収は pH に依存することが示された(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.3.C、CTD 4.2.2.2.1)。 3.2 単回投与後の吸収 3.2.1 マウス 野生型マウス及びP-gp ノックアウトマウスにダクラタスビルを 3 mg/kg の用量で静脈内投与し、 ダクラタスビルの血中動態を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.3A、CTD 4.2.2.2.1)。その 結果、野生型マウスにおいて、ダクラタスビルは半減期1.1 時間で消失し、CLTp 値は 9.3 mL/min/kg で、マウスの肝血流1)の約10%に相当した。一方、P-gp ノックアウトマウスにおいては、ダクラ タスビルは半減期 1.6 時間で消失し、野生型マウスのそれと同程度であったが、CLTp 値は 4.0 mL/min/kg で、マウスの肝血流1)の4.4%に相当し、野生型マウスのそれより低かったことから、 マウスではP-gp はダクラタスビルの消失の役割を担うことが示された。 3.2.2 ラット 1 群 3 匹の雄性ラットにダクラタスビルを 2 及び 5 mg/kg の用量で静脈内投与し、ダクラタス ビルの血中動態を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.3B、CTD 4.2.2.2.1)。その結果、ダク ラタスビルはそれぞれ半減期3.3 及び 4.7 時間で消失し、平均滞留時間(MRT)はそれぞれ 2.2 及 び4.0 時間、CLTp 値はそれぞれ 9.1 及び 14.8 mL/min/kg で、ラットの肝血流1)のそれぞれ約16% 及び約27%に相当した。 3.2.3 イヌ 5 匹の雄性イヌにダクラタスビルを 1 mg/kg の用量で静脈内投与し、ダクラタスビルの血中動 態を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.3C、CTD 4.2.2.2.1)。その結果、ダクラタスビルは 半減期3.9 ± 1.4 時間で消失し、MRT 値は 4.8 ± 1.0 時間、CLTp 値は 20.3 ± 21.3 mL/min/kg で、イ ヌの肝血流1)の約66%に相当した。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 15 3.2.4 サル 3 匹の雄性カニクイザルにダクラタスビルを 1.13 mg/kg の用量で静脈内投与し、ダクラタスビ ルの血中動態を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.3D、CTD 4.2.2.2.1)。その結果、ダクラ タスビルは半減期 3.7 ± 0.31 時間で消失し、MRT 値は 3.0 ± 0.48 時間、CLTp 値は 12.4 ± 4.2 mL/min/kg で、サルの肝血流1)の約28%に相当した。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 16 4 分布 ラット、イヌ及びサルにダクラタスビルをそれぞれ5、1 及び 1.13 mg/kg の用量で静脈内投与 したときのVss 値は、それぞれ 3.6 ± 1.1、5.4 ± 4.6 及び 2.2 ± 0.88 L/kg であった(薬物動態試験概 要表Table 2.6.5.3B、2.6.5.3C 及び 2.6.5.3D、CTD 4.2.2.2.1)。これらの Vss 値は各動物種の全身水 分量1)(ラット、イヌ及びサルでそれぞれ0.668、0.604 及び 0.693 L/kg)よりも大きかったことか ら、ダクラタスビルが血管外に分布することが示唆された。 ダクラタスビル[濃度10 μM(7.389 μg/mL)]を血液中でインキュベートした結果、血漿中濃 度に対する血液中濃度の比は、ヒトで0.77~0.82、試験した動物種では 0.56~1.08 であったこと から(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.8.A、CTD 4.2.2.2.1)、血液中のダクラタスビルは血漿中に 優先的に分布することが示唆された。 マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル及びヒト血清蛋白に対するダクラタスビルの結合率は、 濃度10 μM でそれぞれ 98.2%、98.3%、99.5%、96.5%、95.1%及び 95.6%であった(薬物動態試験 概要表Table 2.6.5.6、CTD 4.2.2.2.1)。ダクラタスビルのヒト血漿蛋白結合率は、濃度 0.1、1 及び 10 μM でそれぞれ 97.9%、98.0%及び 97.7%であった(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.6、CTD 4.2.2.3.1)。Ex vivo での血漿蛋白結合率は、健康被験者で 99.4%、HCV ジェノタイプ 1 感染患者で 98.9%~99.3%、Child-Pugh 分類 A、B 及び C の肝障害患者ではそれぞれ 99.4%、99.1%及び 99.0% であった(AI444004 及び AI444013 試験)。 [3H]ダクラタスビル又は[14C]ダクラタスビルとラット、イヌ、サル及びヒト肝ミクロソームを イ ン キ ュ ベ ー ト し た 結 果 、 放 射 性 物 質 と 肝 ミ ク ロ ソ ー ム 蛋 白 と の 不 可 逆 的 結 合 (40.5~ 71.7 pmol/mg/h)が認められた(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.10D、CTD 4.2.2.2.1 及び CTD 4.2.2.4.8)。GSH の存在下で、不可逆的結合率はわずかに低下した(22~41 pmol/mg/h)。 ヒト肝細胞へのダクラタスビル(0.01~25 μM)の取り込みは速やかで、ロテノン(ATP の枯渇 薬)又はブロモスルホフタレイン(BSP、トランスポーター阻害剤)により阻害されなかった。 また、取り込み速度は試験濃度範囲で線形であった(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.16D、CTD 4.2.2.3.2)。これらの結果から、ダクラタスビルの肝への取り込みは、エネルギー又はトランスポー ターに依存していないことが示唆された。さらに、BSP の存在下又は非存在下でヒト OATP1B1、
OATP2B1 又は OATP1B3 を発現する HEK-293 細胞を用いた in vitro 試験データ、並びに OATP1B3 を発現するXenopus laevis 卵母細胞を用いた in vitro 試験データから、ダクラタスビルは OATP1B1、 OATP2B1 及び OATP1B3 の基質ではないことが示唆された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.16E 及び2.6.5.16F、CTD 4.2.2.2.1 及び CTD 4.2.2.3.3)。これらの結果から、受動拡散がダクラタスビ ルのヒト肝への取り込みの主な機序であることが示唆された。ラット肝へのダクラタスビルの取 り込みは速やかで、飽和性があり(Km > 50 μM)、ロテノン及びカルボニルシアニド-p-トリフル オロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)(ATP の枯渇薬)の添加により最大で約 50%阻害され たことから、エネルギー依存性の能動的過程がラット肝への取り込みに関与することが示唆され た(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.16.C、CTD 4.2.2.2.1)。さらに、ラット有機アニオン輸送ポリ
ペプチド(rOatp)1、rOatp2 又は rOatp4 を発現する Xenopus laevis 卵母細胞モデルを用いた in vitro
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 17 及び rOatp2 を介して行われることが示唆された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.16C、CTD 4.2.2.2.1)。 Long-Evans ラット(有色)及び SD ラット(アルビノ)に[14C]ダクラタスビルを 10.5 mg/kg (115 μCi/kg)の用量で単回経口投与し、定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)法を用 いて放射能の組織分布を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.5A、CTD 4.2.2.3.4)。 その結果、Long-Evans ラットにおいて、放射能は速やかに吸収され、大部分の組織で投与後 0.5 ~4 時間で最高濃度に達し、組織中に広範に分布した。放射能濃度は副腎、胆汁、肝臓、盲腸、 小腸及び胃で最も高かった。血管/リンパ管、分泌器官、脂肪、真皮、生殖器、骨格/筋肉、呼 吸器及び視覚器官の放射能濃度は低かった。神経組織及び水晶体の放射能は定量下限未満であっ た。放射能の血漿中濃度に対する組織中濃度の比は、大部分の組織の採取時点で1 を上回った。 副腎、甲状腺、皮膚、ブドウ膜、脾臓、胸腺及び腎臓を除き、[14C]ダクラタスビル由来の放射能 は投与後12~96 時間までに組織から完全に消失した。副腎、甲状腺、脾臓、胸腺及び腎臓中の放 射能は、時間の経過とともに減少し、投与後840 時間(35 日)で 0.08~0.147 μg-equivalents/g(定 量下限0.069 μg-equivalents/g に近い値)であった。 SD ラットにおいても、放射能は速やかに吸収された後体内に広範に分布し、放射能の組織内 分布は Long-Evans ラットと類似していた。SD ラットの組織中放射能濃度は、投与後 1 時間で Long-Evans ラットの約半分であったが、投与後 8 及び 24 時間では Long-Evans ラットと同程度で あった。 Long-Evans ラットにおいて、非有色皮膚中の放射能は速やかに消失し、投与後 12 時間までに 定量下限(0.069 μg-equivalents/g)に達したが、有色皮膚及び眼ブドウ膜中の放射能の消失は緩や かで、放射能は投与後 840 時間(35 日)で検出可能であり、その濃度はそれぞれ 0.210 及び 1.967 μg-equivalents/g であった。一方、SD ラットにおいては、眼組織中の放射能の消失は速やか で、投与後24 時間までに定量下限未満になった。これらのデータから、組織に含まれるメラニン に対する[14C]ダクラタスビル由来放射能の特異的かつ可逆的な結合が示唆された。 雌雄SD ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg(100 μCi/kg)の用量で単回経口投与し、また、 雄性SD ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg(40 μCi/kg)の用量で 1 日 1 回、14 日間反復経 口投与し、QWBA 法を用いて放射能の組織分布を詳細に検討した(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.5A 及び Table 2.6.5.5B、CTD 4.2.2.3.5)。 その結果、雌雄 SD ラットを用いた単回投与試験において、放射能の組織内分布及び消失は雌 雄で類似していた。雌雄ラットにおいて、放射能の血漿中濃度に対する組織中濃度の比は、大部 分の採取時点の組織で1 を上回っていた。骨、水晶体、眼、小脳、大脳、脳髄及び嗅葉中の放射 能は、雌雄とも定量下限未満であった。他の組織中の放射能濃度は試験期間中徐々に減少したが、 雄性ラットの副腎、眼窩外涙腺、ハーダー腺、眼窩内涙腺、腎臓、腎皮質、下垂体、脾臓、胸腺 及び甲状腺、並びに雌性ラットの腎臓、腎皮質、包皮腺、脾臓、胸腺及び甲状腺では、投与後168 時間で放射能が残存していた。 雄性SD ラットを用いた反復投与組織分布試験において、[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用 量で1 日 1 回、14 日間反復投与した結果、大部分の組織中の放射能は投与後 8 時間で最高濃度に
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 18 達した。放射能の蓄積はいずれの組織でも認められず、放射能の組織分布及び消失は単回投与時 と同程度であった。単回投与試験でみられたように、骨、水晶体、眼、小脳、大脳、脳髄及び嗅 葉中の放射能は、定量下限未満であるか又は検出されなかった。組織中放射能は試験期間中徐々 に減少し、最終投与後168 時間(7 日)まで多くの組織で放射能が検出可能であり、投与後 2016 時間(84 日)までに眼窩外涙腺、眼窩内涙腺、胸腺及び甲状腺を除く大部分の組織で放射能は消 失した。 さらに、マウス、ラット、イヌ及びサル組織中のダクラタスビルの分布について、非標識ダク ラタスビル及びLC-MS/MS 法を用いて検討した(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.8B、Table 2.6.5.8C、 Table 2.6.5.8D 及び Table 2.6.5.8E、CTD 4.2.2.2.1 及び CTD 4.2.2.3.6)。その結果、血清中又は血漿
中ダクラタスビルに対する肝臓中ダクラタスビルの AUC 比は、マウスで 2.35(静脈内投与時) 及び1.9(経口投与時)、ラットで 5.9(静脈内投与時)及び 6.8(経口投与時)、イヌで 10.6(経口 投与時)、サルでは 17(経口投与時)であった。血漿中ダクラタスビルに対する、心臓や脾臓な どの他の組織中ダクラタスビルのAUC 比は、おおむね 1 を上回った。 P-gp ノックアウトマウスにおいて、血漿中ダクラタスビルに対する脳中ダクラタスビルの AUC 比は、野生型マウスのそれの3.5 倍(静脈内投与時)及び 5.4 倍(経口投与時)であった(薬物動 態試験概要表Table 2.6.5.8B、CTD 4.2.2.2.1)。これらの結果から、P-gp はマウス脳へのダクラタ スビルの移行を抑制することが示唆された。 雌性SD ラット(妊娠 18 日)に[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg(100 μCi/kg)の用量で単回経 口投与し、放射能の組織分布を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.7A、CTD 4.2.2.3.5)。そ の結果は、妊娠していない雌性ラットを用いた組織分布試験の結果と一致した。胎盤を含む母動 物組織への放射能の移行は速やかで、組織中放射能は投与後0.5 時間で検出され、おおむね 2 時 間で最高濃度に達した。胎児において、放射能は投与後4 時間に肝臓でのみ検出され、血液を含 む他の組織中の放射能は、全採取時点で定量下限未満であるか又は検出されなかった。母動物の 血漿中放射能に対する組織中放射能の濃度比は、副腎、骨髄、眼窩外涙腺、ハーダー腺、腎臓、 腎皮質、腎髄質、肝臓、心筋、膵臓、下垂体、唾液腺、脾臓、胃粘膜及び甲状腺で、すべての採 取時点で1 を上回った。羊水、眼、水晶体、小脳、大脳、脳髄、嗅葉及び脊髄中の放射能は定量 下限未満であった。投与後24 時間で、羊膜嚢などの母動物組織のおよそ半分に放射能が残存し、 投与後48 時間では 16 種類の組織で放射能が残存していた。これらのデータから、[14C]ダクラタ スビル由来の放射能は胎盤を通過するものの、胎児組織への移行は抑制されることが示唆された。 授乳中(分娩後4 日)の SD ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg(100 μCi/kg)の用量で単 回経口投与し、乳汁中への放射能の移行を検討した(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.7B、CTD 4.2.2.3.5)。その結果、乳汁中及び母動物血漿中の放射能は、それぞれ投与後 4 及び 1 時間に最高 濃度に達した。なお、乳汁中及び母動物血漿中の放射能の T-HALF 及び AUC(INF)値は、最終消 失相がみられなかったため算出できなかった。Cmax 及び AUC(0-72 h)値を基に算出した乳汁中放 射能/母動物血漿中放射能の曝露量比は、それぞれ1.27及び1.55であった。これらのデータから、 ラットにおいてダクラタスビルとその代謝物は乳汁中に移行することが示され、また、ダクラタ スビルの投与を受けている女性から授乳中の乳児は、ダクラタスビルとその代謝物に曝露される
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 19
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 20 5 代謝 In vitro 及び in vivo において、ダクラタスビルは多様な酸化物へと代謝された。ダクラタスビル の主要な代謝反応として、ピロリジン環の酸化的開環とその後の分子内環化、脱カルボキシメチ ル化及び水酸化が挙げられる。ダクラタスビルの化学構造式を図 5-1 に示し、各種動物及びヒト における代謝物の構造式を薬物動態試験概要表のTable 2.6.5.11 に示す。ヒトに特有の代謝物は検 出されなかった。BMS-805215 及び BMS-795853 の薬理活性を検討した結果、これら代謝物の薬 理活性はダクラタスビルの1/1000~1/10 であった。 図5-1 ダクラタスビルの化学構造式 * 14C 標識位置を示す。 5.1 In vitroでの代謝 β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)の存在下で、肝ミクロソームにお けるダクラタスビルの代謝速度を検討した結果、ダクラタスビルの代謝速度はマウス、ラット、 イヌ、サル及びヒトで同程度であることが示された(3.6~6.8 pmol/min/mg protein)。肝細胞にお けるダクラタスビルの代謝速度は、マウス、イヌ及びサル(31.7~52.6 pmol/min/106 cells)よりも
ラット及びヒト(5.6~7.0 pmol/min/106 cells)で遅かった(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.10A、 CTD 4.2.2.2.1)。 濃度10 μM の[14C]ダクラタスビルを NADPH 及び GSH 存在下で肝ミクロソーム(マウス、ラッ ト、ウサギ、イヌ、サル及びヒト)と、NADPH 存在下で肝 S9 画分(マウス、ラット、イヌ、サ ル及びヒト)と、又は肝細胞(マウス、ラット、イヌ、サル及びヒト)とそれぞれインキュベー トし、[14C]ダクラタスビルの代謝を検討した(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.10B、CTD 4.2.2.4.1)。 その結果、肝ミクロソームにおける代謝は動物とヒトで同程度であり、インキュベート後の試料 中放射能の73%~84%が未変化体であった。マウス、ラット、イヌ及びヒト由来の肝細胞におい て、インキュベート後の試料中放射能の78%~89%が未変化体であったのに対し、サル由来の肝 細胞においては著しい代謝が起こり、インキュベート後の試料中放射能の 57.5%が未変化体で あった。肝ミクロソーム、肝S9 画分及び肝細胞とのインキュベートで生成した 11 種類の代謝物 はLC-MS/MS 法により同定された。ヒトに特有な代謝物は認められなかった。動物種及びヒトで 検出された主な代謝物として、BMS-805215、BMS-795853、BMS-821647(ダクラタスビルの水酸 化体)、BMS-798820(ダクラタスビルの水酸化体)及び M27(ダクラタスビルの一酸化物)が挙 N H N N O N N H N O NH HN O O O O * *
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 21 げられる。 ヒト肝ミクロソーム及び特異的な阻害剤を用いた初期の反応表現型検査からは、ダクラタスビ ル(濃度0.5 μM)は主として CYP3A4 を介して代謝され、BMS-805215(ヒト血漿中に検出され た唯一の代謝物で、ヒトの排泄物中で最も量の多い代謝物)はCYP2C9 を介しても生成される(ス ルファフェナゾールにより38%阻害)可能性が示された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.10C、 CTD 4.2.2.2.1)。ヒト肝ミクロソーム及び特異的な阻害剤を用いた、さらに包括的な反応表現型検 査並びに遺伝子組換えヒトCYP 酵素を用いた試験から、ダクラタスビル(濃度 2 及び 20 μM)か らBMS-805215 への代謝は主として CYP3A4 を介して行われ(Km = 2.53 ± 0.34 μM)、CYP3A5(Km = 9.14 ± 0.59 μM)もわずかながら寄与することが示された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.10C、 CTD 4.2.2.4.4)。また、CYP2C8 は BMS-821647(ヒト試料中で未検出の代謝物)の生成に寄与す る主酵素であることが明らかになった。なお、これらの試験において、CYP2C9 は BMS-805215 の生成を触媒せず、スルファフェナゾールによる阻害は認めらなかった。 5.2 In vivoでの代謝 マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル及びヒトに[14C]ダクラタスビルを単回経口投与し、ダク ラタスビルの代謝を検討した。各動物種及びヒトで検出された代謝物とその化学構造式を薬物動 態試験概要表のTable 2.6.5.11 に示す。 5.2.1 マウス 雄性rasH2 マウスに[14C]ダクラタスビルを 50 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビル の代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)。投与後 1 及び 4 時間に採 血して得られた血漿、並びに投与後168 時間までの蓄尿及び糞便を放射能測定及び LC-MS/MS 法 で分析し、代謝物を調べた。 全体として、マウスで11 種類の酸化物が生成した。その他にいくつかの小さな放射能ピークが 認められたものの、同定には至らなかった。投与後1 及び 4 時間の血漿中の主たる放射性物質は 未変化体で、血漿中放射能の 75%~90%を占めた。BMS-805215 及び BMS-795853 が血漿中に検 出され、血漿中放射能のそれぞれ 1.6%~4.0%及び 2.1%~3.2%であった。BMS-805215 の血漿中 濃度は、投与後1 及び 4 時間でそれぞれ 282 及び 352 ng eq./mL であった。他の数多くの微量代謝 物も血漿中に検出され、血漿中放射能の 1.5%~6.7%を占めた。投与量の 0.8%及び 18.4%がそれ ぞれ尿中及び糞便中に代謝物として回収された。血漿中と同様に、未変化体が尿中及び糞便中の 主化合物で、それぞれ投与量の0.4%及び 34%を占めた。尿中の主代謝物は BMS-795853 及び M9 (BMS-805215 の脱カルボキシメチル化体)で、それぞれ投与量の 0.4%及び 0.2%相当であった。 糞便中の主代謝物はBMS-795853 及び BMS-952328 で、それぞれ投与量の 5.9%及び 7.3%相当で あった。尿中の微量代謝物はBMS-805215 及び BMS-952328、糞便中の微量代謝物は BMS-805215、 M6(ダクラタスビルの水酸化体)及び M15(ダクラタスビルの一酸化物)であった。排泄物中 で回収されたBMS-805215 及び M9(二次代謝物)の総量は、投与量の 1.4%であった。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 22 5.2.2 ラット 雄性SD ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビルの 代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)。投与後 1、2 及び 4 時間に 採血して得られた血漿、並びに投与後168 時間までの蓄尿及び糞便を放射能測定及び LC-MS/MS 法で分析し、代謝物を調べた。 全体として、ラットで8 種類の酸化物が生成した。その他にいくつかの小さな放射能ピークが 認められたものの、同定には至らなかった。投与後1~4 時間の血漿中の主放射性化合物は未変化 体で、血漿中放射能の85%~88%を占めた。BMS-805215 及び BMS-795853 が血漿中に検出され、 血漿中放射能のそれぞれ2.6%~2.9%及び 1.9%~3.0%を占めた。血漿中 BMS-805212 濃度は、投 与後1、2 及び 4 時間でそれぞれ 62.1、47.6 及び 24.0 ng eq./mL であった。その他に複数の種類の 微量代謝物が血漿中に検出され、血漿中放射能の0.3%~4.5%を占めた。投与量の 0.6%及び 27% がそれぞれ尿中及び糞便中に代謝物として回収された。尿中及び糞便中の未変化体は、それぞれ 投与量の0.8%及び 24.5%を占めた。BMS-795853、M9 及び BMS-952328 は、尿中の主代謝物であっ た。BMS-952328 が糞便中の主代謝物で、投与量の 9.4%に相当した。その他に複数の種類の微量 代 謝 物 が 糞 便 中 に 検 出 さ れ 、 投 与 量 の 約 2%~4.9%に相当した。排泄物から回収された BMS-805215 の総量は、投与量の 2.2%に相当した。 雄性BDC ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビル の代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9B、CTD 4.2.2.4.2)。胆汁は投与後 48 時間か けて採取した。その結果、投与放射能の 38.5%が胆汁中から回収され、胆汁中の未変化体は投与 量の11.5%相当であった。胆汁中で最も量の多い代謝物は BMS-805215 で、投与量の 10.1%に相 当した。また、数多くの微量代謝物が検出され、その量は投与量の0.1%~2.5%に相当した。 5.2.3 ウサギ 雌性ニュージーランドホワイトウサギに[14C]ダクラタスビルを 40 mg/kg の用量で単回経口投 与し、ダクラタスビルの代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.3)。投 与後1、4、8 及び 12 時間で採血して得られた血漿、並びに投与後 168 時間かけて採取した糞便を 放射能測定及びLC-MS/MS 法で分析し、代謝物を調べた。 全体として、ウサギで16 種類の代謝物(15 種類の酸化物及び 1 種類の水和物)が生成した。 その他にいくつかの小さな放射能ピークが認められたものの、同定には至らなかった。投与後 1 ~12 時間の血漿中の主たる放射性物質は未変化体で、血漿中放射能の 90%~93%を占めた。 BMS-805215 及び BMS-795853 が血漿中に検出され、血漿中放射能のそれぞれ 1.2%~1.9%及び 0.5%~0.8%であった。BMS-805215 の血漿中濃度は、投与後 1、4、8 及び 12 時間でそれぞれ 751、 918、652 及び 398 ng eq./mL で、AUC(0-12 h)値は 8121 ng eq.•h/mL であった。他の数多くの微量
代謝物も検出され、その量は痕跡程度から血漿中放射能の1.9%の範囲であった。投与量の 26.2%
が代謝物として糞便中から回収された。糞便中の主化合物は未変化体で、その量は投与量の51.9%
に相当した。そのほかに数多くの微量代謝物が検出され、投与量の 0.6%から 3.6%に相当した。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 23 5.2.4 イヌ 雄性BDC イヌに[14C]ダクラタスビルを 50 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビルの 代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9B、CTD 4.2.2.4.2)。投与後 1.5、4 及び 8 時間 で採血して得られた血漿、並びに投与後72 時間かけて採取した尿、胆汁及び糞便を放射能測定及 びLC-MS/MS 法で分析し、代謝物を調べた。 全体として、10 種類の代謝物(9 種類の酸化物及び 1 種類のグルクロン酸抱合体)が生成した。 投与後 1.5~8 時間の血漿中の主たる放射性物質は未変化体で、血漿中放射能の 87.5%~93.9%を 占めた。BMS-805215 が痕跡程度検出された。BMS-795853 も血漿中に検出され、血漿中放射能の 2.3%とわずかであった。他の微量代謝物も血漿中に検出され、その量は痕跡程度から血漿中放射 能の 2.9%の範囲であった。投与放射能の 24.5%、8.75%及び 29.7%がそれぞれ胆汁中、尿中及び 糞便中で回収された。胆汁中、尿中及び糞便中の主化合物は未変化体で、それぞれ投与量の12.5%、 7.4%及び 16.6%に相当した。その他に複数の種類の微量代謝物が胆汁中、尿中及び糞便中に検出 され、その量は投与量の 0.1%~6%に相当した。排泄物中に検出された BMS-795853 は、投与量 の6%に相当した。 5.2.5 サル 雄性カニクイザルに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビル の代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)。投与後 1、4 及び 8 時間 で採血して得られた血漿、並びに投与後 168 時間かけて採取した尿及び糞便を放射能測定及び LC-MS/MS 法で分析し、代謝物を調べた。 全体として、サルで9 種類の酸化物が生成した。その他にいくつかの小さな放射能ピークが認 められたものの、同定には至らなかった。投与後1~8 時間の血漿中の主たる放射性物質は未変化 体で、血漿中放射能の74.2%~85.6%を占めた。血漿中の代謝物は2種類のみであった。BMS-805215 が主代謝物で、投与後1、4 及び 8 時間でそれぞれ血漿中放射能の 21.8%、17.8%及び 14.4%を占 めた。BMS-805215 の血漿中濃度は、投与後 1、4 及び 8 時間でそれぞれ 207、522 及び 130 ng eq./mL であった。もう一つの代謝物はM12 で、血漿中放射能の最大で 2.1%であった。BMS-795853 は、 血漿中に検出されなかった。 投与量のうちの1.1%及び 26%が、それぞれ尿中及び糞便中から代謝物として回収された。尿中 及び糞便中の未変化体は、それぞれ投与量の0.5%及び 32.3%を占めた。尿中及び糞便中の主代謝 物はBMS-805215 で、それぞれ投与量の 0.7%及び 16.8%に相当した。その他の代謝物は、最大で 投与量の2.2%であった。排泄物中の BMS-805215 は、投与量の 17.5%に相当した。また、排泄物 中のBMS-795853 は、投与量の 0.9%に相当した。 雄性BDC カニクイザルに[14C]ダクラタスビルを 100 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタ スビルの代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9B、CTD 4.2.2.4.2)。胆汁は投与後 72 時間かけて採取した。投与放射能のうちの 14.7%が胆汁中から回収され、胆汁中の未変化体は投 与量の1.4%に相当した。胆汁中では 19 種類の微量代謝物が検出され、その量は投与量の 0.1%か
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 24 ら7.2%に相当した。BMS-805215 は、胆汁中及び糞便中で投与量の 10.5%を占めた。 5.2.6 ヒト AI444006 試験で、6 例の健康被験者に[14C]ダクラタスビル 25 mg(106.9 μCi)を単回経口投与 し、ダクラタスビルの代謝を検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)。投与 後 1、2、4、8 及び 12 時間で採血して得られた血漿、投与後 72 時間かけて採取した尿及び 144 時間かけて採取した糞便を放射能測定及びLC-MS/MS 法で分析し、代謝物を調べた。 全体として、ヒトで8 種類の代謝物(7 種類の酸化物及び 1 種類の水和物)が生成した。未変 化体が投与後1~12 時間の血漿中の主たる放射性物質で、血漿中放射能の 96.8%~100%を占めた。 唯一の血漿中代謝物はBMS-805215 で、投与後 1 及び 2 時間でそれぞれ血漿中放射能の 1.4%及び 2%を占め、投与後 4、8 及び 12 時間では痕跡程度の量であった。AI444001 試験でダクラタスビ ル25 mg を単回経口投与したとき、ダクラタスビルの AUC 値に対する BMS-805215 の AUC 値の 割合は約5%であり、また、AI447009 試験でダクラタスビル 60 mg を 1 日 1 回、7 日間反復経口 投与したとき、ダクラタスビル曝露量に対するBMS-805215 曝露量の割合は、2.80%(AUC 値を 基に算出)及び3.59%(Cmax 値を基に算出)であった(CTD 4.2.2.4.9)。これらの試験結果から、 BMS-805215 は血中の微量代謝物であり、反復投与後のダクラタスビルに比べて蓄積しないこと が示された。AI444001 試験で、ヒトにダクラタスビル 25 mg を単回経口投与したとき、BMS-795853 は定量下限未満であった。一方、AI447009 試験で、ヒトにダクラタスビル 60 mg を 1 日 1 回、7 日間投与したとき、BMS-805215 のCmax 及び AUC(TAU)値はそれぞれ 57.4 ng/mL及び 370 ng•h/mL であった。 投与量のうちの0.3%及び 29.8%が、それぞれ尿中及び糞便中から代謝物として回収された。未 変化体は糞便中の主化合物で、その量は投与量の 52.5%に相当した。BMS-805215 は糞便中の主 代謝物で、その量は投与量の 15.2%に相当した。その他の代謝物も検出され、その量は投与量の 0.9%~4.0%に相当した。排泄物中から回収された BMS-805215 は、投与量の 15.4%に相当した。 BMS-795853 は投与量の 4.1%に相当した。
ダクラタスビル塩酸塩 2.6.4 薬物動態試験の概要文 Page 25 6 排泄 ダクラタスビルの消失経路としては、糞便中排泄、代謝、胆汁中排泄及び腸内分泌などの複数 の経路が挙げられる。腎クリアランスは、ダクラタスビルの主要な消失経路ではなかった。 6.1 マウス 雄性rasH2 マウスに[14C]ダクラタスビルを 50 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビル のマスバランスを検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.13A、CTD 4.2.2.5.1)。投与後 168 時 間までの放射能回収率は92.4%で、尿中で 1.40%、糞便中では 87.4%が回収された。投与後 24 時 間以内に投与量の81%(総回収率の 88%)が回収された。代謝試験において、投与量の 34%が未 変化体として糞便中に検出されたことから(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)、 糞中排泄がマウスにおけるダクラタスビルの主要な消失経路であることが示唆された。ただし、 糞便中のダクラタスビルの一部は未吸収分である可能性がある。腎クリアランスは、マウスにお けるダクラタスビルの主要な消失経路ではなかった。また、代謝物として投与量の0.8%及び 18.4% がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された。合計で投与量の 19.2%が代謝物として回収されたこと から、代謝クリアランスは、マウスにおけるダクラタスビルの消失に寄与する経路であることが 示唆された。 6.2 ラット 雄性SD ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用量で単回経口投与し、ダクラタスビルの マスバランスを検討した(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.13B、CTD 4.2.2.5.2)。投与後 168 時間 での放射能回収率は96.3%で、尿中で 1.55%、糞便中では 91.1%が回収された。放射能の 74.4%が 投与後24 時間以内に糞便中に回収された。代謝試験において、投与量の 24.5%が未変化体として 糞便中で回収されたことから(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.9A、CTD 4.2.2.4.2)、糞便中排泄が ラットにおけるダクラタスビルの主要な消失経路であることが示唆された。 雄性BDC ラットに[14C]ダクラタスビルを 30 mg/kg の用量で単回経口投与した結果、投与放射 能の1.22%、38.5%及び 42.3%がそれぞれ尿中、胆汁中及び糞便中に投与後 48 時間以内に排泄さ れた(薬物動態試験概要表Table 2.6.5.14、CTD 4.2.2.5.3)。投与量の 11.5%及び 5.3%がダクラタス ビルとしてそれぞれ胆汁中及び糞便中で回収された。代謝物は、主として胆汁中及び糞便中にそ れぞれ投与量の21.8%及び 14.2%が排泄され、尿中には投与量の 0.4%が排泄された(薬物動態試 験概要表Table 2.6.5.9B、CTD 4.2.2.4.2)。このことから、無処置ラットにおける糞便中放射能回収 率91.1%は、代謝物の胆汁中及び糞便中排泄によるものであることが示唆された。 別の試験で、BDC ラットに非標識ダクラタスビルを 5 mg/kg の用量で静脈内投与した結果、投 与後24 時間でダクラタスビルは主に胆汁中(投与量の 29.5%)及び糞便中(投与量の 27.2%)に 排泄され、尿中(投与量の0.49%)にはわずかに排泄された(薬物動態試験概要表 Table 2.6.5.14、 CTD 4.2.2.2.1)。また、投与量の 53%が代謝物(BMS-795853 及び BMS-805215)として胆汁中に 排泄され、糞便中及び尿中にはそれぞれ投与量の5.5%及び 1.65%が排泄された。ダクラタスビル