WG1 基礎知識編
ガイドブック 〜 基礎知識編 〜
INDEX
AR5 Q&A 関連情報 21 4. 気温の上昇 世界の平均気温(→用語解説)についての観測結果から、気候システム(→「2.序章」参照)の温暖化には疑う余地がなく、1950年代以降に観測された 変化の多くは、数十年から数千年間にわたり前例のないものとなっています。 観測結果 ■観測された世界の平均気温の時系列図 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.1 年平均 10年平均 (年) (℃) (℃) 1961 -1 9 9 0 年平 均気 温か らの 偏差 1961 -1 9 9 0 年平 均気 温か らの 偏差 図差し替え済み 文章一部変更 ポイント② ポイント① 1880年から0.85℃上昇 観測結果 ✔ ①1880年(工業化初期)から2012年(現在)までの間に、世界の平均 気温は0.85℃上昇しています。 ②2000年前後から、世界の平均気温の上昇率が緩やかになっています (このような状態を、ハイエイタス(→用語解説)といいます)。主 な理由として、海洋深層による熱の吸収、太陽活動の低下や火山活動 の影響などが挙げられています。 ③最近30年において、世界の10年平均の気温はいずれも1850年以降の どの10年平均の値よりも高くなっています。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 1906-2005年の間に、 世界の平均気温は 0.74℃上昇 (※AR5とは観測期間が 違う) 〈 AR5 〉 1880-2012年の間に、 世界の平均気温は 0.85℃上昇 (年) 1 2p.01
p.02
p.13
p.20
p.27
p.33
p.40
INDEXと本ガイドブックの見方
序章
気候変動の要因
気温の上昇
温室効果ガス濃度
気候の安定化
水循環
2
3
6
7
10
4
5
8
9
1
海洋
雪氷圏
異常気象
付録:用語解説
ガイドブックの見方
各ページの内容について、該当するものに印がつい ています。 AR4との比較や、その項目に関連する 話題などは別途コラムとして解説。 AR5 : AR5で示された内容 Q&A : 伝える場で出そうな質問と答え 関連情報 : 内容に関連する事項p.46
p.58
p.66
p.72
各項目やグラフ内でポイントとなる点は、 赤字で明記。そのポイントをグラフの下 に解説。INDEXと本ガイドブックの見方
2-1 IPCCとは
2. 序 章
IPCCは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在の参加 国は195か国、事務局はスイス・ジュネーブにあります。IPCCでは、人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和 方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、報告書としてとりまとめています。 「第5次評価報告書」(2013年~2014年)は、世界中で発表された9,200以上の科学論文を参照し、800名 を超える執筆者により、4年の歳月をかけて作成されました。■
IPCCとは
■
「IPCC第5次評価報告書」(AR5)公表の流れ
■
これまでに出された評価報告書
第1次評価報告書 (FAR) 1990年 人為起源の温室効 果ガスは気候変化 を生じさせるおそ れがある。 第2次評価報告書 (SAR) 1995年 識別可能な人為的 影響が全球の気候 に現れている。 第3次評価報告書 (TAR) 2001年 過去50年間に観測さ れた温暖化の大部分 は、温室効果ガス濃 度の増加によるもの であった可能性が高 い。 第4次評価報告書 (AR4) 2007年 気候システムの温暖化には疑 う余地がない。20世紀半ば以 降に観測された世界平均気温 の上昇のほとんどは、人為起 源の温室効果ガス濃度の増加 によってもたらされた可能性 が非常に高い。第1作業部会(WG1)
報告書
気候システム及び 気候変動の 自然科学的根拠 についての評価 2014年10月 コペンハーゲン 2013年9月 ストックホルム 2014年3月 横浜 2014年4月 ベルリン第2作業部会(WG2)
報告書
気候変動に対する 社会経済及び自然 システムの脆弱性、 気候変動の影響 及び適応策の評価第3作業部会(WG3)
報告書
温室効果ガスの 排出削減など 気候変動の緩和策 の評価統合報告書(SYR)
WG1~WG3の 報告書と特別報告書 の内容に基づき AR5の最終文書とし て気候変動に関する 総合的見解を提示 IPCC評価報告書の作成には世界中からノミネート された大変多くの研究者の中からIPCCビューローに よって選出・承認されます。 その選出には、各章立てに、研究者の専門性や研 究の質、また全体の地域的なバランス(先進国や、 ある一定の国から執筆者が集中しないようにする 等)を考慮して選ばれます。 日本※2からの執筆者はWG1に10名、WG2に11 名、WG3に10名、SYRに1名、のべ32名です。 執筆者は、基本的に下記のように分類されています。IPCC AR5 執筆者について
※1 統括執筆責任者(CLA) 担当章全体の執筆方針、 編集及び執筆を担当する 代表執筆者(LA) ある章の中の担当部分の原稿を 実際に執筆する 査読編集者(RE) 担当章全体の査読を通し、 編集に貢献する 執筆する 方針を決める 査読するAR5
※1.参考 IPCC WG1国内事務局HP (http://ipccwg1.jp/AR5/writer.html) およびIPCC HP(https://www.ipcc-wg1.unibe.ch/AR5/wg1authors.pdf、 http://www.ipcc-wg2.gov/AR5-tools/WGII-AR5_Authors.pdf、 http://www.ipcc-wg3.de/assessment-reports/fifth-assessment-report/Authors、 http://www.ipcc-syr.nl/index.php/authors-and-review-editors) ※2.執筆者の記載情報がJapan(国籍・国/組織)2-2 気候変動について
2. 序 章
ここでは、気候変動がどのようにして起こるかといったメカニズムについて、基本的な概念や用語を解説します。概念や用語などについては、 “IPCC第4次評価報告書 第1作業部会報告書概要及びよくある質問と回答(気象庁訳)(以下「AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳)」と記載します)”や“気候変動の観測・予測及 び影響評価統合レポート「日本の気候変動とその影響(2012年度版)」(文部科学省、気象庁、環境省)(以下「日本の気候変動とその影響(文部科学省 等)」と記載します。)”などを参考に作成しています。■
気候とは
「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」によると、「気候」とは、一般に 「十分に長い時間について平均した大気の状態」のことと説明されています。長い 期間で平均すると、短期間の変動が取り除かれますので、それぞれの場所で現れ やすい状態と考えることができます。(右図) 気候の地域性や時間的な変化を解析する際の基準として、しばしば「平年値」が 用いられます。世界気象機関(WMO)では、平年値は30年間の平均値として 定義しています。これは、「1世代30年」といわれるように、社会の変化の時間ス ケールが30年程度であるためです。 しかし、気候を定義する時間スケールは様々であり、30年とは異なる平均期間が 用いられる場合もあります。また、どの30年間を用いた平年値であるかも、国や統 計などによって異なるので注意が必要です。□
変動と平均のイメージ
赤線:状態の変動 青線:ある期間における平均的な状態 出典:WMO気候の辞典を基に作成 平均すると短期間の変動が取り除かれる ある期間(十分に長い時間) 期間(年) 例えば、気温( ℃ )など2-2 気候変動について
2. 序 章
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気候変動とは
気候は必ずしも定常的なものではなく、より長い期間で見ると、右図のように 様々な変化が現れます。「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」に よると、このような変動や変化を広く「気候変動」と呼ぶと説明しています。 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」では、人間活動の影響(「人 為的影響」ともいいます。)による気候の変動や変化と自然変動を含む気候 の変化を「気候変動」と記述しています。 「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」などでは、基本的に 人間活動の影響による気候の変動や変化を「気候変動」と記述しており、同じ 用語であっても、出てくる資料、場面、文脈などによって意味が異なる場合があ ります。 本ガイドブックでは、IPCCと同様の意味で「気候変動」という用語を用いていま す。□
気候の変化のイメージ
赤線:状態の変動 青線:ある期間における平均的な状態 出典:WMO気候の辞典を基に作成 (a)平均的な状態がある方向に継続して変化するパターン (b)周期的・規則的に変動するパターン (c)ある時点を境に平均的な状態が大きく変化するパターン (d)平均値は変化しなくても、短期変動の幅が増大または減少するパターン ※注:気象学では、図の(a)のような長期的に一方向の変化を「気候変化」と呼んで、 「気候変動」と区別することもあります。 それぞれ、期間(年) 例えば、気温( ℃ )など (a) (b) (c) (d)2-2 気候変動について
2. 序 章
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気候を決める要因と気候システムについて
気候は、大気の平均的な状態を示すものですが、大気の変化には海洋、陸面、雪 氷などが深くかかわっています。 「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」 によると、 大気、海洋、陸面、雪氷などの相互の関連を一つのシステムとして捉えて 「気候システム」と呼ぶと説明しています。 右図は、気候システムを構成する要素と、相互作用の概念を表したものです。気候 システムに外部から影響(「強制力」ともいいます。)が与えられると、気候は変化し ます。地球規模の気候を決める主な要因には下表のようなものがあります。それぞれ の具体的な仕組み・メカニズムの概要や、用語の意味などについては、本章の解説 (後述)、各章のQ&Aや関連情報、用語解説などを参照してください。□
気候システムを構成する要素と、相互作用の概念図
出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳)□
地球規模の気候を決める主な要因
気候システム 外部からの 影響 (強制力) 主な自然起源 の要因 太陽活動の変動 大気上端で受け取る太陽放射量の変化 地球の公転軌道の変動 火山の噴火によるエーロゾルの増加 地表で受け取る日射量の変化 主な人為起源 の要因 (人間活動の 影響) 化石燃料等を起源とする温室効果ガスの排出 による大気組成の変化 地表面に到達する赤外線の量の変化 森林伐採や土地利用の変化 地表面の反射率の変化、二酸化炭素吸収源の変化など 大気汚染物質(硫酸塩エーロゾルや黒色炭素 など)の排出 地表で受け取る日射量の変化、雲粒径や雲量の変化による雲の反射率の変化 気候システム 内部の影響 熱帯太平洋の海面水温が数年規模で変動するエルニーニョ/ラニーニャ現象や、太平洋十年規模振動などをもたらす、大気-海洋相互作用など 出典:「日本の気候変動とその影響(2012年度版)」(文部科学省等)より作成2-2 気候変動について
2. 序 章
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地球の気温とエネルギー収支について(1/2)
地球全体の平均気温は、地球に入ってくるエネルギー(太陽放射)と、地球か ら出て行くエネルギー(外向きの赤外線放射)の収支によって決まります。 右図は、年平均の地球全体のエネルギー収支(図中の数値は各過程でやり取 りされるエネルギー量)と、人間活動が影響する主な過程(図中の青吹出し) を示したものです。 <エネルギーの流れ> 地球は、太陽からエネルギーを受け取り(①)、そのうちおよそ3分の1は反射 して宇宙空間に戻されます(⑥、※⑥=③+⑤)。残りのおよそ3分の2が地 表(④)や大気(②)に吸収されます。 地表に吸収されたエネルギーは、赤外線として大気に再放射(※注1)されま す(⑨)。また、地表からは顕熱(※注2)(⑦)や水蒸気(⑧)の形でエ ネルギーが放出されます。これらのエネルギーの一部が大気中の分子に吸収され ることで(※②+⑦+⑧+⑩) 、大気は暖められます。 エネルギーを吸収した大気中の分子は、あらゆる方向へ赤外線を再放射し(※ ⑬+⑮)、再び地表面を暖めます(⑭)。この現象を温室効果と呼びます。 大気の主成分である窒素や酸素は、温室効果にはほとんど影響しません。赤外 線を吸収しやすい水蒸気や二酸化炭素などのガスが、温室効果に大きな影響を 与えます。これら大気を暖める効果を持つガスのことを温室効果ガス(※注3) と呼びます。 <エネルギーの収支> どの過程においても、エネルギーの収支が釣りあった状態に落ち着きます。 例えば、 ○地球全体のエネルギー収支 地球へ入ってくるエネルギー(①)=宇宙空間へ放出されるエネルギー(⑥+⑯)※両辺ともに342W/m2 ○大気のエネルギー収支 大気へ入ってくるエネルギー(②+⑦+⑧+⑩)=大気から放出されるエネルギー(⑫+⑬+⑮)※両辺ともに519W/m2 ○地表面のエネルギー収支 地表面へ入ってくるエネルギー(④+⑭)=地表面から出て行くエネルギー(⑦+⑧+⑨)※両辺ともに492W/m2 ※注1:一般に、物体は、その温度が高いほどたくさんのエネルギーを赤外線として放出します。 ※注2:物体の温度を上げるのに使われる熱。地表面による大気の加熱など。地表面温度が地 表付近の気温より高い場合、顕熱は地表面から大気に運ばれる(地表面は顕熱を放 出)。逆に地表面温度が地表付近の気温より低い場合、顕熱は大気から地表面に運ば れる(地表面は顕熱を吸収)。 ※注3:温室効果ガスは、特定の波長域にある赤外線を吸収しやすい分子構造を持っています。①
②
③
④
⑤
⑥
⑦ ⑧
⑩ ⑪
⑨
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳) を元に作成□
地球全体のエネルギー収支(年平均)
2-2 気候変動について
2. 序 章
<気候変動とエネルギー収支の関係> 気候変動は、釣りあった状態のエネルギー収支に大きな変化がもたらされることを 意味します。人間活動による、エネルギー収支への影響の概要を以下に示します。 ○温室効果ガスの増加 温室効果ガスが増えることで、大気中での赤外線の吸収と放出が繰り返される 回数が増えます。そうすると、地表面に到達する赤外線の量も増え、地表面の温 度が上昇します。 ○森林伐採や土地利用の変化 森林伐採や土地利用の変化によって、地表面での太陽放射の反射率が変化し て、エネルギー収支にも変化がもたらされます。また、森林伐採により、森林による 二酸化炭素吸収量が減少すると、大気中にとどまるCO2の量が増え、上記のよう に地表面の温度が上昇します。 ○大気汚染物質の排出 大気汚染物質として、硫酸塩などのエーロゾル(→用語解説)が大気中に増 加すると、これらの物質が太陽放射を直接的に散乱・吸収するので、日射量が 減衰して地表面の温度が下がります(日傘効果)。また、これらの物質は、雲の 凝結核ともなるため、大気汚染物質が増えると雲粒径や雲量が増加することで、 太陽放射の反射率が増加し、日射量が減少して地表面の温度を下げる効果が 表れます。 <放射強制力> 人為起源の要因や自然起源の要因によって、気候変動(地球のエネルギー収 支の大きな変化)が引き起こされます。それらの要因の影響の度合いを放射強 制力といいます。なお、太陽放射と地球大気内の赤外放射のバランスを変化させ るものであることから「放射」という語が、また放射のエネルギー収支が釣りあった状 態から、ずれた状態に押しやられることから「強制力」という語が用いられています。 放射強制力は、通常、「大気上端で測った、地球上の単位面積あたりのエネル ギー変化率」として定量化され、「W/㎡」という単位で表されます。なお、AR5で 示された放射強制力の推定値ついては、「3.気候変動の要因」を参照してくださ い。■
地球の気温とエネルギー収支について(2/2)
2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章
IPCCの第1作業部会では、気象要素等(気温、海水温、降水量等)の観測、観測が開始される以前の気候の記録、気候のメカニズムに関する理論的研究、気 候モデルを用いたシミュレーションなど、独立した様々な科学的分析に基づいた気候変動に関する新たな証拠を示しています。 ここでは、AR5の内容を理解する上で重要な、観測方法、シミュレーションで用いられる気候モデルの内容、評価結果の表現について概要を示します。■
観測方法
地球の気候を理解し、体系的に観測を実施するためには、大気、海洋、陸 地などに対する様々な要素を観測するための技術・システムが必要となります。 例えば、地上設置型の計測器から、船舶、ブイ、海洋計測器、気球、航空 機、衛星にいたるまで、様々な方法を用いることとなります。 右図は、(上)これまでの観測技術の発展過程、(左下)気温の観測 (※)が始まった年、(右下)衛星観測機器の数を示しています。 近年、新たな観測システムの発展により、観測データの精度が向上し、これま で観測データがなかったような場所でも観測ができるようになりました。同時に、 増大した観測データを分析・処理するためのツールが開発され、地球の気候 の全体像を描けるようにもなっています。 また、上記のような観測が開始されるより以前の気候(古気候ともいいま す)の変動の全体像を把握するために、多くの代替データが得られるようにも なっています。(例えば、氷床コア(→用語解説)など。)※GHCN(Global Historical Climatology Network) daily databaseにおける記録
出典:AR5 WG1 Fig. 1.12 気温観測開始年 衛 星 観 測 機 器 の 数 地上計測器(温度、気圧、風、放射、濁度、炭素収支) 海洋観測(海面水温、降水量等) 雲の観測 凧 航空機 オゾンゾンデ 測風気球 ラジオゾンデ ロケット 衛星 航空機(化学組成) 国際地球観測年 (1957 -1958 ) 総オゾン/リモートセンシング 現場観測による大気化学
2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章
■
気候モデルとは
気候システムは複雑なものです。その将来の変化の予測には、気候システムを再現することができる「気候モデル」を使用します。気候モデルとは、気候システムを構成 する大気や海洋などの中で起こることを、物理法則に従って定式化し、計算機(コンピューター)によって擬似的な地球を再現しようとする計算プログラムのことです。 気候モデルでは、世界全体を網の目に区切り、その格子点ごとに気温、風量、水蒸気などの時間変化を物理法則に従って計算(シミュレーション)することにより、将 来の気候変化を予測します。日々の天気も基本的には同じ方法で予測されていますが、気候の将来予測は、100年を超えるような長期間を対象としますので、熱を 長期間蓄積する海洋の流れや、海洋と大気の熱や水などのやり取りが重要となります。このため、これらをうまくコンピューターによって再現することが必要で、これまで多く の力が注がれてきました。 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数の シミュレーション結果 注1:地上気温は1880-1919年の平均からの偏差。 注2:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注3:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6一部抜粋 地上気温(陸地のみ) 地上気温(陸地と海上) (年) (年) 気候モデルを使って、人間活動に伴う温室効果ガスや大気汚染物質の微粒子 (エーロゾル)の濃度を変化させると、将来の人為起源の気候変化が予測で きます。予測の結果の確からしさについては、これまでに起こった気候の変化 (変動)についての観測結果を、気候モデルで再現できるかどうかで確認され ます。 例えば、右図は、自然起源と人為起源の要因を考慮に入れてシミュレーション を行った結果です。自然起源と人為起源の両方の要因を考慮に入れた場合は、 実際の気候の変化に近い結果が得られています。一方、自然起源の要因のみ を考慮に入れた場合は、実際の気候の変化は再現できていません。このように、 過去の気候の変化を再現できることが、将来の気候の変化を予測できる能力 があると考えられる根拠の一つになっています。 (気象庁HP http://www.mri-jma.go.jp/Dep/cl/cl4/ondanka/text/3-1.htmlを基に作成)2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章
左下の図は、直近の35年間における、気候モデルの開発・発展の変遷です。気候システムの構成要素(大気、地表面、海洋など)が段階的に気候モデルに統合さ れていった過程が示されています。図中の円柱の高さは、各要素(例えば、大気)について、モデルで評価できる複雑さとプロセスの範囲を表しており、時間とともに扱 える範囲が増えてきていることが分かります。 右下の図は、(a)現在の高解像度モデル(空間メッシュが87.5km×87.5km)と、(b)現在試験中の超高解像度モデル(空間メッシュが30.0km×30.0km)に よってヨーロッパの地形で表したものです。モデルの解像度も向上していることが分かります。■
気候モデルの開発・発展の変遷
(a) (b) 1970年代 中頃 1980年代 中頃 大 気 地表面 海と海氷 エーロゾル 炭素循環 植 生 大気化学 陸 氷 1970年代 中頃 1980年代 中頃 出典:AR5 WG1 Fig 1.14 出典:AR5 WG1 Fig 1.13 結 合 気 候 モ デ ル2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章
○「確信度」 → モデル、解析あるいは意見の正しさに関する質的な確からしさを表す用語です。“証拠(例えば、データ、モデル、理論、専門家の判 断など)の種類、量、品質及び整合性”と“特定の知見に関する文献間の競合の程度などに基づく見解の一致度”に基づいて、定性 的に表現されます。 ○「可能性」 → はっきり定義できる事象が起こった、あるいは将来起こることについての確率的な評価を表す用語です。 見解一致度は高い High agreement 証拠は限定的 Limited evidence 見解一致度は高い High agreement 証拠は中程度 Medium evidence 見解一致度は高い High agreement 証拠は確実 Robust evidence 見解一致度は中程度 Medium agreement 証拠は限定的 Limited evidence 見解一致度は中程度 Medium agreement 証拠は中程度 Medium evidence 見解一致度は中程度 Medium agreement 証拠は確実 Robust evidence 見解一致度は低い Low agreement 証拠は限定的 Limited evidence 見解一致度は低い Low agreement 証拠は中程度 Medium evidence 見解一致度は低い Low agreement 証拠は確実 Robust evidence 証拠(種類、量、質、整合性) 非常に高い Very high 高い High 中程度 Medium 低い Low 非常に低い Very low 確信度の尺度□
「確信度」の定義(証拠、見解の一致度との関係)
見解の一致度 ほぼあり得ない□
「可能性」の定義
■
IPCCの評価報告書における「確信度」と「可能性」の表現
気候変動の予測は、観測、仮説の設定、実験、コンピューター上でのモデル実験等に基づいて結論を出しますが、それぞれの過程において、不確実性が生じます。 そこで、その不確実性がどの程度、結論に影響を与えるかを考慮し、「結論の確からしさの度合い」を執筆者チームで検討します。 「結論の確からしさの度合い」のうち、質的な確からしさは「確信度」という物差しで表現します。また、確からしさが、量的にも評価できる場合、「(確からしさの)可能 性」という物差しで表現します。AR5 Q&A 関連情報
AR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
AR5では、20世紀半ば以降に観測された気候変動(→「2.序章」参照)は、人間活動の影響(→「2.序章」参照)が主な要因である可能性が極め
て高い(95%以上)ことが示されました。
✔
■
観測結果とシミュレーション結果による気候変動の比較(世界平均)
出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6 一部抜粋 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数のシミュレーション結果 AR4との違い 〈 AR4 〉 気候変動は、人間活 動の影響が主な要因 である可能性が非常に 高い(90%以上) 〈 AR5 〉 気候変動は、人間活動 の影響が主な要因であ る可能性が極めて高い (95%以上)(※結 論の確からしさが向上) 地上気温(陸地のみ) 地上気温(陸地と海上) (年) (年) ポイント 黒線と赤帯 注1:地上気温は1880-1919年の平均からの偏差。海洋貯熱量は1960-1980年の平均からの偏差。 注2:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注3:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 海洋貯熱量貯熱量(
10
22J)
気温
(
℃
)
気温
(
℃
)
気候変動には人間活動が影響
上の図は、観測結果(黒線)と、自然起源(太陽活動や火山活動)の影響 のみを考慮したシミュレーション結果(青帯)、さらに人間活動の影響を加えた シミュレーション結果(赤帯)を比較したものです。「地上気温(陸地のみ)」、 「地上気温(陸地と海上)」、「海洋貯熱量」の全てにおいて、人間活動の影 響を加味しないと、シミュレーション結果と観測結果が合致しないことから、気候 変動は人間活動の影響が主な要因である可能性が極めて高いということができ ます。 ポイント (年)AR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
■
観測結果とシミュレーション結果による気候変動の比較(地域・海域別)
右図は、地域・海域別での、以下の気候変動に対する観測 結果とシミュレーション結果の比較です。 ○各大陸の地上平均気温の変化(黄色いパネル) ※1880-1919年の地上平均気温からの偏差 ○北極と南極の海氷面積の変化(白いパネル) ※1979-1999年の平均海氷面積からの偏差 ○主な海域の海洋貯熱量の変化(青いパネル) ※1960-1980年の平均海洋貯熱量からの偏差 ほぼ全ての大陸や海域で(※)、人間活動の影響を加味し たシミュレーション結果(赤帯)は、観測結果(黒線)をよく 再現しています。一方、人間活動の影響を加味しないシミュ レーション結果(青帯)では、観測結果(黒線)を再現で きていません。 ※南極大陸のように、人間活動の影響の有無の区別が付き にくい地域・海域もあります。 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数の シミュレーション結果 ※グラフの横軸は西暦(年) 注1:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注2:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6 一部抜粋ほぼ全ての地域・海域で、人間活動を考慮しないと観測結果を説明できない
✔
北極 北アメリカ ヨーロッパ アジア オーストラリア アフリカ 南アメリカ 南極大陸 インド洋 南大洋 南大西洋 北大西洋 南太平洋 北太平洋 南極 気温 (℃ ) 気温 (℃ ) 気温 (℃ ) 気温 (℃ ) 気温 (℃ ) 気温 (℃ ) 貯熱量 (10 22J) 貯熱量 (10 22J) 貯熱量 (10 22J) 貯熱量 (10 22J) 貯熱量 (10 22J) 貯熱量 (10 22J) 海氷面積 (1 0 6km 2) 海氷面積 (10 6km 2)AR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
気候変動を引き起こす影響の度合いを放射強制力(→「2.序 章」参照)といいます。右図は気候変動を引き起こす要因と、それ らの1750年を基準とした放射強制力を示したものです。放射強 制力が正(右向き)のものは大気を暖める効果があり、負(左 向き)のものは大気を冷やす効果があります。 この図から、以下のようなことが分かります。 ○人為起源(人間活動)の影響が大きい。 ○二酸化炭素は、気候変動の要因の中で最も影響が大きい。 ○大気中を浮遊する微粒子であるエーロゾル(→用語解説)は、 太陽光を吸収して大気を暖める効果と、太陽光を遮り大気を冷 やす効果があるが、全体としては大気を冷やす効果が強い。 ○要因全体として、放射強制力は正味で正となり、大気を暖める 方向に働く。 ○1750年と比較して、人為起源の放射強制力は年々大きくなっ ている。 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.5 放射強制力大気を暖める効果の強さ
大気を冷やす効果の強さ
大気を暖める要因と冷やす要因
✔
AR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
氷期と間氷期のサイクル
300万年前から、地球の気候は、氷期と間氷期(→用語解説)を規則的に繰り返してきたことが分かってきました。
■
ミランコビッチサイクルの概念図
<氷期と間氷期のサイクルについて> 上記の規則的な周期は、ミランコビッチサイクルと呼ばれ、地球の公転軌道や地軸の 傾きの規則的な変動に関連しているといわれています。 具体的には、次の3つの要因によって、季節ごとに各緯度で受け取る日射量が変化 し、気候も変動します。北半球の大陸の夏季の日射量が、あるしきい値を下回ると、 前年の冬の雪が夏に融けきらず、雪が積もるにつれて氷床が成長を始め、氷期が始 まる要因となり得ることが、多くの研究によって示されています。 ①公転軌道の変化:地球は、楕円形の軌道で太陽を回っており、太陽と近づく距 離が、定期的に変動する。 ②地軸の傾きの変化:約4万1000年の周期で、地軸が22.1度から24.5度の間 を変化するもの。傾きが大きくなると、緯度が高い地域ほど、太陽からの距離が遠く なり、寒くなる。 ③地軸の歳差運動:約2万5800年の周期で、地軸がコマのように首振り運動を行 うもの。 出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳)✔
<次の氷期の始まりについて> 氷期と間氷期は、10万年程度の周期で繰り返しています。前の氷期は約1万年前に終わり、現在は間氷期です。 氷期が始まるしきい値は、日射量だけでなく、大気中のCO2濃度にも依存します。ミランコビッチサイクルによる影響と、大気中のCO2濃度の増加による影響を踏まえて、 次の氷期が始まる時期についてシミュレーションがなされた結果、大気中のCO2濃度が300ppm以上もしくは累積炭素排出量が1000PgC(※)を超えている場合、 およそ5万年以内には次の氷期が始まらないことが示されました。(AR5) ※Pg(ペタグラム):1000兆グラム(10億トン) gC:炭素の重量に換算したものAR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
太陽活動の変化は、気候の変動に影響を及ぼします。例えば、1450年から1850年の小氷期は、太陽活動が弱かった時期と一致します。ただし、この期
間における気温の低下は北半球で1℃未満でした。
■
北半球における過去の気温偏差(1881-1980年の平均気温からの偏差)
<太陽活動の変化の観測について> 太陽活動の変化は、太陽黒点の変化の観測結果などから把握されています。太陽活動が活発化すると黒点が増加し、沈静化すると黒点が減少します。 気温 偏差 ( ℃ ) 小氷期 出典:AR5 WG1 Fig 5.1(b)■
過去1000年の再構築された
全太陽放射照度の偏差
(1976-2006年の平均※からの偏差) 全太陽放射照度偏差 ( W/ m 2) (年) 小氷期 ※1366.14W/m2太陽活動の影響
(年)出典:AR5 WG1 Fig 5.7(a) ※線の色の違いは、 使用している データの違い
AR5 Q&A 関連情報
3. 気候変動の要因
銀河系宇宙からのエネルギー(銀河宇宙線)は、地球の雲の形成に影響を及ぼしており、宇宙線が増えると、低い雲が増え、地球が寒くなるという仮説
(いわゆるスベンスマルク効果と呼ばれるもの)があります。
AR5では、宇宙線と雲量の間の強い関連性は見出されていないと報告しています。
■
銀河宇宙線の概念図
出典:NASA HP http://www.nasa.gov/topics/solarsystem/features/ray_surge.html 超新星爆発に起因する 太陽系外から来る高エ ネルギー荷電粒子。 太陽光とは異なる。 地球に届かず跳ね返され る銀河宇宙線もある宇宙線は雲の量を増やさない
✔
AR5 Q&A 関連情報
AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
世界の平均気温(→用語解説)についての観測結果から、気候システム(→「2.序章」参照)の温暖化には疑う余地がなく、1950年代以降に観測さ
れた変化の多くは、数十年から数千年間にわたり前例のないものとなっています。
4-1 観測結果
■
観測された世界の平均気温の時系列図
出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.1 年平均 10年平均 (年) (℃) (℃) 1961 -1990 年平均気温からの偏差 1961 -1990 年平均気温からの偏差 ポイント ② ポイント ①1880年から0.85℃上昇
観測結果
✔
① 1880年(工業化初期)から2012年(現在)までの間に、世界の平均 気温は0.85℃上昇しています。 ② 2000年前後から、世界の平均気温の上昇率が緩やかになっています(この ような状態を、ハイエイタス(→用語解説)といいます)。主な理由として、 海洋深層による熱の吸収、太陽活動の低下や火山活動の影響などが挙げ られています。 ③ 最近30年において、世界の10年平均の気温はいずれも1850年以降のど の10年平均の値よりも高くなっています。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 1906-2005年の間に、 世界の平均気温は 0.74℃上昇 (※AR5とは観測期間が 違う) 〈 AR5 〉 1880-2012年の間に、 世界の平均気温は 0.85℃上昇 (年)AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
気温の上昇についてのQ&A
4-1 観測結果
Q.
A.
どのようなことから世界が気候変動したことがわかるのか。
大気の上層から深海にいたるまでの複数の独立した気候指標(気温、海水 温、氷河、積雪面積、海氷、海面水位、大気中の水蒸気量など)が、世界 が気候変動していることを知る証拠となっています。世界中の科学者達がそれ ぞれ独自にこれらの証拠について検証を行ってきました。 <観測的証拠の例> ●世界の平地上均気温の上昇が、もっともよく知られた気候変動を表す指標 となっています。 ●船上から観測された海洋上の気温の上昇傾向と、海面水温の上昇傾向は 一致しています。これは、独立した多くの解析によって裏付けられています。 ●気象観測用気球のラジオゾンデ(無線機付き気象観測機器)の観測 データと、衛星による観測データの解析結果は、対流圏の気温上昇を示し ています。 ●1950年代以降の世界の海洋貯熱量の記録は、少なくとも1970年代以 降において、気候システムにより吸収された過剰なエネルギーの90%以上が 海洋に蓄積されていることを示しています。 ●海洋は暖まると熱膨張します。これが、過去一世紀にわたって観測されてき た海面水位上昇の主な要因の一つであるとされています。 ●世界中の氷河の質量は20年以上にわたり毎年減少しています。失われた 氷の質量は、観測された海面水位の上昇に影響していることを示しています。 □ 世界が気候変動していることを知る証拠となる気候的指標出典:AR5 WG1 FAQ 2.1 Fig 1 矢印の方向は変化の符号をあらわします。 氷河の体積 陸域地上 気温 積雪面積 水蒸気量 海氷面積 海上気温 海面水温 海面水位 海洋貯熱量 気温 最下層の数km(対流圏)
観測結果
✔
AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
気温の上昇についてのQ&A
4-1 観測結果
Q.
A.
火山活動の影響で、なぜ気温上昇が緩やかになるのか。
火山噴火が起こると、大気中に二酸化硫黄などが放出され、気体成分の 二酸化硫黄は化学反応により硫酸エーロゾル(→用語解説)となって大 気中に留まります。硫酸エーロゾルは太陽放射の地表面への入射量を減 少させる日傘効果によって、地表面の気温上昇を和らげます。 出典:AR5 WG1 Fig 1.12より一部抜粋Q.
A.
観測結果の図に複数の線があるのはなぜか。
観測結果の図に複数の線があるのは、観測されたデータセットの違いを示し ています。Q.
A.
気温は以前から世界中で観測されてきたのか。
およそ1850年から測器による観測データがありますが、19世紀後半 ごろまでは世界全体のうちで観測データのある地域の割合はそれほど 高くありませんでした。南極大陸で観測が始まった1957年以降、観 測データのある地域の割合は高まっていき、衛星観測が始まった 1980年以降は、ほぼ世界全体で観測が行われるようになりました。 □ 気温の観測※が始まった年 年 ※米国海洋大気庁気候データセンターが整備したGHCN(Global Historical Climatology Network)の気温データ観測結果
✔
AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
4-1 観測結果
日本の年平均気温は、100年あたり約1.14℃の割合で上昇しています。 これは、世界の平均気温が132年で0.85℃上昇しているという観測結果 と比較して、高い上昇率となっています。 AR5でも、ほとんど地球全体で地上気温が上昇していると言及されており、 まさに日本の平均気温も上昇している形となっています。 ※用いているデータは1898年以降継続している気象観測所の中から、都市化による影響が少なく、 特定の地域に偏らないように選定された15地点のデータです。なお観測地点は次のとおりです。 網走、根室、寿都(すっつ)、山形、石巻、伏木(高岡市)、飯田、銚子、境、浜田、彦根、 宮崎、多度津、名瀬、石垣島。(2015/2/6時点確認)□
日本における年平均気温の1981〜2010年平均からの差
出典:気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html 細線(黒):各年の平均気温のz基準値からの偏差 太線(青):偏差の5年移動平均 直線(赤):長期的な変化傾向 基準値は1981~2010年の30年平均値日本の平均気温も上昇している
観測結果
✔
■
日本における年平均気温
AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
気候モデル(→「2.序章」参照)によって予測された21世紀末の世界の気温は、どのようなシナリオ(→用語解説)を想定しても、現在より上昇する結
果となっています。
4-2 将来予測
■
世界の平均気温の変化の予測
(1986〜2005年平均を基準とした変化)■
21世紀末における年平均気温変化の予測
(1986〜2005年平均を基準とした変化)出典: AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.7(a)、 Fig SPM.8(a) 過去の期間のモデル結果 (℃) 年 非常に多くの気候変動対策 が取られた場合 有効な気候変動対策が 取られない場合 2081-2100年 平均 予測値
21世紀末に最大で4.8℃上昇
将来予測
ポイント ① RCP8.5では21世紀 末に最大4.8℃上昇 ポイント ① RCP2.6では21世紀 末に最大1.7℃上昇 ポイント ② 地域差がある✔
① 21世紀末(2081-2100年)までに世界の平均気温は、有効な気候変 動対策が取られないシナリオ(「RCP8.5」といいます)では2.6~4.8℃上 昇する可能性が高いと予測されています。非常に多くの気候変動対策が取 られた場合のシナリオ(「RCP2.6」といいます)でも0.3~1.7℃上昇する 可能性が高いと予測されています。 ② 気温の上昇量は、地域によって異なります。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 21世紀末までに 1.1~6.4℃上昇 (SRESシナリオを使用) (※AR5とはシナリオと対 象期間が違う) 〈 AR5 〉 21世紀末までに 0.3~4.8℃上昇 (RCPシナリオを使用)AR5 Q&A 関連情報
4. 気温の上昇
4-2 将来予測
Q.
A.
北極で気温上昇率が高いのはなぜか。
北極は氷で覆われています。雪氷は太陽光を反射しやすく熱を吸収しにくい特性がありますが、気温の上昇により雪氷が融けることで、太陽光の反射率が 低下します。これにより雪氷が融けてなくなったところが太陽光を吸収しやすくなり、周辺を暖めます。すると、さらに雪氷が融けて、太陽からの熱吸収が大き くなっていくという現象が進行していくため、気温の上昇率が高くなります。この現象を“雪氷-アルベド・フィードバック”といいます。Q.
A.
陸地と海で気温の上昇率が違うのはなぜか。
陸地と海では比熱や熱容量が違うため、気温の上昇率も違います。陸地は温まりやすいですが、海は温まりにくいという性質があります。また、海で盛んな 蒸発は、海水が蒸発する際に周囲の熱を奪う作用により気温を上がりにくくする働きがあります。そのため陸地と海では気温上昇率が異なってきます。気温の上昇についてのQ&A
将来予測
✔
AR5 Q&A 関連情報
AR5 Q&A 関連情報
5. 温室効果ガス濃度
大気中の二酸化炭素(CO
2)、メタン(CH
4)、一酸化二窒素(N
2O)といった温室効果ガスの濃度は、少なくとも過去80万年間において前例のな
い水準まで増加しています。
観測結果
■
大気中のCO
2濃度の変化
ポイント ② 他の温室効果ガスの 濃度も増加出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.4(a)
ポイント ① CO2濃度は 40%増加 CO 2 濃度( ppm ) (年) 赤線:マウナロア観測所(ハワイ州) 黒線:南極点
二酸化炭素(CO
2
)濃度は工業化以前と比べて40%増加
観測結果
✔
① 大気中のCO2濃度は、人間の活動によって1750年以降増加し続けており、2011年には391ppm※1に達しています。これは、工業化以前と 比べて40%高い水準となっています。濃度増加の主な要因は、化石燃料の燃焼やセメント生産によるCO2の排出と、森林伐採や土地利用の 変化によるものとされています。 ② CH4濃度やN2O濃度についても、CO2濃度と同様に増加し続けており、2011年にはそれぞれ1803ppb※2、324ppbに達しています。これら は、工業化以前と比べてそれぞれ150%、20%高い水準となっています。 ※1. ppm:100万分の1を表す単位。1㎥の大気中に1c㎥の気体が含まれる状態。 ※2. ppb :10億分の1を表す単位。1㎥の大気中に1m㎥の気体が含まれる状態。 ポイントAR5 Q&A 関連情報
5. 温室効果ガス濃度
温室効果ガス濃度についてのQ&A
観測結果
Q.
A.
工業化以前の温室効果ガス濃度はどの程度だったのか。
大気中のCO2、CH4及びN2Oの濃度につい て、右側のグラフは工業化以降(1750年 以降)の観測結果、左側のグラフは工業化 以前(0-1750年)の観測結果を示してい ます。 グラフにおけるカラーのプロットは氷床コア(→ 用語解説)などの測定結果で、近年におけ る実線は直接的な大気の測定結果です。 例 え ば 、 CO2に つ い て は 工 業 化 以 前 は 280ppm程度であったことが分かります。 (年) CO 2 濃度( ppm ) CH 4 濃度( ppb ) N2 O 濃度( ppb ) 出典:AR5 WG1 Fig 6.11 1750年~2011年:工業化以降 0年~1750年:工業化以前 278ppm観測結果
✔
722ppb 271ppbAR5 Q&A 関連情報
5. 温室効果ガス濃度
温室効果ガス濃度についてのQ&A
観測結果
出典:AR5 WG1 FAQ 6.2 Fig1
観測結果
✔
Q.
A.
CO
2は大気中に放出された後にどうなるのか。
大気中に放出されたCO2は、以下のような過程を経て再び大気 中に放出されます。 ①大気、海洋表層、植生(植物)の間に急速に分配される。 ②その後、炭素は土壌、深海、岩石といった、地球規模の様々 な炭素貯蔵庫の間を非常にゆっくりと移動し続ける。(地質プ ロセスによる炭素の移動) 放出されたCO2の総量に応じて、その15~40%が最大2000年 間、大気中に残ります。その後に大気、陸域生物圏、海洋の間 で新たなバランスが確立されます。また、地質プロセスによる炭素の 移動は数万年から数十万年以上をかけて行われます。 そのため、現在の大気中の高いCO2濃度と、それに関連した気候 への影響は、将来において非常に長い期間続いていきます。AR5 Q&A 関連情報
5. 温室効果ガス濃度
温室効果ガス濃度についてのQ&A
観測結果
※1 Gt:10億トン(1Gt=1Pg) tC:炭素の重量に換算したもの [ ]内の数値は、観測データによる不確実性の幅 排出起源 (内訳) GtC/年※1 (1)人為的CO2排出量 化石燃料の燃焼 + セメント生産からの排出 8.3[7.6~9.0] 土地利用変化からの排出 0.9[0.1~1.7] 計 9.2 (2)自然によるCO2吸収量 海洋による吸収 2.4[1.7~3.1] 陸域生態系による吸収 2.5[1.2~3.8] 計 4.9 CO2収支=(1)-(2) ※大気に蓄積する量 4.3 □ 大気中のCO2収支 (2002~2011年の1年あたりの平均) 出典:AR5 WG1 Table 6.1を基に作成観測結果
✔
Q.
A.
CO
2の排出量と吸収量の収支はどの程度か。
2002-2011年の期間における1年あたりの平均CO2収支 は右の表の通りです。人為的なCO2排出量の方が自然によ るCO2吸収量を大きく上回っており、大気中にCO2が蓄積し ていることが分かります。 な お 、AR4 で示された 1990 年代にお けるCO2収支(以 下)に比べて、大気へ蓄積する量が増加しています。 [ AR4 ] (1)人為的CO2排出量 :8.0 GtC/年※1 (2)自然によるCO2吸収量 :4.8 GtC/年 CO2収支=(1)-(2)= 3.2 GtC/年AR5 Q&A 関連情報
5. 温室効果ガス濃度
観測結果
2013年5月にハワイのマウナロア観測所で観測された大気中の日平均CO2濃度は、1958年の観測開始以来初めて400ppmを超えました。 マウナロア観測所は、産業活動などの影響を受けにくく、最も長期間観測を続けてきたので、ここからのデータは気候変動の観測における重要な指標となっています。 日本におけるCO2濃度の月平均値も、2013年以降、国内3地点(綾里、南鳥島、与那国島)で毎年400ppmを超えるようになりました。また2013年の年平 均値、2014年4月の月平均値ともに、過去最高を更新しました(下表)。CO2濃度は、植物による光合成(CO2を吸収して酸素を放出する)が活発になる春 から夏にかけて減少し、夏から翌春にかけて増加するという季節変動を示しますが、年平均の値は上昇してきており、近い将来、年平均としても400ppmを超える見 通しです。■
日本におけるCO
2濃度
3地点とも2013年以降は速報値 出典: 気象庁HPから作成(2014/12/15作成データ) http://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/co2_monthave_ryo.html http://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/co2_monthave_mnm.html http://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/co2_monthave_yon.html □ 陸上(大気中)のCO2濃度 出典: 気象庁HP http://www.jma.go.jp/jma/press/1405/26a/2014co2.html □ CO2濃度の月平均値変化 □ 各観測地点 出典: 気象庁HPから一部抜粋 http://www.jma.go.jp/jma/press/1405/26a/2014CO2.pdf日本のCO
2
濃度も400ppmを超え始めた
観測結果
✔
CO 2 濃度( ppm ) (年)AR5 Q&A 関連情報
AR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
二酸化炭素(CO
2
)の累積排出量と気温上昇は比例
人為起源のCO
2の累積排出量が、世界の平均気温の上昇を決定づける大きな要因となっています。
将来予測
■
世界全体のCO
2累積排出量と平均気温の上昇量の関係
(※)Gt : 10億トン t-CO2:二酸化炭素の重量に換算したもの tC:炭素の重量に換算したもの 1t-CO2=44/12tC 1870年以降の人為起源のCO2の累積総排出量(Gt-CO2※) 1861 ~ 1880 年平均と比較した気温変化( ℃ ) ポイント CO2累積排出量と 気温上昇は比例 赤帯:CO2以外の温室効果ガスの 効果も含めた場合の予測 灰帯:CO2のみの増加を 想定した場合の予測将来予測
✔
CO2の累積排出量と世界の平均気温の上昇量はほぼ比例関係にあります。シミュレーション結果の幅はありますが、気温の上昇を一定の値に抑え るにあたって、今後排出できるCO2の総量が決まります。例えば、世界の平均気温の上昇を、産業革命以前から2℃未満に50%超の確率で抑え るには、温室効果ガスの累積排出量の上限が820GtC程度と予測されています。2011年における温室効果ガスの累積排出量が515GtCに達 していますので、2℃未満に抑えるためには、あと305GtC程度の排出が上限となります。 ポイント 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.10AR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
二酸化炭素(CO
2
)の排出を止めても気候変動は何世紀も続く
人間の活動によるCO
2の排出が完全に止まっても、数世紀にわたり地上気温は高いままであり、海洋の温暖化も何世紀もわたり続くと考えられています。ま
た、海の熱膨張による海面水位の上昇も何世紀も続くため、2100年以降も世界平均海面水位が上昇を続けることはほぼ確実とされています。
将来予測
■
CO
2排出量の変化とそれに伴う大気中のCO
2濃度、地上気温、海洋の熱膨張量の変化
(P g C /年 ) 1986 -2005 年平均 からの 差 (℃ ) (年) (年) CO2排出量変化 (p p mv ) 大気中のCO2濃度変化 (年) (年) 海洋の熱膨張による海面水位の変化 世界平均地上気温の変化 出典:AR5 WG1 Fig 12.44 ポイント ① 2300年以降はCO2 排出量をゼロにする ポイント ① CO2濃度は徐々に下がる ポイント ② 上昇した気温は ほぼ一定 ポイント ③ 熱膨張は 長期間続く 熱膨張による海面水位上 昇量 (m ) ※2300年の気温の急速 な低下は、モデル計算 にてCO2排出量ととも に、すべてのCO2以外 の強制力も排除したた めに生じている将来予測
✔
① 2300年以降にCO2排出量をゼロにすると、それ以降は徐々に大気中のCO2濃度が下がっていきます。 ② 排出量がゼロになっても上昇した気温はなかなか下がらず数世紀続くと考えられています。 ③ 排出量がゼロになっても、海洋の表層から深層への熱の輸送は非常に長い時間を要するため、海洋の温暖化は何世紀も続き、これにより熱膨 張が大きくなるため、何世紀も海面水位の上昇が続くことがほぼ確実とされています。 ポイント ※ 破線は工業化以前のCO2濃度を示すAR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
将来予測
Q.
A.
今、人類が温室効果ガスの排出を止めたら将来の気候はどのようになるのか。
人為的な温室効果ガスの排出によって生じる気候変動の大部分については、数百 年から千年規模で不可逆的なもの(進行を止めることができないもの)です。 <気温の上昇について> 右の図は、「温室効果ガスの排出を止めた場合(青帯)」、「温室効果ガスの排出 量を現状の水準で排出し続けた場合(赤帯)」及び「放射強制力(→「2.序章] 参照)(温室効果ガス濃度を現状の水準で)一定とした場合(グレー帯)」の、 世界平均地上気温の上昇量のシミュレーション結果です。 人為的な温室効果ガスの排出を止めた場合でも(青帯)、温室効果ガスの放射 強制力はガスの寿命とあわせて、ゆっくりとしか減少しません。また、地球の気候システ ムの応答はさらに遅くなります。つまり、地球の気温は、温室効果ガスの濃度変化に 迅速には応答せず、何世紀にもわたってほぼ同じ程度の温度に保たれます。なお、人 為的な温室効果ガスの排出を止めると、硫酸塩エーロゾルのような、太陽放射を反 射することにより負の放射強制力(大気を冷やす影響)をもつ物質も排除することと なり、結果的に大気や地表面による太陽放射の吸収量が増加することで、一時的に 地球の気温が上昇することが予想されます。 世界 平均地上気温の上昇量( ℃ ) (年) アンサンブル平均の幅: 温室効果ガスの排出量を 現状の水準で排出し続けた場合 温室効果ガスの 排出を止めた場合 放射強制力(温室効果ガス濃度を 現状の水準で)一定とした場合出典:AR5 WG1 FAQ 12.3 Fig1 <その他の気候変動について> 海面水位の上昇や氷床の応答は、温室効果ガスの排出を止めた場合に気温が応答する時間よりも、さらに長い時間がかかります。また、これらを含む気候 システムには、重大な気温上昇量のしきい値や、突発的、不可逆的な変化が存在するかもしれません。 例えば、「ある気温上昇量(=しきい値)」を超えた状態が続くと、1000年以上の時間をかけてグリーンランド氷床はほぼ完全に消失します。これに伴い、 世界の平均海面水位が7m程度上昇すると考えられています。 そのしきい値の見積もりは工業化以前と比較して、約1℃より大きく、約4℃より小さいとされています。
気候の安定化についてのQ&A
将来予測
✔
AR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
将来予測
出典:気候変動リスク情報創生プログラムHP http://www.jamstec.go.jp/sousei/jp/research/theme_b.html CO2を人工的に 除去する方法 (CDR法) 太陽放射を 管理する方法 (SRM法)気候の安定化についてのQ&A
将来予測
(AR5 WG1 SPM E.8及び杉山昌広(2012)気候工学(ジオエンジニアリング)の研究開発とガバナンスに関する海外動向の分析, 電力中央研究所報告書から作成)✔
Q.
A.
技術的に気候変動の影響を軽減させることはできないのか。
ジオエンジニアリングと呼ばれる、気候変動の影響を軽減するために意図的に気候システムを改変する方法も提案されています。ジオエンジニアリングには大きく二 つの手法があり、一つは太陽放射を管理する方法(SRM法:Solar Radiation Management)で、もう一つはCO2を人工的に除去する方法(CDR法:Carbon Dioxide Removal )です。
SRM法は、太陽の入射光を減少させることにより、地球規模の気温上昇を軽減させることができる可能性があります。しかし、地球規模の水循環を変化させて しまい、また、CO2の排出を抑制する手法ではないため、海洋へ吸収されるCO2により生じる海洋酸性化の進行を遅らせることはできません。もし、SRM法の使 用を止めてしまうと、温室効果ガスによる放射強制力と一致する値まで、世界の平均気温が急激に上昇します(高い確信度)。 CDR法は、CO2を大気から取り除くことで、放射強制力を下げる方法です。しかし、費用が高く、また効果が表れるまで数十年を要し、即効性がないことが指摘 されています。一方で、CO2を直接除去できるため、温度上昇のみならず、海洋酸性化の進行を抑えることが出来ます。 SRM法とCDR法は、気候システムに意図しない副作用や長期的な影響をもたらします。しかし、どの程度の影響を与えるかについて、十分な評価がまだできてい ません。
AR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
将来予測
出典:AR5 TS Fig.TS.19 一部抜粋 AR5で使用されたシナリオRCP8.5とRCP2.6のCO2排出量の予測を見てみると、有効な気候変動対策が取られない場合のRCP8.5と、非常に多くの気候変動対策 を取った場合のRCP2.6では、将来の排出量に大きな差が出ています。 下のグラフを見るとRCP2.6の場合は2050年頃には、CO2排出量が1990年の量から半減し(下図矢印部分)、21世紀末には排出量が0~マイナス(大気中か らCO2を除去)(下図破線円)となっています。RCP2.6のような非常に多くの気候変動対策を取ると、気温上昇を2℃未満に抑えることができる可能性があります。■
化石燃料からのCO
2排出量の予測
RCP8.5 (有効な気候変動対策が取られない場合) 破線:IAM(統合評価モデル)による予測 実線及び陰影:CMIP5の地球システム統合モ デルによる予測 RCP2.6 (非常に多くの気候変動対策を取った場合) 化石燃料から の CO 2 排出量 ( PgC /年 ※) ※Pg(ペタグラム):1000兆グラム(10億トン) gC :炭素の重量に換算したもの RCP CO2排出経路 (ppm) (年) CMIP5平均 IAM平均気温上昇を2℃未満に抑えるには、RCP2.6のような対策が必要
将来予測
✔
AR5 Q&A 関連情報
6. 気候の安定化
将来予測
出典 気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/deep/deep.html■
海洋深層大循環の模式図
気候変動による影響には、気温の上昇量に応じて徐々に大きくなるものと、あるしきい値 (ティッピングポイント→用語解説)を超えると急変をもたらすものがあります。後者の例として は、以下のようなものがあります。(「日本の気候変動とその影響」 (文部科学省・気象 庁・環境省)より) 海洋深層大循環とは、北大西洋のグリーンランド沖や南極周辺で、低温・高塩分のために 密度の高い海水が深層まで沈み込み、1000年ほどかけて世界の海洋を一周する流れで す。気候変動により海水温が上昇することと、高緯度で降雨が増加することなどで海水の 塩分濃度が下がることによって、密度が軽くなります。これにより、北大西洋の海水の沈み 込む量が減少し、海洋深層大循環が弱まるのではないかと考えられています。 AR5 WG1では、大西洋の深層循環の変化傾向を示す観測上の証拠はないと報告して います。大西洋の深層循環の予測については、AR5 WG1によると、深層循環が数十年 規模の自然変動により強まる時期があるかもしれないが、21世紀を通じて弱まる可能性 は非常に高いとされています。また、21世紀中に突然変化または停止してしまう可能性は 非常に低いものの、21世紀より後の将来については、確信度は低いが、大規模な温暖化 が持続することで大西洋の深層循環が停止してしまう可能性を否定することはできないと 報告しています。■
海洋深層大循環の停止
グリーンランドの氷床については、一定の値を超える気温(※AR5では、工業化以前より1~4℃程度上昇した状態とされています)が続くと、雪氷-アルベド・フィード バック(→「4.気温の上昇」参照)によって、1000年あるいはそれより長期間をかけて氷床がほぼ完全に消失すると予測されています。■
グリーンランドにおける氷床の不安定化
青帯:深層流 赤帯:表層流 (参考:気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/deep/deep.html)気候の急激な変化について
将来予測
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AR5 Q&A 関連情報
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