英和辞典の話
著者 神崎 高明
雑誌名 エコノフォーラム21 : 学生と教職員のインターコ
ミュニケーション誌
号 22
ページ 41‑41
発行年 2016‑03‑16
URL http://hdl.handle.net/10236/00026218
Econo Forum 21/No.22 41
シリーズチャペル<人間を考える>
私の高校時代と言えばほぼ
1936 新増補版は年︵昭和 1915英社︶︵初版は年︵大正4年︶︑ 秀三郎の﹃熟語本位英和中辞典﹄︵日 た辞書がもう一冊ある︒それが斎藤 典であった︒その先生から推薦され おり︑高校生にはぴったりの学習辞 文型などが分かりやすく表示されて 1967辞典﹄︵年︶であった︒動詞の されたばかりの研究社の﹃新英和中 D先生から︑勧められたのが︑出版 なった英語の先生にD先生がいる︒ 前のことであるが︑当時お世話に 50年も にとっては︑高価な辞書であった︒ 1,500定価は円とある︒当時の高校生 1966年に発行されて︑開いてみると︑ その辞書は今も私の手元にあるが︑ られたとおりに︑それを購入した︒ 波書店発行︶であった︒D先生に勧め 11年︶に岩
購入後しばらく使ってみたが︑内容が高校生のレベルをはるかに超え ていたので︑途中で使うのを止めてしまった︒その後︑大学に入ってから︑何度か斎藤の英和中辞典を引いたことがあったが︑それ以降
なっていた︒ りの間︑本棚の奥にしまったままに 40年余 2012年︵平成
前に書かれた辞書であるので︑今で 100 名で校注作業を始めた︒何分年 生と私とあと2人の研究者の合計4 き受けることにした︒そして︑八木先 ある名前である︒私はこの仕事を引 郎と言えば︑高校時代から馴染みの という連絡をいただいた︒斎藤秀三 出版するので︑手伝ってくれないか︑ 岩波書店から斎藤中英和の校注版を 100年になるので︑それを記念して 2015和﹄と呼ぶ︶が発行されて年で 本位英和中辞典﹄︵今後︑﹃斎藤中英 教授︶から︑斎藤秀三郎氏の﹃熟語 克正先生︵現在︑関西学院大学名誉 24年︶の秋頃︑八木 確認できたことは収穫であった︒ れだけ変化しているかということも 100を比べると︑この年で英語がど い︒斎藤中英和と現代の英語の辞典 は古いと思われる記述や表現も多
斎藤中英和で挙げられている例文は︑彼がこれまで読んできた英書からの引用が多いが︑シェークスピアと聖書からの引用が極めて多いことは驚くほどである︒また︑斉藤中英和の編集に当たっては︑特にCOD︵︶を参考にしているということもわかった︒たとえば︑be anxious about︵心配する︶とbe anxious to︵切望する︶の意味の区別は︑COD の初版で説明されている︒斎藤はその区別を︑彼の辞典の中に取り込んでいる︒その斎藤の説明を他の学習辞典や学習参考書が引き継いでいくという具合にして︑この意味の差異が日本の英語教育界の 中に浸透していったと考えられる︒このように斎藤経由で多くの成句や構文が︑日本の学習英和辞典や参考書に引き継がれていくのである︒
斎藤の弟子に︑山崎貞と言う人がいた︒
がれていくのである︒■ 英和辞典や学習参考書の中に受け継 英文法の中の重要構文として多くの では︑若干の修正を施されて︑学習 用例は︑山崎貞の﹃新々英文解釈﹄ を養ふが如し︶という斎藤中英和の ︵読書の精神を養うこと食物の血液 the mind what food is to the blood. Reading is to のである︒たとえば︑ 中で紹介され︑一般に広まっていく 要構文は︑弟子の山崎貞の参考書の である︒斎藤中英和の中に現れる重 などの受験参考書の著者として有名 ﹃新々英文解釈﹄﹃新自修英文典﹄ 前に聞き覚えがあろう︒山崎貞は 60歳代以上の人ならばこの名