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第一原理計算を用いたZnS:Mn ?バルク及びナノクラ スターの電子状態解析

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Academic year: 2022

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(1)第一原理計算を用いたZnS:Mn ?バルク及びナノクラ スターの電子状態解析 著者 URL. 軍司 隆友己 http://hdl.handle.net/10236/12686.

(2) 2013 年度 修士論文要旨. 第一原理計算を用いた ZnS:Mn2+バルク及びナノクラスターの 電子状態解析 関西学院大学大学院理工学研究科 化学専攻 小笠原研究室 軍司 隆友己 【緒言】 ZnS:Mn2+ 蛍光体は,ディスプレイデバイスや蛍光試薬として応用が期待されており,多数の基礎, 応用研究が報告されている。Mn2+ のイオン半径 0.8 Å は,Zn2+ のイオン半径 0.74 Å に近く,同じ電荷 を持っているため,Zn2+ と Mn2+ の半径と原子価のマッチングによって高い溶解度を持つことが知ら れている 1) 。しかしながら,現在に至るまで,ZnS:Mn2+ 蛍光体の発光メカニズムに関しては,蛍光量 子収率やドープしたイオンの発光寿命などの不明な点や不確かな結果が数多く存在している。 これは, ナノクラスター中の不純物の位置が,全体の粒子の光物性に深く影響し,不純物イオンの蛍光メカニ ズムがより複雑になるためである。そのため,どのようなクラスターモデルが正しいかを判断するた めには,より多くの実験結果を必要とするのが現状である。しかし,将来の新規材料の開発と発展の ためには,結晶構造とドーパントイオンのエネルギー準位の関係に対する理解を深める事が重要であ り,それらを理解することによって,単分散させるためのより簡単で単純な合成方法を見つけること が出来,ナノクラスター表面の性質を上手く説明できるという報告もなされている 2)。本研究では、 これまでに報告されてきた結果を踏まえ,第一原理計算手法を用いて,ZnS:Mn2+蛍光体のクラスター モデルとエネルギー準位の関係について研究を行った。 【計算手法】 ZnS:Mn2+ナノクラスターの安定構造を調べるために,図 1 の置換型構造と内包型構造の 2 つのモデ ルを考えた。置換型モデル ( Zn13S14:Mn ) では,一つの Zn を一つの Mn で置き換えた。内包型モデル ( Zn14S14:Mn2+ ) では,籠型の安定化したモデルの内側 に Mn2+を一つ配置した。Zn13S14:Mn2+ ナノクラスター の場合,置換する Zn のサイトは 14 箇所存在する。そ のサイト全てに①~⑭の番号を付け,番号順にそれぞ れのサイトの Mn を置換したモデルについて,構造最 適化計算を行った。内包型モデルでは,系の中心位置 に Mn2+原子を配置して構造最適化計算を行った。原子 を変えた場合にどのような結果になるかを調べるため, 同様の計算を Mn の代わりに Cu をドープした Zn14S14:Cu2+ に関しても行った。 図 1 Zn14S14 ナノクラスターと Zn14S14:Mn2+ ナノクラスター計算モデル.

(3) 【結果と考察】 まず、置換型モデルの結果について考察し、交換相関ポテンシャルによる影響について考えた。図 2 の左図と右図を比較する事で,Mn サイト番号に対する固溶エネルギーの傾向を見つけることは出来 なかった。しかし,同様の比較を Zn13S14:Cu 固溶エネルギーについて行うと,Cu サイト番号に対する 固溶エネルギーに類似した傾向が見られた。 次に,内包型モデルについて考察を行い、束縛エネルギーと固溶エネルギーそれぞれに対して,不 純物がイオンの場合と原子の場合を考えた。 Zn14S14:Mn と Zn14S14:Mn2+に関する図 3 の束縛エネルギーを見ると,交換相関ポテンシャルに関わ らず Mn2+の方が Mn よりも安定であった。同様に,Cu をドープした場合の束縛エネルギーを見ると, Cu2+の方が Cu よりも安定であった。以上の束縛エネルギーの計算結果から,不純物が籠型構造の中 心に入る内包型モデルの場合,Mn,Cu 共にイオンの状態の方が安定である事が示唆された。 一方、図 3 の固溶エネルギーを見ると,交換相関ポテンシャルに B3LYP を用いた場合,Mn2+の方 が Mn よりも安定であり,PBE を用いた場合 Mn の方が Mn2+より安定であるという異なる結果を示し た。しかし,Cu をドープした場合の結果を見ると,交換相関ポテンシャルに関わらず Cu2+の方が Cu よりも安定であった。交換相関ポテンシャルに PBE を用いた Mn をドープした場合の固溶エネルギー の計算結果のみ,内包型モデルの中心に含まれる不純物元素がイオンでなく,原子の状態のほうが安 定であるという結果を示した。以上の計算結果から,一般的には不純物が籠型構造の中心に入る内包 型モデルの場合,Mn,Cu 共にイオンの状態の方が安定である事が示唆された。. 図 2 Gaussian03 による Zn13S14:Mn 固溶エネルギー計算(それぞれ B3LYP(左)と PBE(右)を使用) Mn atom. Mn atom. Mn2+ Mn2+ 束縛エネルギー. 固溶エネルギー. 図 3 Gaussian03 による Zn14S14:Mn と Zn14S14:Mn2+ の束縛エネルギー及び固溶エネルギー計算 (それぞれ B3LYP(左)と PBE(右)を使用). 1) W. Wang and F. Huang, Y. Xia and A. Wang, J.Lum. 128, 610 (2007). 2) H. Hu and W. Zhang, Opt. Mater. 28, 536(2006) ..

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参照

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