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オーストリアにおける近代的地上権の成立

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(1)⁝二. 上 原 由起夫. −一九一二年地上権法を中心としてー. オーストリアにおける近代的地上権の成立. 論. オーストリア地上権法の内容と性格. 近代的地上権の成立過程. 序. 一. 二. 三. 結語. 1 地上権法における地上権規制 2 近代的地上権の成立と地上権法. 四. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(2) 論. 早稲田法学会誌第一三巻︵一九八○︶. 序. 三四. 一八一一年に成立したオーストリア一般民法典︵>凝o目o営8ω薗茜o岳畠$080言ど畠︵以下ABGBと略す︾︶の土 ︵1︶. 地所有権規定は︑その後の時代の変遷により変質して行った︒一八四八年九月七日の土地解放令では分割所有権とし ︵2︶. ての農民の土地所有権規定が解体して﹁自由な所有権﹂が誕生し︑一九一六年の第三次一部改正法では土地所有権制限 ︵3︶. としてイ︑・・シオーソ規定が加えられたのであった︒同時にこの改正法にょる︑いわゆる所有者抵当の採用など担保法. との関連も問題となってきた︒こうした土地所有権の変質の過程において︑所有権対用益権の関係の考察は欠くべか. らざる意義を有するが︑本稿の対象としては︑地上権がとりあげられる︒制限物権としての地上権は︑元来ABGB. に存在しなかった制度であり︑住宅問題解決手段として︑一九一二年の地上権法において誕生するのである︒ここに. オーストリアにおける近代的地上権が成立したと考えられる︒本稿では︑こうした近代的地上権がどのような過程を. 経て成立したかを辿り︑さらに︑その地上権は地上権法においていかなる規制を受けているかを︑一九一九年ドイツ. 地上権令とも対比することにより明確にし︑ドイッ地上権令と共通の性格及び︑オーストリア地上権法の特殊性を浮. かび上がらせることにより︑オーストリアにおける近代的地上権の成立を論ずることにする︒ 和五三年︶二九頁以下︵以下﹁上原・分割所有権﹂として引用する︶︒. ︵1︶上原由起夫﹁オーストリア民法典と近代的所有権の形成ー分割所有権とその解体を中心としてー﹂阜稲田大学大学院法研論集一七号︵昭. 四一頁以下︵以下﹁上原・イミシオーン﹂として引用する︶︒. ︵2︶上原由起夫﹁オーストリア民法典における所有権制限の展開ーイミシオーン規定を中心としてー﹂早稲田法学会誌三〇巻︵昭和五五年︶一. ︵3︶上原由起夫﹁オーストリア抵当制度の展開と﹃投資抵当権﹄⁝抵当権発達のシェーマとの関連を中心としてー﹂早稲田法学会誌二九巻︵昭.

(3) 近代 的 地 上 権 の 成 立 過 程. ︵1︶. 和五四年︶六一頁以下︵以下﹁上原・抵当制度﹂として引用する︶︒. 二. ︵3︶. ︵4︶. ︵2︶. ABGBに規定されていた永小作︵田98算︶︑永借契約︵国3N一鴇く窪寅αq︶︑ボーデンチソス︵ω&o震一霧︶という. ︵5︶. ︵6︶. 分割所有権規定が︑一八四八年九月七目の土地解放令で解体した後︑他人の土地の上に建物を保有する権利は︑地下 ︵7︶. 室権︵内亀R8︒窪①︶とω后R鑑庄冨8のような個々の地方にのみ普及しており一般的意義のないものしか存在しなく なったのであるo. ︵8︶ 一九〇〇年施行のドイッ民法典︵BGB︶においては︑ω昌o魯9霧が新しい形態において再び導入されて︑第一〇 ︵9︶ 一二条から第一〇一七条までに規定され︑地上権︵甲げびきお︒窪︶と名づけられた︒それは︑ ﹁他人の土地の表面上 ︵10︶ または表面下に工作物︵ゆ雲毛o詩︶を有しうべき譲渡・相続可能の権利﹂である︒しかし︑この権利は実用的意義が ︵11︶ 少ないと考えられ︑形式的なわずかの規定だけに限られたのである︒. ところが土地改革運動︵切o留糞無9ヨぽ毛畠臣αq︶により︑地上権は住宅事情の改善に適した手段とされた︒つまり. 中産階級の資金の少ない層に対して敷地取得のための支出をせずに自分の家を所有することを可能にさせることにな. ︵13︶. ったのである︒他方︑土地所有者である地方自治体も建築資金を費さずにすみ︑しかも土地を譲渡してしまわないの ︵12︶ だから︑後に地価高騰による利益を確保できたのである︒この動ぎは︑ドイッ帝国内で︑地上権規定の発展の要求を. 三五. 促進した︒そして︑オーストリアでも地上権を制定しようという願望を喚起したのであった︒それは次のような経過 オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(4) 早稲田法学会誌 第 三 一 巻 ︵ 一 九 八 ○ ︶. を辿ったのである︒. ︵14︶. 三六. 貴族院委員会の副委員会がABGB改正審議に従事していたとぎに︑住宅改革に関与している中央官庁は︑地上権. をABGB改正法に採用してほしいという請願書を提出したのである︒これにより︑一九〇八年にはアソケートがな ︵15︶. され︑それに基づいて︑地上権を扱う副委員会草案第一〇三条から第一一四条が成立した︒しかし︑ABGB改正法 ︵蛎︶. ︵17︶. の完成が遅れたために︑フランツ・クライン︵即きN逐①ど︶は︑地上権を扱う改正草案規定を独立の法律草案として ︵18︶. 提出し︑国会で可決された︒ここに︑一九二一年四月二六日の地上権に関する法律︵Ooωo貫ぎ目8︒︾℃邑お旨ぴ・−. 幕薗a号の浮ξ︒︒算︶が成立したのである︒後に詳しく検討することになるが︑こうしてオーストリアにおいて近 代的地上権が成立したのである︒. こうしてオーストリアにおける近代的地上権の成立過程を辿ってみると︑最初はABGB改正法の中に地上権規定. がとりこまれるはずだったのであるが︑地上権制度に対する要求が緊急なものだったがゆえに特別法として成立した. のであった︒このような事情から考えてみても︑この制度はABGBの物権制度の研究にとっても欠くべからざる意 義を有すると思われる︒. この二年後︑オーストリアは第一次世界大戦に突入し︑そのさなか︑一九一四年から一九一六年にかけて三次にわ ︵19︶. ︵21︶. たるABGB一部改正法が公布されるのである︒そして︑一九一八年一一月一一日︑ハプスブルク帝国は崩壊し︑オ ︵20︶. ーストリアは民主共和国となったのである︒. この後︑オーストリア地上権法を手本として︑一九一九年一月一五日の地上権に関する命令︵<R簿爵舅αq昏段号の.

(5) 甲喜塁おo奔<o糞﹄●冒蒙巽お這●︶が︑ドイッにおいて成立するのである︒このドイッ地上権令に及ぼしたオー. ストリア地上権法の影響については︑従来︑日本では指摘されていなかったことであり︑この点からして︑オースト. リア地上権法の考察はドイッ地上権令の研究に対しても寄与するものと考える︒そこでいよいよ︑このオーストリア 地上権法の内容と性格について︑論究されることになる︒. ︵1︶以下の史実は︑主として匹きαq︸区o旨旨⑦旨震溶ヨ≧凝︒旨︒ぎ窪げ旨αqΦ岳魯窪08卑昏8F日●ω伽こ一〇貫ω﹂8やによる︒. 地の表面を利用する利用所有権を採用している﹂. ︵O一〇蒔9Uo葺の3霧零一毒賃03. 目国辞ご099①旨︸づヲG︒︶として︑このボーデ. ︵2︶ギールケは︑︸勧旨訂ξ9浮..の叙述において︑﹁オーストリア法典第一二一五条︑第二四七条︑第コ五〇条は︑地代と引き替えに土. これらの分割所有権規定の内容については︑上原・分割所有権三八頁以下参照︒. ︵昭和四四年︾八五頁︶︒ABGBのボーデンチンスの内容及び条文の和訳については︑上原・分割所有権三九頁ー四〇頁︑四四頁︑四六頁参. ンチンスをあげている︒高島教授は︑ボーデンチンスをオーストリアにおける地上権と把握される︵高島平蔵﹃近代的物権制度の展開と構成﹄. 照︒. ︵3︶. ︵鈴木・前掲書八○頁︶とか︑. ︵昭和三七年︶一八三頁以下参照︒. ﹁正確﹂. ︵篠塚昭次﹃土地. ︵5︶他人の家屋中に地下室囚色段を所有する権利ー家屋全体の共有ではなく︑地下室だけを独立に所有する権利︵鈴木禄弥﹃借地法上巻﹄︽昭. ︵4︶ 上原・分割所有権五二頁︒. 囚一弩σ ︒︺鉾鉾○こω﹂8●この権利の内容はよくわからない︒. 和四六年︾七九頁︶︒. も后①強9窃︑.の分析として︑篠塚昭次﹃借地借家法の基本問題﹄. ︵7︶一く蜀轟し寓︵一︒. ︵6︶. ︵8︶. ︵9︶ ︸勧普ぎ霞o︒導︑.の訳としては﹁世襲建築権﹂とした方が﹁原義に忠実である﹂. 三七. 所有権と現代﹄ ︵昭和四九年︶二一三頁︑なお一〇一頁参照︶だといわれている︒我妻栄﹃債権各論中巻一︵民法講義V︶﹄︵昭和三二年︶三九. 三頁以下は﹁世襲 建 築 権 ﹂ と 訳 し て い る ︒ ︵10︶ 山田晟﹃ドイツ法概論H民法・民事手続法︵新版︶﹄︵昭和四八年︶一入二頁︒. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(6) 早稲田法学会誌第=二巻︵一九八O︶. 三八. 立法者の予期に反し︑地上権は大都市︑ライヒの国庫︑ラントの国庫︑県公法組合︑私の産業組合及び財団等により住宅建築に盛んに利用され. ︵ 1 ︶立法者は地上権は実際上ほとんど利用されないだろうとの予想のもとに︑民法中に簡単な規定を設けたにすぎなかったが︑その後の実際は 1. ︵昭和二四年︾六六頁ー六七頁︶︒. るにいたった︒地上権がひろく一般に行われるにいたると︑民法の簡単な規定のみではきわめて不完全なことが痛感されるにいたった︵山田晟. 肉一きαq︼費鉾Oこ鉾一〇一︐. ﹃ドイツ物権法概説﹄ ︵12︶. 下参照︒. 牢きN盛①ぎ︵一八五四ー一九二六︶. ABGB改正作業については︑上原・抵当制度七三頁参照︒. ウィーン大学教授︑司法大臣︑国務大臣等歴任︒オーストリア民事訴訟法典. ︵13︶ ドイツにおける動きについては︑大西泰博﹁近代ドイツにおける地上権制度の考察﹂早稲田社会科学研究一七号︵昭和五二年︶一七四頁以. ︵14︶. ︵15︶ フランツ・クライン. この改革は︑一九一一年の住宅費高騰︵譲9壼眞韓①垢歪眞︶に直面して非常に緊急と思われたので︑貴族院は直ちに改正草案の構成か. ︵一八九八年︶編纂︒. ︵16︶. なお︑ウィーンのカフェと住宅不足の関係について︑次の記述は興味深い︒﹁十九世紀を通じて︑また現在にい. ら解放して特別の法律草案の対象にした︵ピ肖窪巽①ぎGo監蚤昌留︒︒3冨畦①一魯ぎ募昌巴蒔虫窓ぎ窪汐一養幕魯黄いω穿︶ド国似5Pω㌣. たるまで︑ウィーンの住宅不足は容易ならぬものであった︒ウィーンの労働者階級の住宅は︑質量ともにいつも不十分であった︒ア︒ハートは陰. 0︒ω謹.︶︒ 魯Φ導9一登一380. 気で十分な暖房ができなかったので︑この薄汚く寒い居問からいつも逃げ出す必要があり﹂そのために暖かく陽気なカフェが軒を連ね︑﹁一杯の. コーヒーやワインで︑世界中の新聞を読みながら一日を過ごす﹂のである︵S・トゥールミン/A・ジャニク﹃ウィトゲンシュタインのウィー ン﹄藤村龍雄訳︵昭和五三年︾三七頁︶︒. 終結規定︵第二〇条︶であり︑現在では第三章は削除されている︒. 一九一二年地上権法は︑四章二〇個条より成り︑第一章私法規定︵第一条乃至第一二条︶︑第二章手続︵第一三条︑第一四条︶︑第三章. 登記料法規定︵第一五条乃至第一九条︶︑第四章. ︵17︶. ﹁旧永小作関係. ︵評韓巴︸U器︾浮鎧お︒窪﹂三閃窃3畠亀け︷驚牢弩N. オーストリアの地上権は︑ドイツと異なり︑植萄普ぼξ8窪︑.ではなくて︑と野霞9浮︑.である︒り葛ぴ..を抜いたのは︑. と永借関係︵醇d壱8筥U二包国3昌一零Φ跨巴盲誘①︶の余韻を避けるため﹂である. ︵18︶. 不可決ではないので︶bき..がついてないのであり︑オーストリアの揚合はクラインによると︑. ご田霞9窪.︒という名称は﹁含蓄がなく︑要. o ・︶︒スイス民法典︵ZGB︶は役権の一種として︸勧き話︒寓︑︑であるが︑これは相続性が 困のぎ豊︒︒①ぎo旨8・O害鐸旨の叶おρお其90︒①︒.

(7) 冨. 領を得ず︑誰も気に入らぬものであり︑思いとどまらせようとしたがだめだった﹂ということである︵評茸無鉾穿○;ψ窓o︒︾5旨面︶︒な. お︑クラインは︑オーストリア地上権法はドイツ民法典︵BGB︶の娘法︵↓o畠8霞9導︶だとし︑それゆえ一葛き鼠賃①︒誓︑︑とするのが正し. このドイツ地上権令を日本にいちはやく紹介した文献として︑栗生武夫﹁ドイツに於ける地上権法の改正﹂法学論叢一五巻三号︵大正一五. o野 o︒一〇ご O︒︒o﹃蜂N①さω鶉魯①筒①o一一 お①oo︶ω︒一G M療器αq︾餌 . 勲 ○ こ G. ︵昭和五二年︶二〇四頁︒. かったと言う︵〆一①一7U器$冨崔9畠冨9①国旨富賃OO窪﹂三閏轟自囚蛋P閃亀Oロ\くO旨毎α⇔隻︾象悉9①\ωユ①8︸H切山こぢ曽︾ψ輯co︑︶︒. ︵20︶. ︵19︶矢田俊隆﹃ハプスブルク帝国史研究ー中欧多民族国家の解体過程ー﹄. ︵飢︶. ︵取引法研究会レポfト︶法律時報五一巻一号︵昭和五四年︶ニニ九頁以下参照︒. ︵昭和三〇年復刊︶一七五頁以下参照︒なお︑公共的な住宅政策推進という面から紹介した最近の文献として︑村田博史﹁公的住宅. て. 年︶一四二頁以下がある︒条文の和訳については︑神戸大学外国法研究会編﹃現代外国法典叢書③独逸民法皿物権法﹄︹於保不二雄執筆︑高木多 喜男補遺︺ 分譲の際の土地利用権設定i地上権の再評価の試み﹂. 三 オーストリア地上権法の内容と性格. ︵1︶. 地上権法における地上権規制. オーストリア地上権法の内容と性格を明らかにするために︑まず︑この地上権法において︑地上権についてどのよ. うな規制がなされ︑それが近代的地上権といえるものであったかをたしかめ︑それとともにドイッ地上権令との異同. ︵2︶. ︵昭和一九年︶の﹁第四章. 地上権. 永小作権. 第︸節. 地上権﹂. 三九. ︵四四〇頁以下︶の四五〇頁以下による︒. をみてゆくことにする︒ドイッ地上権令との比較の便宜のために︑山田晟教授がドイッの地上権についてなされた分 類に従うことにする︒. 山田晟﹃ドイツ物権法上巻﹄. ︵1︶条文については︑帝国法律公報第三三号によって和訳した︒ ︵2︶. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(8) ﹀. ︵. ︵3︶. ︑︑︑︑. ︵4︶. 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八O︶. 1 地上権の性質 ︵5︶. 地上権法の地上権は制限物権である︒前述のボーデソチソス. ︵6︶. 四〇. ︵7︶. ︵ω&窪恩霧︶ のような利用所有権︵分割所有権︶で. はないのである︒そして︑譲渡・相続が可能である︵地上権法第一条第一項︶︒ ︵8︶. ︵10︶. ︵ABGB第二九八条参照︶︒これによ. ︵9︶. 地上権は権利であって物ではないが︑地上権法ではこれを不動産として扱っている︵地上権法第六条第一項︶︒権 利を不動産として扱うことは︑ABGBの体系において特別のことではない. り地上権は︑負担︑抵当権︑役権︑物的負担︑賃貸借契約︑先買権等の目的物となる︒ ︵3︶ ドイツについては︑山田・前掲書四五〇頁以下参照︒. の意味しかないし︑後述の地上権法第五条第二項第二段の規定により︑順位留保の必要はなく︑結局その点では所有者が地上権者であることは. ︵4︶ 逐きαq曽勲鉾ρ︶ω﹂8︐そこで︑クラングは他物権ということを強調している︒所有者の権利として地上権を設定することは順位留保. 四四六条の混同規定及びその改正については︑上原・抵当制度七〇頁︑七三頁参照︒. 無意味なのである︒しかし︑地上権が土地所有者に譲渡され︑所有者地上権︵匹αq窪呂ヨ巽富旨︒︒寓︶になることは可能である︒ABGB第一. ︵5︶ドイツ地上権令第五条第︸項は︑地上権の譲渡を土地所有者の許可にかからしむることを可能だとする︵山田・前掲書四五一頁︶︒. ﹁法律﹂︽例として︑地上権法第六. ﹁地上権は不動産とみなされる﹂と規定する︒ドイツでも地上権を土地と同様に取扱っている︵山田・前掲書四. ︵6︶地上権法第一条については後に詳述する︒. ABGB第二九八条は︑. ︻一き単勲釦.○二ψ一8.. 五︸頁︶︒. ︵7︶地上権法第六条第一項は︑. ︵8︶. 条︑鉱業法第四九条︾⁝引用者︶により不動産と宣告されないならば︑動産に算入される﹂と規定する︒. ﹁権利は︑不動産の占有と結び付けられないか︑又はラント憲法︵今日では︑. ︵9︶. ︵10︶ 団年曾N毛①剛σq︶塑餌●O二ω●ωooρ.

(9) ︶. 2. ︵11︶. 地上権の内容. ω 法定の内容 地上権法第一条第一項は︑ ﹁土地は︑地表の上又は下に工作物を有しうべき物的な︑譲渡.相続可 ︵12︶. 能の権利を負担しうる︵地上権︶﹂と規定する︒このように︑地上権は土地の表面上又は表面下に工作物を有しうべ. きことをその内容とする譲渡・相続可能の物的な権利である︒ ︵13︶ 工作物︵ωき譲Φ蒔︶とは住宅︵≦9昌窪ω︶に限らず︑工場又は他の建築施設︵例えば鉄道︶でもよい︒記念. の. 碑︑橋︑陸橋︑農業付属建築物︑小川の水面の突ぎ出し建築物とアーチ︑工場煙突︑タービソ小屋︑水道施設など ︵14︶. ︵15︶. ﹁土地又は建物と結びつけられており︑その典型的な目的規定によれぽ︑動かないのであり︑さらに土地自身の単な. る改造にその本質が存してはいけないところの製作物﹂である︒地表下では︑地下室やトンネルが考えられている︒ ︵16︶ しかし︑建物の一部︵特に個々の階︶に限定した地上権は設定することができない︵地上権法第一条第三項︶︒ ︵17︶ ︵18︶ 公園又は小公園の建設のために地上権を設定することはできない︒農園も︑それだけではだめである︒それゆえ︑ ︵19︶ 竹木を有するための地上権は認められないと解することができる︒. ︵鎗︶. 口 地上権は工作物を﹁有しうべき﹂︵蟄富び窪︶権利である︒地上権を設定しないで他人の土地上に工作物を設 ︵20︶ 置すると附合によって工作物は土地の一部となり︑土地所有権は工作物に及ぶこととなる︒これに反し︑地上権の設 ︵21︶ 定を受けて工作物を設置した場合には工作物は土地に附合せず︑地上権の従物︵N仁α⇔魯警︶となる︵地上権法第六条. 第一項︶︒従って︑地上権者が工作物の所有権を取得することになる︒この構成によって︑工作物の所有権を土地所. 四一. 有権から分離するのである︒もっとも︑この場合の従物は︑本来の意味の従物︵℃︒三ま醤曽Z害窪の8富︶でなくて︑ オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(10) 早稲田法学会誌第=二巻︵一九八○︶. ︵23︶. 四二. N但譲8富すなわち独立していない構成部分︵毒ω︒一げω猷&蒔R浮馨き窪亀︶と解釈すべきだといわれている︒こうし ︵24︶. ︵25︶. て︑工作物は常に必然的に地上権の法律上の運命に従うのである︒なお︑ドイッでは︑工作物は地上権の同体的︵本 質的︶構成部分︵毛o︒︒o昌岳畠R浮馨き鼻巴︶である︒. 地上権設定以前から土地に存在する工作物の所有権も地上権者が取得する︒ ︵1 1 ︶ドイツについては︑山田・前掲書四五二頁以下参照︒. ︵12︶ドイツ民法典︵BGB︶第一〇一二条とドイツ地上権令第一条第一項は全く同一の規定であるが︑﹁物的な﹂︵島眞一一畠︶という語は入っ. 国ぼ①目ミ包幹穿鉾○こ¢o︒胡.しかし︑地上権を採用した立法目的からすれば︑何よりもまず住宅が考えられている︵困きσqも︑鉾ρり. ていない︒. 沫一弩αqり餌 9 P O こ ω ● 一 8 ︒. ω﹂8φ︶︒. ﹁土地の地表下及び表面の利用についての現行諸規定は影響を受けない﹂と規定. ω 一〇P︶︒なお︑ここでエーレンツヴァイクが﹁鉄道﹂をあげているのは︑その重要性からいって興味深い︵上原・イミシオーン一六九頁参. ︵13︶. 照︶︒ ︵14︶. ︵15︶訳一磐αq﹄﹄.○こω﹂O撃なお︑地上権法第一二条は︑. ﹁地上権を建物の一部︑特に一つの階のみに制限することは禁止されている﹂と規定するが︑これはドイツ民法. するので︑地上権法公布時にすでに存在する地下室の法律関係については何も変わらない︵匹きσQも﹄●O. ︵16︶地上権法第一条第三項は︑. 鉾鉾○こω.一〇Go・. 国ぼ窪望δ一αQ︶p︒勉︒○こψoo誤.. 区一魯αq. 典︵BGB︶第一〇一四条及びドイツ地上権令第一条第三項と同一の規定である︒. ︵18︶. ︵17︶. 頁︶が︑オーストリアでも同様である︒. ︵19︶ドイツでは︑植物はいかなる意味においても工作物ではない︒従って︑竹木を有するための地上権は考えられない︵山田・前掲書四五二. とらない日本の地上権は異なっていることは周知の通りである︒この原則を規定したABGB第二九七条については︑上原・イミシオーン一四. ︵2 0︶ ・iマ法の﹁地上物は土地に従う﹂︵の唇①良島窃鴛δ︒aδの原則による︒この原則を排除するのが地上権であり︑それゆえこの原則を.

(11) 六頁注︵6︶参照︒. ごN&卑黛飢窃膨壁誘o誉霧.︑と︸k&魯黛︑.に直している︵国ぼ窪摯︑①郵鋤■騨Oこ9鵠P︶︒. と呼ぶとのことである︵溶昌8びご器毘αq︒ヨ色づo窪顔①注900霧醇Nぎ︒F藁>焦rぢミの第二九四条の注︶︒なお︑エーレンツヴァイク. ︵21︶ドイツでは︑従物はごN旨筈酵..であるが︑オーストリアでは︑従物︵N黄魯警︶のうち︑狭義の従物を学問上はたいてい︾N号魯酵... は︑地上権法第六条の記述において︑. o O.ABGB第二九四条は︑﹁従物︵N¢αq魯酵︶は︑ある物と永続的な結合に置 閣ぼ︒薫≦①一鵬も聾●○こω90︒︒. ︵2 2︶地上権法第六条第一項は︑﹁地上権は不動産とみなされ︑地上権に基づいて取得されたか又は建造された工作物は地上権の従物︵浮αQ3警︶ とみなされる﹂と規定する︒. かれるものである︒それが同一物から分離されない限りは︑ある物の浮憩8募のみならず︑それなしに主物が利用されえないか又は法律ある. ︵23︶︻一きαqu螢●空Oこω﹂8. いは所有者が主物の永続的利用のために定めたZのげ雰ω8訂も︑それに属する﹂と規定する︒. 地上権は工作物の維持をする権能だけを有する︒このため︑公園︑小公園︑農園などのために地上権を設定する. ︵26︶. ︵25︶ 国窯の昌N類①蒔w餌・鉾○こω.ω謡甲訳鼠口撃鉾鉾○こ¢一8︒. ︵鍛︶ 山田・前掲書四五三頁︑鈴木・前掲書八一頁︒. 渇. ﹁地上権は︑工作物自. ︵27︶. ことはでぎないことはωωですでに述べたところである︒しかし︑地上権法第一条第二項は︑ ︵28︶. ﹁建物に適用される諸規定は地上権に. ﹁工作物の所有者の権利と︑地上権契約において別段の合意がない限りは土地の. 身のために必要でないが︑工作物の利用について利益が存する土地の部分にも及ぶ﹂と規定する︒この例として︑庭 と中庭があげられる︒. なお︑地上権法第六条第二項は︑. 用益者︵Z暮§陣9段︶の権利が︑地上権者に帰属する﹂と規定し︑第三項は︑. ︵29︶. 準用される﹂と規定する︒しかし︑クラングは︑用益者にふさわしい利用権が地上権者に随意に与えられていないか. 四三. ら︑この規定の構成は地上権法の個別規定と矛盾しており︑注目すべぎものではないと批判する︒エーレソツヴァイ オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(12) 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八○︶. ︵30︶. この規定により︑地上権者は更地を無制限に享受するだろうと述べる︒. しなければならない︒ ︵認︶ 囚一き璽2︒●鉾○こω●一8. 国ぼ窪N毛包鯨鉾鉾○. ψωo︒06ABGB第五〇九条は︑. ︵29︶ H︵一き僻卑鉾O二〇〇の一8.. ︵30︶. ︵31︶. ︵32︶. 四四. ドイッ地上権令第二条は土地所有者と地上権者の問の合意の一連の対象を列挙し︑この合意は登. る権利である﹂と規定する︒. 契約上の内容. ﹁果実享受︵牢・一畠9一〇嘗夷︶は︑他人の物を実体をいたわって無制限に享受す. 工作物が経済上主たる物たるかぎり︑地上権は工作物の利用に必要でない土地の部分にも及ぶ旨を定める︵山田・前掲書四五五頁︶ことに注意. ドイツ地上権令第一条第二項は︑これに一歩をすすめ︑地上権の法定の内容として︑土地の利用が工作物の利用に利益を与えざる時といえども. 用に利益を与える時は︵たとえば︑庭は建物の利用に利益を与える︶︑契約によって地上権の内容をかかる土地の部分に拡張しうると規定し︑. ︵27︶なお︑この点についてドイツではすでに民法典︵BGB︶第一〇ニニ条において︑地上権の契約上の内容として︑土地の利用が工作物の利. ︵26︶ 凶一聾αq曽鉾鉾○こω︒HOGo︒. クは︑. ︶. 轍. ︵33︶. 記することにより地上権の内容となしえ︑物権的効力を有する︒しかし︑オーストリア地上権法にはこのような明示. 的規定がないので︑この約定は地上権の物的負担として登記を必要とするということが主張されている︒だが︑土地. 所有者と地上権者の相互の権利義務についての契約約款は一般土地登記法︵>一蒔︒目︒冒$9§3ま富αqo8言︵以下G ︵34︶. BGと略す︾︶第五条にょり登記簿中の登記の構成要素とみなされなければならず︑この意味で地上権の内容に属さな ければならない︒. オーストリア地上権法には︑これについての明示的規定はない︒ドイツについては︑山田・前掲書四五五頁以下参照︒. ︵3 2︶ 山田・前掲書四五五頁ー四五六頁︒. ︵31︶.

(13) ︶. 3. ﹀. 国ぼo養填︒西穿費O. ωる蕊引昼弩箏鉾穿ρ︾ωレSの特別の合意が︑住宅援助︵名oぼ毒暢︷驚8茜①︶に役立つ︒一定の期間内に工. 物を作るべぎこと︑良い状態で維持すること︑火災保険をかけること︑公務員︑労働者︑戦争傷病兵︑子だくさんの家族など一定の種類の借. ︵3 3︶. 作. 家人にのみ貸すこと︑家賃を一定の仕方で算定すること︑適切な理由なしに使用賃貸借を解約告知しないこと︑宿泊者を禁止することなど. ω.一ミ●. ︵36︶. 地上権は権原︵艮芭︶と取得方式︵穿≦oぴ巨αq器δによって成立する︒. 内一餌⇔叩鉾帥 9 0. ︵国﹃話⇒N妻㊤σq︶ ま こ ● ︶ ︒. ︵謎︶. ︵35︶. 地上権の成立. ︵37︶. ﹁地上権は登記によって︑土地の負担として成立する﹂と. 権原︒地上権の権原は地上権契約︵浮弩8窪ωお葺謎︶のみである︒地上権契約については形式自由︵3§ヰ甲. ω 地上権の設定. イ. ︵38︶. 取得方式︒登記であり︑地上権法第五条第一項は︑. 富ごが支配する︒ 口 規定する︒. ︵39︶. オーストリアでは︑﹄琶島9琶&窃8ε一お注一︑︑理論を採用しているから︑このように権原と取得方式が必要な ︵40︶. のであり︑この点︑ドイッの地上権は合意と登記によって成立する︒もっともドイツ地上権令では︑ドイッ民法典. ︵BGB︶とは異なり︑合意に>亀一器ω巨αqのような形式を要しないことに注意すべきである︒おそらく︾焦一器霊轟. 四五. ﹁地上権は土地登記簿主要部の一部に記載することはできない﹂と規定し︑第三. の不合理性が認識されたためではないだろうかと推測する︒. 地上権法第五条第二項第一段は︑. オートスリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(14) ︵41︶. 四六. ﹁登記された地上権のために特別の土地登記簿用紙が開設されなければならない︒地上権者に対する. 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八○︶. 段︑第四段は︑. ︵42︶. すべての登記は︑この用紙中でなされなけれぽならない﹂と規定する︒結局︑土地登記簿中に︑地上権は二度登記さ. ドイツについては︑山田・前掲書四五八頁以下参照︒. れるのである︒ ︵35︶. ︾oo︒ωお惨︶︒. 取得時効に帰着するので地上権権原としては問題にならず︑地上権取得の権原として考慮される法律規定は存在せず︑裁判所の言渡による地上. ︵36︶囚一き寧餌る●ρ∪ω﹂9●遺言による成立は︑地上権設定者の範囲を顧慮して除外されており︑取得時効は︑権利行使の内容から所有権の. 囚一即βαq︶簿●鉾○ ω﹂O. 山田・前掲書四五八頁︒. この理論については︑上原・抵当制度六七頁⁝六八頁参照︒. ︵7 3︶. 権設定は考えられない︒従って︑地上権契約が地上権取得の唯一の権原である︵内一帥罐﹂ぼ身︶︒. ︵38︶. 山田・前掲書四五八頁︒. ︵39︶. なぜならば︑地上権は特別の不動産とみなされる︵地上権法第六条第一項︶からである︵国ぼ①自毛巴σqも9鉾ρ ︒●. ω.o︒﹃o. ︵如︶. 国ぼΦ葭毒①一騨鉾勲○. 地上権法第五条第二項第二段の規定により︑. ︵44︶. 順位において地上権に優先してはいけない﹂のであり︑ 地上権は常に第一. ﹁金銭支払に向けられているか︑ 又は地上権の目的. ︵41︶. ︵姐︶. 鋤 地上権の順位. ︵43︶. に対立している担保権及び他の負担権は︑. 山田・前掲書四五八頁︒. ︵45︶. 鉾 ○こω.ω刈O甲. 順位となる︒ 地上権の担保性︵融通性︶の促進にとって重要である︒登記されない法定担保権も︑ 地上権の登記の前. に消滅させられなければならない︒. ︵必︶. ︵43︶ 国富⇒αq 助●帥︒○こω9一〇刈脚国ぼ①昌N類①蒔︶餌9.

(15) 条件及び期限. 条件付地上権︒地上権法第四条第一項は︑. ﹁同様に︑不動産について支払われるべき税︑付. ﹁地上権は解除条件により制限することはできない﹂と規定するの. ざ話︶は職権をもって抹消されなければならない﹂と規定する︒. が証明されたときだけ︑地上権の登記は許可される︒この証明が通知の了解後六〇目以内に裁判所に提出されないならば︑申請の登記︵︾昌目零. ればならない︒このような請求権が通知されたならば︑申請者は決定によって通知を受けなければならない︒通知された請求権の支払又は保全. と規定する︒地上権法第一四条は︑﹁要請期限内に先取特権を享受する請求権が通知されなかったならば︑遅滞なく地上権登記が判決されなけ. 下位になる︒要請されるべきことは︑地上権登記申請中に申告されなければならない︒決定は被要請者自身の手に送達されなければならない﹂. は︑その請求権を一四日以内に裁判所に通知するよう要請されなければならない︒これに反した場合は︑登記されうる地上権より順位において. 加税︑財産譲渡税︑その他の公租の定めと取立に任命された機関は︑この税が土地登記簿に登記された担保権の前に先取特権を享受する限り. から第五六条までによる順位の登記︵︾p跨震ざ詣︶の効果を有する﹂と規定し︑第二項は︑. と存在する証書によって許可されうるならば︑まず土地登記簿に登記されなければならない︒この登記︵︾昌旨①詩信昌oq︶は︑GBG第五三条. ︵45︶屋きαqいρ勲○ ω碁OSなお︑ここで﹁手続﹂の紹介をしておく︒地上権法第ニニ条第一項は︑﹁地上権登記の申請が︑土地登記簿状況. 川m. イ. ︵妬︶. で︑ドイッ地上権令第一条第四項前段と同様に解除条件付きで地上権を設定することはできない︵ドイッ民法典︵B. ︵妊︶. GB︾の地上権は条件付きで設定することがでぎた︶︒地上権の担保性︵融通性︶を困難にしてはいけないというの. ︵銘︶. ︵犯︶. ﹁地上権は︑三〇年未満及び八○年を越えて設定することはできな. がその理由である︒しかし︑地上権の最長期間と最短期間の間で︑両当事者に解約告知権︵囚ぎ臼讐鑛霞8窪︶が帰. 期限付地上権︒地上権法第三条第一項は︑. 属しうる︒. 口. 四七. い﹂と規定し︑存続期間を三〇年以上八○年以下としている︒ドイッ地上権令には存続期間についての規定がないこ オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(16) 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八○︶. 四八. とと対比して注目すべき規定である︒オーストリア地上権法は何故に存続期間をこのように限定したのか︒その理由. を探らなければならない︒まず︑最短期間の確定は︑分割払抵当︵>9魯ε轟魯巻o爵魯︶の採用と︑地上権の存続. に似た隷属関係︵>げ蕊罐蒔ざ富毒浮霧三ω︶を防止する要請の. 期間に建築費の逐次償還︵>目o註ω毘9︶を可能にする目的のためであり︑次に︑最長期問の確定は︑地上権の本質と. ︵50︶. は関係がなく︑臣従結合︵d導9感鉱αqぎ器ぎき弩α︶. みに起因しているとのことである︒この点について立法者は︑最短期間については︑地上権は不動産権として扱われ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. るべきであり︑抵当権の目的にされるべきであり︑工作物を他人の土地上に一時的に建てるには使用賃貸借契約で配. 慮されうるからという理由で︑短期の地上権を除外することを望んだのであり︑最長期間については︑分割所有権が ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ︵51︶. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. 永久の地上権の形態において再び息を吹き返すべきではないし︑土地所有者は永続して単なる地代取得だけに制限さ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ︵53︶. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ﹁長期の地上権に対する警戒の態度﹂が示されているのであり︑ここには. ﹁所有権の完全性︑弾力. れるべきでないということで規定したとのことである︒最長期間を八○年に法定したことが︑あの分割所有権に対す. ヤ. ︵52︶. る反情であったということは特に興味深く思われる︒この点をとらえてみると︑そこでは︑. ヤ. 性との関係﹂がまさに問題となっており︑. 近代的用益物権としての特徴が示されていると考える︒オーストリア地上権法の地上権が近代的地上権として把握さ. 丙一9 0βαq. 費鉾○こω︒一〇⑦. 山田・前掲書四五九頁︒. れる根拠がここに明確に示されていると解しうる︒. ︵貯︶. ︵46︶.

(17) ︶. 齢. ︵48︶ 団ぼo呂毒Φ一αq︶餌・餌●O●︾ω︒o ︒ミ︒. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. しかし︑ドイツでは︑地上権は期限付︵五〇年乃至一〇〇年︶で設定されるのが通常で︑無期限の地上権は実際にはない︵山田・前掲書四五. 九頁︶︒﹁ドイツにおける地上権者は市町村︑産業組合等多少とも公共的性質を有する団体であって︑一私人が地上権者となることは沿革的にほ. ︵49︶. 渓一ρ ◎農︸勲餌●O二〇D.一〇9. 期間を定めたのである﹂︵山田・前掲書四六〇頁︑傍点は引用者による︒傍点部の﹁地上権者﹂は﹁地上権設定者﹂とすべぎと思われる︶︒. とんどなかったから︑法律としても地上権の期間はこれら団体の約款に任せれば足ると考へたのであり︑事実これらの団体は合理的に地上権の. ︵50︶. あろうから最高期間の確定は必要であった﹂と記されている︵評#斜勲鉾○︷ωる蕊︒︶︒しかし︑評淳巴は分割所有権に結びつける理由づけ. ︵肛︶ 国ぼ窪摯巴αq︾些ρ○ ωるミ嚇Oのo﹃言2勲聾○こ¢峯㎝9貴族院委員会議事録四頁には︑﹁永久の地上権は分割所有権に発展するで. ﹁地上権は︑国︑ラソト︑県︑市町村又は公営基金︵α鵠窪岳畠震﹁o&︒D︶の. る地代の対象とすることにより道徳的な根を掘り取るからと言う︵評一琶﹂玄阜︶︒. に反対である︒無期限の存続期問は︑地上権の性質と目的をあまりにも変えるから望ましくなかった︒つまり地主を土地から疎外し土地を単な ︵2 5︶高島・前掲書七七頁︒. 地上権法第二条は︑. ︵53︶ 高島・前掲書九一頁︒. ︵駆︶. 地上権設定者. 土地にだけ設定することができる︒教会︑聖職禄︵国&包o︶︑教会施設︵臨3窪90>霧琶一︶又は組合︵Oo目①す. ω︒訂ε及び公益施設︵αQoBo一馨蓉N蒔o諺昌馨巴一︶又は協会︵<震鉱昌蒔自αQ︶は︑設定が公益に合うことが︑個々の場. ︵55︶. ︵56︶. 合において︑ラント官庁の判定により確認されているならば︑それらの土地に地上権を設定することがでぎる﹂と規. ︵57︶. 定する︒このように地上権設定者つまり地主の範囲を制限したのは︑地上権が投機目的に濫用される心配をなくすた. 四九. めであった︒もっともこの制限は設定時だけなので︑その土地の所有権が個人に移転した場合は関係がなかったので オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(18) ︵5 8︶. 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八O︶. ある︒ドイッ法がこのような制限を度外視したことを︑ ︵59︶. 五〇. エーレソツヴァイクは正当とする︒﹁地上権は社会政策上の. 住宅援助︵≦oぎ§αq隆驚8茜o︶に奉仕しうるということで十分であり︑いつもどこでも奉仕するということは要求. ﹁地上権の設定者としては公的性格をもったものが予想されて﹂いるのだから︑ ﹁地上権制度は︑用益物権. クラインは︑この制限を取引における権利平等の原則の重要な例外としてABGBに対するその特殊な地位を強調する︵溶一〇β帥﹄・O. 国ご①鵠乏 Φ 蒔 u 勲 勲 ○. 内一き鱒鉾勢●○こω.一〇蒔. ︾β旨●一〇〇︶︒. ︵駆︶. ψωミ●. ︵弱︶. ︵60︶. ︵国ぼ窪.毒①ぎ鉾鉾9︶ψo︒蕊. ︵61︶. のような敷地を与え︑地上権の満了後に土地自身の価格増加を実現するために︑広い建築敷地を集めること﹂. る︒すなわち︑まず地上権においてできるだけ高い地代と引き替えに︑同様に信用を与えられた建築資金のできるだけ高い利息と引き替えにそ. まりにも容易に土地投機︵ω&撃碧簿巳豊8︶の新たな形態にだけなりうるから︑その制度の反対者の懐疑があくまで正しいという危険があ. ︵田︶国一きαqも﹄︒Oこψ一8︒委員会議事録によると︑﹁法律がこの点についてドイツ民法典のように完全な自由に任せるならぼ︑地上権はあ. QD6お︶︒. ︵6 5︶. の一般理論の提供者たる性格を担うに適しないものであることが︑あきらかとなるであろう﹂と主張される︵高島・前掲書八七頁︶︒. ︵55︶高島教授 は ︑ こ の 規 定 に よ り ︑. ︵留︶ドイツには地上権設定者についての明文の規定はないが︑前述の注︵49︶参照︒. されるべきではない﹂︒. ︶. 4 地上権の地代︵閃曽娼国﹃ω︶. ﹁地上権設定の代償が︑回帰的給付 ︵地代︶に存するならぽ︑その額︵>霧ヨ義︶と弁済期. 地上権は無償で設定することもできる︒代償︵国糞σQ①δ は欠くべからざる条件ではない︒地代については︑地上. 権法第三条第二項が︑.

(19) ︵勾巴凝ぎδは︑将来の不確定の事実に左右されずに決定されなければならない﹂と規定する︒しかし︑地上権の. 全存続期間につき︑同一の地代が定められる必要はない︒異なる時期に異なる地代を合意することも地代の額が定ま ︵62︶. ︵63︶. っているならばさしつかえない︒これに反して︑地代がその時々の土地の価格に左右されるという合意は許されな. い︒しかし︑違約金の合意は可能である︒それは代償ではないからである︒なお︑地代支払義務は地上権の内容に属 ︵劔︶ するか︑地上権上への特別の物的負担とされなければならないかが争われている︒地代支払義務の合意が︑特別の物. ﹁地代が少なくとも二年連続して遅滞している場合だけ︑ ︵砧︶. 的負担の登記がなくても第三者に対して効力を生ずるかということが実務上︑問題とされる︒これについては︑GB ︵65︶ G第五条の規定により︑地上権の登記から地代支払義務の存続と地代額が明らかならば十分だとのことである︒ 地代の支払遅滞については︑地上権法第四条第二項が︑. 地代の支払遅滞の理由で地上権の消滅を合意することができる﹂と規定している︒この場合につき︑ドイッ地上権令. ︵67︶. 五一. が土地所有者への復帰権︵エ・巨筐冨︒算︶を許していることを︑クラングは︑地上権上の抵当権者の安全という点 からより良いと評価している︒. 囚㌶旨騨勲勲○ ψ一〇伊. ドイツにつ い て は ︑ 山 田 ・ 前 掲 書 四 六 一 頁 以 下 参 照 ︒. ωレ09エーレンツヴァイクは物的負担と解する︵国ぼ①欝類9鯨9D・勲O;ω・零9︶︒. ψω刈①●. ︵60︶. 区一きαq︸費勲O. 国﹃3p凶≦o蒔︺帥︒鉾○. 内冨旨αq︶ま 己 ー. ︵61︶. ︵2 6︶ ︵63︶. ︵4 6︶. オ;ストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(20) 囚一きαqw㊤︒餌︒○こω﹂8●. 早稲田法学会誌第三一巻︵︸九八○︶ ︵65︶. 区一きσq﹂ぴ凱︒. 五二. すでに述べた地上権法第一条第一項の規定により︑地上権は譲渡可能の権利であり︑地上. 呂霊畠︶を生じえないとする︒些少の延滞を理由とする復帰請求を許す時は地上権者に酷だからである︵山田・前掲書四六三頁︶︒. ︵66︶ ドイツ地上権令第九条第三項は︑地代の支払遅滞は延滞額が少なくともニケ年分の地代相当額に達せざるかぎり復帰請求権︵=︒ぎ笙ぎマ. ︵67︶. 地上権の譲渡. ︵68︶. 5. 法律行為による譲渡. ﹀. ω ︵69︶. ︵⑳︶. 権の目的によれば︑この規定は強行規定である︒だから︑地上権設定時に︑譲渡禁止にしたり︑譲渡を土地所有者の. 同意に従属させてはいけないのである︒ドイッ地上権令第五条第一項は︑このような合意が許されるとしているが︑ ︵71︶. クラソグは︑同令第七条が土地所有者の理由のない拒絶の場合に同意を強いる可能性を開いているから︑同令第五条. ︵72︶. ︵73︶. ﹁社会政策上の理由から特別に有利な条件︵安い地代又は無償︶で与えられた地上権の投機的譲渡が予防さ. の指摘は何も表明しないし︑それは地上権の性質から引き出しえない規定であるとする︒けれども︑エーレソツヴァ イクは︑. ︵75︶. れるべきならば︑譲渡禁止はないと困る﹂とし︑オーストリアでは先買権の留保によるべきだとする︒なお︑ある年 ︵瓢︶ 数又は一定の人に譲渡しないという合意は許される︒譲渡可能性を全く廃止するのではない制限だからである︒. 地上権譲渡のためのいわゆる名義書換料︵くR9号凄畠諮①匹ぼ︶の合意は禁止される︒そうしたものは︑地上権 ︵76︶ の原則である譲渡性と相続性に対立し︑地上権設定のためだけの代償であり︑第三条第二項にも違反するし︑地上 ︵77︶ 権の担保貸付可能性に不利な不確実さを生ぜしめるからである︒.

(21) ω●一〇P. ドイツについては︑山田・前掲書四六三頁以下参照︒. 塔弩単卑る90. ︵68︶. ︵70︶ドイツにおける地上権の処分と制限の関係については︑村田博史﹁ドイツ地上権の譲渡性とその制限﹂同志社法学二五巻三号︵昭和四九. ︵69︶. 訳一壁oq曽帥●帥●○こω︒一〇N・. 年︶二四頁以下に詳しい︒ ︵71︶. 護するにある︵山田・前掲書四六四頁︶︒. ︵η︶国ぼ雪薯︒ぎ髄﹄●○こωる謡●地上権の譲渡に土地所有者の同意を必要とする所以は地上権の投機を防止し︑又は土地所有者の利益を保. 丙一き墜qv騨薗90こω﹂8︒. ︵四︶団ぼ窪薯色σqしげ答. ︵79︶. ︵拓︶ 分割所有権について︑ABGB第二四二条が規定していた︒この規定については︑上原・分割所有権四四頁参照︒. ︵四︶. ︵η︶ 魏一巷ぴq鳩二り 即●○¢ω︒一〇9. ︵76︶ 国ぼo纂≦o団αq一鋤・孚○ ω9ω專. ︵7 8︶. 塒 復帰請求権︵属㊦一冨匿一置霧窟β魯︶に基づく譲渡. ︵80︶. ドイッ地上権令第二条第四号のような地上権の復帰請求権を︑オーストリア地上権法は認めていないが︑地代の支. 払遅滞につき︑クラングが︑ドイッ地上権令の規定が望ましいと主張していることはすでに述べたとおりである︵﹁㈲ 地上権の地代︵浮養ぎの︾﹂参照︶︒. 五三. ︵圏︶復帰請求権とは︑土地所有者が地上権者との合意により一定の事由の発生した場合に地上権を自己に移転すべき旨の請求権であり︵山田・ 前掲書四六五頁︶︑オーストリア地上権法ではこのような権利を認めていない︒. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(22) 早稲田法学会誌第一三巻︵一九八O︶. 閤蛋葭. 卑︒勲○←ω●一8・. ︵四︶ドイツについては︑山田・前掲書四六五頁以下参照︒. ︵雛︶. 地上権に対する負担. ︵80︶. ︶. 6. 五四. ω ﹁ω 地上権の性質﹂ですでにみたように︑地上権法第六条第一項は地上権を不動産として扱っているので︑地 ︵82︶ 上権は不動産と同じくこれに対して担保権︑物的負担及び役権を課すことができる︒. ︵雛︶ ドイツについては︑山田・前掲書匹六入頁以下参照︒. 担保性︵融通性. ︵83︶ 罷⑦︸㊦︸ぎぴ畦ぎ騨︶の促進. ︵貌︶ 区一きα費 ①︒鶴・○ Gり●に9. 鋤. 地上権の担保性︵融通性︶は︑資本の少ない階層に個人住宅の購入を可能にするという目的のために非常に重要で ︵泓︶ ある︒そこで︑地上権法は︑次の担保確実性に特に注意を払っている︒. イ 担保確実性︵電磐留ざぽ旨︒δ︒地上権法はこれを配慮して︑最短存続期問の確定︵同法第三条第一項︶︑地代. ︵部︶. ︵総︶. の確定︵同条第二項︶︑解除条件の禁止︵同法第四条第一項︶と権利喪失約款の許容の制限︵同条第二項︶︑土地への. 強制執行の規定︵同法第一一条︶︑地上権消滅時の地上権上の負担の保全︵同法第一〇条︶を規定している︒.

(23) ︵暫︶. 口 絶対安全確実性︵ζ冒留葱畠︒旨①δ︒地上権を担保にとる貸付のために利用できる資本の範囲を可能な限り拡. ︶. ︵88︶. 張するために︑地上権で担保された貸金は一定の条件の下に絶対安全確実になる︒これについて︑地上権法第七条. ︵舘︶. は︑ ﹁負担が地上権価格の半額を越えず︑債務が合意された年賦により︑又はたかだか一年の時期の期限の来た一定 0︶ ︵9. ︵飢︶. の賦払により︑遅くとも地上権消滅の五年前に支払われるならば︑担保権は法律上確実である︵ABGB第二三〇条 ︵9 2︶. ︵93︶. と第二二七四条︶とみなさなければならない﹂と規定する︒これらの条件は最低限の条件と解釈されている︒クラ. 区一弩単些¢ ・ ○. oo︒昌09. 一加巴o浮訂蒔簿.︑は︑ドイツでは︶扇色巳浮母ざ即.︑である︒. ングは︑債権者に随意に解約告知権︵区彗α蒔きひQ霞9窪︶が与えられるとするが︑エーレンツヴァイクは反対である︒. ︵艇︶. ︵83︶. らない︒地代債権は不動産の収益として扱わなければならない︒現行規定によって土地の法定担保権又は先取特権を享受している公租のために. ︵85︶地上権法第一一条は︑ ﹁地上権を負担している土地の強制執行の揚合に︑役権を負担している土地の強制執行の諸規定を準用しなければな. ﹁地上権上の抵当権が左の要件を具備する時は被後見人の金銭投資につき安全確実. 強制競売が行なわれる揚合は︑地上権は最高価競買人によって︑最高価額に算入せずに引き受けられなければならない﹂と規定する︒ ︵86︶国一きαqち﹄●○●︸ω●昌ρ条文の数字は引用者が入れた︒. ︵87︶ 山田・前掲書四七〇頁は︑ ﹁担保の安全確実性﹂とし︑. 年︾一七七頁︶︒. 工作物を含める︵国ぼ①薫!奉ぎ卑﹄・9︸oりるo︒ピ︶︒. ﹁孤児の育成と家計の通. なるものとしてゐる﹂とする︒なお︑ヌスバウムは地上権上の抵当権について冷淡である︵ヌスバウム﹃独逸抵当制度論﹄宮崎一雄訳︵昭和七. ︵8 8︶. 常の運営に必要であるだけ多くのものが後見人の手に現金で残っていなけれぽならない︒他のものは主として︑例えば現存債務の弁済に︑又は. ︵89︶ ABGB第一=二〇条は︑一九七八年一月一目より改正法が施行されている︒ここでは改正前の規定をあげておく︒. 五五. 他の有利な利用に︑向けなければならない︒そして︑少しも有利に利用されえないならば︑公営金庫で︑又は私人の揚合も法律上の確実性と引. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(24) 早稲田法学会 誌 第 三 一 巻 ︵ 一 九 八 ○ ︶. ︵旧ABGB第⁝二〇条︶︒. 五六. 替に︑利息をめざさなければならない︒しかし︑その確実性は︑担保により︑例えば優先する負担を含めて︑家屋が真の価格の半分以上︑農場. ﹁誰も挺保に使わなければならない物を︑家屋の場合に半分︑土地と動産の場合に三分の二の評価より高い価格. 又は土地が真の価格の三分の二以上の負担を負わされないときだけ法定のものである﹂. ︵9 1︶ 国宣⇒αgΨ鋤.帥90こψ一一一︒. o●にO︒ 囚一きαq︶勾.穿○こo. イ. ︵盟︶. 地上権の消滅. 消滅の原因. ︵95︶. 地上権は︑放棄︑期問満了︵地上権法第三条第一項︶︑約定された解約告知︑権利喪失︵地上. のざ冨3魯︶を失うのである︵国ぼo震譲鉱αq﹄﹄・○ ψo︒Goピ︶︒. ︵9 3︶ エーレンツヴァイクによると︑抵当権は解約告知により漸次償却抵当権︵↓一一αq毒αqωξ8跨穿︶ではなくなるので絶対安全確実性︵ζ身号一・. ︵92︶. ある﹂と規定する︒. で担保にとる義務はない︒相応な財産を所有し︑プロヴィンツ︹現在では二望&㊦浄&.︑⁝引用者︺で訴が提起されうる者は適格な保証人で. ︵90︶ ABGB第一三七四条は︑. 7 σD. ︵96︶. ︵97︶. 権法第四条第二項︶︑︵土地所有老が所有者地上権の登記を抹消するならぽ︶混同︵ABGB第五二六条参照︶︑消滅時. 地上権法第八条は︑﹁地上権の抹消︵ま零ど轟︶は︑地上権が設定されている期間の満了前には︑地上権の上. 効︵ABGB第一四七九条︶︑収用によって消滅する・. 口. に登記された担保債権者及び他の物的権利者の同意がなければ︑法律効果は︑担保権及び他の物的権利を顧慮して︑. それらの抹消と共に初めて生じなければならないという制限でのみ許可することができる﹂と規定する︒だから︑例 ︵98︶. えば抵当権者は︑自己の同意なしに消滅した地上権の強制競売をすることができる︒地上権は相対的に消滅したにす ぎないので競落人の手中で再び生き返る︒.

(25) ハ ︵99︶. 地上権は工作物の滅失によっては消滅しない︒ 地上権の存続期間中︑地上権者はくりかえし再築することがで. きるからである︒. ABGB 第 五 二 六 条 は ︑. ﹁承役地と要役地の所有権が同一人に混同するならば︑地役権は自ら消滅する︒しかし︑その間に公の登記簿から. ︵94︶ ドイツについては︑山田・前掲書四七二頁以下参照︒. ﹁第三者に対するすべての権利は︑公の登記簿に登記されていると否とにかかわらず︑通例遅くとも三〇年間の. ooP 国ぼ①言≦巴堕鋤︒勲Oこoo馬o も. 一め ooo 国ぼ雪N毛〇一堕㊤9聾○;ψo. 地上権法第九条第一項前段は︑. ﹁地上権消滅時に︑工作物は土地所有者の所有となる﹂と規定. 用にょり︑又は非常に長い期聞守られた沈黙により消滅する﹂と規定する︒. ABGB第一四七九条は︑. 役権が抹消されることなしに︑その後︑この混同した土地の一方が再譲渡されるならば︑要役地の新所有者は役権を行使する権限がある﹂と規. ︵95︶. 定する︒. ︵6 9︶. 不使. ︵7 9︶. イ. ︵99︶ 〆一き騨ρ鉾Oこψ一旨︒. ︵%︶. 鋤 消滅の効果. する︒地上権の消滅とともに土地所有者が工作物の所有権を取得するのである︒もっとも︑これは地上権者が工作物 ︵期︶. ﹁別段の合意がない場合には︑補償は現存工作物の四分の. の所有権を契約によって留保しなかった場合のことであり︑もし留保したならば︑工作物は動産になり︑土地所有者. ︵期︶. 補償︵国馨ω9鑑蒔毯σq︶︒地上権法第九条第二項は︑. の請求に応じて収去しなければならない︒ 口. 五七. 一の額で給付されなければならない﹂と規定する︒工作物の維持を法律上義務づけられていない地上権者が地上権の オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(26) 早稲田法学会誌第三一巻︵一九八O︶. ︵窺︶ 存続期間の満了近くに工作物を荒廃させることを防止する目的を有している︒. 五入. ハ 物上代位︒地上権法第一〇条は︑ ﹁地上権消滅時に法律又は契約により︑地上権者に工作物の補償が帰せられ. ﹁地上権上の. るならば︑地上権上の担保権及び他の物権は︑その補償に及ぶ﹂と規定する︒従って︑土地所有者はこれらの物的権 ︵鵬︶. 利者の承諾なしに地上権者にこの補償を支払ってはならない︒さらに︑地上権法第九条第一項後段は︑. 法定担保権と先取特権は︑地上権が消滅するや否や︑土地に移る﹂と規定する︒物上代位の規定により地上権の担保. ヌ一餌嵩墜讐聾O. のμけ︒. ︵麗︶ 内一き﹂q鴇空空○ ω沼OO昏. ︵鵬︶. 地上権の更新︵国目窪㊦⁝冨㎎︶と延長︵<窪一ぎ鷺窪5㎎︶. イ. 存続期間の延長は許されている︒すでに満了し. 権の期間満了の際に有する一般価格の三分の二の補償を支払わなければならないとする︵山田・前掲書四七四頁︶︒. ︵飢︶ドイツ地上権令第二七条第二項では︑地上権が資力の少ない階級の住宅の需要を充足するために設定された時は︑ 少なくとも工作物が地上. oド ︵酬︶ 国ぼ窪N≦o蒔︶撃餌●O o oDo oo. 性︵融通性︶が促進されることは明らかである︒. 揃. ︵鵬︶. た期間を除いて︑八○年を越えなければよいのである︒地上権より後順位の物的権利が土地についているならば︑延. 更新は︑消滅した地上権の代わりに新しい地上権が設定されることである︒更新のための優先権が地上権者に. 長には︑それらの物的権利者の承諾が必要である︒. 口 く.

(27) ω﹂OO︒. ︵鵬︶ これは先買権の類推による︒. 内一讐函︸鶴︒9.O. 与えられるが︑. ︵餌︶ o刈8 ︵窺︶ 国年聾園∈①蒔︶鉾 卑●O ω●o. 2 近代的地上権の成立と地上権法. 以上︑オーストリア地上権法における地上権の規制についてみてきたが︑この地上権法における地上権が近代的地 上権であることを確認してゆきたいと考える︒. ﹁融通性﹂という語は省いて. ドイッ地上権令について︑山田晟教授は︑ ﹁近代的地上権法の特質﹂として︑ ﹁地上権者の保護﹂と﹁融通性︵担 ︵鵬︶ 保性︶の促進﹂の二点をあげておられるが︑オーストリア地上権法もこの二点から整理することができる︒. おられる︶︒. ︵螂︶ 山田・前掲書四四三頁以下︵なお︑前揚の山田晟﹃ドイツ法概論豆﹄一八四頁では﹁担保性の促進﹂として︑. 地代の確定︵同条第二項︶︒. 俗. 地上権は. 二 解除条件付地上権を認めない︵同法第四条第一. 五九. 二年分未満の地代額の支払遅滞を理由とする地上権消滅の合意を認めない︵同条第二項︶︒. ハ. D 地上権者の保護 の 地上権設定者は公的性格をもったものに限られたこと︵同法第二条︶︒ドイツでは規定はな ︵蛾︶ ﹀ いが︑通常都市その他の公共団体であった︒ 口 地上権の期問については︑ドイッと異なり︑期限付地上権のみを. 休. 認めた︵同法第三条第一項︶︒. 項︶︒. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(28) 早稲田法学会誌第一一二巻︵一九八○︶. 六〇. 地上権が消滅した時に工作物は土地所有者の所有とな. リ. 第一順位でのみ設定できる︵同法第五条第二項第二段︶︒ト. 山田・前掲書四四四頁︒. ︵醜︶. 地上権は工作物の滅失によって消滅しない︒. チ. ︵斯︶. 地上権の更新と延長︒. るので所有者は補償をなす義務がある︵同法第九条第二項︶︒. ︶. 地上権者の保護﹂と共通するものとしては︑まず︑地上権の上の担保権を保護するために地上権の消滅を制. 2 担保性︵融通性︶の促進. ﹁①. 限する必要から︑口︵最短期間を三〇年とした︶︑二︑ホ︑チがあげられ︑ハ︑へも共通である︒その他︑地上権の期. 限前の抹消に担保権者等の同意を要すること︵同法第八条︶や物上代位︵同法第一〇条︶があり︑設定前の工作物に. も地上権が及ぶこと︵同法第六条第一項︑地上権を不動産︑工作物をその従物︵正確には独立していない構成部分︾. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ﹁利用権の強化・物権化が︑一次的には︑利用権者. とみなしたことは︑担保権にとって根本的に重要︶もあげられるが︑あの絶対安全確実性︵同法第七条︶が重視され. ヤ. なければならない︒ ヤ. ︵齪︶担保という観点から地上権法を考察することは重要である︒ドイツ地上権令について︑. 学協会雑誌九五巻四号︵昭和五三年︶一一八頁注︵5︶︶という指摘がある︒. の保護ではなくて利用権の上の担保権者の保護を意味していることに注意する必要があろう﹂︵瀬川信久﹁不動産附合法の一考察︵六・完︶﹂法.

(29) こうしてドイッ地上権令と同様に︑ ﹁近代的地上権法の特質﹂をみてきたが︑ここでくりかえし︑オーストリア地 ︵鵬︶ 上権法の地上権が近代的地上権といえるものであることを確認するために︑すでに述べたように期限付地上権の規定. ︵同法第三条第一項︶が最長存続期問を八○年に限定していることをふりかえってみょう︒そこで述べたところであ. るが︑永久の地上権を否定したのは︑まさにあの分割所有権の復活を阻止する意味があったということは立法者の指 ︵m︶. 摘するとおりであり︑長期の地上権に対する警戒の態度が示されていたのである︒又︑分割所有権に結びつける理由. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. に反対する者も︑地上権の性質︑目的を変えてしまい︑土地が単なる地代の対象として地主が疎外されるのは道徳的 ヤ ヤ でないという理由から無期限の存続期間に反対したのであり︑ここには所有権の完全性︑弾力性との関係から︑無期. ヤ. 限性が所有権の弾力性を無意味ならしめてその完全性を損うものとして拒否されるという態度が示されている︒所有 ︵斑︶. 権に対する異質性を強調しているといえよう︒又︑譲渡性︑相続性の付与は︑地上権法第一条第一項の地上権の定義. 規定から明らかである︒なお︑地上権法第二条が︑地上権設定者を公的性格をもったものに限定したことをどう解す. るかは問題となるが︑これは地上権が投機目的に利用されるのを防ぐためであり︑地上権者保護の観点から規定され. たものであって︑地上権がむしろその機能を純粋に発揮するためのものであると解する︒地上権者の範囲を限定する. ならば問題となるが︑あくまで設定者の側の限定であるので︑この規定により地上権の性格が特殊性を帯びることは. 六一. ないと考える︒以上の点からして︑オーストリア地上権法の地上権は︑近代的用益物権としての特微を如実に備えて おり︑これはまさしく近代的地上権ということができよう︒. オーストリアにおける近代的地上権の成立︵上原由起夫︶.

(30) ﹁三1③⁝m@﹂参照︒. 早稲田法学 会 誌 第 三 一 巻 ︵ 一 九 八 ○ ︶ ︵囎︶. ﹁三1③⁝m回﹂の注︵1 5 ︶の評津巴の説︒. 語. 高島・前掲書七五頁以下の﹁近代的用益物権の特徴﹂を基準にして考察した︒. X. ︵珊︶. ︵m︶. 四 結. 六二. 以上︑一九二一年のオーストリア地上権法を︑その成立過程から考察し︑一九一九年のドイッ地上権令との対比に. より︑その地上権規制の内容を明らかにし︑さらにドイッ地上権令との共通の性格及びオーストリア地上権法の特殊. な性格を探ってきた︒そして︑ドイッ地上権令には規定のない︑オーストリア地上権法の特殊性ともいうべき期限付. 地上権を考察することにより︑その最長存続期間の限定が︑まさに近代的用益物権像の特徴を浮かび上がらせている. ことが分かった︒こうして︑オーストリア地上権法においてまさしく近代的用益物権すなわち近代的地上権が成立し たことが明らかになった︒. オーストリア地上権法から近代的地上権が誕生したことにより︑オーストリア物権制度はここに新たな局面を迎 え︑近代的物権制度として展開して行くのである︒.

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