実 践 紹 介
45 1.はじめに
オノマトペは日常様々な場面や状況で使われており,日本語の特徴である。マンガ・ア ニメや小説,詩,広告などでもよく使われている。それでオノマトペを早期に取り上げる ことが日本語を学ぶ者にとって有効であると考え,「オノマトペを学んで,話そう」の科 目を企画した。目標として日常よく使われている様々なオノマトペを知り,表現形式,発 音,リズムを理解できるようになること,学んだオノマトペを日常会話で使えるようにな ること,またそれぞれのオノマトペと関連する語彙を増やし,使い方を知ること,マン ガ・アニメや小説,ドラマなどで使われるオノマトペが理解できるようになることを目指 した。
2.授業の概要と流れ
反転授業の形式をとって予習を基本とし,授業中は活動にあてる。ザーザーのような自 然のオノマトペやドキドキのような気持ちのオノマトペというようにテーマごとにオノ マトペを提示する。これは前の週に配布するもので,学生が予習してくるものである。説 明,例文,時に絵も伴ったものと練習問題がある。その練習問題を学生とやりとりしな がら授業を行う。その他,発展,まとめの活動を
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回ほど行う。例えば①小説からオノマ トペを探し,その意味を調べる。②オノマトペが使われている詩から意味を調べ,読む。③様々なジャンルのマンガからオノマトペを調べ,グループで発表する。さらに調べたオ ノマトペを使い
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分から3
分ぐらいのシーンを作り,グループリーディング,あるいは ロールプレイをする。④オノマトペを使い,グループで相談して詩を作り,グループリー ディングを行う。⑤3
つのテーマごとにグループで相談して会話を作り,ロールプレイを する。また3
回に1
回はまとめのクイズを行う。90分の授業は宿題を返却し,フィードバックを行う。学生はペアになって教師が表現 や使用場面の適切さなどをチェックした幾つかの会話から一つ選び,読み方,演じ方を考 え練習し,発表する。時間によってはそれをグループ内で発表する。この活動の目的は お互いに作成した会話を見せ合うことで,異なる使用場面を知り,教師のフィードバッ ク(修正点や良い点)を見て,理解を深めることにある。ただ返却しただけだと,学生に 早稲田日本語教育実践研究 第 7 号
活動を通して自然に語彙を習得する
―状況,場面に応じてオノマトペを使いこなす―
杉山 ますよ
科目名:オノマトペを学んで,話そう
レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4・5 /上級 6・7・8 履修者数:35 名
早稲田日本語教育実践研究 第 7 号/ 2019 / 45―46
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よっては教師のフィードバックを見ない学生もいる。そのため他者が加わることで,また 発表する機会を設けることで意識化される。この過程が重要なのである。それから学生は 予習してきたオノマトペと説明,例文が書かれたタスクシートと練習問題に基づき,例文 を読み,分からない点があれば質問する。教師は必要であれば説明を加えたり,学習する オノマトペを使い,学生に例文を作らせたり,教師が他の文を提示したりする。この授業 は学生が主体となり,学ぶ。教師は学生の疑問や理解が困難である事柄について補足,サ ポートする立場をとっている。
最後に宿題として,学習したオノマトペが使われている日常の生活を扱った
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コママン ガを取り上げ,どのような場面か学生に説明させて,その説明を書いてくることと,その オノマトペを使った会話と文章を書いてくることを課す。この宿題は学生に学んだオノマ トペの理解の確認のための復習課題である。3.学生の取り組みと振り返り
学生が作成した課題の会話は習ったオノマトペを自分の文脈に落とし込んでよくできて いる。また既習のオノマトペを使ってグループで相談し,全員参加型のロールプレイを作 成し,発表するという活動を行う。この活動は毎回お互いにディスカッションすることで 復習もでき,さらに多様な使用場面や対人関係などを知ることができるので,勉強になっ たというコメントが多い。実際ディスカッションは非常に活発に行われている。また小 説からオノマトペを探し意味を調べる活動は実際に使われている文脈がわかり,理解しや すいというコメントがある。様々なジャンルのマンガをグループごとに調査し,発表する 活動は使用場面を明確に把握でき良かったというコメントが多い。
4.今後の課題
学生の学び合いを目的としているので,グループで活動することが多い。始めのオリエ ンテーションでも説明している。それでもグループ活動が苦手な学生がいるので,その対 策を考える必要がある。また予習をせずに,教師の説明を聞く受け身の学生がいて,授業 でのオノマトペを使った活動に戸惑う学生がいる。オリエンテーションの際だけでなく,
途中で予習重視であることを再度確認する必要がある。
(すぎやま ますよ,早稲田大学日本語教育研究センター)