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日本語の授受補助動詞の習得に関する研究―ロシア語を第一言語とする学習者を対象として―

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Academic year: 2021

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日本語の授受補助動詞の習得に関する研究

ーロシア語を第一言語とする学習者を対象としてー

教科・領域教育専攻 言語系コース(国語) 吉 川 巧 也

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研究の目的 日本語の授受補助動詞に関しては,これまで 「人称」や「方向性Jに関する文法規則やその 用法が明らかにされてきた。(山田2004など)。 また,多くの言語において,授受本動詞は補助 動調として使われないことから, 日本語学習者 にとって授受補助動詞の習得は困難であること が指摘されてきた。その中でも特に f'"'-'てくれ る」の習得が困難であるとされている。(坂本・ 岡田 1996など)。 しかしながら,ロシア語を第一言語とする日 本語学習者を対象とした授受補助動詞の習得研 究は管見の限り見当たらなしLまた,授受補助 動詞の習得を用法別に調査した研究もほとんど 見られない。そこで,本研究では,上記の問題 点を解決するとともに,授受補助動調をロシア 語を第一言語とする学習者に習得させるために, どのような指導が必要であるかを考察した。

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論文の構成 第l章 は じ め に 第2章授受動詞に関する基礎的事項 第3章 先 行 研 究 第

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章学習者を対象としたインタビ、ュー調査 第5章 日本語耕市を対象としたアンケート調査 第6章学習者を対象としたアンケート調査 第7章 日本語教育への提言と今後の課題 指導教員 田 中 大 輝 3. 論文の概要 第 1章では,研究の背景と目的を述べた。 第2章では,授受動調の分類と使用規則,お よひ洛授受補助動詞の用法をまとめた。また, ロシア語の物・行為の移動を表す動詞の使用規 則,および日本語の授受補助動詞の各用法に対 応するロシア語の各表現もまとめた。加えて, 日本語新ヰ書における授受動詞の言己主にっし、て も取り上げた。 第3章では,授受補助動詞に関する先行研究 を整理し,残された課題を指摘した。 第4章では,ロシア語を第一言語とする日本 語学習者を対象としたインタビュー調査の結果 をまとめ,考察を行った。その結果,授受補助 動調の習得,特に f'"'-'てくれるJの習得が困難 であることが石鶴忍で、き

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o

第5章では,キルギス共和国の大学で指導し ている日本語教師を対象としたアンケート調査 の結果をまとめ,考察を行った。その結果,授 受補助動詞は,繍市にとっても教えるのが難し い項目であることが分かった。また,「 てくれ る」は,郡市自身も使用するのが難しいと感じ ていることが分かった。 第6章では,ロシア語を第一言語とする日本 語学習者を対象としたアンケート調査の結果を まとめ,考察を行った。その結果,先行研究で

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− 190 − 習得が困難とされていた f...てくれるJよりも f""'-'てもらう」の方が正答率が低く,習得が困 難であることが分かった。 f...てくれる」は, 正答率は比較的高かったものの,誤答ノミター ンから f賦与J f依頼」といった,特に重 要とされる用法で

r

",てあげるJ との誤りを 起こしやすいことが分かった。ロシア語では 「あげるJ と「くれる Jを区別しないので, その性質が習得に影響を与えていると考え られる。また,正答率が低かった

r

",てもら うJの中でも

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依 頼J

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指示Jの正答率の 低さが顕著で、あった。これは,ロシア語では 「依頼」と「指示」を言語表現上は区別しな いことが原因であると考えられる。 第 7章では,前章までの調査結果を踏まえて, 日本語の授受補助動詞を,ロシア語を第一言苦 とする日本語学習者に習得させるためには,ど のような指導が必要で、あるか提言を行った。ま ず,授受補助動調の用法の中でも中心的なもの である「賦与」に関して f""てあげるJとf""'-' てもらう」を指導する際には,授受補助動詞が 持つ「方向性」を重点的に指導する必要がある。 f""'-'てくれるjを指導する際には,日本語とロ シア語の違いを明示し,主語の違いを理解させ る必要がある。「依頼

J

を指導する際には行為決 定権が聞き手にあることを明示するために,疑 問文や f""'-'たいJ文にすることを重点的に指導 する。「指示」を指導する際には,行為の決定権 が話し手にあることを明示するために,命令形 にしたり断定表現を用いることを亘点的に指導 する。加えて,ロシア語は「依頼」と「指示」 の表現方法が同じであるため,特に注意する必 要がある。「勧め」を指導する際には,受益者は 聞き手であることや,「 てくれる」にしかない 用法である点に注意する必要がある。「許可jを 指導する際には,使役表現と同時に扱うことで, 授受補助動詞文のみならず,使役文の習得も促 進されることが期待される。学習者用アンケー ト調査(第6章)から,複数の用法を持つ f,...,.., てくれるJf...てもらう」が正答となる問題に, 「賦与」しか持たなし、 f...てあげるjを過剰に 当てはめていたことから, 5つの用法を指導し た後,各授受補助動調がどの用法を持つのかを 確認する必要がある。「迷惑Jに関しては,授受 補助動詞の用法の中では重要度が低いため,例 文や使用方法の紹介に留めておいてよい。 4.まとめと今後の課題 本研究では,ロシア語を第一言語とする日本 語学習者による授受補助動詞の習得およ

U

湾姐市 の指導実態について調査し,授受補助動詞が持 つ用法に着目して習得上の問題点およ

U

湾姐市の 指導実態と問題点を明らかにした。また,それ らを踏まえて,どのような指導が必要であるか としづ提言を行った。今後の課題としては,ま ず,多肢選択式アンケート調査の方法に関して, 対象とする学校および学習者数を増やすことが 必要であると思われる。加えて,各学校のカリ キュラムなども調査し,それが習得にどのよう な影響を与えるかということも調べる必要があ る。また,本研究で明らかになった習得上の問 題点がどの程度一般化できるのかについて,他 の言語を第一言吾とする日本語学習者について も調査を行う必要がある。結論の一般化に関し ては,各用法の習得度をより正確に測るために, 調査での問題数を増やすことが必要だと思われ る。また,授受補助動調の習得に関して網羅す るのであれば,基本形だけでなく丁寧形やぞん ざい形に関しても調査を行う必要がある。いず れも今後の課題としたい。

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