算数的活動を通した基礎・基本の習得
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第54巻 第1号. 平成15年 9 月. JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.54,No.1. September,2003. 算数的活動を通した基礎・基本の習得. Toacquirethebasicsinmathematicseducation throughthemathematicalacl二ivity 大久保和義(北海道教育大学札幌校). 山本 哲雄(元札幌藤女子短期大学). 阿部 美幸(札幌市立苗穂小学校). 庄司ひさ子(札幌市立真駒内線小学校). 島貫 静(札幌市立東苗穂小学校). 森井 厚友(札幌市立大過小学校). 末原 久史(札幌市立l≡Ⅰ新小学校). 平野 亮子(札幌市立あやめの′卜学校). 村上 友宏(札幌市立幌酬、学校). 酒巻 智(札幌市立日新小学校). 関根 基樹(札幌市立石山東小学校). 長谷 亜紀(札幌市立百合が原′j、学校). 要 約. 算数教育実践研究会(算実研)では,算数教育における基礎・基本について研究を進めてきてい る.本会はこれまでに児童の基礎・基本の習得に関して内容的な弓」のと学び方・方法的なものにっ いて実践を踏まえて考察してきた.現在の算数教育では算数的活動を通した学びが大事に考えられ ている.本稿では基礎・基本を確実に定着させる場合の算数的活動を通した学びの意義と内容,方 法について考察する.また,その考えを基にして2つの実践を取り上げて具体的な考察を加える. 今年度は本会に所属する6学年の教師2人が同単元,同教材の授業を実践し,どのような活動を通 して基礎・基本の習得を目指したか,その授業の良かった点,反省点等の検討をすることによ. その単元を再栴成し,よりよい基礎・基本の習得を目指す授業の構築について考察した.. 1.本会の算数科基礎・基本の考え方 これまで考察してきた学習指導要領改訂の趣旨や目標と内容,更には研究者の見解等を参酌し,本会とし て次のような考え方や内容を逐次整理しながら実践研究を進めてきている.. (り 基礎・基本の考え方のまとめ ア.算数科の基礎・基本は厳選された学習指導要領の指導内容である.また,算数科の目標の実現を図る. ことが研究主題としての「基礎・基本の習得を目ざす指導」の趣旨と考える. イ.算数科の基礎・基本は問題解決の学習を通し,ゆとりの中で一人一人の子どもの考えるカヤ個性を発. 揮させるねらいと一体化してその習得を図るものとする. ウ.算数科の基礎・基本は知識や技能だけでなく,数学的な考え方(思考力,判断力,表現力など)を中 核にし,四つの評価観点や問題解決カヤ学び方などの能力・態度を含むものと考える.. 99.
(3) 大久保和義・山本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友. 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀 (軍)基礎・基本の内容の特定. 基礎・基本の習得(確実な定着)を算数指導の基軸にすえ,意図的な指導を行うことを考えた場合,その. 対象や内容を可能な限り明確にとらえて指導に臨むことが必要と考える.. 即ち,「学習指導要領の内容がすべて基礎・基本であるという考え方だけに留まるとらえ方」や「これま での算数の指導はすべて基礎・基本を大事にし,その習得を目指していたはずである」といった認識や指導. では基礎・基本重視のねらいを実現できないし,授業の目標実現や目標準拠の評価規準の実現と合わせた基 礎・基本の内容を一人一人の子どもに習得させ,確かな能力・態度の形成を図る指導はできないと考える. そこで基礎・基本の内容を次のように概括的に2つに分けて考え,更にそれらをいくつかに細分して実際に 授業計画や指導にあたることにしている.. ア.基礎・基本のとらえ方とその内容. (ア)内容としての基礎・基本(四つの評価観点の内容) 〃)方法(学び方や問題解決力)としての基礎・基本. イ.細分化したとらえ方. (ア)内容としての基礎・基本は,ほぼ4つの評価観点の内容として考えられよう. ① 一般に知識・技能としてとらえられている内容で,各学年の指導内容がそれに相当する.例えば 「かけ算九九」,「小数の乗・除法」,「三角形の面積(求積)」などと言い表されているが,4つの観 点からは「知識・理解,表現・処理(技能)」に該当するものである. これらの内容を基礎・基本として問題にする場合は,それ自身と「それが,何に発展するための基 礎・基本か」を一体としてとらえることが必要である.. ② 数学的な考え方は,算数数学を支えたり,知識や技能を生み出す基になるものとして,基礎・基本 の中核をなすものであろう.これまでも一般的に取り上げられている次のような考え(方)に着目 し,各領域の学習内容を通して,子どもが“そのよさに気づく”ことや“それを他に適用する”こと 等を学年発達相応に重視したい.. ・単位の考え,位取り記数法の考え,割合の考え など ・理想化,記号化,単純化 など. ・類推の考え,帰納的な考え,演緯的な考え など ・抽象化,一般化,拡張化 など ・数量や図形への感覚,思考態度 など. 〃)方法としての基礎・基本は「問題解決力や学び方」などといわれるものを内容としている.内容の. 基礎・基本と画然と区別できない部分もあるが,授業の実践上で区別した方がよいと判断したもの で,次のような能力・態度であらわされるものである.∼. ・自らの目標や解決への問いをもつ. ・自ら見通しをもち,計画を立てて自力解決をする ・既習の内容や経験を活用し,発展させる ・ノートに学習記録をし,集団の交流に生かしたり,自己評価に生かす 100.
(4) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. ・積極的にコミュニケーションを交わし,集団との学び合いを高め,学習の成就体験を得る など. (ウ)関心・意欲・態度は子どもが知的好奇心を働かせて算数の対象に進んで取り組む原動力として重要. である.これらは4観点のヰの「数学的な考え方,表現・処理,知識・理解」の夫々の観点や「学び 方や問題解決力」などに閲し,自ら積極的に示す心的傾向ととらえ,「内容と方法の基礎・基本を支 えるもの」として位置づける.. (3)用語の統一的理解と使用 基礎・基本に関する用語は一志していない.学習指導要領の解説書の中でも類似の用語が多い.本会とし. ては,以 ̄Fのように統一的に理解し,使用することとしている.. (∋ 本会の「基礎・基本」の略称の内容には,次のことを含めて考えたり用いたりする. ア.学習指導要領で用い. られている「基礎的・基本的な知識と技能」. イ.本会で設定している「内容として(内容)の基礎・基本」と「方法として(方法・学び方)の基礎・ 基本」. ② 学習指導要領で用い. られている「基礎的・基本的な知識と技能」には,次のことを含めて考える. ア.「基礎的な知識と技能」(目標の中の表現) イ.「計算や測定などの基礎的な技能」(習熟に関して用いられている表現) ③「基礎・基本の確実な定着」の意味内容を「基礎・基本の習得−1と同義に用いる.また最も簡略化し た同義の用語として「基礎・基本の指導」などの使用を了解し合う.. (4)「繰り返し学習」や「発展的な学習」に対する考え方 (D「繰り返し学習」. この点に閲し,学習指導要領では「指導計画作成. (4)計算や測定などの基礎的な技能につい. 上の留意点」で「技能の習熟と維持」として右の. てはその習熟や維持を図るため適宜練習. ように示しているが必ずしも明確ではない.「繰り. の機会を設けて計画的に指導すること.. 返し学習」は一般的に「計算や測定などの基礎的な技能の習熟」に限定しがちであるが,本会としては, 次のような学習内容や学習場面にも適用して考えることとしている.. ○例えば,数の理解に閲し十進位取り記数法の考え方や ∋ それに基づく計算方法が数範囲の拡張に伴って繰り返. 関連する内容の理解や技能の 習熟を復習的に学習する.. し扱われるような内容や場面. ○また,同領域内の同系列の学習で,概念や法則等が繰 ∋ り返し適用されるような内容や場面. 問題解決の中で「既習の活用」. として位置づけ,理解や技能の 習熟を図るなど.. つまり,繰り返し学習する対象を個別の内容の習熟だけを単独で扱う他に,「意味の理解過程」と連動し た扱いが必要である.. 更に,繰り返し学習は「ゆとり」をもって学習する内容として,予め単元計画に位置づけたり,単位時間 101.
(5) 大久保和義・山本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. に適宜取り入れ,習得状況の見極めと合わせて取り入れることや子どもの自覚をうながし,意欲や成就感が 味わえるような指導の工夫が必要である. ②「発展的な学習」. 学力の低下論などに関心が向けられ,「学習指導要領の最低基準」の考え,目標準拠の評価規準の実現状. 況からそれがB規準(おおむね満. 足できる)の状況と考えられること,あるいは,学習指導要領総則で従. 来から示されている「∼第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる∼以下略」の文言が 発展的な内容を指導する根拠になっているなどの話題が大きくなっている. 本会として「発展的な学習」に関する考え方を硯在共通課題にはしていないが,観点別学習状況を目標に. 照らし「十分満足できる状況」(A規準)を期待する点からも,本会としての見解をまとめる必要があると 考える.そのために,次のような仮説の提起を試みている. ア.発展的な学習を組織する場合の例 (ア)授業の目標(本時及び単元)水準を超えて,関連的に学習が可能な内容について,子どもの関心が 高まり,適切な場面設定ができるような場合(意図的な場合). ㈹1時限や単元の「自力角牢決」や「集団の相互作用(練り上げ)」などの過程で,一部の子どもが気づ いたりこだわりをもつ発展的な問題などを取り上げる場合(子どもの判断や思いを扱う場合) イ.発展的な内容の例. (ア)6の段の「九九」で,2の段と4の段の和を考える.既習の求積方法を工夫して台形の求積を考え るなど.. ㈹ 既習の知識・技能及び考え方を活用した高度な内容を予め「進んでいる子」のための問題とし用意. し,それを取り上げる.(これは遅れがちな子やつまずきの多い子への対応と同様な考えによる) ウ.本時限内で扱う場合と本時外で扱う場合の工夫など.. 2.基礎・基本の習得を目ざす授業の構想 (1)授業像の設定と授業実践への取り組み方 ① 授業像 基礎・基本の重視に基づき右のよう. 子どもが主体的に問題解決の学習や算数的活動. な授業像で授業の設計や実施に当たることとし. にもかかわり,自ら考えるカヤ基礎・基本の習. ている.. 得を目ざす授業. ② 授業実践の取り組み 基礎・基本の習得に関わる特別な指導法が存在するとは考えられない.これま での授業に関する種々の課題を整理し,問題解決の指導の改善と一体化し,新しい評価の考え方の視点 にも着目し,試行錯誤の実践を通して基礎・基本の習得を特徴づける指導を究明していく. ③ 基礎・基本の習得を目ざす授業の枠組み 授業課題の全体像を下記のようにとらえ,会員個々の実践究明や授業改善の内容としている.. 102.
(6) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. ア.全体計画の見直し. イ.単元の具体的な指導計画. ○基礎・基本の特定と算数. ○目標設定の吟味と評価. 的活動を重視したカリ. り.本時の展開過程と習得状況の確認. 規準の設定. ○基礎・基本や算数的活動. の育ちの再吟味. を重視した問題解決過程. の改善 ○単元構成の工夫・改善や. (内容・方法)の 習得活動. キュラムの整備. ○子どもの能力・態度など. ○基礎・基本. ○個に応じた指導や評価計. 計画様式・内容などの再. ・算数的活動を. 自力解決. 通した評価規. や集団の. 準の実現活動. 相互活動. ○習得(実現)状 況の見取り. と支援活. 動の改善. ・ノートの学習 画. 検討. 充実 記録と自己評. 価など. ④ 上記の各段階(ア,イ,ウ)の課題分析の内容は省略. (2)会員による授業を通した実践課題 これまで会として上記の授業課題に関する内容分析や実践に向けた資料交流,実践後の検討や課題の整理. などを行ってきた.上記の課題には会員個々の授業課題をいうよりは,学校として取り組むべき課題も多 い.. これまでの会員の実践などを通して取り上げられた課題としては,次のようなものが中心であった.. ア.「基礎・基本」の考え方そのものに関する提言や交流 ○内容としての基礎・基本や方法としての基礎・基本に対する考え方 ○それらに対する授業を通した事例や主張 イ.基礎・基本を重視した単元計画の工夫 O「単元の基礎・基本」の特定や吟味 ○習得状況の見取りに着目した単元計画. り.基礎・基本の習得を意図した学習展開 ○基礎・基本の習得活動の工夫 ○既習の活用の仕方の工夫 ○ノートの活用と自己評価. ○集団交流の工夫 ○習得状況の見.取り など.. 3.算数的活動に関して 本会としては,これまで算数的活動を直接的な実践課題として取り上げてはいない.「基礎・基本の習 得」に関する課題に組み込んだ算数的活動の実践的研究は,これから着手する課題としている. 従って,本資料も「基礎・基本」に関することと「算数的活動」に関することを区分してまとめた.本資 料は本会としての基本的な考え方や今後の実践への方向づけとして示したものである.. 103.
(7) 大久保和義・U」本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻. 智・関根 基樹・長谷 亜紀. (1)算数的活動と基礎・基本 (D 算数的活動と基礎・基本の習得を目ざす授業の構図 算数的活動. (授業の視点). (目標への視点)−++問題解決の学習 基礎・基本. (評価規準の実現). ② 算数的活動の意義 〈目標の視点から〉. 〈評価の視点〉. 基礎的な知識と技能を身につけ てここここ. 算数的活動 を通して. 知 識・理 解. 表 現・処 理. 見通しを持ち,筋道を立てて考える能力. 数学的な考え方. 活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き. 関心・意欲・態度. 進んで生活に生かそうとする態度. ==7. ③ 本会としての基本的な考え方 上記のような算数的活動の意義や目的から考え,本会としては子どもにとっての算数的活動の価値づけを. 重視し,次のような基本的な考え方をもつ. 「子どもなりに算数的活動の意義やよさを知り,主体的に活動に取り組みたい」という目的としての活動 を育てること.一方,算数的活動が学び方(手段)として「既習の経験から,このような学習では,このよ. うな表現や方法の活動が有効である.」といったことを見極める能力,それを用いようとする態度を育てる こと.. (2)算数的活動の種類や内容の理解 (∋ 活動目的の明確化と子どもの主体化 単元の目標や指導内容に則し,外的活動と内的活動に大別して活動を計画化する ア.外的な活動では,特にねらいに合致し,子どもが活動に浸りそこから子どもが数理をつくり出す活. 動になるように配慮する.(活動の楽しさ,目的としての活動) イ.内的な活動は,従来から取り扱われている多くの活動がこれに該当すると考えられる.(探求的活. 動として)それらの活動を通して「考える力」を引き出し,知識や技能の「意味の理解」を深め, 「他へ用いる」ことを果たすよう新たな配慮が必要と考える.(手段としての活動) ウ.「教師に言われるままのことを機械的にしている活動は算数的活動とは言えない.」(中原忠男氏) の意味を十分に考えて授業の計画と実施に当たる.. (3)授業への計画・導入 (D 算数的活動の選択・決定の手順 ア.指導内容を決める. イ.単元の目標,内容,時数配分,評価規準等を決める. ウ.単元内各時限の目標・内容・ ̄評価規準等を組織・配列し,それに合致する算数的活動(外的・内 的)を選択・決定する.(単元の算数的活動の導入・計画づくり) エ.単元のオリエンテーションを設定し,子どもと共に単元の目標,学習内容,評価規準,算数的活動 104.
(8) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. などを見通す. オ.各時限の学習計画に添い,学習過程を見通し,算数的活動の具体的内容,方法を吟味,決定する. (ア)どんな内容(種類)の活動を. 材)どんな具体的なねらいで,問題解決のどの段階で. 本時の算数的活動の導入細案. (ウ)子どもにどんな活動を期待して. ② 子どもの主体的活動としての計画と指導. ア.本時の学習における「問題の理解や解決の計画」の段階で,オリエンテーションで見通した算数的活 動を確認したり,本時の問題解決に必要な算数的活動への子どもの思いや願いを取り上げ,学習展開に 生かす. (ア)既習の類似の算数的活動の内容,よさ,失敗などの想起,本時の算数的活動の必要性,必然性に気 づく.. 材)本時の活動のねらいを明確に保ちながら,自分の好みの方法を大事にし活動に没入する. (ウ)算数的活動の過程や結果を自分の問題解決の内容として記録し,また,それを基にした集団の交流 ・深化の内容をノート化するなど,自分なりの学習足跡をまとめる. イ.こうした学習の累積により,算数的活動による数学的な考え方や知識,理解,技能の習得状況がより. 鮮明になり,子どもと教師による評価規準の実硯状況(基礎・基本の習得程度)が見届けやすくなる. また,このような学習足跡のノートづくりによって,「既習の学び方としての算数的活動」が次時以降 の学習に「基礎・基本」として生かしたり,発展させることが期待できると考える.. (4)授業における算数的活動を評価する場合の観点 算数的活動はこれまでも常に授業の要件として導入されてきた.しかし新しい算数指導観や従来の活動に 対し「活動あって能力・態度の育ちなし」の指摘を克服するためにも,次のような観点から評価したり,算 数的活動に関する指導力を高めていく必要があると考える. ① 子どもが主体的に算数的活動に取り組み,学ぶ楽しさを味わっているか.. ② 算数的活動が「意味の理解」,「考える力」,「それらの活用」に閲し,具体的にどんな有効な手立てと して働いたか.. (ア)意味の理解・・知識や技能の意味(わけ)の理解 〝)考える力・ ・数学的な考え方に基づく思考,判断,表現する力 (ウ)それらの活用・・意味の理解や考える力などを既習の能力・態度として他に生かす など. 4.具体的な実践例 本年度は会員の中に6学年を担当している教師が2人いたので,同じ単元の同じ内容を実践し,それぞれ の考え方を比較するとともに,基礎・基本を習得するためのよりよい学習指導のあり方についての実践的な. 考察を行なった.特に考える過程での基礎・基本を習得する上で算数的活動の果たす役割について考察した い.以下にその実践に関して述べていこう.この実践で行なった単元は,6学年の『分数のかけ算とわり 算』である.. 105.
(9) 大久保和義・山本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友. 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. 【実践例1. 未原 久史(札幌市立日新小学校)】 4.1.1単元の目標と基礎・基本の要点 (1)分数の乗法及び除法における基礎・基本のとらえ方とその指導. 本単元では分数の乗法及び除法の意味を理解し,それを適切に表現・処理できることがその要点である. 具体的にはそれを3つに分けて考え単元を構成した. ①「分数をかけたり,分数で割ったりすることは,どういうことか(計算の意味)を理解すること」. 子どもにとってはこの意味の理解が難しい.生活の場面として想像しづらく,考え方の見通しが立ち にくいと考える.. ②「分数の概念を拡張して,計算の意味の理解や計算の過程で分数を整数や小数の場面と同じように考 えたり,処理できることを理解すること」 分数の四則が完成する学習を通し,整数や小数で成り立つ世界が,分数でも成り立つことを理解する ことが重要である.. ③「「計算の仕方」を考え,その意味を理解し,乗法,除法の表現・処理が適切にできること」 (2)単元構成上の具体的な工夫. 基礎・基本にあたる3つの内容の習得を目指し,単元構成にあたって次の3つの点に配慮した.. ①「計算の意味」と「計算の方法」の理解をそれぞれの時限で区切る.本単元では次の4つの内容を取 り扱う.(分数×整数),(分数÷整数),(分数×分数),(分数÷分数)である・それらのそれぞれに 「計算の意味」と「計算の仕方」を中心に分けた時限配分をした.この両者は深く関連しあう内容であ るが,子どもが両者を混同したままにならないことや,両者の関連的理解が深まることをめざしたもの である.. ②「分数×分数」,「分数÷分数」のそれぞれの最終段階で「問題づくり」の取り扱いを設定した.これ. は生活場面に当てはめて考えることができることが習得状況を見取る1つの手段として有効であると考 えたからである.. ③ 基礎・基本の確かな定着のために習熟問題,発展問題に取り組む時限を設定した.. (3)算数的活動を重視して,基礎・基本の習得と結びつける 本学習は小学校で扱う数と計算領域の中でも,子ども達にとっては計算の意味や理由が説明しづらい場面. が多い単元である.それは,分数で表現するときに,子どもたちができる表現の仕方が限られているからで. ある.分数の計算の意味を理解していくときには子どもたちに面積図や数直線などの具体的な表現方法を用. いて理解することを望みたい.そのために,計算の意味を理解する学習で,それらによる多様な表現を生か しながら意味理解と結びつける学習を構成した.学習指導要領では算数的活動を「児童が目的意識をもって. 取り組む算数にかかわりのある様々な活動」と示している.計算の意味理解において,「分数をかけるとい う意味は,絵に表すとこういうことかな.」「数直線をつかってみると,やはり分数でわることで間違いがな い.」などと,学習の中で目的意識・必要感を伴った活動を大切に進めていきたい.また,習熟問題そのも のを子どもたちがつくり,締習問題を解くだけではなく,「練習問題が必要だからみんなでつくろう.」とい う目的意識を,単元の終了の段階で導入したい.さらに,計算方法の理解から学習の定着段階の算数的活動 まで,子ども達の実態に合わせ,確実な理解をはかりながら学習を進めていきたい.. 106.
(10) 算数的活動を適した基礎・基本の習得. (4)単元の構成. 1M=15分(単元54M=18単位時間) M. 学習活動と子どもの学びの様相. ロ. ○数と計算領域の既習と末習し三っいてのオリエン. 7 ̄−ン/ヨ /. 今までにならった計算はどんな計算だろう. 1分数のかけ算とわり算について学習しよう‡ 2. 1dゼで3/7m2塗れるペンキがあるとき,. 5. 2dゼでは何㌦塗れるでしょう l3/7に2をかけるということはどういうことだろう. たし算・小数で 数直線で表す,言葉,絵, 図,式などから考えて l分数に整数をかけるという意味がオ売㌻石 ̄た【ま1. 6. 3/7×4の筆算のしかたを考えよう. 9. 分母はいくつにわけたかということだから,. る数はかわらないよ l分子にかけることになるよl 分数×整数の計算の仕方がわかったよ. (り 前時までの学習とのつながり 「攣.位分数のいくつ分」の考え方. 真分数×整数,真分数÷整数やその. 過程に約分のある. もの,結果がイ反分数になるものなどを学習してきた.. 10. 12. □dゼで2/5mご塗れるペンキがあるとき, 4dβでは何㌦塗れるでしょうか l2/5を4でわるということはどういうことだろうl. 数直線・絵・面積図をつかって 式から考えて ′ト数 かけ算の時と同じく分子を割ってなど. l分数を整数でわるという意味がわかったよl 13 15. 4.1.2 分数×分数の指導に焦点を当てて. いずれも単位分数のいくつ分という考え方によって解. 決し,理解を深めてきた. (2)真分数×真分数の導入. ①「3/4×1/2」のように,乗数が単位分数 の場合は前時(分数÷整数)とのつながりから, 子どもにとって意味の理解が比較的容易である.. (む「4/5×2/3」(教科書の問題)の場合は, l2/5÷3の筆算の仕方を考えようl 3つにわけるということは全体を15にすると6/ 15になってうまくわけられるよ .】. 結果は,整数を分母にかけていることになるl. 前時までの分子を分けることや分母を細分する考. え方が適用しづらい.. (∋ そこで,「3/4×2/3」の問題場面を設定 し,過程で約分のよさを導入しながら,計算の意 味と計算の方法が容易になるように工夫した.. (3)割合の考えと「×分数」の意味 ①「分数をかける」ことの意味に,割合の考えは必須のものである.「×小数」,「×分数」を「×整数」 の場合と同様,小数倍,分数倍に数概念を拡張する(子どもが理解する)ことで,「×分数」の意味の 理解が深まる,既習(5学年)の割合的な見方を子どもたちから引き出したい. (4)「×分数」の計算の仕方. (∋ 子どもの多様な考え方を承認しながら,よりよい計算の仕方を導き出すことを基本に考えたい.前時 までの考え方,数直線や面積図の活用,小数に直す考え方などを予想する.. (参「3/4×2/3」における3/4や2/3を「4つに分けた3つ分や3つに分けた2つ分」の見方 (分数の性質)によって,「計算の仕方」が考えられることに気づかせたい. 107.
(11) 大久保和義・山本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友. 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. (5)自分の考えに意味づけができ. 学習活動と子どもの学びの様相. ること. ○ 前時の活動のふりかえり. (∋ 集団の交流では,子ども個々. (分数)÷(整数)の意味を考えた 計算練習をした. の考え方を基にそれぞれが考え. を発表しあったり,質問しあえ るような活動を目指したい.. (∋ 数直線や面積図,式の操作な どを基に,自分の考えた筆算形 式に意味づけをした説明ができ ることを大切にしたい. 数直線で表すと. かけ算を使うと. 3/4×2/3 =(3×2/3)/ 4. □. 0. 小数では. 3/4. 0.75×2/3. 】Il! 0 1/3 2/3 1. =0.75×2÷3 =1.5÷3. =2/4. 3つ分が3/4だからそのう. =1/2. ちの2つ分は1/4が2つという. 図で考えて. =0.5. つまりこういうこと. 3/4の2/3 2/3の3. 筆 算 で す る. ・分数×整数はつかえるかな ・分母と分母をかけてもいいのかな. 3/4の2/3ということは分子をさらに分けているんだね. 分母に分母を×とい. うことは細かく分けているということなんだ. 分数と分数をかけるということの意味がわかったよ. ○ 学習のふりかえり. 4.1.3 授業の実際 ① 子どもたちは単元の学習計画に対する見通しを持っていた.そのため,多くの子どもたちが今日の学 習内容が分数同士のかけ算であることがわかっていた.. ② 問題提示「1dゼで□㌦塗れる絵の具,□dゼでは何㌦塗れるか?」 マスキングの箇所を,「3/4×8」にしようと発言した子がいた.全体で見積もると整数になりそ うと予想が立てられた.ただし,計算はしていないため児童全員が見積もることができたかどうかはわ からない.. ③ 先の3/4を生かし,2/3dゼとする問題が子どもから出た.そこで,分数かける分数の問題「3/ 108.
(12) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. 4×2/3」を始めた. ア.見積もりをさせる.答えの予想をどのくらいになりそうか聞いたところ,予想が立ちづらそうな子 が多かったため,そのまま自力での解決を始めることにした. イ.黒板に「分数×分数の求め方を考えよう」と板書した.しかし,求め方という表現から計算の意味 を理解することよりも,解へ通じる道筋をはっきりさせることを強く感じた. ウ.計算の手続きを考える子は,分母同士,分子同士そのままかけて解を出している子が多かった.. エ.意味を考えている子もいる.一番多かったのは,通分している子だった. ④「通分」した場合を全体で話しあう. ア.「通分しても,また約分しなければならないからしなくて・もよい.」「分数のたし算ひき算の時に通 分したのは,足したり引いたりするときで,大きさが大事だった.でも今はかけ算だから大きさでは なく,それは何個分かという意味だから,通分の必要はない.」といった発言があった. イ.通分した理由には,分母が違う加減の既習と,分子同士をかける既習が合わさって「9/12×8/ 12=72/12=6」という結果を導いたものと考えられる. ウ.「おかしい,かける数が(1より)小さいのに結果がかけられる数よりも大きくなっている.」とい う反問があった.既習である「小数」の場合の意味の理解や見積もりが生きていたと考えられる.. ⑤ 分数をかけることの意味理解をするために,もう一度自力解決に取り組む. ア.通分の考えを適用させようとしていた子も,割合の考え方に変容していった.. イ.面積図やで数直線で取り組む子もいた. ウ.立式では,確かめの方法が考えられないことにこだわって停滞している小集団があった. ⑥ 小集団での話し合いが一. 段落した段階で,全体の話しあいを設定した.. ア.数直線で考えた子は3/4にあたる量を1として考えると,2/3にあたる量(つまり3つに分け たうちの2つ分)を求めた.解が1/2であることが明らかになった. イ.図を使って,1dゼ=3/3dゼとして考えた子が発表した.2/3捌こあたる部分は,ちょうど2/ 4にあたる.たてに1dゼ入るような図を用いて発表した. ウ.同じ図の考えでも,12個にわけて考える子もいた.ただ,12という考えが導入段階の通分の考え方 か,それとも「4分の」を「3分の」にするという考えから来たものかはこの段階では,明らかに問 うことはしなかった. エ.最後に式で考えた子を取り上げた.通分して分子同士,分母同士かけても同じ答えになること,通. 分せずに分母同士,分子同士かけても同じ答えになることを発表した.計算の仕方の説明になっては いるが,計算の意味の説明になっていないことを理解しあった.. オ.その他として,2/3を2÷3にして×2÷3で計算した子の発表も子どもたちの賛同を得てい た.また,3/4を0.75としてから,その1/3にあたる量を求めて0.25とし,その2倍にあたる量 だから0.5の答えを得たという発表があり,子どもたちから賞賛の拍手を浴びていた.. 4.1.4 算数的活動から見られた基礎・基本の習得状況 (1)算数的活動と習得の姿. ① 多くの子どもが分数×分数の答えを自分なりに理由をつけながら,求めようとする活動がみられた. それらは,子ども自身が目的意識をもっているごとから考えると,まさに算数的活動とよべるものと思. う.. ② しかし,前提に分数×分数の授業であることが,分かっていたため,立式にあたっては,意味を伴 109.
(13) 大久保和義・しⅠl本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. う立式というよりは,立式後の解決をいかにして自力で取り組むかという意識が感じられた.. ③ その中で,式化ぺの意味を問い直し,自分の中で分数でかけることの意味を考えている子もいた.実 際に図や数直線に表した時に2/3が何を表すのかが分からずに考えている姿が見られた.その姿その ものが式の意味を考えている(分数をかけるという意味を考えている)ことと見とれた. ④ 中には,手続き上の先行知識がはたらき,機械的に分子同士,分母同士をかけている姿も見られた. そこで,教師が積極的に分母と分母をかけることの意味を問い,分数同士の乗法の意味に立ち返らせ た.そこから,意味を問い直し納得を生んだ子 ̄(3/4という量の2/3という割合にあたるものを考 えているんだと気付いた子)もいた.. ⑤ その反面,式化でき手続きも済んだことで満足していて,意味に立ち返られない子もいた.今後の課 題となる部分である. (2)本時の成果と反省. ① 本時に扱った数値については,答えを導き出すためにいくつか有効な点があった.. ア.一つは,分数の一方(被乗数)が′ト数に置き換えられることである.被乗数を′ト数に直しても,依 然として分数をかけるという問題が残り,分数をかけるという意味を解決しない(理解しない)と答 えにもたどりつかない.. イ.双方を分数で考えるよりも,子どもにとっては一方が小数の方が自分の想像の過程において思考の 住み分けができ,結果的に意味理解を伴う解決に結びついた子が実際にいたことが分析された.. ② 被乗数の3/4という数と乗数の2/3という数の乗法が約分できるという良い点である. ア.約分ができた良い点は,図で取り組んだ子や2つの分数を見たことから通分だという考えが浮かん だ子には有効であった.. イ.数直線や面積図を使って取り組んだ子は,図の中で表示された. 3/4という量の2/3という割合を考える場合,3/4は1/ 4が3つあることで,その2/3は3つに分けて2倍すればいいの かな.」と考えることができたと思われる.. ウ.意味理解が進んでいる児童であれば,「3/4の1/3にあたる 量だから12にわければ上手くいく.」と,考えたようである.本時 には両方の児童がみられた.. ェ.実際に図による追求を体験していない児童,つまり説明を聞いていた児童にはやはり前者の方が分 け方も少なく納得し易かった.その上で後者の12で分ける考えを聞いて納得していた.児童の実態に 即した数値であったと考えられる.. オ.ただ,本時の導入問題は特殊な事象とも言えるが,一般化に向かうための緩衝的な段階と考える と,再び出合った分数同士のかけ算の時にその考えが用いられることで有効ではないかと考える・ いずれも計算の方法を考えるという意味で有効であり,本授業の一つの目的としていた側面であ る.. ③ もう一方の側面は分数をかけることの意味理解の問題である.. ア.このことについてもこれまで考察してきたように,解を求める途中で多くの子どもたちが立ち返り 理解できていたようである.. イ.しかし,分数をかけることを割合で考えることには,個人差があった.二つの分数を量として考え て2量を図式化して立ち止まっていたり,2つの分数を確認したことから手続き的に通分していたり する児童もいた. 110.
(14) 算数的活動を適した基礎・基本の習得. り.導入の段階で,通分することで生じた不都合(実際には解が6になるこ. と)を議論した際に,. ひと言教師側から分数でかけるということの意味を問. えば,きっとその後の展開も変わったのではないかと思う. エ.特に式化に取り組み,解決の後で自ら意味理解と手続きの説明の不十分さ に気がついた子どもは,他の表現方法で取り組もうという姿がみられたのか もしれない.. オ.実際には式を操作して解決に取り組んだ子が全体の3割ほどいた.その中. の半分ほどは,分母と分母をかけることの説明が,その1単位時間の中では十分にできなかったこと があとでわかった.. ④ 基礎・基本の習得状況の見取りでは,今回の手だてとしてノートを活用した.解決についての説明を 書かせ,その中で乗数を割合として考えられたかどうかを見取り先のように分析した.. 【実践例2一 関根 茎樹(札幌市立石山東小学校)】. 4.2.1 単元の目標 ・分数の乗除計算のしかたを,既習の分数の性質,計算と関連づけて考えようとする.(関心・意欲・態度). ・既習の分数の性質,計算と関連づけて,分数の乗除計算のしかたを考える.(数学的な考え方) ・分数の乗除計算ができる.(表現・処理) ・分数の乗除計算の意味やその計算のしかたを理解する.(知識・理解). 4.2.2 単元について 本単元では,6年生の数と計算領域の総まとめとして,分数の乗法,除法の意味及び計算のしかたについ. て理解し,それらを用いる能力を伸ばすとともに,これまで学習してきた乗法及び除法についての理解を一 層深めることがねらいである・そこで,本単元の基礎・基本を次ページの表のように考え,この写点を強く 意識し,子ども達の実態に合わせながら,確実な理解をはかっていきたいと考える.また,単元の構成は実 践例1と似ている部分が多いので省略する.さらに,4.2.4.本時案は145ページを参照してくださ い.. 111.
(15) 大久保和義・l_L】本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. A.考え方の基礎・基本 既習と関連づけて,分数の乗除計算のしかた を考え,説明ができること (1)設定にあたって. 計算のしかたは,単に答えの出し方を形式的 に覚えさせるのではなく,その方法を児童自身 に工夫させ考え出させることが大切であり,最 終的にはどの子も説明ができるようになってほ しい.. (2)おさえるための手立て 単元の序盤に既習を活用している考えや面積. B.学び方の基礎・基本. 自分や仲間を高めるために,共通点や相違 点,疑問点を意識しながら′ト交流すること (1)設定にあたって. 個々の考える力は伸びてきているが,それを 伝えることが苦手な子が多いという学級の実態. から,本単元では小交流を通して,お互いの考 えを共有することのよさに気づかせていきたい. (2)おさえるための手立て. 目的に応じ,自分と同じ考えの仲間やちがう 考えの仲間のところへいき交流させる.疑問点 があれば,それについて交流させる. (3)評価方法. 図や数直線を式と結びつけている考えを全体の. 学習の振り返りで,小交流での自分の目的や 成果,仲間のよさなどをノートに書かせ,評価. 場で取り上げ,共有させる.. する.. 4.2.3 授業の検討 (1)考え方の基礎・基本に関して ① 指導案では,「計算の意味(何故それが×分数になるのか)」と「計算の仕方の意味・方法(何故そう いう計算の仕方をするのか)」という二つの考えを「分数の乗除計算の仕方」として大きな括り方をして しまったが,明確に分ける必要があったと思う.実践では,後者にウエイトがおかれ,前者のおさえが 甘かったように感じる.. (彰 子どもに期待する「説明してほしい考え方の中身」をもう少し明確にしておく必要があった.既習 (分数×整数の計算方法や分数÷整数の計算方法)や経験済みの方法(特に面積図,線分図,数直線, 式操作等)を用いて考え,式に結びつけての説明を期待していた. (彰 本時のキーとなる考え方が何かを明確にしておく必要があった.前時までの学習過程から,本時は面 積図がキーとなる考え方だったと思うが,計算の意味のおさえが甘かったために,うまく式と結びつけ ることができなかった. (2)学び方の基礎・基本に関して. ①「共通点や相違点を意識し,目的をもって」/ト交流させたかったが,そのためには,さらに具体的な. 手立てが必要であったと考える.「何故その式でいいのか説明し合おう」(計算の意味の理解),「答えが 出るまでの考えを比べてみよう」(計算の仕方),●「交流でもはっきりしないことを自分の言葉でメモし ておこう」などの事前の約束が効果的だと思われる. (む また,小交流に入る前に子どもにもたせる意識として. ア.誰と(どんな人と)交流するのか.(似たような解法をしている人?全く別な考えをしている人 か?). イ.なぜその人と交流をするのか というのがあれば,交流することの意味がより子ども達にも理解できるのではなかろうか.. 112.
(16) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. 4.2.4 本時の活動 (1)目標. ・既習と関連づけながら,自分なりの方法(数直線・面積図・線分図・式など)で,問題を解決しようとす. る.(数学的な考え方)(関心・意欲・態度) ・交流を通して,分数をかけることの意味を理解する.(知識・理解). (2)展開(19∼21/54M)(1M=15分) 主 な 学 習 活 動. ○教師のかかわり. 113.
(17) 大久保和義・山本 哲雄・阿部 美幸・庄司ひさ子・島貫 静・森井 厚友 末原 久史・平野 亮子・村上 友宏・酒巻 智・関根 基樹・長谷 亜紀. 5.本単元の基礎・基本となる考え方に関しての再構成 単元の基礎・基本のとらえ方や,それを指導計画に表す場合,もっとも単元の核になる内容についての 「考え方の基礎・基本」を十分に吟味して取り上げ,再構成する際に取り入れていく.下記はその例であ る.. ≪分数×分数の場合≫. 同時に理解するため は,数直 A:かけても皐いという考え方. 線を使って. 「×2/3」を. ① 2dβ. ×整数 ×小数 から類推して同じにできる. ②1.5dβ. ③1/3dβ B:倍概念という考え方. という段階が必要.単元構成の. 「×2/3」を. 中に位置付けていく.. 2/3の数概念を拡張させて割合としてみる. (ア)分数の乗法の計算のし方. 「4/5×2/3」の理解のし方について(分数の乗法理解のプロセス) 「1dゼで4/5nfぬれるペンキ2/3dゼでは?」. 4/5×2/3は2/3(割合)に当たる量を求めることだ. これらを説 明できるこ. (くらべられる量)=(もとにする量)×(割合)5年生の既習. とが「考え方. の基礎・基 本」が習得さ れていると. 見れる。. つまり,4/5を3等分して2倍したものが答え. 生×⊥ 5. 3. 4×2 5×3. 結果としてのこる計算のプロセスは 分母同士をかけること 分子同士をかけること. ≪分数同士の除法の場合≫. 〃)除法の意味理解. 6.まとめと今後の課題. 本稿ではこれまで算実研が取り組んできた基礎・基本の考え方について整理をするとともに,前回の今後 の課題(参考文献3)を参照)でも取り上げた算数的活動と学びの基礎・基本の習得の関わりについて考察. してきた.分数×分数の単元では,計算の意味理解,計算の方法の理解,及びどのような考え方でそれらの ことを習得するかが基礎・基本と考えられるであろう.本実践でも子どもによって様々な解決が図られ,た とえば計算方法では形式的な計算とそのようにできる理由を結びつける等,算数的活動を通した考えのよさ 114.
(18) 算数的活動を通した基礎・基本の習得. が理解された点もある.しかし,この単元の学びに適切な算数的活動が何か,あるいはこれらの力をどのよ. うに子どもにつけていくのか,またそれらをどのように評価していくか等についての実践的な研究は十分と は言い難く,その点は今後に残された研究課題といえる.. 参考文献. 1)文部省 小学校学習指導要領解説 算数編,東洋館出版社(1999) 2)大久保 和義他,基礎・基本の習得を日ざす授業の実践的研究(Ⅰ),北淘道教育大学紀要,52巻(2001),pp.87−102. 3)大久保 和義他,基礎・基本の習得を目ざす授業の実践的研究(Ⅲ),北海道教育大学紀安,53巻(2002),pp.77→92.. (本学教授. 札幌校). 115.
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本部 ホンダ寄居の森づくり 通年 埼玉県寄居町 本部 ホンダ小菅の森づくり 通年 山梨県小菅村 本部 ホンダ秩父の森づくり 通年
ンコインの森 通年 山梨県丹波山村 本部 甲州市・オルビスの森 通年 山梨県甲州市. 本部
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