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74 金沢大学教育学部紀要 ( 教育科学編 ) 第 32 号昭和 58 年 したがって, 運動技能習得のための最も重要な外的条件の一つは, 運動パフォーマンスに対して強化を与えてくれる情報フィードバックの提供である 情報フィードバックは, 結果の知識として, 外部から与えることもできる5) 目標情報

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73

運動技能学習における言語、視覚

フィードバックの効果

石村宇佐一・野田政弘*

EffectsofVerbalandVisualFeedbaclKon

LearningaMotorSkill

UsaichilSHIMURAandMasahiroNODA

Abstract

ThepurposeofthisstudyistoinvestigatewhetherVTRVisualFeedbackwhichisoneway

togivethelnformationFeedbackhasapparentlyarelativeeffectontheprocessoflearningthe

shotofbasketballandexaminethepracticalvalueandnecessityofInformationFeedbackin

classesofphysicaleducationbymakingcleartheeffectofVisualFeedbackontheprocessof

acquiringskillsingrossmotorlearning

FortymaleVolunteerstudentsofphysicaleducationinKanazawaUniversitywereusedas

subjects(agel8-21).TheywereassignedtothefollowingfourtreatmentgroupsGroupl

(VerbalCues),GroupII(VisualFeedback),Grouplll(Verbal-VisualFeedback),andGrouplV

(control).

TheresultoftheexperimentindicatesthatGroupLII,andmmadealittlesignificant

improvementcomparedwithControlgroupGrouplIandmweresuperiortotheGroupI

inthelearingeffect,butasignificantdifferenceoccuredonlyinthe7thandllthtrialsatthe

levelof5percent・BetweenGrouplIandGrouplll,thelearningeffectimprovedbetterinthe

GroupllL

VisualFeedbackutilizingVTRmakesoneeasytoevaluateoneselfbecauseitdetailsand

materializestheKnowledgeofperformance,however,itisdifficultforbeginnerstoanalyzethe

motionNevertheless,VisualFeedbackhasagreateffectonmotivationtomotorlearningand

hasgreatpossibilitiesofimprovingmotorskilllearningbytheestablishmentoftherational

guidance. 運動技能学習に練習を欠くことはできない。 反復動作という意味での練習は,学習者が自分 のパフォーマンスや,その結果からフィードバ ック情報を受けとった場合だけ学習に役立つ。 昭和57年9月16日受理 *金沢大学大学院教育学研究科修士課程保健体育専攻在学

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金沢大学教育学部紀要(教育科学編) 第32号昭和58年 74 したがって,運動技能習得のための最も重要 な外的条件の一つは,運動パフォーマンスに対 して強化を与えてくれる情報フィードバックの 提供である。情報フィードバックは,結果の知 識として,外部から与えることもできる5)。目標 情報によって自動的に与えられるようなもの以 外に装置,教師やコーチによる付加的フィード バックの提供があげられる。 フィードバックは,アウトプットと基準との 間の比較を可能にする情報を供給する。換言す れば,フィードバックはエラー情報としても考 えられる。内在的フィードバックと付加的 フィードバックは情報源の違いから区別した が,RobbM、20)は,情報の時間関係に基づく分類 として,同時フィードバックと最終フィード バックに分け,さらに,’情報を受けいれるのに 使われる感覚様式の違いによって,外的フィー ルドバック,内的フィードバックの二つに分類 している。身体運動感覚,最近使われている用 語としての,自己受容感覚は内的フィードバッ クの一つの例である。スポーツ活動の指導に おいて,視覚手がかりがどのように運動学習 を促進するかについては,かなり多くの報告が あり,とくに近年,著しく研究のすすめられて

きた分野である')'3)'9)'10)''6)''7)。情報フィードバッ

クは,教師やコーチが言葉によって,あるいは, 写真23),映画'2),テレビ'8),その他何らかの

形8),19入22),24)で与えているが,視覚的手がかりが

運動学習にとって効果的であるとされながらも, 結論的に価値の実証はなされていない。 本研究の目的は,バスケットボールのセット ショットの練習時に与えられる,言語フィード バックとVTRによる視覚フィードバックの効 果を検討することである。 運動学習課題 運動学習課題は,バスケットボールのセット ショットである。セットショットは,ゴール直 下よりエンドラインと平行して4m離れた位置

から行なった。ただし,ゴール付近の視野は,

つい立によってさえぎられている。(図,)

liIlIⅢ1mm

図1セットショット動作観察の実験状況 学習課題の得点化は,ショットが成功すれば 1点とした。 手続き 被検者に対して,セットショットの方法と得 点についての説明を行ない,テスト前に10秒 間ゴールを見せ,ゴールの位置,距離を覚えさ せた。その後,フィードバック情報を除去した 状態で3セション試投した。なお1セションは 連続15本の試投である。最初の3セションをプ リテストの得点とした。このプリテストの得点 をもとに,3つの実験群と統制群が等質になる

よう,各群の被検者を10名に割り当てた。次の

9セションは,練習と指導の期間とし,最後の 3セションはポストテストにあてた。4つの群 は,それぞれの練習期間に次の処置を受けた。 Groupl:言語フィードバック群 被検者は,ショットの成否とショットフォーム 改善の言語手がかりを一投ごとに知らされた。 GroupII:視覚フィードバック群 被検者は,ショット三投ごとにショットの成否 とフォームをビデオモニターで見せられた。 Grouplll:言語一視覚フィードバック群 方法 被検者 被検者は金沢大学教育学部体育科学生,バス ケットボール未熟練者,男子40名である。年 齢は18歳から21歳にわたった。

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石村・野田:運動技能学習における言語、視覚フィードバックの効果 75 結果 表’は,各グループのプリテストとポストテ ストの平均値,標準偏差を算出し,両テスト間 の,平均値の差の検定を示したものである。4 つのグループとも5%の有意水準で練習効果が みとめられた。フィードバック情報を与えてい ないGrouplV(統制群)まで有意な差が認めら 被検者は,ショット三投ごとにビデオモニター を見せられ,その際,一投ごとに言語手がかり を受けた。 GrouplV:統制群 被検者は,言語手がかりも,ビデオテープフィー ドバックも与えられなかった。 TablelT-tsetbetweenPre-andPost-testscoresonlearningbasketballshooting. post-test Mean SDT Pre-test NMean SD **** 4.90 5.05 5.50 3.87 2.21 1.73 2.05 1.87 0001 Experimentalgroup Experimentalgroup Experimentalgroup ControlgrCup 0000 1111 2.10 2.20 2.20 2.07 1.92 1.73 1.68 2.03 I II III SignificantatO51evel 間で得た得点を図2に示した。得点は各セショ ンごとの被検者10名の平均値である。 Group1,11,111は,グループⅣと比較すると れている。本研究で用いた統計的有意水準は 5%である。 4つのグループの各被検者が練習とテスト期 Scores 7 エハハ ノ 6 5 〕① 4 3  ̄] 2 Groupl Groupll Grouplll GrouplV VerbalCues Videotapefeedback VerbalCues&Videotapefeedback Control □▲箕 C一一

トー←

1 12345678910111213 ̄ Figure2Leaming〔urvesbasedongroupmeanscores ofbasketballshootingpertriaL l415 Trials

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76 金沢大学教育学部紀要(教育科学編) 第32号昭和58年 高いパフォーマンスを示した。しかし,Group

1,11,mにもGrouplVと同じく,う゜リテスト

期間の統制条件下で行なった第1セションから 第3セションに無得点の試行があった。練習期 間に付加的フィードバックを受けた3つのグ ループは,第4セションから得点が急激に増加 し,練習効果は第5セションまでは顕著である。

練習期間の後半,第’0セション以後は,3つの

グループとも得点の増減にチラバリ傾向がみら

れた。

4つのグループの平均値間に有意差があるか

を検定するために,Hテスト13)を用い,その結果

を表2に示した。検定の結果,練習期間である

第5,7,8,11に有意な差がみられた。

Table2.H-testofscoresonlearningbasketballshootingpertrial. *SignificantatO51evel

次に,第5,7,8,11セションのどのグルー

プ間に有意差があるかを,Uテスト13)を使って

各平均値間の有意差検定を行なったのが表3で ある。 Table3.Mann-WhitneyU-testofscoresonlearningbasketballshootingpertriaL Significantat・O51evel GrouplVerbalcues GrouplIVideotapefeedback GrouplllVerbalcues&Videotapefeedback GrouplVContro1 * 11セションに有意差が認められた。しかしなが

ら,GrouplとⅣ,そして,GroupIIとmは,

練習期間,テスト期間,’5セションに渡って有

意な差は認められなかった。 Grouplllと1Vは,第5,7,8,11セション と検定したいずれのセションにも有意差が認め られた。また,GrouplIと1Vは,第5,7,8 セションに,GroupIと11,1とmは,第7, Trials 1-345678910111213-15 Experimentalgroupl Experimentalgroupll Experimentalgrouplll Control group ****

Trials IV-I IV-II IV-III 1-11 1-ⅡI II-III

1 2 3 4 5 * * 6 * 7 * * * * 8 * * 9 10 11 * * * 12 13 14 * 15

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石村・野田:運動技能学習における言語、視覚フィードバックの効果 77 考察 教師,コーチは,絶えず最も効果的に学習を 促進させる方法に関心を持っている。運動技能 学習のため外的に整えられる条件は,運動パ フォーマンスの反復練習の機会を与えることで ある。練習が運動技能の習得に及ぼす効果はバ スケットボールのセットショットについての パフォーマンスに示されている。(図2) 本研究でとりあげたバスケットボールのセ ショトは,ポールのより正確な飛行方向と飛行 距離とを要求される高度の巧繊性運動である。 セットショットに関する学習曲線を見ると学習 は各セションごとにバラツキはあるが,各グ ループともパフォーマンスの向上がみられた。 付加的フィードバックを受けたグループの優 位性は,よりすぐれたパフォーマンスの改善を もたらしているが,付加的フィードバックが与 えられなかった統制群にも学習効果が認められ た。このことの理由として,セットショットを 行なうシューターは,自分のショットの方向と 距離の正確さについての視覚的フィードバック つまり,内在的フィードバックを受けているこ とになる。この内在的フィードバックを除去す るために,つい立がたてられた。統制群の運動 学習過程は実験開始時に10秒間ゴールを見せ られ,運動課題に対して自分自身の感覚で認知 し,正しく反応しようとすることである。した がって,自分の反応結果についての`情報は与え られず,すべて運動感覚に依存している。本研 究でとりあげたセットショットの課題では, ポールがリングやネットに接触する音,それま での時間がシューターに認知できるため完全に 内在的フィードバックを除去したことにはなら なかった。このわずかな情報フィードバックが かなりの水準にまでパフォーマンスを改善させ ていると推察される。しかし,統制群ではパ フォーマンスにバラツキが多く,ショットの正 確さの定常化の過程は,なお不充分のまま残さ れているものと思われる。 言語フィードバック情報は,ショットの成功, 不成功だけでなく,ボールの飛行方向,距離に ついての手がかりが与えられる。動機づけの状 態が学習の成果の期待として喚起され,さらに,

注意と選択的知覚が方向づけられる。その結果

セットショットの安定化がかなりの程度まで

確保でき,距離感覚も認知できるようになりパ

フォーマンスの改善がみられた。一方,同じ言

語フィードバック情報を受けても,その情報が

無意味で逆効果になっておりパフォーマンスの

向上に妨害をおよぼすことが認められた。

SingerRN21)は,学習させる課題とか,学習

者の技能水準や独自のパーソナリティなどにつ

いても考慮した上で言語手がかりを利用すべき

であると指摘している。ある学習者は,ある様

式の言語教示が与えられたときに特によい反応

を示す。つまり,人によって効果の発揮できる教

示様式が違うことが推察される。このように,

言語によるフィードバックは,運動技能の学習

において重要ではあるがその役割は限られてい ると思われる。

VTRにより自分自身のセットショットを見

せられる視覚フィードバックは,学習の初期段

階から中期段階までパフォーマンスの改善がみ

られた。これは,VTRを見ることによって運動

の反応を具体的な動作として認知し,正確な反

応のイメージが形成ざれ学習が促進されたこと

を示している。また実際にVTRによって自分

自身の運動を観察できたことが動機づけとな

り,パフォーマンスの向上が認められ,これまで

の報告2L7L25)と一致する結果であった。しかしな

がら,言語フィードバック群と視覚フィード

バック群間の学習水準の差は,第7,11セシッ

ンに5%水準で有意な差を示したが,残りのセ

ションに有意な差は認められなかった。このよ

うに,視覚フィードバック群が言語フィード

バック群に比べて有意な差がないという報

一)'6)''8)もある。両フィードバック群に有意な差

があらわれない理由として,MorganN.A、'5)(j

指摘しているように,初心者によるVTRの分

析の難しさが考えられる。

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78 金沢大学教育学部紀要(教育科学編) 第32号昭和58年 言語フィードバックに視覚フィードバックを 加えたのが,言語一視覚フィードバック群であ る。視覚フィードバック群と言語一視覚フィー ドバック群間の学習水準の差は,第1セション から第15セションに渡って有意ではなかった。 統制群と実験群(Group1,11,m)の比較では, 言語一視覚フィードバック群が最も高い有意差 を示している。これは,KalinL、andMortimer

RG14)が,視覚的手がかりと言語的手がかりを

同時に与えたほうが,言語的手がかりだけを与 えるよりも学習や保持にとって一層の効果があ るという報告と一致する。言語フィードバック に視覚フィードバックが加えられることによっ て,学習者は描かれたものや事象を特定の検索 可能なイメージ(Specificretrevableimages) として符号化することができるようになる'1)。 画像は,言語によるフィードバック情報と組み 合わせて使われた場合,教授活動に多くの価値 ある特徴を付け加える。画像が符合化と検索の 機能を援助する際に果す機能は,きわめて重要 であると考えられる。その働きは,学習者に特 定の検索可能なイメージを作り出させると考え られるが,このイメージが今度は符合化と記憶 貯蔵の手段,そして,学習したものを検索する ための手がかりの源になると思われる。 被検者は,金沢大学教育学部体育科学生

男子40名である。実験条件はGroupl(言語

フィードバック群),Groupll(視覚フィード

バック群),Group、(言語一視覚フィードバッ

ク群),GrouplV(統制群)の4つに設定した。 実験の結果,次のような成績を得た。 1セットショットの練習効果は,各Groupと

も,5%の有意水準で認められた。フィード

バック情報が与えられなかったGrouplV(統

制群)にも学習効果が認められた。 2付加的フィードバックを受けたセションか

ら,Group1,11,mは非常に高い学習改善

を示した。 3各セションにおけるグループ間のパフォー

マンスの差は,Groupm-Ⅳに第5,6,7,

8,11,14セション,計6セションに5%水

準で有意差が認められた。Groupll-IIIには

全てのセションにおいて有意な差は認められ なかった。

4VTRによる視覚フィードバックは,パ

フォーマンスの知識を細分化,具体化できる ため自己評価が容易になるが,初心者にとっ ては運動の分析が困難である。

運動技能学習の発達段階を勘案しながら,以

上のようなバスケットボールのセットショット を観察すると,VTRを利用した言語一視覚フ ィードバックは,運動学習に対する動機づけ機 能として役立ち,運動技能学習を効果的,効率 的に進める可能性があるものと考察した。 要約 情報フィードバックは,運動技能の獲得とパ フォーマンスの向上に影響を及ぼす最も重要な 要因の一つである。運動学習にとって,視覚的 手がかりが効果的であるとされながら,これま で相異なる結果が報告されており,いまだ充分 な検討がなされていない。そこで本研究では, スポーツ活動の一つであるバスケットボールの セットショットを学習課題としてえらび,言語 フィードバックとVTRによる視覚フィード バックの効果を検討し,VTRが大筋運動の技 能習得過程に及ぼす影響について明らかにしよ うとした。 参考文献 1)荒木雅信,佐久間春夫:「フィードバック情報の有 無による運動パターンの相違」スポーツ心理学研 究,7-1,pp54-59,1980. 2)Batting,W、F、TheEffectofKinesthetic,Verbal andVisualCuestheAcquisitionofalever -PositioningSkill''JExp,Psycho1.47,pp371-380, 1954. 3)Bell,V、LMAugmentedKnowledgeofResultsand itseffectuponAcquisitionandRetentionofa

(7)

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