1
論 刻UDC :699
.
82 :691日本 建 築 学 会構 造 系 論 文報告集 第416号
・
1990年10 月J。urnal of St【acl
.
C。nslT.
Engng,
AIJ、
N。、
416,
0ct.
,
1990ケ
イ
酸 質
塗
布 防水材料
に
よ
る
コン
ク
リ
ー
ト
の
内
部 組 織
の
変 化
湿潤 環境 下
に お け る防水
工法
の研究
・
その.
l
CHANGE
OF
MICROSTRUCTURE
OF
CONCRETE
BY
APPLYING
SILICEOUS
COATING
Study
on concrete waterproQfing systemin
adamp
environment−
Part
1
一
田
中 享
二 *,呉 祥 根
* *,松 本 洋
一
** *, 小 池 迪 夫
* * * *Kyo
ガ
TANAKA
,Sang
Keun
OH
,Yoichi
MA
TSUMOTO
andMichio
KOIKE
This
paperdeals
with changein
microstructure of concreteby
siliceous coating.
Two
types of coatings,
one is inQrganic powder mixed wi しh
water and the other inorganic powder mixed wi.
thpolymer emulsion
,
were usedfor
the experiment.
Water pressure was given on either the coated surface or the opposite side,
and the nocoated specimen was also includedfor
comparison.
Twotypes of concrete
,
water /cement ratios of幽
0.
55
andO.70
by
weight, wefe adoPPted as subs しratu 皿
,
For estimation on the effect of siliceous coating
,
crystal growth in microstructure.
was periodi.
cally observed throughSEM
until two years,
and chemical components of crystals were analyzed withEDX
andX −
r琶y
diffraction
.
The
results of this study canbe
summarized asfollows
.
) 1 ) 2 ) 3 ) 4
The effect of coatings Qn the grQwth of crysta [s reached into 2
〜
2.
5mm
from
the coated sur・
face,
and thehigher
water /cement ratLo of concrete,
the moredeep
it reached,
The effect reached
deeply
in the specimen given water pressure on the coated surface tha皿 itgiven on the opPsite side
.
Crystals
grew larger anddenser
in micrestructure,
and changed into a plate orblock
type inprogress of time
.
Based
on theEDX
andX −
raydifftaction
,
fibrous
crystal mainly consists ofC
琶andSi,
andit
is concluded to
be
calcium silicatehydrate
.
Needle
crystal consists ofAl,
Si,
S
andCa ,
andit
tobe
ettringite.
Keywoma
匡s :Sili
‘eousCoating
,
Co
η ‘腕 6,
捌 σ厂05卿 ture, Water Pressure,
Crystal
σro観 ゐ1.
は じめ に 建 築 物の地 下室,
ピッ ト, 水 槽等は, 防 水 を必 要と す る部位であ る。
し か し,
これ ら で は環 境 条 件 が屋 上,
地 上外 壁 面と は か なり異な る。 後者では空 気が流通 し や す く, した がう て下 地コ ン ク リー
トの乾燥が期待できる の に対し,
前 者は乾 燥 しに く く,
ま た防 水層 が完 成し た後 も常 時 水に接 触してい ること が多い。
この よ う な部 位に も,
アス フ ァ ル ト, シー
ト, 塗 膜と いっ た メ ンプレ ン防 水の適用 は可 能であるが, 下 地が乾 燥し にくいた め,
そ の施工 は困難 を伴うこ とが多く,
また施 工後の防水層の 性 能 も乾 燥し た下 地に施工 し た場 合に比べ る と 十 分 と は 言え な い ことも 多い。 と こ ろ で,
ケイ酸 質 塗 布 防 水 材 料は, ケ イ酸 質と, セ メ ン.
トの水 和によっ て生じ たコ ン ク リー
ト内部の水酸化 カル シ ウムが 反 応し て,
コ ンク リー
トの組 織 をち密に す る とい わ れてお り]),
その 条件と して水 分の存 在が不 可 欠である。 こ の ことは,
地下 室,
ピッ ト,
水 槽の ように 乾 燥しに く く, また施工後 も水がた えず 存 在するよ う な 部 位に は極めて都 合が良い。
こ の利 点のため,
ケイ酸 質 塗 布 防 水材
料は建 築の地下工事を中心に採 用さ れて い る。
しか し,
実 績の多さに も か か わ らず,
本工法は 工学 的検討が不十 分 な ま まで利 用さ れて い るの が実情で あ り,
必ずし も適切に使用 され ている か ど うか疑 問の あ る ところで あ る。
実 際こ の材 料の 防水 効果につ いて は効 果 *’
東 京工業大学工業 材料研 究 所 助 教 授・
工 博 * * 東 京工業 大 学 大 学 院 生・
工修 寧 鱒 清水 建 設 〔株}技 術 研 究 所・
工博 艸 榊 東 京工業 大 学工業材料研究所 教 授・
工 博Associate Prof
.
of TokyQ Institute of Technolegy,
Dr、
E艮g,
Graduate Student Qf Tokyo Instituしe of Technology
,
M.
Eng.
【nstitute of Technology,
Sh{rnizu Corporation,
Dr,
Eng,
Prof
.
of Tokyo Institute of Technology,
Dr.
Eng.
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service Arohiteotural エnstitute of Japan
が あ る という肯 首 的 意 見 とそ れほ どで はない とい う否 定 的意 見 とが併 存し て いる。 否 定 的 意 見は多くの場 合こ の
t 工法に対する過 剰な期待と
,
そ の期 待が裏切られた こと に起 因 する。こ の意 見の 混 在は基 本 的な材 料 認 識の不 足,
したがっ て,
そ れ を ふ ま えて の適切な設 計,
使 用 方 法の 未確 立に よ る もの と思わ れ る。 研 究 面か らこ の問 題 を要 約 する と,
この防 水 材 料 をコ ン クリー
ト表 面に塗 布し た場 合,
コ ンク リー
ト内 部が ど の よ うに変 化する の かとい っ た最 も根 本 的な点が不 明で あ る。
次に コ ン クリー
トの どの程 度の深さ まで,
そ の効 果 が 及ぶのか も不明で あ る。 ま た,
コ ンク リー
ト内部の 変 化が防 水 性 能 と どの よ う な か か わ り を持つ のか といっ た点 も不 明 確であ る。 し た がっ て,
上に述べ た基 本 的な メ カニ ズム を明 ら か に す るこ と は, 適切 な設計,
施工方 法確 立の基 本 とな る。
本研究で は, まず第一
段 階と して, 現実に近い状態で こ の防 水 材 料 を塗 布する ことに よっ て, コ ン ク リー
トの 内 部が どの よ うに変 化 するのか,
ま たその変 化 した もの は何である かを 明らか にする ことを 目的とし た。
次に既 往の研 究につ いて で あ る が, 現在の ところ, こ の材 料・
工 法に関 連する研 究は極めて少ない。
ただ実 務 で は か な りの効果を上 げている部分 も あ り,
し た がっ て 実用的な観点か らの研 究はい くっ か あ る 。例えば,
村田,
神 山z)は こ れ ら材 料 をコ ン ク リー
トに 塗 布 し0.
2
kgf
/cme の 静 水 圧 を 3か 月 間加え た後の透 水 係数 を.
調 べ,
材 料に よっ てば らつ きはあるが,
防 水に有 効である こ と を明ら かに して い る。
有 坂,
青 木3)は モ ル タ ル試 験 体を 用い て透水試 験に よ る防 水効果を研 究し て おり,
そ れに関 与す るい くつか のパ ラメー
ター
につ い て検 討し て い る。
岸 谷 ら4}はコ ンク リー
トを用い て,
材 料 を塗 布 後 6か月 間 静 水 圧を加えた試 験 体を層 状に切 断し, そ の透 水 係 数の分 布 を 調べ , 塗 布 面に近い部 分で透 水 性 減少効 果が著 しい ことを示し てい る。
これ らの研究は主と して実 用 性 能につ い て検 討された もので あ り,
そ の効果につ いて述べ て はいるもの の, そ れ が どの よ う な仕 組みに よっ て起きてい る の か は検 討さ れて いない。 特にその水 密 化 過 程に関 与す る内部組 織に つ いて の 研究は, 筆 者ら の知る範 囲で は ほとんどない の が 現状で あ る。
2.
本 研 究での検 討 項 目 ケイ酸 質 防水 材 料を塗 布し たこと に よ るコ ン ク リー
ト 内 部 構造の変 化は,
多くの要因によっ て 決 定 され ると考 え ら れ る が,
その 中で基 本的な要因 と して本研究では, コ ンク リー
ト も含め た材料の性 質に か か わ るもの,
施工にか か わ る もの,
時 間 (材令 )にか か わ る もの に 整 理し,
検 討し た。 2.
1 材 料にか か わ るもの 表一
1 下 地コ ンク リー
トの調 合 混 和 粥 AE 減水剤 AE 減 水 斉囗 セ メン ト:普 通ボル ト ラン ドセ メン ト,
砂・
砂 利 :大非川 水 系 AE 蔽水 剤 :Ptゾ リス No.
10 表一
2 ケ イ酸 質 塗 布 防 水材 料の成 分 化学 成分 (鑑) Sio2 CaO A二203 Fc203 酬BO 503 Na20 【£O強 熱 減 」 無 機 質 単 体 型 無 機・
有 綴 混 合 型゜
12.
135阜
22.
51.
7 エ.
31.
53.
00.
3 エ0.
526.
5Z.
10.
70.
51.
70.
10.
23.
工、
3.
4 不 溶 残 分 3s.
3 51.
2 4t混合時 有 機 質 成 分の 溶液 (エ チレ ン酢 駿ビ昌 ル)を 雷皿比 10 % 添 加 す る。
(1
) 下地コ ンク リー
トの種 類下 地コ ン ク リ
ー
トは水セ メン ト比75% の組 織炉
粗め の コ ン クリー
トと,
現 実に施工 さ れ ることの多い水セメ ン ト比55%の コ ン クリー
トの 2種 類と し た。 用いた材 料お よ び その調 合を表一
ユ に示す。
(2 ) 防水材料の種類 ケイ酸 質 塗 布 防 水 材 料は材 料 組 成 面か ら,
無機 質 単 体 型 (無 機 質 系 材 料の みで構 成 されて い るもの〉,
および 無機・
有機 質混 合型 (無 機 質 系 材 料に有 機 質 系 材 料が付 加さ れて い るもの)に大 別で き, その各々か ら.
1
種類ず つ を試 料 と した。 なお,
両 防 水 材 料の構 成 成 分 を表一
2 に示す。 2.
2 施工 に か かわるもの (1
)塗 布 面の位置 実 際の構 造 物で は,
水の 作用す る側に防 水 材 料を施工 する場 合と, 反対側に施工 す る場合が あ ること を鑑み,
塗 布 面 を水 圧 側 と水 圧 反 対 側の 2種 類と し た。
(2) 水 圧 地下 構 造 物の壁体 面 等で は,
地 上面 近い部 分と深い部 分で は負 荷さ れ る水 圧には差がある。 水 圧 差が その 内 部 変 化に影 響を及ぼ す こと も予 想さ れ る た め,
1kgf
/cmii.
O.
OOI kgf/cmz の 2種の水圧 と し た。
こ れ は水 深 10 m 表一
3 試 験 体の種 類お よび試 験 条 件 下地コン ク リー
ト の 水セメン ト比 (%) 防水 材料 の毬 類 布面の位 水 圧 (ヒgf !。■2) 材 令 無 塗 布 O.
001k 水圧 側 o.
oo1 無 搬 質 単 体型 互 75 水 圧反対側 o.
OOL1 水 圧 側 o.
oo 且 無機・
脊儀質混含 聖 水 圧 反 対 側 o.
oo吐 Lか月「 3か月 6か月 1 年 2 年 L 無 塗 布 D,
0011 水 圧 側}
9.
001 無機質単 体 型 匚 55 水 圧 反 対側 0.
OOLL 機・
有 椴 質 混 合 型 水 圧側 o.
oo塵 1 水 圧反対 側 o、
00i一
48
一
N工 工一
Eleotronio Library轡: 撫
「
鯉’
一
.
_
.
窟
漉k
獵
轗
置凹
跏
騨、
;r/讖
撫
笹
ヨ
水圧空気 抜き栓 ケ4駿 質塗 布 ρ
』
qP詠
識
゜馨
8
.
o・
Obgo6 碑69脚
: o・
甲
o、
q・
・
bQl ;o ,・
96031・
gq :’
。1
さ:1
ヶ
P
δ 9驤
響
8
磯
宅,』
° 下地コ ン エ ポ アク リル 塩 化 ナ1
飽 ω 断 面鹵
エ ポ 串シ樹 脂.
隆 tt.
t.
アク リル 樹脂 型枠.
、
塩 イ匕ナ トリウ ム 飽和水溶 液宀
.
舮
ド
毫
宀
喜 孳 ・飜
麟
蜘黼
,
懿 いり
蠡 聯 韈 黙 欝 写 真一
1 加水 圧 試 験 装 置および試験状況 お よび1cm
の水圧 に ほ ぼ相 当 するもの で あ る。
2,
3 材 令にかかわ る もの内 部 組 織の変 化は材 料の 化 学 反 応に起因 するため
,
当 然材 令に よっ て変わりうる。
本 研 究で は最 大を2 年まで と し,
各々 1か月,
3か月,
6か月,
】年,2
年 目に変 化を 調べ た 。 上記まで の試 験 条 件 を整 理し, 表一
3に 示す。3.
試 験 体試 験 体は壁 体 を想 定し
,
厚さ150mm の コ ンク リー
ト に防 水 材料を塗 布し たもの と し た。 そ の製作の手順と方 法は以 下の と おり である。
3.
1 下 地コ ンクリー
トの作 製長さ150mpa , 幅100 mm
,
深さ50 mm の 合 板 型 枠に 所 定の コ ン クリー
トを 打ち 込み24
時 間 後 脱 型し,
20±2
℃ の温 度で 2週 間 湿 空 養 生し た。
3.
2ア ク リル型 枠へ のコ ンク リ
ー
ト(b
固 定ア ク リル容 器 内に, 硬化し たコ ンクリ
ー
トを打 設時の 側 面が防 水 材 料の塗 布 面に な る よ うに設 置 した (こ れ は 壁 体 面に多 く施 工さ れ ることを考慮し た もの で あ る)。
そ の後 周囲をエ ポキシ樹 脂注入により固 定 し, これ を 下 地コ ン クリー
ト と し たD 3.
3 ケイ酸 質 塗 布 防 水 材 料の塗布 防 水 材 料の塗 布に先 立ち, コ ンク リー
ト表 面 をワイ ヤー
ブラ シ が け を し,
十 分 な 水 湿しを行っ た。 防水 材 料 は所定の水,
も し く は有 機 質 溶 液 を 加え十 分練混 ぜ た後,
刷 毛も し く はブラ シ を用い てコ ン クリー
ト表 面に塗D付 け た。
なお塗布量は実際の施工で使 用され る量と し,
無 機 質 単 体 型で は1.
55
kg
/m2t 無 機・
有 機 質 混 合型で は 1.
50kg/m2 と し た。
な お,
水圧 が塗 布 面に負荷さ れ る 試 験体と,
水圧 が塗 布 面の 反 対 側に負 荷さ れ る試 験 体の 2 種類
と し た。
これ ら試 験 体はその後さ らに2
週間湿空 養 生 を行っ た。
4.
水圧負 荷試験,
4.
1 水圧負荷 試 験装置 試 験 体 を取り付け た状態の試験 装 置の概 要 を写 真一
1a に示す。 試 験 体 上 面 側は アク リル製の カ バー
で覆わ れ,
水圧 を負 荷す る よ うになっ てい る。 下 面 側は塩 化 ナ トリ ウム飽 和 水 溶 液 を入 れ た容器が取り付け ら れてお り,
ほ ぼ一
定の湿 度 (2Q℃,
75%R .
H .
)を保つ。
また試 験 体 上面よ り10m の高さの位 置に水 槽が設 置して あり,
試 験 装 置 まで耐 圧ホー
ス に よっ て水が導か れ,
試 験 体に水 圧を負 荷 する。
4.
2 水 圧 負荷方 法 試 験 体 を 試 験装 置に取り付け,
水圧 ユkgf
/cm2 の場 合 は水 槽の水 を装 置 内に流入 さ せ,
内部に存在す る空 気を コ ック を開 放 し て完 全に排 出するD』
水圧o.
OOI kgf/cm2 の場 合は試 験 体 上 面に水 を1cm ま で流入 す る。
これ ら 試 験 状 況 を写真一
ユc に示す。TII
冒 £5.
走 査 型 電子顕 微鏡 (SEM )に よ る試 験 体 断 面 内 部の 観 察 5.
1 組 織 観 察 ケイ酸 質 塗 布 防 水 材料を塗布し たコンクリー
ト内 部 空 げきに は繊 維 状 結 晶お よび 針状 結晶 物が多く観 察され る。
そ の量は防 水 材 料を 塗布 していない コン ク リー
トに 比べ て は る か に多い。 こ の現 象は防永
材 料 を塗 布し た影 響に よる変 化と考えること がで き る。 そのtsめ本 研 究で はこ の点に着目 して内 部組織の変 化を明らか にずる こと と し た。 とこ ろで繊 維 状お よ び針 状 結晶 は,
多くの場 合 繊 維 状 が初 期の カル シ ウム シリ ケー
ト水和 物, 針 状がエ ト リン ガイト と説明 さ れ るこ と が多い5・
6}が , 実 際の観察に よ ると, 両 者 を 明確に分 類・
区 別できるもの ばか り で は な 水 圧 水 圧↓ ↓ ↓
4
↓1
↓
↓
↓↓
防 水 材 料 層⊥
贈
.
蕊
゜
錚
籌
達
日 四譁
零
下 地コンウv−F
試 料 採 取 位置%
∵・
° 。 ° 。 謙゜
よ
・ 。 げ蓋
》
憶
防水材 料 層 (a)水 圧 側 塗 布 (b)水 圧 反 対 側 試 験 体 塗 布 試 験 体 図一
1SEM 観 察 試 料の深さ方 向での採取 位置一 49 一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service Arohiteotural エnstitute of Japan
O.
0一
一
e.
5
一
i.
o 1.
5
一
2.
0。
.
s呈
0200
400 60〔卜 観 察 試料の 40 倍の ガ イ ドマ ッ プ写 真観 察 され た繊 維 状
・
針状結晶 量の糊対密度 (結 晶の存 在を 表 す 黒点 幗 数加ロ2) 写 真一
2 繊 維 状お よ び針 状 結 晶の分 布と 整 理 方法 〈, 繊維状 とも針状と も分け難しい形態のも
の も多い、 し た がっ て,
こ こ で は,
無 理に両 者を区 別せず,
そ れ ら の分 布 を調べ る ことに し た。
防 水 材料の効 果を検討す る た めに は, そ れ らの生 成 程 度 を定 量 的に把 握す る必要が あ る。
もち ろ ん厳 密な測 定が望ましい が技 術 的に困 難な 点 も 多 く,
こ こ で は概略の密 度 を 知る こと を目的とし て 以下の方 法に ょっ た。 (1
) 試料の準備 所 定の水圧 負 荷 日数 経 過 後, 試 験体を 縦 方 向に割 り,
防 水 材 料 層 を含む小 片 を割り出す。
水和反応をこ の時点 で停 止させ る た めに,
これを 直ちにア セ トン中に一
昼夜 浸漬する。
さ らにD 一
ドラ イ 法に よ る 乾燥を 48時間 行う。
これを 切 断して数 mm 角 程 度の試料片 を 作 成し, 観 察 試 料 と する。
図一1
に防 水 材 料 塗 布 試 験 体の試 料 採 取 位 置お よ びSEM
観 察の位置 を示す。
(2 > 観 察の 手 順 観 察 試料を まず 倍 率40倍で写 真 撮 影 を行 う。
各 写 真 をつなぎ合わせて試料片の全体写真を作り,
全 体 像の ガ イ ドマ ッ プと す る。 次にSEM
の画 像 を4OOO
倍に拡大 し,
視 野 を 移 動 させ試 料全 面 積に わたっ て内 部 組 織の 変 化を観察す る。
5.
2
内 部 組 織 変 化の測 定の方 法 4000 倍で拡 大さ れ た視 野 (約20μm ×27μm )を 田の 字 形に 4分 割し,
結 晶の生 成の専 有 面 積に応 じ て 1/4程 度な ら ば黒点 1個,
半分程 度な ら2
個,
全 視 野 を 占める 場 合は黒点 4 個とい う よ うに視野内の結晶の量に応 じ た 黒 点 数で その量 を示し た。 し たが っ て黒 点の多い部 分ほ ど は結晶 が相対 的に多く 発生し てい ること を表す。 た だ し,
現段 階では形 態に関す る情 報は記 述 してい な い。
5,
3
観察結果の整 理 方 法まず防水材料層と下 地コ ン ク リ
ー
トの境 界 面を基準と して コ ンク リー
ト内部の方へ 0.
5mm ずつ 層状に区分す る。 その区 間に打 点さ れて い る黒 点 数 を数え る。 得ら れ た結果を その区 間の単 位 面 積 当た りの個 数 (個 /mmZ ) と して表す。 これによっ て結 晶の相 対 的な密 度を お お ま か に判 断す るこ と がで き る。 前 述の方 法に よ り調べた結 写 真一
3 防 水 材 料 塗布コ ン クリー
トの内 部で繊 維 状お よび 針 状 結 晶が主た る観察さ れ る場 所一
50
一
N工 工一
Eleotronio Library胴
‘
懸 砲 鼬 週 翼 高 舶 蝋 躍 為 飃 魏 算 粛 も.
函 弊 灘 緇 掣 樮 曄 層(
四
§ \馴
。。 誉冖
出 穀、
訳頃
卜目
9 \ ≧)
漣 算 怛 魚 e 暘 潔 巽 志 b 妬 緯 萎 灘 遜 契 D 姻 思 詭 超e
亠 ー ⊃ ヘ ハ [ 梓 釧 簾 為 帖 鴇 亠 ー へ[
へ 八 口 製 ⊃ 梓 蜘 細 宴 韓 煮 握 寸 − 砿 帥Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service Arohiteotural エnstitute of Japan
晶の分 布 を写 真
一2
に示す。
図中 縦 軸は境 界 面 位 置を基準とし た時の,
下 地コ ンク リー
トにつ いて は内 部 方 向 深さを表し,
防 水 材 料 層につ い て は上 方 向にその塗 布 厚さ を表す。 厚さ は塗 布 時の作 業 精・
度の影 響を受け,
ば らつ き が あ る が平 均 値で示 し たe6.
観 察 結 果お よび考 察 6.
1 結晶の分布お よ び その変 化 (1 ) 結晶が多く観察され る位置 コ ン クリー
ト中の針 状結晶 は主と し て セ メン ト水和 物内の空 げき部 分 (写真一
3a ),
セ メン ト水和 物 と 骨 材の空げ き部 分 (写 真一
3b ),
ペー
ス ト内 気 泡 部 分 (写 真一3c
)に多く観 察さ れ た。
(2
) 材 令に よ る変化 量的変化 写 真一
4に結 晶 が最 も顕 著に生じ た下 地コ ンク リー
トの水セ メ ン ト比75%,
水 圧 側に.
防 水 材 料 塗 布, 負 荷 水 圧 1kgf/cm2 の場 合の試 験 体の材 令 2年 目 までの分 布 を示 す。 さ らに これを基に して作 成し た結 晶 発 生 量の相 対 密 度の変化を図一2
に示す。
こ の図か ら明ら か な よ うに コ ンク リー
ト深 部に入 る に 従っ て その密 度は減 少す る。 無塗布コ ンク リー
トで も繊 維状お よ び針状 結晶 は多少生じ て お り, 防 水 材 料 を塗 布 し た実 質 的効果は,
塗布し たもの か ら無塗布の もの の結 晶 数を差 引い た残 りの量と して判 断し な け れ ば な ら な藷
躰
一
幹
1か月 3か月 6か 月 艮年 2年 o.
o 曇…暈’
o・
5 輜 鋒一
1』 糠 筮一
L5−
2.
0 君 コ ンク リー
ト層 防 水 材 料 層 寵.
5講
二
ili
郵
畠
:
1
:
1
監 境 界 面 コ ン ク リー
ト層 邑・
3:・
・
’
♪:ずさ弓齟
,.
3:二層
7 ガ・
防」水,
林 料 層.
:
;
.
’
.
‘
.
.
’
.
幽
.
鹽
.
.
L,
’
・
’
靆さヒ 罫 0』 厳醤 蜂 謡・
o・
5 掴 樽一
1.
o・
蜘一
1.
5 翠 劇 扉くロー
2』 コ ン ク リー
ト層 境 界 面引
0 脚 400 600 800.
O 加0 400 600 800 0 200 400 6000 200 406 6000 200 400 601 繊維 状・
針状 結 晶量の 柤対密 度 (個 ん m2 ).
図一
2 防 水 材 料 塗布条件お よ び材令進行に ょ る結晶 量の相対 密度の変化 {WIC ;75%,
水 圧 1 kgf/cmZ ) り ズ 個 ( 63 0007006005004OO3OO2OO1 100 0 8 囓 櫛 誤 卑 e 制 酬 麒 昭 齪 鮮 粛・
郭 譽 輝 穏 9 国 鰍 12 24 材 令 (月 ) 図一
3 境 界面か らlmm ま での下 地コ ン クリー
ト中の繊 維 状お よ び針 状 結 晶の発 生 量喰 t の材令に よ る変化 (W/c :75 %,
水圧 :1kgf/cmZ ) ° ] 発 生.
量=
防水 材 塗 布 試 験 体の黒 点 数一
無 塗 布 試 験 体の 黒 点数 丶 丶一
試験 体、
観 察 位 置 丶 丶 無塗 布 試験 体 無機 貿 珥 体型 無機・
有機 質1
∫ 塗 布試験 体 合型 塗 市試験 体 防 水材 料 層 こ’
∵.
’
.
・
’
・
境 界 面 o.
o・
o.
5 表 層部}
1.
0−
L5− −
2.
OE
:
コ ン ク リー
ト層 5 約 0.
0蟹
弔.
5
深さ約5c皿一
1.
0 る一
L5艶
・
・ コ ン ク 1 卜層、
■
甥 0.
0−
0.
5 深さ約10cm’−
1』−
L5−
2,
0 コ ン ク リー
ト層 0 200 400 0 200 400 0 2001 400 繊 維 状・
針状結 品 蜀の相 対密度 (個 /mm2 ) 図一
4 繊 維 状お よ び針 状 結 晶の観 察きれ る深さ (Uγ/C :75%,
材 令:1年 )一 52 一
N工 工一
Eleotronio Library(a) 材 令
、
7
日 (b
) 材令 ;1炉
月 (e)材 令 1年.
(f
)材令 2年 写 真一
5 材 令 進 行による繊 維 状およ び針 状 結 晶の形 態 変 化 い。
コ ンク リー
ト境 界 面か ら深さlmm
までの結晶の発 生の相 対 密 度 を図一3
に 示す。
その密 度は 1か月位では それ ほど多くはない が, 3か 月か ら6か月 位にか けて急 速に増 加し,
その後は逆に減 少した。
形態的変化 結晶の 形 態も材 令 とともに変 化す る。 写 真一
5に材令ご と に多く観 察さ れ る結晶の例を示 す。
材 令の初 期 (写 真一
5a)で は,
短い繊 維 状と細 長 い針 状 結 晶が混 在して い るのが大 部 分で あ る が,
これ ら は材令進 行に伴い そ の形態 が変わ る。
す な わ ち,
細 長い 形 態の針 状 結 晶は写 真一5b ,
c,
d
に示す よ うに材 令 1 か月 以 後で太い針 状結晶 に変化 し,
材 令 1年 以 後 (写真一
5e , f)で は より太く な り,
板状形 に も変わっ てゆ く ことが見 られ る。 ま た繊 維 状 結 晶も段々ち密な塊 状の水 和 物に変わり,
材 令3
か月以後で は、
初期 材 令の織維状 の形 態は見えな く な る。
こ の よ う な結晶 形態の変化 が材 令 1年 目以 後,
繊維状お よ び針 状結昂が見か け上 減少し た 理由と して考え られ る。
(3) 繊 維 状お よび針 状 結晶の観 察さ れ る深 さ 下 地コ ン クリー
ト深 部の 状態 を調べ る た めに表層部 以 外に も図一1
に示す内 部2
個 所 か ら も試 料 を採取 し繊 維 状 お よ び 針 状 結 品の存 在の有 無 を 調べ た。
図一
4に下地 コ ン ク リー
ト水セメ ン ト比 75%, 水 圧 1kgf/cm2,
材 令 1年の結 果 を 示 す。 深さ約5cm ,10
cm の いずれの位 置に も繊 維 状・
針 状 結 晶が観 察さ れ る が,
その 密 度は無一
53
一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service Arohiteotural エnstitute of Japan
塗 布の試 験 体と そ れ ほ ど差が ない。 こ の ことは防水 材 料 を塗布 し た効 果が
,
こ の深さ まで及んで い な い こ とを意 味す る。 し た がっ て通 常の 水セ メ ン ト比の コ ンクリー
ト で は,
そ の効果 の 及 ぶ範囲 は せい ぜい数mm 程 度で あ り,
そ れ以 上 深くまで コ ン ク リー
ト組織を変化さ せる も の で はない と考え られる。6.2
ケイ酸質塗布 防水 材料の種 類に よ る結晶発 生の差 図一
2に示す よ うに下 地コ ン ク リー
ト中の 結晶発 生 は,
無機質 単体型の方が無機・
有 機質混合型よ りも多い 。 特に塗 布 後1
か月までの初 期の差 異が顕著であ り,
無 機 質単体型で は塗布 後 1か月で,
ある程度繊維状・
針状結 晶の発生 が見ら れ る が,
無機・
有 機質混合型で はあ ま り 生 じ ていない。
材 令進行に伴い後者にも発 生す るが, コ ン ク リー
ト境 界 面か ら深さ方 向0.
5mm か らLOmm 以 内であり, 前 者が約 1.
5mm 程 度の深さまで多 量の発 生 が見ら れ るの に比 較 すると,
浅い ところに と ど まっ て い る。 これ は後 者で は溶 液と し てエ マ ル ショ ンが使 用さ れ て おり,
防 水 材 料 中の 結晶発生 に付与 す る シ リ カ 成 分等 の移 動を遅 延さ せ る被覆 作 用の よ う な効 果に よ る た めで は ないか と推定さ れ る。 ま た,
塗布し た防水材料層自体 に も顕 著な差が あ る。 す な わ ち,
無 機 質 単 体型では防水 材 料 層 中に は針 状 結 晶が ほ と ん ど見ら れ ない の に対し,
無 機・
有 機 質 混 合 型で は防 水 材 料 層内部に多く観 察さ れ る。6.3
下 地コ ンク リー
トの 水セメ ン ト比の影 響 図一5
に水セ メ ン ト比75
% と55
%の コ ンク リー
ト (水圧側塗布,
負 荷 水圧 1kgf/cm2,
水圧負 荷 後 2年 ) の場 合の結晶の分 布を示す。
両 者に は顕 著な差がみ ら れ , 深 さ1.
5mm の範 囲で は水セ メ ン ト比75 %の コ ン ク リー
トが 55 %の コ ン ク リー
ト より約 2〜
3 倍の量の結 晶 が 生 じて い る。
水 セメ ン ト比 はコ ンク リー
ト自身の ち 密 性に強く関 係し て お り,
組 織が粗い場 合に防水材料の 浸 透が容 易と な り,
多量の結晶生 成が期 待でき る。 すな わ ち,
多 少 粗めの下 地コ ン ク リー
トの ち密性 向上に こ の 丶 丶 試験体 水セ〃漉
\、
、
無 塗布 試 験 体 無 機 質 単 体 型 塗 布 試 験 体 無機・
有機 闘 合型塗布試 験 防水材料層鹽
.
,
,
,7圏
亀 r」
0.
0 宕一
〇.
5 匚 55 %)−
1.
O 杓一
1.
5 腿ρ
Q∬−
2.
o コ ン クリー
ト層 防 水材料 層 三:”
・
’
・
::
.
:
,
境 界 面 {〜 o』驃
噸.
5 75 % 鰹一
LO−
L5−2
』 0 200 400 0 200 40 0 200 400 繊 維 状。
針 状 結 品量の相対 密 度 (個 んm2) 図一
5 下 地コ ンク リー
トの水セメ ン ト比の 差 (WIC :75%,
材 令 :2年〉一
54
一
よ う な 工法が効 果 的であり そうで ある。
6.
4 防 水 材料塗 布 位 置 (水圧側,
水圧反 対 側 )の差 水セ メ ン ト比75 %の コ ン ク リー
トで水圧側に防 水 材 料を塗 布し た試 験体と水 圧 反 対 側に塗 布し た試 験体 (負 荷水 圧1kgf
/cm2,
水 圧 負 荷 後 1 年 )の結 驫の 発生につ い て調べ た 。 観 察 結 果を 図一
6に示す。 結 晶は水圧反 対 側に塗布し た場合で も発 生す る が, 水圧側塗布の場合に 比べ る と その数は著 し く少ない。
結 晶の発 生に は十分 な 水 分が必 要で ある が,
水圧反対側は塩化 ナ トリウム飽 和 水 溶 液で湿 度は約75
% に保た れ て はい るものの,
十 分 な湿潤 面と はいえず,
結晶 生 成が抑制さ れた ため と推定 さ れ る。 6.
5 負 荷 水 圧の影 響 図一
7に下地 コ ンク リー
トの水セ メ ン ト比 75%, 水 圧 側 塗 布の 試 験体に,2
種 の 水 圧,
1kgf/cm2 お よ び O.
OOI
kgf
/cmZ を負荷させ た時の 1年 目の観 察 結 果 を 示 丶 \ 試験 体、
、
塗 布 位 置、
丶.
無 機 質 単体 型 塗 布試 験 体 無機・
有機質混 含 型 塗 布 試 験 体 防 水 材料 層・
.
:・
r 0.
0’
扈3
−0・
5
出5
−
1』 穀靈
一
L5
e −
2・
0 コ ン ク リー
ト層 心lll
防 水 材 料 層 麟一
.
・
:境 界面 0200
400 0 200 400 繊 維 状・
針 状 結 晶 量の 相 対 密 度 (個 /Mm2) 図一
6 防 水 材 料 塗 布 面 位 置の 差 (WIC :75%,
水圧 : ][ kgf/cm2,
材 令 :1年)、
丶 試 験 体、
、
、
甌
水 圧の大 きさ丶 無 機 質 単体 型 塗 布 試 験 体 無機・
有機職 合 型塗布 試験1
.
防 水 材料 層」
L.
o.
o毛
倉一
〇.
5報
二
}
:
l
e
−2.
o
・
9 コ ン ク リー
ト層∵
1幽
境界 霞灸
0』
着
驃
一
・ ・ 蓋 騾一
Lo自
一
1・
5 0−
2』 0 200 400 0 200 400 繊 維 状・
針 状結刷 辻の相 対 密 度 (mO
/mm? ) 図一
7 防 水 材料塗布 面に作用す る水圧の差 (W /C :75%,
材 令:1年 ) N工 工一
Eleotronio Library難
蜘
婁 鯉灘
靆 無 欟 鼕 毒鱈
讐.
。
、
翼鑼 掛餌
路痔
紹勲
尸
欝鴉
輔 韜 解謹難
靆黷
繍
繍
灘
轗 纛
鑽
ド
’
呷
嚇 t /t ・ 覊欝
鑞
韆
騾
韈鍮 鑼
藩
灘
韈
鑾 鑾 耋
_
難
F
:繊 維状
結
昂
・
M
・1
魏
状
結 晶
N
針
状
結
晶
写 真一
6 観 察し た結品につ い て のEDX 分析コ
遭
・
曩曜
」
葦『
嬲 繍 翼覊
鑞
、
驪
臣
飜
蠡 爨彎
覊翻
驪
騰
欝 す。
高 水 圧 負 荷の方が低 水 圧 負 荷に比べ て結 晶 発 生が多 少 多い。
特に無 機 質 単 体型の場 合 は,
低 水 圧で はlmm 程 度まで しか結 晶は増 加して い ない の に対し,
高 水圧で は 深さ1.
5mm 程度まで結晶が多数生じ ている。 無機・
有 機 質混合型の場 合 は 結 晶 発 生の深 さはそ れ ほ ど変わ ら な いが,
その数は高 水圧の場合が多少多い。
この こ とは, ケ イ酸質塗 布 防 水 材 料の下 地へ の浸 透 性は,
負 荷さ れ る 水圧の大き、
さに関 係が あ り,
無機 質 単 体型の方が 無機・
有 機 質 混 合 型よ り その髟
響が顕著で ある。
ア.
生 成 結 晶 物の検 討 7.
1 分 析 方 法お よ び意図 ケ イ酸 質 塗 布 防 水 材 料を 塗布す るこ と に よ り,
条件に よっ て差はあ る もの の,
ゴ ン クリー
ト内部に は多 数の繊 維 状お よ び 針状 結晶の生 じる こ と が明ら か に なっ た。
従 来これ らの生 成 物はケ イ酸カル シウム の結 晶 体と言わ れ で い る1)が,
2 つ の方 法に よ り確認,
・
検 討し た。 (1) エ ネルギー
分 散型 X線 分 析 (EDX ) 対 象とする結晶だ け に注 目し て の測定が可 能であ り,
こ の 中に含ま れ る 元素を 明 ら かに し う るこ と を期 待し た。
(2)X
線 回折 分 析 結 晶 物が小さい ため完全にそ れ だ けに注 目して の測 定 は不 可 能であ る が,
近傍の ペー
ス ト,
骨材も多 少 含め た 状態で,
含ま れてい る結晶 名 称を明ら かに しうること を 期 待 し た。
7.
2 試料の 調 整 お よ び 試 験 方 法 (1 )EDX
分析 SEM 観 察と同一t
の 試料を 用 いて 結晶に 焦点を合わ せ,
検 出され る化 学元素 を調べ た。
(2)X
線 回 折 分 析 試 験 体の防 水層部分を 除 去’
し,
コ ン ク リー
トの表 面か 藩ゼ
;l u結
晶
鼠
扁
の成
分
結
畠
N
の成
分
ら約 4mm 程度の 深さ まで の部 分を試 料とし て採 取し た。 採 取し た試料は アセ トン処 理により水和 反 応を停止 させ ,D 一
ドラ イ法に より乾 燥を行っ た。
さ らに これを 乳鉢で粉 末に し て測 定 用試料とし た。
測 定 は 回 折 角(2θ) 5°
か ら40Qまで の範 囲で行い,
防水材料を塗布し たコ ン ク リー
トと 無 塗布コ ン ク リー
トを比 較した。
7.
3 測 定 (分 析 )結 果 (1) EDX 分 析 EDX 分 析 結 果を写 真一
6に示 す。 繊 維 状 結 晶で検 出 され た主な元 素はSi
,
Ca
であ り,
針 状 結 晶で は長さ,
太さに関 係なくCa,
Si,
Al,
S で あっ た。
また塊 状 結 晶 は繊 維 状 結 晶と同じSi,
Ca
で あっ た。 こ れ ら元素お よ びSEM
観 察か ら推 定さ れ る物 質 名は,
繊 維 状 結晶 は カ ル シ ウム シ リ ケー
ト水 和 物 (C −S−
H
)のTYPE
I
であ り,
塊 状 結 晶は カル シウム シリ ケー
ト水 和 物のTYPE
丗 (三 次 元 等 寸 法 状 )で あり5.
G ),
針 状 結 晶は 工 ト リン ガイ トで あ る7・
S )。 す な わ ち,
防 水 材 料 を 塗 布する こと に よ り下地 コ ンク リー
トの 組 織に生 成 す る結 晶 体は カル シ ウムシ リ ケー
ト水 和 物ば か りで は な くて,
エ トリンガ イ トも生 成され てい る と推 定され る。
(2 >X
線回折 分 析一
55
一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service Arohiteotural エnstitute of Japan
窃
95
囲 髓 覧 回2
』
無 塗 布 試 験 体・一
一
.
− −
.
一
.
.
.
」
「
−rr
}
= ニー
.
’
=胃
一
無 畿・
有機質・
L晶一一
磐・
堯鑵÷一
無 機 質 単 体 型__ −
2.
.
L
試 験 体 ナー
_.
.
.
.
.
.
r_
9.
」ム鵡 ;『
: ヱ :=7,’
:一
.
’
「
1
::π齟
.
一一
一
.
三一
__亠「
.
.
’
混合型 試験 体.
_
_.
_.
_
亠
=_
L 」.
’
騨 二7一一一
,P.
→
.
r
:
.
♂
」
L}
3”
『
=一
三,
、
−
、
、
一
=』
一
、
.
=一
π
影
.
.
、
、
辱
」.
一亠
≧一 一
.
;.
.
≒
;’
蕩丁舖 :Σ.
置.
誉 籌1一
;rJ7三、
1亨’ .
亠
=
‘}
}轟
三藝 冓=一
….
辷i
韭’
歩 悲 二 津癬 萋’
.
.
:準:
灘
重蕪
轗 隷
・
1’
.
:.
:、
=・
1:
i
’
≡
{
一
…
・
f・
1;
_、
!鷺.
:、i
二.
1・
1 :』
;;.
一
.
・.
_
ヨ ニf二.
,
一
..
’
・
・
ヨ.
!
.
纛
.
:
妻1
戀
:1
;
i
,
.
−
覊
灘
灘
盞
暫・
:・
il_.
.
T,
、
、
冨
諤L
哩
=
「
・.
彎鷺 轟一
∫ 隴 }1 ニー
辱≦・
;.
卜
暑亠
鬘 哥=
霎籤1 丁
通蕪箪
」
・
・嚢
二日鷽 ゜5
享
菁
・
L・
ぎ 禰 τ’
圏
三震
.
:≡.
一 =
・
」
i
.
一
Pl
ご燃
凵
ラ
o.
、
7一. _一
”
;藝:.
幽
‡ :1』 」
■
o
髄’
一
一
一
1’
…
一
・
∋
壬1
−.
.
一.
10
20
30
4010
20
30
4010
20
30
40
○エ ト リン ガ イ トの ピー
ク 回 折 角 (2 θ) ●Ca
(OH
)2の ピー
ク ムSio2
の ピー
ク ■C−S−H
の ピー
ク 図一
8 下 地コ ンクリー
トのX線回折分析 (W/C :75%,
防水材料水 圧 側 塗布試料 ) 各 試 料 (材 令6か 月,
水セメ ン ト比75%,
水 圧 側 塗 布,
1kgf
/cm2 水圧負 荷 )の 回折チャー
トを 図一8
に示す。
回折チャー
トの ピー
クに よ る結 晶 名の同 定 を 行っ た結 果,
防 水 材 料 を 塗 布し た試 料および無 塗 布 試 料の い ずれ に もSio2,
Ca
(OH
) 、,
カル シ ウム シ リ ケー
ト水和 物が 共 通に存 在 するこ と が分かっ た。 し か し,
防 水 材 料を塗 布し た試料の み に回折角9,1
° 部近 にピー
ク が わずか に 見ら れ た。
これ はエ ト リンガ イ ト特 有の ピー
クで あ り,
防 水 材 料を塗 布し た試 料に はエ トリンガイト も含ま れて い ることを 示し て いる。8.
結 論 本研究で は ケイ酸質 塗布防水材料が下地コ ンクリー
ト に及 ぼ す現象につ いて検 討し た。 その結果 防 水 材 料が浸 透し た表層 部に は多量の繊 維 状お よ び針 状 結 晶が生 成さ れ て お り, そ れ らの結晶 は防水材料の種 類,
水 圧の影 響,
塗 布 部 位の湿 潤 状 態によ り生 成量 お よ び浸透程 度が異な るが,
材 令の進 行に よ り徐々 に成 長 し,
形 態 を変 化さ せ な が ら 空 げ き を充てん し てゆくこと を 示し得た。 特に,
初期材令で は繊 維 状および針 状 結 晶が混 在し観 察 さ れ る が,
こ れ ら は カル シ ウム シ リ ケー
ト水 和 物お よ びエ ト リン ガイ トであ るこ と を示し た。 ま た繊 維 状 結 晶 は材 令と と も に ち密な塊状結晶に変わ り,
針 状 結 晶は よ り大き く成長 す るこ と を明ら かに し た。 これ が ケイ酸 質 塗 布 防 水 材 料がコンクリー
トの組 織 ち密 化に寄与す る メ カニ ズム の基 本 現 象で あると 推 定さ れ る。
ただ し, こ れ らの現 象が下地コ ンク リー
トの水 密 化を どの程 度 向一
ヒさ せ る か といっ た実用面での定量的 評 価に つ い て は今 後の課題であ る。 謝 辞 本 研 究に は,
東 京工業 大 学工業 材 料 研 究 所 助 教 授・
中 川 善兵衛博士,
同 助手・
大矢 豊博士に走 査 電 子 型 顕 微 鏡お よびX
線回 折 分 析装置の ご指 導 ご協力 を頂き ま し た。
名 和 豊春 氏 (秩父 セメ ン ト(株 )),
榊原 弘 幸 (住 友 セメ ン ト(株 ))には研 究 上の ご助 言を 頂 き ま し た。
ま た 研 究 全 般に わた り 日本 建 築 学 会ケ イ酸 質 塗 布 防 水 材 小 委 員会,
無機 質浸 透性塗布 防水 材協議会の多 大の ご協 力 を 頂き ま し た。 こ こ に心 より感謝致 し ま す。 参考 文 献 1) 特 殊 防 水 剤 懇 話 会 ;浸 透 性 塗 布 防 水 材に つ い て,
防 水 ジャー
ナル,
pp.
45−
47,
1982.
10 2) 村 田二郎,
神 山 行 男 :浸 透 性 塗 布 防 水 剤に関す る 2,
3 の実験,
セメ ン ト技術年報,
pp.
419−
424,
1970 3) 有坂 正典,
青木 祐史:ケイ酸 質塗布 防水剤の モル タル に よる性 能 試 験, 防 水 ジャー
ナル, pp.
40−
43,
1986.
9 4) 岸 谷 孝一,
田 中 弘 文,
戸 谷 陽一,
佐 藤 義 文 :無 機 質 塗 布 防 水 材 料の 性 能 試 験,
日 本 建 築 学 会学術 講演 梗概集,
pp.
457−
458,
1982 5) 日 本コ ンクリー
ト工 学 協 会 :コ ンク リー
トの微 細 構 造 と 諸性 質,
コ ンク リー
ト工学,
Vo【.
19,
No.
11,
pp.
7−
28,
19826 ) 内 川 浩:“
セ メ ン トゲル”
っ てなあに,
セ メ ン ト化 学 雑 論,
セメ ン ト協会,
pp,
51−
56,
1985.
57> P
.
Kumar Mehta;The Structure of Concrete;ConcreteStructure
,
Properties,
and Materials,
Prenlice・
Ha且[Inc
.
、
Englew。 。d Cliffs,
NewJersey
,
PP.
17−
41,
19868) 羽 原 俊 裕 :工 ト リンガイトと硬 化 体の性 質
,
セ tン ト・
コ ンクリ
ー
ト,
No.
504,
pp.
58−
59,
1989.
29) 後 藤 誠 史
,
大 門 正 機 :工 トリン ガイ ト,
セ メン ト化 学 雑 論,
セ メン ト協会
,
pp.
57−
60,
1985.
5ユ0)Waterproofing Concrete
,
Civil Engineering,
pp.
57−
71,
1978.
511) Stone and Earth Institute of the Clausthal School o
.
f Mines:“
Exa皿ination of cencrete and cementmo [taτspeclmens coated wjth Vandex
,
with a view to determin・
ing any harmful effects Qf the Vandex insulating且ayer on
the suppor1ing materiar
’
,
the Test Report,
1965,
512) 榊 原 弘 幸 :ケ イ酸 質 塗 布 防 水 材と その施工法
,
防 水ジャー
ナル
,
pp.
90−
92,
]989、
813) 合 志 陽
一.
佐 藤 公 隆:エ ネルギー
分 散 型X線分折,
日本 分 光 学 会,
】989.
614) B
.
D.
Cullity:E【ements of X−
Ray Dlffraction,
ア グ ネ,
1988
.
115}
JCPDS −
lnternatienal Centre for Diffractien Data:In,
0rganic Phases
,
PQwder Diffraction File,
】988(1990年4月 10日原 稿受理