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コラーゲン特異的分子シャペロンHsp47の欠損は,肝星細胞(HSCs)の小胞体ストレス介在性アポトーシスを引き起こす

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Academic year: 2021

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Title コラーゲン特異的分子シャペロンHsp47の欠損は,肝星細胞(HSCs)の小胞体ストレス介在性アポトーシスを引き 起こす( Abstract_要旨 )

Author(s) 川﨑, 邦人

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-03-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20216

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

Kyoto University

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( 続紙 1 ) 京都大学 博 士( 理 学 ) 氏名 川﨑 邦人 論文題目 コラーゲン特異的分子シャペロン Hsp47 の欠損は,肝星細胞(HSCs)の小胞 体ストレス介在性アポトーシスを引き起こす (論文内容の要旨) 肝臓における慢性的な炎症は,I型コラーゲンに代表される細胞外マトリックス の,肝臓における過剰な蓄積として特徴づけられる肝線維化を引き起こし,肝臓の機 能障害を招く.肝線維化では,主に,炎症性サイトカインによって活性化された肝星 細胞(Hepatic stellate cells; HSCs)によって,I型コラーゲンが産生される. コラーゲン分子は,3本のポリペプチド鎖からなり,小胞体内で立体構造を形成す る.コラーゲン特異的分子シャペロンであるHeat Shock Protein 47(Hsp47)は,コ ラーゲン分子が結合組織としての機能を発揮するために重要な構造である,3重らせ ん構造の形成および安定化に寄与している. Hsp47はコラーゲン産生に必須の分子シャペロンであり,線維化においてその発現 が上昇することから,Hsp47は線維化疾患の治療ターゲットである.実際,肝臓の線 維化において,活性型HSCsにおけるHsp47の発現抑制が,肝線維化を抑えることが報 告されている.このとき観察される活性型HSCsのアポトーシスが,肝線維化の治癒に 大きく貢献していると考えられているが,Hsp47の発現抑制が,活性型HSCsにアポ トーシスを引き起こす分子メカニズムは明らかにされていない.本研究では,この分 子メカニズムを明らかにすることを目的に研究を行った. LoxP配列をHsp47遺伝子に導入した,Hsp47 floxedマウスからHSCsを単離し,単離 したHSCsの,培養に伴う自発的な活性化を確認した.活性化したHSCsにアデノウイル スベクターを用いてCreリコンビナーゼを導入し,Hsp47遺伝子を欠損させた活性型HS Cs(Hsp47 KO HSCs)を得た. Hsp47 KO HSCsでは,細胞外のI型コラーゲンが減少し,細胞内,特に小胞体内に I型プロコラーゲンが蓄積していることが分かった.しかしながら,小胞体ストレス は観察されなかった.オートファジー阻害剤としてChloroquine(CQ)を処理すること によって,Hsp47 KO HSCsでは,オートファジーマーカーであるLC3のII型とp62とが 蓄積していることから,オートファジーが活性化されていることを確認した. CQ処理したHsp47 KO HSCsでは,細胞内にI型プロコラーゲンがさらに蓄積してお り,一部は界面活性剤不溶性画分に観察された.この時,BiPおよびGrp94の蓄積が観 察され,CHOPの誘導も観察された.さらにカスパーゼ3の活性化によるアポトーシス の増加も確認された. 以上の研究により,活性型HSCsにおけるHsp47の欠損は,オートファジーの阻害下 において,小胞体ストレスが惹起し,小胞体ストレス経路のアポトーシスが誘導され ることが分かった.またこれにより,線維化の治療では,Hsp47の抑制とともに, オートファジーを阻害することが有効であることが分かった. 以上の知見は,線維化疾患治療において,Hsp47を治療ターゲットにする場合に, 非常に重要な知見であり,線維化疾患治療に大きく貢献するものである.

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(続紙 2 ) (論文審査の結果の要旨) 本研究は,肝線維化における,コラーゲン産生細胞である活性型HSCsにおいて, コラーゲン特異的分子シャペロンであるHsp47の発現抑制が活性型HSCsにアポトーシ スを引き起こす分子メカニズムに関するものである. Hsp47はコラーゲン特異的な分子シャペロンであり,コラーゲン産生に必須であ る.故にHsp47は,コラーゲンの過剰な蓄積によってもたらされる線維化疾患におい て,重要な治療ターゲットである.肝臓の線維化において,活性型HSCsにおけるHsp 47の発現抑制が,肝線維化を抑えることが報告されており,このとき観察される活 性型HSCsのアポトーシスが,肝線維化の治癒に大きく貢献していると考えられてい る.しかしながら,Hsp47の発現抑制が,活性型HSCsにアポトーシスを引き起こす分 子メカニズムは明らかにされていない.本研究では,この分子メカニズムを明らか にすることを目的としている. LoxP配列をHsp47遺伝子に導入した,Hsp47 floxedマウスからHSCsが単離したHSCs は,培養に伴って自発的に活性化することが確認できた.活性化したHSCsにアデノ ウイルスベクターを用いてCreリコンビナーゼを導入し,Hsp47遺伝子を欠損させた 活性型HSCs(Hsp47 KO HSCs)を得た. Hsp47 KO HSCsでは,細胞外のI型コラーゲンが減少し,小胞体内にI型プロコラー ゲンが蓄積していた.しかし,小胞体ストレスは観察されなかった. オートファジー阻害剤としてChloroquine(CQ)を処理することによって,オート ファジーマーカーであるLC3のII型とp62とが蓄積していることから,Hsp47 KO HSCs ではオートファジーが活性化されていることが確認された.CQ処理したHsp47 KO HS Csでは,細胞内にI型プロコラーゲンがさらに蓄積し,一部は界面活性剤不溶性画分 に観察された.Hsp47 KO HSCsでは,BiPおよびGrp94の蓄積が観察され,CHOPの誘導 も観察された.さらにカスパーゼ3の活性化によるアポトーシスの増加も確認され た. 以上の研究により,活性型HSCsにおけるHsp47の欠損は,オートファジーの阻害下 において小胞体ストレスが惹起され,小胞体ストレス経路のアポトーシスが誘導さ れることが示された. 日本では,肝がんの6割以上は肝硬変から進展したものであり,肝硬変に至る肝線 維化の治療は医学的に大きな課題である. 本研究は,肝線維化疾患治療において,重要な知見を与えるものであり,基礎研 究のみならず,医学的にも大きな意義を持つ. よって、本論文は博士(理学)の学位論文として価値あるものと認める。また、 平成29年1月17日、論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果、合格 と認めた。 要旨公表可能日: 年 月 日以降

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