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新生児期発症多臓器性炎症性疾患患者由来人工多能性幹細胞における軟骨過形成は caspase-1非依存的であり、 cAMP/PKA/CREB系に依存する

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Academic year: 2021

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Title

Enhanced Chondrogenesis of Induced Pluripotent Stem Cells From Patients With Neonatal-Onset Multisystem Inflammatory Disease Occurs via the Caspase 1-Independent cAMP/Protein Kinase A/CREB Pathway( Abstract_要旨 )

Author(s) Yokoyama, Koji

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-05-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.r13113

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学) 氏 名 横 山 宏 司

論文題目

Enhanced Chondrogenesis of Induced Pluripotent Stem Cells From

Patients With Neonatal-Onset Multisystem Inflammatory Disease Occurs via the Caspase 1–Independent cAMP/Protein Kinase A/CREB Pathway (新生児期発症多臓器性炎症性疾患患者由来人工多能性幹細胞における軟骨過 形成は caspase-1非依存的であり、cAMP/PKA/CREB 系に依存する) (論文内容の要旨) 新生児期発症多臓器性炎症性疾患 (NOMID)は蕁麻疹様発疹、中枢神経症状、 骨幹端過形成を3 主徴とする自己炎症性疾患である。原因遺伝子 NLRP3 は ASC、 CASPASE-1 と蛋白集合体 NLRP3 インフラマソームを形成、IL-1β産生に関与 する。NOMID 患者では NLRP3 機能獲得型変異によりリガンド非依存性に IL-1 βを過剰産生、慢性炎症が惹起される。 関節症の病態として継時的な画像評価より骨端から骨幹端にかけての肥大 変形が生じ、成長軟骨板の軟骨内骨化の異常が推定されている。病理検査からは、 軟骨細胞列が無秩序化し軟骨基質が不規則な異染性を呈し、炎症細胞の浸潤は認 めないことが報告されている。また治療応答性の特徴として、抗 IL-1 療法は関 節症に対して効果が乏しい。そのため、軟骨細胞においては、NLRP3 インフラ マソーム/IL-1β以外の変異 NLRP3 の増殖分化制御への関与も推定されている。 以上のNOMID 関節症の病態を検討するため、倫理的に入手困難な軟骨病変の解 析を人工多能性幹(iPS)細胞技術により試みた。 NLRP3 体細胞モザイク NOMID 患者から、NLRP3 野生型(野生株)と NLRP3 変異型iPS 細胞(変異株)を樹立した。in vitro で iPS 細胞を軟骨細胞に分化誘導 したところ、変異株由来軟骨組織は野生株に比べ大きく、患者で観察される軟骨 組織過形成の再現を示唆した。この大きさの違いは軟骨細胞外基質産生量の増加 に起因した。軟骨関連遺伝子の発現解析では、正常株に比べ変異株由来軟骨組織 において、軟骨分化誘導主要制御因子である SOX9、軟骨特異的遺伝子であるⅡ 型、Ⅹ型コラーゲン、メタロプロテアーゼの発現亢進を認めた。 免疫不全マウスへの軟骨組織移植実験により骨組織への分化誘導を行った ところ、正常株由来軟骨においては骨成分の周囲に秩序だった軟骨成分を認める が、変異株由来軟骨においては骨成分と軟骨成分が入り混った異常な組織構造を 認めた。軟骨内骨化組織がより大きい事と併せ、NOMID 患者関節症における軟 骨内骨化異常を部分的に再現できた。 続いて軟骨形成亢進が NLRP3 インフラマソームと関連しているか検討し た。iPS 細胞由来軟骨組織は NLRP3 蛋白を発現するが、他の NLRP3 インフラ マソーム構成蛋白は発現しなかった。また CASPASE-1 阻害剤および IL-1 受容 体拮抗薬添加の実験で、CASPASE-1 にも IL-1 にも非依存的に軟骨形成亢進が 観察された。以上の結果は、変異株由来軟骨過形成は NLRP3 インフラマソーム 非依存性である事を示した。 最後に、SOX9 発現増強に注目し、変異 NLRP3 の SOX9 転写発現増強機構 について解析した。軟骨前駆細胞でのヒト SOX9 プロモーターを用いたレポータ ー解析を行ったところ、転写因子結合部位の中で CREB/ATF サイトの変異によ り、変異型 NLRP3 依存性 SOX9 発現増強が最も抑制された。また cAMP、活性 型 CREB が変異株由来軟骨前駆細胞において強く発現していること、軟骨細胞 過形成がアデニル酸シクラーゼアゴニストにより増強、同インヒビターにより抑 制されることからも、変異型NLRP3 依存性 SOX9 発現増強に cAMP/PKA/CREB 系の活性化が重要であることがわかった。

NOMID 患者由来 iPS 細胞を用いた解析は、NOMID 患者における軟骨過形 成の機序として、インフラマソーム非依存性に変異NLRP3 が cAMP/PKA/CREB 系を介して SOX9 発現を増強していること、を明らかにした。 (論文審査の結果の要旨) 新生児期発症多臓器性炎症性疾患 (NOMID)は、蕁麻疹様発疹、中枢神経症状及 び四肢の関節症を主要徴候とする遺伝性自己炎症性疾患の一つである。抗 IL-1療 法の治療応答性の特徴として、関節症に効果が乏しいことが挙げられる。NOMID 関節症の病態の主病変が成長軟骨板であり、軟骨内骨化の過程の異常であることか ら倫理的に患者検体を用いての解析は極めて困難である。本研究ではNLRP3 変異 を体細胞モザイクで持つ2人の患者から人工多能性幹(iPS)細胞を樹立、軟骨細胞に 分化誘導を行い解析を行った。軟骨誘導の結果、野生株に比べて変異株は軟骨組織 が大きく、その機序が軟骨細胞外基質の産生過剰であることを示した。また軟骨関 連遺伝子の解析でSOX9、Ⅱ型・Ⅹ型コラーゲンなどの軟骨特異的遺伝子の発現が 変異株で亢進していることを証明した。また免疫不全マウスを用いた骨組織への分 化実験を行い軟骨内骨化の異常を部分的に再現した。次いで軟骨誘導の亢進が NLRP3 インフラマソーム非依存性であることを示し、最後に変異株由来軟骨前駆 細胞の SOX9 プロモーター解析、cAMP 値測定、活性型 CREB の発現解析により 変異型NLRP3 依存性 SOX9 発現増強に cAMP/PKA/CREB 系活性化が重要である ことを示した。 以上の研究は、NOMID の関節症の病態解明に貢献し、かつ疾患特異的 iPS 細胞 の軟骨領域での活用に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。なお、 本学位授与申請者は、平成29年3月27日実施の論文内容とそれに関連した試 問を受け、合格と認められたものである。

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