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FUKU404-55

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Academic year: 2021

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研 究 論 文

ロハセルを用いた CFRP サンドイッチパネルの経時変形

石川 真志 ,色川 千尋 ,向後 保雄 ,神谷 友裕 ,宇都宮 真

(2014年 4月 14日受付)

Time-depend Deformation of CFRP Sandwich Panels with ROHACELL Core

Masashi ISHIKAWA, Chihiro IROKAWA, Yasuo KOGO, Tomohiro KAMIYA and Shin UTSUNOMIYA

(Received April 14, 2014)

Abstract:In this study, we investigated analytically and experimentally time-dependent deforma-tion ofCFRP sandwich panels with polymerfoam coreROHACELL dueto temperaturechangeand moisture absorption and desorption.Tensile tests for theROHACELLs werecarried out beforeand after the moisture absorption using digital image correlation method,and weobtained stress-strain relationship in each condition. Surface deformations of sandwich panels were calculated by the finite element analyses considering the elasto-plastic constitutive equation of the ROHACELLs based on the tensile test results.Experimentallymeasured deformation in thesandwich panels after themoistureabsorption wasapproximately100μm.Thiswasmuch largerthan theanalyticalresult. The deformations remained in after re-drycondition.On the basis ofthis study,wesuggest that the main reason for the deformation in the sandwich panels could be irreversible shrinkage of the ROHACELLs caused byabsorbing moisture during exposed in high temperature and high humidity environment.

Key words:Polymer-matrix composite, Sandwich panel, Deformation, Finite element analysis

1. 緒 言 航空宇宙用途の構造材料として,複合材料,とりわけ PMC (ポリマーマトリックス複合材料)が多く用いられ ており,特に人工衛星などの構造体の大部 に 用され ている .PMC の優位性は,高い比剛性・比強度のみな らず,温度変化に対する寸法安定性を有していることに ある .負の熱膨張係数を有する炭素繊維やアラミド繊 維などを強化材として用いることで,FRP 積層板につい ては積層理論 に基づき高い精度で熱膨張率を制御す ることが可能となりつつある .一方,近年の航空宇宙 野においては軽量設計がますます重要視されており CFRP ハニカムサンドイッチパネルを代表とする様々 なサンドイッチパネルが軽構造材料として衛星や航空機 の部材として用いられている.さらにこの高い比剛性を 有する CFRP サンドイッチパネルを衛星構造の中でも 特に高い寸法精度を要する光学機器やアンテナリフレク タ,宇宙望遠鏡用ミラーなどへ適用することが検討され ており ,これが実現可能であれば人工衛星の機体の 大幅な軽量化が期待できる. しかし,このようなサンドイッチパネルは単なる積層 板に比べ複雑な構造を持ち,CFRP の積層板単体や従 来,精密構造体として 用されてきたガラスや SiC と同 程度の寸法精度を得るためには高度な設計技術を要す る .リフレクタなどに用いる際,ミクロンあるいはナ ノオーダーでの寸法保持性能が要求される .高精度な 寸法安定性が求められる際に,CFRP は母材が高 子で 構成されていることから,吸湿,樹脂の粘弾特性による クリープ,熱応力の緩和,樹脂のエイジングによる収縮 など様々な要因により経時変形を生じることが大きな問 東京理科大学(125-8585東京都葛飾区新宿 6-3-1)

Tokyo University of Science, 6-3-1 Niijuku, Katsushika, Tokyo 125-8585, Japan

助教 Assistant Professor, 教授 Professor 東京理科大学大学院

Graduate Student, Tokyo University of Science 宇宙航空研究開発機構 研究員

Researcher, Japan Aerospace Exploration Agency

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題となる .なかでも,吸湿による樹脂の膨張が引き起 こす変形は,熱による変形同様に非常に大きい.精密 CFRP サンドイッチパネルを実用化するためにはまず, 温度変化や吸湿といった様々な環境因子による変形が予 測できなければならない.そこで過去に,精密構造体へ の適用に向けた CFRP の吸湿変形 ,熱変形 に 関する研究が行われてきた.過去の研究から CFRP の一 方向材や直 積層板における熱・吸湿変形挙動は解析的 に精度よく模擬できるとされている.また,ミラーやア ンテナリフレクタ用途に向けた高精度 CFRP ハニカム コアサンドイッチパネルの変形に関する研究 やハ ニカムコアの性質や材料物性値の取得に関する研究 も行われている.しかしながら,その他のコアを用いた 場合のサンドイッチパネルの変形に関しては研究の事例 が決して多くはない. サンドイッチの心材として,金属,セラミックス,高 子からなるハニカム材やフォーム材が存在し,用途に 応じて様々なものが用いられる .なかでも,ポリメタク リル イ ミ ド(PMI)を主原料とする高 子 質 発 泡 体 ROHACELL (以下,ロハセル)はフォーム材の中でも 特に軽量で加工性に優れ,高 子の中でも比較的高い 用温度域を持つことから自動車や航空宇宙 野などで多 くの 用実績がある .例として,各種ヘリコプターの 回転翼や,ボーイング C17のフラップベーン,エアバス A340-600/380などの圧力隔壁やスポーツ用品,競技用自 転車,自動車の車体などに用いられている.このロハセ ルは原料となる PMI樹脂に発泡剤を混ぜることで発泡 させたもので,非常に薄いセル膜が一つ一つのセルを隔 てている独立閉気孔からなる緻密な発泡体である. しかし,このロハセルの主原料はポリイミドであるた め吸湿という大きな弱点がある.極性基を持つイミド系 高 子は他の構造用材料の高 子と比較して高い吸湿率 を有している.このため,サンドイッチパネル化した際 に吸湿による大きな変形を生じる可能性がある.そこで 本研究では,ロハセルを用いた CFRP サンドイッチパネ ルの経時変形を実験および FEM 解析により調査した. 実験ではセル径の異なる 3種類のロハセルを用いたサン ドイッチパネルを作製し,それぞれのパネルの吸湿前後 における表面形状の測定を行った.また,吸湿や乾燥に 伴うロハセルの物性値の変化を調べるため,デジタル画 像相関法(DIC) を用いた引張試験を行った.この結果 を踏まえてロハセルの弾塑性を考慮した FEM 解析を行 い,コアの物性値がサンドイッチパネル変形に及ぼす影 響を明らかにした. 2. サンドイッチパネル作製および表面形状測定 2.1 サンドイッチパネル作製方法 CFRP スキン,フォームコアおよびフィルム状接着剤 から成るサンドイッチパネルを作製した.CFRP スキン には一方向プリプレグ(T700S/エポキシ#2592,東レ株式 会社) を用い,コアであるポリメタクリルイミド(PMI) 質発泡体ロハセル(ダイセル・エボニック株式会社) は 51WF,51RIST,51RIMA の 3種類のグレードを用い た.各グレードのセル径の 称値はそれぞれ 657μm, 215μm,34.6μm である.コアの厚さは WF については 10mm および 20mm とし,RIST,RIMA は 10mm と した.スキンは,繊維配向方向を 0°,±45°,90°とした プ リ プ レ グ を 140mm×140mm に 切 り 出 し,(+45/ 0/−45/90)sの積層構成で擬似等方 8層積層した.これ を Fig.1(a)に示したように離型フィルムと成形型では

Fig. 1 (a) Fabrication process of sandwich panel specimens, (b) geometry and dimensions of sandwich panels, and (c) manufactured sandwich panel with RO-HACELL WF 20 mm.

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さみ,温度 80℃,圧力 0.58 MPaにて 30間 保持した 後,130℃,0.58 MPa,120 間保持することで加熱・ 加圧形成した.成形したスキンを 70mm×70mm に 4 割し,4 割した内の 2枚とフィルム状接着剤を用い てコアであるロハセ ル を 挟 み,ホ ッ ト プ レ ス で 温 度 120℃,圧力 0.05MPa にて 90 間保持することで加熱・ 加圧形成しサンドイッチパネルを作製した.CFRP スキ ンおよびサンドイッチパネルの作製にはオプティカルフ ラット成形型(OFPXP-150S20-1,シグマ光機株式会社) と離形フィルム(Aflex,旭硝子)を用い,フィルム状接 着剤は厚さ 240μm のエポキシ製のものを 用した.作 製したサンドイッチパネルの概略図を Fig.1(b)に,完成 したサンドイッチパネルを Fig.1(c)に示す. 2.2 パネル表面形状測定方法 作製したサンドイッチパネルの表面形状を Fig.2に 示したレーザー変位計(LK-G155,キーエンス株式会社) と自動 XY ステージ(KS102-100,駿河精機株式会社)か ら成る 3次元形状測定装置により測定した.測定範囲は 70 mm×70 mm のパネル表面の内側の 60 mm×60 mm とし,測定間隔は 2,000μm とした.測定点数は 961点と なっている.表面形状測定は作製直後と温度 70°C 湿度 90%RH で 1か月間保持し飽和吸湿させた後,および再 乾燥後に行った.また,比較として作製直後から温度 70℃,乾燥状態で 1か月間保持したものの表面形状も測 定した. 2.3 表面形状測定結果 作製したサンドイッチパネルの表面形状の測定結果を Fig.3に示す.Fig.4には各サンドイッチパネルの表面 の変形の程度を数値として表す RMS 値を示した.作製 直後における表面形状は,どのサンドイッチパネルにお いても端部に反りが生じ中央部が凹んだ形状を示した. コアの種類による表面形状の違いはあまりみられない が,コアの厚さの増加に伴い変形が大きくなっている. パネル表面の細かな凹凸は測定の際のステージなどのノ イズによるもの,パネルの表面についた傷や小さなゴミ によるものである. 作製直後と 1か月間 70℃乾燥状態で保持したもの, 70℃湿度 90%RH で吸湿させたパネルの表面形状を比 較したところ,吸湿後のパネル表面は作製直後から大き く変形しており,どのコアを用いたサンドイッチパネル においても最外層繊維に直行する方向に,中央部に凸な 形状へ変形している.これに対して,乾燥 1か月後のパ ネル表面形状は作製直後からほとんど変化せず,作製直 Fig. 2 3D surface profiler.

Fig. 3 Surface profiles of sandwich panels immediately after fabrication, after moisture absorption, and after moisture desorption.

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後と同様な形状を示し RMS 値にもほとんど変化がみら れなかった.Fig.4の RMS 値をみると作製直後と 1か 月間乾燥状態で保持したものについてはコアの種類によ らずほぼ一定の値を示しているが,吸湿後のパネルの変 形量はコアの種類によって大きく異なっている.これ は,熱膨張係数はどのコアでもほぼ一定であるが吸湿膨 張率がコアによって大きく異なるためであると考えられ る.再乾燥後の表面形状については,ほとんどのパネル で作製直後の熱変形と同様に端部が反り上がり,中央が 窪んだ形状となっている(Fig.3).一方で,吸湿による 変形が大きかった WF20 mm のパネルと RIMA のパネ ルは,吸湿後の形状と同様な形状を示し,吸湿変形の残 留が示唆された.WF10mm のパネルについても端部の 反り上がりや中央部の凹みが大きくなったがわずかに吸 湿後の形状を残しているようにみえる.RIST のパネル については再乾燥に伴い作製直後の形状に近づき,吸湿 変形の残留がみられなかった.パネルに塑性変形が生じ ていないとすると,再乾燥後には作製直後と同様の形状 を示すことから,これらの変形の残留はサンドイッチパ ネルに塑性変形が生じている可能性を示唆するものであ る.再乾燥時の変形量については,WF では厚さによら ずいずれのパネルについても吸湿時から増加しているの に対し,RIST,RIMA については再乾燥により変形量は 減少している.吸脱湿によってセル形状が壊れるという ような塑性変形が生じない限り,吸湿により膨張した の変形は乾燥させることで元の形状に戻ると推測され, 再乾燥後の変形量は吸湿後の変形量よりも小さくなるは ずである.WF のパネルでみられた再乾燥時の変形量の 増加は,高 子フォームであるロハセルを高温多湿環境 に長時間暴露したことによるコアの変形が原因であると 考えられる. Fig.5は乾燥後および吸湿後の各コアによるパネルの 断面写真である.これより,WF の各厚さのパネルでは どちらも吸湿後にコア部 に収縮した様子がみられ,こ れはセル径の小さい他の 2種類のパネルではみられなか った.クローズドセルからなる高 子発泡体のロハセル は,加熱によりセル内の発泡剤がセル膜を透過し外部に 拡散する .このため,セルの内圧が低下しフォーム全体 が収縮してしまう.この熱収縮による影響はセル径が大 きいほど大きくなり,このことがセル径の大きな WF コ アのみに顕著な変形がみられた要因であると考えられ る.したがって,セル径が大きいロハセルでは吸湿や乾 燥に伴って PMI高 子自体の劣化が生じ,このために セル構造の座屈によるパネルの大変形が生じている可能 性が考えられる. 3. ROHACELL の機械的特性 3.1 DIC の基本原理 今回の実験では二次元デジタル画像相関法によって面 内変位の測定を行った.二次元デジタル画像相関法で は,測定対象物体表面を撮影した画像から変位を直接検 出する.Fig.6(a)に測定装置の概略図を示す.測定では 変形前後の対象表面の画像を撮影し,物体表面の特定点 について,その変形前後での移動量を得ることで変位を 求める.その方法として,サブセットと呼ばれる複数の 画素からなる計算領域の変形の前後の位置を輝度値 布 (光強度 布)の相関などを用いて求める.これは,物体 Fig. 4 RMS ofsurfaceflatnessofeach sandwich

panels. Fig. 5 Cross-sectional view of sandwich panels after drying and moisture absorption.

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表面の模様は物体と共に移動し,変形の前後でその特徴 が保存されるという考えに基づいている.Fig.6(b)は変 形前後の画像例を示しており,変形前の画像におけるサ ブセットの変位はそのサブセットと同じ輝度 布を持つ 領域を変形後の画像内で探し出すことによって決定す る.したがって,測定対象物の表面は特徴的な模様を有 している必要があり,このような模様がない場合にはあ らかじめ人工的な模様を塗布する. サブセット内部において変位勾配が一定であると仮定 すると,変形前のサブセット内の座標 (x,y)は変形後の 座標値 (x , y )と次式の関係がある. x =x+u + uxΔx+ u yΔy (1) y =y+u + uxΔx+ u yΔy (2) ここで,u および u はサブセット画像の中心におけ る変位成 であり,Δxおよび Δyはサブセットの中心か ら点(x, y)までの距離である. ひずみの値は変位の 布を微 することにより得られ る.測定データは離散的であるため,差 などの数値微 によりひずみを算出する必要があるが,現実には測定 データには誤差が含まれるため差 法によるひずみの算 出においては誤差が増大し,滑らかなひずみ 布を得る ことが困難である.そこで,変位測定誤差の影響を低減 するため,任意の領域において変位 布を最小二乗法に より関数近似し,その関数を微 することによってひず みを算出する方法が多く用いられている.たとえば,複 数のデータ測定点を含む計算領域における変位 u を u =ax+by+c (3) で表される平面で近似したとすれば,例えば垂直ひずみ ε は, ε= ux=a (4) のように表すことができる.この手順を測定領域全体で 繰り返し行うことで,ひずみ 布を得る. 3.2 引 張 試 験 サンドイッチパネルの変形を解析するにあたり,ロハ セルの応力ひずみ関係を得るために引張試験を行った. 引張試験はサンドイッチパネルの作製に 用した 3種類 のロハセル(ROHACELL 51WF,51RIST,51RIMA) に対して実施した.試験片はいずれも厚さ 7 mm,長さ 200mm,幅 10mm の短冊形状に加工したものである. 各試験片は未処理のもの,真空乾燥させたもの,および 吸湿させたものの 3つを用意した.乾燥試験片は,真空乾 燥機を用いて温度を 85℃一定に保ち,質量変化がなくな るまで保持することで絶乾処理した.吸湿後試験片は, 乾燥試験片と同様に真空乾燥処理を施したのちに,温度 70℃,湿度 90%RH に設定した恒温恒湿槽に質量変化が なくなるまで保持し,飽和吸湿させた.乾燥や吸湿によ って試験片の寸法が変化する恐れがあるため,各試験片 は引張試験を行う直前に寸法の測定を行った.なお,今 回はデジタル画像相関法という手法により変位およびひ ずみを取得するため,あらかじめラッカースプレーによ って試験片にランダムパターンを塗布した. 試験は引 張試験機 (SHIMADZU AUTOGRAPH, AGS-X 10 kN)を 用し,試験速度は 0.50mm/min,荷重は 0N か ら 10 N ずつ増加した際の試験片表面の画像を CCD カ メラ(XCD-SX90,SONY)で撮影し,デジタル DIC に よる画像解析から変位とひずみを取得した.撮影画素数 は 1280×960 pixelとし,このうち試料中心部のおよそ 600×800pixelの 範 囲 を 解 析 に 用 い た.試 験 は 室 温 (25℃)にて行った. DIC によって取得した y方向(引張り軸方向)の変位 布およびひずみ 布を Fig.7に示す.変位は y座標に 比例して増大しており,ひずみは不均一に 布している ことがわかる.各荷重におけるひずみの値はこのひずみ 布の平均値とし,試験片の断面積と荷重から応力を算 出し応力ひずみ曲線を作成した.3種類のロハセルの真 空乾燥後と吸湿後の応力ひずみ曲線を Fig.8に示す.応 力ひずみ曲線の傾きはセル径の減少とともに大きくな Fig. 6 (a)Experimentalset-up forDIC

measure-ment, (b) images of the specimens sur-face using DIC analysis.

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り,ヤング率はセル径に依存していることがわかる.ま た,いずれの試験片についても吸湿後に傾きが低下し, 塑性降伏も早まっていることから吸湿による機械的特性 の変化が確認された.一般的に,吸湿性高 子は水を含 むと柔軟性が増し弾性率が低下する .これは高 子鎖 に水 子が入り込むことで,高 子間の水素結合を弱め 塑性変形抵抗が低下したことによると考えることができ る.また, 子鎖間に入り込んだ水 子は一種の可塑剤 として働き,機械的性質を低下させることが知られてい る.通常の条件ではポリイミドは加水 解しないものと されているが,沸水中では徐々に加水 解が進行し強度 低下などが起こる.ポリイミドの加水 解による機械的 性質の低下は,残存するアミド結合の解列に起因すると 推測されている.吸湿試験は温度 70℃,湿度 90%RH と 比較的高温の環境下に長時間保持しているため,加水 解反応が生じている可能性も考えられる.ポリイミドは イミド基の極性が大きいことから高い吸湿性を持ち,さ らにメタクリル樹脂もエステル結合を有し親水性が高 い ことから PMIにおいても高い吸湿性を持つため, 吸湿による大きな弾性率低下が生じたと考えられる. 4. F E M 解 析 4.1 解 析 方 法 引張試験の結果を踏まえて,有限要素法解析ソフト ANSYS Ver. 13.0 (ANSYS Inc.) を用いてサンドイッ チパネルの変形解析を行った.解析モデルを Fig.9 に示 す.モ デ ル は サ イ ズ を 作 製 し た 試 験 片 と 同 様 に 70 mm×70 mm,ス キ ン 厚 さ 1 mm(1層 に つ き 0.125 mm)の (+45/0/−45/90)sの 擬 似 等 方 性 8層 積 層 と し,コア厚は WF では 10mm および 20mm,RIST, RIMA では 10mm とした.また,スキンとコアの間はコ アの種類ごとに厚さの異なる接着剤を設定し WF では 240 μm,RIST では 180 μm,RIMA では 120 μm とし Fig. 7 Displacement and strain distribution in y-direction identified by DIC measurement.

Fig. 8 Stress-strain relations for ROHACELLs for tensiletests obtained byDIC measure-ment.

Fig. 9 Mesh and boundary conditions for finite element analyses.

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た.これは実験にて作製した各パネルでの測定値を参考 とした値である.解析には六面体二次要素を 用し,面 内には 40×40 割,厚さ方向にはスキンの各層,およ び接着剤部をそれぞれ 1 割,コアを 4 割した.全要 素数は 35,200である.解析モデルは,Fig.9 の A 点に ついて X および Y 方向,B 点について全方向の変位, C 点について Y 方向の各変位を拘束し,これにより全 方向への剛体運動および回転運動が拘束され,面外変形 のみが許容される.解析では熱変形を受けたパネル作製 直後,および吸湿変形後のパネル形状を評価した.作成 直後を模擬した熱変形解析では,パネル作製温度である 120℃から室温(20℃)まで冷却した際の熱変形を解析す るため,モデル中の全節点に−100℃の温度変化を荷重と して与えた.一方吸湿変形解析では,スキン,コアおよ び接着剤のそれぞれの飽和吸湿率を荷重として与えた. 実験と同様にパネル表面の内側の 60 mm×60 mm の領 域の変形を評価の対象とした.解析に用いた CFRP と 接着剤,およびロハセルの各物性値を Table1に示す. ロハセルの弾性率については,乾燥時,吸湿時の各値に ついて,測定した応力ひずみ曲線の初期の傾きから得ら れた値 E および E をそれぞれ用いた.また,熱 変形解析時には乾燥後のロハセルに対する実験より得ら れた応力-ひずみ曲線を,吸湿変形解析については吸湿 後のロハセルについて得られた応力-ひずみ曲線を入力 し,これらの関係に従う塑性変形を考慮した増 解析を 行った.なお,WF を用いたサンドイッチパネルは吸湿 後に収縮が生じたため,コアの収縮を 1%,および 5% と したときのパネルの変形を解析した. 4.2 解 析 結 果 4.2.1 各種サンドイッチパネルの表面形状の比較 Fig.10に各種サンドイッチパネルの熱変形および吸 湿変形解析におけるパネル表面の形状を示す.また,熱 変形(a)と吸湿変形(b)の結果を重ね合わせた際の表面 の形状を total deformationとして下段に示した.これ は,作製時における熱変形が生じた後に吸湿変形を生じ させた実験と同様の変形形状を再現したものである. WF のパネルについては吸湿後のコアの収縮による変形 (c)も考慮し(a)∼(c)を重ね合わせた結果を Fig. 10の 下段に示した.解析より得られた各パネルの RMS 値を Fig.11に示す.すべてのサンドイッチパネルにおいて熱 または吸湿によって端部が大きく反る エッジ効果 に よる変形が生じている.このエッジ効果は,スキンとコ アの熱膨張係数や吸湿膨張率の差によって生じるもので ある.熱変形ではパネル全体は収縮し,吸湿変形では膨 張する.収縮や膨張の量はスキンよりもコアのほうが大 きいため,収縮すると中央部が凹み,膨張すると上に凸 な形状を示す.また,同じ WF のロハセルを用いてもコ アの厚さが増加すると変形も大きくなる.熱変形時と吸 湿変形時では変形の方向が真逆であるため,それぞれの 形状を重ね合わせると個々の変形よりも変形は小さくな る.RIST および RIMA のパネルでは吸湿による膨張の ほうが熱収縮量よりも大きいため,吸湿後の表面形状は 吸湿変形の形状に近いものとなる.WF のパネルではコ ア厚 20 mm のものはコアの収縮による変形が大きく重 ね合わせた際にもこの形状が現れる.一方,コア厚 10 mm のパネルでは熱変形と吸湿変形とコアの収縮を重ね 合わせると,端部にみられた凹凸が打ち消しあい,4辺の Table 1 Material properties used in finite element analyses.

E, GPa G, GPa ν CME,

10 /% CTE, 10 /℃ M , wt% E =131.68 G =5.79 ν =0.3 β =0.21 α =-0.7 CFRP (Epoxy/PAN) E =9.37 G =2.14 ν =0.28 β =40 α =29 1.2 E =9.24 G =4.62 ν =0.34 β=67 α=29 Replica, Adhesive (Epoxy resin) 3 ― 0.3 67 60 1.3 51WF E =55.0 5.0 E =47.6 ROHACELL 51RIST E =58.9 0.33 5.0 33 8.0 E =50.8 51RIMA E =112 E =74.8 7.5

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みが高くなっているような形状を示した.変形量につい てみてみると,熱変形ではどのパネルについてもあまり 大きな差はみられないが,吸湿変形ではロハセルの種類 によって吸湿膨張率が異なるため,これに起因する変形 量の違いが生じている. 4.2.2 吸湿によるコア弾性率変化の影響 引張試験の結果から,ロハセルを吸湿させると弾性率 が低下し,塑性変形を生じやすくなることがわかった. これを受けて吸湿によるロハセルコアの弾性率の変化が パネル変形におよぼす影響を調べるため,実験から取得 した吸湿後の弾性率と,乾燥状態での弾性率の値を用い た吸湿解析を行ったが,いずれのパネルにおいても解析 結果に大きな差が生じなかったため,ここでは割愛する. このことから,本研究におけるサンドイッチパネルでは, コアの弾性率の変化はパネルの変形量に大きく影響しな いといえる.これは,ロハセルの変形量が小さいため弾 性率が変化してもパネル全体の変形へ影響が小さいため であると考えられる. 4.2.3 ロハセルの塑性変形の影響 ロハセルの塑性変形がサンドイッチパネルの表面形状 に与える影響を調査するため,引張試験の結果を踏まえ た弾塑性解析とロハセルを弾性体とみなした弾性解析を 行い,それぞれのコアに生じる応力と表面形状を比較し た.解析の結果,作製温度から室温まで冷却した際の温 度変化による変形では両者に違いはなかった(結果を割 愛する).これより,熱変形に関しては,いずれのパネル においても塑性変形が生じないことが確認された.一方 吸湿による変形については,最も塑性降伏点が低い WF のみわずかに塑性変形の影響が生じていたが,表面の変 形量の差は数 nm のオーダーであり,パネルの全体の変 形に大きく寄与するものではないことが示された.しか しながら,WF のサンドイッチパネルにおいて 1%およ Fig. 10 Numerical results for sandwich panel deformations in z-direction.

Fig. 11 Numerically-obtained RMS of surface flatness for thermal, moisture, and core shrinkage-induced deformations.

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び 5%の収縮をコアに与えた場合には,弾性解析による 結果は弾塑性解析結果と異なり,大きな塑性変形の影響 がみられた.特に 5%収縮時では,PV(peak-to-valley) 値がいずれの厚さのパネルにおいても 400μm 前後, RMS 値でも 100μm 近くの値を示し,変形が非常に大き くなっている.このことから,ロハセルコアを長期にわ たり高温多湿環境に暴露させた際に生じる不可逆な収縮 は,サンドイッチパネルを大きく変形させる要因となり 得ることが考えられる. 5. 考 察 実験結果と解析結果を比較すると,実験によって得ら れたサンドイッチパネルの変形量は解析値を大きく上回 っている.これは解析の際に CFRP スキンの繊維配向誤 差を考慮していないことが大きく関係していると考えら れる.実験で用いた CFRP スキンはプリプレグを積層さ せた擬似等方積層板であり,作製の際には積層誤差が生 じ得る.また,プリプレグ自体に 0.6°相当の繊維の蛇行 に起因する繊維配向誤差が存在することがわかってい る.1°の繊維配向誤差が生じた場合,8plyの 150mm× 150 mm の CFRP では PV 値で最大 100 μm ほどの面外 変形が生じてしまう.変形に及ぼす力はパネル中央から の距離が遠くなるほど,つまり外側に変形が生じるほど 大きくなり,パネル全体の変形への寄与も大きくなるた め,CFRP の繊維配向誤差による影響は無視できないと 考えられる.また,繊維配向誤差に加えて繊維の濃度勾 配の影響も考えられる .プリプレグから CFRP 積層板 を成形する際,炭素繊維と樹脂の密度の差により重い炭 素繊維が沈み,上面が樹脂リッチになることで積層板の 厚さ方向に対して繊維の濃度勾配が生じる.このような 繊維体積含有率 V の差は,オートクレーブ成形した CFRP においても 10% 程度生じるとされている .オ ートクレーブ法では,積層したプリプレグを成形型に載 せその上に樹脂を吸い取るブリーダークロスなどを重 ね,これらをバギングフィルムと呼ばれる透明なシート で覆いバギングフィルム内を真空状態にして加熱加圧形 成する.今回の実験では CFRP スキンをオートクレーブ 成形ではなくホットプレス成型しており,過剰な樹脂を 取り除いていないため V のばらつきはさらに大きくな っていると考えられる.この V のばらつきによっても ねじれ変形や鞍型変形といった大きな面外変形を生じる ことがわかっている.本実験によって得られた表面形状 の測定結果についても,作製直後からねじれ変形や鞍型 変形を生じているサンドイッチパネルが確認された.熱 変 形 に 比 べ て 吸 湿 変 形 の ほ う が 上 に 述 べ た よ う な CFRP 積層板の変形量は大きくなるため,吸湿後に面外 変形量が大幅に増大する.また,CFRP スキンの外側の 部 (成形時の上面)が樹脂リッチになることによって, 吸湿時に外側が大きく膨張するため,パネルの中央部が 凸になり,特に最外層の繊維の向きと直行する−45°方 向に変形が生じると考えられる. また,WF のサンドイッチパネルについては吸湿後の コアの収縮を考慮した場合に解析値が実験値に近い値を 示すことがわかった.表面の形状に関しては,コアの収 縮量を 1%としたときのほうが 5%のときよりも実験結 果に近い形状が得られた.変形量の RMS 値はコアの収 縮量の違いにより大きな差が生じており,実験値は解析 を行った 2つの収縮量において得られた値の中間に位置 することから,実際に生じている収縮量は 1%から 5%の 間であることが示唆された. 6. 結 言 本研究では,3種類のロハセルを用いてサンドイッチ パネルを作製し表面形状の測定を行った.また,DIC を 利用したロハセル引張試験により乾燥状態と吸湿状態に おける応力ひずみ関 係 を 取 得 し,こ の 結 果 を 用 い て FEM 解析を行い測定結果との比較を行った.以下に得 られた結論を示す. PMI 質発泡体であるロハセルは吸湿および乾燥に 伴い弾性率の低下が生じることが確認された.しかし, この弾性率の変化によるサンドイッチパネル全体の変形 量への寄与は大きくないことが FEM 解析から示唆され た.また,ロハセルコアサンドイッチパネルは吸湿によ って大変形を生じるが,これはサンドイッチパネルを高 温多湿環境に長時間暴露したことによってロハセルのセ ル構造の劣化による収縮が生じたことと,繊維配向誤差 や V のばらつきを持つ CFRP の吸湿による大きな変形 をコアが抑制できないことによるものであると考えられ る.このことから,高精度な CFRP サンドイッチパネル を作製するためには,変形の主要因となる CFRP スキン の繊維配向誤差や V のばらつきをできる限り低減する ことに加え,スキンの変形を抑制できるような高剛性か つ熱や吸湿による膨張率の小さいコアを用いる必要があ る. 本研究の実施にあたり,ダイセルエボニック株式会社 よりロハセル試料の提供をいただきました.また,青山 学院大学理工学部,米山 准教授に DIC 解析ソフトのご

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提供をいただきました.ここに謝意を表します.

参 文 献

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Fig. 1 (a) Fabrication process of sandwich panel specimens, (b) geometry and dimensions of sandwich panels, and (c) manufactured sandwich panel with  RO-HACELL WF 20 mm.
Fig. 3 Surface profiles of sandwich panels immediately after fabrication, after moisture absorption, and after moisture desorption.
Fig. 8 Stress-strain relations for ROHACELLs for tensiletests obtained byDIC  measure-ment.
Fig. 11 Numerically-obtained RMS of surface flatness for thermal, moisture, and core shrinkage-induced deformations.

参照

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