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長期不 変 の腺癌 の1症 例 長期 間,不 変 の右S3領 域 の 無 気 肺 像 を呈 した腺癌 の1症 例 香 川医科 大学放 射線 医学教 室(主 任:田 邉正 忠教 授) 川瀬 良 郎,佐 藤 功,森 泰 胤,外 山 芳弘 津内 田邉 保 彦,高 正忠 島 均,水 川 帰 一 郎,玉 井

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(1)

長期 間,不

変 の右S3領 域 の

無 気 肺 像 を呈 した腺癌 の1症 例

香 川医科 大学放 射線 医学教 室(主 任:田 邉正 忠教 授)

川 瀬

良 郎,佐

功,森

泰 胤,外

芳 弘

津 内

保 彦,高

均,水

川 帰 一 郎,玉

豊 理

田 邉

正 忠

香 川医科 大学 第二外 科学教 室(主 任:前 田 昌純教 授)

二,前

(昭和63年8月11日 受稿)

Key word:腺 癌 ・末梢 性無 気肺

緒 言 肺 癌 の う ち扁 平 上 皮 癌 と小 細 胞 癌 は そ の 好 発 部 位 ・進 展 形 式 よ り末 梢 に しば しば 二 次 変 化 像 と し て 無 気 肺 を き た しや す い とい わ れ て い る1). ま た,腺 癌 の 特 殊 型 と さ れ る肺 胞 上 皮 癌 で も無 気 肺 を きた す こ とが 兼 島 ら2)によ り報 告 さ れ て い る.し か し な が ら,通 常 の 高 分 化 型 腺 癌 で 無 気 肺 を きた す と い う報 告 は我 々 が 検 索 し た 範 囲 で は 見 付 か らず 比較 的 稀 と思 わ れ る.今 回,我 々 は3年 間 大 き さ が あ ま り変 わ らな い 高 分 化 型 腺 癌 と区 域 性 無 気 肺 の合 併 した1症 例 を経 験 した の で報 告 す る.

者: 61歳,女 性

既往 歴:高 血圧 ・胃潰瘍 に て治療 中

家族 歴:特 記 すべ きこ とな し.

現病 歴は,三 年 前 よ り胸 部 異常影 を指摘 され

経 過観 察 とな って いた,昭 和62年 の 集団検 診 で

も右胸部 異常 影 を指摘 され たため, 9月 に当科

を受診 した.

図1は 当科 初 診時 の胸部 単純 写真 で,右 上肺

野 に無 気肺 と思 われ る肺 門 を底 辺 とした三 角 形

の陰影 が認め られ た.

比較読 影の ため検 討 した胸部X線

写真の うち,

図2は 一年 前の 集団検 診時 の間接 撮影 で,図3

は三 年前 の直接 撮影 で ある.い ずれ も,右 上肺

野 に同様 の陰影 が認 め られた.

以 上の経過 の胸部X線

写 真 よ り無 気肺 と思 わ

れ る範囲 はあ ま り変 わ らず,良 性疾 患に よ る変

化 が最 も考 え られ たが,悪 性腫 瘍の 気道 閉塞 に

よる中枢性 無気 肺 も否定 しえず,精 密 検査 を行

った.

図1  胸 部単 純 写 真(当 科 初 診時) 右 上肺 野 に 無気 肺 様 の 異常 影 を認 め る. 図4は 胸 部 正 面 断 層 撮 影 で あ る.右 上 葉S3末 梢 の 無 気 肺 で 含 気 減 少 が あ る も の の,中 枢 のB3 1017

(2)

1018  川 瀬 良 郎:他10名 は 開 存 してair bronchogmamが 認 め られ る ため 末 梢 性 の 無 気 肺 が 疑 わ れ た,ま た,中 間 気 管 支 幹 か ら分 岐 す る 中 葉 支 の 上 方 へ の 偏 位 が 認 め ら れ た. 図2  胸 部 単 純写 真(一 年 前 ・集 団検 診 時) 図3  胸 部 単純 写 真(三 年 前 ・直接 撮 影) 図5のCT像 で は,右B3中 枢 のair bronchog mamが あ り,そ の 支 配 域 で あ るS3に 無 気 肺 が 認 め られ た. S3の 含 気 減 少 を補 う た め,肺 尖 にS1, S2が,そ の 後 下 方 に はS6が,さ ら に 外 側 に は 中 葉 が 偏 位 して い た. 気 管 支 鏡 に よ る観 察 で は, B3αと既 の 分 岐 部 は 少 し鈍 に な っ て い る が 狭 窄 や 閉 塞 は 認 め られ な か っ た.末 梢 よ り擦 過 細 胞 診 を施 行 した とこ ろ, ク ラ ス5腺 癌 と診 断 さ れ た. 図4  胸 部 正 面 断層 撮影 右 上 葉S3に 無気 肺 を認 め る. 図5  胸 部CT 右B3中 枢 側 はairbronchogrmamと して 認 め ら れ る. 手 術 は 右 上 中 葉 の 不 全 分 葉 だ った た め,右 上 中葉 切 除 が 行 わ れ た.図6は 切 除標 本 の 肉 眼像 で, CT方 向 の ス ラ イ ス の 上 面 像 で あ る, B3中 枢 は 開 存 し,そ れ に接 して 腫 瘍 が あ り,そ の 周 囲 は 無 気 肺 と な っ たS3で あ っ た,無 気 肺 内 部 の 小 灰 白色 の 部 分 に も癌 胞 巣 が あ り,さ らに そ の他 の 無 気 肺 部 分 に も癌 細 胞 の 浸 潤 を 認 め た. 図7は 実 体 顕 微 鏡 像 であ る.右 肺 門 の 癌 がB3αii

(3)

の 気 管 支 内 腔 に 露 出 し て い た. 図6  開存 したB3中 枢 に接 して腫 瘍 を認め る. 図7  実体 顕 微 鏡像 右肺 門の腫 瘍 が気 管支 内腔 に 露 出 して い る.

顕微 鏡所 見(図8)で

は組 織学 的 には腫瘍 の

中心部 は高分 化 型の乳 頭状 腺癌 の形態 を示 し,

腫 瘍 細胞 は主 として高 円柱状 で線維血 管性 の間

質 を伴 って いた.病 巣の周 辺部 で は腫 瘍細 胞 は

肺胞 壁の表 面 に沿 って増殖 してお り,あ たか も

肺胞 上皮癌 の よ うな増殖像 を示 してい た.主 病

巣 か ら約2cm離 れ た胸 膜下 組織 に 中心 部 が乳頭

状腺 癌 で周辺部 が肺 胞上 皮癌様 の増 殖 を示す病

巣 を広範 囲 に認め た.

図8  組

リンパ 節 や 遠 隔 へ の 転 移 は な く, pT2 NoMoで あ っ た. 考 察 無 気 肺 性 変 化 とは,外 圧 ・気 道 の 狭 窄,閑 塞 あ る い は 拘 束 性 変 化 な ど に よ っ て 肺 が 膨 張 不 全 に 陥 っ た 状 態 を い う.無 気 肺 性 変 化 が 生 じて い る肺 に は 肺 胞 含 気 の 減 少 あ る い は 消 失 が 起 り, こ の ため 正 常 に 比 べ てX線 減 弱 能 と肺 の 広 が り の両 者 に 変 化 を来 た す もの で あ る3). 無 気 肺 像 が 認 め られ る場 合,そ の 成 立 機 序 に よ り分 け る と太 い 気 管 支 に 病 変 の 主 体 が あ る場 合(無 気 肺 影 内 にair-bronchogramが 認 め られ

(4)

1020  川 瀬 良 郎:他10名 ず,中 枢 側 の 気 管 支 の 閉 塞,狭 窄 性 変 化 に よ る 無 気 肺 像)と 肺 実 質 に 病 変 の 主 体 が あ る場 合(無 気 肺 影 内 にair-bronchogramが 認 め ら れ,中 枢 側 の 気 管 支 に 閉 塞,狭 窄 性 変 化 が な い 無 気 肺 影, 肺 炎 様 陰 影)に 分 け る こ とが で き る1).前 者 に は 扁 平 上 皮 癌,小 細 胞 癌 等 の 腫 瘍 や 気 管 支 結 核 等 の 炎 症,喘 息 等 に よ るmucoid impaction4)が 考 え られ,後 者 に は 一 般 的 な 炎 症 性 変 化 や 中 葉 症 候 群,肺 胞 上 皮 癌 な どが 考 え られ る. 原 発 性 肺 癌 に お け る無 気 肺 発 生 の 機 序 は 組 織 型 に よ っ て 異 な っ て い る.通 常,扁 平 上 皮 癌 は, 中 枢 側 の 太 い 気 管 支 の 粘 膜 か ら発 生 し,気 管 支 内 腔 を 狭 窄 ・閉 塞 す る よ うに 増 殖 す る た め.そ の 支 配 域 末 梢 の 無 気 肺 を き た しや す い.小 細 胞 癖 は,気 管 支 壁 内 あ る い は 粘 膜 下 を 増 殖 し,扁 平 上 皮 癌 ほ ど で は な いが 気 管 支 腔 を 周 囲 か ら狭 窄 す る た め,末 梢 の 含 気 減 少 を きた す こ とが あ る1).ま た,肺 胞 上 皮 癌 で は,細 気 管 支 領 域 に お け る腫 瘍 の 進 展,粘 液 な どに よ り,末 梢 肺 の 無 気 肺 化 が お こ る とい う報 告 が あ る5)が,通 常 の 末 梢 性 腺 癌 か ら無 気 肺 を き た す こ とは 稀 と い わ れ て い る6). 今 回 の 症 例 で は 肺 実 質 を主 体 とす る 無 気 肺 と

高分 化型 腺癌 が合併 してい たが,無 気 肺 と癌 の

関係 は病理 組 織に よる検 討 で も不 明 であ った.

つ ま り,中 枢側 の気 管支 に 閉塞 はな い もの の癌

の ため に無気肺 が徐 々 にで きた のか,あ るいは,

肺 炎等の 原 因に よ り無気 肺 が も とも と存在 した

とこ うに癌 が で きたの かは っ き りせ ず,両 者の

関係 を解 明 で きなか った.通 常,数 年 間大 きさ

の変 わ らない無 気肺様 の異常 影 を胸 部X線

で認

め,さ らに 中枢 性 の狭 窄や 閉塞 が な い場 合 には

炎症 等の 原 因に よる良性 の末梢 性 無気肺 の可 能

性 が 高い.そ のため,良 性疾 患 として それ以 上

の検査 が行 われず,そ の まま放 置 され るこ とが

多 い と思 われ る,し か し,本 例 の よ うに悪性腫

瘍 と合 併 してい るこ と もあ り,慎 重に検 査す る

必要 があ ると思われ る.

我々 は三年 間大 きさが あ ま り変 わ らない末梢

性 無気肺 と高分化 型腺 癌の合 併 した症 例 を経験

した.気 管支 の 閉塞 に よる中枢性 無気 肺 では悪

性 腫瘍 を疑 い精密検 査 が行 われ るが,末 梢 性無

気 肺 で も本例 の ような悪性腫 瘍 の症例 が あ るこ

とを念頭 にお く必要 があ る と思 われ た.

文 献 1) 林 辺 晃,西 脇 裕,矢 野 平 一:無 気 肺,肺 炎 様 陰 影 の 読 み 方.診 断 と 治 療(1984) 72, 464-472. 2) 兼 島 洋,大 宜 見 辰 雄,下 地 克 佳,伊 良 部 勇 栄,森 根 優,金 城 勇 徳,中 富 昌 夫,小 張 一 峰,豊 見 山 寛,久 場 睦 夫:右 下 葉 の 無 気 肺 像 を 呈 し た 肺 胞 上 皮 癌 の2例. Ryukyu med. J (1983) 6 (3, 4), 221-229. 3) 鈴 木 明,立 野 史 樹,奈 良 裕 次:無 気 肺 の 胸 部X線 像 呼 吸(1983), 2, 492-497. 4) 河 端 美 則,和 田 雅 子,片 桐 史 郎,宍 戸 真 司,杉 田 博 宣,徳 田 均,小 山 明,安 野 博,木 野 智 慧 光,真 田 仁,岩 井 和 郎,田 中 一 成:亜 区 域 性 無 気 肺 影 を 呈 し,肺 癌 が 疑 わ れ た74歳 女 性 の 例. medicina (1985) 22, 962-967. 5) 小 松 彦 太 郎,米 田 良 蔵,石 原 尚:い わ ゆ る 細 気 管 支 肺 胞 上 皮 癌 の 検 討.日 胸 臨(1980) 39, 772-778. 6) 早 田 義 博(編):肺 癌 の 診 断 手 順 と治 療 方 針.医 学 書 院,東 京(1982) pp 38-39.

(5)

A case of adenocarcinoma

showing

atelectasis

which

changed

little in size over a long period of time

Yoshirou

KAWASE, Katashi

SATOH, Yasutane

MORI,

Midomi YODEN, Yasuhiko

TsuucHI,

Hitoshi

TAKASHIMA,

Kiichiro

MIZUKAWA, Toyosato

TAMAI, Masatada

TANABE

Kenji NAKAMURA1), Masazumi

MAEDA1)

Department of Radiology, Kagawa Medical School,

1750-1 Ikenobe, Miki-cho, Kita-gun

Kagawa 761-07, Japan

(Director: Prof. M. Tanabe)

1) Second Department of Surgery, Kagawa Medical School,

1750-1 Ikenobe, Miki-cho, Kita-gun

Kagawa 761-07, Japan

(Director:

Prof. M. Maeda)

An abnormal shadow was noted on a chest radiogram of a 61-year-old woman three years

ago. This abnormal shadow has changed little over the three years. Examinations changed this

year, including chest tomogram, CT and bronchofiberscopy, showed atelectasis of the right S3

without obstruction of Ba and B3b.

Histologically, a well differentiated adenocarcinoma was

found in a transverse bronchial lung biopsy specimen. Postoperative staging was confirmed to

be pT2 NoMo.

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