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高等学校生物教育における個に対応した取り組み 米国 MI Novi の経験をもとにー 愛知教育大学大学院理科教育専攻理科教育学領域吉田研究室滝川民子 要約 2006 年 4 月より 2008 年 12 月までの期間,3 人の子ども ( 渡米時 5th 6th 9th) を米国 MI( ミシガン州 )

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高等学校生物教育における個に対応した取り組み

―米国・MI・Novi の経験をもとにー

愛知教育大学大学院 理科教育専攻 理科教育学領域 吉田研究室 滝川民子 【要約】 2006 年 4 月より 2008 年 12 月までの期間,3 人の子ども(渡米時 5th・6th・9th)を米国・MI(ミシガン州)・N ovi(ノバイ)教育区で学ばせる経験をした。その経験に基づき,Novi 教育区の学校教育体系についての分析を試 みた。明らかになったのは,教育区独自の取り組みと改革の早さ,そしてその取り組みの背景にあるアメリカの 教育に対する理念である。アメリカといえば,「個人主義」という言葉を連想するが,学校における学習の場面 での規律の厳しさはある意味日本以上であり,子ども一人ひとりの権利を守るために,義務としての厳格なルー ルと学校スタッフによる管理体制があった。学習指導も徹底して行われていた。毎日必ず出される課題とその点 数化,授業内で行われるテストの得点,行動のすべてがインターネットで父兄に日々配信されている。これは,2 002 年 1 月にブッシュ大統領が署名した「おちこぼしのない教育法(No Child Left Behind Act of 2001)」によ って,すべての児童・生徒の学力向上,アカウンタビリティの強化,学校選択制の拡大,連邦補助金の使用にお ける州・教育区の裁量権の拡大を目指した結果であった。この経験をもとに日本の教育を見つめ直した時,「形 式的平等」に陥っており,一人ひとりの学びに対する権利が保障されていないのではないかという問題意識をも った。一人ひとりの学びは異なっており,各々が自己肯定感を得られる学習指導の実践を試みた。自己肯定感は 最終的には評価としての数値によるところが大きい。しかし,今回の個に対応した取り組みによって,生徒の学 びの様子に変化が見られた。なかなか素直な発言のできない高校生に対して,文章に書かせる取り組みは様々な 効果を生み出す。 第 1 編 米国・MI・Novi 教育区の学校教育 1.1 はじめに 米国では,国家基準(ナショナル・スタンダ ード)があるものの,各州ごと,そして各教育 区ごとの教育の独自性がみられる。Novi 教育 区で見られた特徴を以下に示す。 1.2 学校教育体系 表1 学年と学校区分・制度 K-4 Elementary School クラス担任制 5-6 Novi Meadows チーム制1

7-8 Novi Middle School チーム制2 9-12 Novi High School 単位制高校

1.3 チーム制1

Novi Meadows では,チーム制(Team Teaching) による授業形態を採用している。まず,担任の 教師(Homeroom/Home Base Teacher)1 人に対 して,1 クラス(最高生徒数 28 人)が編成さ れ,2~3 クラスが 1 チームとなる。 そして,チーム内での教師間の話し合いによ る,講座分担がされる。一般的には一人が数学 と理科の理数系科目を担当し,もう一人が国語 と社会という文系科目担当するという方式で あり,担任の教師は1 日の半分以上を担任のク ラス児童と過ごす。体育・音楽・美術は専任教 師による指導が行われていた。(図1) 図1 チーム制1の例 1.4 チーム制2 1 学年約 500 名の生徒は,100 名ずつの5チ ームに分けられる。1 チームには,国語・数学・ 社会・理科の教科担当の4 人の教師(表2)が 担任としてつく。1 チーム 100 名の生徒は,こ の 4 教科についてはクラスの担任より指導を 受ける。しかし,どの時間にどの科目を受講す るか,各自の時間割が作られている。そのため, 同じチームであっても,1 時間も一緒にならな い場合もある。 表2 チーム内の 4 人の教師の時間割 教師A 教師B 教師C 教師D 1 国語1 数学1 社会1 理科1 2 国語2 数学2 社会2 理科2 3 国語3 数学3 社会3 理科3 4 クラスミーティング(担任相互の連携) 5 教師個人の仕事の時間 6 国語4 数学4 社会4 理科4 7 Enrichment(拡充) 1 チーム

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1.5 単位制高校

Novi High School は,日本の大学に近いもの があり,能力・関心によって,学年をこえて, 授業の選択に幅をもって 受講できる。2009 年 現在,2 期制になっており,前期に 4 単位を 後 期に4 単位を取得し 1 年間に 8 単位,4 年間に 合計32 単位を取得する。(卒業資格には 29 単位が必須である。) 1.6 才能教育 「才能教育は,普通教育の改革の力点の変化 とともに,また卓越と平等のジレンマの揺ら ぎの中で,そのあり方が変化してきた。」1) とある。そして,「特殊なニーズに対処する 教育は,才能児と認定された一部の子どもに 特別プログラムを提供する才能教育から,そ れを維持・包含しながらも,すべての子ども の才能を伸ばそうとする才能伸長へと展開し てきた。それは特別支援教育でも普通教育の 場でも実施される。そのなかで才能児だとラ ベルづけするのではなく,どの学習行動で才 能を示すのかを識別し,特殊な学習ニーズに 対応する個性化教育の方策が探られている。」 2)このように,それぞれの生徒のニーズに応 じた模索が行われるようになってきている。 そして,才能教育の多様な形態として様々な 「早習」(acceleration)「拡充」(enrichment) のプログラムがあり,Novi では学校教育体系 からカリキュラム,教師の指導等至る場面で その取り組みがみられた。 図2 才能教育の概念図3) 第 2 編 高等学校生物教育における個に対応 した取り組み 2.1 日本の学習指導の問題点 「これまでの我が国は,教育における平等性 を重視しながらその普及を図りつつ,教育水準 の維持・向上を目指してきた。(中略)総じて 我が国の教育は,量的に著しく普及・発展を遂 げるとともに,高い教育水準を達成するなど質 の面でも大きな成果を挙げてきた。しかし,我 が国においては,教育における平等を重視し, 形式的な平等のみならず結果の平等までをも期 待した結果,教育システムを画一的なものとし て構築したり,これを硬直的に運用するという 傾向を生じてしまったことも事実である。すな わち,教育内容・方法,学校制度など教育シス テム全般にわたって,子どもたちや保護者の主 体的な選択を尊重し,子どもたち一人一人の多 様な個性や能力の伸長を図っていくという点に 必ずしも十分意が用いられてこなかったと言え る。また,学(校)歴を偏重する社会の問題を 背景に,過熱化する受験競争の中,入学者選抜 については,単一の尺度である学力試験が偏重 され,子どもたちの多様な個性や能力が十分評 価されてこなかった。」4)と日本の「形式的平 等主義」をあげ,個々の才能を伸ばす「実質的 平等」をもたらす教育がおこなわれていないと 述べられている。 高等学校においては入学試験制度によって, 能力別の選別が行われている。しかし,実際に 指導に当たると,様々な面で能力が多様である ことに気づく。それにも関らず,1 クラス 40 人 の講義式学習指導により学力の伸長をはかろう としている。 「教科教育では,個性(興味・能力・学習スタ イル)に適合した学習集団を固定せず柔軟に構 成すべきである。その意味で,文部科学省が 2002年度から指定を開始したSSHのような学 級・学年単位で一律になりがちなプログラムは, 十分に個性化されないかぎり有効でない。」5) とあるように,個に応じた指導のためには,学 習集団の柔軟な運用が必要である。 学校という集団の中で教育を進めている現実 において,一人ひとりの能力・才能・興味に応 じた教育というのは非常に困難なことであると 思う。それでも,少なくとも一人ひとりの学び は異なるという視点を大切に教育にかかわって いくべきである。以下,現状の中でどこまで個

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に対応した取り組みができるかという取り組み を示す。 2.2 個に対応するための方策として 2.2.1 学習目的と内容の明確化 まず,問題意識をもたせるためには,何につ いて学ぶのかその目的と内容を明確に示すこと が必要であると考えた。そのためにコミットメ ントの記録用紙(表3)に毎時間の学習内容を 示し,自作のコンセプトマップを利用して,生 物学の体系の中でどこの部分の学習に取り組ん でいるのかを生徒に示した。全体の理解のため に今日学ぶ部分と目的を明らかにした上で講義 に移った。 表 3 コミットメントの記録用紙 2.2.2 コミットメントの記録 講義の内容を1つずつ確認させることで,積 極的な取り組みにつながることを期待した。内 容のまとまり(教科書の小項目)ごとにコミッ トメントを10 段階で自己評価し,記録させた。 あわせて「コメント」の記録もさせた。(表3) 2.2.3 文章作成課題 「理科の授業では,科学の『ことば』を学び, 科学の文脈における使い方を学ぶ。科学的思考 は科学の文脈で科学の文を創ることである。」 6) Novi 教育区の学習指導でも,ワークシート に書かせる内容の設問が多く取り入れられて おり,また,AP(Adovanced Placement)レベルの 授業においては,エッセイなどの論述式の課題 やテストなど,言語に基礎をおいた活動が重視 されていた。 そこで,Novi のワークシートの内容を参考 に質問事項を作り,週末に各自で家庭学習とし て「文章作成課題」(表4)に取り組ませた。 質問事項は,知識を確認する基礎的なものから, 自分の身近な事柄や社会とのつながりを意識 させ,自己の意思決定をさせるものまで様々な ものを織り交ぜる工夫をした。 表 4 文章作成課題 その「文章作成課題」を添削するにあたって は,きちんと科学の言葉を用いて,命題を正し く生成しているかを判断するとともに,生徒の 自由な発想を大切にするように心がけた。 「多様な思考スタイルを考慮することによ って,学習や評価が改善され,成績の予測性が 高まる。そのためアメリカの学校では,思考ス タイルを考慮することが,有用な実践課題とし て才能教育・個性化教育に取り込まれている。 一人ひとりの子どもが自分の認知的個性,すな わち興味,能力および思考スタイルに応じて学 習するとき,才能は最も活かされ伸ばされる。 目的意識 =学習目的と内容の明確化 授業での正確な知識の獲得 =コミットメントの記録 知識の定着 =文章記述課題 メタ学習 =お便り(BIOLOGY)

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教師は生徒全員に一定の学習内容・方法を押し 付けるのではなく,個人ごとに思考スタイルを 活かして,自ら学ぶ楽しさを実感させることが 重要である。」7) 本実践は,既存の学習指導の中での個に応じ た指導であり,学習内容や方法を大きく変更す ることは不可能だが,それでもそれぞれの生徒 の認知的個性―興味・能力・思考スタイルを活 かせるような添削指導を試みた。 2.2.4 お便り(BIOLOGY) コメントや文章記述課題に書かれた様々な 意見を,お便り「BIOLOGY」(表 5)として 配布をした。 「個に応じつつ,それを交流を 通して 全体へと広げることこそ,個に応じる ことである。」8)というように,個別指導だ けで完了させるのでなく,それぞれの個性的な 発想を全体に広げることこそ,個に応じる指導 であると述べられている。 これは,他者の目 を強く意識し,自由な発言が難しい高校生段階 において,わずかではあるが,コミュニケーシ ョンの場となるであろう。また,それぞれの生 徒の異なった学びの実態を知ることで,メタ学 習にもつなげていきたい。 以上のような働きかけを通じて,生物の授業 の中でそれぞれの生徒が多様な知識のとらえ 方をしており,自分の中に生まれる独自の発想 を大切に生物の学習を進めていけることを目 指した。 表 5 お便り(BIOLOGY) 2.3 授業実践の概要 対象:愛知県立N 高等学校 第 2 学年 2 学級 (82 名)文系生物選択者 実施時期:2011 年 1 学期 内容:生物Ⅰ 第1 編 細胞(12 時間) 第2 編 生殖と発生(18 時間) ※現在も改善し継続中 2.4 結果および考察 2.4.1 授業の進度計画の提示とコミットメント の記録 2.4.1.1 生徒の評価(1 学期末) 週(3 授業時間)ごとに記録用紙(表 3)を 渡し,授業の内容のまとまりごとに,コミット メント(10 段階)評価をさせ,同時に「コメ ント(つぶやき)」を自由記述させた。 1学期末のアンケートによると,コミットメ ントの記録が役立つと答えた生徒は30%程度 であった。そして,テスト勉強時の振り返りに 利用しましたかという質問に対しては,7.9% の生徒が利用したと答えたのみであった。コメ ント(つぶやき)を記録することは,あまり楽 しくない49.2%,全く楽しくない 25.4%と 84.6%もの生徒が抵抗感を示していた。このコ メント(つぶやき)によって自分の学習を振り 替えられると答えた生徒は36.5%であった。 2.4.1.2 コメント(つぶやき)の内容の変化 図 3 1 学期の記述内容の変化 横軸は第何時間目の授業かという数値,縦軸は人数。 グラフの増減はコメントを記入した生徒数の変化を示す。 5 段階に内容を分類した。①(水色)コミッ トメントの評価のみで,コメント欄は未記入で

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ある生徒,②(紺)コメント欄に学んだ知識を 記述している生徒,③(黄)自分の理解したこ とについて自己分析している生徒,④(紫)意 見・感想等情動を記している生徒,⑤(赤)記 述内容に様々な要素がみられる生徒である。1 学期の中間考査後(13 時間目)よりコメント(つ ぶやき)の記述量・内容の多彩さ共に豊かな方 向への変化が見られた。 2.4.1.3 継続指導による効果 ―学習への構えと記録 4 月よりの継続指導の結果,きちんと学習目 的を持ち,学習内容に対する構えを持って授業 に臨むことが,確かな理解となり,スムーズな 文章作成につながるという図式が明らかにな った。 小項目ごとに,理解度の段階別評価(コミッ トメント)とコメント(つぶやき)を数分間の 間に,やらなくてはならないので,瞬時に文章 化する能力が必要となる。そのため,文章作成 能力の差が効果に大きな影響を与えていた。し かし,継続指導で大きな改善が見られた。 事前に提示してある学習内容により,何につ いて学ぶのかを理解していれば,そこに学習に 対する構えが生まれる。学習内容の理解に取り 組むきちんとした姿勢が,瞬時に文章を作り出 す準備を整えていったといえる。瞬時に文章を 作り出せるということは,授業へ積極性やの集 中度の高さの表出となる。 このような授業形態は生徒にとって初めて であるため,最初多くの戸惑いがあったといえ る。しかし,記述事項を確認しつつテスト対策 などの復習に利用できることを理解し,記述内 容に対して細やかに添削するというフィード バックを繰り返したことによって,生徒の記録 に対する対応が大きく変化した。 2.4.2 文章作成課題 2.4.2.1 生徒の様子 アンケートより,多くの生徒は,一問一答式 問題や,穴埋め問題になれており,理解が十分 でなくても,用語を覚えておきさえすれば正答 することが出来る程度の学習に慣れていたた め文章作成課題に対する抵抗感は非常に高か った。しかし,記述力を高めたいという意識が 高かったことが意欲的な取り組みとなった。負 担が大きくても,確かな学力養成につながると 感じられる課題に対しては,前向きな取り組み ができる。回を重ねるごとに記述量が増え,ま た記述内容も充実したものとなった。 2.4.2.2 添削指導の効果 ―積極的な記述 昨年度,2~3 語単語を提示して文章を作成さ せるという文章作成課題を実施した。本年度の 取り組みはそれを発展させ,多様な理解を,科 学の『ことば』を自分で選び,科学の文脈で『命 題』を生成する取り組みを目指した。 最初はコンセプトマップを利用して2 語をつ なげて文章を作成する課題より始めた。そして Novi のワークシートで見られたような考えさ せる課題等の,発展的な内容へと取り組ませた。 添削指導により,それぞれの生徒の作成した文 章の良い点はしっかり褒め,不備な点について は正しく書きなおした。そのため,生徒は自由 に文章を記述する取り組みをした。理解してい ても,それが正しい科学の文脈となるのは難し く,きちんと指導することが,確実な力につな がってきた。 2.4.3 お便り(BIOLOGY) 2.4.3.1 生徒の反応 第1 週=2,第 2 週=13,第 3 週=6,第 4 週=7,第 5 週=28,第 6 週=35 と取り上げた 質問,意見の数が増えている。同じ内容はまと めたりしているので,このわずかな期間に生徒 からの反応が,回を増すごとに大きくなってき ていると言える。 質問の内容も,理解が難しかった学習内容に 関して再説明を求めるものから,学習内容に関 連して疑問に思ったことまで様々なものが見 られた。 他の生徒が自由にいろんな意見を書いてい るのをフィードバックによって知り,それぞれ の生徒が自由に記述できる状態に変化したと 言える。 2.4.3.2 フィードバックの効果 2.4.3.2.1 疑問の解消 生徒からの質問・疑問を取り上げてそれに答 えるという形式をとっているので,多くの生徒 が分かりにくかったと質問してきたものについ ては,文面で説明し直すことができた。文章で 説明し直したことで,それぞれの生徒のペース で学び直せた。 記述には「分からなかった」とのみ書いてい る生徒もおり,それに対しては,「○○について

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分からなかった。というように分からない部分 をきちんと書いてくれないと答えられません。」 と応答した。そのため,生徒も「○○について, 分からなかった。」と書くように変化してきた。 直接質問しにくいという生徒は,コメント欄 に記述することで解答が得られるシステムでス ムーズに学習が進められたと述べている。 2.4.3.2.2 授業内容の補足と発展 決められた授業時間内に学習内容をこなして いかなくてはならないので,教科書外の関連す る興味深い話題について触れられない状況もあ る。生徒の中には,そういった部分に関連した コメントを書いてくるものがおり,うまく質問 に答えるという形で発展的な内容について補足 することができた。想定以上に発展的な内容に ついての質問もあり,このような部分に対応し ていくことや,生物の学習を進めていく上で, 細部に立ち入らずに表面的に扱っている部分で は,細部を知りたいという欲求を記述する生徒 もおり,このような部分を大切にしていくこと が学ぶ意欲を高めることであると感じた。 2.4.3.3.3 メタ学習 アンケートより,他の人の意見を読み,驚き, 楽しみを感じている。BIOLOGY を配布すると 即座に内容に目を走らせるなど興味を持ってい る様子が伺えた。同じ授業を受けていても,受 け止め方・理解の仕方はさまざまであると認識 させる重要な意味をもった。生物学を学びつつ, 自分たちの認知構造の多様性も認識させること ができた。目標は,このようにそれぞれの生徒 が,違った学びをしていくことの認識をメタ学 習のレベルにまで高めることである。 3.おわりに 3.1 個に対応した取り組みが生み出すもの 以上のような取り組みを通して,生徒の思考 の把握ができ,コミュニケーションの深まりを 感じた。通常の授業の中で,理解が不充分であ る生徒に対しては補習としての丁寧な指導が必 要であり,逆に,学習内容を発展させて興味関 心を高めていく必要のある生徒もいる。一斉授 業の中では難しいこの課題に対して,一解決策 となろう。 3.2 個に対応した取り組みについての課題 基本的にコミットメントやコメントの記述は 本人の意思にまかせており,そのためほとんど 記述せずに過ごしてしまった生徒もいる。生徒 の記述より始まる指導なので,記述しない生徒 に対しては対応ができない。いかに,記述を引 き出すかという課題がある。 記述するという作業は負荷が大きく,知識に ついて正しく記述できるまでの確固とした理解 をさせる指導の難しさを感じた。 3.3 これからの取り組みについて 今後日本の学校教育体系が,一人ひとりの子 どもの学びを大切にしたものに変容していくこ とを高等学校段階においても期待したい。そし て,現場の一教員として,目の前の子ども達の 学びを大切にしていきたい。教師からの,ほん のわずかなはたらきかけによって,高校生であ っても変わっていく。一人ひとりの生徒の様子 を把握し,自ら学ぶ楽しさを実感させられるよ うな働きかけを心がけていきたい。 【引用文献】 1) 松村暢隆:『アメリカの才能教育―多様な 学習ニ-ズに応える特別支援』,pp187,2003 東 信堂 2) 前述書 1) pp3 3)進藤明彦 木庭治夫 長谷川仁子 小倉康: 「これからの才能教育の方向性」日本理科教育 学会全国大会要項 (58),pp341,2008 4) 中央教育審議会,「21 世紀を展望した我が 国の教育の在り方について(第二次答 申)」,1997 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuuou/tous hin/970606.htm#02 5) 前述書 1) pp187 6) 遠西昭壽:「科学の『ことば』とその使い 方の学びとしての理科授業」,理科の教育6月 号,pp7,2009,東洋館出版社 7) 松村暢隆 石川裕之 佐野亮子 小倉正義 「認知的個性―違いが活きる学びと支援」 pp54,2010,新曜社 8) 佐藤郡衛:「帰国児童生徒の良さを生かし た学習指導,社会科教室,NO.26,2002,日本文教 出版 【参考資料】 Novi 教育区の学校体系については,下記の URL を参考にした。

・NOVI SCHOOL DISTRICT Home Page

http://www.novi.k12.mi.us/nm/novinm.html

・ MICHIGAN STATE Home Page

http://www.michigan.gov/mode

・ MICHIGAN Department of EDUCATION

http://www.novi.k12.mi.us/District/humanREso urces/default.aspx

参照

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