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Microsoft Word - H23報告書 望月眞弓

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Academic year: 2021

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アイカメラを用いた一般用医薬品添付文書の理解度に及ぼす

意匠工学的要因に関する研究

研究代表者 望月眞弓(慶應義塾大学薬学部 教授) 分担研究者 三林洋介(首都大学東京 東京都立産業技術高等専門学校 教授) 土屋文人(国際医療福祉大学薬学部 教授) 橋口正行(慶應義塾大学薬学部 准教授)

1.背景・目的

添付文書は、一般用医薬品(以下、OTC 薬)の正しい使用法に関する最も重要な情 報源である。我々が過去に行ったOTC 薬の使用実態調査では、添付文書が正しく活用 されていないことが明らかとなっている1,2)。米国では、新成分のスイッチOTC 薬の承 認時やラベルの変更時等に、OTC 薬のラベル(日本の添付文書に相当)が生活者に正 しく理解されているかを評価するため、ラベル理解度調査“Label Comprehension Study”(LCS)が実施されている。しかし、これまで日本では、理解度調査は行われて きていない。 現在日本において、医療用医薬品のスイッチOTC 薬化が検討されている3,4)。スイッ チOTC 薬となる医療用医薬品は、医療用としての長い使用経験から、有効性と安全性 は確立しているものの、セルフメディケーションの環境下で使用された場合に安全が確 保されるかについては検証のないまま販売されることになる。このようなスイッチ OTC 薬を使用したセルフメディケーションの実践においては、生活者が添付文書を基 にOTC 薬を適正に使用し、副作用などを適切に自己判断する必要がある。従って、今 後はスイッチOTC 薬の承認に当たっては、日本においても添付文書の理解度調査が必 要になると考えられる。そこで我々は、LCS の日本での実施を可能とするための検討 を行い、日本版LCS を開発した5,6) 我々は過去2 度にわたり、記載内容は同じでレイアウトや文字の大きさ等形式の異な る2 種類の添付文書を比較し、文字の大きさやレイアウト等の影響による理解度の差を 評価することが可能であるか検討した。その結果、言葉の表現以外に文字の大きさやレ イアウトが添付文書の理解度と関連があることが明らかとなっている 7,8)。言葉の表現 に関しては、我々はこれまでに効能効果の用語について、より平易な説明を追記するこ とで理解度が向上することを報告してきたが、文字の大きさや色、レイアウトなど意匠 工学的な要因を改善することによっても、理解度が変化するかについても検討する必要 があると考えた。

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2 そこで今回、先行研究7)でレイアウト等が理解度の低下に影響している可能性が示唆 された領域についてレイアウトを変更した添付文書を用いて、レイアウトの変更が理解 度に影響するかについて評価することを目的とした。また、調査中、アイマークレコー ダ(以下、EMR)を用いて調査中の対象者の視線の停留及び軌跡を測定することによ り、レイアウトの変更並びに理解度との関連性の評価を、より客観的・定量的に行える かについても検討した。

2.方法

2-1.調査対象の添付文書 先行研究 7)で使用したH2ブロッカー薬の添付文書の「使用上の注意」の部分を見本 とし、文字サイズ、色、レイアウト等には変更を加えずに添付文書 A を作成した。ま た添付文書 A について、先行研究でレイアウト等が理解度の低下に影響している可能 性が示唆された領域に対し、改行したり余白を加えたりしてレイアウトのみ変更した添 付文書B を作成した。添付文書 A 及び B を Appendix1 及び 2 に示す。なお、添付文 書A と B で全くレイアウトを変更しないエリアをつくり、変更したエリアと比較した。 2-2.調査対象者 2-2-1.調査対象者 自由意志に基づき本調査への参加に対して書面による同意が得られた18 歳以上の生 活者を対象とし、目標症例数は合計20 名とし2群に均等になるよう無作為に割り付け た。添付文書A で調査する群を A 群、添付文書 B で調査する群を B 群とした。 2-2-2.除外基準 添付文書を読むことが困難な者及びEMR に影響する者(コンタクトレンズを装着し ている者、目又は目の周囲に過度な化粧をしている者及び薬学の知識を有する者)は調 査から除外した。 2-3.使用した EMR(右写真参照) 眼球運動の測定は、眼球運動検出原理に瞳孔/角膜反射法が用い られているアイマークレコーダEMR-8B(ナック社製・帽子型) により行った。EMR は、対象者が見ている範囲を撮影する視野カ メラと、対象者の目の動きを撮影するアイカメラの 2 つのカメラ によって構成されており、これら2 つのカメラによる映像を重ね アイカメラ 視野カメラ

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3 合わせて記録する。視野カメラは画角が62 度のものを使用した。 2-4.調査実施日 本調査は、平成23 年 8 月 18、19、23 日に実施した。 2-5.調査実施施設 本調査は、慶應義塾大学芝共立キャンパス内で実施した。 2-6.調査方法 2-6-1.EMR の装着(下図参照) 調査は、裸眼で実施した。対象者には調査中、極力頭部を動かさないよう指示し、 EMR を装着した。視野カメラで撮影されている対象者の視野映像の中に添付文書全体 が映る位置にボードを設置し、添付文書を貼り付けた。キャリブレーション※を行った 後、対象者に目を閉じるよう指示し、インタビュー調査の方法について説明した。説明 後、対象者に目を開くよう指示し、インタビュー調査を開始した。なお、対象者の負担 を考慮し、EMR を装着してインタビュー調査を行う時間は最長でも 10 分間とした。 ※キャリブレーション:視線を校正し、アイカメラで撮影した視線の検出画面上における位置(アイマー ク)と一致させるために必要な作業。 2-6-2.添付文書理解度調査 対象者は初めに時間制限を設けず添付文書の全体を読み、記載内容に関する質問に解 答した。なお、この時間を「添付文書一読時」とする。調査はインタビュー形式とし、 調査員が質問を口頭で聞き、対象者は各質問の解答とその根拠となる理由について解答 した。インタビューの解答は、調査員が評価票に記入した。なお、質問解答時も添付文 書の参照を可とした。 視野カメラ

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4 質問は、選択式問題4 問と自由回答問題 3 問の計 7 問で構成した。質問は添付文書 に対応したものとし、レイアウトを変更していない「してはいけないこと」から4 問、 レイアウトを変更した「相談すること」から3 問とした。質問内容を表 1 に示す。 2-6-3.理解度に影響を与える因子、対象者属性、添付文書の内容及び調査法に関する アンケート 理解度調査終了後、EMR を外し、理解度に影響を与える因子(文字の大きさ、難解 な言葉の有無及びレイアウト)に対する生活者の印象、対象者属性、添付文書の内容の 難易度及び調査法に関するアンケート調査を実施した(表2)。 2-6-4.調査時間 調査時間は、理解度調査の実施方法の説明終了後に添付文書を読み始めてからインタ ビュー調査が終了するまでに要した時間(以下、理解度調査時間)及び、各質問につい て、調査員が質問を聞き終えてから対象者が解答を終えるまでの時間(以下、解答検索 時間)を計測した。 表 1.添付文書の各項目に対応する質問 No 項目 問題 してはいけないこと(レイアウトを変更していないエリア) 1. アレルギー症状のある人の使用 A さんは、以前に H2ブロッカー薬を飲んで、発疹(皮ふに ボツボツ)ができたことがあります。A さんはこの薬を飲 んでもよいでしょうか? 2. 白血球の病気の人の服用 C さんは、医師から白血球が少ない病気であるといわれ ています。C さんはこの薬を飲んでもよいでしょうか? 3. 高齢者の服用 D さんは 84 歳です。この薬を飲みたがっています。D さ んはこの薬を飲んでもよいでしょうか? 4. 妊婦の服用 F さんは現在妊娠中です。F さんはこの薬を飲んでもよ いでしょうか? 相談すること(レイアウトを変更したエリア) 5. のどの痛み・高熱のある場合の 対処 B さんは、昨日からのどが痛く、高熱もあります。B さん はどうするべきでしょうか? 6. 副作用の症状 直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談しなけ ればならない症状を 1 つあげてください。 7. 用量を超えた場合の対処 E さんは、この薬を一回に 3 日分(6 錠)飲んでしましまし た。E さんはどうするべきでしょうか? No.1~4:選択式問題、No.5~7:自由解答問題

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5 表 2.理解度に影響を与える因子、対象者属性、添付文書の内容及び調査法に関する アンケート項目 理解度に影響を与える因子 文字の大きさ 意味の分からない言葉 答えの書いてある場所がわかりづらい箇所 対象者属性 年齢、性別及び職業、最終学歴 通院又は入院経験の有無 H2ブロッカー薬の購入・使用経験 外箱の確認状況 「使用上の注意」の確認状況 「使用上の注意」以外の確認項目 「使用上の注意」の内容の難易度に関する質問及び理由 インタビュー調査についての質問 インタビュー調査の質問の難易度 インタビュー調査の問題点の有無 調査時間について EMR を用いた調査についての質問 2-7.インタビュー調査員 インタビュー調査員は、訓練を受けた者2 名とした。なお、インタビュー調査員の育 成は、先行研究6)に基づいて行った。調査員は、両群均等になるように担当した。 2-8.評価方法 2-8-1.添付文書の理解度の評価 添付文書の理解度(以下、理解度)は以下の式を用いて算出した。質問の正誤の判定 は、評価マニュアルに従い解答と理由が正解でかつ対応する添付文書の記載場所を正し く指摘できた場合のみ正解とした。 表1 において、「相談すること」に関する質問のうち「7.用量を超えた場合の対処」 の模範解答は「服用を中止し、医師または薬剤師に相談する」である。この場合、前調 査7,8)同様に「中止する」「相談する」の2 つが解答できた場合を「完全正解」とし、「中 止する」「相談する」のどちらか一方を解答できた場合を「部分正解」と判定した。

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6 <理解度の算出式> 正解者の人数 理解度(%)= 全解答者数 ×100 2-8-2.EMR による評価 Appendix1 に示すように、添付文書 A 及び B を 4 つのエリアに区分し、「してはい けないこと」をエリア1、「相談すること 1」をエリア 2、「相談すること 2(1)」をエリ ア3、「相談すること 2(2)及び 3」をエリア 4 とした。エリア 1 は、変更を加えず両群 のレイアウトが同じエリアである。他のエリアについては、添付文書 B のみ、以下の ようにレイアウトを変更した。エリア2 は項目ごとに改行した。エリア 3 では 2 つの 表の間に余白を設け、エリア4 では「相談すること 2(2)」の前後に余白を設けた。なお、 文字サイズ、文字の色はA および B ともに同じとした。 EMR を用いて、エリア別に視線の停留時間を測定し、全てのエリアの視線停留時間 の合計に対する各エリアへの視線停留時間の割合(以下、エリア別停留割合)を算出し た。さらに、各エリア内において文章が続いていく方向へ移動していた視線が一旦停止 し、逆方向へ移動する回数(戻り読みの回数)を評価した。なお、この戻り読みの回数 を「逆行数」とした。 各エリアへの視線停留時間及び、エリア別停留割合は、添付文書一読時と質問解答時 について評価し、逆行数については添付文書一読時のみ評価した。 2-9.統計解析 A 群と B 群の比較において、対象者属性、正解者数については Fisher の直接確率法、 調査時間、逆行数及びエリア別停留割合についてはMann- Whitney の U 検定を行った。 なお、統計解析ソフトウェアはSPSS for Windows 19.0J(SPSS Inc., Chicago, IL)を使 用し、有意水準は5%とした。

EMR によるデータの解析は、アイマーク解析ソフトウェア EMR -d Factory を一部 使用したが、対象者の頭部を固定しない自然な状態で視線を計測したため、記録画像の

背景座標が固定できないことから、検出レート60Hz にてフレーム解析を併用した。解

析は、公立大学法人首都大学東京 東京都立産業技術高等専門学校にて実施した。 本研究は慶應義塾大学薬学部研究倫理委員会に研究計画書を提出し、その内容が承認 されたものである(承認番号11072-1)。

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3.結果

3-1.対象者属性 対象者の属性を表3 に示す。生活者 19 名(A 群 10 名、B 群 9 名)から解答が得られ、 平均年齢(±SD)は、A 群は 20.1(±1.2)歳、B 群は 19.9(±1.3)歳であった。 「年齢」「性別」「職業」「最終学歴」「通院又は入院経験の有無」「H2ブロッカー薬の 購入・使用経験」「外箱の確認状況」「使用上の注意の確認状況」「使用上の注意以外の 項目の確認」の全項目について2 群間で差はなかった。 B 群の対象者 1 名については、試験開始前のキャリブレーション時に視力の影響によ って添付文書を読むことが出来ないことが発覚したため、試験開始前に除外した。 表 3.対象者属性 項目 A 群 N=10 B 群 N=9 年齢±SD 20.1±1.2 19.9±1.3 性別 男性 8(80.0) 7(77.8) 女性 2(20.0) 2(22.2) 職業 学生 10(100.0) 8(88.9) その他 0(0.0) 1(11.1) 最終学歴 高校卒 3(30.0) 2(22.2) 専門学校卒・短大卒 7(70.0) 6(66.7) 大学卒・大学院卒 0(0.0) 1(11.1) 通院又は入院経験の有無 あり 6(60.0) 4(44.4) なし 4(40.0) 5(55.6) あり 2(20.0) 2(22.2) H2ブロッカー薬の購入・使用経験 なし 8(80.0) 7(77.8) 外箱の確認状況 必ず読む 8(80.0) 3(33.3) 時々読む 2(20.0) 3(33.3) 全く読まない 0(0.0) 3(33.3) 「使用上の注意」の確認状況 必ず読む 5(50.0) 3(33.3) 時々読む 4(40.0) 3(33.3) 全く読まない 1(10.0) 3(33.3) 「使用上の注意」以外の項目の確認 成分・分量 3(30.0) 1(11.1) 効能・効果 10(100.0) 6(66.7) 用法・用量 9(90.0) 8(88.9) 保管及び取扱い上の注意 2(20.0) 1(11.1) 年齢以外は人数、( )内は%

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8 3-2.「使用上の注意」の理解度 各質問の理解度の平均を表4 に示す。全質問の理解度は A 群 78.6%、B 群 69.8%、 変更していないエリア1 の「してはいけないこと」に関する 4 つの質問の理解度の平均 はA 群 87.5%、B 群 72.2%であり、どちらも A 群が B 群に比べて高かったが、その差 は統計学的に有意ではなかった。レイアウトを変更したエリア 2、3、4 の「相談する こと」に関する3 つの質問の理解度の平均は、A 群 66.7%、B 群 66.7%で差がなかっ た。 両群間で理解度の差が統計学的に有意であった項目は、「アレルギー症状のある人の 服用」に関する質問で、A 群 100.0%、B 群 55.6%であった(P=0.033)。また、両群 の理解度に20%以上の差が認められた項目は 2 項目あり、「のどの痛み・高熱のある場 合の対処」ではA 群 80.0%、B 群 55.6%、「副作用の症状」ではA 群 40.0%、B 群 66.7% であったが、どちらもその差は統計学的には有意ではなかった。 表 4.各項目の理解度 A 群 B 群 N=10 N=9 P 値 してはいけないこと アレルギー症状のある人の服用 10(100.0) 5(55.6) 0.033 白血球の病気の人の服用 7(70.0) 6(66.7) 0.630 高齢者の服用 8(80.0) 6(66.7) 0.444 エリア1 妊婦の服用 10(100.0) 9(100.0) 1.000 小計 35(87.5) 26(72.2) 0.083 相談すること エリア2 のどの痛み・高熱のある場合の対処 8(80.0) 5(55.6) 0.259 エリア3 副作用の症状 4(40.0) 6(66.7) 0.242 エリア4 用量を超えた場合の対処 8(80.0) 7(77.8) 0.667 完全正解 6(60.0) 3(33.4) 部分正解 2(20.0) 4(44.4) 小計 20(66.7) 18(66.7) 0.611 合計 55(78.6) 44(69.8) 0.170 人数( )%

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9 3-3.EMR による評価 3-3-1.添付文書一読時 添付文書一読に要した時間(秒)の平均±SD は、A 群 139.0 秒±58.3、B 群 133.8 秒±32.3 であった。 添付文書一読時におけるA 群及び B 群のエリア別停留割合の中央値及び、各エリア の逆行数の中央値を表5 及び表 6 に示す。両群のレイアウトが同じであるエリア 1 に おいても、レイアウトを変更したエリア 2、3、4 のいずれにおいてもエリア別停留割 合及び逆行数の中央値に両群間で差が見られなかった。 なお、エリア1 へのエリア別停留割合及びエリア 1 の逆行数は、他のエリアよりも多 い傾向が見られた。 表 5.添付文書一読時のエリア別停留割合 A 群 (N = 10) B 群 (N = 9) P 値 エリア 1 0.42 [0.23, 0.63] 0.40 [0.36, 0.58] 0.317 エリア 2 0.19 [0.15, 0.26] 0.19 [0.10, 0.25] 0.935 エリア 3 0.32 [0.14, 0.47] 0.31 [0.21, 0.36] 0.935 エリア 4 0.07 [0.04, 0.12] 0.09 [0.04, 0.14] 0.624 中央値 [最小値,最大値] 表 6.添付文書一読時の逆行数(回数) A 群 (N = 10) B 群 (N = 9) P 値 エリア 1 2.5 [0, 9] 3 [0, 7] 0.804 エリア 2 1 [0, 9] 0 [0, 3] 0.400 エリア 3 1 [0, 5] 1 [0, 4] 0.899 エリア 4 0 [0, 3] 0 [0, 1] 0.301 中央値 [最小値,最大値]

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10 3-3-2.インタビュー調査時 3-3-2-1.正解がエリア 1 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 正解がエリア1 に存在する質問の解答時のエリア別停留割合の中央値を表 7 に示す。 表 7.正解がエリア 1 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 エリア 1 エリア 2 エリア 3 エリア 4 その他 正解者 N = 10 0.70 [0.07, 1.00] 0.00 [0.00, 0.37] 0.00 [0.00, 0.27] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.93] A 群 不正解者 N = 0 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ 正解者 N = 5 0.89 [0.69, 1.00] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.33] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.11] アレルギー症状 のある人の服用 B 群 不正解者 N = 4 0.00 [0.00, 0.12] 0.12 [0.00, 0.36] 0.67 [0.29, 0.98] 0.02 [0.00, 0.58] 0.00 [0.00, 0.23] 正解者 N = 7 0.79 [0.00, 1.00] 0.00 [0.00, 0.36] 0.00 [0.00, 0.36] 0.00 [0.00, 0.28] 0.10 [0.00, 0.25] A 群 不正解者 N = 3 0.71 [0.03, 1.00] 0.01 [0.00, 0.06] 0.06 [0.00, 0.60] 0.00 [0.00, 0.36] 0.00 [0.00, 0.17] 正解者 N = 6 0.62 [0.04, 1.00] 0.12 [0.00, 0.53] 0.01 [0.00, 0.14] 0.00 [0.00, 0.00] 0.13 [0.00, 0.38] 白血球の病気の 人の服用 B 群 不正解者 N = 3 0.34 [0.00, 0.56] 0.34 [0.11, 0.85] 0.31 [0.00, 0.33] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.15] 正解者 N = 8 0.88 [0.57, 1.00] 0.01 [0.00, 0.31] 0.00 [0.00, 0.12] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.21] A 群 不正解者 N = 2 0.50 [0.00, 1.00] 0.00 [0.00, 0.00] 0.50 [0.00,1.00] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.00] 正解者 N = 6 0.78 [0.49, 0.91] 0.05 [0.00, 0.51] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.00] 0.11 [0.00, 0.48] 高齢者の服用 B 群 不正解者 N = 3 0.00 [0.00, 0.14] 0.69 [0.20, 0.69] 0.27 [0.18, 0.31] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.53] A 群 正解者 N = 10 0.71 [0.02, 1.00] 0.01 [0.00, 0.56] 0.00 [0.00, 0.98] 0.00 [0.00, 0.10] 0.00 [0.00, 0.59] 妊婦の服用 B 群 正解者 N = 9 0.85 [0.00, 1.00] 0.06 [0.00, 0.62] 0.00 [0.00, 0.45] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.35] ※1 P=0.012、※2 P=0.029、※3 P=0.025、※4 P=0.020、※5 P=0.035、※6 P=0.006 中央値 [最小値,最大値] ※1 ※2 ※3 ※4 ※5 ※6

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11 3-3-2-1-1.「アレルギー症状のある人の服用」に関する質問解答時のエリア別停留割合 「アレルギー症状のある人の服用」に関する質問に対して、A 群は全員正解した。A 群の正解者10 名の正解記載箇所であるエリア 1 への停留割合の中央値は 0.70 で、他の エリアは0.00 であった。B 群は正解者 5 名、不正解者 4 名であったが、正解者 5 名の エリア1 への停留割合の中央値は 0.89 で、他のエリアは 0.00 であり、A 群正解者と同 様の傾向が見られた。一方、B 群不正解者 4 名はエリア 3 への停留割合の中央値が 0.67 であり、エリア3 に最も長く視線が停留する傾向にあった。 3-3-2-1-2.「白血球の病気の人の服用」に関する質問解答時のエリア別停留割合 「白血球の病気の人の服用」に関する質問に対して、A 群の正解者 7 名と不正解者 3 名は共に、エリア1 への停留割合の中央値が高く(正解者 0.79、不正解者 0.71)、他の エリアにはほとんど視線が停留していなかった。B 群でも、正解者 6 名の場合はエリア 1 への停留割合の中央値が 0.62 であり、他のエリアより長く停留していた。しかし、B 群不正解者3 名では、エリア 1 が 0.34、エリア 2 が 0.34、エリア 3 が 0.31 であり、エ リア1 からエリア 3 の間に視線が分散していた。 3-3-2-1-3.「高齢者の服用」に関する質問解答時のエリア別停留割合 「高齢者の服用」に関する質問に対して、A 群の正解者 8 名のエリア 1 への停留割合 の中央値は0.88 であり、他のエリアと比べてエリア 1 に長く視線が停留していたが、 不正解者2 名中 1 名はエリア 1 に、もう 1 名はエリア 3 に視線が集中していた。一方、 B 群の正解者 6 名のエリア 1 への停留割合の中央値は 0.78 で A 群の正解者と同様の傾 向であったが、B 群の不正解者 3 名はエリア 1 には視線がほとんど停留しておらず、エ リア2 で 0.69、エリア 3 で 0.27 であり、エリア 2 とエリア 3 に視線が分散していた。 3-3-2-1-4.「妊婦の服用」に関する質問解答時のエリア別停留割合 両群ともに全員が正解した「妊婦の服用」に関する質問では、エリア1 への停留割合 の中央値はA 群 0.71、B 群 0.85 であり、両群ともに他のエリアに比べ、正解記載箇所 であるエリア1 に最も長く視線が停留していた。

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12 3-3-2-2.正解がエリア 2 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 正解がエリア2 に存在する「のどの痛み・高熱のある場合の対処」についての質問に 対する解答時のエリア別停留割合の中央値を表8 に示す。 A 群の正解者 8 名では、正解記載箇所であるエリア 2 への停留割合の中央値は 0.51 であり他のエリアに比べて大きかった。A 群の不正解者 2 名のうち、1 名はエリア 1 へ の停留割合が最も高く0.73 であり、もう 1 名はエリア 1 に 0.30、エリア 2 に 0.49、エ リア3 に 0.22 と、エリア 1 からエリア 3 の間に分散していた。B 群の正解者 5 名のエ リア2 への停留割合の中央値は 0.30、エリア 3 は 0.15 であり、他のエリアに比べ、エ リア2 とエリア 3 に注目する傾向にあった。しかし、B 群の不正解者 4 名ではエリア 1 が0.39、エリア 2 が 0.18、エリア 3 が 0.27 と、エリア 1 への停留が最も長かったが、 エリア2 とエリア 3 へも視線が分散していた。 表 8.正解がエリア 2 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 エリア 1 エリア 2 エリア 3 エリア 4 その他 正解者 N = 8 0.10 [0.00, 0.93] 0.51 [0.00, 1.00] 0.01 [0.00, 0.61] 0.00 [0.00, 0.39] 0.06 [0.00, 0.40] A 群 不正解者 N = 2 0.51 [0.30, 0.73] 0.29 [0.10, 0.49] 0.19 [0.17, 0.22] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.00] 正解者 N = 5 0.00 [0.00, 0.48] 0.30 [0.28, 0.98] 0.15 [0.00, 0.62] 0.00 [0.00, 0.02] 0.06 [0.00, 0.31] のどの痛み・ 高熱のある場合 の対処 B 群 不正解者 N = 4 0.39 [0.00, 0.84] 0.18 [0.00, 0.49] 0.27 [0.00, 0.81] 0.00 [0.00, 0.19] 0.00 [0.00, 0.00] ※1 P=0.032 中央値 [最小値,最大値] ※1

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13 3-3-2-3.正解がエリア 3 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 正解がエリア3 に存在する「副作用の症状」に関する質問への解答時のエリア別停留 割合の中央値を表9 に示す。 正解記載箇所であるエリア3 への停留割合の中央値は、A 群の正解者 4 名が 0.69、B 群の正解者6 名が 0.80 であり、どちらの群でもエリア 3 に視線がより長く停留する傾 向が見られた。また、不正解者においても両群ともにエリア3 に視線が集中する傾向に あった(A 群不正解者 6 名 0.40、B 群不正解者 3 名 1.00)。 表 9.正解がエリア 3 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 エリア 1 エリア 2 エリア 3 エリア 4 その他 正解者 N = 4 0.00 [0.00, 0.03] 0.09 [0.00, 0.64] 0.69 [0.32, 1.00] 0.00 [0.00, 0.23] 0.02 [0.00, 0.18] A 群 不正解者 N = 6 0.07 [0.00, 0.27] 0.24 [0.04, 0.87] 0.40 [0.07, 0.76] 0.00 [0.00, 0.65] 0.00 [0.00, 0.19] 正解者 N = 6 0.00 [0.00, 0.04] 0.06 [0.00, 0.20] 0.80 [0.14, 0.96] 0.04 [0.00, 0.86] 0.02 [0.00, 0.18] 副作用の症状 B 群 不正解者 N = 3 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.32] 1.00 [0.68, 1.00] 0.00 [0.00, 0.00] 0.00 [0.00, 0.00] 中央値 [最小値,最大値]

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14 3-3-2-4.正解がエリア 4 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 正解がエリア4 に存在する「用量を超えた場合の対処」に関する質問への解答時のエ リア別停留割合の中央値を表10 に示す。 エリア別停留割合の中央値は、正解者及び不正解者に関わらず両群ともに正解記載箇 所であるエリア4 には停留が少ない傾向が見られた。 A 群では、エリア 4 の直前にあるエリア 3 への停留割合の中央値が最も高く、正解者 8 名が 0.35、不正解者 2 名が 0.89(内訳:0.81 及び 0.97)であり、不正解者の方が正 解者よりもエリア3 により停留する傾向があった(P=0.037)。一方、B 群ではエリア 3 よりエリア2 においてより長い傾向が見られた。B 群正解者 7 名のエリア別停留割合の 中央値はエリア2 が 0.29、エリア 3 が 0.24 であり、B 群不正解者 2 名のうち、1 名は エリア2 への停留割合が最も高く 0.85 であり、もう 1 名のエリア別停留割合はエリア 1 に 0.49、エリア 3 に 0.41 と、エリア 1 及びエリア 3 へと視線が分散した。 表 10.正解がエリア 4 に存在する質問への解答時のエリア別停留割合 エリア 1 エリア 2 エリア 3 エリア 4 その他 正解者 N = 8 0.08 [0.00, 0.39] 0.12 [0.05, 0.46] 0.35 [0.08, 0.72] 0.19 [0.00, 0.78] 0.02 [0.00, 0.23] A 群 不正解者 N = 2 0.00 [0.00, 0.00] 0.10 [0.00, 0.19] 0.89 [0.81, 0.97] 0.01 [0.00, 0.03] 0.00 [0.00, 0.00] 正解者 N = 7 0.08 [0.00, 0.36] 0.29 [0.17, 0.90] 0.24 [0.07, 0.48] 0.04 [0.00, 0.38] 0.05 [0.00, 0.46] 用量を超えた 場合の対処 B 群 不正解者 N = 2 0.25 [0.00, 0.49] 0.45 [0.05, 0.85] 0.28 [0.15, 0.41] 0.02 [0.00, 0.05] 0.00 [0.00, 0.00] ※1 P=0.037 中央値 [最小値,最大値] ※1

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15 3-4.調査時間 理解度調査時間(平均±SD)は、A 群 5 分 35 秒±1 分 36 秒、B 群 6 分 20 秒±1 分 18 秒であり、両群の比較において統計学的に有意な差は見られなかった。 また、表11 に示した各エリアの内容を問う質問に対する解答検索時間(平均±SD) に関しても、全ての項目で両群間に統計学的に有意な差は見られなかった。 表 11.各質問における解答検索時間の平均 秒±SD 3-5.理解度に影響を与える因子に関する生活者の印象 添付文書に使用されている文字の大きさ、難解な用語及びレイアウトに関する質問の 回答を表12 に示す。 表 12. 理解度に影響を与える因子に関する生活者の印象 項目 回答 A 群 N=10 B 群 N=9 小さい(見にくい) 4(40.0) 5(55.6) 普通 5(50.0) 4(44.4) 文字の大きさ 大きい(見やすい) 1(10.0) 0(0.0) ある 3(30.0) 4(44.4) 意味の分からない言葉 ない 7(70.0) 5(55.6) ある 3(30.0) 5(55.6) 答えの書いてある場所 が分かりにくい箇所 ない 7(70.0) 4(44.4) 人数( )% A 群 N=10 B 群 N=9 P 値 エリア1 アレルギー症状のある人の服用 7.9±6.1 10.7±8.0 0.462 白血球の病気の人の服用 10.7±6.8 15.8±10.5 0.253 高齢者の服用 6.5±4.5 6.1±2.4 0.744 妊婦の服用 4.4±2.4 7.0±3.8 0.165 エリア2 のどの痛み・高熱のある場合の対処 12.7±9.2 16.4±10.1 0.369 エリア3 副作用の症状 17.0±9.4 15.7±10.4 0.514 エリア4 用量を超えた場合の対処 12.9±8.0 12.9±7.3 0.935

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16 本調査では、両群で同じ文字サイズおよび文字色の添付文書を使用した。添付文書の 文字の大きさに対し、「小さい(見にくい)」と回答した人はA 群 4 名(40.0%)、B 群 5 名(55.6%)、「普通」と回答した人は A 群 5 名(50.0%)、B 群 4 名(44.4%)、「大 きい(見やすい)」と回答した人はA 群 1 名(10.0%)であった。「小さい(見にくい)」 と回答した人の理解度はA 群 67.9%、B 群 65.7%であり、全体の理解度の平均(A 群 78.6%、B 群 69.8%)と比べ、A 群では 10%弱低下したが、B 群では大きな差はなか った。「普通」又は「大きい(見やすい)」と回答した人の理解度の平均はA 群 85.7%、 B 群 75.0%であり、両群共に全体の理解度より高い傾向が見られた。 添付文書の意味の分からない言葉の有無に関し、「ある」と回答した生活者はA 群で 3 名(30.0%)、B 群で 4 名(44.4%)であった。意味の分からない言葉があると回答 した生活者の理解度はA 群 81.0%、B 群 67.9%であり、全体の理解度とほぼ同じであ った。意味の分からない言葉の主な回答(複数回答可)は、「H2ブロッカー薬」と「フ ァモチジン」であった。 答えの書いてある場所が分かりにくい箇所の有無に関し、「ある」と回答した生活者 はA 群 3 名(30.0%)、B 群 5 名(55.6%)であった。7 項目の質問のうち、「白血球の 病気の人の服用」の解答記載箇所が分かりにくいと回答した人が4 名(A 群 2 名、B 群 2 名)、「アレルギー症状のある人の服用」の解答記載箇所が分かりにくいと回答した人 がA 群 1 名であり、どちらの項目も両群のレイアウトが同じであるエリア 1 に関する 質問であった。答えの書いてある場所が分かりにくい理由としては、「箇条書きの文章 が横に長く、答えを探しにくい」「長い文章が分かりにくい」など、1 行あたりの文字 数が多い点が挙げられた。 3-6.「使用上の注意」の内容の難易度及びインタビュー調査のし易さ 「使用上の注意」の内容の難易度及びインタビュー調査のし易さを表13 に示す。イ ンタビュー調査の質問の難易度については 60%以上の対象者は「簡単」又は「普通」 と回答し、「インタビュー調査で答えづらいことがあったか」という質問に対し、対象 者の 80%以上は「無かった」と回答した。調査時間については、全ての対象者が「短 い(苦にならない)」又は「普通(ちょうどよい)」であった。

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17 表 13. 「使用上の注意」の内容及び質問の難易度 項目 回答 A 群 N=10 B 群 N=9 簡単(分かりやすい) 2(20.0) 1(11.1) 普通 6(60.0) 5(55.6) 質問内容の難易度 難しい(分かりにくい) 2(20.0) 3(33.3) 無かった 8(80.0) 8(88.9) 少しあった 2(20.0) 1(11.1) インタビュー式の調査による 答えにくさ 大いにあった 0(0.0) 0(0.0) 短い(苦にならない) 4(40.0) 4(44.4) 普通(ちょうどよい) 6(60.0) 5(55.6) 調査時間 長い(退屈だった) 0(0.0) 0(0.0) 人数( )% 3-7.EMR の装着に関する質問 「EMR を装着した調査で答えづらいことはあったか」という質問に対し、「無かった」 と回答した人はA 群 8 名(80.0%)、B 群 7 名(77.8%)、「少しあった」と回答した人はA 群2 名(20.0%)、B 群1名(11.1%)、「大いにあった」と回答した人は A 群 0 名(0.0%)、 B 群 1 名(11.1%)であり、対象者の約 80%が「無かった」と回答した。 「少しあった」又は「大いにあった」と回答した4 名中 3 名が、EMR の装着によって 頭部の動きが妨げられることを理由として挙げていた。EMR で目に近赤外線を照射す ることによる頭痛などの身体的な問題点は挙げられていなかった。

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4.考察

今回、先行研究7)でレイアウト等が理解度の低下に影響している可能性が示唆された 領域についてレイアウトを変更し、文字サイズ、文字色は同じ添付文書を用いて理解度 調査を行い、レイアウトの変更による理解度への影響を評価した。加えて、EMR を用 いて調査中の対象者の視線の停留及び軌跡を測定することにより、レイアウトの変更並 びに理解度との関連性の評価を、より客観的・定量的に行えるかについても検討した。 本調査の全体の理解度はA 群 78.6%、B 群 69.8%であり、B 群に比べ A 群で高かっ たが、統計学的な有意差は認められなかった。レイアウトが同じであるエリア1 に関す る4 つの質問の理解度の平均は A 群 87.5%、B 群 72.2%であり、B 群に比べて A 群で 15%以上高かったが、これも統計学的に有意ではなかった。エリア 1 に関する 4 つの 質問のうち、有意差が認められた項目は、「アレルギー症状のある人の服用」に関する 質問のみであり、その理解度はA 群 100.0%、B 群 55.6%であった(P=0.033)。EMR の測定では、この質問に全員が正解したA 群では正解が記載されているエリア 1 に視 線が集中する傾向にあり、B 群の正解者 5 名でも同様の傾向であった。しかし、B 群の 不正解者4 名はエリア 2 及びエリア 3 へと視線が分散していた。この質問には「発疹」 という用語が含まれていたが、「発疹」はエリア1 だけでなく、エリア 2 及びエリア 3 にも記載されていた。従ってB 群では、レイアウトの変更によってエリア 2 及びエリ ア3 に目が向くようになり、対象者の視線がこれらのエリアに集中したことによって正 解できなかった可能性が考えられる。 B 群の添付文書について改行や余白などレイアウトを変更したエリア 2、3、4 に関す る3 つの質問の理解度の平均は A 群 66.7%、B 群 66.7%であり、両群に差は認められ なかった。エリア 2、3、4 に関する 3 つの質問のうち、統計学的に有意な差は認めら れなかったものの、B 群に比べ A 群の理解度が 20%以上高かった項目はエリア 2 の「の どの痛み・高熱のある場合の対処」に関する質問であった(A 群:80.0%、B 群 55.6%)。 どちらの群でも、正解者は正解記載箇所であるエリア2 へと視線が集中する傾向があっ た。しかし、不正解者ではエリア1 からエリア 3 の間に視線が分散し、両群で同様の傾 向が見られた。この質問と関連する「のど」「熱」等の用語は、エリア 2 だけでなくエ リア1 及びエリア 3 にも記載されていたため、不正解者は、エリア 1 やエリア 3 に視 線が停留し、正解できなかった可能性があると考えられる。B 群では正解の記載されて いるエリア2 が改行されて見やすくなっているにもかかわらず、A 群よりも理解度が低 かっただけでなく、不正解者のエリア2 への停留割合も A 群より低かった。これらの ことは、レイアウトの変更により用語が見やすくなっただけでは視線の集中や理解度の

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19 向上には繋がらない場合もあることを意味している。一方、エリア3 の「副作用の症状」 に関する質問では、A 群に比べ B 群の理解度が 20%以上高かった(A 群:40%、B 群: 66.7%)。どちらの群でも、正解者は正解記載箇所であるエリア 3 に視線が集中する傾 向にあった。不正解者では、A 群についてはエリア 3 だけでなくエリア 2 にも視線が停 留する傾向にあったが、B 群ではエリア 3 に視線が集中していた。レイアウトを変更し ていないA 群に対し、2 つの表の間に余白を空けてレイアウトを変更した B 群の方が 理解度が高く、レイアウトの変更によって正解に対応しているエリアに視線が集まり、 理解度が向上する可能性が考えられた。しかし、エリア3 へ視線が集中しているにも関 わらず正解できない対象者も存在し、レイアウトの変更で視線は集められても、言葉の 問題で理解されていない可能性もある。このように、EMR で視線の状態を測定するこ とによって、レイアウトの問題であるのか、言葉や表現の難易度の問題であるのかの検 討に有用な情報を得られる可能性がある。 エリア1~エリア 3 に関する質問では両群共に、正解者は正解記載箇所のエリアに視 線が集中する傾向が見られたが、エリア4 の「用量を超えた場合の対処」に関する質問 においては、両群ともに正解者であっても正解記載箇所のエリア4 へほとんど停留して いないという結果となった。これは、どちらの添付文書でも、エリア4 と直前のエリア 3 との境界線が分かりづらく、また、エリア 4 が他のエリアに比べて非常に狭かったた めに、エリア4 とエリア 3 を分けて視線を測定することが困難であったと推測される。 このことは、EMR の測定の限界であり、今後の調査では、EMR の解析に支障をきた すことのない、適切な添付文書のエリア設定が必要であると思われる。「用量を超えた 場合の対処」に関する質問の模範解答は「服用を中止し、医師又は薬剤師に相談する」 であるが、「中止する」「相談する」の両方が解答できて「完全正解」、どちらか一方を 解答できた場合を「部分正解」とした。今回、「部分正解」の判定を受けた対象者が A 群で 20.0%、B 群で 44.4%存在した。「中止した後に相談する」という注意に関して、 「中止」と「相談」の両方を理解できるような表現を工夫する必要があると考える。 添付文書一読時において、両群のエリア別停留割合及び逆行数の中央値に差は見られ なかったが、両群共にエリア1 への停留割合及び逆行数が他のエリアに比べ、多い傾向 が見られた。エリア1 は文字も多く、また 1 行の文章が長いものもあるため逆行数が多 くなったと考えられる。 今回の調査では、「文字が小さい(見にくい)」と回答した対象者はA 群 4 名(40.0%)、 B 群 5 名(55.6%)存在した。視野カメラの映像内に添付文書の全体が映る位置まで対

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20 象者から添付文書を遠ざけた状態(約30cm 離す)で調査したため、通常よりは文字を 小さく感じた可能性がある。両群の添付文書で使われている文字の大きさは全く同じで あったが、文字が小さいと感じている対象者について理解度が低下する傾向が見られた ことから、EMR を用いた試験の結果を評価する際に留意すべき事項と考える。また解 答の記載箇所が分かりにくかった部分についての質問に対して、一行あたりの文字数が 多すぎるという意見が挙がっていた。添付文書を2 段組みにするなど、一行あたりの文 字数を減らすことによって生活者による理解度が向上する可能性が考えられるため、添 付文書の 2 段組みの有無による理解度への影響についても検討する必要があると考え る。

5.結論

本調査により、添付文書のレイアウトの変更が理解度の向上をもたらす場合ともたら さない場合があることが明らかとなった。また、EMR によって視線のエリアへの停留 を評価することにより、正解者は正解が記載されているエリアに視線が停留する傾向に あること、類似用語が存在すると視線は分散し不正解者が増える可能性があること、レ イアウトの変更が視線を集中させず分散させる可能性もあること、などが明らかになっ た。意匠工学的な変更を行った場合の影響を理解度だけでなくEMR により視線の状態 を測定し評価することによって、変更の影響をより客観的に評価できる可能性があると 考える。

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21 【引用文献】 1) 宇佐美孝, 橋口正行, 望月眞弓.医療機関受診前の一般用医薬品の使用実態に関する調査研究 (1).医薬品情報学2005 ;7:208-209. 2) 齋藤充, 宇佐美孝, 橋口正行, 末永美由紀, 望月眞弓.医療機関受診前の一般用医薬品の使用 実態に関する調査研究~消化器症状、頭痛での検討~.医薬品情報学2007 ;9: 184-189. 3) 厚生労働省.新医薬品産業ビジョン~イノベーションを担う国際競争力のある産業を目指し て~.平成19 年 8 月 30 日. 4) 日本 OTC 医薬品協会.OTC 医薬品産業 活性化ビジョン.2009 5) 金子梨沙.平成 22 年度 慶應義塾大学大学院薬学研究科 修士論文 一般用医薬品の添付文 書理解度調査法の開発 第 1 章 調査法に関する検討~アンケート調査とインタビュー調査の 比較~ 6) 金子梨沙.平成 22 年度 慶應義塾大学大学院薬学研究科 修士論文 一般用医薬品の添付文 書理解度調査法の開発 第2 章 インタビュー調査員の教育法の確立 7) 金子梨沙.平成 22 年度 慶應義塾大学大学院薬学研究科 修士論文 一般用医薬品の添付文 書理解度調査法の開発 第3 章 開発した理解度調査法の検証 8) 保坂藍.平成 23 年度 慶應義塾大学薬学科 卒業論文 一般用医薬品の添付文書の理解度調 査法に関する研究

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添付文書 A 添付文書 B エリア 2 「相談すること 1」 添付文書 B のみ改行 エリア 3 「相談すること 2(1)」 添付文書 B のみ 表の間を空ける エリア 4 「相談すること 1(2)・3」 添付文書 B のみ余白 エリア 1 「してはいけないこと」 レイアウト同じ Appendix1

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第 1 類 医 薬 品 H2ブ ロ ッ カ ー 胃 腸 薬 一 般 用 日 本 薬 局 方 フ ァ モ チ ジ ン 錠 し て は い け な い こ と (守らないと現在の状況が悪化したり、副作用が起こりやすくなります) 1.次の人は服用しないでください (1)ファモチジン等の H2ブロッカー薬によりアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、のど・まぶた・口唇等のは れ)を起こしたことがある人。 (2)医療機関で次の病気の治療や医薬品の投与を受けている人。 血液の病気、腎臓・肝臓の病気、心臓の病気、胃・十二指腸の病気、喘息・リウマチ等の免疫系の病気、ステロイド 剤、抗生物質、抗がん剤、アゾール系抗真菌剤 (白血球減少、血小板減少等を起こすことがあります。) (腎臓・肝臓の病気を持っている場合には、薬の排泄が遅れて作用が強くあらわれることがあります。) (心筋梗塞・弁膜症・心筋症等の心臓の病気を持っている場合には、心電図硫黄を伴う脈のみだれがあらわれることがありま す。) (胃・十二指腸の病気の治療を受けている人は、ファモチジンや類似の薬が処方されている可能性が高いので、重複服用に気をつ ける必要があります。) (アゾール系抗真菌剤の吸収が低下して効果が減弱します。) (3)医師から赤血球数が少ない(貧血)、血小板数が少ない(血が止まりにくい、血が出やすい)、白血球数が少ない等の 血液異常を指摘されたことがある人。 (本剤が引き金となって再び血液異常を引き起こす可能性があります。) (4)小児(15 歳未満)及び高齢者(80 歳以上)。 (5)妊婦又は妊娠していると思われる婦人並びに授乳婦。 2.本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないでください 他の胃腸薬 相 談 す る こ と 1.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください ( 1) 医 師 の 治 療 を 受 け て い る 人 又 は 他 の 医 薬 品 を 服 用 し て い る 人 。( 2) 本 人 又 は 家 族 が ア レ ル ギ ー 体 質 の 人 。( 3) 薬 に よ りアレルギー症状を起こしたことがある人。(4)高齢者(65 歳以上)。(一般に高齢者は、生理機能が低下していることがあり ます。)(5)次の症状のある人。のどの痛み、咳及び高熱 (これらの症状のある人は、重篤な感染症の疑いがあり、血球数減少 等の血液異常が認められることがあります。服用前にこのような症状があると、本剤の服用によって症状が増悪し、また、本剤の副 作用に気づくのが遅れることがあります。)原因不明の体重減少、持続性の腹痛(他の病気が原因であることがあります。) 2.次の場合は、直ちに服用を中止し、この添付文書を持って医師又は薬剤師に相談してください (1)服用後、次の症状があらわれた場合。 関係部位 症 状 皮ふ 発疹・発赤、かゆみ、はれ 循環器 脈のみだれ 精神神経系 気がとおくなる感じ、ひきつけ(けいれん) その他 気分が悪くなったり、だるくなったり、発熱してのどが痛いなど体調異常があらわれる。 まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けてください。 症状の名称 症 状 ショック (アナフィラキシー) 服用後すぐにじんましん、浮腫、胸苦しさ等とともに、顔色が青白くなり、手足が冷たくなり、 冷や汗、息苦しさ等があらわれる。 皮膚粘膜眼症候群 (スティーブンス・ジョンソン症候群) 中毒性表皮壊死症 (ライエル症候群) 高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水ぶくれ等の激しい症状が、全身の皮ふ、口や目の粘膜に あらわれる。 横紋筋融解症 手足やからだの筋肉が痛んだりこわばったりする、尿の色が赤褐色になる。 肝機能障害 全身のだるさ、黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。 腎機能障害 発熱、発疹、全身のむくみ、血尿、全身のだるさ、関節痛(節々が痛む)、下痢等があらわれる。 血液障害 のどの痛み、発熱、全身のだるさ、顔やまぶたのうらが白っぽくなる、出血しやすくなる(歯茎 の出血、鼻血等)、青あざができる(押しても色が消えない)等があらわれる。 (2)誤って定められた用量を超えて服用してしまった場合。 3.次の症状があらわれることがありますので、このような症状の継続又は増強がみられた場合には、服用を中止し、医師又は 薬剤師 相談してください。 便秘、軟便、下痢、口のかわき

ケイオー10

使用上の注意

Appendix2

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第 1 類 医 薬 品 H2ブ ロ ッ カ ー 胃 腸 薬 一 般 用 日 本 薬 局 方 フ ァ モ チ ジ ン 錠 し て は い け な い こ と (守らないと現在の状況が悪化したり、副作用が起こりやすくなります) 1.次の人は服用しないでください (1)ファモチジン等の H2ブロッカー薬によりアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、のど・まぶた・口唇等のはれ) を起こしたことがある人。 (2)医療機関で次の病気の治療や医薬品の投与を受けている人。 血液の病気、腎臓・肝臓の病気、心臓の病気、胃・十二指腸の病気、喘息・リウマチ等の免疫系の病気、ステロイド剤、 抗生物質、抗がん剤、アゾール系抗真菌剤 (白血球減少、血小板減少等を起こすことがあります。) (腎臓・肝臓の病気を持っている場合には、薬の排泄が遅れて作用が強くあらわれることがあります。) (心筋梗塞・弁膜症・心筋症等の心臓の病気を持っている場合には、心電図硫黄を伴う脈のみだれがあらわれることがあります。) (胃・十二指腸の病気の治療を受けている人は、ファモチジンや類似の薬が処方されている可能性が高いので、重複服用に気をつけ る必要があります。) (アゾール系抗真菌剤の吸収が低下して効果が減弱します。) (3)医師から赤血球数が少ない(貧血)、血小板数が少ない(血が止まりにくい、血が出やすい)、白血球数が少ない等の血液 異常を指摘されたことがある人。 (本剤が引き金となって再び血液異常を引き起こす可能性があります。) (4)小児(15 歳未満)及び高齢者(80 歳以上)。 (5)妊婦又は妊娠していると思われる婦人並びに授乳婦。 2.本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないでください 他の胃腸薬 相 談 す る こ と 1.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください (1)医師の治療を受けている人又は他の医薬品を服用している人。 (2)本人又は家族がアレルギー体質の人。 (3)薬によりアレルギー症状を起こしたことがある人。 (4)高齢者(65 歳以上)。 (一般に高齢者は、生理機能が低下していることがあります。) (5)次の症状のある人。 のどの痛み、咳及び高熱 (これらの症状のある人は、重篤な感染症の疑いがあり、血球数減少等の血液異常が認められることがあります。服用前にこのよう な症状があると、本剤の服用によって症状が増悪し、また、本剤の副作用に気づくのが遅れることがあります。) 原因不明の体重減少、持続性の腹痛 (他の病気が原因であることがあります。) 2.次の場合は、直ちに服用を中止し、この添付文書を持って医師又は薬剤師に相談してください (1)服用後、次の症状があらわれた場合。 関係部位 症 状 皮ふ 発疹・発赤、かゆみ、はれ 循環器 脈のみだれ 精神神経系 気がとおくなる感じ、ひきつけ(けいれん) その他 気分が悪くなったり、だるくなったり、発熱してのどが痛いなど体調異常があらわれる。 まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けてください。 症状の名称 症 状 ショック (アナフィラキシー) 服用後すぐにじんましん、浮腫、胸苦しさ等とともに、顔色が青白くなり、手足が冷たくなり、 冷や汗、息苦しさ等があらわれる。 皮膚粘膜眼症候群 (スティーブンス・ジョンソン症候群) 中毒性表皮壊死症 (ライエル症候群) 高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水ぶくれ等の激しい症状が、全身の皮ふ、口や目の粘膜に あらわれる。 横紋筋融解症 手足やからだの筋肉が痛んだりこわばったりする、尿の色が赤褐色になる。 肝機能障害 全身のだるさ、黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。 腎機能障害 発熱、発疹、全身のむくみ、血尿、全身のだるさ、関節痛(節々が痛む)、下痢等があらわれる。 血液障害 のどの痛み、発熱、全身のだるさ、顔やまぶたのうらが白っぽくなる、出血しやすくなる(歯茎 の出血、鼻血等)、青あざができる(押しても色が消えない)等があらわれる。 (2)誤って定められた用量を超えて服用してしまった場合。 3.次の症状があらわれることがありますので、このような症状の継続又は増強がみられた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤 師 相談してください。 便秘、軟便、下痢、口のかわき

ケイオー10

使用上の注意

Appendix3

参照

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