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Microsoft Word - 【最終】被告第8準備書面(1号要件) 

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平 成 2 8 年 ( 行 ケ ) 第 3 号 地 方 自 治 法 第 2 5 1 条 の 7 第 1 項 の 規 定 に 基 づ く 不 作 為 の 違 法 確 認 請 求 事 件 原 告 国 土 交 通 大 臣 石 井 啓 一 被 告 沖 縄 県 知 事 翁 長 雄 志

第 8 準 備 書 面

平 成 28 年 8 月 4 日 福 岡 高 等 裁 判 所 那 覇 支 部 民 事 部 Ⅱ B 係 御 中 被 告 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 竹 下 勇 夫 同 加 藤 裕 同 松 永 和 宏 同 久 保 以 明 同 仲 西 孝 浩 同 秀 浦 由 紀 子 同 亀 山 聡

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被告指定代理人 謝 花 喜一郎 池 田 竹 州 金 城 典 和 城 間 正 彦 玉 寄 秀 人 新 垣 耕 神 元 愛 城 間 恒 司 山 城 智 一 川 満 健太郎 山 城 正 也 大 城 和華子 島 袋 均 桃 原 聡 奥 平 勝 昭 吉 元 徹 成 宮 城 勇 治

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永 山 正 多良間 一 弘 中 村 猛 當 銘 勇 太 矢 野 慎太郎 桑 江 隆 知 念 宏 忠 崎 枝 正 輝 神 谷 大二郎 具志堅 洋 介

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目次

第1 1号要件の意義と要件認定権者 ... 6 1 「国土利用上適正且合理的ナルコト」の意義 ... 6 (1) 埋立てより得られる価値と失われる価値の比較衡量という総合 的判断であること ... 6 (2) 公有水面埋立法の免許・承認要件適合性の判断は、埋立自体及び 埋立地の用途・埋立後の土地利用を対象になされること ... 8 (3) 要件認定権者による諸価値の総合調整の判断であること ... 10 (4) 当該地域に即して、当該地域の国土利用として適正且つ合理的で あるか否かが判断されなければならないこと ... 12 (5) 小括 ... 15 2 公 水 法 の 要 件 適 合 性 判 断 に か か る 都 道 府 県 知 事 の 判 断 を 国 家 機 関 は尊重しなければならないこと ... 16 (1) 公有水面埋立の免許・承認という行政処分が都道県知事の事務と された趣旨 ... 16 (2) 地域環境に関する情報集約の仕組み ... 20 (3) 公水法が都道府県知事を総合調整の判断者としていること ... 23 (4) 免許等に係る判断は自然公物の公用廃止に係る総合的調整判断 で あ り 、 ま た 、 免 許 等 の 結 論 を 導 く 判 断 は 厳 格 に な さ れ る べ き こと ... 25 第2 本件埋立の遂行により損なわれる公益 ... 28 1 沖縄における米軍基地形成の経緯と現状並びに県民世論 ... 28

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2 (1) 米軍基地形成の経緯 ... 29 (2) 沖縄における米軍基地の現状 ... 35 (3) 新基地建設に対する県民世論 ... 40 2 本件埋立対象地の有する環境的価値 ... 41 (1) 自然環境 ... 41 (2) 生活環境等 ... 53 (3) 国又は地方公共団の計画等 ... 54 3 本件埋立ての遂行によって失われる利益 ... 59 (1) 代替性のない希少な自然の喪失という不利益 ... 59 (2) 航空機騒音・低周波音による不利益 ... 126 (3) 生活環境等に関する不利益 ... 138 (4) 地域振興の阻害要因となることによる不利益 ... 140 (5) 沖縄県の過重な米軍基地負担を固定化するという不利益 ... 145 (6) 埋立てによる不利益のまとめ ... 146 第3 埋立てにより損なわれる地域公益を正当化するに足る根拠は認めら れないこと ... 157 1 是正指示理由 ... 157 2 国防・外交に係る埋立事業であっても都道府県知事は埋立による不 利益と正当化しうる公共性・必要性が認められるか否かについて実質的 に判断をしなければならないこと ... 158 (1) 公水法において国防・外交を特権的な公益として位置づける規 定・仕組みは存しないこと ... 158 (2) 駐留軍用地特措法に係る代理署名訴訟最高裁判決を引用した是

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3 正指示理由の誤り ... 163 3 埋 立 て に よ り 生 ず る 著 し い 不 利 益 を 正 当 化 す る に 足 り る 具 体 的 な 根拠は認められないこと ... 167 (1) 埋立ての理由は地域公益を理由とするものであること(埋立承認 が認められないことで海兵隊の機能に変更は生じないこと) ... 167 (2) 普天間飛行場の被害・負担の解決の必要性から直ちに本件埋立承 認出願に係る事業の必要性が導かれるものではないこと ... 168 第4 1号要件について審査基準への適合性判断の誤り ... 177 1 審査基準 ... 177 2 審査項目①について ... 178 (1) 検証結果報告書の第5・3(2) ... 178 (2) 検証結果報告書の第6・11(2) ... 179 3 審査項目③⑤について ... 181 4 審査項目⑦について ... 182 (1) 検証結果報告書の第5・3(2) ... 182 (2) 検証結果報告書の第6・11(2) ... 182 第5 本件埋立承認出願が本件埋立承認時において1 号要件を充足してい な か っ た と 認 め た も の で あ り 、 こ の 現 沖 縄 県 知事 の 判 断 に 要 件 裁 量の逸 脱・濫用は認められないこと ... 183 1 本 件 埋 立 承 認 出 願 が 承 認 時 に お い て 1 号 要 件 を 充 足 し て い な か っ たと認められること ... 184 2 公 水 法 の 要 件 適 合 性 判 断 に つ い て の 現 沖 縄 県 知 事 の 要 件 裁 量 に 逸 脱・濫用はないこと ... 187

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4 第6 本件埋立承認取消に至る経緯 ... 187 1 概略 ... 187 2 環境影響評価手続 ... 189 (1) 方法書 ... 189 (2) 準備書 ... 192 (3) 環境影響評価書 ... 193 (4) 補正評価書 ... 200 2 本件埋立承認に至る経緯 ... 200 (1) 本件埋立承認出願 ... 200 (2) 環境生活部長への意見照会 ... 200 (3) 本件埋立承認の前月になされた中間報告 ... 202 (4) 公水法第3条4項1項及び同条4項に基づく名護市長意見 ... 202 (5) 環境生活部長意見 ... 202 (6) 概算要求を上回る沖縄振興関係予算の増額の合意 ... 203 (7) 前沖縄県知事による年内判断の指示 ... 203 (8) 前沖縄県知事と安倍総理との面談 ... 204 (9) 本件埋立承認 ... 204 5 本 件 埋 立 承 認 の 前 の 前 沖 縄 県 知 事 の 言 動 に 関 す る 報 道 や 前 知 事 の 県議会における発言 ... 206 (1) 新聞報道 ... 206 (2) 本件埋立承認前の前沖縄県知事の沖縄県議会における発言 ... 212 6 検証結果報告書が示した審査過程の疑問点 ... 214 (1) 環境生活部長意見提出後の経緯についての疑問点 ... 214

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5 (2) 実質的審査期間についての疑問点 ... 216 7 本件埋立承認取消に至る経緯 ... 216 (1) 本件埋立承認出願が公水法の要件を欠いていたとする抗議 ... 216 (2) 第三者委員会の設置と検証結果報告書の提出 ... 217 (3) 本件埋立承認取消 ... 219 第7 1号要件に係る本件埋立承認の判断過程の不合理性 ... 220 1 本件埋立承認における1号要件(「埋立ての必要性」を含む。)の判 断に係る考慮要素の選択や判断の過程の不合理性 ... 220 (2) 沖縄県における過重な基地負担や基地負担についての格差の固 定化について ... 222 (3) 「埋立ての必要性」について ... 222 (4) 比較衡量、総合的判断の欠如について ... 223 2 1 号要件の判断過程が不合理であったと認められること ... 224 (1) 前沖縄県知事の判断過程に違法の瑕疵が認められたこと ... 224 (2) 現沖縄県知事の判断が不合理ではないこと ... 225

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6 第1 1号要件の意義と要件認定権者 1 「国土利用上適正且合理的ナルコト」の意義 (1) 埋 立 て よ り 得 ら れ る 価 値 と 失 わ れ る 価 値 の 比 較 衡 量 と い う 総合 的判断であること 国土利用計画法第 2条は、国土 利用の基本理念について 、「国土 の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源 であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤である ことにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつ つ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健 康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基 本理念として行うものとする。」と定めている。 「均衡ある発展」を阻害することは、国土利用の基本理念に反す るものであり、「国土利用上適正且合理的」とは言えないこととなる。 また、公有水面を埋め立てて土地を造成することは、他方で、自 然公物を公用廃止することを意味するものである。すなわち、公有 水面は、古来から、航行、漁業やレクリエーションなどの場として 人々に親しまれ、また、国土全域に関わる大気や水などの環境浄化 機能や生態系維持の機能を果たし、公衆の共有資産として、現代の 世代に引き継がれてきた過去から現在まで公衆が自由使用をしてき た共有資産である自然公物を公用廃止するものであり、同意を求め る対象とはされない多様な社会的利益、公衆の自由使用の利益を喪 失させるものであり、当該地域の自然環境、生活環境や産業等に及 ぼす影響が大きく、公共の福祉に反する側面も有するものである。

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7 そこで、これらの異質な諸利益を比較衡量して総合的に判断し、埋 立による不利益を考慮に入れた上でもなお公益に適うと評価される 場合でなければ、当該埋立ては許容されるべきではない。 公水法第4条 1 項(同法第 42 条3項で承認に準用)は、その柱 書において「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト 認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」とし、同項1 号は「国土利用上適正且合理的ナルコト」を定めているが、これは、 異質な諸利益を比較衡量し総合的に判断した上で公益に適合すると 評価されなければならないことを示しているものである。 平成 27 年7月 16 日付けで、第三者委員会が沖縄県知事に提出し た「検証結果報告書」は、1号要件の意義について、「『国土利用上 適正且合理的ナルコト』という要件は,まず,『適正且合理的』とい う用語の意味からすると,その関係する事象を総合的に考慮して, 判断を行うことを意味すると考えられる(中略)その具体的な判断 の仕方であるが,『総合的』な判断をするためには,相対立する利益 が存在する場合に用いられる一般的方法である利益衡量,すなわち 埋立てにより得られる利益と埋立てにより生ずる不利益を比較衡量 して判断すべきものと考えられる。なお,同様な判断方法は,類似 の法律の解釈においても採用されている。例えば,土地収用法の事 業認定の場合である。土地収用法は公共の利益となる事業のために 必要とされる土地を強制的に取得するという制度であり公有水面埋 立法と類似な性格を有する制度である。この土地収用法は,土地収 用手続を行う前提として『事業認定』(土地収用法第 20 条)を要求

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8 しているが,その事業認定の要件として,同法第 20 条第3号は「事 業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」 を要求しているところ,この要件は『その事業に供されることによ って得られるべき公共の利益』と『事業に供されることによって失 われる私的ないし公共の利益』を比較衡量して判断すべきものであ り,そしてこの判断は,『総合的な判断として行われなければならな い。』とされている(小沢道一「逐条解説土地収用法・上」・第二次 改訂版・335 頁以下)。このような見解は,多数の判例,学説により 支持されており,特に反対する考え方はない。また,法第4条第1 項第1号について,「国土利用上公益に合致する適正なものであるこ とを趣旨とするものであり」,免許権者は,「国土利用上の観点から の当該埋立の必要性及び公共性の高さと,当該自然海浜の保全の重 要性あるいは 当該埋立自体及び埋立後の土地利用が周囲の自然環 境に及ぼす影響等とを比較衡量のうえ,諸般の事情を斟酌」するも のと判示した判例が存在する(高松高裁平成6年6月 24 日判決・ 判例タイムス・851 号 80 頁)」としている。 (2) 公有水面埋立法の免許・承認要件適合性の判断は、埋立自体及 び埋立地の用途・埋立後の土地利用を対象になされること ア 公水法第4条1項3号は「埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保 全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計 画ニ違背セザルコ ト」 を、同項4号は「埋立地ノ用途ニ照シ公 共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト」を免許・承認の要件として おり、公水法は、 埋立自体のみ ならず、「埋立地ノ用途」をも対

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9 象とし、公有水面の埋立ての可否を判断するものとしている。 願書の記載事項や添付書類については、公水法第2条2項3号 は願書に「埋立地ノ用途」を記載することを要するとし(同法2 条2項3号)。また、公有水面埋立法施行規則は、「埋立地の用途 及び利用計画の概要を表示した図面」(同規則3条7号)、及び「環 境保全に関し講じ る措置を記載 した図書」(同規則8号 )を添付 することを要するものとしている。この「環境保全に関し講じる 措置を記載した図 書」は、「 埋立て 及び埋立地の用途に関する環 境 影 響 評 価 に 関 す る 資 料 を 含 む 環 境 保 全 措 置 を 記 載 し た 図 書 で あること」とされ る(「公有 水面埋 立法の一部改正について」昭 和 49 年6月 14 日港湾局長・河川局長発:以下,「共同通知」と いう。)。これは、埋立の用途や埋立後の土地利用が、免許・承認 の対象であることを示しているものに他ならない。 イ そして、1号要件(国土利用上適正且合理的ナルコト)は、前 述のとおり、埋立てによって得られる価値と失われる価値を比較 衡量して総合的に判断されるものであるが、埋立ての必要性、公 共性の程度は、埋立後にどのように土地利用がなされるかによっ て定まるものであるから、埋立の用途・埋立後の土地利用が1号 要件の内容となる ことは当然で ある。共同通知は、「国土利用上 適正かつ合理的な ることについ て(法第4条第1項第1号関係) 埋 立 て そ の も の 及 び 埋 立 地 の 用 途 が 国 土 利 用 上 適 正 か つ 合 理 的 であるかどうかにつき慎重に審査すること」としている。 ウ 公水法は、戦前の大日本帝国憲法下において大正 10 年に制定

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10 されたものである が、「埋立 地の造 成、あるいはその利用によっ て自然環境に悪影響をもたらしたという批判もありました。昭和 40 年代、このような環境保全上の問題、無願埋立、埋立地をめぐ る利権化等の問題が、大きくクローズアップされました。このた め、昭和 48 年9月『公有水面埋立法』が大幅改正されるととも に、公害防止関係諸法も成立しました。この結果、昭和 48 年改 正以後の『公有水面埋立法』を新法、以前を旧法と俗称されるな ど、公有水面埋立行政は大きく変貌することになりました」(「国 土交通省港湾局埋立研究会編「公有水面埋立実務便覧 全訂二版」 全訂二版の刊行にあたって)とされているように、昭和 48 年改 正後においては、埋立後の土地利用による環境等への悪影響から の保護が、公水法の重要な役割となったものであるから、埋立の 用途・埋立後の土地利用による環境等への悪影響は、1号要件の 判断において、埋立により失われる価値として重い位置づけを有 するものと公水法自 体によって位置づけられているも のである。 (3) 要件認定権者による諸価値の総合調整の判断であること 「国土利用上適正且合理的ナルコト」という要件の判断は、埋立 てにより得られる価値と失われる価値という異質な諸利益の総合的 判断としてなされることになるが、そのままでは比較が困難な異質 な利益をどのように重みづけをするのかについては、要件の認定権 者が、現行の法体系の下で社会に普遍的に受け入れられた価値の優 先順位を探求して行うことになる。 土地収用法第 20 条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な

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11 利用に寄与するものであること」に関するものであるが、東京地方 裁判所平成 16 年4月 22 日判決は「さまざまな性質を異にする利益 を比較衡量という手法を使って勘案するに当たり、結局のところど のような価値を最も重視すべきかということについては、現行の法 体系の下で社会に普遍的に受け入れられた価値の優先順位を探求す る必要が生じるのであり、そのような場面で作用するのが事業認定 庁に認められた裁量であるというべきである。イ 判断の手法とそ の限界 以上のような事業認定庁の裁量に基づく判断は、比較衡量 を行うに当たって当然に考慮すべき要素(上記のように現行の法体 系の下で社会に普遍的に受け入れられている諸価値)を考慮した上 で行われるべきものであって、その判断が、事業認定庁に与えられ た裁量の趣旨からして本来考慮すべきでない要素を過大に重視し、 また、本来考慮すべき要素を不当に軽視し、その結果が判断を左右 したものと認められる場合には、その判断過程には社会通念上看過 することができない過誤欠落があるというべきであり、同判断はと りもなおさず裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとし て、違法となると解するのが相当である」としている。 従って、国土利用計画法第2条が定める「公共の福祉を優先させ、 自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文 化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡 ある発展を図ること」という国土利用の基本理念や昭和 48 年改正 で公水法の重要な役割として位置づけられた環境保護の要請、環境 基本法第1条が定める「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活

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12 の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献」という目的、法の根 本理念たる正義衡平の観念・平等原則、日本国憲法の第 13 条や第 25 条等による人権保障や第 92 条による地方自治の本旨の保障とい った、現行法体系下における普遍的価値を踏まえて、1号要件適合 性の評価がされなければならないものである。 (4) 当該地域に即して、当該地域の国土利用として適正且つ合理的で あるか否かが判断されなければならないこと ア 埋立ての承認・免許という行政処分が都道府県知事の法定受託 事務とされた理由は、当該地域についての総合調整の役割は、国 家機関ではなく都道 府県知事がおこなうべきであるこ とによる。 以下、このことを、国土利用法制・海岸管理法制等に即して述 べる。 国土利用法制や海岸管理法制等については、国の役割は、全国 的な基本方針を定めるにとどまり、当該地域の総合調整の役割は 都道府県が担うものとされている。 第1に、国土利用については、都道府県の土地利用基本計画と の整合性が求めら れる。国の役 割は 、「国土の利用に関する基本 的な事項について全国計画を定める」にとどまる(国土利用計画 法 5 条)。これに対して、国土利用の中心的判断となる土地利用 基本計画は、都道府県が定める(9 条)。都道府県レベルの土地利 用の判断が優先されるからである。 第2に、海岸保全基本計画との整合性も求められる。国の役割 は、「海岸保全区域 等に係る海 岸の保全に関する基本的な方針を

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13 定める」にとどまる(海岸法 2 条の 2 第 1 項)。これに対して、 海岸保全の中心的判断となる海岸保全基本計画は、都道府県が定 める(2 条の 3)。都道府県レベルの海岸保全の判断が優先される からである 第3に、環境基本法に基づいて、各県に属する水域については 都道府県知事が環境基準を定める(環境基本法第 16 条2項2号 ロ)。 第4に、漁業法や農業法といった産業法では規制や監督が都道 府県知事に委ねられているので、埋立事業とこれらの産業との整 合性も求められる。例えば、海岸域の埋立ては、漁業にきわめて 大きな影響を与えるが、埋立てと漁業の調整は都道府県のレベル で行われるのであって、国のレベルで行うことはできない。 以上のように、土地利用や海岸管理の点から、都道府県知事が 総合調整の役割を担うので、埋め立て免許や承認の判断権が知事 に委ねられているものである。かりに、国の公益判断を優越させ る必要がある事業であるとすれば、そのためには、例えば海岸法 6 条所定のような主務大臣の直轄工事に関する規定がなければな らない。公有水面埋立事業については、防衛大臣の直轄事業の規 定はないので、都道府県知事の公益判断に対して防衛大臣・外務 大臣等の公益判断を優越させることはできない。一方、事業者と しての沖縄防衛局が国土利用上の合理性の判断や海岸の保全・防 災等の判断を行いえないことも明らかである。これらに関する事 項は、都道府県知事の総合的な判断に従うべきことになるのであ

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14 る。 以上のように、土地利用や海岸管理等の点から、当該地域につ いての判断は都道府県知事が総合調整の役割を担うので、埋め立 て免許や承認の判断権が知事に委ねられているものであり、国土 交 通 大 臣 で あ っ て も こ の 都 道 府 県 知 事 の 判 断 を 尊 重 し な け れ ば ならないものである。 イ 公有水面の埋立が「国土利用上適正且合理的ナルコト」に該当 するためには、当該対象地域の利用として「適正且合理的」であ ることが必要であると解される。 この点、公有水面は国土の表面の一部をなすものであり、公水 法は国土の利用に係る法であるから、国土の利用に係る先行立法 である土地収用法の解釈運用は参考にされるべきものである。 旧土地収用法(明治 33 年法律第 29 号)は現行法 20 条各号の ような規定は存在せず、第 1 条で単に「公共ノ利益ト為ルヘキ事 業」が収用手続の対象となり得る旨定められていたに止まる。そ こで、事業認定の判断に際しては、申請にかかる事業が「公共ノ 利益ト為ルヘキ」ものと認定し得るかが問題となるが、この点に ついて美濃部達吉は、当該事業が収用手続の適用が可能な種類の 事業に該当することのほか、以下 2 つの要件、すなわち、「第二 に其の収用の目的が公益に適するや否や、第三に其の目的の為め に 特 定 の 起 業 地 に 於 い て 収 用 を 許 す こ と が 公 益 上 適 當 で あ る や 否や」を満たすか を、審査しな ければならないと論じていた 。 つまり、収用事業の目的が公益に適するものであり、また申請に

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15 か か る 当 該 土 地 を 収 用 対 象 地 と す る こ と が 公 益 に 適 す る と い う 条件を満たして初めて、当該事業は「公共ノ利益ト為ルヘキ」と 認定することができるとされたのである。 そこで、以上のような考え方を現行土地収用法 20 条 3 号の規 定に応用するならば、申請にかかる事業を以て「土地の適正且つ 合理的な利用に寄与するものであること」という要件を充足する と認定するには、第1に、当該事業の目的が「土地の適正且つ合 理的な利用に寄与するもの」であると認められること、また第2 に、当該事業の目的を達成するために当該申請にかかる土地を起 業地として収用す ることが、「土地 の適正且つ合理的な利用に寄 与するもの」であると認められることが、必要不可欠であるとい うことになる。 すなわち、当該地域に即して、当該地域の利用として適正且つ 合理的であるか否かが判断されなければならないものである。 公有水面埋立についても、当該地域に即して、当該地域の国土 利 用 と し て 適 正 且 つ 合 理 的 で あ る か 否 か が 判 断 さ れ な け れ ば な らない。 (5) 小括 以上より 、「国土利 用上適正且 合理的ナルコト」とは、埋立自体 及び埋立ての用途・埋立後の土地利用を対象として、得られる利益 と生ずる不利益という異質な諸利益について、現行の法体系の下で 社会に普遍的に受け入れられている諸価値に基づいて比較衡量し、 総合的判断として、前者が後者を優越することを意味するものと解

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16 される。 是正指示理由においても、1 号要件の解釈について、「法4条1項 1号に定める 『国土利用上適正且合理的ナルコト』との要件… は, その文言及び事柄の性質上 ,当該埋立自体及び埋立地の用途が国土 利用上の観点からして適正かつ合理的なものであることを要する趣 旨とするものと解され,免許(承認)権者がこれに該当するか否か を判断するに当たっては,国土利用上の観点からの当該埋立ての必 要性及び公共性の高さと,当該埋立自体及び埋立て後の土地利用が 周囲の自然環境等に及ぼす影響など ,相互に異質な利益を比較衡量 した上,地域の実情などを踏まえ,技術的,政策的見地から総合的 に判断することになる」としている。 2 公 水 法 の 要 件 適 合 性 判 断 に か か る 都 道 府 県 知 事 の 判 断 を 国 家 機 関 は尊重しなければならないこと (1) 公有水面埋立の免許・承認という行政処分が都道県知事の事務と された趣旨 ア 当該地域における行政責任主体であり且つ地域的特性を熟知し た都道府県知事が判断者とされた趣旨 公有水面は、国土の表面の一部をなし、周囲の国土と密接な相 互依存関係を有し、地域社会の利害と深く関わっているものであ る 。海、河川、湖等の公有水面の自然条件は、各地域の自然条 件に即応した固有性を有するものであり、また、地域住民の日常 生 活 や 産 業 活 動 な ど は 公 有 水 面 と 深 く 関 わ り 長 い 年 月 を か け た 営みのなかで地域社会は形成されてきたものであることから、埋

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17 立てを含めた公有水面の適切な利用のあり方は、当該地域の実情 を熟知し、且つ当該地域社会における行政の責任者である都道府 県知事に権限を付与することを通してこそ、より良く確保される と考えられるものである。 公有水面埋立法は、公有水面埋立の免許・承認の権限を都道府 県知事に与えているが、これは、当該公有水面や周辺海域や地域 等 の 自 然 条 件 や 土 地 又 は 海 域 の 利 用 状 況 等 に 即 し た 埋 立 規 制 に ついては、当該地域における行政責任主体であり且つ地域的特性 を熟知した都道府県知事が、「国土利用上適正且合理的ナルコト」、 「 其 ノ 埋 立 ガ 環 境 保 全 及 災 害 防 止 ニ 付 十 分 配 慮 セ ラ レ タ ル モ ノ ナルコト」等の同法4条の要件判断をすることが適当であるとの 立法的判断が示されたものにほかならない。 イ 隣接法分野との比較 以上のような公水法の仕組みは、土地収用法の規定及び都市計 事業に関する都市計画法の規定に比して、際だって特徴的である。 土地収用法は、都道府県知事を事業認定の原則的な認定権限庁 としているが、国又は都道府県が起業者である事業、事業を施行 する土地(以下「 起業地」とい う。)が二以上の都道府県の区域 にわたる事業や一の都道府県の区域を超え、又は道の区域の全部 に わ た り 利 害 の 影 響 を 及 ぼ す 事 業 そ の 他 の 事 業 の う ち 一 定 の 事 業に関しては、国土交通大臣に認定権限を付与している(土地収 用法 17 条 1 項・2 項)。また、都市計画法も、都市計画事業認可 権を原則としては都道府県知事に与えている(都市計画法 59 条 1

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18 項・4 項)が、都道府県が実施する都市計画事業については国土 交通大臣の認可、国の機関が実施する都市計画事業については国 土交通大臣の承認を受けなければならないと定めている(同条 2 項・3 項)。この点で、埋立事業の主体や規模の差違などに関わり なく、地域の実情を熟知した都道府県知事に免許権限を付与して いる公有水面埋立法の定め方は、土地収用法及び都市計画法の規 定と異なっている。 隣接法分野と比較しても、公水法が都道府県知事による権限行 使に重きを置いていることは明らかであり、ほかの国家機関が公 有 水 面 埋 立 に 係 る 都 道 府 県 知 事 の 判 断 を 尊 重 し な け れ ば な ら な いことは明らかである。 ウ 平成 11 年地方自治法改正(地方分権改革)において公有水面 の免許・承認は地方公共団体の事務とされたこと 公水法は、免許・承認の要件適合性判断を都道府県知事が行う とする仕組みを採用しているが(公水法第2条1項・第 42 条1 項)、この都道府県 知事の免許 ・承認は、地方公共団体の事務で ある。 すなわち、地方自治法別表第1に定められた法定受託義務であ るが、「自治事務も 法定受託事 務も等 しく地方公共団体の事務で ある。さらに法定受託事務は、法律の定めによって、国の事務が 地方公共団体の事務とされた、あるいは、地方公共団体が国の事 務 を 受 託 す る こ と を 法 律 上 義 務 付 け ら れ た と い う も の で は な い」 、「自治事務はもとより、法定受託事務も、地方公共団体の

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19 事務である。法定受託事務という名称にもかかわらず、国の事務 が委託の結果、地方公共団体の事務になったと観念されるわけで はない(第1号受託事務の場合。この点で従前の〔団体〕委任事 務と異なる〕。地方 自治法2条 2項の 「地域における事務 であっ ても、自治事務に限られているわけではなく、法定受託事務も含 まれる」 、「『国(又は都道府県)が本来果たすべき役割』に係 るものであっても、法律又はこれに基づく政令により地方公共団 体が処理することとされた事務は、地方公共団体の事務であるこ とにおいては『自治事務』と同じであるということである。 つまり、地方分権一括法による改正後においては、国と地方公 共団体の事務分配の考え方において、地方公共団体の事務につい ては、現に地方公共団体が処理し、又は処理することにされるも のであれば、端的に地方公共団体に属する事務とされたのである」 とされているとおりであり、現行法下において、公有水面埋立て の 免 許 又 は 承 認 が 地 方 公 共 団 体 の 事 務 で あ る こ と 自 体 は 明 ら か である。 平成 11 年地自法改正により、普通地方公共団体は、「地域にお ける事務」を処理すべき団体としての地位を認められた(地方自 治法 2 条 2 項)。そして、事務の分類上法定受託事務に該当する 事務は、当該普通地方公共団体の「地域」に関わりの深い事務と して、当該普通地方公共団体がみずからの責任において遂行すべ き事務とされたものである。平成 11 年改正後の地自法は、第1 条の2第1項・2項で国と地方公共団体間の適切な役割分担を原

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20 則とする規定を置いた上で、第2条 11 項で、地方公共団体に関 する国の法令の規定について、「地方自治の本旨に基づき、かつ、 国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたもので」あるこ とを要求し、また同条 12 項で、当該国の法令の規定の解釈・運 用に当たっても 、「 地方自治の 本旨に基づいて、かつ、国と地方 公共団体との適切 な役割分担を 踏まえ」ることを要求している。 11 項と 12 項では、国の法令の規定及びその解釈運用の両面にわ たって、自治事務と法定受託事務との区別に関わりなく地方公共 団体の自立性を尊重 すべきことが明確化されているも のである。 以上のような平成 11 年改正の地自法の関係規定の趣旨に照ら してみても、公有水面の埋立てについて、地域の実情を熟知した 都 道 府 県 知 事 に 免 許 権 限 を 全 面 的 に 付 与 し た 公 水 法 の 趣 旨 は 適 合的であり、そのような立法者意思は最大限尊重されなければな らないものである。 (2) 地域環境に関する情報集約の仕組み ア 公水法 公水法第4条1項各号の要件の判断は,提出された願書及び他 の添付図書に基づ いて行われ( 同法2条2項、3項)、添付図書 のうちには,環境保全に関し講じる措置を記載した図書(同法2 条3項5号,同法施行規則3条8号)、埋立必要理由書がある。 このうち、前者につ いては 、「い わゆ る環境アセスメント関係 の図書であり,法4条1項1∼3号の審査基準とするためのもの である。①出願人が行った環境影響評価(埋立に関する工事、埋

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21 立そのもの、埋立地の立地施設の3つによる自然的・社会的環境 に対する影響の程度と範囲、その防止策、代替案の比較検討、に 関する事前の予測 と評価)その ものを記載すること」(建設省埋 立行政研究会編著『公有水面埋立実務ハンドブック』27 頁)とさ れている(なお、昭和 49 年6月 14 日港管 1580 号、建設省河政 発第 57 号「公有水面埋立法の一部改正について」1・(5)「「環境 保全に関し講じる措置を記載した図書」とは、埋立て及び埋立地 の 用 途 に 関 す る 環 境 影 響 評 価 に 関 す る 資 料 を 含 む 環 境 保 全 措 置 を記載した図書」)。 本件に即して言えば、環境影響評価法に基づく環境影響評価手 続、沖縄県環境影響評価条例に基づく環境影響評価手続において 作成された図書であり、これらに基づいて作成された「環境保全 に関し講じる措置を記載した図書」により公水法4条1項各号の 要件は判断されることとなる(特に公水法4条1項2号要件につ いては評価法 33 条3項により、評価法 24 条の免許等権者意見と 評価書の記載事項に基づいて審査を行う必要がある。)。 イ 環境影響評価法 環境影響評価法に基 づく環境 影響評価に おいては、事業者は 、 方法書、準備書を「対象事業に係る環境影響を受ける範囲である と認められる地域 を管轄する都道府県知事及び市町村長」に送 付するとされ(環境影響評価法6条1項、15 条:15 条では、「関 係地域」と定義される:以下、本項における条文の摘示は、断ら ない限り、全て環 境影響評価法 )、 また、公告とともに、かかる

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22 地域内において方法書、準備書、評価書を縦覧に供し(7条、16 条、27 条)、準備書については説明会を開催し(17 条)、方法書 によせられた意見(8条1項)、準備書に寄せられた意見(18 条 1項)の概要及び準備書によせられた意見についてはそれに対す る事業者の見解を、上記地域を管轄する都道府県知事及び市町村 長に送付する(9条、19 条)。 都道府県知事は、この意見及び、準備書については事業者の見 解に配意し(10 条3項、20 条3項)、また、市町村長の意見を勘 案して(10 条3項、20 条3項)、方法書、準備書に対する意見を 述べる(10 条1項、20 条1項)。 事業者は、環境影響評価手続の手法の選定、実施にあたっては、 方法書に対する都道府県知事等の意見を勘案し、方法書によせら れた意見に配意しなければならず(11 条1項、12 条)、評価書作 成にあたっては、準備書に対する都道府県知事等の意見を勘案し、 準備書によせられた意見に配意しなければならない(21 条1項)。 これらの手続きを経て、評価書に対しては、免許権者等が意見 を述べ(24 条)、事業者は、これを勘案して評価書の修正が必要 であれば補正等を行うものとされ(25 条1項)、このようにして 作 成 さ れ た 評 価 書 の 記 載 さ れ て い る と こ ろ に よ り 環 境 の 保 全 に 適正な配慮をすることが要求される(38 条)。 また、対象事業の免許等については、免許等権者は、評価書の 記 載 事 項 及 び 評 価 書 に 対 す る 知 事 意 見 に 基 づ い て 環 境 の 保 全 に つ い て 適 正 な 配 慮 が な さ れ る も の で あ る か ど う か を 審 査 す る こ

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23 ととされる(33 条)。 ウ 小括 関係地域に所在する環境情報を集めて、関係地域を所管する市 町 村 長 や 都 道 府 県 知 事 の 意 見 を 反 映 さ せ て 事 業 者 の 見 解 を 評 価 書に集約し、かかる評価書と、これに対する関係地域を所管する 都道府県知事の意見をもとに免許権者等(公水法の場合は都道府 県知事)に判断をさせることにより、環境の保全を図らせる手続 きといえる。 つまり、ここで保全が図られる環境は、都道府県知事が所管す る地域の環境であ り、そのため に、地域住民に手続へ関与させ、 関係地域の市町村長、都道府県知事の意見を評価書や許認可に反 映させているのである。 公水法及び環境影響評価法は、「関係地域」(つまり地域の環境) の環境保全を図るために、アセスメント手続きに市町村長及び都 道府県知事(許認可権者としての立場と別)を参加させて、地域 の 環 境 情 報 及 び こ れ に 対 す る 判 断 を 評 価 書 に 集 約 す る と い う 仕 組みをとっているものである 。 (3) 公水法が都道府県知事を総合調整の判断者としていること 公水法第3条(42 条3項により承認に準用)は、埋立免許を申請 する願書の提出があった際の、都道府県知事による告示縦覧及びこ れに対する意見聴取の手続を定めている。 同条1項は、地元 市町村長の意 見聴取を義務づけ 、同条4項は 市町村長が意見を述べるときは議会の議決が必要であると定めてお

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24 り、都道府県知事に当該埋立対象地の地域の実情を鑑みた上で、公 水法4条1項各号所定の要件適合性の判断をなさしめている。 この意見聴取は、公有水面の埋立が地元住民にとって重大な利害 関係を有することから定められた極めて重要な手続きであり、手続 きの欠缺は重大な瑕疵にあたり、埋立免許は無効と解されている。 山口眞弘・住田正二「公有水面埋立法」(108 から 109 頁)は、「公 有水面の埋立は、地元市町村の住民にとつて、重大な利害関係を持 っている。市町村の地先水面の形状を変更することは、公有水面に 対する地元住民の公共利用を阻害するおそれがあるばかりでなく、 治水上にも大きな影響を与えることになる。また埋立地がどのよう な目的に利用されるかは、地元住民の深い関心の対象になることで ある…地元市町村議会の意見は、埋立免許権者を拘束するものでは ない…ただ立法趣旨から考えるとき、埋立免許権者としては、でき うる限り、この意見を尊重すべきであろう…地元市町村議会の意見 を徴しないで行われた埋立免許は、無効であると解される。すなわ ち、地元市町村議会の意見を徴することは、埋立により重大な影響 を受ける地元市町村の住民の利益を保護するために、法律が定めた 唯一の手続であり、この手続を欠いたことは、その性質上、国民の 利害に関する手続の欠缺ということになり、免許は重大な瑕疵があ るといわねばならず、また地元市町村議会の意見を徴したならば、 埋立の免許がなされなかつた、或は免許の内容が異なつていたかも しれないと、考えられるからである」としている。 都道府県知事に関係地域の情報は集約され、関係地域における行

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25 政の責任者として、都道府県知事が総合調整的判断をするというの は、法の仕組みである。 こ の 法 に よ っ て 付 与 さ れ た 権 限 に 基 づ き 総 合 調 整 的 判 断 と し て なされた都道府県知事の要件適合性判断について、他の国家機関が 尊重しなければならないものであり、所管大臣や司法が、知事と同 じ立場で要件適合性を直接判断し、その判断を知事の判断に置きか えることは許されない。 (4) 免 許 等 に 係 る 判 断 は 自 然 公 物 の 公 用 廃 止 に 係 る 総 合 的 調 整 判断 であり、また、免許等の結論を導く判断は厳格になされるべきこと 公水法第4条1項は、昭和 48 年の法改正によって付加されたも のである。 公有水面は、天然自然に存在する公物であり、すべての人が非排 他的に、自由に使用できるのが原則である。公有水面は、古来から、 航行、漁業やレクリエーションなどの場として人々に親しまれ、ま た、国土全域に関わる大気や水などの環境浄化機能や生態系維持の 機能を果たし、公衆の共有資産として、現代の世代に引き継がれて きた 。このように、公有水面は、世代を超えて引き継がれてきた国 民共有の資産であり、また、自然環境の一部として国境を越えたグ ローバルな資産としての価値を有し、他に比べることのできない高 度の公益性を有する公共の資産であって、本来、私的所有権の対象 とはならないものである。公有水面に関しては、漁業権のように法 的権利化された利益だけではなく、個人や特定団体の権利という形 では規定しがたい様々な社会的な利益が関わり、また、世代を超え

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26 て引き継がれる天然の自然公物ということより将来世代の利益にも 関わるものである。 公有水面を埋め立てて陸地を造成するということは、公有水面と いう自然公物を公用廃止し、排他的な権利である土地所有権を発生 させ、公衆の自由使用を排することを意味する。 公有水面について、古来から行われてきた公衆の自由使用を排し て特定の者に陸地を造成させてその者に私権(土地所有権)を取得 させることの適否、すなわち、公有水面埋立の免許又は承認(以下、 本項において「免許等」という。)を認めることについては、当該公 有水面の特質と稀少性を十分に配慮したとりわけ慎重・厳格な判断 が要請されるものであり、また、都道府県知事は、権利化になじま ない社会的利益や将来世代の利益を総合的に考慮する責務があるも のというべきである。 しかし、公水法制定時には漁業権者や水利権者等の権利者保護の 視点からの免許基準が定められるに止まっていた。しかし、法的に 権利化された者の権利を同意によって手厚く守るだけでは、権利の 形になじまない、現在あるいは将来の世代の社会的な利益を総合的 に考慮することは困難であり、環境、生態系の保全などの社会的価 値の保全は困難である。そのため、昭和 48 年正前の公水法に対し ては、当時における埋立事業の大規模化に伴う公害その他の環境問 題の深刻化等について、適切に対処し得ていないという批判が投げ かけられていた。 昭和 48 年改正法による公水法第4条1項の規定の導入は、公有

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27 水面埋立てに対する従前の免許基準が不十分であり、公害発生や環 境破壊に対する有効な抑止機能を果たし得なかったことへの反省を 背景に、埋立ての公益上の必要性や自然環境への影響等、権利者保 護目的とは異なった新たな免許基準に関する規定の導入を通して、 公有水面埋立事業に対する規制強化を図ろうとするものであった。 漁 業 権 等 の 権 利 者 の 同 意 制 度 に よ り 法 的 権 利 を 有 す る 者 は 現 状 への拒否権の行使(同意しないこと)が認められているが、特定地 域の環境や生態系、公衆の自由使用の利益や公有水面と密接不可分 な生活上の諸利益等については、同意という形での拒否権はなく、 都道府県知事が当該自然公物の価値を享受する現在及び将来の世代 の社会的利益を適切に考慮するほかはなく、埋立を認めることにつ いては、慎重、厳格な判断が求められることになる。 公水法第4条第1項は、免許等という結論を導く可能性を明示的 に制約する規定を置く一方、免許等の拒否という結論を導く可能性 を明示的に制約する規定を一切定めていないが、これは、都道府県 知事による免許等に係る権限の行使に対して、1号以下の基準をす べて満たさなければ許可してはならないという拘束を課す一方、1 号以下の基準をすべて満たした場合でも、他の必要かつ適切な条件 を考慮することにより免許等を拒否する可能性を認める趣旨である と解されるものである。 昭和 48 年改正法の施行及び同法施行令及び施行規則の施行を受 けて、港湾局長及び河川局長が発出した通達(1974 年 6 月 14 日港 管第 1580 号、建設省河政発第 57 号、港湾局長・河川局長から港湾

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28 管理者の長、都道府県知事あて「公有水面埋立法の一部改正につい て」)は、「法第 4 条 1 項の基準は、これらの基準に適合しないと免 許することができない最小限度のものであり、これらの基準のすべ てに適合している場合であっても免許の拒否はあり得るので、埋立 ての必要性等他の要素も総合的に勘案して慎重に審査を行うこと」 とし、この趣旨を明らかにしている。 このように、基準のすべてに適合しなければ免許等をしてはなら ず、他方で、基準にすべて適合していても免許等をしないことがあ り得るという仕組みを採用しているということは、公有水面埋立の 免許等の判断に関しては、免許等という結論を導く判断には、基準 を満たさない事業計画には免許等を与えてはならないという意味で 厳格な解釈運用が要請される一方、免許等拒否という結論を導く判 断には、根拠規定その他の関連法規が定められた背景や趣旨目的を 適切かつ十分に考慮した判断が要請されていることを示すものであ る。 以上より、都道府県知事が総合調整的判断として行った免許等を しないとする判断については、国家機関はこれを尊重しなければな らないものというべきである。 第2 本件埋立の遂行により損なわれる公益 1 沖縄における米軍基地形成の経緯と現状並びに県民世論 検証結果報告書は、「埋立ての審 査においては,『地元住民の生活, 環境の保全等に影 響 を及ぼす』のか,『出願に係る土地需 要が真に必

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29 要なもの』,『埋立ての場所は適正な位置でなければならない』などの 点を適正に審査し な ければならない。そして,本件埋立承 認出願が, 普天間飛行場の代替施設建設のための出願であり,本件埋立対象地に 普天間飛行場の『代替』となる新たな米軍基地を建設するための埋立 承認申請であることからすると,上記の観点から適正な審査をするた めには,沖縄県における米軍基地の歴史と現状及び普天間基地の概要 を検討することが必要であると考えられる。」としている。 沖縄における米軍基地形成の経緯並びに現状と県民世論1は、被告第 5準備書面及び被告第6準備書面並びに以下に引用する検証結果報告 書の記載のとおりである。 (1) 米軍基地形成の経緯 沖縄における米軍基地の歴史について、第三者委員会の認定した 事実は以下のとおりである。 記 ⑴ 米軍占領と基地構築(沖縄の米軍基地・1頁) 1945 年(昭和 20 年)4月1日に沖縄島への上陸を果たした 米軍は,同年4月5日に読谷村字比謝に米国海軍軍政府を設置, 布告第1号(いわゆ る『ニミ ッツ布告』)を公布 し, 南西諸島 とその周辺海域を占領地域と定め,日本の司法権,行政権の行 使を停止し,軍政を 施行する ことを宣言 した。 沖縄を占領し た米軍は,住民を一 定の地区 に設置した 収容所に強制隔離し , 沖縄全域を直接支配下に置き,軍用地として必要な土地を確保 1 検証結果報告書では、新基地建設に対する県民世論に係る事実は、「沖縄における米軍 基地の歴史」の項目のなかで、「最近の動き」として記述されている。

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30 したうえ基地の建設を進める一方で,米軍にとって不要となっ た地域を住民に開放し,居住地及び農耕地として割り当ててい った。 沖縄の米軍基地は,占領当初においては,米国の極東政策上 特に重要な基地として認識されてはいなかったが,1949 年(昭 和 24 年)以降における中華人民共和国の成立や朝鮮戦争の勃 発等,極東における国際情勢の変化により,米国は極東政策の 転換を余儀なくされ,沖縄の戦略的価値が認識されるようにな り,沖縄は,自由主義陣営の拠点基地『太平洋の要石』と呼ば れるようになった。 ⑵ 講和条約後の軍用地(沖縄の米軍基地・1∼2頁) 1952 年(昭和 27 年)4月 28 日,「対日平和条約」の発効に より日米間の戦争状態は終了し,日本は独立国としての主権を 回復することになるが,その代償として,日本固有の領土であ る沖縄は同条約第3条により日本本土から分断され,米国の施 政下におかれた。一方で,同条約の発効により米軍による沖縄 の占領状 態が終了し,従来の『ヘーグ陸戦法規』を根拠とす る軍用地の使用権原も当然その法的 根拠 を失うこ ととな った。 講 和 後 も 引 き 続 き 沖 縄 の 軍 事 基 地 を 確 保 す る 必 要 が あ っ た 米国としては,たとえ平和条約第3条により施政権者たる地位 を与えられたとして も,土地 所有者との 契約によるか,又は , 強制使用手続きのいずれかにより,軍用地の使用権原を新たに 取得するための法制 が必要で あった。そ のため米国民政府は ,

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31 既 接 収 地 の 使 用 権 原 と 新 規 接 収 を 根 拠 づ け る 布 令 を 次 々 と 発 布し,軍用地使用についての法的追認を行うと同時に,新たな 土地接収を強行していった。 まず米国民政府は,1952 年(昭和 27 年)11 月1日に布令第 91 号「契約権」を公布し,賃貸借契約による既接収地の継続使 用を図ったが,契約期間が 20 年と長期のうえ軍用地料が低額 であったため,契約に応じた地主はほとんどいなかった。同布 令では,琉球政府行政主席と土地所有者との間で賃貸借契約を 締結し,琉球政府が米国政府に土地を転貸することになってい た。 次いで,米国民政府は1953 年(昭和 28 年)4月3日,土地 の使用権原を取得するため,布令第 109 号「土地収用令」を公 布した。 この布令第109 号は,本来既接収地の使用権原を取得するこ とを目的として制定されたものであったが,当時は米軍基地の 建設,強化が進められていたため,実際にはもっぱら軍用地の 新規接収のみに適用され,既接収地の使用権原については依然 と し て 法 的 根 拠 を 欠 い てい た こ とか ら , 米 国 民 政 府 は,1953 年(昭和 28 年)12 月5日,布告第 26 条「軍用地域内に於け る不動産の使用に対する補償」を公布した。 同布告の中で米国は,一方的に,「軍用地について,1950 年 (昭和 25 年)7月1日または収用の翌日から米国においては その使用についての黙契とその借地料支払の義務が生じ,当該

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32 期日現在で米国は賃借権を与えられた」と宣言し,既接収地の 使用権原を合法化した。これによって,講和後における米国の 土地使用の法的根拠づけの作業は完了することとなった。 ⑶ 銃剣とブルドーザーによる新規接収(沖縄の米軍基地・2頁) 既 接 収 地 の 使 用 権 原 及 び 新 規 接 収 の 根 拠 と な る 法 令 の 整 備 を終えた米国は,この時期に那覇市安謝・銘苅地区,宜野湾市 伊佐浜,伊江村真謝・西崎地区の各地において,武装兵の力に よって強制的に新規の土地接収を行っていった。 このような米国の態度に対して住民は,各地で米軍の銃剣と ブルドーザーの前に座り込むなどの反対闘争を繰り返し,とき には米軍と流血騒ぎを起こすなど激しい抵抗を示した。 ⑷ 島ぐるみ闘争(沖縄の米軍基地・2∼3頁) こうした新規の土地接収に対する住民の反対・抵抗運動が高 まる中で,軍用地料をめぐる問題が新たな争点としてクローズ アップされてきた。そこで,米国は,毎年賃借料を支払う代わ りに,土地代金に相当する額を一括して支払う方が得策である との観点から,いわゆる一括払いの計画を発表したが,ほとん ど の 住 民 か ら 反 対 さ れ , ま た こ の 問 題 を 重 視 し た 立 法 院 も 1954 年(昭和 29 年)4月 30 日,「軍用地処理に関する請願決 議」を全会一致で採 決した。 この 決議の中で要請された「軍 用地問題に関する四原則」は,その後の沖縄における基地闘争 の基本原則となるものであった。(沖縄の米軍基地・2頁) しかし、米下院軍事委員会が 1955 年(昭和 30 年)10 月 23

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33 日から行った沖縄の 軍用地問 題の調査報 告書(プライス勧告 ) が,「 軍用地問題に 関する四 原則 」を認 めず,一括払いの妥 当 性を強調し,新規の土地接収を肯定したものであったことから, 沖縄の住民は一斉に反対運動に立ち上がり,各地で軍用地四原 則貫徹住 民大会や県民大会が開かれるなど,プライス勧告反 対の「島ぐるみ闘争」が沖縄全域に広がっていった。 「島ぐるみ闘争」にもかかわらず,米国は,1957 年(昭和 32 年)2月 23 日,布令第 164 号「米合衆国土地収用令」を公 布して「限定付土地保有権」なる権利を設定し,地価相当額の 地料の一括払いを実施した。また、同布令の強制収用の規定に 基づいて,同年5月には,那覇空港,嘉手納飛行場を始め,14 市町村にわたる軍用 地につい て,次々と 「限定付土地保有権 」 の収用宣告書を発し,軍用地料の一括払いを行った。 ⑸ 沖縄の基地問題への取り組み(沖縄の米軍基地・7頁) 沖縄県における米軍基地については,昭和 47 年(1972 年) 5月の日本復帰に際し,すみやかな整理縮小の措置をとるべき とする国会決議がなされたにもかかわらず,基地の整理縮小は 遅々として進まず,復帰後,米軍基地(専用施設)の返還が本 土で 58.7 パーセントと進んだのに対し,本県では 18.2 パーセ ントの返還にとどまり,戦後70 年近くを経た今日においても, 国土面積の 0.6 パーセントに過ぎない狭隘な本県に,全国の米 軍専用施設面積の 73.8 パーセントが集中し,県土面積の 10.2 パーセント,沖縄島においては 18.3 パーセントを米軍基地が

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34 占める状況となっている。 このように広大かつ過密に存在する米軍基地は,本県の振興 開発を進める上で大きな制約となっているばかりでなく,航空 機騒音の住民生活への悪影響や演習に伴う事故の発生,後を絶 たない米軍人・軍属 による刑 事事件の発 生,さらには 汚染物 質の流出等による自然環境破壊の問題等,県民にとって過重な 負担となっている。 ⑹ 代理署名拒否訴訟及び米軍人による少女暴行事件(沖縄の米 軍基地・7頁) 平成7年(1995 年)には,楚辺通信所及び嘉手納飛行場等 13 施設の一部用地の使用期限切れに伴う駐留軍用地の強制使 用問題が発生し,沖縄の米軍基地のあり方を厳しく問わざるを 得ないとの観点から,当時の大田知事が,代理署名等の機関委 任事務を拒否したため,国が職務執行命令訴訟を提起するなど, 翌年9月の知事の公告縦覧代行応諾に至るまで,政府との間で 厳しい状況が続いた。 また,平成7年(1995 年)9月に発生した米軍人による少 女暴行事件は,戦後 50 年余の米軍基地に対する県民の鬱積し た不満を爆発させ,同年 10 月には,8万5千人余(主催者発 表)が参加する県民 総決起大 会が開催さ れた。また,平成 8 年(1996 年)9月には日米地位協定の見直し及び基地の整理 縮小に関する県民投票が実施され,地位協定の見直しや基地の 整理縮小を求める県民の意思が明確にされた。

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35 このような沖縄県内における米軍基地問題の動向は,米軍基 地問題に対する国内外の世論をかつてないほどに喚起し,国の 安全保障の問題や,日米安全保障体制のあり方,さらに過重な 基 地 負 担 を 背 負 わ さ れ て い る 沖 縄 の 米 軍 基 地 問 題 の 解 決 に つ いて様々な議論を呼び起こすきっかけとなった。 日米両国政府は,沖縄の米軍基地に対する国内外の関心の高 まりを背景に,平成7年(1995 年)11 月,沖縄県民の負担を 軽減し日米同盟関係を強化することを目的とした「沖縄に関す る特別行動委員会」(SACO)を設置し,平成8年(1996 年) 12 月,普天間飛行場の全面返還を含む 11 施設の米軍基地を返 還することなどを内容とする SACO の最終報告が合意された。 (2) 沖縄における米軍基地の現状 ア 沖縄における米軍基地の概況について、第三者委員会の認定し た事実は以下のとおりである。 記 ⑴ 沖縄における米軍基地の概況(沖縄の米軍基地・10 頁,51 頁) 沖縄には,平成 24 年3月末現在,県下 41 市町村のうち 21 市町村にわたって 33 施設,23,176.3ha の米軍基地が所在して おり,県土面積 227,649ha(平成 23 年 10 月1日現在,国土地 理院の資料による)の 10.2%を占めている。 米 軍 基 地 の 復 帰 後 の 推 移 を み る と , 復 帰 時 の 87 施 設 , 28,660.8ha に比べ,施設数では 62%減少したものの,面積は

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36 19%の減少にとどまっており,大勢では変動がないことを示し ている。 また,全国と比べてみると,在沖米軍基地は全国に所在する 米軍基地面積の 22.6%に相当し,北海道の 33.5%に次いで大き な面積を占めている。ただし,米軍が常時使用できる専用施設 に限ってみると,実に全国の 73.8%が本県に集中しており,他 の 都 道 府 県 に 比 べ て 過 重 な 基 地 の 負 担 を 負 わ さ れ て い る こ と が分かる。 ちなみに,他の都道府県の面積に占める米軍基地の割合をみ ると,本県 10.2%に対し,静岡県(1.1%)及び山梨県(1.0%) が1%台であるほか は,1% にも満たな い状況であり,また , 国土面積に占める米軍基地の割合は 0.27%となっている。 さらに,本県においては米軍基地面積の 98.4%が専用施設で あるのに対し,他の都道府県における米軍専用施設は米軍基地 面積の 10.2%に過ぎず,大半は 自衛隊基地等を米軍が一時的 に使用する形態となっている 日本の国土面積のわずか 0.6%に過ぎない狭い沖縄県に,在 日米軍専用施設面積の約 74%に及ぶ広大な面積の米軍基地が 存在している。米軍基地は,県土面積の約 10%を占め,とりわ け人口や産業が集中する沖縄島においては,約 18%を米軍基地 が占めている。さらに,沖縄周辺には,28 ヵ所の水域と 20 ヵ 所の空域が米軍の訓練区域として設定されるなど,陸地だけで なく海,空の使用も制限されている。

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37 こうした過重な米軍基地の存在は,望ましい都市形成や交通 体 系 の 整 備 並 び に 産 業 基 盤 の 整 備 な ど 地 域 の 振 興 開 発 を 図 る 上で大きな障害となっている。 ⑵ 海兵隊(沖縄の米軍基地・17 頁) 在沖米海兵隊の基地は施設数,施設面積とも最も大きく,平 成 24 年3月末現在,14 施設,17,550.4ha で全施設面積の 75.7%を占めており,軍人数も在沖米 軍の総軍人数の 59.5% が海兵隊員となっている。 現在, 沖縄 には ,「 第3海 兵遠 征軍司 令部」がキャンプ・コ ートニーに置かれ, その下部機関として,地上部隊を形成す る「第3海兵師団」が同じくキャンプ・ コートニーに,また, これらの実戦部隊の後方支援部隊である「第3海兵兵站群」 が 牧港補給地区に,さらに,「第 31 海兵遠征部隊」がキャンプ・ ハンセンに,「第1 海兵航空 団司 令部」 がキャンプ瑞慶覧に 駐 留している。 本県の海兵隊基地は,復帰に伴い,それまでの在沖米軍の主 力であった陸軍に代わり強化され,昭和 50 年7月に,在沖米 軍を代表する「在日米軍四軍調整官(在日米軍沖縄地域調整官)」 が陸軍司令官から海兵隊司令官に代わった。 また,昭和 50 年 6月に ,「キャンプ 瑞慶覧」 の施 設管理 権が陸軍から海兵隊 に 移管されたほか,昭和 51 年4月には第1海兵航空団司令部中 隊が山口県岩国基地から「キャンプ瑞慶覧」へ移駐し,さらに, 昭和 54 年には同岩国基地に駐留していた第 17 海兵航空団

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38 支援群が「キャンプ瑞慶覧」に移駐した。その他,昭和 52 年 6月に「辺野古弾薬庫」及び昭和 53 年9月に「牧港補給地 区」 が陸軍から,平成元年8月に「伊江島補助飛行場」が空軍から 海兵隊にそれぞれ移管された。 イ 普天間基地の概要 普天間基地の概要について、第三者委員会の認定した事実は以 下のとおりである。 記 ⑴ 施設の現状及び任務(沖縄の米軍基地・225∼226 頁) 宜野 湾市の中央に位置するこの施設は,第3海兵遠征軍第1海兵航 空団第 36 海兵航空群のホームベースとなっており,ヘリコプ ター部隊を中心として 56 機の航 空機が配備され,在日米軍 基 地 で も 岩 国 飛 行 場 と 並 ぶ 有 数 の 海 兵 隊 航 空 基 地 と な っ て い る。 この施 設は 普天間海兵隊航 空基地隊に よって管理運営され, 駐 留 各 部 隊 が 任 務 を 円 滑 に 遂 行 で き る よ う 後 方 支 援 活 動 体 制 をとっている。施 設内には,滑走路(長さ約 2,800m×幅 46 m),格納庫,通信施設,整備・修理施設,部品倉庫,部隊事 務 所,消防署があるほか,PX,クラブ,バー,診療所等の福利厚 生施設等の設備があって,航空機基地として総合的に整備され ている。 第 36 海兵航空群は,この施設に各中隊を配備し,上陸作戦 支援対地攻撃,偵察,空輸などの任務にあたる航空部隊として

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39 同基地で離着陸訓練を頻繁に行っており,また北部訓練場,キ ャンプ・シュワブ,キャンプ・ハンセン等の訓練場では,空 陸 一体となった訓練も行っている。 普天間飛行場における平成 25 年1月時点での常駐機種は, 次のとおりとなって いる。 所属機(56 機) ○固定翼機(19 機) KC-130 空中給油兼輸送機 15 機 C-12 作戦支援機 1機 UC-35 3機 ○ヘリコプター(25 機) CH-46E 中型ヘリ 12 機 CH-53E 大型ヘリ 5機 AH-1W 軽攻撃ヘリ 5機 UH-1Y 指揮連絡ヘリ 3機 ○垂直離着陸機(12 機) MV-22B オスプレイ 12 機 ⑵ 周辺状況等(沖縄の米軍基地・227∼229 頁) 宜野湾市の中 央部 に 位置 する 普 天 間飛 行場は ,市 面積 の約 24.4%を占め, これに同市に所在するキャンプ瑞慶覧,陸軍貯油施設を含めた 米軍 基 地面 積は , 同 市面 積の約 32.4%を占めている。これら 広大かつ過密に存在する米軍基地は,地域の振興開発上の著し い障害となっているだけでなく,道路網の体系的整備ができな

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40 いなど,住民生活に多大な経済的損失を与えている。また,普 天 間 飛 行 場 か ら の 航 空 機 騒 音 の 住 民 生 活 や 健 康 へ の 悪 影 響 や 同飛行場における航空機離発着訓練の実施などによって,市民 の生命は極めて危険な状況におかれている。普天間飛行場に所 属する航空機墜落事故等の発生件数は,復帰以降,平成 24 年 12 月末現在で固定翼機 15 件,ヘリコプター77 件の計 91 件 ( 原 文 の ま ま ) と な っ て お り , 復 帰 後 の 県 内 米 軍 航 空 機 事 故 (540 件)の約 17 パーセントを占めている。平成 16 年8月 13 日には,隣接する沖縄国際大学構内に,CH-53D ヘリコプ ターが墜落し,乗員3名が負傷する事故が発生している。普天 間 飛 行 場 に お け る ヘ リ コ プ タ ー 等 の 航 空 機 離 発 着 訓 練 及 び 民 間地域上空での旋回訓練の実施は,基地周辺住民に甚大な航空 機騒音被害を もたら し,「聴力の異常」,「授業の中断」,「睡眠 不足による疲労の過重」など,住民の生活や健康に重大な悪影 響を及ぼしている。 (3) 新基地建設に対する県民世論 新基地建設に沖縄県民が反対していることは、被告第5準備書面 の第5及び以下に引用する検証結果報告書の記載のとおりである。 記 平成 21 年8月の衆議院総選挙の結果,同年9月,民主党を中 心とする鳩山連立政権が発足した。民主党は,選挙に際して,鳩 山代表自らが「海外移転が望ましいが,最低でも県外移設が期待 される」などと主張し,政権発足後は,主に県外移設案を検討す

参照

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