(1) 代替性のない希少な自然の喪失という不利益 ア 環境影響評価法
以下に引用する検証結果報告書の記載のとおり、環境の保全に 関する審査は、免許権者等意見(知事意見)を踏まえてなされな ければならないものである。
記
本件承認手続は,環境影響評価法第 33 条第4項及び第3項 に該当する手続である。
この点,同法第 33 条第4項が準用する第3項は,「対象事業 に 係 る 免 許 等 で あ っ て 対 象 事 業 の 実 施 に お い て 環 境 の 保 全 に つ い て の 適 正 な 配 慮 が な さ れ る も の で な け れ ば 当 該 免 許 等 を 行わないものとする旨の法律の規定があるものを行う者は,評 価書の記載事項及び第二十四条の書面に基づいて,当該法律の 規定による環境の保全に関する審査を行うものとする」として いる。
本件においては,上記の「第二十四条の書面」は,本件のア
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セス手続において沖縄県知事が事業者に平成24年3月27日に 提出した知事意見(埋立)(資料【2】。これは法に基づく意見 書であることから以 後「知事 意見(法)」等と表 記する)であ る。なお,平成 24年2月 20日付沖縄県環境影響評価条例に基 づく知事意見(飛行場)(資料【3】)についても,同条例第 31 条が,知事による許認可の際,評価書の内容について配慮する として,環境影響評価法第 33 条第3項と同趣旨の規程がある か ら , 法 に 基 づ く 知 事 意 見 と 同 様 の も の と し て 適 宜 参 照 す る
(同意見書を「知事意見(条例)」等と表記する。)。
また,上記,「評価書の記載事項」は平成 23年 12月 28日に 提出された評価書,上記の知事意見書提出後に平成 24 年 12月 18 日に提出された「補正評価書」がこれに当たる。
したがって,本件承認にあたっては,知事意見書に基づいて 審査を行わなければならないこととなる。具体的には,本件で は後述のとおり知事意見書で,多数の疑問が呈され,環境保全 を図ることは不可能とされているのであるから,後述の審査項 目の判断に当たって,若しくはこれに加えて,知事意見で呈さ れた疑問が審査手続において解消されたか否かが,本件審査に 瑕疵がないかを判断するに当たって重要となるものである。
本件承認手続において,環境生活部長から出された平成 25 年 11 月 29 日付意見(資料【4】)も,懸念が払拭できないと いう意見であり,これについてもその懸念が払拭されたかも重 要なものであるから同様に検討の対象となる。
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イ 辺野古周辺の生態系へ埋立てのもたらす悪影響
本 件 埋 立 の 遂 行 に よ る 辺 野 古 周 辺 の 生 態 系 へ の 影 響 は 被 告 第 4 準 備 書 面 及 び 以 下 に 引 用 す る 検 証 結 果 報 告 書 の 記 載 の と お り である。
(ア) 検証報告書の第5・5(4) 記
(ア) 本件埋立対象地は,自然環境的観点から極めて貴重な価 値を有する地域である。
本件埋立対象地について,知事意見は次のように述べて いる。
「当 該事 業 が予 定さ れる 辺野古沿岸海域は, 礁池内 に,
「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト−植物Ⅰ(維 管束植物)」(平成 19年8月,環境省)(以下「レッドリス ト」 とい う。)に おいて ,準絶滅危惧種として掲載されて いるボウバアマモやリュウキュウアマモ,リュウキュウス ガモ等で構成される海草藻場や,絶滅危惧Ⅰ類として掲載 されているホソエガサ等が分布しており,その規模は沖縄 島でも有数 のもので ある。」「 一 帯の沿 岸域及び沖 合の海 域においては,国の天然記念物であるジュゴンが確認され,
礁池内の海草藻場でその食み跡等が確認されるなど,当該 沿岸海域一帯はジュゴンの生息域と考えられている。」「ジ ュゴンは,平成 15 年に改正された鳥獣保護法においても 捕獲,殺傷が原則禁止とされている種である。また,県に
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おいては平成 17 年9月に公表した「改訂・沖縄県の絶滅 のおそれのある野生生物−動物編−」で絶滅危惧ⅠA類と して掲載しており,環境省においても平成 19 年8月にジ ュゴンをレッドリスト(絶滅危惧ⅠA類)に追加するなど,
その保護へ向けた施策が展開されているところである。」
また,環境生活部長意見は次のように述べている。
「 普 天 間 飛 行 場 代 替 施 設 建 設 事 業 実 施 区 域 の 辺 野 古 沿 岸 域は,「自然環境の 保全に関する指 針(沖縄島 編)」( 平成 10年2月,沖縄県)(以下「環境保全指針」という。)にお いて「自然環境の厳正な保護を図る区域」であるランクⅠ と評価されている。」「辺野古から宜野座村松田までの礁池 内には「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト−植物
Ⅰ(維管束植物)」(平成24 年8月,環境省)(以下「レッ ドリ スト 」という 。)に おいて,準絶滅危惧種として掲載 されているボウバアマモ,リュウキュウアマモ,リュウキ ュウスガモ等で構成される海草藻場が広がり,絶滅危惧Ⅰ 類 で 現 在 ま で の と こ ろ 沖 縄 島 の み で し か 確 認 さ れ て い な い 一 属 一 種 の 日 本 固 有 種 で あ る ク ビ レ ミ ド ロ 及 び 同 じ く 絶 滅 危 惧 Ⅰ 類 と し て 掲 載 さ れ て い る ホ ソ エ ガ サ な ど の 分 布も確認されており,環境省が「日本の重要湿地 500」と して選定している。」
(イ) また,辺野古から漢那の沖縄島東沿岸は,上記の日本の 重要湿地 500 の選定理由において,「ボウバアマモ,リュ
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ウキュウアマモ,ベニアマモなどの大きな群落。アマモ類 を餌にする特別天然記念物のジュゴンは,この海域で発見 例が多い。沖縄島北東部の沖には藻場が存在し,そこにア オ ウ ミ ガ メ の 大 規 模 な 餌 場 が あ る ら し い こ と が こ れ ま で の調 査か ら推定さ れる。」と,その特徴を端的に示してい る。この地域の生物多様性の重要性は他にも多く指摘され ており,例えば最近では,平成 26 年 11月 11 日,日本生 態学会など 19 学会が連名で防衛大臣らに提出した「著し く 高 い 生 物 多 様 性 を 擁 す る 沖 縄 県 大 浦 湾 の 環 境 保 全 を 求 める 19 学会合同要望書」も挙げられる。
環境省の海洋生物多様性保全戦略(平成 23 年)におい ては ,「 藻場,干 潟,サ ンゴ礁などの浅海域の湿地は,規 模に かか わらず貝 類や甲殻類 の幼生,仔 稚 魚などが移動 分散する際に重要な役割を果たしている場合があり,科学 的知見を踏まえ,このような湿地間の相互のつながりの仕 組みや関係性を認識し,残された藻場,干潟やサンゴ礁の 保 全 , 相 互 の つ な が り を 補 強 す る 生 物 の 住 み 場 所 の 再 生・修復・創造を図っていくことが必要である」とされる。
さらに,生物多様性国家戦略 2012-2020(平成 24 年9 月 28 日閣議決定)をみても,ジュゴンについて,「引き続 き,生息環境・生態等の調査や漁業者との共生に向けた取 組を進めるとともに,種の保存法の国内希少野生動植物種 の指定も視野に入れ,情報の収集等に努めます」とされて
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(ウ) 環境保全図書の記載
本件願書に添付された環境保全図書においても,その重 要性の記述がなされている。事業者による調査の範囲でも,
海域生態系において 3,097 種(環境保全図書・6-19-1-18
頁 表-6.19.1.1.8),陸域生態系において植物 1,995 種,動
物 3,858 種の合計 5,853 種(うち重要種 374 種)が確認
されている(環境保全図書・6-19-2-90 頁 表-6.19.2.1.43)。
(エ) 以上のとおり,本件埋立対象地は,沖縄県のみならず,
学会,環境省等の公的機関からもその重要性が指摘されて おり,自然環境的観点から極めて貴重な価値を有する地域 である。
(イ) 検証報告書の第6.3 記
⑴ 辺野古周辺地域の生態系とその価値
ア 知事意見における辺野古周辺地域の生態系の評価
本件事業実施区域である辺野古沿岸・大浦湾の生態系が いかなる価値を有しているかについて,知事意見(法及び 条例)は冒頭において以下のとおり指摘している。
「当 該事 業 が予 定さ れる 辺野古沿岸 海域は, 礁池 内に,
「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト−植物Ⅰ(維 管束植物)」(平成 19年 8 月,環境省)(以下「レッドリス ト」 とい う。)に おいて ,準絶滅危惧種として掲載されて
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いるボウバアマモやリュウキュウアマモ,リュウキュウス ガモ等で構成される海草藻場や,絶滅危惧Ⅰ類として掲載 されているホソエガサ等が分布しており,その規模は沖縄 島でも有数のものである。
また,一体の沿岸域及び沖合の海域においては,国の天 然記念物であるジュゴンが確認され,礁池内の海草藻場で その食み跡等が確認されるなど,当該沿岸海域一帯はジュ ゴンの生息域と考えられている。特に,嘉陽海域の海草藻 場に つい ては,当 該事業者に おける調査 結果においても,
定期的にジュゴンが利用していることが示されている。
ジュゴンは,平成 15 年に改正された鳥獣保護法におい ても 捕獲 ,殺傷が 原則禁止と されている 種である。また,
県においては平成17年9月に公表した「改訂・沖縄県の 絶 滅のおそれのある野生生物−動物編−」で絶滅危惧ⅠA類 として掲載しており,環境省においても平成 19 年 8 月に ジュゴンをレッドリスト(絶滅危惧ⅠA類)に追加する な ど,その保護へ向けた施策が展開されているところである。
本県におけるジュゴンに関しては,これまで科学的調査が ほと んど 行われて おらず,そ の生活史, 分布,個体数 な どに関する知見が非常に乏しい現状にあるが,ジュゴンは 沖縄県が分布の北限と考えられ,特に古宇利島周辺海域か ら嘉陽・大浦湾周辺海域に少数の個体群が生息していると 推測されている。