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14栄養・食事アセスメント(2)

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Academic year: 2021

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5. 栄養・食事

アセスメント(2)

1. 栄養状態の評価・判定の定義と目標 ① 栄養状態の評価・判定:栄養状態が過剰あるいは欠乏 した状態への移行過程(潜在的な過剰あるいは欠乏状 態)を評価・判定する必要がある(表1)。 ②適正な栄養ケア計画作成のための情報提供:臨床診 査、身体計測、臨床検査、食事調査の情報収集が必 要。 ③再アセスメントによる効果の評価:栄養ケア実施後に 再アセスメントを行い、効果を判定する。再アセスメ ントの期間は栄養指標によって異なる。例えば血液生 化学的指標では、その指標の半減期以上の期間が必 要。 ④成果(アウトカム、outcome)の予測:合併症、死亡 率、ケア必要度、平均在院日数などの成果が予測出来 るかどうか、疾患別に検討されている/一般病棟の高 齢患者では総蛋白質、血清アルブミン、リンパ球数と 術後合併症併発/一般病棟内科疾患患者ではアルブミ ンとヘマトクリットと在院日数/老人病棟患者では血 清アルブミン3.5 g/100 mL以下、腎・肺疾患と合併症 併発率。体重減少率と再入院率、退院後1年以内の死 亡率/その他、複数の栄養指標や免疫指標を含めた指 標が作成され、有効性が検討されて来ている。 ⑤ 食 品 の 栄 養 の 質 の 評 価 : 食 物 の 利 用 効 率 (bioavailability)と蛋白質:脂質:炭水化物の摂取 比率(PFC比)によって変化する体内代謝を評価す る。 2. 栄養状態の評価・判定方法 • 臨床診査、臨床検査、身体計測などの直接的な栄養状 59

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態の評価・判定の結果(表2)は、食事調査のような間 接的な結果よりも優先的に検討される必要がある。 (1)臨床診査 • 栄養状態と関連した症状や主訴を、病歴聴取と身体検 査で評価・判定すること。 • 栄養素の欠乏状態が進行すると出現する徴候や症状が ある(表3)。非特異的な徴候・症状もあるので臨床検 査も実施して、欠乏を早期に見つけることが必要。 (2) 身体計測 • 人体の構成成分は栄養状態で変化する。非侵襲的で安 価・簡便なので定期的・経時的に測定し栄養状態の変 化を評価出来る。 • 計測の精度を高めることが重要。 ①身長 • 小児では発育の指標。高齢者では脊椎骨折や骨粗鬆 症、変形性脊椎症のため減少することがある。 • 車椅子や寝たきりの場合、座高、指極(両上肢を自然

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に左右に水平に伸ばしたときの、左右の指尖点間の直 線距離)、膝高などから身長を推算することもある。 ②体重 • エネルギーや蛋白質代謝のバランスが正の時は増加、 負の時は減少。体構成成分(増減が脂肪組織によるの か除脂肪組織によるのか)の変化を検討することが必 要。 • 食事の影響を受けない早朝空腹時・排尿後に測定。 ③体格指数

• BMI (Body Mass Index)が広く用いられている。BMI (kg/m2) = 体重 (kg)/身長 (m) • 成人では最も疾病の少ない値が22。 • スポーツ選手など筋肉量が多いと高めに算出されるの で、身体組成を併せて検討する。 • 日本肥満学会:25以上を肥満、18.5未満を低体重(や せ)。 • 厚生労働省の高度肥満の基準は30以上。 • ブローカ指数: 体重(kg)/(身長(cm) - 100) • ローレル指数:体重(kg) 107/身長(cm)3。小児の体 格指数として用いられる。 ④周径囲 • 頭囲、胸囲:小児の栄養状態。特に未熟児の発育状態 の指標。 • ウエスト周径やヒップ周径:体脂肪量との関連が認め られている。日本肥満学会(1999)では、腹囲(ウエ スト周径)男性85cm、女性90cmを基準。 • ウエスト・ヒップ比:男性0.9以上、女性0.8以上は内 臓脂肪型肥満の可能性が高い。 ⑤皮下脂肪厚と体脂肪率

• 上腕三頭筋皮下脂肪厚(triceps skinfold thickness, TSF)、肩甲骨下部皮下脂肪厚(subscapular skinfold thickness, SSF)などを皮下脂肪厚計(キャリパー) で測定し、推定式を用いて体脂肪率を計算する。 • 男性(19歳以上):体脂肪率 = (4.57 (1.0913 - 0.00116 (TSF (mm) + SSF (mm) )- 4.142) 100 • 女性(19歳以上): (4.57 (1.0897 - 0.00133 (TSF (mm) + SSF (mm) )- 4.142) 100 ⑥上腕筋囲、上腕筋面積 • 上腕筋囲、上腕筋面積は全身の筋肉量を反映。 • 上腕筋囲 (cm) = 上腕周囲長 (cm) - π TSF (cm) • 上腕筋面積 (cm2) = (上腕周囲長 - π TSF)2/4π ⑦標準値 • 乳幼児、成人や高齢者などの対象に応じてパーセンタ イル値が示されている。 • 成人や高齢者の基準値は、日本栄養アセスメント研究 会が性別・年齢別に作成した表がある(日本人の身体 基準値。テキストの表4と5にも示されている)。 (3) 臨床検査(表6) • 栄養状態を反映する血液や尿中の成分、生理機能を評 価する。 • 臨床症状が出現する前の潜在的な栄養欠乏・過剰状態 を評価・判定出来る。 • 特定の栄養素の欠乏や代謝異常を検出出来る(表6)。 ①血清蛋白質 • 血清アルブミン:半減期が17∼23日と比較的長く、長 期的な蛋白質の栄養状態を評価出来る。 • ラピッドターンオーバープロテイン:アルブミンより も半減期が短いので、蛋白質の栄養状態をより早く反 映。トランスフェリン(半減期7∼10日)、プレアル ブミン(約2日)、レチノール結合タンパク質(0.4∼ 0.7日)など。急性期の栄養状態の評価・判定に用いら れる。 • 血漿アミノ酸:摂取蛋白質不足で必須アミノ酸の濃度 は低下、非必須アミノ酸の濃度は上昇/必須アミノ 酸:非必須アミノ酸の比=アミノ酸比/基準値は1.5/ 欠 乏 状 態 で 2 . 0 ∼ 4 . 0 / 3 . 5 以 上 は ク ワ シ オ ル コ ル (kwashiorkor、エネルギーに比して蛋白質が不足) /マラスムス(marasmus、エネルギー・蛋白質不 足)では摂取栄養素全体が不足しているのでアミノ酸 は変化しない/フィシャー比(分岐鎖アミノ酸:芳香 族アミノ酸のモル比)は非代償性肝硬変や肝不全で低 下。 ②血清脂質 • 総コレステロール:血中濃度が220mg/100mL以上で 高脂血症/総コレステロールの低下はリポ蛋白質の低 下によるので、エネルギーや蛋白質などの全体的な低 栄養状態を反映。 • HDLコレステロール:HDLは末梢から肝臓へコレステ ロールを運搬。末梢組織の細胞に蓄積したコレステ ロールを除去し、細胞内への取り込みを抑制。日本動 脈硬化学会の基準では40mg/100mL未満が低HDLコレ ステロール血症。 • LDLコレステロール:高値で動脈硬化を促進する。高 脂血症や動脈硬化症の診断基準。日本動脈硬化学会の 基準では140mg/100mL以上が高LDLコレステロール 血症。 • トリグリセリド:グリセロールと3分子の脂肪酸がエス テル結合したもの。中性脂肪。日本動脈硬化学会の基 準では150mg/100mL以上が高トリグリセリド血症。 • リポ蛋白:高脂血症のタイプ分類はリポ蛋白分類に よって行なわれる。 • 日本動脈硬化学会は主要冠動脈疾患危険因子、すなわ ち加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)、高血圧、糖 尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族 歴、低HDLコレステロール血症のうち該当する項目に よって血清脂質の管理目標を設定してる。 ③糖代謝関連 血糖値 • 血 糖 値 : 健 常 者 の 空 腹 時 は 6 0 ∼ 1 1 0 m g / 1 0 0 m L / 170mg/100mLを超えると尿中に糖が排泄される。こ のよな状態が継続すると糖尿病となる/糖質が長期 間、不足すると、①脂質代謝が亢進しケトーシス②体 蛋白質の分解で生じたアミノ酸からのブドウ糖合成 61

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(糖新生)が亢進。これらは糖質不足の指標。 • 糖尿病の診断基準:①空腹時血糖値が126mg/100mL 以 上 ② 7 5 g ブ ド ウ 糖 負 荷 試 験 の 2 時 間 値 が 2 0 0 m g / 100mL以上③随時血糖が200mg/100mL以上のいずれ かが、別の日に行なった2回以上の検査で確認された場 合。1回の検査でだけで認められた場合は「糖尿病 型」。 • ただし、糖尿病型でも以下の条件のいずれかがあれば 糖尿病、①典型的な症状(口渇、多飲・多尿、体重減 少)②ヘモグロビンA1C(HbA1C)が6.5%以上③糖尿 病性網膜症。 • 75gブドウ糖負荷試験の負荷前が110mg/100mL未満、 2時間値が140mg/100mL未満なら正常型。 • 正常型と糖尿病型のどちらにも入らないものを境界 型。 • 2型糖尿病:インスリン分泌異常やインスリン抵抗性な

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どの遺伝的異常に、発症因子として過食、偏食、運動 不足、ストレスなどの生活習慣が加わり、無症状のう ちに発症する(1型糖尿病は膵臓からインスリンが分泌 されないものでインスリン投与が必要。2型糖尿病は 太っていることが多く減量で改善する。これに対して1 型糖尿病はやせていることが多く、肥満などの生活習 慣との関係は少ない)。 グリコヘモグロビン • ヘモグロビンA1C(HbA1C)とも言う。過去1∼3ヶ月 の平均血糖値を反映。 フルクトサミン • ブドウ糖と血中蛋白質が非酵素的に結合した糖化蛋白 質の総称。過去10∼14日間の平均血糖値を反映。 (4) 尿中排泄成分(表6) ①クレアチニン・身長係数 • クレアチンの大部分は骨格筋に存在。その代謝産物で あるクレアチニンの24時間の尿中排泄量は筋肉量を反 63

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映。身長の同じ人の排泄量と比較して筋蛋白質量を評 価する。 ②3-メチルヒスチジン • 筋線維蛋白質の構成アミノ酸。約90%が骨格筋に存 在。尿中排泄量で骨格筋の異化の程度を評価出来る。 • クレアチニンが骨格筋量を反映するので、3-メチルヒ スチジン/クレアチニンによって骨格筋量あたりの分 解量の指標となる。 (5) 免疫能 • 免疫グロブリンが関係する体液性免疫と、リンパ球が 関与する細胞性免疫がある。栄養状態の低下はこれら の機能を低下させるので、免疫能の検査で栄養状態を 評価できる。 (6) 窒素平衡 • 健常成人では窒素の摂取量と排泄量は等しい。 • 正の窒素出納(摂取量>排泄量):成長期、健康な妊 婦、重い病気からの回復期。 • 負の窒素出納(摂取量<排泄量):極度の低蛋白質 食、絶食時、ガンの末期、熱性疾患、大きな外科手術 後など。 3. 食事調査 • 身体側の栄養状態は食物の消化・吸収や代謝の状況、 腸内環境などによる食物の利用効率の影響を受ける。 • 食事調査は間接的な栄養評価・判定法だが、食事摂取 量の変化は栄養状態と連動していることが多い。この ため、食事調査によって栄養素の摂取状況や食習慣を 知ることは、適正な栄養ケア計画を作成するために重 要である。 4. 低栄養状態の評価・判定指標(表9) • 高齢者の血清アルブミン低値は総死亡率に関して独立 した危険因子である/3.5g/100mL以下で内臓蛋白質 が減少。2.8g/100mL以下で浮腫。3.5g/100ml以下は 食事や栄養補助食品による経口的補給で改善可能な段 階。 • 蛋白質の補給量を決定する場合は、腎機能を考慮する ために血中尿素窒素(BUN)/クレアチニン(Cr)を 確認。 • 脂質、血糖、HbA1C に問題があってもPEM(Protein-energy malnutrition、蛋白質・エネルギー低栄養状 態)であれば、PEMを優先して解決する。 • 介護予防では表8のチェックリストで低栄養状態予防の ための評価を行う。 • BMIが18.5未満、血清アルブミン濃度が3.5g/100mL 以下の場合は栄養改善が必要。管理栄養士による栄養

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相談の対象となる。 • 要介護者の栄養状態は表9によって評価。全項目が低リ スクなら低リスク、中リスク以上の項目が一つでもあ れば中・高リスクと判定され、管理栄養士による栄養 ケアの対象となる。 5. メタボリックシンドロームの評価・判定指標 • メタボリックシンドローム:内臓脂肪の蓄積によりイ ンスリン抵抗性が起こり、肥満、高血糖(糖尿病)、 高血圧、高脂血症など、動脈硬化の危険因子が重なり 合った状態。 • 診断基準:①腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以 上(内臓脂肪面積100cm2に相当)②高中性脂肪血症 (中性脂肪150mg/100mL以上)かつ/またはHDLコ レス テ ロ ール が 4 0 m g / 1 0 0 m l 未 満 ③ 収 縮 期 血 圧 が 130mmHg以上かつ/または拡張期血圧が85mmHg以 上④空腹時血糖が110mg/100mL以上の4項目のうち、 ①に該当し、かつ②∼④の条件に二つ以上該当してい る場合。 • エネルギー、脂質、食塩の摂取過剰や運動不足が関係 しているので、これらの生活習慣を改善し、肥満やイ ンスリン抵抗性を是正することが基本的な治療。 65

参照

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