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魅力度の類似した顔のグループに対するチアリーダー効果―観察者の性別と顔の性別の影響―

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DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.38.6

魅力度の類似した顔のグループに対するチアリーダー効果

1

―観察者の性別と顔の性別の影響―

服 部 友 里

a

・渡 邊 伸 行

b

・鈴 木 敦 命

c,

*

a株式会社電算システム,b金沢工業大学,c東京大学

The cheerleader effect for a group of similarly attractive faces:

Modulation by the observer and face gender

Yuri Hattori

a

, Nobuyuki Watanabe

b

, Atsunobu Suzuki

c,

*

a Densan System Co., Ltd., b Kanazawa Institute of Technology, c The University of Tokyo

It has recently been reported that a person’s face is perceived as more attractive when presented in a group than when presented alone. This phenomenon is called the cheerleader effect. To distinguish this effect from classical as-similation and contrast effects, this study examined if it was observable when similarly attractive faces were present-ed in a group. It also explorpresent-ed whether the cheerleader effect was modulatpresent-ed by the combination of the observer and face gender, considering that there are well-known gender differences in face processing. In each trial of the experi-ment, participants rated the physical attractiveness of a target face that was presented alone or together with two dif-ferent faces. In the latter type of trial, the three faces were of the same gender and were of similar attractiveness. The cheerleader effect was successfully replicated in the present experimental setting, and the size of the effect was par-ticularly large when female participants rated male faces. These findings indicate that the cheerleader effect may oc-cur through mechanisms that are different from assimilation and contrast with surrounding faces, and that the effect is subject to modulation by both observer and face gender.

Keywords: attractiveness, cheerleader effect, face, gender difference, hierarchical encoding

序 論 雑誌の巻頭やグラビアを飾るアイドル達の写真は,グ ループで写っているものもあれば,1人で写っているも のもある。それらを見比べた時,同一人物であるのに, グループ写真の顔の方が1人で写っている写真の顔より も格好良く見えたり,可愛く見えたりした経験はあるだ ろうか。もしそのような経験があったとしたら,それは Walker & Vul (2014)が一連の実験で明らかにしたチア リーダー効果によるものかもしれない。

Walker & Vul (2014)は,顔写真の魅力度の評価を,

単独で提示した場合(単独提示条件)と2枚の異なる人 物の顔写真と同時に提示した場合(グループ提示条件) の2 度行うことを参加者に求めた(実験 1–3, 5)。そし て,同じ人物の同じ顔写真であっても,グループ提示条 件の方が単独提示条件よりも魅力度評価が高い傾向にあ ることを明らかにした。つまり,1人でいる時よりもグ ループ内にいる時の方が人の顔は魅力的に見えるという ことである。Walker & Vul (2014)は,アメリカのテレ ビドラマ“How I Met Your Mother”のエピソードにちな んで,この現象をチアリーダー効果と名づけた。 我々は,このチアリーダー効果が従来よく知られてい る同化・対比効果だけでは説明できない新奇な現象であ るかを検証する実験を行った。結果として,その新奇性 を支持する証拠に加えて,チアリーダー効果が観察者 (魅力度を評価する参加者)と顔の性別の交互作用的影 響を受けることを観測したのでここに報告する。 Walker & Vul (2014)は,チアリーダー効果が以下の3 つの過程・現象の組み合わせで生じると提案している。 Copyright 2019. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. * Corresponding author, Department of Psychology,

Graduate School of Humanities and Sociology, The University of Tokyo, 7–3–1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113–0033, Japan. E-mail: atsuzuki@l.u-tokyo.ac.jp

1 本研究は第一著者が名古屋大学に提出した修士学位

論文の一部および日本心理学会第81回大会における ポスター発表を加筆修正したものである.

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(a)複数の顔がグループ提示されると,その平均が計算 される。(b)グループ内の個々の顔の知覚表象は(a) の平均で補正される(平均に引き付けられる)。(c)平 均補正された顔は元の顔よりも魅力度が高い。 (a)のように,視覚刺激の集合を目にするとその平均 や分散などの要約表象が計算されることはアンサンブル 知 覚 と 呼 ば れ る(Alvarez, 2011; Haberman & Whitney, 2012)。アンサンブル知覚は,大きさ(Ariely, 2001)や 方位(Dakin & Watt, 1997)といった比較的単純な視覚特 徴 で 定 義 さ れ た 刺 激 だ け で な く, 顔 の 表 情 や 性 別 (Haberman & Whitney, 2007), 視 線(Sweeny & Whitney,

2014), バ イ オ ロ ジ カ ル モ ー シ ョ ン(Sweeny, Haroz, & Whitney, 2013)などの複雑な視覚刺激の集合に対しても 生じることが示されている。(a)で想定されている顔の アイデンティティのアンサンブル知覚を直接実証した研 究も複数ある(Bai, Yamanashi Leib, Puri, Whitney, & Peng, 2015; de Fockert & Wolfenstein, 2009; Neumann, Schwein-berger, & Burton, 2013)。次に,(b)のように,集合内の 個々の視覚刺激の知覚表象がアンサンブル知覚で形成さ れた要約表象(特に平均)によって補正されることは階 層的符号化と呼ばれる(Brady & Alvarez, 2011)。例えば, 大きさの異なる円の集合を見た時に,平均の大きさより も小さな円は実際よりも大きく知覚され,大きな円は実 際よりも小さく知覚されるといった現象を指す(Brady & Alvarez, 2011)。最近の研究で階層的符号化が顔の表情 に対しても生じることは示されているものの(Corbin & Crawford, 2018; Griffiths, Rhodes, Jeffery, Palermo, & Neu-mann, 2018), (b)で想定されている顔のアイデンティ ティの階層的符号化は我々の知る限りまだ報告されてい ない。そして,最後の(c)は,多数の顔を平均した顔 (平 均 顔) は 元 の 顔 よ り も 魅 力 的 に 見 え(Langlois &

Roggman, 1990), 元の顔を平均顔に近づけると魅力度が 増す(Rhodes & Tremewan, 1996)ことを根拠としている。 階層的符号化か同化・対比か

以上のようにWalker & Vul (2014)によるチアリーダー 効果の説明は顔の階層的符号化を中心に据えている。こ の階層的符号化仮説が正しければ,顔の魅力度知覚を調 整する従来認識されていなかったメカニズム(Penton-Voak & Morrison, 2011)が見出されたことを意味し,チ アリーダー効果は顔研究の観点から大変興味深い新奇な 現象と言えよう。しかし,本当に新しいメカニズムが発 見されたのか,つまり,チアリーダー効果の原因が顔の 階層的符号化であるのかについては疑問が呈されている (van Osch, Blanken, Meijs, & van Wolferen, 2015)。

広く捉えると,チアリーダー効果はターゲットとなっ ている人物の顔の魅力度評価が他の人物の顔の魅力度に よって変化する文脈効果の一種である。そして,顔の魅 力度評価における文脈効果として,古くから同化と対比 の存 在 が よ く 知 ら れ て い る(Cogan, Parker, & Zellner, 2013; Geiselman, Haight, & Kimata, 1984; Melamed & Moss, 1975; Rodway, Schepman, & Lambert, 2013)。 同 化 と は, ターゲット顔の魅力度が空間的ないし時間的に近接して 提示された他の顔の魅力度に近づいて知覚されること (例えば,魅力度の高い顔[高魅力顔]と近接提示され ることで魅力度の低い顔[低魅力顔]の魅力度評価が 上がること)を指す(Geiselman et al., 1984; Rodway et al., 2013)。逆に,対比とは,ターゲット顔の魅力度が近接 提示された他の顔の魅力度から離れて知覚されること (例えば,高魅力顔と近接提示されることで低魅力顔の 魅力度評価が下がること)を指す(Cogan et al., 2013; Melamed & Moss, 1975)。そして,これまでの研究では, 複数の顔を同時提示(空間的近接提示)した時に同化が 生じやすく,継時提示(時間的近接提示)した時に対比 が起きやすいという傾向が指摘されている(Geiselman et al., 1984; Wedell, Parducci, & Geiselman, 1987)。加えて, 高魅力顔への同化の方が低魅力顔への同化よりも効果が 大きいという報告もある(Geiselman et al., 1984)。した がって,Walker & Vul (2014)の実験では複数の顔が同 時提示されていたことを考えると,チアリーダー効果は 顔の階層的符号化に因るものではなく,高魅力顔への同 化に過ぎないという可能性が否定できない(van Osch et al., 2015)。 そこで,チアリーダー効果が同化や対比では説明しが たい特異な現象であるかを調べるため,本研究では魅力 度が同程度の顔をグループ提示した場合にチアリーダー 効果が観測できるかを問う実験を行った。顔の魅力度の 等質性を高めた条件下では,同化や対比の影響は低く抑 えられると考えられる。したがって,同程度の魅力度の 顔をグループ提示した実験においてもチアリーダー効果 が観測されれば,その原因は同化や対比とは異なるメカ ニズムである階層的符号化にあるという仮説の蓋然性が 高まるだろう。ただし,魅力度の近い顔をグループ提示 しても,顔間にわずかに存在する魅力度の差が同化や対 比を引き起こすかもしれない。同化が起きた場合には, グループ内での魅力度が低い顔ほど周囲の顔に惹きつけ られて魅力度が上昇し,チアリーダー効果は大きくなる ことが予測され,対比が起きた場合には,逆にグループ 内での魅力度が高い顔ほど周囲の顔との反発によって魅 力度が上昇し,チアリーダー効果は大きくなると予測さ

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れる。言い換えると,チアリーダー効果とグループ内で の顔の魅力度の順位の間に上記のような系統的関係がな ければ,同効果の原因が同化や対比にあるとは考えづら く,階層的符号化仮説の蓋然性が高まるだろう。 観察者と顔の性別の影響 以上の同化・対比との違いに関する検証に加えて,本 研究では観察者の性別と顔の性別がチアリーダー効果に 与える影響についても検討した。Walker & Vul (2014) 以降,チアリーダー効果はCarragher, Lawrence, Thomas, & Nicholls (2018)によって再現されているが(ただし, Ojiro et al. (2015)およびvan Osch et al. (2015)による追 試できなかったという報告も参照), 2つの研究に含まれ る7つの実験のうち6つは女性の顔写真を用いたもので ある。したがって,チアリーダー効果が顔の性別によら ず(男性の顔写真でも)生じる一般的な現象であるとい う証拠は乏しい。さらに,いずれの実験でも一方の性別 の人物の顔写真だけが使用されていたため,観察者と顔 の性別の組み合わせによるチアリーダー効果の変動はま だ検討されていない。 しかし,顔の魅力度評価や知覚・認知処理は,顔の性 別や観察者の性別の影響を受けることがよく知られてい る。一般に,男性は女性よりも顎が発達しており,女性 は男性よりも唇が厚いなど,ヒトの顔には性差がある。 そして,女性の顔は顔の「女性性」(男性とは異なる女 性の顔特徴を持つ程度)を強調すると魅力度が高くなる 傾向にあるが,男性の顔の魅力度と顔の「男性性」の間 の相関関係には文脈・状況による変動や個人差が大きい と指摘されている(Little, 2014; Penton-Voak & Morrison, 2011)。つまり,女性は男性性の高い男性顔を必ずしも 好まず(Perrett et al., 1998), 男性的な顔への選好は月経 周期が卵胞期であるとき,短期的な性的関係を志向する ときや付き合っている男性がいるとき(あるいはそのよ うな属性を持つ女性)に高い傾向があるという(Little, Jones, Penton-Voak, Burt, & Perrett, 2002; Penton-Voak et al., 1999)。こうした違いの背景には,男性顔の男性性の両 義性があると提案されている。すなわち,男女ともに性 特有の顔特徴は生殖上の観点からは好ましい形質(高い 受胎能力や免疫力など)を持つことの信号だとされる が,男性的な顔は育児のパートナーとしては必ずしも好 ましくない形質(高い攻撃性や低い協力性など)を持つ ことを暗示し(Perrett et al., 1998), 女性がどちらに重き を置くかに応じてどのような男性顔を選好するかが変わ るという(Little et al., 2002; Penton-Voak et al., 1999)。こ のことは,女性顔と比較すると男性顔には安定的に共有

された魅力度評価基準がないことを示唆する。実際,女 性顔よりも男性顔の方が魅力度評価の観察者内一貫性や 観察者間一致性が低いと報告されている(Kerr & Kurtz, 1978; Schulman & Hoskins, 1986)。

また,顔の再認記憶には女性観察者優位性と同性バイ アスの存在が指摘されている(Herlitz & Lovén, 2013)。 つまり,女性観察者は男性観察者よりも顔の再認記憶に 優れている傾向(Rehnman, & Herlitz, 2007)や,以前見 た同性の顔は以前見た異性の顔よりも後に再認されやす い傾向(Lovén, Herlitz & Rehnman, 2011)がある。そし て,同性バイアスは女性観察者で特に顕著だという (Herlitz & Lovén, 2013)。女性観察者が顔再認において優 位性や同性バイアスを示すのは,女性が男性よりも顔の 知覚処理に熟達しており,熟達の程度が男性顔よりも女 性顔で高いためではないかと提案されている(Herlitz & Lovén, 2013; Lovén et al., 2011)。女性観察者優位性は顔の アンサンブル知覚についても報告されており,グループ 提示された多数の顔からその平均を抽出する精度は,顔 の性別によらず女性観察者の方が高い(Bai et al., 2015)。 一方,de Fockert & Gautrey (2013)は,4つの顔を同時に 見せられた直後にその平均顔を見たと答えるエラーが, 観察者と顔の性別が一致するときに多いことを明らかに した。この結果から,彼らは自分と同性の顔がグループ 提示されると個々の顔の認識が曖昧になることを示唆し ている。 以上を踏まえると,チアリーダー効果も観察者の性別 や顔の性別に依存して異なる振る舞いを示す可能性は十 分に考えられる。ただし,具体的にどのように変動する かについては複数の予測が成り立ち,中には相反するも のもある。Walker & Vul (2014)がチアリーダー効果の 背後にあると想定する階層的符号化は,誤差を多く含み 得る個別の刺激の知覚表象を相対的に誤差の少ないアン サンブル表象(平均)で補正することによって,個別表 象の精度向上に貢献していると提案されている(Alva-rez, 2011; Brady & Alva象の精度向上に貢献していると提案されている(Alva-rez, 2011; Griffiths et al., 2018)。階層 的符号化がそうした知覚の最適化を実現しているのであ れば,誤差が多く不確実性の高い刺激のグループに対し て階層的符号化が強く生じ,ひいてはチアリーダー効果 も大きくなると予測される(Walker & Vul, 2014)。ここ で, 上 述 し た 知 覚 的 熟 達 の 差(Herlitz & Lovén, 2013; Lovén et al., 2011)により,男性は女性に比べて顔を観察 した際に誤差の多い知覚表象を形成しがちであり,ま た,女性観察者に限ると女性顔よりも男性顔の知覚表象 に誤差が多いという傾向があるとする。この場合,男性 観察者は女性観察者よりも大きなチアリーダー効果を示

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し,また,女性観察者は女性顔(同性顔)よりも男性顔 (異性顔)に対して大きなチアリーダー効果を示すはず である。一方,de Fockert & Gautrey (2013)が主張する ように同性の顔がグループ提示されると個々の顔の認識 が曖昧になるのであれば,個々の顔の補正,ひいてはチ アリーダー効果は異性顔よりも同性顔に対して大きくな るかもしれない。つまり,チアリーダー効果が同性顔と 異性顔のどちらに対して強く生じるかについては相反す る予測を導出でき,実証的な検証が必要である。 そこで,本研究では,女性の顔写真と男性の顔写真の 両方を刺激に用いた実験を行い,参加者(観察者)の性 別と顔の性別の組み合わせによるチアリーダー効果の変 動について探索的に検討した。この検討は,個々の実験 において一方の性別の顔写真だけを使用していた先行研 究では困難であり(Carragher et al., 2018; Walker & Vul, 2014), 上述した魅力度の等質化の試みと同様に本研究の ユニークな点である。なお,本実験では同じ顔写真が繰 り返し提示されたため,反復接触によって刺激への好意 度が上昇する単純接触効果(Zajonc, 1968)とチアリー ダー効果とを区別するための補助的な検討も行った。な お,本実験およびそれに関連する事前調査は,第一著者 と第三著者が名古屋大学大学院環境学研究科心理学講座 に在籍している間に行われ,事前の倫理審査と承認を経 て実施された。 事 前 調 査 本実験で使用する顔写真の選定・分類のため,過去の 研究(以下,事前調査; 鈴木・渡邊・鈴木・吉田・山 田,2012)で得られたデータを利用した。事前調査は, 顔情報データベース(Facial Information Norm Database

[FIND]; 渡邊他,2007)に収録されている150名の日本

人の無表情顔写真(女性85名,男性65名), および,Jap-anese and Caucasian Facial Expressions of Emotion (JACFEE; Matsumoto & Ekman, 1988)に収録されている12名の日 本人の表情あり顔写真(喜び,驚き,恐怖,怒り,嫌 悪,悲しみの表情を男女各1名)を用いて行われた。な お,使用したFINDの顔写真には2つの異なる条件で撮 影されたものが含まれていた(撮影条件1: 女性60名, 男性40名; 撮影条件2: 女性25名,男性25名)。 調査は上記の顔写真について印象評価または表情評価 を参加者に求めるものであった。調査は心理学関連の講 義後に質問紙を用いて行われ,自発的に参加してくれる 受講生を対象とした。質問紙には FIND顔画像30枚と JACFEE 顔画像 6 枚が回答欄とともに 6 頁(6 画像/頁) に分けて印刷されていた。各顔写真には,①眉・眼・ 鼻・口を含むように正方形に切り取る,②グレースケー ルに変換する,③輝度の最小値が0, 最大値が255, 平均 値が160におおよそなるようにレベル補正を行う,④大 き さ を130×130 ピクセル(質問紙上は約 2.7×2.7 cm) に縮小する,という加工がAdobe Photoshopを用いて施 された。印象評価用の質問紙には,信頼性,支配性,魅 力度,性別を5件法尺度で評価する回答欄が各顔写真の 下に印刷されていた。表情評価用の質問紙には,表情の 快/不快と覚醒度を5件法尺度で評価し,表情の種類を 7つの選択肢(真顔[無表情], 驚き,悲しみ,怒り,喜 び,恐怖,嫌悪)から1つ選ぶ回答欄が印刷されていた。 どちらの質問紙にも,含まれている顔写真とその出現順 序が異なる10個のバージョンがあった。 各参加者に印象評価質問紙または表情評価質問紙の1 つのバージョンを無作為に配布した。そのため,顔写真 ごとに評価者数は異なっていた。魅力度評価(「1. とて も魅力的でない」–「5. とても魅力的である」の5件法) を含む印象評価質問紙には224名(女性101名,男性123 名; 年齢 18–37歳)が回答し,各顔写真の評価者数は 40–49名(女性の割合は37–57%)であった。表情評価質 問紙には219名(女性99名,男性120名; 年齢18–37歳) が回答し,各顔写真の評価者数は41–47名(女性の割合 は33–64%)であった。 方 法 参加者 心理学関連の講義を受講する大学生を対象に,メール と ク ラ ウ ド ベ ー ス の研 究 参 加 者 採 用 ソ フ ト ウ ェ ア (http://www.sona-systems.jp)を用いて参加者の募集を 行った。参加者は実験参加によって課外学習点を与えら れた。あらかじめ設定した約2週間の期間中に申し込み のあった受講生に対して実験を実施した結果,参加者数 は71 名(女性 30 名,男性 41 名; 年齢 18–20 歳)となっ た。なお,事前の例数設計は行っていなかった。 実験の最後に,実験の仮説を考えたか否かをすべての 参加者に尋ねたところ,52名が「はい」と回答したが, チアリーダー効果に言及した者はおらず,同効果に類似 していると解釈できる結果予測を述べた者も4名(男女 各2名)だけであった(「他人と比較したときのほうが 魅力度がより強調される」,「1人で見るとあまり魅力を 感じていなくても,3人で並ぶと魅力を感じる」,「単独 で魅力的である顔が並んでいたら残り1つも魅力的に見 える」,「比較したときに相対的に同一の顔がよく見える か」)。したがって,本実験の参加者は心理学関連の講義 の受講生ではあったが,チアリーダー効果に関する事前

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知識を教授されてはいなかったと考えられる。 刺 激 上述の事前調査(鈴木他,2012)で得られたデータに もとづいて,60名の日本人若年者(男女各30名)の無 表 情・ 正 面 向 き の デ ジ タ ル 顔 写 真 を FIND (渡邊他, 2007)から選定した。まず,事前調査で用いた撮影条件 1 の 100 枚の顔写真の中から,表情評価における真顔 (無表情)への分類率が50%以上だった81枚(女性46枚, 男性 35枚)を抽出した。その中から,女性顔と男性顔 の間で魅力度評価の全参加者平均値の分布ができるだけ 近 く な る よ う に 配 慮 し て 60 枚 の 顔 写 真 を 選 定 し た (Table 1)。顔写真には事前調査と同様の加工(ただし, 大きさは 135×135ピクセルに揃えた)をAdobe Photo-shopで施し,実験用の刺激とした。 事前調査で得られた魅力度評価の全参加者平均値を基 に,各顔の魅力順位(女性顔と男性顔の別に1–30位[値 が小さいほど魅力度が高い])を定義した。さらに,魅 力順位が 1+3(i−1), 2+3(i−1), 3+3(i−1)の顔を1セッ トとして(i=1, , 10), 女性顔と男性顔をそれぞれ10 セットに分けた。 手続き 一度に1–3名の参加者を対象に実験を行った。参加者 に実験の概要を説明して参加の同意を得た後,魅力度評 価課題を実施した。この課題は女性の顔刺激だけを用い るセッションと男性の顔刺激だけを用いるセッションに 分かれており,セッションの実施順序は参加者間でカウ ンターバランスを取った。いずれのセッションでも,参 加者は外見的魅力の評価を行うように教示された。 課 題 魅力度評価課題にはグループ提示条件と単独提示条件 が あ っ た(Figure 1)。 グ ル ー プ 提 示 条 件(Figure 1, Group condition)では,画面中央に灰色の横長の長方形 が1秒間,ブランク画面が0.5秒間提示された後(Rodway et al., 2013を参照),3枚の顔写真が画面の左,中央,右 に横一列に1秒間提示された。次に,3枚の顔写真が提 示された状態で魅力度評価の対象となる顔写真(ター ゲット顔)の下に矢印が1秒間提示された。その後,魅 力度評価をする画面に切り替わった。魅力度評価画面で は,左端が「魅力的でない」ことを,右端が「魅力的で ある」ことを表す Visual Analog Scale (VAS)が表示され

た。参加者は VAS上でマーカーを左右にマウス移動さ せ,ターゲット顔の魅力度に該当する位置をクリックで 回答した。VAS上のクリック位置に応じて,魅力度評価 は1–100の範囲の整数値で記録された。魅力度評価画面 は回答があるまで表示され,回答が入力されると次の試 行に移った。グループ提示条件で同時提示される3枚の 顔写真は,同じセットに含まれる魅力順位の隣接する顔 写真であった(「刺激」の項を参照)。つまり,事前調査 における魅力順位が1+3(i−1), 2+3(i−1), 3+3(i−1)の 顔写真がグループ提示された(i=1, , 10)。

単独提示条件(Figure 1, Single condition)では,画面 中央に灰色の横長の長方形が1秒間,ブランク画面が0.5 秒間提示された後,ターゲット顔だけが画面の左,中 央,または右に1.33秒間提示された。その後,グループ 提示条件と同様に,魅力度評価をする画面に切り替わっ た。 グループ提示条件において,参加者が前半の1秒間に 3枚の顔写真を均等に見るとすると,ターゲット顔を見 Table 1.

Descriptive statistics for attractiveness ratings of face stimuli from a previous study (Suzuki et al., 2012) and from the present study (Single Condition).

Female faces Male faces

M SD Min Max M SD Min Max

Previous Study (Suzuki et al., 2012)

All Participants 2.646 0.398 1.957 3.400 2.650 0.403 2.000 3.477

Female Participants 2.845 0.445 2.048 3.789 2.632 0.428 1.909 3.545

Male Participants 2.483 0.393 1.833 3.143 2.663 0.424 1.842 3.519

Present Study (Single Condition)

All Participants 39.282 8.015 22.972 53.451 43.732 8.666 27.183 60.155 Female Participants 44.158 8.237 28.267 58.767 43.134 8.177 28.167 60.467 Male Participants 35.715 8.148 19.098 52.732 44.170 9.311 26.463 59.927

Note. The possible ranges of attractiveness ratings were from 1 to 5 and from 1 to 100 in the previous and present studies,

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る時間は後半の1秒間と合わせて約1.33秒になる。この 前提の下で,ターゲット顔を見る時間を2条件間で合わ せるため,単独提示条件における顔写真の提示時間を 1.33秒とした(Walker & Vul, 2014, Experiment 3)。

すべての顔写真について,魅力度評価はグループ提示 条件と単独提示条件の2回行われた。つまり,全試行回 数は120試行(女性の顔写真のセッション60試行,男性 の顔写真のセッション60試行)であった。1セッション はさらに6ブロックに分割され,参加者はブロック間で 小休止を取ることができた。各ブロックでは,グループ 提示条件5試行と単独提示条件5試行がランダムな順序 で実施され,10個の顔写真セットがいずれかの条件で1

回用いられるようになっていた。なお,Walker & Vul (2014)ではグループ提示された3枚の顔写真の魅力度

評価が連続して行われていたが,そのような手続きは反 応バイアスによる評価の同化を誘発する可能性があるた め(Pegors, Mattar, Bryan, & Epstein, 2015), 今回の実験で は採用しなかった。また,顔写真の提示位置は参加者内 では一定とし,参加者間でカウンターバランスを取っ た。つまり,例えば,ある参加者のグループ提示条件で 画面左に提示された顔は単独提示条件でも画面左に提示 された(Figure 1)。 装 置 魅力度評価課題の制御と回答の記録にはデスクトップ パソコン(HP ProDesk 600 G1 SFF, DELL Vostro 220s, また はDell OptiPlex 960)とE-Prime 2.0 (https://pstnet.com)を 使用した。刺激提示には19型スクエア液晶ディスプレ イ(Dell E190Sb, BenQ ET-0006-B, またはDELL E198FPb;

画面サイズ約 38×30 cm, 解像度設定1280×1024ピクセ ル)を使用し,ディスプレイと参加者の距離は約60 cm とした。ディスプレイの左上を原点としたとき,グルー プ提示条件における左の顔写真の中心ピクセル座標は (497, 512), 中央の顔写真の中心ピクセル座標は(640, 512), 右の顔写真の中心ピクセル座標は(783, 512)で あった。つまり,3つの顔写真はディスプレイ中央の 421×135ピクセル(約12.5×4.0 cm)を占め,観察距離 60 cmからの大きさは視角にして約11.9×3.8度だった。 この設定は,視角 11.9×14.8度の領域に2行2列で並べ られた4つの顔写真に対してアイデンティティのアンサ

ンブル符号化が生じたという報告(de Fockert & Wolfen-stein, 2009)を参考にしたものであった。

分 析

まず,単独提示条件における魅力度評価の記述統計量 を算出し,本実験と事前調査との間に目立った解離がみ られないかを確認した。

チアリーダー効果に関する分析はWalker & Vul (2014) の方法に倣った。すなわち,チアリーダー効果サイズを 参加者ごとに計算した。計算は女性顔写真セッションと 男性顔写真セッションに分けて行った。まず,参加者内 で60試行の魅力度評価値を標準化した。次に,参加者 ごとに,標準化魅力度評価値のグループ提示条件での平 均値と単独提示条件での平均値を求めた。そして,前者 の平均値と後者の平均値の差を各参加者のチアリーダー 効果サイズ(値が正であればチアリーダー効果が生じて いたことを意味する)とした。このチアリーダー効果サ イズを従属変数として,参加者の性別と顔の性別を要因 Figure 1. Schematic trial sequence of the attractiveness rating task. Verbal labels were written in Japanese (Attractive=魅力

的である,Unattractive=魅力的でない) and face photos of real people were used as stimuli in the actual experiment. Sample faces in this figure were not of real people but were computer graphics images created using FaceGen Modeller (https://facegen.com/).

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とする分散分析と下位検定を行った。また,各組合せ条 件でチアリーダー効果が生じていたかを確認すべく,チ アリーダー効果サイズの平均値と 0との差についてt検 定を行った。さらに,グループ提示された顔間の若干の 魅力度の差にもとづく同化や対比がチアリーダー効果を 生じさせたという可能性を排除するため,グループ内で の顔の魅力順位がチアリーダー効果サイズに与える影響 を分散分析で検討した。 上記の主要な分析に加え,チアリーダー効果と単純接 触効果(Zajonc, 1968)との交絡がないことの確認とし て,魅力度評価時におけるターゲット顔への接触回数に グループ提示条件と単独提示条件の間で差が認められる かをt検定によって,また,その差がチアリーダー効果 サイズを調整しているかを線形混合モデル分析(West, Welch, & Galecki, 2015)によってそれぞれ検討した。さ らに,単純接触効果は初期の選好度が低いあるいは高い 刺激に対して生じにくいという報告(Delplanque, Cop-pin, Bloesch, Cayeux, & Sander, 2015)を踏まえ,各顔の事 前調査における魅力順位とチアリーダー効果サイズとの 相関を探索的に検討した。

統計分析はR version 3.3.1 (R Core Team, 2016)で実行 し, 分 散 分 析 に は anovakun version 4.8.0 (井 関,2016) を, 線 形 混 合 モ デ ル 分 析 に は lmerTest version 3.0-1 (Kuznetsova, Brockhoff, & Christensen, 2017)を用いた。

結 果 事前調査との比較 顔刺激の魅力度評価に関する記述統計量を事前調査の データと本実験の単独提示条件のデータから算出した結 果を Table 1に示す。どちらの結果も共通して,本実験 で使用した顔刺激が魅力度の低いものから中程度のもの であった(高い魅力度のものは含まれていなかった)こ とを示している。また,事前調査における魅力度評価の 全参加者平均値が女性顔と男性顔の間でできるだけ近く なるように刺激選定を行っていたが,本実験のデータで は男性顔よりも女性顔で同平均値が小さかった。これは 男性参加者による女性顔の魅力度評価の平均値が特に小 さかったことを主に反映すると見て取れるが,この条件 で魅力度評価の平均値が最小であるのは事前調査でも同 様であった。加えて,事前調査のデータから定義された 各顔の魅力順位(女性顔と男性顔の別に 1–30位[値が 小さいほど魅力度が高い])と本実験の単独提示条件に おける魅力度評価平均値との間には強い相関関係があっ た(女 性 参 加 者・ 女 性 顔: r=−.820, t(28)=−7.586, p<.001; 女性参加者・男性顔: r=−.853, t(28)=−8.634, p<.001; 男性参加者・女性顔: r=−.807, t(28)=−7.242, p<.001; 男性参加者・男性顔: r=−.859, t(28)=−8.859, p<.001)。これらの強い相関を踏まえると,本実験にお ける顔刺激の魅力順位の操作はおおむねうまくできてい たと考えられる。 参加者の性別と顔の性別の影響 参加者の性別と顔の性別の組み合わせごとに算出した チアリーダー効果サイズの平均をFigure 2に示す。女性 参加者では男性の顔に対するチアリーダー効果サイズが 女性の顔に対するものよりも大きかった一方,男性参加 者ではどちらの性の顔に対しても同程度のチアリーダー 効果サイズが観測された。チアリーダー効果サイズを従 属変数とし,参加者の性別と顔の性別を要因とする分散 分析を行ったところ,交互作用のみが統計的に有意だっ た(参 加 者 の 性 別 の 主 効 果: F(1, 69)=1.881, p=.175, ω^G2=.007; 顔の性別の主効果: F(1, 69)=2.767, p=.101, ω^G2=.010; 交互作用: F(1, 69)=4.735, p=.033, ω^G2=.020)。 下位検定を行った結果,顔の性別の単純主効果は女性参 加者においてのみ統計的に有意だった(女性参加者: F(1, 29)=6.786, p=.014, ω^G2=.067; 男性参加者: F(1, 40) =0.149, p=.702, ω^G2=−.009)。 また,1サンプルのt検定を行ったところ,すべての 組み合わせにおいてチアリーダー効果サイズの平均は0 より統計的に有意に大きかった(女性参加者・女性顔: t(29)=2.952, p=.006; 女 性 参 加 者・ 男 性 顔: t(29)= 6.179, p<.001; 男 性 参 加 者・ 女 性 顔: t(40)=3.833, p<.001; 男性参加者・男性顔: t(40)=3.568, p<.001)。

Figure 2. Means and standard errors of the cheerleader effect size as a function of participant’s gender and face’s gender.

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グループ内での顔の魅力順位の影響 本実験でグループ提示された3つの顔は魅力度が類似 していたものの,全く同じではなかった。したがって, 3つの顔の間にある若干の魅力度の差によって同化や対 比が生じていた可能性を否定できない。そこで,事前調 査における魅力度評価平均値に基づいて各グループの3 つの顔を高・中・低魅力へと順位づけし,グループ内魅 力順位によるチアリーダー効果サイズの変動を分析し た。参加者の性別と顔の性別の交互作用が有意だったこ とを踏まえ,分析はこれらの 2要因の組み合わせ別に 行った。 Figure 3 は,グループ内魅力順位に応じたチアリー ダー効果サイズの平均を参加者の性別と顔の性別の組み 合わせごとに示したものである。図から,チアリーダー 効果サイズとグループ内魅力順位の間に一貫した関係は 見て取れない。分散分析を行ったところ,グループ内魅 力順位の効果は男性参加者の女性顔に対するチアリー ダー効果サイズにおいてのみ統計的に有意だった(女性 参 加 者・ 女 性 顔: F(1.99, 57.84)=0.987, p=.379, |ω^G2| <.001[F検定統計量の自由度にはGreenhouse–Geisserの 補正を 適用]; 女性参加者・男性顔: F(1.90, 54.99)= 1.727, p=.189, ω^G2=.014; 男性参加者・女性顔: F(1.93, 77.24)=5.752, p=.005, ω^G2=.057; 男性参加者・男性顔: F(1.95, 77.93)=0.765, p=.466, ω^G2=−.003)。Holmの方法 にもとづく多重比較の結果,男性参加者では魅力度が中 順位の女性顔に対するチアリーダー効果サイズが低順位 および高順位の女性顔に対するものよりも統計的に有意 に大 き か っ た が(高 順 位–中 順 位 間: t(40)=3.324, p=.002; 中順位–低順位間: t(40)=2.802, p=.008), 高順 位–低順位間の差は有意ではなかった(t(40)=0.138, p=.891)。 接触回数の影響 本実験では,すべての顔はグループ提示条件で3回と 単独提示条件で1回の合計4回提示された。したがって, もし魅力度評価時におけるターゲット顔への接触回数 (ターゲット顔を見るのが何回目であるか)が単独提示 条件よりもグループ提示条件で多かったならば,観測さ れたチアリーダー効果は単純接触効果(Zajonc, 1968) によって生じたアーティファクトの可能性がある。そこ で,対応のあるt検定により接触回数を2条件間で比較 したところ,統計的に有意な差は認められなかった(女 性参加者・女性顔: MDifference=− 0.059, t(29)=− 1.082, p=.288; 女性参加者・男性顔: MDifference=0.048, t(29)= 0.899, p=.376; 男 性 参 加 者・ 女 性 顔: MDifference=0.072, t(40)=1.649, p=.107; 男性参加者・男性顔: MDifference= 0.034, t(40)=0.619, p=.540)。 次に,チアリーダー効果サイズ(ここでは,標準化魅 力度評価値のグループ提示条件と単独提示条件の間の差 を各参加者・各顔別に計算したもの)を従属変数,接触 回数差(グループ提示条件−単独提示条件)を固定要因, 参加者と顔を交差ランダム要因とする線形混合モデル分 析(West et al., 2015)を行った。モデルは切片だけでな く接触回数差の効果も参加者と顔によって異なることを 想定するものであった。ただし,ランダム効果間の相関 は0に設定した(相関を許容すると,モデルの推定が収 束しないことがあった)。参加者と顔の性別の組み合わ せ別に分析をしたところ,いずれにおいても固定切片は 正の値を取り,統計的に有意であった(女性参加者・女 性 顔: β=0.102, SE=0.045, df=25.717, t=2.259, p=.033; 女性参加者・男性顔: β=0.228, SE=0.038, df=28.848, t= 6.021, p<.001; 男 性 参 加 者・ 女 性 顔: β=0.131, SE= 0.041, df=31.150, t=3.184, p=.003; 男性参加者・男性 顔: β=0.112, SE=0.034, df=27.100, t=3.281, p=.003)。 つまり,接触回数差の効果を統計的に統制してもチア リーダー効果は有意であった。なお,接触回数差の固定 効果は男性参加者の男性顔に対するチアリーダー効果サ イズにおいてのみ統計的に有意だった(女性参加者・女 性 顔: β=−0.001, SE=0.031, df=27.384, t=−0.040, p=.968; 女性参加者・男性顔: β=0.017, SE=0.025, df= 26.373, t=0.677, p=.504; 男 性 参 加 者・ 女 性 顔: β= −0.006, SE=0.027, df=38.670, t=−0.240, p=.812; 男性 参 加 者・ 男 性 顔: β=0.051, SE=0.022, df=39.340, t= 2.306, p=.026)。 さらに,単純接触効果は初期の選好度が低いあるいは Figure 3. Means and standard errors of the cheerleader

effect size as a function of participant’s gender, face’s gender, and the within-group attractiveness rank of the target face. Hi=highest attractiveness rank; Mi=mid-dle attractiveness rank; Lo=lowest attractiveness rank.

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高い刺激に対して生じにくいという報告(Delplanque et al., 2015)を踏まえ,各顔の事前調査における魅力順位 (女性顔と男性顔の別に1–30位[値が小さいほど魅力度 が高い])とチアリーダー効果サイズとの相関を調べた 結果,女性参加者と男性顔,男性参加者と女性顔の組み 合わせにおいて有意な正の相関係数が観測された(女性 参加者・女性顔: r=.103, t(28)=0.549, p=.587; 女性参 加者・男性顔: r=.392, t(28)=2.251, p=.032; 男性参加 者・ 女 性 顔: r=.409, t(28)=2.369, p=.025; 男 性 参 加 者・男性顔: r=.287, t(28)=1.588, p=.124)。 考 察 実験の結果,魅力度が同程度の顔をグループ提示した 場合でもチアリーダー効果は生じることが明らかになっ た。同効果は参加者(観察者)の性別や顔の性別によら ず統計的に有意だったが,その大きさは両者の組み合わ せによって異なっていた。具体的には,女性参加者は女 性の顔よりも男性の顔に対してより大きなチアリーダー 効果を示した。一方,男性参加者では有意な顔の性別の 効果は認められなかった。

Walker & Vul (2014)によると,チアリーダー効果は 階層的符号化(Brady & Alvarez, 2011; Corbin & Crawford, 2018; Griffiths et al., 2018)という顔の魅力に関する従来 の研究(Penton-Voak & Morrison, 2011)では見過ごされ ていた要因が関わる新奇な現象である。しかし,彼女ら はチアリーダー効果と顔の階層的符号化の関連を実証で きておらず,チアリーダー効果はグループ内の高魅力顔 に影響を受けた同化の一種に過ぎないという批判を免れ なかった(van Osch et al., 2015)。そこで,我々はグルー プ提示する3つの顔の魅力度の類似性を高めて同化(お よび対比)の影響を抑えた実験を行い,チアリーダー効 果の再現に成功した。さらに,チアリーダー効果はグ ループ内での顔の魅力順位(高・中・低の3段階)と一 貫した関係を持っていなかった(後述するグループをま たいだすべての顔刺激の中での魅力順位[1–30位]と チアリーダー効果の関係とは異なることに留意された い)。チアリーダー効果の原因が同化や対比にあるのな らば,魅力度の類似した顔をグループ提示した場合には 観測されないこと,さらに,グループ内での魅力順位が 低い顔ほど周囲への同化によって魅力度が上昇し,大き なチアリーダー効果を示すこと,あるいは,逆にグルー プ内での魅力順位が高い顔ほど周囲との対比によって魅 力度が上昇し,大きなチアリーダー効果を示すことが予 測される。本実験で得られた結果は以上の同化・対比か らの予測にいずれも反するものであり,階層的符号化の 関与を直接実証するものではないが,チアリーダー効果 が従来よく知られている同化・対比効果とは異なる現象 であることを強く示唆する。 また,チアリーダー効果を実証した過去の実験のほと んどでは女性の顔写真が用いられていた(Carragher et al., 2018; Walker & Vul, 2014)。したがって,本研究は男 性の顔に対してもチアリーダー効果が生じるという数少 ない証拠を提供したといえる。さらに,チアリーダー効 果が女性観察者では女性の顔よりも男性の顔に対して生 じやすいという結果は,本研究が初めて明らかにしたこ とである。ここで,女性は男性顔よりも女性顔の知覚に 熟達し(Herlitz & Lovén, 2013; Lovén et al., 2011), 男性顔の 知覚表象に女性顔よりも多くの誤差が含まれること,お よび,誤差の多い不確実な刺激のグループほど階層的符 号化が行われやすいこと(Walker & Vul, 2014)を仮定す れば,この結果をチアリーダー効果の階層的符号化仮説 と整合的に解釈できる。 序論でも述べたように,女性は以前見た男性の顔より も以前見た女性の顔の再認記憶に優れる(Herlitz & Lovén, 2013)。この同性バイアスは,女性が女性顔の知 覚に熟達していることを反映すると提案されている (Lovén et al., 2011)。つまり,発達初期に多く接する女性 (母親や女性保育者)の顔への知覚的熟達(Ramsey-Ren-nels & Langlois, 2006)は,男児よりも顔に注意を向けや すい女児(Connellan, Baron-Cohen, Wheelwright, Batki, & Ahluwalia, 2000)で強く生じ,成長後の同性ピアとの交 流(Martin & Fabes, 2001)を通じてさらに強化されると いう主張である。一方,階層的符号化は,誤差を多く含 み得る個別の刺激の知覚表象を相対的に誤差の少ないア ンサンブル表象(平均)で補正することによって,個別 表象の精度向上に貢献していると提案されている(Alva-rez, 2011; Brady & Alva表象の精度向上に貢献していると提案されている(Alva-rez, 2011; Griffiths et al., 2018)。階層 的符号化がそうした知覚の最適化を実現しているのであ れば,誤差が多く不確実性の高い刺激のグループに対し て強く生じると予測される(Walker & Vul, 2014)。した がって,知覚的熟達の同性バイアスを反映して女性では 女性顔よりも男性顔の知覚表象に誤差が多いとすると, 男性顔に対して階層的符号化が行われやすく,その結 果,チアリーダー効果も大きくなるという可能性が考え られる。

しかし,上記の説明はde Fockert & Gautrey (2013)の 実験結果と一見両立しがたい。彼らは,直前にグループ 提示された4つの顔の中にその平均顔が含まれていたと 回答するエラーが,観察者と顔の性別が同じ時に多かっ たと報告している。この結果は,先の我々の考察とは反

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対に,階層的符号化をされやすいのは(つまり,グルー プ成員の顔がグループの平均顔に近づいて知覚されやす いのは)異性顔よりも同性顔であると考えた方が説明し やすい。そして,チアリーダー効果が顔の階層的符号化 に起因するものなのであれば,異性顔よりも同性顔で生 じやすいはずだということになる。ただし,de Fockert & Gautrey (2013)の実験では,顔の符号化段階と記憶保 持・検索段階の区別をすることができない。すなわち, 参加者にはグループ提示された顔すべてを一時的に覚え ることが求められたため,グループ成員の顔と平均顔と の混同の原因が,個々の顔の符号化の段階にあるのか, 異なる顔の記憶表象を保持し,そこから検索を行う段階 にあるのかは明らかでない。つまり,彼らの知見を符号 化段階,すなわち,顔の階層的符号化に起因するものと 結論づけることは難しい。それに対して,チアリーダー 効果の実験は,グループ提示の最中にターゲット顔を指 定するため,複数の顔の記憶保持・検索は不要であり, ターゲット顔の符号化のみに焦点を当てているといえよ う。したがって,de Fockert & Gautrey (2013)の知見は, 異性顔は階層的符号化をされやすいという我々の考察に 対する強力な反証にはならない。

また,ここまでの議論は,Walker & Vul (2014)の提 案に則り,チアリーダー効果の原因が顔の知覚処理段階 での階層的符号化であることを前提としてきた。しか し,階層的符号化は様々な処理段階で起こり得る。例え ば,顔の知覚表象が形成された後に顔の魅力度が計算さ れるという逐次処理を仮定すると,後者の段階で階層的 符号化が生じることも考えられるだろう。序論で述べた ように,女性顔と男性顔を比べると後者の方が魅力度評 価の基準が明確ではないとかねてから論じられており (Kerr & Kurtz, 1978; Schulman & Hoskins, 1986), 実際,女 性がどのような男性顔に魅力を感じるかは月経周期や短 期的/長期的関係の志向などの状態・状況要因によって 変動する(Little, 2014; Little et al., 2002; Penton-Voak & Mor-rison, 2011; Penton-Voak et al., 1999)。以上の知見は女性 による男性顔の魅力度評価は不確実性が高いことを意味 し,ひいては魅力度評価段階での階層的符号化が起こり やすいことを示唆する。ただし,魅力度の階層的符号化 が生じた場合,グループ成員の顔の魅力度はグループの 平均魅力度に近づくため,グループ内での魅力順位が高 い顔については単独提示条件よりもグループ提示条件で 魅力度評価が低くなる(チアリーダー効果が観測されな い)はずである。本実験の結果はこうした予測に合致し ないため,魅力度評価段階での階層的符号化では説明が 難しいと考えられる。 ただし,本実験のすべての結果を顔の知覚処理段階で の階層的符号化と顔への知覚的熟達の性差にもとづいて 整合的に説明できるわけではないことも事実である。顔 の再認記憶の研究では,女性観察者が示す同性バイアス だけでなく,女性観察者が男性観察者よりも概して顔の 再認記憶に優れるという女性観察者優位性も指摘されて いる(Herlitz & Lovén, 2013; Rehnman & Herlitz, 2007)。さ らに,顔の知覚処理でも女性観察者優位性が認められる (Bai et al., 2015; McBain, Norton, & Chen, 2009)。これらの 知見から,前掲の同性バイアスをめぐる考察と同様に, 男性観察者が形成する顔の知覚表象には女性観察者より も概して多くの誤差が含まれると仮定すると,男性観察 者は女性観察者よりも顔の階層的符号化を行いやすく, ひいてはチアリーダー効果も示しやすいと予測される。 しかし,本実験では,チアリーダー効果サイズに対する 観察者の性別の有意な主効果は得られなかった。そもそ も顔の階層的符号化は表情に対して生じることは実証さ れているものの(Corbin & Crawford, 2018; Griffiths et al., 2018), アイデンティティに対しても生じるのかはまだ明 らかでない。また,ここまでの議論の鍵概念である「顔 の知覚表象の誤差」は,顔の再認記憶の性差に関する従 来の知見・理論に依拠した観念的なものであり,本実験 では測定されていない。今後の研究では,顔のアイデン ティティについても階層的符号化が起きるのかをまず明 らかにし,個別の顔の知覚表象の誤差の測定(例えば, Bai et al., 2015を参照)も行ったうえで,チアリーダー効 果の性差のメカニズムを探る必要があるだろう。 他に本研究で特筆すべき点として,チアリーダー効果 サイズの大きさが挙げられよう。チアリーダー効果サイ ズは,参加者内で標準化した魅力度評価値のグループ提 示条件と単独提示条件の間での差の平均値として定量さ れてきた。そして,チアリーダー効果の実証に成功した 過去の実験ではおおよそ0.02–0.06の範囲の値が効果サ イズの参加者間平均値として報告されている(Carragher et al., 2018; Walker & Vul, 2014)。それに対して,本研究で は参加者の性別と顔の性別の組み合わせに応じて 0.1– 0.2を超える値が観測された。そのため,本実験におけ るチアリーダー効果は何らかのアーティファクトによっ て生じた疑似効果ではないかと懸念されるかもしれな い。特に,先行研究とは異なり,本研究では参加者は同 じ顔刺激を繰り返し(合計4回)目にした。したがって, 魅力度評価を行う前にターゲット顔に接触していた回数 が単独提示条件よりもグループ提示条件で偶然多かった 場合は,単純接触効果(Zajonc, 1968)のために後者の 条件で魅力度評価が高くなり,それをチアリーダー効果

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と混同し得る。しかし,グループ提示条件と単独提示条 件の間でターゲット顔への接触回数に有意差はなかっ た。また,ターゲット顔への接触回数の条件間差の影響 を統計的に除去したうえでも,チアリーダー効果は有意 なままであった。つまり,本研究で観測されたチアリー ダー効果が実は単純接触効果に因るアーティファクト だったと強く疑う根拠はないように思われる。加えて, グループをまたいだ全顔刺激中での魅力順位とチアリー ダー効果の関係を検討したところ,女性参加者と男性 顔,男性参加者と女性顔の組み合わせにおいて有意な正 の相関が認められた。この結果も,初期選好度が低いあ るいは高い刺激では生じにくいとされる単純接触効果 (Delplanque et al., 2015)とは合致しない。一方,魅力度 の高い顔が平均顔から若干逸脱した顔特徴を有すること を仮定すれば(DeBruine, Jones, Unger, Little, & Feinberg, 2007), 平均補正による顔の魅力度の上昇とされるチア リーダー効果が魅力順位の高い顔で起きにくかったとい う結果を説明しうる。そして,先行研究に比して大きな チアリーダー効果が本研究で得られたのは,実験で使用 された顔刺激が魅力度の低いものから中程度のものだっ た(高い魅力度のものは含まれていなかった)からかも しれない。 さらに,先行研究は,日常的な環境で撮影された顔写 真を Webから収集して刺激に用いていた。こうした画 像は,顔の角度,照明,表情,髪型などに大きなばらつ き が あ り,「ア ン ビ エ ン ト 画 像」(Jenkins, White, van Montfort, & Burton, 2011)と呼ばれる。一方,本研究で は,一定の照明環境で撮影された無表情の正面向きの顔 写真(渡邊他,2007)をグレースケールに変換し,眉・ 眼・鼻・口を含むように正方形に切り取った(髪型や輪 郭の情報ができるだけ含まれないようにした)画像を刺 激とした。加えて魅力度の等質化も試みられていたこと から,本研究でグループ提示された顔画像は先行研究に 比べてかなりばらつきが小さかったといえる。ここで, 統計学的には,観測間のばらつきが小さい時ほどその平 均で各観測を補正することが適切だと考えられる(Gel-man & Hill, 2007)。したがって,もし階層的符号化が最 適に実行されるものだとすれば(Griffiths et al., 2018), 本 研究は先行研究よりも平均による補正が働きやすく,チ アリーダー効果も生じやすい刺激設定を用いていたこと になる。チアリーダー効果を再現できなかったという報 告もあることを踏まえると(Ojiro et al., 2015; van Osch et al., 2015), 今後の研究ではこうした刺激設定などを系統 的に変化させた実験を行い,チアリーダー効果の調整要 因を明らかにすることが必要であろう。 結 論 本研究は,単独で提示された顔よりも他の顔とグルー プで提示された顔の方が同じ顔であってもより魅力的に 見えるというチアリーダー効果が,グループ内の顔の魅 力度を同程度にした場合でも観測できることを明らかに した。この結果は,チアリーダー効果がグループ内の他 の顔との同化や対比とは異なるメカニズムを介して生じ 得ることを示している。加えて,チアリーダー効果は女 性が男性の顔の魅力度を評価する時に特に顕著であり, 同効果が観察者と顔の性別によって調整を受けることが 示された。以上の結果はチアリーダー効果が顔の階層的 符号化を経て生じるというWalker & Vul (2014)の仮説 とある程度整合的に解釈できる。ただし,この仮説の是 非を判断するうえでは,階層的符号化の関与をより直接 的に検証する研究が必要である。

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Figure 2. Means and standard errors of the cheerleader  effect size as a function of participant s gender and  face s gender.

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