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NOAC の登場によって変化してきた心原性脳塞栓症の治療現場

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Academic year: 2021

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(1)● シンポジウム 2 脳梗塞慢性期治療と NOACs. NOAC の登場によって変化してきた心原性脳塞栓症の治療現場 田中耕太郎*,高嶋修太郎,田口 芳治,道具 伸浩,温井 孝昌 小西 宏史,吉田 幸司,林  智宏,山本 真守. 要 旨  我々の施設の非弁膜症性心房細動による心原性脳塞栓症(NVAF-CE)入院患者について入院時の抗血栓薬を 検討すると,NOAC 登場前は,ワルファリン(W)32%,抗血小板薬(P)23%,抗血栓薬なしが 45%であった. NOAC 登場後は W が 35%,NOAC が 18%,P が 9%,抗血栓薬なしが 38%であり,NOAC 登場前に比し P 処 方患者が明らかに減少,抗血栓薬なしも軽度減少していた.以前なら W の代わりに P を処方していた症例 に,NOAC が処方されている症例が増加していると考えられた.NOAC 服用中の NVAF-CE 発症患者の入院時 NIHSS は平均 1.4 であり,W 服用中の 8.8,抗凝固薬非服用中の 10.9 に比し,有意に(p<0.05)低値であった. 入院時 D-dimer 値についても,NOAC 服用群で有意に(p<0.05)低値であった.NVAF-CE の退院時の抗凝固薬 は,NOAC 登場前は W 76%,処方なしが 24%,登場後は W 44%,NOAC 43%,なしが 13%で,抗凝固薬処 方なしが減少していた.NOAC 使用が普及しつつあるが,長期の安全性と有用性については今後も検証が必要 である. (脳循環代謝 26:57∼62,2015). キーワード : 非ビタミン K 阻害経口抗凝固薬,NOAC,ワルファリン,非弁膜症性心房細動,心原性脳塞栓症. らの薬剤は旧来のワルファリンに対して,新規経口抗. 1.はじめに. 凝 固 薬, 最 近 は 非 ビ タ ミ ン K 阻 害 経 口 抗 凝 固 薬 (NOAC)と称されている7)..  非弁膜症性心房細動(NVAF)による心原性脳塞栓症.  NOAC はそれぞれ,大規模な国際的臨床第三相試験. (CE)の予防には,1950 年代から長らくワルファリン. において,ワルファリンと同等ないしそれ以上に CE. が使われてきた.しかし,ワルファリンは抗凝固効果. や全身塞栓症発症を抑制し,かつ重篤な出血合併症,. の予測が困難,かつ安全で有効な治療域が大変狭いた. とくに頭蓋内出血を有意に抑制した3~6).NOAC は,. め,頻繁な PT-INR のモニタリングと用量調節が必要. 固定用量で投与し,効果発現と消失が早く,効果確認. であること,食物や薬物との相互作用が多いこと,効. のためのモニタリングが不要であり,食物や薬物との. 果発現と消失が遅いこと,頭蓋内出血などの重篤な出. 相互作用が少ないことなど,日常臨床ではワルファリ. 血合併症が多いなど,種々の問題点を有し1),その使. ンに比し大変使用しやすい薬剤である.これら NOAC. 用率は大変低い状態にあった .それに対して,我が. の大規模臨床試験における対象患者の背景と結果に基. 国では,2011 年 3 月から直接トロンビン阻害剤である. づいて,我が国では日本循環器学会などによる「心房. ダビガトラン ,2012 年 4 月から Xa 阻害剤のリバー. 細 動 治 療(薬 物)ガ イ ド ラ イ ン(2013 年 改 訂 版)」で,. ロキサバン ,2013 年 2 月からアピキサバン ,2014. CHADS2 スコア 1 点以上では,ダビガトランとアピキ. 年 9 月からエドキサバン6)が処方可能となった.これ. サ バ ン の 使 用 が 推 奨 さ れ,2 点 以 上 で は す べ て の. 2). 3). 4). 富山大学神経内科 * 〒 930-0194 富山市杉谷 2630 番地   TEL: 076-434-3709 FAX: 076-434-5033   E-mail: tanaka28@med.u-toyama.ac.jp. 5). NOAC の使用が推奨されるようになった8).本稿で は,NOAC 登場前後の NVAF による CE 発症予防治療 の変化を概説する.. ─ 57 ─.

(2) 図1.. 脳循環代謝 第 26 巻 第 2 号. (NOAC使用承認後) 2011年3月~2014年8月. (NOAC使用承認前) 2005年6月~2010年11月. 16.2例/年. 13.2例/年. 㻞㻟㻑. ワルファリン. ワルファリン. 㻟㻝㻑 㻟㻤㻑. 㻠㻡㻑. なし. なし 㻥㻑. ワルファリン +抗血小板薬. ワルファリン. 㻠㻑 +抗血小板薬. 抗血小板薬 㻥㻑. 㻞㻟㻑. 抗血小板薬. 㻞㻑. アピキサバン. 㻣㻑. 㻥㻑ダビガトラン. リバーロキサバン. 図 1.富山大学附属病院神経内科において非弁膜症性心房細動による急性期 心原性脳塞栓症患者の入院時に処方されていた抗血栓薬の内訳−NOAC 登 場前後の比較. た,NOAC 処方中の CE 発症患者も全体の 20%弱を占. 2.NVAF による心原性脳塞栓症急性期患者の 入院時に処方されていた抗血栓薬の内訳 -NOAC 登場前後での比較. めるようになっている.しかし,抗凝固薬が全く処方 されていなかった症例が未だ 38%もあり,今後健診な どによる NVAF の早期発見と発見後の抗凝固療法の徹 底が必要である..   図 1 は, 富 山 大 学 附 属 病 院 神 経 内 科 に お い て,.  当施設のみの少数例の比較であるが,NVAF による. NVAF による CE 急性期患者の入院時に処方されてい. CE の年間入院患者数が NOAC 登場前は平均 16.2 例で. た抗血栓薬の内訳を,NOAC 登場前後で比較したもの. あったが,NOAC 登場後は 13.2 例と減少していた.. である.図の左側は,NOAC 登場前の 2005 年 6 月∼. NOAC 使用の普及によって,それ以前に比し CE の発. 2010 年 11 月 ま で の 入 院 患 者(n=88) , 図 の 右 側 は. 症が地域全体で抑制されている可能性が考えられる. 2011 年 3 月∼2014 年 8 月 ま で の 入 院 患 者(n=45)の. が,この点は,全国規模での前向き登録研究などに. データを示す.NOAC 登場前では,入院患者の 32%. よって明らかにしていく必要がある.. 9). にのみワルファリンが処方され,23%には抗血小板薬. 3.NOAC 登場後の NVAF による 心原性脳塞栓症急性期患者の入院時の NIH Stroke Scale と末梢血 D-dimer 値. が単独で処方されていた9).また,入院前に NVAF が あると診断されていた患者が全体の 91%を占めていた が,そのわずか 35%の患者にのみワルファリンが処方 されていたに過ぎなかった.また,ワルファリン服用 者の入院時の PT-INR は 1.17±0.27 と治療域よりも明.  図 2 は,2011 年 3 月∼2014 年 8 月までの NVAF に. らかに低値であった9).NVAF と診断されているにも. よ る CE 急 性 期 患 者 の 入 院 時 の NIH Stroke Scale. かかわらずワルファリンの処方率が大変少ないこと,. (NIHSS)を,入院時に処方されていた抗血栓薬の種類. たとえワルファリンが処方されていても抗凝固効果が. 別に示したものである.NOAC 服用中の CE 発症患者. 不十分な症例がかなり存在していたこと,ワルファリ. の NIHSS は平均 1.4 であり,ワルファリン服用中の. ンの代わりに抗血小板薬が処方されていた当時の状況. 10.0,抗血小板薬のみ服用中の 14.8,全く抗血栓薬を. を示している.. 服 用 し て い な か っ た 症 例 の 8.3 に 比 し, 有 意 に.  NOAC 登場後の 2011 年 3 月∼2014 年 8 月では,ワ. (p<0.05)低値であった.. ルファリンの処方は 35%,NOAC の処方が 18%,抗.   図 3 は, 図 2 で 検 討 し た 症 例 の 入 院 時 の 末 梢 血. 血小板薬が 9%であった.NOAC 登場前に比し,抗血. D-dimer 値を示したものである.NOAC 服用中の CE. 小板薬が処方されていた症例が著明に減少していた.. 発症患者の D-dimer は平均 0.74 μg/ml であり,ワル. これは NOAC 登場によって,それまでならば抗血小. フ ァ リ ン 服 用 中 の 2.64, 抗 血 小 板 薬 の み 服 用 中 の. 板薬を処方していた症例が NOAC の処方に移行して. 3.68,全く抗血栓薬を服用していなかった症例の 3.68. いる臨床現場の状況を反映していると考えられる.ま. に比し,有意に(p<0.05)低値であった.ワルファリン. ─ 58 ─.

(3) 図2.. 図3.. NOAC によって変化してきた心原性脳塞栓症の治療. 2011年3月~2014年8月(NOAC使用承認後). 㻤. 㻟㻜. 2011年3月~2014年8月(NOAC使用承認後). 㻣 㻞㻡. 㻝㻡. 㻢 他の群に比し 有意に低値. 㻡 14.8. *p<0.05 10.0. 㻝㻜. (μg/ml). NIHSS. 㻞㻜. 8.3. 㻟 㻞. 㻡 㻜. *1.4. NOAC 服用中. 㻝 㻜. ワルファリン 抗血小板薬 抗血栓薬 のみ服用中 非服用中 服用中. 3.68. 㻠. 3.68. 2.64. 他の群に比し 有意に低値 *p<0.05 0.74. *. NOAC 服用中. ワルファリン 抗血小板薬 抗血栓薬 のみ服用中 非服用中 服用中 (mean±SD). (mean±SD). 図 2.富山大学附属病院神経内科において非弁膜症性 心房細動による急性期心原性脳塞栓症患者の入院時の NIH Stroke Scale(2011 年 3 月∼2014 年 8 月) 図4.. 図 3.富山大学附属病院神経内科において非弁膜症 性心房細動による急性期心原性脳塞栓症患者の入院 時の末梢血 D-dimer 値(2011 年 3 月∼2014 年 8 月). (NOAC使用承認前). (NOAC使用承認後) 2011年3月~2014年8月. 2005年6月~2011年2月. 㻝㻟㻑. 㻞㻠㻑. なし. 㻣㻑. なし. A A. 㻣㻑. ワルファリン. 㻣㻑. ワルファリン. R R. 㻞㻑. 㻣㻢㻑. D. D. 㻣㻑. 㻠㻠㻑. ワルファリン 㻰㻞㻞㻜 㻰㻟㻜㻜 㻾㻝㻜 㻾㻝㻡 㻭㻡 㻭㻝㻜 なし. 㻝㻟㻑. W:ワルファリン、D:ダビガトラン、 R:リバーロキサバン、A:アピキサバン. 図 4. 富山大学附属病院神経内科において非弁膜症性心房細動による心 原性脳塞栓症急性期入院患者の退院時に処方されていた抗凝固薬の内訳 −NOAC 登場前後の比較. 服用中の CE 発症例は,PT-INR 値が治療域に達してい. 4.NVAF による心原性脳塞栓症急性期入院 患者の退院時に処方されていた抗凝固薬の 内訳-NOAC 登場前後での比較. なかった症例が大多数であった.  NOAC 服用中の CE 発症例では,1 日 2 回の服用薬 で 1 回しか服用していなかった服薬アドヒアランスの 不良が 25%,クレアチニンクリアランス値からは標準 量を投与すべきであったが低用量を処方されていた症.  図 4 は,富山大学附属病院神経内科に NVAF による. 例が 38%を占めていた.しかし,いずれの場合でも. CE 急性期入院患者の退院時に処方されていた抗凝固. NOAC のある程度の効果によって左房内のフィブリン. 薬の内訳を,NOAC 登場前後で比較したものである.. 血栓形成がある程度抑制され,CE を発症しても比較. 図の左側は,NOAC 登場前の 2005 年 6 月∼2011 年 2. 的軽症で済んでいた可能性がある.一方,ワルファリ. 月までの退院患者9),図の右側は 2011 年 3 月∼2014. ンの場合は,PT-INR の変動があったりしてその治療. 年 8 月までの退院患者のデータを示す.NOAC 登場前. 域に達していないと,左房内のフィブリン血栓形成抑. では,退院患者の 76%にワルファリンが処方され,抗. 制効果はほとんど期待できないことが示唆された.. 凝固薬なしが 24%であったのに対して,NOAC 登場 後は,ワルファリンの処方率は 44%に減少し,NOAC が 43% と な り, 抗 凝 固 薬 な し は 13% に 減 少 し て い ─ 59 ─.

(4) 図5.. 脳循環代謝 第 26 巻 第 2 号. 㻢㻜 p<0.02. 㻡㻜. p<0.05. (日). 㻠㻜 㻟㻜. 35.2日. 28.7日. 16.4日. 㻞㻜 㻝㻜 㻜. NOAC 導入 (n=17). 抗凝固薬 導入なし (n=5). ワルファリン 導入 (n=21). (mean±SD). 図 5.富山大学附属病院神経内科における非弁膜症性心房 細動による急性期心原性脳塞栓症入院患者の入院期間 (2011 年 3 月∼2014 年 8 月). た.ワルファリンが選択された理由としては,クレア. 6.NOAC 服用の長期安全性に関して. チニンクリアランスが 30 ml/min 以下,経鼻胃管や胃 瘻による栄養摂取の持続,療養型病院などへの転院, 悪性腫瘍の合併(少量のワルファリンによる軽度な抗.  NOAC を長期間にわたって使用する場合,注意すべ. 凝固療法の実施)などであった.抗凝固薬なしは,90. きことは,クレアチニンクリアランスや肝機能を年に. 歳以上の高齢,脳梗塞による神経後遺症が重症,悪性. 1 回は測定することである.当院に急性硬膜下血腫で. 腫瘍や消化管潰瘍などの合併症,高度認知機能低下に. 緊急入院した症例は,A 病院循環器内科で NVAF に対. よって療養型病院などへ転院していった症例であった.. してリバーロキサバン 15 mg/日が処方され,B 病院消 化器内科では原発性胆汁性肝硬変で加療中であった.. 5.NOAC 登場後の NVAF による心原性 脳塞栓症急性期患者の入院日数 -導入された各抗凝固薬別の比較. 当科緊急入院時の血液データは,PT が 36.8 秒,PTINR が 3.41 であり,過抗凝固の状態であった.本患者 では,リバーロキサバンを中止して 3 日目以降の PTINR は 1.60∼2.43 であり,肝臓での凝固因子産生が明.  図 5 は,2011 年 3 月以降の富山大学附属病院神経内. らかに抑制されていた.NOAC もワルファリンも,肝. 科において,NVAF による CE 急性期患者の入院日数. 硬変のような重度な肝障害患者には使用が禁忌であ. を,導入された各抗凝固薬別に比較したものである.. る.抗凝固療法を開始する時には,腎機能のみなら. NOAC を導入した患者では平均 16.4 日であったのに. ず,肝機能チェックも必要であること,患者の合併症. 対し,ワルファリン導入患者では 28.7 日,抗凝固薬導. について病診連携をしっかりおこなうことが肝要で. 入なしの患者で 35.2 日であり,NOAC を導入した患. ある.. 者で有意に入院日数が少なかった.NOAC は固定用量.  また,NOAC によると考えられる間質性肺炎を当科. であり効果発現が早いのに対し,ワルファリンでは. で経験した.症例は 79 歳男性で,3 年間ダビガトラン. PT-INR が治療域に達するまでの日数と用量決定に時. 220 mg/日を服用していたが,呼吸困難を主訴に入院,. 間がかかっていることを反映している.なお抗凝固薬. 画像上両側の間質性肺炎を認めたために,ダビガトラ. なしの症例は,modified Rankin scale が 5 と重症,90. ンを中止し,ヘパリンに変更した.血清 KL-6 は,入. 歳以上の高齢,悪性腫瘍や消化管出血の合併,転院先. 院時 1631.7 U/ml と高値であったが,ステロイド治療. の受け入れ待ちなどの理由で最も入院期間が長くなっ. をせずに,50 日後に 853.0 まで低下,画像所見も軽快. ていた.. し,アピキサバン 10 mg/日の処方にて退院となった. その 1 カ月後には KL-6 は 670.9 とさらに低下してい た.現時点では,ダビガトランとリバーロキサバンの 重大な副作用として間質性肺炎が記載されてお ─ 60 ─.

(5) NOAC によって変化してきた心原性脳塞栓症の治療. り10, 11),その際には投与の中止が求められている.(脱. versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J. 稿後,アピキサバンでも同様な記載が添付文書にのっ. Med 361: 1139–1151, 2009 4) Patel MR, Mahaffey KW, Garg J, Pan G, Singer DE,. た .) 12). Hacke W, Breithardt G, Halperin JL, Hankey GJ, Piccini JP, Becker RC, Nessel CC, Paolini JF, Berkowitz SD, Fox. 7.まとめ. KA, Califf RM; ROCKET AF Investigators: Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J.  以下に本稿のまとめを記す.紙面の関係で直接の. Med 365: 883–891, 2011. データを示すことが出来なかった内容もあるがご容赦. 5) Granger CB, Alexander JH, McMurray JJ, Lopes RD,. いただきたい.. Hylek EM, Hanna M, Al-Khalidi HR, Ansell J, Atar D,.  (1)NOAC 登場前と比較して,NVAF に対する抗血. Avezum A, Bahit MC, Diaz R, Easton JD, Ezekowitz JA,. 小板薬の処方が激減し,NOAC の処方に移行してい. Flaker G, Garcia D, Geraldes M, Gersh BJ, Golitsyn S,. る.(2)NOAC 登場後も,ワルファリン処方は,種々. Goto S, Hermosillo AG, Hohnloser SH, Horowitz J,. の要因によって一定の割合で継続されている.(3)3 種. Mohan P, Jansky P, Lewis BS, Lopez-Sendon JL, Pais P,. 類の NOAC は,その薬剤特性などによって使い分け. Parkhomenko A, Verheugt FW, Zhu J, Wallentin L; ARISTOTLE Committees and Investigators: Apixaban. られている.(4)NOAC 服用下で発症した心原性脳塞. versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J. 栓症は,ワルファリン服用者や抗凝固療法を実施して. Med 365: 981–992, 2011. いない症例に比し,一般的に軽症である可能性があ. 6) Giugliano RP, Ruff CT, Braunwald E, Murphy SA, Wivi-. る.(5)NOAC 登場後,心原性脳塞栓症の入院患者数. ott SD, Halperin JL, Waldo AL, Ezekowitz MD, Weitz JI,. が減少している可能性がある.(6)NOAC 服用者で心. Špinar J, Ruzyllo W, Ruda M, Koretsune Y, Betcher J, Shi. 原性脳塞栓症を発症した患者は,その大部分が低用量. M, Grip LT, Patel SP, Patel I, Hanyok JJ, Mercuri M, Ant-. 服用者ないし服薬アドヒアランスが不良であった.. man EM; ENGAGE AF-TIMI 48 Investigators: Edoxaban. (7)NOAC 服用下でも,一定の割合で脳出血や硬膜下. versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J. 血腫の発症があるが,重篤化する割合は少ない.(8). Med 369: 2093–2104, 2013 7) Madan S, Shah S, Partovi S, Parikh SA: Use of novel oral. NOAC 登場後も,心原性脳塞栓症入院患者の中で,抗. anticoagulant agents in atrial fibrillation: current evidence. 凝固療法なしであった症例が未だに 40%あり,NVAF. and future perspective. Cardiovasc Diagn Ther 4: 314–. の早期発見,および発見後の抗凝固療法の実施が切望. 323, 2014. される.(9)NOAC の長期の安全性と有用性について. 8) 日本循環器学会,日本心臓病学会,日本心電図学. は,今後の検証が必要である.. 会,日本不整脈学会:心房細動治療(薬物)ガイドラ イン(2013 年改訂版),2013. 文 献. 9) 田口芳治,高嶋修太郎,道具伸浩,平野恒治,温井 孝昌,小西宏史,吉田幸司,田中耕太郎:非弁膜症. 1) Hirsh J: Oral anticoagulant drugs. N Engl J Med 324:. 性心房細動に起因した心原性脳塞栓症発症時の抗血. 1865–1875, 1991. 栓 療 法 の 状 況 に 関 す る 検 討. 脳 卒 中 33: 551–558,. 2) Ogilvie IM, Newton N, Welner SA, Cowell W, Lip GY: Underuse of oral anticoagulants in atrial fibrillation: a systematic review. Am J Med 123: 638–645.e4, 2010 3) Connolly SJ, Ezekowitz MD, Yusuf S, Eikelboom J, Oldgren J, Parekh A, Pogue J, Reilly PA, Themeles E, Varrone J, Wang S, Alings M, Xavier D, Zhu J, Diaz R, Lewis BS, Darius H, Diener HC, Joyner CD, Wallentin L;. 2011 10) 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社:プラザ キサ  添付文書 2014 年 7 月改訂(第 8 版) 11) バイエル薬品株式会社:イグザレルト  添付文書 2014 年 2 月改訂(第 3 版) 12) ブリストル・マイヤーズ株式会社:エリキュース. RE-LY Steering Committee and Investigators: Dabigatran. ─ 61 ─. 添付文書 2015 年 2 月改訂(第 4 版).

(6) 脳循環代謝 第 26 巻 第 2 号. Abstract Changes in clinical practice after the introduction of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants (NOAC) for patients with non-valvular atrial fibrillation Kortaro Tanaka, Shutaro Takashima, Yoshiharu Taguchi, Nobuhiro Dougu, Takamasa Nukui, Hirofumi Konishi, Koji Yoshida, Tomohiro Hayashi, and Mamoru Yamamoto Department of Neurology, Toyama University Hospital, Toyama, Japan The clinical profiles was compared between the patients admitted to our hospital with cardioembolic stroke (CE) due to non-valvular atrial fibrillation (NVAF) during the period of 2005 to 2010 (Group A) and those after the introduction of NOAC into Japan until 2014 August (Group B). In Group A, 32% and 23% of the patients were treated with warfarin and anti-platelets at the onset of CE, respectively. In Group B, 35%, 9% and 18% of the patients were treated with warfarin, anti-platelets and NOAC at the onset of CE, respectively, suggesting that the use of antiplatelets in patients with NVAF may have been decreased after the introduction of NOAC. In Group B, NIHSS (NIH stroke scale) and the values of peripheral blood D-dimer at the admission were significantly lower in patients already treated with NOAC than those with warfarin or no anticoagulants. In Goup A, the anticoagulants prescribed at the discharge were warfarin in 76% of the patients and no anticoagulants in 24%. In Group B, the anticoagulants prescribed at the discharge were warfarin in 44% of the patients, NOAC in 43% and no anticoagulants in 13%, indicating that NOAC had already been used in a large portion of CE patients. Long-term safety and efficiency of NOAC should be carefully monitored in future,. Key words: non-vitamin K antagonist oral anticoagulants, NOAC, warfarin, non-valvular atrial fibrillation, cardioembolic stroke. ─ 62 ─.

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