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Elovl6はメカニカルストレスによる皮膚炎を軽減する

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Academic year: 2021

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(1)

Elovl6はメカニカルストレスによる皮膚炎を軽減す

著者

中村 貴之

内容記述

この博士論文は内容の要約のみの公開(または一部

非公開)になっています

発行年

2017

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2016

報告番号

12102甲第8251号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00147956

(2)

論 文 概 要

○論文題目

Elovl6 はメカニカルストレスによる皮膚炎を軽減する

○指導教員

人間総合科学研究科生命システム医学専攻 渋谷 彰 教授

(所属)筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻

(氏名)

中村 貴之

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目的

物理的,化学的な外力によって生じるメカニカルストレスは細胞増殖や分化など様々な 因子を制御する。常に外界と接する皮膚はメカニカルストレスに対して最も影響をうける 組織であり,掻破や摩擦などのメカニカルストレスはアトピー性皮膚炎など多くの皮膚疾 患の重要な誘導因子として知られている。しかしながら,これらのメカニカルストレスがど のようにして皮膚炎を誘導するかという詳細なメカニズムは未だ明らかになっていない。

Elovl6 (Elongation of long-chain fatty acids family member 6)は小胞体に存在する脂 肪酸伸長酵素であり,パルミチン酸 (C16:0),パルミトレイン酸 (C16:1n-7)からそれぞれ ステアリン酸 (C18:0),シスバクセン酸 (C18:1n-7)へと変換する機能を有する。Elovl6 は 肝臓や脂肪組織,脳とともに皮膚にも高発現していることが知られている。皮膚に豊富に含 まれる脂質は,透過性バリアや炎症反応など皮膚の恒常性維持に極めて重要な役割を果た しているため,本研究ではElovl6 の皮膚における生理的な役割を明らかにすることを目的 とした。

対象と方法

掻破を模倣するテープストリッピングによるメカニカルストレス誘導性の皮膚炎モデル を作成し,このモデルにおけるElovl6 欠損マウスおよびケラチノサイト特異的 Elovl6 欠 損マウス(Elovl6fl/fl K14-Cre)の病態を解析することで,Elovl6 によるメカニカルストレ スに対する反応性制御の有無およびそのメカニズムを検討した。さらにElovl6 欠損マウス の表皮の脂肪酸組成を解析することで,Elovl6 のメカニカルストレスに対する反応性を制 御する脂肪酸の種類およびそのメカニズムを検討した。最後に,テープストリッピングを用 いたアトピー性皮膚炎モデルを誘導して,疾患モデルにおけるElovl6 の関与も検討した。

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結果

メカニカルストレス誘導性の皮膚炎モデルにて,Elovl6 欠損マウスは野生型マウスと比 べ表皮肥厚,好中球を主体とする炎症細胞浸潤が亢進し,皮膚炎が増悪した。また Elovl6 は真皮に比べ表皮ケラチノサイトに高発現し,ケラチノサイト特異的Elovl6 欠損マウスも 同様にコントロールマウス(Elovl6fl/fl)と比べ表皮肥厚,好中球を含む炎症細胞浸潤が亢進 していた。これらの結果から,ケラチノサイトに発現するElovl6 がメカニカルストレスで 誘導される皮膚炎を軽減していることが示唆された。またトルイジンブルーによる皮膚透

過性テストおよびTEWL (Transepidermal water loss)では,いずれも Elovl6 欠損マウス

と野生型マウス間で差を認めなかったことから,Elovl6 は皮膚透過性バリア機能に関与し ないことが示唆された。しかしながら,Elovl6 欠損マウスではテープストリッピング後の ケラチノサイトからの IL-1β,CXCL-1 の産生が増加しており,IL-1 受容体アンタゴニス ト,CXCR-2 アンタゴニストの投与により Elovl6 欠損マウスの表皮肥厚,好中球浸潤が軽 減された。したがって,IL-1β,CXCL-1 が Elovl6 欠損マウスにおけるメカニカルストレス 誘導性の皮膚炎の亢進に重要な因子であることが示唆された。次に,テープストリッピング 後の組織所見を解析すると,Elovl6 欠損マウスではテープストリッピング後に壊死を生じ たケラチノサイトが増加し,HMGB-1 の細胞外への放出も増加していた。したがって, Elolv6 欠損マウスではテープストリッピングによるケラチノサイトの壊死が亢進すること によって,DAMPs (Damage-associated molecular patterns)の放出促進を介して,IL-1β, CXCL-1 の産生が亢進すると考えられた。次にそのメカニズムを明らかにするため,脂肪酸

組成解析を行ったところ,野生型マウスと比較してElovl6 欠損マウスの表皮ではシスバク

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皮膚に塗布したところ,いずれもケラチノサイトの細胞死を生じた。したがって,Elovl6 欠 損マウスの表皮に著増するシスバクセン酸はin vitro, in vivo ともにケラチノサイトに対し 細胞死を引き起こすことが示唆された。一方,オレイン酸,パルミチン酸,ステアリン酸, パルミトレイン酸やシスバクセン酸の異性体であるトランスバクセン酸の添加ではケラチ ノサイトの細胞死はみられず,脂肪酸による細胞死の効果はシスバクセン酸に特異的であ ると考えられた。次に,テープストリッピングと卵白アルブミン(OVA)塗布によるアトピ ー性皮膚炎モデルを誘導したところ,このモデルにおいてもElovl6 欠損マウスおよびケラ チノサイト特異的Elovl6 欠損マウスではそれぞれ野生型およびコントロールマウスと比較

して皮膚炎が増悪し,浸潤する表皮内リンパ球数,血清IgE 値,所属リンパ節の 4,

IL-17 の mRNA 発現がいずれも増加していた。さらにこのモデルにおいても IL-1 受容体アン タゴニストの投与はElovl6 欠損マウスにおける表皮内リンパ球数,血清 IgE 値を低下させ た。

考察

Elovl6 欠損マウスではテープストリッピングにより壊死に陥ったケラチノサイトから放 出されるシスバクセン酸によって,周囲のケラチノサイトのさらなる細胞死が誘導され,そ の結果メカニカルストレスに対する反応性が増強され,さらにはアトピー性皮膚炎モデル の重症度も悪化することが推測された。これらの知見から,シスバクセン酸の産生阻害がア トピー性皮膚炎を含む様々な皮膚疾患の新たな治療標的となる可能性が示唆された。

結論

ケラチノサイトのElvol6 はシスバクセン酸の過剰な産生を抑制することで,メカニカル

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参照

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