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インターンシップの事前・事後指導の実務

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要旨  この論文は,2014 年度,東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパスで実施したインターンシップ の実務を,教育内容と関連させて述べたものである。インターンシップは単なる実習をすれば教育が完了 するのではなく,きめ細かい事前・事後指導が必要である。学生の職業観はまだ薄く,中期的・長期的な 職業意識が持てない中で,インターンシップは,学校内での教育に慣れた学生に,学校外での刺激的な教 育を提供し,職業意識に目覚めた進路指導を展開できる。インターンシップの実施にあたって必要とされ る書類は,教育に用いるための工夫が必要で,その事例と活用方法を本論で展開し,いくつかの留意点を まとめた。 キーワード:インターンシップ,インターンシップの実務,工学教育,キャリア教育,高等専門学校

Ⅰ.はじめに

 2014 年度,東京都立産業技術高等専門学校(以下, 産技高専,あるいは本校と略す)荒川キャンパスでは 93 名のインターンシップを実施した。筆者は 2006 年 度,産技高専の前身校である東京都立航空工業高等専 門学校において,インターンシップ事業の拡張のため, 事前・事後指導の整備をした。そこで開発したプログ ラムと文書は,産技高専でも定着して,キャリア教育 の一環として利用されている。今回は,インターン シップに関する実務と学生への教育的指導との関係を 述べながら,実務に役立つ事例を紹介したい。

Ⅱ.インターンシップの概要

1.インターンシップの参加状況  表 1 は,インターンシップの参加状況である。第 4 学年は 4 クラス(4 コース)あり,定員は 160 名であ る。インターンシップは選択科目で,参加率は例年 4 割〜 6 割程度である。不参加の学生は,部活動や海外 研修,資格試験勉強や大学編入学準備などで活動して いる。本校の進路は就職約 6 割,進学約 4 割であるが, 4 年の夏休みでは進路の固まっていない学生が多く, 就職希望の学生が必ずしもインターンシップを実施し たわけではない。  表 2 は,2014 年度のインターンシップ先一覧である。 荒川区や中小企業振興公社紹介等の中小企業のイン ターンシップや,表中の「4.企業」にあるような, 本校の就職先を中心とした中規模企業と大企業のイン ターンシップで,本校よりインターンシップの依頼を して承諾を得た企業である。大学編入学を希望する学 生には,理化学研究所や長岡技術科学大学,豊橋技術 科学大学(当該年度はいなかったが)のインターン シップがある。企業での実習内容は,ほぼ就業体験と なっており,機械操作による製品・部品作りや,電子 機器組立て,検査,実験補助,課題の製作,保守,設 計,CAD,情報処理,工場見学などである。 2.指導の体制  指導の体制は表 3 の通りである。  2014 年度からキャリア支援センターが設置され, その下に就職支援,進学支援,インターンシップの各

インターンシップの事前・事後

指導の実務

The Journal of Economic Education No.35, September, 2016

Practical Instruction for Students before and after Business Internship Tanaka, Jun 田中 淳(東京都立産業技術高等専門学校)

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第 4 学年 情報通信 ロボット 航空宇宙 医療福祉 計 学生数 45 41 44 44 174 参加者数 24 13 23 33 93 参加率 53% 32% 52% 75% 53% 表 1 コース別参加者数と割合 2014 年度,単位 ( 人 ) 実習先 情 報 通 信 ロ ボ ッ ト 航 空 宇 宙 医 療 福 祉 計 実習先 情 報 通 信 ロ ボ ッ ト 航 空 宇 宙 医 療 福 祉 計 1.荒川区インターンシップ事業 (10)(株)重松製作所 1 1 志幸技研工業(株) 1 1 (株)IHI 1 1 MISAWA & WORKSHOP 1 1 2 蛇の目ミシン工業(株) 1 1 (株)マルフジ製作所 1 1 (株)フジキン 1 1 (株)マツダ自転車工場 1 1 三菱重工業(株),相模原地区 1 1 ニューコン(株) 2 2 旭ダイヤモンド工業(株) 1 1 精電舎電子工業(株) 1 1 野口精機(株) 1 1 (株)東京ベル製作所 1 1 林総事(株) 1 1 (株)東風谷製作所 1 1 ジオスポーツ(株) 1 1 2.東京中小企業家同友会大田支部インターンシップ事業 (1) 三井造船(株) 1 1 (株)ソアーシステム 1 1 出光興産(株) 1 1 3.東京都中小企業振興公社インターンシップ事業 (3) ジャパンマリンユナイテッド(株) 1 1 (株)新栄スクリーン 1 1 ナブコシステム(株) 1 1 明京電機(株) 1 1 三祐医科工業(株) 1 1 カインズ(株) 1 1 (株)ルケオ 2 2 4.企業 (70) 睦化工(株) 1 1 Shannon Lab(株) 1 1 ダイキン工業(株) 1 1 (株)エヌ・ティ・ティエムイー 1 1 リオン(株) 1 1 (株)マイスターエンジニアリング 1 1 日信電子サービス(株) 1 1 (株)コムニック 1 1 飯田電子設計(株) 1 1 (株)朋栄 1 1 (株)モリタ東京製作所 2 2 (株)協和エクシオ 1 1 (株)カラーチップス 1 1 田中電工(株) 1 1 サンリツオートメイション(株) 1 1 コーンズテクノロジー(株) 1 1 マブチモーター(株) 1 1 (株)シンワ検査 1   1 東芝メディカルシステムズ(株) 1 1 ユニバーサルコンピューター(株) 1 1 2 (株)加藤研磨製作所 1 1 (株)FIXER 1 1 アベテクノシステム(株) 1 1 日本電気計器検定所 1 1 ロシュ・ダイアグノスティックス(株) 2 2 (株)サイトウ製作所 1 1 (株)ニュージェック 1 1 日本自動ドア(株) 1 1 ザ・パック(株) 1 1 東京オートマック(株) 1 1 アイング(株) 1 1 PRG(株) 1 1 京西テクノス(株) 1 1 (株)三信 1 1 日立アロカメディカル(株) 1 1 オートリブ(株) 1 1 石福金属興業(株) 1 1 技研精機(株) 1 1 2 キヤノン(株) 1 1 日本たばこ産業(株)北関東工場 1 1 横河商事(株) 1 1 東京ガス(株) 1 1 5.研究所等 (6) (株)トミテック 1 1 独立行政法人 理化学研究所 2 1 2 5 (株)ダイキエンジニアリング 1 1 独立行政法人 産業技術総合研究所 1 1 (株)荏原製作所 1 1 6.大学 (3) (株)気球製作所 1 1 山梨大学 1 1 2 キヤノンマーケティングジャパン(株) 2 2 長岡技術科学大学 1 1 三菱電機ビルテクノサービス(株) 1 1 合計 24 13 23 33 93 全日本空輸(株) 1 1 表 2 2014 年度 東京都立産業技術高等専門学校 荒川キャンパス インターンシップ先一覧

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グループが置かれ,統合してキャリア教育が行われる ことになった。インターンシップは,教員 5 名,職員 2 名の体制で,各教員が各工学コースを専属して担当 した。2 年間担当することが多いが,毎年教員の入れ 替え人数は変動する。実務としては,各担当の分掌を 明確にして,学生に対する設備・サービスを用意する ことである。インターンシップの取り扱う業務と書類 は量が多いので,本校の中心部にインターンシップ室 が設置され,室内は広く,午後 8 時まで学生の面談が できるようになっている(教員の負担は重い)。企業 人事担当者との面談では応接室 2 室を使用でき,学生 の企業探索では就職資料室が利用できる。インターン シップ室周辺の廊下(掲示スペース)は広大で,学生 のインターンシップ報告書,写真(ギャラリー),イ ンターンシップ企業一覧,企業パンフレットを掲示し ている。また,インターンシップ室内にはサーバが置 かれ,学内からインターンシップのホームページを閲 覧できるようにしている。 3.シラバス(指導の進め方)  インターンシップは正規の選択科目であるので学生 にはシラバスが配付されている(表 4 を参照)。シラ バスには指導の標準時間が記載されており厳密に単位 を認定している。また,シラバスに記載した事前・事 後指導の流れを詳細に書くと,表 5 となる。表 5 は, 学生にインターンシップガイドとして配付したもので, 指導に各段階があることを説明した。

Ⅲ.事前指導の実務

1.受入企業募集  表 6 はインターンシップ受け入れ企業の募集結果を 示したものである。前年度から企業リストと募集用パ ンフレットを作成して,企業に郵送した。2014 年度 の企業リストは,前年度インターンシップ受け入れ許 諾企業と,本校に求人票を送ってくださった企業を中 心に,計 1742 社に送付した。その結果,204 法人から 受け入れ可能の回答を得た。募集については,荒川区, 職 主な分掌 チーフリーダー ※筆者 (情報通信) 本科インターンシップの統括,企画・運営,渉外事前・事後指導(情報通信工学コース) 企業訪問,受け入れ調査,パンフレットに関すること 説明会,指導記録簿,証明書,報告書,報告会に関すること 担当 (ロボット) 事前・事後指導(ロボット工学コース)企業訪問 指導記録簿,証明書,報告書,報告会に関すること 荒川区インターンシップ事業に関すること 担当 (航空宇宙) 事前・事後指導(航空宇宙工学コース)企業訪問 指導記録簿,証明書,報告書,報告会に関すること 大学・研究所のインターンシップに関すること(説明会等) 担当 (医療福祉) 事前・事後指導(医療福祉工学コース)企業訪問 指導記録簿,証明書,報告書,報告会に関すること (兼任:専攻科 1 年担任としてインターンシップの支援) 担当 (専攻科) 専攻科インターンシップの企画・運営,渉外専攻科の新規開拓,受け入れ調査,報告書に関すること 専攻科ガイダンス,インターンシップ説明会,報告会に関すること 専攻科指導記録簿,学生報告書,証明書に関すること 管理課職員 インターンシップに関連する予算・執行に関すること 学生の保険加入に関すること 電話応対,来客応接,郵送に関すること 受け入れ調査,報告書作成,パンフレットに関すること 東京都中小企業振興公社のインターンシップの事務に関すること インターンシップ室 職員(短期) インターンシップ室内の整備に関すること学内ホームページに関すること 受け入れ調査,申込書,報告書,報告会等の文書管理・印刷・掲示・保存 アンケート集計,統計データの整理に関すること 表 3 インターンシップの指導体制

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科目名 担当教員 学年 単位 開講時数 必修・選択 インターンシップ Internship ※省略 4 2(専門科目) 集中 選択 授業の概要  各コースの特色を持った実践的な「ものづくり」人材を育成するため,夏季休業中を中心に, 5 日以上,企業や大学・研究所などで「業務体験」を行う。学校で学んだ内容を活用し,現場の 技術者たちの仕事を観察・体験して,自らの能力向上と,勉学・進路の指針とする。マッチング を重視した事前・事後指導を行い,学生の企業選択・実習を支援する。 授業の進め方 説明会や企業探索,志望理由作成,実習,報告書作成・発表の順で進める。 到達目標 技術者としての自覚と,技術や業務を理解し,キャリアを意識させること。 学校教育目標との関 係 豊かな教養,技術者としての倫理観を身につけさせ,社会に貢献できる広い視野を持った技術者 を育成する。 講義の内容 項   目 目    標 週 標準時間 1.インターンシップ説明会   荒川区・企業・大学等 インターンシップの説明会に参加し,インターンシップと手続き の流れを理解する。各インターンシップ事業に応じて,数回,実 施される。 2 2.インターンシップ申込書の作成   2 - 1.企業探索   2 - 2.面談   2 - 3 志望理由 インターンシップ申込書を完成させる。  掲示物や WEB サイトで企業を探索したり,比較する。  担当教員と面談し,アドバイスを受ける。  志望理由を,教員の指導のもと,書き上げる。 6 1 6 3.説明会(保険加入) 保険加入の説明を受け,理解して加入する。 1 4.インターンシップの諸注意 実習直前にインターンシップにおける注意を受け,礼儀・マナー 等を考える。 2 5.学生による企業訪問・連絡 学生が事前に企業訪問して,インターンシップの初日についての 打ち合わせを行う。遠方の場合は,電話・FAX・メール等を用 いて打ち合わせる。 2 6.インターンシップ 実習先で,インターンシップを実施する。 5 日(実働 30 時間)以上,実施する。 30 以上 7.インターンシップ報告書の作成 インターンシップ報告書を作成する。内容には企業秘密等を記載 しないように考慮のうえ完成させる。 8 8.インターンシップ発表会 発表会に参加し,発表及び質疑を行う。 2 計 60 以上 学業成績の評価方法 ①事前・事後指導,② 5 日(実働 30 時間)以上の実習(インターンシップ)を総合的に見て, 「合・否」で評価する。単位認定に必要な書類は,実習機関が発行する「インターンシップ証明 書」,「インターンシップ報告書」および「指導記録簿」である。 関連科目 各コースの専門科目や,文化・社会系選択科目(キャリアデザイン)など。 教科書,副読本 学校側で用意する「インターンシップガイド」等を活用する。 表 4 インターンシップのシラバス

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第 1 段階

第 1 段階では,インターンシップを知ることから始まり,インターンシップ実施を決意することや,申込みをします。学生の作成するインターンシップ申込書の完成には 1 カ月以上かかります。 3 月 受け入れ企業アンケート送付 インターンシップ担当 3 月〜 7 月 受入企業選考(随時) インターンシップ担当 3 月末 新体制立ち上げ 関係教員 4 月〜 5 月 東京都・荒川区担当者会議 インターンシップ担当 4 月中旬 ●大学・理化学研究所説明会 希望学生は全員参加 4 月下旬 ●インターンシップ説明会 希望学生は全員参加 5 月初旬〜 ●企業探索作業 探索シート記入 5 月初旬〜 ●東京都・荒川区の希望調査,受付開始 学生は希望調査票を提出 5 月中旬〜 ●希望調査の結果を発表

第 2 段階

実習したい学生と,実習先企業のマッチングを行います。インターンシップにおいて,最も重要な作業となります。学生の緊急呼出しが行われ,相談が進みます。 5 月中旬〜 ●インターンシップ申込書の作成と提出 教員が申込書を検査します 6 月〜 7 月 ●インターンシップ申込書を企業に送付 学生や担当から送付。回答待ち 5 月下旬 東京都・荒川区への実習生決定 担当 → 都・区 → 企業 6 月下旬〜 企業より回答ありしだい実習先決定 担当 ⇔ 企業

第 3 段階

ようやく,どの学生がどの企業に行くのか,候補者として決まりました。次に,インターンシップをしますという約束を,企業と学生(学校)が結びます。具体的には,契約書や誓約書を提出しますが, 契約書や誓約書が不要の企業も多いです。 さらに,企業を訪問して,作業服や必要なものの打合せをします。 7 月中旬 ●インターンシップ説明会  傷害保険・賠償責任保険の加入確認  直前の注意  保護者同意の確認 実習生は全員参加 学生が学校を通じて加入※例外有り 学校 ⇔ 学生 ⇔ 保護者 7 月中旬〜 8 月 上旬 ●学生による企業訪問(遠方企業を除く),契 約書,誓約書の提出(必要な学生のみ) 学生 → 企業訪問 → 結果をイ ンターシップ担当へ報告

第 4 段階

この段階は,実際にインターンシップを実施します夏季休業中 ●インターンシップの実施 教員による企業訪問 夏季休業中 ●インターンシップ報告書の作成  インターンシップ証明書の作成 報告書は学生が作成し,証明書は企 業が作成。

第 5 段階

インターンシップ終了後の仕事です10 月中旬 ●インターンシップ報告書(高専祭で掲示)。 ●インターンシップ証明書の提出 インターンシップ担当に提出 11 月 ●インターンシップ発表会 実習生全員参加,体験談の発表 翌年 3 月 単位判定 インターンシップ担当 表 5 事前・事後指導の流れ 注.●印が学生の関係する部分。

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東京中小企業家同友会大田支部,東京都中小企業振興 公社,就職支援室からも紹介をいただいた。実務の注 意点としては,受け入れ企業のリストを精査するため, 本校の学生に適した実習内容となっているか,就職の 可能性はあるかに留意して,慎重に対象企業を絞るこ とが必要である。 2.説明会等  表 7 は説明会等の実施の状況を示したものである。 インターンシップは,選択科目・集中講義であるので, 正規の時間割が無く,放課後に説明会を実施していた が,2014 年度から,9 時限目が設置され,火曜日の ホームルームが使えるようになった。しかしながら, 学生の教育は多岐にわたるため,必要最小限の時間で 済ますことが求められた。  始業式にはインターンシップについてのプリントを 配付した。「大学・研究所説明会」と「説明会(企 業)」では『インターンシップガイド』や『企業探索 シート』を配付して,詳細に説明した。「保険説明会」 では傷害保険と賠償責任保険の説明と納付方法,「直 前説明会」ではインターンシップ直前の諸注意を行っ た。また,外部講師を招いて「社会人マナー講座」を 実施した。  参加人数をみると,当初の「説明会(企業)」では 172 名も参加しているが,その後のマッチングや申込 書の添削指導で 90 名程度に絞られている。直前説明 会を欠席した 4 名は正当な理由があったので,各担当 から別途,説明をしてもらい,シラバスにある標準時 間を確保した。説明会を欠席すると単位にならないか らである。 3.企業探索・校内選考  説明会で「図 1.企業探索シート」を配付し,学生 の企業探索を容易にするため,下記の指導を実施した。  昨年度の受け入れ企業一覧と今年度の受け入れ企業 一覧の掲示・配付,昨年度の全員分の実習日誌とギャ ラリー(写真)の掲示,過去 4 年分の報告書の閲覧, 過去 5 年分の実習の様子をホームページに掲載,就職 資料室の開放と企業パンフレットの閲覧である。学生 は過去の実習内容や写真,ホームページ,報告書など から企業を探索し,さらに各コース担当教員から資料 を受け取ったり,面談指導を受けたりして希望調査に 記入した。希望調査は 5 月中旬に締切り,書かれた内 容から校内選考を実施した。企業探索シートを提出し た学生は 112 名で,第 1 希望で校内選考を通過した学 生は 74 名,第 2 希望や考え直しとなった学生は 38 名 であった。しかし,この後の申込書を書く時のマッチ ングと,追加受付,企業側の選考による不合格によっ 受入アンケート送付数 1,742 社(中小企業振興公社・荒川区紹介企業を除く) 受入許諾企業数 一般企業 154 社 荒川区紹介企業 8 社 東京中小企業家同友会大田支部紹介企業 9 社 東京都中小企業振興公社紹介企業 22 社 大学・研究所等 11 機関 合 計 204 法人 インターンシップ参加者数 一般企業 64 社 70 名 荒川区紹介企業 8 社 10 名 東京中小企業家同友会大田支部紹介企業 1 社 1 名 東京都中小企業振興公社紹介企業 3 社 3 名 大学・研究所等 4 機関 9 名 合 計 80 法人 93 名 注.数字は延べ数。区は当該区のインターンシップ事業。 表 6 受入企業募集の結果 開催日 参加者数  始業式 4 月 7 日(月) 4 年全員  大学・研究所説明会 4 月 15 日(火)9 時限 82 名  説明会(企業) 4 月 22 日(火)9 時限 172 名  保険説明会 7 月  8 日(火)9 時限 97 名  社会人マナー講座 7 月 15 日(火)9 時限 4 年全員  直前説明会 8 月  5 日(火)9 時限 89 名  報告会 11 月 11 日(火)9 時限 90 名  他,見学者 表 7 説明会・報告会の参加者数

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て参加人数が変動していくことになる。実務的にはイ ンターンシップ室内の 6 枚のホワイトボードで学生の 進捗状況を公開・管理した。 4.インターンシップ申込書  企業探索を突破した学生は図 2 の「インターンシッ プ申込書」を書くことになる。  インターンシップ受け入れ企業では履歴書を必要と する場合があるが,本校では履歴書に追加して申込書 を使っている。申込書は 2009 年度に筆者が作成し, その後も使われ,近年では受け入れ企業の多くがこの 申込書のみで完了するようになっている。インターン シップ申込書の特徴は次のとおりである。①携帯や メールアドレスなど連絡先の充実,②保護者印,クラ ス担任印,インターンシップ担当教員印の 3 つが必要, ③志望理由を厳しく添削する,④企業訪問欄があるこ と。  ①については,企業側では小中学校の履歴はさほど 重要ではなく,本人の連絡先の記載が重要である。② については,高専4年生は19歳相当であるので保護者 の同意が必要であり,また記載事項の確認にクラス担 任とインターンシップ担当教員の印を必要としている。 これで保護者と 2 人の教員が承諾しないと申し込めな いことになる。③志望理由の作成は学生と教員にとっ て最もきつい作業である。担当教員が添削するため, 放課後 19 時頃まで,各学生 2 〜 7 回ぐらいまで書き直 させる。この添削でも教員がマッチングを行っており, 多少の志願先変更が出る。④は学生による企業訪問欄 で,企業側から受け入れの承諾があった後,初日の実 習をスムーズに行うため,可能な限り事前訪問を学生 に義務づけている。事前訪問は企業側から好評である。 なお,申込書を企業に郵送するのは学生の自己負担で, 教育の目的で学生に宛名を書かせ,郵便局に行かせて いる。最近,宛名を正確に書けない学生が多数いて, この教育は重要となってきている。申込書の送付が完 了すると企業から受入回答書が送られてきて,実習の 契約状態となる。 5.各種事前指導(保険等) (1)保険説明会  表 7 にある通り 7 月 8 日に保険説明会を実施した。 保険の説明は教育の一環で,出席をとり単位認定に必 要なものである。本校では産業教育振興中央会のイン ターンシップ保険を用いて,傷害保険(自宅から実習 先の往復途上,及び就業体験中の事故等に適用,死 亡・後遺障害 450 万円,入院日額 4000 円,通院日額 2000 円),賠償責任保険(就業体験中,誤って他人に ケガを負わせた,機械を破壊した場合等に適用,対人 賠償1億円,対物賠償2000万円)に加入した。保護者 の方で別の保険に加入している場合は不要である。実 務的には管理課(職員)で保険料の徴収を行い,学生 や企業に対して加入証明書を発行した。 (2)社会人マナー講座  7 月 15 日には,外部講師を招いて,社会人マナー講 座をキャリア支援センター主催で実施した。これは学 年行事であり 4 年生は全員参加であった。インターン シップに行く学生のため教育効果の高いこの時期に設 定した。 (3)直前説明会  8 月 5 日には夏休み前の直前説明会を実施した。こ の時期には,ほとんどの学生のインターンシップが決 まっていて,「インターンシッププログラム証明書」 の取扱いや,「インターンシップ報告書」の締切,実 習中の注意事項を説明した。注意した事項は,事前の 打合せを守り,服装,通勤方法(車やバイクは不可), 時間等を守ること,印鑑,学生証,健康保険証,手帳, 筆記用具,電卓,その他必要な物を持参すること,遅 刻や欠席は必ず実習先に連絡すること,事故があった 場合は,保護者と学校に連絡すること,新製品名や取 引先,お客様のデータ,社内の様子などをインター ネット(SNS等)で公表しないこと,企業に損害を与 える可能性があるため,スマホでの撮影や,私物の USB メモリ等を持ち込まないこと,禁酒,禁煙を守 ること,法令順守,指示を守り,自覚ある行動をとる こと,実習中はスマホ・ゲーム・居眠り・逃亡・他の 学生と騒ぐ・会社のものを紛失する・文具を盗む・仕 事をしないなどの不祥事を起こさないことである。 (4)誓約書  誓約書は,学生が学校長に提出するものと,必要に 応じて企業に提出するものがあるが,最近では企業側 の様式が多い。学生に誓約させる内容は,おおよそ以 下の通りである。①インターンシップ期間中は,貴社 (貴団体)の就業規則,及びこれに基づく諸規則の定 めに従う。②インターンシップ期間中は,貴社(貴団 体)の管理者・監督者の指示に従う。③貴社(貴団 体)の名誉を毀損したり,業務を妨害したりするよう な言動は行わない。④貴社(貴団体)で知り得た機密

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事項は一切外部に漏洩しない。⑤故意,又は過失によ り貴社(貴団体)に損害を与えたときは,直ちに弁償 する。⑥インターンシップ期間中に,万一,自己の不 注意により災害を受けた場合には,自己の責任におい て処理する。⑦インターンシップ終了後は,速やかに 報告書等を作成し,提出する。

Ⅳ.実習中の実務

1.事故対応  夏休みにインターンシップが始まると,担当教員は 企業訪問にでかけるので,緊急・事故対応ができなく なる。そのため,インターンシップに行く学生の氏名, 行き先,住所,電話,保護者の連絡先,実習先の連絡 先などの一覧を作り,管理職,担任,管理課等に配付 した。学校に連絡のあった場合,教員の日直が対応し, 日直から管理職・管理課への連絡体制を整備した。 2014 年度は幸いにも事故・事件がなかった。 2.企業訪問  2014年度は,インターンシップ先に5名の教員で38 社(機関)の企業訪問を行った。この企業訪問の実務 の工夫としては,学生のインターンシップ中に訪問す る,企業側に本校の説明を行う,学生の実習現場を視 察して可能な限り撮影するである。筆者は過去に 400 名近い人事担当者とインターンシップの指導員の方に 会っているが,企業訪問の意義は大きく,学生の実習 状態の把握や企業との情報共有ができることである。 インターンシップの後,就職活動期には,多くの企業 人事担当者が本校に来校するため,長期的な付き合い となっている。

Ⅴ.事後指導の実務

1.実習日誌  インターンシップ報告書には 2 種類あり,1 つは実 習日誌タイプ(図 3)と,もう 1 つはレジュメタイプ (図 4)である。実習日誌は,学生が夏休み明けに いったん提出するが,その後,担当教員の指導と,記 載事項の企業側の承諾を得て完成するものである。日 誌は手書きで,完成原稿は文化祭での掲示以降,1 年 間,インターンシップ室前の廊下に掲示される。掲示 した日誌は,実習内容が具体的に書かれているため, 次年度の学生の企業探索に使用するためである。 2.インターンシップ報告書  図 4 のレジュメタイプの報告書は,学生がワードで 作成し,電子ファイルにて提出,教員の添削指導と企 業側の承諾の後,3 月末に『インターンシップ学生報 告書』として発行した。報告書作成にあたって,担当 教員より,論文の書き方の基本的指導を受けることに なる。この経験は 5 年生の卒業研究報告書の作成に役 立つ。企業に配付可能な『インターンシップ報告書』 は 320 部印刷して企業に送付し,『インターンシップ 学生報告書』は 220 部印刷して学生に配付した。 3.インターンシップ報告会  2014 年度のインターンシップ報告会は授業公開日 の 11 月 11 日に,各コースの教室に分かれて実施した。 報告会の目的は,インターンシップに行った学生が他 の学生に体験を話すことにより,学生間で情報を共有 し,進路を考えることである。まず,代表的なイン ターンシップ 3 つを選び,3 人の学生が全員に対して 発表した。その後,班別となり,各班にいるインター ンシップ経験者が,未経験の学生に発表して,質疑応 答を行った。班別のグループワークは 2 回入れ替えて 実施した。発表を聞きながら,図 5 にあるようなワー クシートに記入して,各学生が今後の進路の活動方針 を考えた。小規模のグループワークは学生にとって, 割と気楽にできるので,インターンシップの内容や感 想について,かなり活発な議論ができていた。筆者は 目的とした情報共有が達成できたと思っている。 4.証明書と単位認定 (1)インターンシッププログラム証明書  図 6 は企業に依頼する証明書である。インターン シップの単位認定については,原則 5 日間(実働時間 30 時間)以上が証明されればよいので,段階評価は ない。実務的にはインターンシップ先から確実に証明 書を回収しなければならない。 (2)インターンシップの単位認定  インターンシップ担当教員は,担当する学生の指導 記録簿に,シラバスに照らし合わせた要件が満たされ ているかどうかを,確認し押印する仕事がある。図 7 にあるような指導記録簿をすべて満たすと「合」とな り,年度末の成績会議で単位が認定される。2014 年 度は,93 名の学生がインターンシップを実施したが,

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1 名が中途退学し,2 名が報告書の未提出と報告会を 欠席したので(この2名は留年した),合計3名が単位 を修得できなかった。 (3)アンケート結果  インターンシップにおける学生からの評価を見るた め,アンケートを実施している。以下は 2014 年度の 結果である。有効回答数 86 件・回収率 92%。  質問 1.インターンシップを実施して,あなたは自 分のためになったと満足しましたか? → 回答①大 変満足(62%),②満足(34%),③普通(3%),④満 足していない(1%)。  質問 2.実習先企業はどうでしたか? → 回答① 良かった(92%),②普通(8%),③悪かった(0%)。  質問 3. インターンシップでためになったものを選 んでください。※複数回答可 → 回答①企業活動や 職場の体験(76%),②企業の技術に触れた(60%), ③社会人になる動機づけ(28%),④社会人との交流  (71%),⑤職場での礼儀・マナー(53%),⑥自分の勉 学の発展(52%)。  質問 4.インターンシップを体験して「ものづく り」をどのように感じましたか?※複数回答可 →  回答①ものづくりとは技術である(74%),②ものづ くりとは技能である(43%),③ものづくりとは工作 である(12%),④ものづくりとは設計・製図である (19%),⑤ものづくりとは作業である(17%),⑥も のづくりとは職人の腕やカンである(24%)。  質問 5.今回のインターンシップは,あなた自身の 就職活動に役立つと思いますか?  → 回答①役立 つ(85 %), ② 役 立 た な い(1 %), ③ わ か ら な い (14%)。  質問 6.今回のインターンシップは,勉学や卒業研 究 に 役 立 つ と 思 い ま す か?  →  回 答 ① 役 立 つ (72%), ②役立たない(2%),③わからない(26%)。  質問 7.今回のインターンシップ先企業に,将来, 就職したいと思いますか? → 回答①ぜひ就職した い(24%),②候補の 1 つ(53%),③就職したくない (7%),④進路は未定(17%)。  質問 8.実習の期間は,どのくらいが良いと思いま すか? → 回答① 1 週間(47%),② 2 週間(47%),   ③ 1 か月(2%),④その他(4%)。 5.その他の実務  インターンシップ室では,11 月のインターンシッ プ報告会が終了すると,激務から解放され,キャリア 教育は,就職活動の準備で就職支援室にバトンタッチ される。インターンシップ担当は年度末に向かって, 募集用パンフレットの作成と,報告書・学生報告書の 作成,指導記録簿の作成と文書作りが多くなる。今ま で述べなかったその他の実務としては,①年 3 回発行 の『キャリア通信』でインターンシップの記事を掲載 し,3・4 年の学生・保護者へ配付する,②『学生生 活ハンドブック』にインターンシップの内容と写真を 掲載する,③来年度の執行計画と予算編成,④荒川区 や中小企業振興公社への報告を作成するなどがある。

Ⅵ.まとめ

 2014年度のインターンシップは,90名の学生が2単 位を認定され,第 5 学年に進級した。学生はインター ンシップの経験を活かし,自らの進路を考え,4 年後 期からキャリア支援センターの様々な就職支援講座を 受けながら,就職活動に向かっていった。2014 年度 のインターンシップはあらかじめ就職を目標とした設 計であったので,その効果はすぐに現れた。表 2 の 「インターンシップ先一覧」の一般企業は,ほとんど が本校学生の主要な就職先である。  表 8 は,インターンシップに行った学生がその企業 に内定したかどうかのデータである。例年,インター ンシップに行った学生が,その企業に内定をえるのは 5 〜 8 名程度であったが,2014 年度のインターンシッ プでは,翌年の就職活動で 18 人の内定を得て,大幅 に増加した。不合格者が 3 名いて必ずしもマッチング に成功したわけではないが,この結果はおおむね良好 で,インターンシップ担当から,就職支援担当教員へ のキャリア教育の移行はうまくいっており,就職支援 担当教員から喜ばれた。  インターンシップに必要な書類は,他の学校でも申 込書や報告書,証明書,受入回答書,誓約書等,同じ ことが多い。しかしながら,業務の体制や指導の進め 方には違いがあり,本校は学生と教員の間が近く,教 員が実務を設計・実施できる状態にある。実務を単な る事務的な仕事にしないことが,教育上重要であるが, そのためには,以下の点に留意する必要がある。①書 類を素通りさせない,②複数の担当者で見る,③実務 に教育的内容を盛り込む,④学生や教員の作業負担の バランスをとる,⑤厳密な単位認定とエビデンスを残 す。③はインターンシップという実習のみに注目する よりも,申込書を学生が郵送する作業や,事前打合せ のために電話したり,訪問したりする体験,報告書を

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完成させるために企業側の承諾を得るなど,将来,社 会人としての役立つ内容を盛り込んでいる。④につい ては,申込書添削などの教員の負担と,どこまで学生 の力でやるのかのバランスをとることである。⑤は楽 にとれる科目ではないことが重要で,楽と思われれば 単位数かせぎの学生が増加してくる。幸いにも本校の 教員は「マッチングできないなら,いかなくてもよ い」立場の指導が多く,企業側から支持されている。 2015 年度の就職活動はインターンシップとの連動が 特によく,インターンシップの教育的位置づけに変化 が生じてきているので,事前・事後指導の方法の工夫 とマッチングの精度を高める必要が出てきている。 参考文献 [1] 田中淳・高野邦彦「インターンシップの事前・事後指導 と企業ニーズ」『経済教育 第 27 号』経済教育学会,2008 年,pp.67-76. [2] 田中淳・高野邦彦『2006 年度航空高専インターンシップ ガ イ ド 』 東 京 都 立 航 空 工 業 高 等 専 門 学 校,2006 年, pp.1-11. [3] 東京都立産業技術高等専門学校 荒川キャンパス キャリア 支援センターインターンシップグループ(編)『平成 26 年度東京都立産業技術高等専門学校インターンシップガ イド』東京都立産業技術高等専門学校,2014 年,pp.1-25. [4] 東京都立産業技術高等専門学校 キャリア支援センターイ ンターンシップグループ(編)『平成 26 年度インターン シップ報告書』東京都立産業技術高等専門学校,2015 年, pp.1-93. [5] 東京都立産業技術高等専門学校 キャリア支援センターイ ンターンシップグループ(編)『平成 26 年度インターン シップ学生報告書』東京都立産業技術高等専門学校, 2015 年,pp.1-443. 2015 年度就職活動 インターンシップ実習生が,実習先企業に内定 18 人 インターンシップ実習生が,実習先企業を受験し不合格 3 人 表 8 インターンシップと就職活動

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図 4.インターンシップ報告書(レジュメタイプ)

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図 6.証明書

参照

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