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香川県高松市における特別支援教育支援員・サポーターの実態と課題について2-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川県高松市における特別支援教育支援員・サポーターの

実態と課題について2

小 方 朋 子

要 旨 香川県高松市の特別支援教育支援員・サポーターの実態と課題を明らかにするために、昨 年度と今年度に同様のアンケートを実施した。本稿では特別支援教育支援員・サポーターと特別支 援教育コーディネーターとの間で実際に行っている具体的な連携の取り方や、子どもへの支援方 法、研修への意欲等の実態を記録に残し、課題と今後のあり方を探るものである。 キーワード:特別支援教育支援員 特別支援教育コーディネーター 研修 情報交換 1.はじめに  昨年度まとめた「香川県高松市における特別支援教育支援員・サポーターの実態と課題」では、 高松市の支援員制度の全体像を明らかにすることを目的としていたため、支援員が行っている具体 的な工夫や意見を十分に取り上げることができなかった。(以下「支援員・サポーター」とする」  教員ではなく、資格を問われず任用されている支援員・サポーターが、どのように学校現場で活 動しているかを、本稿では昨年よりもさらに記述が多かった自由記述の欄と、2013年7月末に行わ れた研修会で参加者から出された、実際の支援の現状を記録からまとめ、ここに紹介することにす る。今回は、数字よりも、支援員・サポーターの実際の声を紹介することで実態と課題を明らかに しようとするものである。 2.方法 1)調査対象者  香川県高松市の公立小中学校における支援員・サポーターおよび特別支援教育コーディネーター 全員を対象とした(以下「コーディネーター」とする)。調査用紙は、高松市教育委員会を介して市 内小中学校に配布した。回収数は、小学校のコーディネーターが45、中学校のコーディネーターが 21、小学校の支援員・サポーターが69、中学校の支援員・サポーターが33であった。また調査結果 をもとに「平成25年度特別支援教育支援員および特別支援教育サポーター研修会」(H25.7.26)にお いて話し合いを行った。 2)調査時期 2013年6月に実施した。 3)質問紙の構成 支援員・サポーターの属性に関する項目としては、支援員・サポーターをはじ めて何年目か、保持している資格は何か、活動内容については、どのような障害のある子どもを支 援しているか、その子どもたちのどのような活動を支援しているか、うまくいっている支援と課題 の多いと感じられる支援についてたずねた。また、担任との情報交換のための時間の確保の有無や

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手段、自分が必要だと思う情報の種類、またどのような工夫をしているのかを自由記述できいた。 さらに今後研修を受けたい内容、および制度全般に対する意見を自由記述で求めた。  コーディネーターには、同じく活動内容と、うまくいっている支援と課題の多い支援、情報交換 の時間の確保の有無、手段、支援員・サポーターに伝えなければならないと思う情報の種類、また どのような工夫をしているかを自由記述できいた。さらに、今後支援員・サポーターに必要だと思 われる研修の内容、および支援員制度の効果、今後の課題について質問した。最後に支援員制度全 般に対する意見を求めた。 3.結果  ここでは全ての調査項目ではなく、自由記述を求めた「担任との情報交換の工夫」「制度全般に 対する意見」を中心にまとめることにする。  支援員の勤務時間は4時間、サポーターの勤務時間は今年度から1時間増えて5時間となった。 学校の始業時間から勤務が始まると、支援員は給食の時間の前、サポーターは給食後あたりで勤務 時間が終わる。最も時間がとりやすいであろう子どもたちの下校後に教員とコミュニケーションを とることはできない。  昨年度の調査時も、この勤務時間の延長を求める声は多数あった。しかしそのタイトな時間の中 でも情報交換、情報共有は必須である。コーディネーターも支援員・サポーターもさまざまな工夫 をして情報交換をしている。  以下は「特に打ち合せ、情報交換において工夫している点があればお書きください」という自由 記述の欄に書かれた工夫を分類したものである。 1)情報共有の工夫  ここでの意見を分類すると次の5つになった。①まめに伝える、そのための人間関係作り②連絡 帳やメモの使用③個人ファイルの使用④場の設定⑤内容の工夫、である。 ①まめに時間を見つけて時間を空けずに伝える、人間関係を作っておく 【コーディネーター】 ・子どもの反応を見て、短期目標や支援の方法について気付いたことはすぐに話し合う。 ・特に打ち合せ時間を設けていないので、何か困ったことがあれば気軽に声をかけてもらうように 話をしている。 ・知ってほしいことはなるべくその日のうちに伝えるようにしている。 ・校内で会えたとき、必ず話をするようにしている。 ・支援・サポートしてもらう学年を固定しているため、担任と情報交換しやすい環境にあると思う。 【支援員・サポーター】 ・子どものほんの小さな成長でもすぐに伝え、喜びを共有している。 ・指導していただきたいことやわからない事はその都度聞きメモをとる。 ・どんな言葉かけをすれば、子どもが動けたり気持ちを切り替えたりできるか、その日その日の子 どもの様子を具体的に聞くようにしている。 ・緊急の場合には携帯電話で連絡し合っている。 ・毎朝、児童の登校支援、介助で保護者と会うので、児童の学校での様子、頑張りを伝えるように している。 ・支援がうまくいかなかったとき、問題行動が見られたときには時間をおかずに担任の先生と話を するようにしている。 ②連絡帳やメモを使って情報共有をする。

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【コーディネーター】 ・子どもの連絡帳にその時間したことや様子、課題などの報告を必ず受け、書くことによって共通 理解を図り、保護者へ正確な報告をすることに努めている。 ・交流の引率の時には交流学級の担任からの連絡事項や今後の授業で必要となることについてメモ をして渡してもらうようにしている。児童自身ではわかっていなかったり、忘れてしまったりす るので有り難い。 ・大きめの付箋紙に、連絡したいことやお願いしたいことをメモして、レターボックスや机上に 貼っておくと連絡忘れが無くて便利である。 ・毎日の連絡ノートで主に情報交換をしている。支援員・サポーターの先生が毎日丁寧に子どもた ちの様子を書いてくれるのでよくわかる。 【支援員・サポーター】 ・メールで明日の予定を確認することもある。 ・至急でない報告確認事項は帰りに付箋やメモに書いて担任の机に貼っておく。翌日再確認する。 ③個別支援シートなど専用の個人ファイルを作成 【コーディネーター】 ・個別の支援シートを用いて具体的な目標や支援方法の共通理解をとっている。授業記録の用紙を 通して学習の様子がわかるようにしている。 ・学習支援計画という記録簿に記入してもらい、それに対して一言コーディネーターが記入し、管 理職の意見をもらう。 【支援員・サポーター】 ・個別支援連絡ファイルに学習の状況・児童の様子などを記入して担任と学習内容の確認や手立て を考えている ・授業連絡ノートをコーディネーターの先生が作って、学習支援に入るクラスの担任の先生が週の 初めに、単元、内容、特に支援してほしいところ(児童名も)を渡してくれる。週末に私から気 づいたこと、感じたことを、4~5行くらいの文章で記入して担任の先生に渡している。ノート を通して児童の家庭のことや気になる行動等も知ることができ、直接話をする機会が少ないので 情報交換のよい手段になっている。 ④特別支援関係の会議や情報交換会などの場や時間を設定 【コーディネーター】 ・年度当初の校内特別支援会議に関係する担任や管理職、養護教諭と共に参加してもらい情報を共 有している。 ・関係者が集まる場所ができた。休み時間等顔を合わせた時に情報交換ができるようになった。4 校時終了後、短時間ではあるが毎日コーディネーターと支援員は話をすることができる。 ・支援員、サポーター、ハートアドバイザーといっしょに情報交換会を行い、支援対象児童と支援 方法、悩みなどを共有するようにしている(月1回)。 【支援員・サポーター】 ・20分休や放課後に担任、サポーター、ハートアドバイザーとその日にあった出来事や支援してよ かった点などを情報交換している。 ・コーディネーターと特別支援学級の担任、支援員2名が机を並べて打ち合わせができる場所にあ る。報告したいことや相談したいことがある時はその場所で話ができるようになっている。 ・金曜日に一時間、支援員とサポーター、コーディネーターの先生と意見交換や質問できる時間を 作ってもらっている。

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・年度初めに支援学級の担任の先生方との打ち合わせ(各児童の特徴と目標など)をしてもらった。 ・1週間に一度3人で集まり決めなければならないことや話し合いを行っている。大変有意義な時 間を持てている。また急なことは立ち話を行い報告連絡相談を行っている。 ・特別支援委員会を開き、生徒の様子や支援の方法を先生方に伝えたり,検討したりしている。担 任、SSW、SCとその都度連絡相談打合せをする。 ⑤伝える内容 【コーディネーター】 ・パニックを起こした時の原因やそうならないための手立てを中心に情報交換しているまたかかわ り方の共通理解。 ・交流先での児童の様子や周りの児童との関係も伝えると、担任が保護者に話す(連絡帳に書く) 時に役立つ。 ・子どもとかかわる際のポイントや支援のタイミング、度合いなどについても話せるようにしてい る。参考となる書籍を紹介している。 【支援員サポーター】 ・交流先のクラスの子どもの様子もすぐ伝えるよう心がけている。 ・毎朝児童の様子を確認し合い、必要な時は家庭からの連絡帳の内容も知らせてもらう。 2)支援員・サポーターの勤務時間の延長や増員、体制整備について  制度全般への意見は多岐にわたるが、これらを5つに分類した。①勤務時間や増員の希望②支援 員の資質について③日頃の配慮・努力④研修について、⑤その他、である。 ①勤務時間の延長と増員について 【コーディネーター】 ・今年度からサポーターの勤務時間が長くなり、一年生の給食指導の時間にも支援をしてもらうこ とができて効果が出ていると思う。支援員についても勤務時間の延長を希望する。 ・児童の支援方法について時間を設定してとれるようにしたい。サポーターの時間が延長になった ことは大変有り難い。できれば6校時まで居てもらえると支援したい打合せをしたりがしやすい と思う。 ・放課後の情報交換の時間がないため、朝のあわただしい時間又は休み時間での情報交換なので内 容も限られる。 ・学校により児童の実態は異なると思う。本校は児童数が多く通常学級にも支援の必要な子が多く おり、支援学級の児童も障害の程度が重い。まだまだ手がほしいのが実情である。 ・支援員の先生方は休憩もなく、時間外でも支援している児童の生活に合わせて支援してくださっ ている。そんな先生方のご苦労に報いるためにも勤務条件の整備をお願いしたい。 ・中学校は教科担任制なので担任が全てを把握しにくい面があるが、サポーターや支援員からの情 報提供が生徒理解に大変役立っている。宿泊学習等での支援をお願いしたいが、一日5時間程度 の勤務ということで難しい面がある。 【支援員・サポーター】 ・普段は午前中勤務のため、ほとんど話し合う時間がないので年度中に1、2回程度支援児童につ いての様子や支援方法等話し合える機会を設けてほしい。 ・勤務時間を長くして欲しい。 ②支援員・サポーターの資質や採用に関すること、個人情報の管理等 【コーディネーター】 ・支援員の採用にあたっては、健康面、体力面、教育経験などを考慮して欲しい。

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・いてくれると助かるが、できる子も甘えすぎることがある(自力で聞いて動ける力を持っている のに) ・個人情報を伝えないとできない仕事内容なので守秘義務のことなどを伝えたり、採用の際の適正 を吟味したりをお願いしたい。 ・支援員・サポーターの制度によって非常に助かっていますが、現状ではコーディネーターや担任 と入念な打合せをする時間はとれません。またどの程度の守秘義務を負うのかがわからないため どこまで情報を知らせて良いのか、また児童理解や事例検討の会に出てもらって良いのか悩みま す。そのこともあってサポーターは同じ人が継続してきてくださった方が助かります。 ③日頃の配慮・努力 ・特に支援を要する児童への対応、状態、今後の方向性、気になる点などについて、本人の意識の 流れや他の児童との関わりを考慮し、担任とサポーターが同じ方向でうまく役割を分担し、有効 な支援が出来るよう努力している。 ・担任の先生以外にも同じ児童についている支援員さんやハードアドバイザーの方と情報交換、課 題の引継ぎを行っている。 ・ホワイトボードに名前を時間割を書いて教室でするもの(教科)とクラスでするものとを色分け して誰が行くか来るか等貼って、子どもが支援につく人の名前を書いている。支援する子どもや 時間割がわかりやすくて変更があっても見れば一目でわかるので時間割については工夫してい る。 ・担任の先生方それぞれの方針に合わせ、支援スタイルも変えるよう心がけている。 ・よかったこと頑張っていることは授業の終わりに必ず担任に伝えるようにしています。逆に困っ たことは子どもたちの目があるので職員室で伝えるようにしています。 ④研修の希望 ・即現場で動けるように、春の研修の段階で具体的な場面での支援方法や対処法を知りたかった。 例)運動会練習、パニックを起こした時 ・自分で本を読んだりはしますが実際にはなかなかうまくいかないことも多く、機会があればコー ディネーターの先生にお聞きしています。定期的に研集会などがあれば同じ立場の人たちといろ いろ話すことや相談ができて不安の解消になるのでは、と思います。 ・支援学校ではどのような支援(支援の方法、子どもの変容)をしているのかを研修会等で教えて いただきたいです。 ・特別支援学級の児童が成人した時の様子、仕事などがどのようなものか、将来的な見通しをどの ように立てていくのか、ということをおたずねしたいです。 ・毎年夏休みに一回の研修会ですが、他の支援員、サポーターとの情報交換の場として研修会の回 数を増やしてほしいです。 ・小学生と中学生では支援の内容が違ってくると思うので、小・中別の研集会の内容でも行ってい ただきたい。 ・障害についての支援だけでなく、対人関係、社会性、生活面などの支援指導の対象が多岐にわた り支援の難しさを感じています。小学生・中学生と支援のコツ、注意.が違うと思うのでその点 について教えていただきたい。周りの生徒への声かけについても教えてもらいたい。 ⑤その他(やりがい・感謝) 【支援員・サポーター】 ・担任の先生や養護の先生、特にコーディネーターの先生とは、共通理解の基日々、共感しあえる 関係にあります。その関係性が子ども達の成長に大きく結びつくと考えています。体は大変なが

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らも、やりがいを感じる幸せな毎日です。 ・担任の先生はもちろん交流先の先生とのコミュニケーションを日頃からとっておくことが連携を する上でやはり大切だと思います。何かと忙しいですが、日常の中での会話を増やすことは,情 報交換の上での潤滑油になると思う。 ・いつも丁寧にご指導いただけるので感謝しています。一日の流れや子ども達の様子も伝えてくだ さるので更にわかりやすいです。今まで以上に少しでも先生方やそして子ども達の力になりたい と思っています。 ・日々子ども達から活力をもらっている。 ・サポーターを始めて本当にいろいろな子どもたちに出会えました。毎日とても刺激的です。担任 の先生ではない大人の目が教室に増えることで、先生も子どもたちもスムーズに授業ができるの では・・と感じました。支援員やサポーターが減ることなくこの制度は継続させてほしいです。 子どもたちは本当に元気です。たくさんの笑顔に元気をもらえます。この笑顔を絶やさないよう 頑張ります。 ・研修を受けるたびに支援する児童一人一人の対応を考えさせられます。親子関係、家庭環境も深 くかかわっていることを把握しなければ正しい支援ができないと思います。 【コーディネーター】 ・同じ方に続けて支援に来ていただいているので安心して支援をお願いできている。 ・特に一年生の児童の支援をお願いしているが、入学後の集団生活適応のためにたくさん支援をし ていただいた。 ・支援員さんに来ていただいて教員は大変助かっている。また対象児童の心の安定が保たれ関わっ てあげられる時間も保障されてくる。 ・特別支援学級担任を長く経験された方が来られているのでいろいろな支援をしてくださってい る。子どもへの理解を深まり対応の参考にもなっているのでありがたい。 ・どの支援員さんも自らの役割がどうあるべきかをよく考えているため、教師の方も刺激を受けて いる。 4.まとめ  1)の情報共有の工夫については、どういう工夫をしたら限られた時間の中で情報を共有できる のか、何に活かせるのか、どうすればスムーズにいくのかについて学校現場でとてもよく考えられ ていることがわかる。情報交換の頻度、重要性の高低、口頭か文章にするのか、緊急性の有無など 様々な状況を判断して、また日頃からの関係性も大事にしながら工夫を重ねている。  ①「まめに時間を見つけて時間を空けずに伝える、そのための人間関係を作っておく」という工 夫では、短い時間で濃い内容の情報交換をするために心掛けていることがあげられている。  時間を決めて打ち合わせをしている、と回答したところは少なく、一番多いのは「時間は決めて いないが打合せをしている」というところである。3の「なかなか打ち合せができない」と回答した ところもある。情報交換情報共有する時間を確保したいのに十分できないために、連絡帳やメモを 使って情報共有するという工夫も多く見られる。昨年度の研修会においても、グループごとの話し 合いではいかに有効な情報共有をするかという例として、そのためのノートが話題になり、有効活 用している学校のノートの実物も紹介された。  ③個人ファイルを使って情報共有や④の場を設定して情報を交換しているという記述は増加して おり、よりスムーズな情報共有の重要性が認められつつあると思われる。  以下の図は小学校の支援員・サポーターの2012年度と2013年度の調査を比較したグラフである。

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支援員・サポーターと担任・コーディネーターの連絡調整手段としてよく利用しているものを多い 順に1、2、3、と3つ選んで記入を求めたものである。やはり「立ち話」が多いものの、2013年 度は「特設した場」の割合が高くなっていることがわかる。  2)の制度全般への意見は多岐にわたっている。時間数の延長と増員については昨年度と同様に 多くの学校から出ている意見である。引き続きこの制度が維持されることが強く望まれている。た だ、個人情報をどこまで出すのか、守秘義務などについても現場は悩んでいる。また研修について もまだ研修時間が少なすぎるなかで、事前研修や継続的な研修を望む声が多い。研修時間の確保は 今後支援の質を上げていくためにも不可欠な要素である。  夏の研修では支援の工夫を参加者で共有した。その中にも子どものプライドを大切にしながら学 習意欲を引き出す工夫がたくさん出された。自由記述の内容を見ると、支援員・サポーターの意欲 の高さがうかがえる記述が多い。  今後の課題は研修制度、業務内容の規定などを含めて資質を高めていくことであるが、支援員・ サポーターの実態と意向を踏まえて、より充実した支援員制度のためのさらなる行政側の努力と工 夫が必要である。  これら自由記述を並べてみると、普段、支援員・サポーターとコーディネーターがどのように感 じ、どのように考えているのかがよくわかる。  「毎時間支援の対象となる児童が異なるので、特に高学年の場合前の時間に何かあると原因がわ からず、支援に入ってから困惑する」「担任の先生とうまくコミュニケーションが取れていない」「交 流学級(通常学級)の担任の先生方が支援員や支援学級の児童についてどのように感じているのか 知りたい」など、困惑することや不安なども多く存在している。  ③や④にあるように、意欲的に支援を工夫し、子ども達にさらに充実した活動を送ってもらおう と努力する支援員・サポーターの支援の質を高めるためにも、研修を継続的に受けられるような制 度の整備が必要である。 文献 1)庭野賀津子・阿部芳久(2008)東北地方の小中学校における特別支援教育支援員の配置状況と研修ニーズに 関する調査研究,東北福祉大学研究紀要 32,305-320. 2)宜保健・神谷和子・桑江利恵子 他(2008)大学との連携による特別支援教育支援員の実践力養成に対する 教育行政の取り組み―読谷村教育委員会の取り組み,琉球大学教育学部障害児教育実践センター紀要 (10), 95-109. 3)荒川智・船橋秀彦・室伏哲雄・渡辺克之(2009)茨城県内の「特別支援教育支援員」に関する調査研究,茨城 図1 2012年度 図2 2013年度 0 10 20 30 40 50 60 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 特設した場 立ち話 連絡ノートな ど 勤務記録簿 その他 3 2 1 0 10 20 30 40 50 60 70 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 支援員 教員 特設した場 立ち話 連絡ノートな ど 勤務記録簿 その他 3 2 1

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大学教育学部紀要.教育科学(58),221-235. 4)本間尚史・本間理央(2009)特別支援教育支援員の活用に関する成果と課題―関係者へのインタビューの結 果から見えてきたもの,北海道特別支援教育研究 3(1),13-24. 5)吉原真寿美・都築繁幸(2010)小学校の特別支援教育支援員の在り方に関する事例的考察,愛知教育大学研 究報告.教育科学編 59,21-28. 6)吉原真寿美・都築繁幸(2010)小学校の特別支援教育支援員の在り方に関する事例的考察(2)愛知教育大学 教育実践総合センター紀要(13),75-81. 7)林美輝・河合淳伍・岩坂英巳 他(2011)特別支援教育支援員のあり方に関する調査―奈良教育大学特別支 援教育研究センター「特別支援教育支援員養成講座」の修了者及び学校へのアンケート調査を手がかりに,教 育実践総合センター研究紀要(20),293-300,奈良教育大学教育実践総合センター 8)庭野賀津子(2011)特別支援教育支援員活用の現状に関する調査研究―学級担任との連携における課題,東 北福祉大学研究紀要 35,265-277. 9)小方朋子(2012)香川県高松市における特別支援教育支援員・サポーターの実態と課題について,香川大学 教育実践総合研究(26),115-122. 10)村中智彦他(2013)特別支援教育支援員の活用と評価(1),上越教育大学研究紀要32,219-225. 11)高橋靖子他(2013)特別支援教育支援員の活用と評価(2),上越教育大学研究紀要32,202-209. 12)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1312984.htm

参照

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