小学部 遊びの指導 学習指導案
指導者 広島県立呉特別支援学校 教諭 廣田 愛弓(T1) 教諭 﨑本 良治(T2) 1 日時 平成24年10月17日(水)10:45 ~ 11:30 2 場所 小学部 1年1組教室 3 学年 小学部 第1学年1組4名(男子3名,女子1名) 4 題材名 身体を動かして遊ぼう「音とリズムで遊ぼう」 5 題材設定の理由 ○ 児童観 本学級は自閉症のある児童が3名,ダウン症のある児童1名が在籍している学級である。1学期は,隙を 見ては教室から出て校外に行こうとしたり,好きな遊びがしたくて泣き続けていたりして,全員が教室にそ ろって落ち着いて授業を受けることが難しかった。しかし,教室での好きな遊びや安心できる場所を見つけ ることで,落ち着いて過ごせるようになり,教室以外での活動の後,自分から教室へ戻ることができるよう になってきた。そして,「学習する時間」と「自由に遊べる時間」をはっきりと区別させるよう,視覚支援 カードやタイマーを使って示すことで,児童は自分で納得して遊びを止め,学習に向かう姿勢がとれるよう になってきた。 また,友達同士のかかわりとしては,入学当初は,おもちゃを奪って気をひいてみたり,近くに寄ってき た友達を叩いたり蹴ったりというかかわりが目立った。しかし,最近では,教員を介さなくても友達同士笑 顔でくすぐりあったりじゃれあったりする姿や仲良くシャボン玉遊びをする姿をみることができるように なってきた。特別教室までの移動にも,言葉かけをしたり手をつないだりしなくても教員や友達を待って全 員でまとまって歩くことができるようになり,学級としてのまとまりを感じられるようになってきた。 本学級の児童は全員身体を動かすことが好きで,これまでの遊びの指導の「身体を動かして遊ぼう」では, 固定遊具遊びや水遊び,トランポリンを主な活動として行ってきた。しかし,同じ場所でそれぞれの児童が 自分の好きな遊びをすることが多く,簡単なルールや友達を意識した遊びには発展できていない。最も全員 が友達を意識できる場面としては「おばけなんてないさ」の曲が流れているときである。4月から毎日の朝 の会,帰りの会で歌っており,児童たちにとっては学級の仲間を意識しやすい場面である。Aは,前に出て 歌いながら踊って,「ともだちになろう あくしゅをしてから」という歌詞のところでは必ず友達に握手を 求める。Bも自分なりに歌おうとするようになり,Aの踊りをみて楽しんだり,「私も」と言って握手を求め たりする。Cは,どんなに泣いていてもこの曲がながれると泣き止んで笑顔になり,Aから求められた握手 に手を出して応じる。Dは,聴覚過敏で大きな音には耳をふさぐことがあるが,この曲は最後までよく聞い てからCDデッキを止めることができる。このように,本学級の児童は,全体的には音楽の中で活動するこ とは好きであり,繰り返し活動する中で積極的に参加できるようになったり,友達とのかかわりをもったり することができる。○ 題材観 本題材「音とリズムで遊ぼう」は,リズム遊び,楽器遊び,感覚遊びと大きく3つで構成している。児童 の実態から,動きのある活動とそうでない活動を組み合わせて授業の流れを作ることで,集中が持続できる ようになった。 リズム遊び「がんばれパチパチマン」では,曲に合わせて,手拍子,両手を合わせて上にあげる,ペラペ ラ動く,カクカク動く,グルグル回る,ピョンピョン跳ぶ,走る,手拍子,ポーズをとるという簡単なルー ルの遊びが歌にのって展開していく。自分でグルグル,ピョンピョンを意識できない児童には,手をつない で一緒にやったり,指導者が抱っこしたりすることで楽しむことができる。また,教室内で円を描くように 回ることで,みんなで一つの輪になり,友達を意識しやすくなる。 楽器遊びでは,一人ずつ前に出て「おおきなたいこ ちいさなたいこ」の曲に合わせて大太鼓を叩く。曲 に合わせて「どんどん」と大きく,「とんとんとん」と小さく叩いたり,リズム打ちしたりする楽しさを味 わうとともに,振動や音を体全体で感じることができる。出番ではない児童は,椅子に座って友達の演奏を 見たり聴いたりして「自分もやりたい」という気持ちになると考える。 感覚遊びでは,本学級の児童に親しみのある「おばけなんてないさ」の曲を歌いながら,一人ずつシーツ ブランコで揺れを楽しめるようにする。ほとんどの児童が好きな活動なので,楽しみなこととしての意味も あるが,4人で順番にすること,友達と交代することを理解させるきっかけとなる題材である。 ○ 指導観 リズム遊びやシーツブランコなど全身を使っての活動を取り入れている。そのため,机,椅子の配置を変 えながら,ダイナミックに身体を動かしながら遊びを展開していけるようにする。また,リズム遊びの動き や楽器のリズムなど,大まかな手本は提示するものの,児童の自由で自発的な動きを尊重しながら活動を進 めていくようにする。そして,繰り返し活動する中で児童がルールをしっかり理解し,自信をもって活動に 参加できるようにしていきたい。 楽器遊びでは,自分の番を意識したり,友達の活動を見たり,みんなに見てもらってほめてもらう嬉しさ を味わったりできるよう,前に出て発表するという形をとる。演奏が終わったらみんなで拍手をし,満足感 や達成感を味わえるようにしていきたい。 シーツブランコは,何度もやりたがる活動であるので,4人で順番にすること,自分の番が終わったらシ ーツから降りて,次の友達にタッチして「どうぞ」と交代することを理解させたい。シーツブランコに怖く て乗れない児童には無理強いはせず,友達の楽しむ様子を見せて,タイミングを見て誘うようにする。 6 題材の目標 ○ 友達や指導者と一緒にリズムの特徴を感じて身体を動かすことができる。 ○ 音やリズムをよく聴いて,楽器を演奏することができる。 ○ 友達や先生と簡単なきまりを意識しながら遊ぶことができる。 7 指導計画(全6時間) ○ 身体を動かして遊ぼう「音とリズムで遊ぼう」…6時間(本時4/6時間)
8 本時の目標 ○ 全体の目標 ・ 友達や指導者と一緒にリズムの特徴を感じて身体を動かすことができる。 ・ 音やリズムをよく聴いて,大太鼓を叩くことができる。 ・ 友達との交代,順番を意識して遊ぶことができる。 ○ 個々の目標 児童 これまでの様子 目標 A ・模倣するのが得意で友達や教員の動作を真似するこ とができる。自分のパフォーマンスに注目してほし いという気持ちが強く,はりきって活動する。 ・「大きい声,小さい声」,「大きい音,小さい音」を意 識して変化を楽しむことができるが,リズムよく叩 くことは難しい。 ・友達の遊んでいる物が気になって奪ったり,順番が 守れなかったりすることがある。 ・友達を誘い,リズムの特徴に合わせて身体 を動かすことができる。 ・「どんどん」「とんとんとん」とリズムや音 の大小を意識して大太鼓を叩くことがで きる。 ・交代する友達とタッチすることができる。 B ・友達が近づいてきたら拒否して教員に助けを求める ことが多かったが,友達に握手を求めたり,手をつ ないだりすることもできるようになってきた。 ・自分から積極的に活動することは少ないが,友達の 活動する姿を見て,「私もする」と意欲的に活動でき るようになってきた。 ・シーツブランコ,抱っこでグルグル回してもらうな どのダイナミックな感覚遊びが好きで,自分ばかり やってほしいという気持ちが強い傾向にある。 ・友達や指導者の動作を真似して身体を動か すことができる。 ・友達が演奏する様子をよく見て真似をして 大太鼓を叩くことができる。 ・自分や友達の順番を確認しながら遊び,交 代する友達とタッチできる。 C ・シーツブランコ,抱っこでグルグル回してもらうな どのダイナミックな感覚遊びが好きで何度も要求す る。 ・遊びの中でも常に教員の手助けを必要とし,自分一 人でできることでも教員の手をとって助けを求める ことが多い。 ・自分のやりたい活動を中断したり,我慢したりする ことが難しい。 ・指導者と一緒にリズムの特徴に合わせて身 体を動かすことができる。 ・音楽の流れている間,一人で前に出て大太 鼓を叩くことができる。 ・自分の番まで待つことができる。 D ・教室から出て,校外へ出ようとすることが多かった が,教員とのスキンシップを楽しめるようになって からは,教室で過ごせるようになってきた。 ・大好きな電車の走行音を手でリズムよく叩いたり, 知っている曲を口ずさんだりする。 ・新しい活動には抵抗を示すが,何度も繰り返すこと で少しずつ活動できるようになる。抱っこで跳んだ り揺らしたりする感覚遊びが好きで,最初は怖がっ ていたシーツブランコにも興味を持ちつつある。 ・指導者と一緒にリズムの特徴に合わせて身 体を動かすことができる。 ・音楽が流れている間,大太鼓を叩くことが できる。 ・自分の番まで待つことができる。
9 準備物 CDデッキ,CD(「がんばれパチパチマン」「おおきなたいこ ちいさなたいこ」),パチパチマン衣装, 大太鼓,ばち,シーツブランコ,ホワイトボード,視覚支援カード 10 学習過程 指導上の留意点(○支援,☆評価) 全体の活動 児童の学習活動 グループ名 小学部第1学年1組 グループ児童 A B C D グループ担当教員 T1廣田 T2﨑本 グループのねらい ・友達や指導者と一緒にリズムの特徴を感じて身体を動かすことができる。 ・音やリズムをよく聴いて,大太鼓を叩くことができる。 ・友達との交代,順番を意識して遊ぶことができる。 時間 課題 A B C D 2分 1.はじめの あいさつ ○T1が視線を送り,挨 拶に合わせて手を合 わせるよう促す。 ○T1が視線を送り,挨 拶に合わせて手を合 わせるよう促す。 ○椅子に着席するよう 言葉をかけてT2と 一緒に手を合わせる。 ○椅子に着席するよう 言葉をかけてT2と 一緒に手を合わせる。 6分 2.本時の学習 内容を知る ○授業の流れを示した ホワイトボードを見 せ,本時で一番楽しみ な遊びを発表するよ うに促す。 ○授業の流れを示した ホワイトボードを見 せ,本時で一番楽しみ な遊びを発表するよ うに促す。 ○授業の流れを示した ホワイトボードを見 せ,本時で一番楽しみ な遊びを指さしで発 表させる。 ○授業の流れを示した ホワイトボードを見 せ,本時で一番楽しみ な遊びを指さしで発 表させる。 10分 3. リズム遊び 「がんばれパ チ パチマン」 ○指導者が他児童と手 をつないで身体を動 かす様子を見せて,真 似をすることを促す。 ☆友達を誘い,リズムの 特徴に合わせて身体 を動かすことができ たか。 ○手をつないで一緒に 身体を動かし,友達の 様子に注目させてか かわりを促す。 ☆友達や指導者の動作 を真似して身体を動 かすことができたか。 ○輪に入れないときは, 手をつないだり,抱っ こをしたりして,一緒 に身体を動かす。 ☆指導者と一緒にリズ ムの特徴に合わせて 身体を動かすことが できたか。 f ○輪に入れないときは, 手をつないだり,抱っ こをしたりして,一緒 に身体を動かす。 ☆指導者と一緒にリズ ムの特徴に合わせて 身体を動かすことが できたか。 自分の椅子に着席して,両手を合わせてあいさつをする。 ホワイトボードを見て,本時の学習内容を確認する。 「がんばれパチパチマン」の曲に合わせて身体を動かす。 登場→手拍子→両手を合わせて上にあげ→ペラペラ動く→カクカク動く→ グルグル回る→ピョンピョン跳ぶ→走る→手拍子→ポーズをきめる。 ①パチパチマン(T2)のお手本を見ながら真似をする。 ②児童がマントをつけてパチパチマンになる。
10分 4.楽器遊び 「おおきなた い こ ちいさなたい こ」 ○一つ一つの動作を大 きく示すことで模倣 しやすいようにする。 ○上手に叩けたときに は,賞賛する。 ☆「どんどん」「とんと んとん」とリズムや音 の大小を意識して大 太鼓を叩くことがで きたか。 ○一つ一つの動作を大 きく示すことで模倣 しやすいようにする。 ○上手に叩けたときに は,賞賛する。 ☆友達が演奏する様子 をよく見て真似をし て大太鼓を叩くこと ができたか。 ○他に気が向いてしま うときには,言葉かけ をする。 ○一人で叩けたときに は,賞賛する。 ☆音楽の流れている間, 一人で前に出て大太 鼓を叩くことができ たか。 ○他に気が向いてしま うときには,言葉かけ をしたり,一緒に大太 鼓を叩いたりする。 ○一人で叩けたときに は,賞賛する。 ☆音楽が流れている間, 大太鼓を叩くことが できたか。 10分 5.感覚遊び(シ ー ツ ブ ラ ン コ ) 「おばけなん て ないさ」 ○友達と交代するとき には,「どうぞ」と言 うように言葉かけし, 手でタッチするよう に促す。 ○友達の番のときには 歌ったり,シーツを一 緒に揺らしたりして かかわるよう促す。 ○順番を守れたときに は,賞賛する。 ☆交代する友達とタッ チすることができた か。 ○友達と交代するとき には,手でタッチする ように促す。 ○友達の番のときには 歌ったり,シーツを一 緒に揺らしたりして かかわるよう促す。 ○順番を視覚的に分か りやすくホワイトボ ードに示して一緒に 確認する。 ☆自分や友達の順番を 確認しながら遊び, 交代する友達とタッ チできたか。 ○友達と交代するとき には,手を添えてタッ チを促す。 ○友達の番のときには, シーツを一緒に揺ら したりしてかかわる よう促す。 ○順番を視覚的に分か りやすくホワイトボ ードに示して一緒に 確認する。 ☆自分の番まで待つこ とができたか。 ○無理強いはせず,シー ツに乗れないときに は抱っこで揺らした り,手と足を持って揺 らしたりする。 ○友達の番のときには, シーツを一緒に揺ら してかかわるよう促 す。 ○友達の番にシーツブ ランコに乗ろうとし たら,順番を視覚的に 分かりやすく示す。 ☆自分の番まで待つこ とができたか。 5分 6.ふりかえり ○頑張ったところや楽 しかったことを代弁 し,全員で共有できる ようにする。 ○頑張ったところや楽 しかったことを代弁 し,全員で共有できる ようにする。 ○頑張ったところや楽 しかったことを代弁 し,全員で共有できる ようにする。 ○頑張ったところや楽 しかったことを代弁 し,全員で共有できる ようにする。 2分 7.おわりの あいさつ 「おおきなたいこ ちいさなたいこ」の曲に合わせて太鼓を叩く。 ①T1 ②児童一人ずつ ③T2 ④やりたい児童 「おばけなんてないさ」の曲に合わせて一人ずつ順番にシーツブランコをする。 自分の椅子に着席して,両手を合わせてあいさつをする。 本時の3つの遊びの中で一番楽しかったものを写真カードで選び,振り返る。
11 教室の配置図 1.はじめのあいさつ 2.本時の学習内容を知る 6.ふりかえり 7.おわりのあいさつ 3.リズム遊び「がんばれパチパチマン」 長机 長机 プ レ イ エリア 更衣 スペース かばんロッカー 連絡帳ロッカー 掃除 道具 入れ 水道 キーボード 児童机 児童机 児童机 児童机 棚 棚 出入り口 出入り口 長机 長机 プ レ イ エリア 更衣 スペース かばんロッカー 連絡帳ロッカー 掃除 道具 入れ 水道 キーボード 児童机 児童机 児童机 児童机 棚 棚 出入り口 出入り口
T1
T2
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A
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いす いす いす いす CD デッキ ホワイト ボード CD デッキ ホワイト ボードA
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C
D
T2
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4.楽器遊び「おおきなたいこ ちいさなたいこ」 5.感覚遊び(シーツブランコ)「おばけなんてないさ」