Title
木酢液による悪臭の除去に関する研究 第1編 木酢液による
悪臭の除去に関する研究 (第1報) 第2編 木酢液による悪臭
の除去に関する研究 (第2報)( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
高原, 康光
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第956号
Issue Date
1995-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15310
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 高 原 康 光(岐阜県ノ 博 士(医学) 乙第 956 号 平成 7 年 3 月 24 日 学位規則第4条第2項該当 木酢液による悪臭の除去に関する研究 第1編 木酢液による悪臭の除去に関する研究(第1報) 第2編 木酢液による悪臭の除去に関する研究(第2報) 審 査 委 員 (主査)教授 岩 田 弘 敏 (副査)教授 清 水 弘 之 教授 宮 田 英 雄
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--- = l 論 文 内 容 の 要 旨 悪臭被害の実態を反映する悪臭苦情は公害苦情件数の中で騒音・振動に次いで多く,苦情者の多くは不快感の 他頭痛,食欲不振等を訴えている。また,悪臭の発生源は,苦情の多い順に畜産業,ごみ焼却場等のサービス 業,食料品等製造業,化学工場,個人住宅等であり,零細企業をはじめ悪臭対策が進んでいないのが現状である。 そこで申請者は・苦情の多い畜産業等の悪臭を軽減する目的で,木炭製造時の副産物である「木酢液」の固有 臭と有機酸等の含有成分に着日し,「糞便臭」等への消臭・脱臭剤としての適用を考案した。 まず,木酢液のもっ基本的な脱臭性能を把握する目的で,「糞便臭」の代表成分であるアンモニア,硫化水素, 酪酸等の悪臭榛準ガスを対象として,悪臭物質の除去能力に関する基礎試験を実施した。また,消臭・脱臭効果 の判定に欠くことのできない官能試験方法として,臭気の三大要素である臭気強嵐臭気質及び不快度の項目を 総合して評価する新しい官能試験法を確立した○次に,実用化のための応用試験として,対策が最も困難とされ ている豚糞臭気を取り上げ,養豚場を想定したビニールハウス内で木酢液の消臭・脱臭剤としての有用性の検討 を行なった。 方 法 1)気液接触法による悪臭物質の除去試験 アルカリ性悪臭物質としてアンモニア及びトリメチルアミン,酸性物質として硫化水素及びn一酪酸,中性 物質として硫化メチルの計5種類の悪臭榛準ガスを各々テドラバッグ内に調製し,1∼20%に調製した4種類 の木酢水溶液に吸収させ,溶液吸収前後の悪臭物質濃度をガスクロマトグラフ法で測定した。また,酸性物質 系の除去効率の向上をはかるため,pHを5から7へ上げた木酢液についても同様な試験を行なった。 2)密閉容器内における悪臭物質の除去試験 硫化メチルを除いた悪臭標準ガスをそれぞれ封入した密閉容器内に,3%の木酢液1mゼを注入した木酢検体 と・これとは別に同量の水を注入した対照検体における悪臭物質濃度の経時変化をガスクロマトグラフ法で測 定した。また,悪臭棲準ガスの木酢液添加による消臭・脱臭効果を判定するために,除去効果の最も大きかっ た時点において,9名の嘆覚判定員による6段階臭気強度と9段階快不快度の測定を実施した。 3)官能試験法の検討 実用化試験における消臭・脱臭効果の判定を明確にするための官能試験方法として,直接法である臭気強度 法と快不快度法に加えて,臭気質情報から快不快度を判定するニオイブロフィール加算法を併用した総合評価 法の有効性を検討した。 4)実試料を用いた木酢液の消臭・脱臭剤としての基礎試験 豚糞臭気の化学性状と経時変化を把撞するために,デシケ一夕ー内に封入した豚糞から発生する臭気を化学 試験と官能試験法により測定した。また,豚糞に対する木酢液の最適散布量を検討し,デシケ一夕ー内におけ る木酢検体と対照検体の経時変化を比較検討した。 1295)木酢液の消臭・脱臭剤としての実用化試験 養豚場敷地内に設置したビニールハウス内に豚糞を封入し・木酢液の散布効果を対照と比較検討した。 結果と考察 1)気液接触による木酢液の悪臭物質の除去率は,木酢液の濃度種別の如何を問わず,アルカリ性物質のアンモ ニア及びトリメチルアミンが97%以上酸性物質のn一酪酸が92%以上を示したが,硫化水素と硫化メチルは 20∼50%と低い値であった。また,pH7の木酢液については硫化水素の除去率が20%から60%程度に向上し, 他の物質も92%以上の除去率を維持した○したがってI疎水性の硫化メチルの除去率の向上は困難であるが, 親水性の悪臭物質の除去には有効と考える。 2)密閉容器内における試験では,アンモニアとトリメチルアミンは30分で80%,酪酸は120分で80%の除去率 を示したが,硫化水素は120分でも20%と低かった○なお,pH7の木酢液については120分で硫化水素の除去 率が90%と向上したが,他の物質は逆に60%程度に留まった。したがって,木酢液は本実験のように気液接触 が十分に行なわれない状態においても,アンモニア,トリメチルアミン及び低級脂肪酸等の悪臭物質には有効 であるが,硫化水素依存性の臭気については木酢液のpHを高める等の改良が必要であることが明らかとなっ た。一方,木酢検体は対照検体と比べて臭気強度に差は無かったが,臭気質の変化と不快感の低下が認められ た。したがって,木酢液によるこのような効果にはマスキングによる消臭効果が強く関係することが示唆され た。 3)消臭効果を精度良く判定するためにニオイブロフィール加算法の適用を検討したところ,この方法は直接法 よりも個人差の影響が少なく,安定性に優れていること及び臭気質項目の回答割合を比較することにより,臭 気質の微妙な変化も明確にできること等が分かった0 4)実試料である豚糞臭気の主成分はアンモニア,硫化メチル及び低級脂肪酸類であったが・閉希釈倍数値から 推定したところ,臭気の主原因物質は酪酸等の低級脂肪酸であった。一方,消臭剤としての木酢液の散布量は 豚糞との重量比で6.6%が最適であり,木酢液の散布により,豚糞臭気の臭気質は「腐敗臭」,「家畜小屋臭」, 「糞便尿臭」から弱い「木酢臭」に変化し,不快感も1/2以下に低減することが明らかとなった。 5)実用化試験において,木酢検体のビニールハウス内における悪臭物質の除去率は90%程度を示した。また, 臭気質の変化も4)と同様な好結果が得られ,不快感も2ポイント以上の低減を示した。さらに,一連の実 験を通して,木酢検体にはハエの侵入が全く認められず,木酢液がハエに対する忌避効果を有することが判明 した。 結 語 経営基盤の弱い畜産業の悪臭に対して経済的で効率の良い対策を講ずることが緊急の課題となっている0今回 の実験結果から,木炭製造の副産物である木酢液は,豚糞等の消臭効果のみならずハエ等に対する忌避効果も有 することが明らかとなった。また,木酢液は生態系に与える影響が極めて少ないために,蒸留精製等で品質を向 上させれば,家庭内での糞便臭あるいはペット臭対策にも応用が可能であると考える○ 論文審査の結果の要旨 申請者 高原康光は,生活環境上の苦情のうち,上位を占める悪臭,特に,対策に困難をきわめている豚糞臭 気に対して,木炭製造の副産物である木酢液を用いて検討したところ,木酢液は臭気質を緩和させると共に消臭 効果を高めることを明らかにした。また,実験中,木酢液にはハエに対する忌避効果があることも見いだした。 これらのことから,寝たきり老人等の糞便臭対策にも応用できることが示唆され,本研究の成果は環境医学の発 展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 木酢液による悪臭の除去に関する研究 第1編 木酢液による悪臭の除去に関する研究(第1報) 平成5年1月発行 日本公衆衛生雑誌 40(1)‥29∼37 第2編 木酢液による悪臭の除去に関する研究(第2報) 平成6年2月発行 日本公衆衛生雑誌 41(2)‥147∼156 130