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学生論文賞受賞論文 要約 ビルにおける避難の数理モデル

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Academic year: 2021

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務学生論文賞受賞論文

要約務

ビ lレにおける避難の数理モデル

東京大学工学部計数工学科数理コース 伯野車彦(指導教官伏見正則教授)

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はじめに 。

仙一

G ワ ' h l めツ たネ る的 す動 現る 表す を応 れ対 る. 本論文では,ピル火災における居住者の避難経路に関 F を下記のようにして生 ずる実用的な最適化の方法を提案する.過去に提案され 成する(シミュレーショ た種々のモデルは,延焼過程を考慮しておらず,静的ネ ンの時聞は, ρ 単位時間 ツトワーク上でシミュレーションをしているものが多 とする). い.そこで本論文では,延焼過程を考慮した動的ネ γ ト 1) ai(t) を頂点とす ワークを用いて,ネットワークフロー問題として定式化 を行なし、,これにもとづいて,各フロアーの避難可能人 数,各出口からの避難分布等を求める.さらに,横浜新 都市ピルでの計算を通して,ここで提案する手法が,現 実の問題に対しても適切な結果を与えることを示す.

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従来の毛デル

建物の構造は,静的ネットワーク G=[ vY: ..w-]とし て表現する.ここで , vY ={atli=I , 2, … , N} は点の集 合, J>J/は枝の集合である.ネットワークにおける点は, ピルの仕事場, ロピー,階段,廊下等に対応し,居住者 はその場にとどまっていられるものとする. また, 校 (i, j) には,容量 C(i, j) , および推移時間 t(i , j) が存在 する. 従来のいくつかのモテソレでは,居住者の総避難可能人 数を目的関数として, これを最大にするような定式化 (最大流問題)が行なわれていた.このモデルを図 1 に 適用してみる.図 1 は,地上 3 階建てのピルで階の 出口および屋上からのみ逃げられるものとする.また, 各階の居住可能人数は 200人, 各階段部分の通過可能人 数は 50人とする.最大流問題を解いて得られた結果が図 2 である.各時刻における各出口からの避難人数には, 時刻によっていちじるしいぱらつきがみられる.これは 火が間近にくるまで居住者が逃げようとしないことに対 応し,非現実的である.

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動的ネットワークモデル

2. で示した建物の静的ネットワーク G 上での人の流

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{i =1 ,

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N:

t= 図 3 階建てピルのネッ 0,1,… , p) トワーク構造

2) ai(t) から ai(t+ 1)へ容量 C(i, i) の校をかける. (t=O, I , … , p ー 1)

3) 静的ネットワーク上で , aiから aj にゆく枝が存在 する時 , a;(t) から aj (t +t(i, j)) へ容量 C( i, j) の

枝をかける. このアルゴリズムで‘は, 3) で,元の静的ネットワーク における枝の切断時刻の情報を導入することで,延焼過 程を反映できる. すなわち,各通路の切断時刻に応じ て,その時刻以後の t に対応する頂点、を終点とする校を 除けばよい.ただし,現実の延焼過程を数式化すること はわきめて困難であり,それ自体が大きな研究課題であ るので,本論文では,単純化した延焼過程を導入した. • 出 入 口 か ら (1) 避 難 人 数 (人) 1出足 l 品川以判以引川 難 14 │ 幽凶以凶 [50"] 人以↓ 数ら (人)の 図 2 従来のモテールによる解析例 オペレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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出 口 か ら σ〉 避 難 人

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図 S 本モデルによる解析例

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一般最小費用流問題の適用

このようにして得られたネットワーグモデル上で, 延べ総避難時間を目的関数として,これを最小にする 流れを最適解とした.すなわち,各居住者の避難時簡 を費用とした時の一般最小費用流問題として,定式化 をした.これを図 1 のモデルに適用した結果が図 3 で ある.この場合,動的ネットワークの点の数は 88,枝 の数は 100であった.図 3 を, 2. で得られた結果(図 2 )と比べてみれば,避難分布は,各時刻での避難者 数に傭りが少なく,一様に避難している.このように, 本論文で提唱された避難モデルを建物に適用すれば, 避難分布が現実的なものになることが確認された.

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横浜新都市における計算例

本節では 4. で‘述べた手順を大規模な建物に適用し て,避難分布の解析を試みる.モデルケースとして,横 浜新都市ピルを用いた.これは,指定避難出口が建物内 に数個点在していて,例として適当であろうと思われた ことによる.この建物から生成された動的ネットワーク の校の数は 8094個,点の数は 2295個であった.このネッ トワークモデルを用いて行なった最適避難計画の結果を 図 4 に示す.図 2 と比べてみると,各時刻における各出 口からの避難人数のばらつきが少なく,きわめて現実的 な避難分布となっている.なお,横浜新都市ピルの防災 計画は常に防火シャツタが作動することを前提としたも のであるが.計算の結果,防火シャツタが停電等の原因 で作動しなかった場合の安全性には疑問が持たれた. 6. まとめ 本論文で示したモデルは,煙の流動シミュレーション などと有機的に結合することにより,ピルの設計時にお 1990 年 1 月号 横 1

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Cs田〕 地下 図 4 横浜新都市ピノレにおける解析による避難人数分布 ける防災計画の作成,避難誘導計画の立案などに有効で あろうと恩われる. 参考文献 [ 1 ] 林 陽一,西国直短:辞書式最適動的流れ問題と そのビルにおける居住者の避難モデルへの応用,計 測自動制御学会論文集,第 20巻,第 7 号, pp.

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昭和 59年 7 月.

[2] Francis

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Building Evaluation

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pp.86-105

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Princeton University Press

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