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雑誌名
国際哲学研究
巻
別冊10
発行年
2018-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00009810/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止国際哲学
研究
別冊
10
2018
東洋大学国際哲学研究センター編
Edited & Published by International Research Center for Philosophy,
Toyo University
Journal of Interna�onal Philosophy,
Extra Issue 10
国
際
哲
学
研
究
別
冊
10
情報、身体、ネットワーク
東
洋
大
学
国
際
哲
学
研
究
セ
ン
タ
ー
編
二
〇
一
八
年
ISSN 2186-8581情報、身体、ネットワーク
―21世紀の情報理解に向けて―
国際哲学
研究
別冊
10
2018
東洋大学国際哲学研究センター編
Edited & Published by International Research Center for Philosophy,
Toyo University
Journal of Interna�onal Philosophy,
Extra Issue 10
国
際
哲
学
研
究
別
冊
10
情報、身体、ネットワーク
東
洋
大
学
国
際
哲
学
研
究
セ
ン
タ
ー
編
二
〇
一
八
年
ISSN 2186-8581情報、身体、ネットワーク
―21世紀の情報理解に向けて―
国際哲学
研究
別冊
10
2018
東洋大学国際哲学研究センター編
Edited & Published by International Research Center for Philosophy,
Toyo University
Journal of Interna�onal Philosophy,
Extra Issue 10
国
際
哲
学
研
究
別
冊
10
情報、身体、ネットワーク
東
洋
大
学
国
際
哲
学
研
究
セ
ン
タ
ー
編
二
〇
一
八
年
ISSN 2186-8581情報、身体、ネットワーク
―21世紀の情報理解に向けて―
『国際哲学研究』別冊 10
情報、身体、ネットワーク
―21 世紀の情報理解に向けて―
東洋大学国際哲学研究センター編
2018 年 3 月
はじめに
東洋大学 国際哲学研究センター長
河本 英夫
この別冊は、情報科学技術社会をテーマとしている。どの程度の広がりのある領域であ るのか、さらにはどの程度の展開見込みのある領域なのか、どのような哲学としての試み がありうるのか、現時点では正直なところよくわからない。情報科学を作り出したと言わ れる、フォン・ノイマン、チューリング、シャノン、ウィーナー等々についても、いまだ 哲学として論じることのできる水準には至っていない。ともかくも踏み出してみたいと思 う。 まず現状認識から行わなければならない。第一に、現在が世界大の広がりで「第 4 次産 業革命」と言われるほどの転換が進行し続けているらしいということである。この内実は 何なのかはまだはっきりしないが、農業生産、鉱工業の生産、あるいは詳細なヴァーチャ ル表現に至るまで、情報化の浸透と大幅なデータの細かさによって、想定外の「現実性」 が出現していることである。コンビニのおにぎりが、ロボットによって作られていること は、以前よりよく知られていた。人間の行う生産活動のかなりの部分は、やがて人工知能 やロボットに置き換えられていく。 たとえば数年後には、日本語を語れば英語に翻訳して通話するような小型コンピュータ はできるに違いない。そしてそのソフトはスマホやアイパッドに組み込まれるに違いない。 そのとき語学の学習はどうなるのか。語学は何を学ぶためのものになるのか。たんなる翻 訳機械であれば、ただちに人間の能力を超え出てしまうに違いない。人間は、固有に「人 間として」何を行うるかという問いは、繰り返し提起される難題だが、技術の進歩によっ てその解答への見通しが次々と変更されていく。この部分をどう捉えたら解答になるかが、 今のところよくわからない。つまり「人間とは何か」という古くからの問いが、新たな局 面にさしかかっていることになる。 第二に、人工知能の進展によって、どうやら人間の能力とは異なるものが出現してきて いるらしいことである。コンピュータの画面が、人間の視知覚では見えないものまで見え 3るようにしているという事実は疑いようがなく、また囲碁将棋でも、人間の名人を負かす ほどの力量を発揮している。異なる能力が形成され、現実のものになっていると考えてよ い事例が、とても多くなった。 人工知能には感情がないと言われる。現時点ではそうである。ところがこれは人工知能 の欠点に留まるわけではない。人工知能開発者にとっては、この欠点は課題ともなるので、 やがて「人工知能感情」が形成されていくに違いない。このときこの人工知能感情が、現 在人間が活用し作動させている感情とは、まったく別のモードが出現してくる可能性があ る。おそらく想定外の「人工感情」が生み出される可能性があり、人間はそこから感情を 学ぶ別の回路を獲得することになる。 感情のモードは、時代を通じて随分と変わってきた。「けしからん」という感情のモード は、義憤と呼ぶべきものだが、義憤はさまざまなかたちで変化してきている。国家や民族、 人間一般、女性一般への確信をもとに、義憤はさまざまなかたちを取ってきている。人工 知能義憤は、いったいどのようなものになるのだろう。人工知能は、身近な生活の場面で、 異なる経験を出現させてしまう可能性がある。これまでは基本的に小説家や作家が、新た な「感情のモード」を描き、定着させてきた。その役割の一部を人工知能が担うことにな るのかもしれない。「能力の形成」はまったく別の局面に入った課題である。 第三に、ロボットの開発である。ボストン・ダイナミクスで開発されているロボットは バック宙まで行う。数年後には「ひねり技」まで実行できるようになるに違いない。ロボ ットの作りは、純粋に力学的なので、人間の身体動作とはずいぶんと異なる。転んで起き 上がるときのロボットの仕草は、最も無駄のない動作でもある。人間の身体動作は、動力 学的に形成される。ここから動作の形成について、いったい何を学べるのかという新たな 学習課題が提示されることになる。 これはリハビリテーションの現場でも、新たなアイディアと知見を提示していくはずで ある。高齢化社会において、あるいは現役労働者不足の社会において、ロボットがどの程 度の仕事をするようになるのかはまだ分からない。各分野でロボット化の進行は、ほとん ど予測もつかない。自動車は、純粋にロボットとして自動運転してくれる。アルコールが 入って後、自宅まで帰る場合に自動運転に切り替えれば、「酔っ払い運転」にはならないの であろう。ロボットとの共存は、新たなテーマとなりうるのである。 第四に、情報ネットワークの問題がある。当面これの展開は眼に見える形で進行してい る。情報ネットワークのなかだけで成立している「通貨」がすでに世界中に広まっている からである。「ビットコイン」等の仮想通貨の見通しは良くわからない。こうした通貨には 国家保証はなにもない。通貨供給量を制御する仕組みもない。そこで中国やロシアでは、 仮想通貨は原則禁止になった。北朝鮮が、仮想通貨市場で不正取引を行っているという報 道は繰り返し出されている。だが便利で活用可能なものが、国家的な禁止だけで制御でき
るはずもなく、何が起きるのかはわからない。 情報ネットワークは、やがて国家機能を改変させ、国家機密の意義を変えてしまう。お そらく情報の意味さえ変えてしまう。というのもネットワーク上を大量に流れる情報の少 なくない部分が、「フェイク・ニュース」であり、「のぞき見趣味」に訴える情報、「劣情」 に訴える情報、おしゃべりの材料になる情報等々に溢れてしまっているからである。情報 の過多は、「反省」の意味を変えてしまう。場合によっては、反省は「ただの古い言葉」に なってしまうのかもしれない。だがそこでも「反省」をどのような意味で有効に作動させ ることができるのかは、新たに課題として設定できるのである。 これらは毎年のように課題設定を行い続ける必要のあるテーマ領域である。ともかくも 開始してみるべき課題である。この別冊では、情報科学技術社会についての現状分析、課 題分析、また情報科学へのどのような取り組みが可能なのかについての試論を展開してい る。 5
目 次
はじめに 河本 英夫 ··· 目次 講演「人工知能について思うこと」 木村 一基 ··· 全体討論 登壇者 木村 一基 ··· 信原 幸弘 司会 河本 英夫 人工知能とは何者か 信原 幸弘 ··· ウィーナーの夢――制御と学習 河本 英夫 ··· 超学習する機械 ソーム ネットワーク ―― 一つの科学哲学的試論 河本 英夫 ··· 3 9 23 31 41 55執筆者一覧(執筆順) 河本 英夫 東洋大学文学部教授 木村 一基 日本将棋連盟棋士 信原 幸弘 東京大学大学院総合文化研究科教授 国際哲学研究 別冊 10 情報、身体、ネットワーク―21 世紀の情報理解に向けて― 2018 年 3 月 19 日発行 編 集 東洋大学国際哲学研究センター編集委員会 発行者 東洋大学国際哲学研究センター(代表 センター長 河本英夫) 〒112-8606 東京都文京区白山 5-28-20 東洋大学 6 号館 4 階 60452 室 電話・FAX:03-3945-4209 E-mail:[email protected] URL:http://www.toyo.ac.jp/site/ircp/ 印刷所 蔦友印刷株式会社