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「琉球貿易図屏風」の世界に迷い込む

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Academic year: 2021

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「琉球貿易図屏風」の世界に迷い込む

今回展示している「琉球貿易図屏風」では、首里城は右から一扇目の上部へ小さく押し込められてい ます。その周辺についても、琉球の臨済宗総本山で王家の菩提寺でもあった円覚寺や、天災・疫病な どに際して王が祈祷を行った観音堂などは描かれていますが、円覚寺に隣接する人工池で、首里の 風景を美しく彩った円(えん)鑑(かん)池(ち)や龍潭(りゅうたん)は省略されています。円覚寺とともに王 府の三大寺であった天王寺や天界寺ほか、数々あった首里の寺院もほとんど描かれていません。この 屏風の中にあって首里城とその城下は、ほんの添え物のように扱われています。 首里から下の方に目を移しますと、崇元寺(そうげんじ)(一扇目)や潟(かた)原(ばる)(一~二扇目)、 また波上宮(なみのうえぐう)(二~三扇目)といった辺りは大きく、細かい部分まで描かれています。た とえば崇元寺の門前には、通行者に馬から下りるよう命じる「下馬碑」が東西に一つずつ建っています (図版参照)。東と西の両方から来る通行者に下馬させるために、もともと崇元寺にはこのように下馬 碑が二つありました。しかし、沖縄戦によって寺の建物とともに西の碑が失われ、現在は東の碑だけが 残っています。屏風の中で、崇元寺を過ぎた辺りで馬に乗って安里(あさと)橋を渡る人物が描かれてい ますが、あるいは寺の前では馬に乗れないことを強調する表現でしょうか? また、那覇港には右から三~六扇目と広いスペースをあてており、進貢船や爬龍船(はりゅう船)船競 漕のほか、港の周辺の様子も詳しく描かれています。たとえば迎(げい)恩(おん)門(中国からの册封使 (さっぽうし)を迎える場所でしたが、ここでは薩摩藩の役人の接待に用いられているようです)の斜め下 に大きな石碑が見えます。これは、1717年に行われた那覇港の大浚渫工事を記念して建てられた 「新濬(しんしゅん)那覇江(なはこう)碑文(ひぶん)」のようです。この工事は1年4ヶ月を費やし、従業者 約7万人にも及ぶ大規模なものでした(外間政明「那覇港の成立とその機能維持」)。那覇港の歴史の 証人であったこの碑文も沖縄戦で破損し、現在は沖縄県立博物館で保管されているとのことです。 「琉球貿易図屏風」には、このほかにも気になる箇所や不明な箇所が数々あります。沖縄の歴史や文 化に少しでも関心を持って見始めると、簡単には抜け出せない迷路のような魅力があると言えるでしょ う。 (附属史料館 青柳周一)

参照

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Photo Credits:Stefanos Tsakiris Copyrightⓒ ECSCRM2016 Conference Photo Credits:Stefanos Tsakiris Copyrightⓒ ECSCRM2016 Conference.

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