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肝疾患診断における腹腔鏡検査の意義

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Academic year: 2021

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48 シンポジウム 〔東女医大誌 第60巻 第3号頁266∼267平成2年3月〕

内視鏡検査の現況と展望

肝疾患診断における腹腔鏡検査の意義

東京女子医科大学 ピサ ミツ

久 満

消化器病センター内科 トウ ジユ

董 樹

(受付 平成元年10月31日) はじめに 疾患の最終診断が病理組織所見によってなされ るのは,いかなる分野でも変りがない.臨床所見 と解剖病理の対比によって,診断学は進歩したと いって過言ではないだろう.. 内視鏡検査は,身体内部の臓器を直接観察する ことによって,病理診断により近付こうとする試 みであり,さらに生検技術が加わり確定診断と治 療との時間的距離は飛躍的に縮まった. 腹腔鏡検査は閉鎖腔を観察するものであり手技 的には小手術に属するので,患者への精神的圧迫 感は,他の内視鏡検査より大きい.手術室で行な うこと,複数のスタッフを要すること,保険点数 が低いことなどが一般病院ではあまり行なわれな い理由であろう. 1.肝疾患診断における腹腔鏡の意義 数多くある肝疾患のなかで頻度の高い肝炎や代 謝性疾患は,いずれも変化がび賦性であり,盲生 検で十分組織診断が可能であるかのように思われ る.しかし,sampling errorにより評価を誤るこ とは,慢性肝炎,肝硬変においてはしばしば見ら れる.かかる例では肝臓全体像の所見が重要であ る.また微小な占拠性病変が散在する疾患では, それが肝表面に露出するものであれぽ,腹腔鏡の 診断的価値は非常に高い. また,「一度見たら忘れられない所見」に接する ことが形態学の利点であり,自分の記憶の引き出 しの中に,アトラスを形成することによって診断 能力は一段と向上する. 腹腔鏡検査で特徴ある肝所見を呈する疾患を挙 げれば, 二二二種 肝内胆汁うっ滞 肝嚢胞 Dubin−Johnson症候群 脂肪肝 日本住血吸虫症 肝結核 転移性肝臓癌 馬鈴薯肝 Hodgkin病 などである, 2.腹腔鏡検査の適応 表1に腹腔鏡検査の適応を示す.腹腔内を観察 して益ありとするものを適応とするなら,まだま だあろう. 漫性肝疾患で,直視下での安全確実な肝生検を 行うことが適応の第一である.図にKalkの「ウイ ルス肝炎の経過図」を示す.これには,急性肝炎 から急性肝壊死や慢性肝炎への移行について,現 代肝臓病学にそぐわない点もあるが,基本的表現 として今も生ぎている. 3.腹腔鏡検査の禁忌 表2に腹腔鏡検査の禁忌を示す.禁忌を無視す ると思わぬ合併症を引き起こすので注意が必要で ある. 4.腹腔鏡検査の合併症 1)皮下や腸間膜の気腫 2)腸管など腹腔内臓器の損傷 3)血圧低下 4)胆汁性腹膜炎 5)空気塞栓 6)出血 1)以外は稀である.出血も少量である. 5.最近の新しい検査法

Toju HISAMITSU〔Department of Gastroenterology, Tokyo Women’s Medical CoHege〕:Laparoscopic diagnosis of the liver diseases

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49

Heilung 一・

(治癒)

9ros3e weisse Leber (慢性肝炎) 並

qrGsse bunte Leber (斑紋肝) ↓ grosse b邑」nte HoeGkerleber c六=王妊酸文糸吉負行月干) よ atrophische Zirrhose (萎縮性肝硬変) 図 qrobknotige Narben!eber atroPhische Zirrhose (米且大糸吉套行型・騎憂痕∫1干 +萎縮性肝硬変)

9rosse rote Leber

(急、’i生月干炎) ↓ akute しebernekrose (震肇、’1’生員干士裏罫) ↓ 了richterleber

(漏斗肝 ↓)\

Kartoffel工eber (,馬$口恥月干) 腹腔鏡所見より見た急性ウイルス肝炎の経過 表1 腹腔鏡検査の適応 1.肝臓の肉眼的所見を観察する 2.直視下で安全,確実に肝生検を行なう 3.胆嚢の病変を見る 4.腹膜疾患の生検が可能 5.腹水の有無,性状を確認する 6.悪性腫瘍の肝転移を確認する 7.不明の腹部腫瘤を診断する 8.癒着に基づく慢性の腹痛の確認 表2 腹腔鏡検査の禁忌 1,血液凝固機能の異常 2.急性腹膜炎 3.腸閉塞 4.腹壁の炎症性疾患 5.汎腹膜炎の既往歴 6.重篤な心臓疾患,肺疾患 7.非協力的な患老 1)ICG大量静注による肝癌の診断 腹腔鏡で照視しつつ,ICG 200mgにアルブミン 4gを加えて静注すると,10分ほどで肝硬変結節に はICG色素が取り込まれるが,肝癌結節は染まら ない. 2)拡大腹腔鏡

肝表面に見える肝小葉は径1∼2mmであり主

要な変化は亜小葉大の集合である.通常のスコー プでもかなり拡大されて見えるが,拡大鏡を用い ると,肝炎の重要な所見である赤色紋理や白色紋 理の性状,細血管の様子などがよく観察できて有 用である. 3)超音波腹腔鏡 スコープの先端に超音波検査のプローブを付 け,肝表面に接着させて肝内部の情報を得ようと するものである.ディスプレイを見ながらスコー プを操作するため肝表面を直視できない.トラカー ルを2本挿入するなどの工夫が必要であろう. 4)電子スコープ Flexibleな消化管内視鏡をそのまま転用して いる段階である.色の再現性に未だ問題があるよ うだ.画像解析への応用が期待されているが,現 在のフィルム上に撮影された画像のレベルに及ん でいない. 総 括 一つの検査法が全てをカバーすると考えるのは 誤りである.検査法に通じ,熟練することは望ま しいが,我田引水に偏るべきではないだろう.内 視鏡検査が人の目に頼り,また形態学の常として 経験の多寡が結果を左右するものであるかぎり, 機器の改良を重ね客観性を高めることは大切であ るが,いかなる変化を見出し,観察すづきかは医 師の判断にかかっている.各種検査所見との間の 解離に新鮮な驚きを感じつつ,自分自身の診断学 を広げてゆくべぎである.腹腔鏡検査も,肝生検 や超音波検査,生化学検査などと相補的価値を持 つ検査法と考えられている. 一267一

参照

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