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心筋ミオシン重鎖遺伝子と心臓病

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Academic year: 2021

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88  心筋ミオシン重鎖遺伝子と心臓病        (循環器小児科)松岡瑠美子  心臓の発達過程における筋収縮機能,即ち:①発達 における筋収縮機能の仕組み,②発達,ホルモン,機 械的刺激もしくは薬物により引き起こされる筋収縮と 心筋アイソザイムの変化などの分子細胞レベル.での機 構を知るため,筋収縮の仕組みにおいて大ぎな役割を 果たしている心筋ミオシソ重鎖(MHC)遺伝子に着目 して実験,観察を行った..まずヒト心筋ゲノムMHC 遺伝子の単離を行い,この遺伝子がヒト染色体14番 q11.2−q13に存在することをつぎとめた1)2).従来ヒト

骨格筋MHC遺伝子は染色体17番に存在することが

確認されており,ヒト骨格筋MHC遺伝子と同様にヒ

ト心筋MHC遺伝子も同じ染色体17番にあると考え

られてぎたが,実際は17番染色体上ではなく,14番染 色体上にあることを我々は確認した.この事実は,各 種筋細胞のMHC遺伝子は,それぞれ異なった染色体 上に存在する可能性を示唆するものである,実際我々

は,その後ヒト平滑筋MHC遺伝子が染色体16番の

q123),さらにヒト堺筋B型遺伝子が染色体22番の q11.2に位置していることを確認し,各種筋細胞の MHC遺伝子は,それぞれ異なった染色体罰に存在す ることを証明した.次に我々は,ヒト心筋α一MHC遺 伝子の全アミノ酸配列の決定を行い,既に報告されて いるヒト心筋β一MHC遺伝子,ラット心筋αおよび β・MHC遺伝子の全アミノ酸配列との比較検討を行っ た.ラットではATPase,アクチン,ミオシン軽鎖な ど,ミオシン蛋白との結合部位を含む8ヵ所のdiver− gent areaが存在す、るが,ヒト心筋α一MHCでは LMM部分におけるdivergent areaが認められず, ラットおよびヒト心筋β・MHCとアミノ酸配列が等 しかった.このLMM部位は, thick mamentの形成 と関係しており,ショウジョウバエにおいてこの部位 の;nutationが起こると, sarcomereの構築に重要な 役割を果たすthick且lamentの完全な形成障害を起こ すことが報告されている.また,小さな動物で心拍数 の多いもの(ラット 350/分)は,大きな動物で心拍 数の少ないもの(ラビット 200/分)に比べ,同じレ ベルのα一MHCアイソザイムであってもより速い収 縮速度を有することがわかった.  心筋MHC遺伝子と心臓病に関してふれてみる. 1989年,・・一バード大学のSeidmanのグループにより 肥大型心筋症が多発する4世代,78人にわたる大家系 の家族性肥大型心筋症(FHC)の遺伝子の連鎖解析に より,FHCが14番染色体長腕q11・q12にある遺伝子と 密接な関係があると報告した4).さらに彼らは,14番染 色体上の長腕q11.2−q13の部位に心筋MHC遺伝子が

あることに注目し,FHCは心筋MHC遺伝子と深く

関連していることを示した.その後彼らは,25のFHC 家系を調べ,約50%にあたる12の家系における肥大型 心筋症の患者全例に,・β一MHC遺伝子のエクソンの点 突然変異を確認している5).心筋ミオシン重鎖はATP 活性部位,アクチンとの結合,ミオシン軽油との結合 部位など多くの重要な機能を持った頭部と,ミオシン 重鎖固有の太いフィラメントを形成する尾部,さらに 両三をつないでアクチン分子の上をミオシソ頭部が首 振り運動をするために折れ曲がるヒンジの部分に分け られる.FHC家系の肥大型心筋症患者における点突然 変異が,頭部とヒンジ付近に集中していること,この 近傍のアミノ酸配列がアメーバーから人類までかなり 正確に保存されていることにより,変異したミオシン 分子の機能に深く関わっている可能性が示唆される.

上記の研究の他にα鎖のMHC遺伝子エクソン35の

点突然変異を示した我々の例6)を含め,現在いくつか のミオシン重鎖遺伝子異常が報告されている.さらに

心筋MHC遺伝子は, T細胞受容体α鎖遺伝子

(TCRA)とNP(nucleoside phosphorylase)遺伝子 に近接していることが知られている.我々はこのこと に注目し心筋炎による心筋症の発症.と,心筋MHC遺 伝子またはT細胞受容体α鎖遺伝子の異常の有無と の関係を検討中である.  1)Matsuoka R, Chambers AP, Kimum M et al:   Molecular cloning and chromosomaUocaliza・   tion of a.gene coding for hulnan cardiac myosin   heavy−chain. Am J Med Gen 29:369−376,1988  2)Matsuoka R, Yoshida CM, K:annda N et al:   Human cardiac myosin heavy chain gene   mapped w}thin chromosome region 14qlL2・   q13.AmJMedJ32:279−284,1989  3)]Matsuoka R, Yoshida CM, Furutani Y et al:   Human smooth muscle myosin heavy chain   gene mapped to chromosomal region 16q12. Am   JMed Gen 45:in press,1993.  4)Jarcho JA, Mcke瀧na W, Pare JAP et al:   Mapping a gene for familial hypertrophic car−   diomyopathy to chromosome 14q1. N Engl J   Med 321;1372−1378,1989  5)Watkins H, Rosenzweig A, Hwang I)一S et al:   Characteristics and prognostic implications   myosin missense mutations in familial hyper−   trophic cardiomyopathy. N Engl J Med 326:   1108−1114, 1992  6)松岡瑠美子,古谷道子,高尾篤良ほか:肥大型心筋 一1082一

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89 症における心筋ミオシン重鎖DNA遺伝子の制限 酵素による切断部位の多型.Jpn Circ J 55:183, 1991 特別講演 赤血球酵素異常による遺伝性溶血性貧血    本学輸血部客員教授    沖中記念成人病研究所所長    日本人類遺伝学会理事長   三輪 史朗  赤血球形態に特別な異常を認めない,遺伝性非球状 性溶血性貧血と呼ばれる1群の中から,ピルビソ酸キ ナーゼ欠乏(異常)症をはじめ,十数種の赤血球酵素 異常症が見出され,現在ではその病態が遺伝子レベル で論じられるようになってきた.ここでは,人類遺伝 学の立場から,これら疾患の発見と歴史,臨床,病態, 診断について述べるが,近年の病態の遺伝子レベルで の解析にも焦点を当ててみたい.

第2回東京女子医科大学遺伝医学研究会

日 時 1992年11月21日(土)PM 2

会場第II臨床講堂

00∼5:00

開会挨拶       学長 吉岡 指定講演      座長  (血液内科)溝口  甲状腺疾患に対する分子生物学的アプローチ      (第二内科)磯崎  ニューロン細胞種決定のメカ.ニズム       (第二生理学)三谷  ヒトアデノウイルス12型誘発マウス腫瘍におけるE1領域遺伝子の   組み込みと発現,及び樹立細胞株の特徴       (第一病理学)森川 特別講演       座長  (消化器内科)小幡  遺伝子治療研究の現状と展望:血友病モデル

      〔謙器鑑聯犠諭翻〕

閉会挨拶       (病院病理科)河上       司会  (第二内科)磯崎        世話人代表   (小児科)福山        当番幹事 (病院病理科)河上       (第二内科)磯崎        (第二生理学)三谷 守正 秀昭  収 昌平 智子  裕

Koutoku KURACHI

       牧夫         収        幸夫        牧夫         収        昌平 (小児科)斎藤加代子  甲状腺疾患に対する分子生物学的アプローチ        (第二内科)磯崎  収  バセドウ病や橋本病の患者にはTSH受容体に対す る抗体である甲状腺刺激抗体,甲状腺ペルオキシダー ゼ(TPO)に対するマイクロゾーム抗体,甲状腺ホル モンの前駆体であるサイログロブリン(Tg)に対する 自己抗体が存在し,疾患の発症や進展に関与している と考えられる.よってこれらの抗原遺伝子解析は発症 の機構を解明するうえで重要と考えられた.  著老のグループもバセドウ病患者lgGおよび部分 純化したTSH受容体に対する抗体を用いて甲状腺の cDNA libraryをスクリーニングし,両者が認識する 一つのクローンを得た.この遺伝子産物は甲状腺に発 現され,バセドウ病患者に高頻度に抗体が検出された. しかし,この遺伝子産物はDNA結合蛋白である自己 抗原であるKu抗原と同一であることを判明した.そ の後,TSHと極めて相同性の高い下垂体ホルモンで あるLHの受容体のcDNAがクローニングされ,その 受容体の細胞膜貫通部位をプローブとし,甲状腺の cDNAライブラリーをスクリーニングし, TSH受容

体のcDNAが得られた.ヒトTPOは精製蛋白のアミ

ノ酸配列より木村らが遺伝子構造を決定した.著者ら もこの配列を用いラットのcDNAを決定すると共に マウスにおける染色体上の局在を同定した.また,ラヅ 一1083一

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