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レルヘンヒュッテにおける気象観測(第3報)

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武庫川女子大紀婆(自然科学)

レルヘンヒュッテにおける気象観測(第

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女 子 大 学 家 政 学 部 被 服 学 科 料農林水産省北陸農業試験場気象資源研究室

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本報は,既報1),2)の「積雪地域高所の気候, レノレJ ¥ ンヒュッテにおける気象観澱」に続くものである.

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月から継続的に行われてきたこの観測の目 的については,第2報均の

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観測データの利用

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, の項に簡単に記されているが,ヌド稿ではその後の経過 を述べるとともに,このような地味な観測の意味を理 解していただくために,さらに気象観測の動機につい て補足し,記録しておきたい.

観灘の経緯

この観測の動機は,

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年にささかのぼる.同年

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月,事主食遊山装備の試作研究が行われ,紡空襲衣・寝袋 の断熱材の;p:j毛の代わりにポリエステノレわた,また表 地と

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築地の木綿の代わりにナイロンタフタおよび絹安 用いた装備が,新潟県妙高111外輪の標高

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の地 点に設けられたテントを中心に,妙高山および火打山 に登山する行穫で実地テストが行われた3) これは, これまで海外遠征登山に先立つて,京都大学学士山岳 会が富士山などで行った装備テスト4,5)と向じ意味の ものであり,あらかじめ,なるべく現地の状況に近い 実地においてテストを行い,改良をしようとするもの であったが,サーミスター温度計などもかつぎあげら れ,ひとつの進歩がみられた. 特に,予怒外に著しい衣服内の結氷のみられたこと は資重な成果となったが,これは運動に伴う激しい発 汗と,不通気性のいわゆるコーティング布の組合せに よってもたらされた異常現象で,これをし、かに避ける かがその後,この分野の研究の大きいテーマとなっ た.当時

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年)既に,後に問題となった植村護己 氏のアラスカ・マッキンリー山における遭難(1

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年) の原因のひとつと考えられる現象を,警警告していたわ けである3), 以上のような,この分野の著者らの研究は,妙高山 の

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年のテスト以前からチョゴリザ登山5)をはじ め,サノレト戸カンリ登山6), エベレスト登山7)等の たび重なるとマラヤ登山隊の準備を兼ねて行われ,穣 内 ペ υ 伊 hd

(2)

水化学低温実験室,武庫川女子大学薬学部低温裳など も借用して続けられていたものであるが,その後 1985年に,家政 1号館に人工気候室が設置され,研 究上の使主主は著しく土脅し,衣料品の被服気候学的研究 主どはじめ,緩寒状態での繊維素材の力学的変化の研究 など,多くの報告がよ討されたト14). しかし,人工気候室での研究にはいくつかの制約が ある.特に,野外での激しい運動時や,風雨,風雪下 のような十分な環境条件をつくり出せないことは,容 易に想像されるところで,人工気候窓の計課Uは,基礎 的な研究のようにみえる反部,時には実際の現象を見 逃して誤った結論を出すおそれもあることが,経験的 にわかってきた.結局,人工気候室の計

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と,実地の 計測とは併せて実地されることが必要であり,さら に,温和な都会の日常条件で使用される衣料について も,より高温の,また低温の実地テストの成果からも 論じられることが,有益であろう. 英国では,人工気候窓の存在しない時代に,その本 国がむしろ寒冷であるにもかかわらず,緩めてすぐれ た熱帯向けのウール製品を開発・生産したのは,植民 地等の熱帯における実用経験を活用し,工夫改良した 成楽である. このような,諸般の事情から,本学における被級学 のコンプリートな教育・研究のために,衣服・衣料の野 外テストフィ…ノレドを求める戸は根強くあったので, 1965年 10月 10日に,武庫川女子大学先毅有志の出 資によって,妙高高原の標高1300mの地点に「レル ヘンヒュッテ」が建設されたとき,それが被服気候学 の実験ステーションとして利用されるようになった. ヒュッテ地点は,戦時中に,その奥地で温泉掘削の テストが行われ,その工事従毒事者約10名が年末と なって,正月を塁で迎えるべく下山途中,猛風雪とな り,同地点をしんがりに塁に向かつて緩い下り斜磁 ~,老年者を後方に,若年者を先頭に,ほぼ一列に点 々と遭難凍死した場所である.そのような経緯から, 避難小屋にも役立つとの理由で,国立公園内ではある が,特にヒュッテの建設が許可されたものであったか ら,野外テストのフィールドとして,不足はなかった. しかし悶ヒュッテは建設の10年後の社会の変化, 1970年頃のイザナギ景気にみられた著しい経済変動 などの動きのなかで,恩人の生活が著しく豊かにな り,山奥の小屋の除雪人夫となって下さる人が得られ なくなったことが主閤となって,積雪のため倒壊した. その後1983年,武庫川学院 50年史 (pI58)にある ように,妙高額際スキー場付近の標高1040mの地点 に敷地約5000nf(約1500P:f),建物(延)261nf(79 坪),収容人数60人のレルヘンヒュッテ(正式名レノレ ヒェン・ヒュッテ)が建設され,前報1,2)のように1985 年11月から,将来の被服気候学関係の研究をはじめ, 卒論,実習,体育生理学の研究,機物採集等の研究の 基礎資料に役立て得る気象観測が,継続して行われて いるものである.

観測とデータ雄理

1 観測地点 観測地は新潟県中毅滅郡妙高々原商工大字杉野沢学西 野に所在する武庫川学院レノレヘン・ヒュッテ敷地内で, 北緯360 51'05"・東経 1380 08'21'¥ 標高 1040mの地 点である.また,地形的には,妙高山の外輪山の一つ 赤倉山の南東斜頭上にある.測定発信部はヒュッテの 建物から約30m斜筒上方に離れた観測塔にあり, データ収録はヒュッテ内で行っている. 2 銭測項目と使用機器 観測項目はこれまでと同じく,降水量,気滋,相対 湿度,実効湿度である.降水設は転倒チト型雨盤計,気 滋は白金測溢抵抗体(通風筒付き),湿度は複イヒワチウ ム塗布型露点計

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扇風筒付き)を使用している. また,データはデータ収録装置により,オーディオ カセットテープに記録している. 3 データ処理 オーディオカセットテープに収録された鋭測生デ… タはそのままでは利用しにくいので,データの保存, 整理,築計の便マピ考えて,前報1,2)同様にコンピュー ター処理を行い,ランダムアクセスファイノレとしてフ ロッピーに収納・保存している. また,出入力,グラブ化,統計計算などのプログラ ムはすでにBASICにより作成したが2),さらに改良 宏加えた.一方,この潤のパーソナノレコンピュ…ター と計算ソフトウェアの普及は著しいので,それに対応 して観測結果をこれまでのデータを含めて代表的な表 計算ソフトウェアであるLotusl-2-3のワークシート 形式にも変換し,利用の使を図った.

観測経過および結果

1 観測経過 前報2)以降大きなトラフソレは発生していないが, データレコーダーの記録には欠落が時折生じた.異常 を発見したときの状況として,データ収録プログラム が停止している場合には,停穏など震源関係のトラブ ノレの可能性がある.そこて、本観測の収録機器への給電 A 斗 A 伊 ヘ υ

(3)

レノレヘンヒュッテにおける気象観測(第3報) 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 (a)HOURLY PRECIPITATION( mm) O 92/01/14 92/01/15 92/01/16 92/01117 92/01/18 92/01/19 92/01/20 YEAR/MONTH/DA Y (b) AIR TEMPERAτυR刻。C) 10 5 O w D 一10 -15 -20 92/01/14 92/01/15 92/01116 92/01/17 92/01/18 92/01/19 92/01/20 Y王AR/MONTH/DAY (c)HUMIDITY(%) 100 90 80 70 60 -1 50 40 30 20 10 O 92/01114 92/01/15 92/01/16 92/01/17 92/01/18 92/01/19 92/01/20

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Fig. 1. The results of meteorological observation. Examples of hourly data from 14th to 20th, January 1922. (a)Precipitation, む()Air temperature, (c)Relative and effective humidity

(4)

の安定を図るために無停箆電源装援を設援した 2) 月データ・降水量は臼データの合計.気温,栂対 そのほかに源問を推定できなかった場合もあるの 濃度,実効湿度は臼データの平均.ただし,月の で,本観測と類似のシステムを使用されてL、る京都大 うち臼データなしの臼が3臼を越える場合は月 学妨災研究所の横山康二-斉藤隆忘両氏に助言ーをイ

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、, データなしとする. だ.それによれば,ハンドへんドコンピューターから 毎時データの例として, 1992年1刃 14日から20 データレコーダーへのデータ転送の間隔が長いと, 臼の 1週間の降水鼓,気溢ならびに相対湿度および実 データレコ…ダーの立ち上げがうまくし、かず,このよ 効湿度をそれぞれFig.l (a) (b) (c)に示した. うなことが起こる場合があるとのことであった.そこ 1989年1月から1992年8月4日までの日データを で,従来10臼に l回としていたデータ転送を 1EI 1 Fig.2からFig.5に示した.検事d!

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二の黒い四角形は欠 留に設定を変更した.その後は記録の欠落はみられな 浪

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期間である. 1989年 1月から 1992年7月までの月データを 1989年9月7臼以降は,連続してデータが得られ Fig.6からFig.9に示した.ただし, 1989年 1月・ ている 4月・7}j・8月はデータがない.降水盆(Fig.6)をみ 2 観測結果 ると,冬に多い傾向が現れているが,特に 1991年 観測結果の一部を凶に示した. EIデータと}jデータ l ・2月にそれが顕著で、ある.また,この冬はFig.9の は,毎時データを以下のように処理して得られた備で 気 温 を み る と ・ 2月は他の年に比べ低混傾向が続い あるー ている.そのため,この冬は他の3@]の冬に比べて, 1) 臼データ:降水盤は毎日寺24俄の測定伎の合計. 積雪が多かった. Fig.lO,l1からは 4・5月ならびに 気温,相対湿度,実効湿度は毎日奇24倒の測定値 10・11月は毎年濃度が低く,この地域の好天期間であ の平均.ただし, 1 EIの内に欠ilIur待がある場合は ることがうかがわれる. 日データなしとする. DAILY PRECIPTATION(間n) 100 O 90 80 70 60 50 40 30 20 10 89/01/0189/06/3089/12/2790/06/2590/12/22 91/06/20 91/12/1792/06/14 DATE Fig. 2. The observed results of daily precipitation from 1989 to 1992. Thick lines under the horizontal axis indicate the periods of no data. n h U F h d

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レノレヘンヒュッテにおける気象観測(第3報)

40 DAIL Y MEAN TEMPERATURE('C)

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DAILY MEAN RELATIVE HUMIDITY(%)

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DAIL Y MEAN EFFECTIV正HUMIDITY(%)

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レノレヘンヒュッテにおける気象観測(第3報)

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Fig. 9. The obs巴rved results of monthly average effective humidity from 1989 to 1992.

積雪地域高所において,気象観測が1985年11月か ら継続的に行われ,データの蓄積が次第に進んで‘き た.初期には様々なトラフツレが起こり,鏡誤ltの中断・ 欠損iもあったが,改善を重ねて, 1989

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9月以降は 確実に観測が行われるようになった. このような潟所の観測データはスイスなどと呉な り,我が国のアウトドアスポーツフィーノレドやスキー 場地域では皆無に近く,スポーツウエアの改良研究に 非常に焚

3

重であるだけでなく,その利用は社会にも役 立ち,関かれた大学のイメージを高め,若いスキ ヤーなどにも武庫川学院のヒュッテの存在が知られる につれて,その科学的活動が窓義を増している. また,著者の一人が所属する農林水産省北陸農業試 験場では,雪の利活用に関する研究を進めているが, その一環として本観測地点を含む悶試験場周辺地域の 降積雪分布特性の解明が,気象資源研究護の研究課題 のーっとなっているので,山地積索推計モデノレの入カ 気象値として本観測のデータが重要な役割を果たして いる15,1の. また,寒候期における降水震計の掠捉率 宏,本観測のデータと積雪調査の結果とを比較するこ とにより検討し,寒{侯期の降水震観測に重要な知見が 得られた16,17)ことなども,データの活用として挙げ られる. 今後も気象観測を継続し,データをさらに集積して いけば気象資料としての価値が高まり,多方面で、の利 用が期待される.また,寒冷潔境での被服気候学の フィーノレドテストのメッカともなるべく,研究を効率 よく実施するための気象データとしても,今後の活用 を考えていきたい.なお,このような観測結果は,地 元行政機関,関係大学をはじめ,高校自然科学クラブ 等にも送って,利用に役立てつつある.

参 考 文 献

1.横山宏太郎:武庫川女子大学紀委 35, 被服学 科編, 77, 1987 2.安田 武,吉限恭子,横山宏太郎:武庫川女子大 学紀要, 37, 自然科学編, 65, 1989 3.安田 武,上北長子,萩原喜妻子:武康)11女子大学 紀要, 7, 生活科学綴, 201, 1959 4.京都帝国大学学友会旅行部:山岳, 36年号,

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富 土山におけるさを地連絡試験報告概要

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,P.109, 1941 5.安田武,上北長子:武庫川女子大学紀要 6, Part

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, 25, 1958 6. 安田 武,田中宮子:武庫

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女子大学紀婆 10, 自然科学綴, 23, 19, 62 7.安邸 武,山階克子,奥野混子:武庫川女子大学 紀要, 17, El然科学綴, 131, 1969 8.横山宏太郎,松浦仁美,松本尊子:武庫)11女子大 学紀要 34, 被服綴, 13, 1986 9. 横山宏太郎,松滞仁美:武庫川女子大学紀要, 34, 被服編, 19, 1986 10.横山宏太郎:武燦)11女子大学紀要 35, 被服学 科編, 67, 1987 11.松浦,横山,大谷,岸村,藤原:武庫川女子大学 紀要, 35, 被服学科編, 83, 1987 ハ w u F ﹁ υ

(8)

12.江JII,横山,大久保,緋EE!,池永,中村,籍鳥: 武庫川女子大学紀要 36, 被服学科綴 95, 1988 13.吉田恭子,江川 文,横山宏太郎:武摩川女子大 学紀要, 37, 被服科学総, 47, 1989 14.奥野温子,深山雅代,安限 武 : 繊維学会誌, 47, 248, 1991 15.横山宏太郎:岡本雪氷学会講演予稿集, P. 81, 1990年 10月

16. K. Yokoyama, H. Sugaya, H. Ohno, T. Wiesinger,

Y. Kominami, S. Takami: Internationalsymposium on snow and snow-related problems,

臼頭発表, 1992年9月

17.横山,菅谷,大野,小南 Wiesinger, 高見:f

本雪氷学会講演予稿集, P.151, 1991年10刃

参照

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