• 検索結果がありません。

[報文]ベニイモ栽培における組織培養苗の重要性: 沖縄地域学リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "[報文]ベニイモ栽培における組織培養苗の重要性: 沖縄地域学リポジトリ"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

[報文]ベニイモ栽培における組織培養苗の重要性

Author(s)

濱井, 義則; 松田, 義昭; 大仲, 裕治; 福村, 直樹; 上原, 周夫

Citation

南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical

resources technologists, 9(1): 5-9

Issue Date

1993-03-20

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/14068

(2)

ベニイモ栽培 における組織培養苗の重要性

治 袷 中′-大 昭 夫 義 周 田 原 松 上 則 樹 義 直 井 村 演 福 (北中城村農業開発株式会社り

CultivatlOnOfPurpleSweetPotatoesUslng Plantletsfrom Meristem Culture YoshinoriHAMAI,YoshiakiMATUDA,YujiOHNAKA,

NaoklFUKUMURA,andChikao UEHARA,

KilanakagusukuAgriculturalDevelopmentCo.Ltd. 1868Atsuta,Kitanakagusuku-Son,Okinawa,901-23

緒 言 サ ツマイモの原産 は中央 アメ リカで,沖縄 県 には慶長10年 (1605年)進貢船の事務長であっ た野国総監が,福建省か ら鉢植 えに して3品種 を持ち帰 ったのが最初 であ る と言 われてい る. サ ツマイモの品種 は数多 く400-500種位 あ る とされ,現在沖縄県で栽培品種 として主 に栽培 されているのは,富農36号,ナカムラサキ,備 瀬等でいずれ も肉色が紫の通称ベニイモである. ベニイモは洋菓子や和菓子等の利用 によ り天然 色素 を有す る自然食品 として注 目され,その利 用用途 も多 く,本土の加工業者か ら熱い視線 が 送 られている. しか し,ベニイモは一般的 に畑 か ら採苗 し栽培 され,長年 にわたる栄養繁殖 の ため病菌保毒率 も高 く,肉色のば らつ きや収量 の低下 によ り苗の更新が叫ばれていた1). 本報告 は苗の更新 を目的 として,組織培養苗 によるベニイモ栽培方法 を明 らかにす るととも に組織培養苗の重要性 について言及 した もので ある. 品 種 本研究で用いた品種 は富農36号 と備瀬である. 富農36号 は沖縄 100号 と比べて, イモ収量 は沖 縄100号 の60%-80%程度 と低 く晩生種である. '沖縄県中頭郡北中城村字熱 田1868 澱粉歩留 ま りは同程度 か若干低 い傾 向 にあ り, イモの皮色 は赤紫,肉色 は紫,肉質は粉質, 食 味 は良好である.又つ るは繁茂形で,つる収量 は高 く耐肥性 は弱 い.一方,備瀬 はイモ収量 は 各土壌 とも沖縄100号 よ りやや高 いが, つ る収 量 は低い傾 向にある. 組織培養 サ ツマイモは畑作地帯での重要な作物である. その中で,青果用のサツマイモは食味 と共 に形 状,皮色等の外観が商品性の面か ら重視 されて いる. ところが1975年 頃か ら九州一 円で, こ のサ ツマイモの塊根 に表皮が横 しま状 に退色す る症状や,肌 あれ, ひび割れ等の症状 (帯妖租 皮症状)が多発 し,商品価値 の低下 をまね き大 きな問題 となって きた. この帯状租皮症状 が発 症 したサ ツマイモ茎帯 を顕微鏡 で観 察す る と, 長 さ820mm-940mmのひも状 ウイルス粒子 が高 頻度で見出され,本症状の原 因が ウイルスであ る可能性が考 えられた.その対策の一つの試 み として,サ ツマイモの茎頂培養 を行 ったウイル スフリー苗では,形成 された塊根 に帯状租皮症 状が消失 し,サ ツマイモの商品性向上 に著 しい 効果が認 め られ,組織培養首の重要性が示 され て きた2). 一方,沖縄県で も生産農家 によるベニイモの 苗 は,一般的に畑か ら探苗 して栽培 され,長年

(3)

演 井 義 則 ・他 にわたる栄養繁殖のため,肉色のバ ラツキや収 量の低下 に苦 しんでいた. 富農36号及 び備瀬の茎頂 による組織培養 は長 田 らの方法 に したが った3) (写真1). す なわ ち,茎頂培養 による組織培養首 は,帯状租皮 病 の発生が見 られないばか りではな く品質が優 れ 収量 も高いため, これ まで種 イモ選定 に苦慮 し 商品性の低 いイモ を生産 していた産地では, 高 品質のサ ツマイモが確実 に栽培で き,生産 も安 定することを述べている. 写真1.宮農36号 培養 ビンでの成育状況 組 織 培 養 苗 か らの採 苗 沖縄 県 にお け るベ ニ イモの組織培養 は1989 年 に始 ま り,すべて生産農家あるいは市町村 の 受託培養 で, 1990年 には20,000本 の培養苗 が 生産農家 に供給 されている.供給 当初 は,沖縄 県で培蕃苗 を利用 した栽培方法が全 く明 らか と されていなか ったため,生産農家 にとって培養 苗の利用方法が全 く理解 されていなか った. 普 者 らは,沖縄県での培養甫利用方法 として次 の ように行 っている.すなわち,沖縄県では全 く 知 られていないことであるが,培養苗その もの は樹生が強 く,定植 して もイモが入 りに くいた め

,

準養苗 を苗床 に植 え付 け,伸長 した苗 を下 節位2- 3節 を残 し, 4- 5節 ごとに切 り苗床 に挿 してい き (親苗), それか ら採苗 した首 を 定植す るように している.培養苗お よび親苗 の 植 え付 けは畦幅120cm, 畦高30cm, 粂 間40cm, 株 間30cmと し,施肥10a当 り元肥2ton, くみ あい高度い も配合肥料 (9・9・18)40kg, さらに 追肥 として株当 りくみあい高度い もはいご う肥 南方資源利用技術研究会誌 料 (919-18) 4gを月 1回の割合で施与す る. 沖縄県でのベニイモの植 え付 け時期 は春植 え 3- 5月,夏植 え 6- 8月,秋植 え 9-10月で ある.一方,培養苗の植 え付 け1ヶ月後 に ピン チ した親苗 はピンチによ り1ケ月間で3- 4倍 採苗可能で, 3ヶ月間では 1本の親か ら27本-64本の走植苗が採苗 (苗の長 さ25-27cmで,本 葉 6- 7枚 を付 けて鋭利 な鎌で切 り取 る) で き る, このため,それぞれの植 え付 け時期 に合 わ せて培養苗 を植 え付 けることをすすめている. ベ ニ イモ の 定植 及 び栽 培 沖縄県の場合,富農36号及 び備瀬 をは じめ と してサ ツマイモは,国頭マージあるいは島尻マー ジで よ く栽培 されている.宮農36号及 び備 瀬 の 親苗か ら採苗 した苗の植 え付 け方法は畦幅75cm, 畦高30cmとし, 苗 の先端 を 6cm内外 地上部 に 出 して 1条の水平植 えとす る (写真3). 苗本 数 は10a当 り5,000-5,500本,施肥 は元肥 と し て堆肥10a当 り2ton, くみあい高度い も配合肥 料 (9-9-18)40kgを施与す る.又栽培管理上特 に見落 としがちになるが,中耕除草 は苗植 え付 け後40日日位 までに 1- 2回, さらにつ る上 げ は (茎の節部か ら根 を生 じ小 イモが着生 して収 量,晶質 を減ず るので)1ケ月に 1回程度行 う. 一方,収穫適期 は塊根の貯蔵物質である澱粉 が 最高 に達 した時で,組織培養苗 を用 いた場合 , 植 え付 け後春植 え,夏植 えで150日前後 ,秋植 えで190日前後である. しか し, イモ を収穫 す るときは,必ず イモの肥大及 び色 のの りを調べ て収穫 を行 うこと. 写真

2.

宮農36号 左.非バイオ苗 右.バイオ苗

(4)

ベ ニ イモ の収 穫 表 1.収穫量 (ton/10a)の比較 品 種 従来の苗 組織培養苗 宮農36号 10 15-20 備 瀬 1.5 2.0-25 北 中城村 農業 開発㈱ 調査1992年 (読 谷柑) 表1は,富農36号及 び備瀬 の 10a当 りの収穫 量 を比較 した ものである.従来の苗では富農36 号,備瀬いずれ も1.Oton, 15tonと, サ ツマ イ モ としてはいかに収穫量が少 ないかが よ く理解 で きる.す なわち, この収穫量の少 なさが生 産 農家の意欲 を押 さえていた もの と思 われる. 一 方,組織培養苗 を利用 す る と富 農36号 で15-2.Oton,備瀬 で20-25tonと確 実 に1.5倍 以上 収穫量が増加す ることが明 らかになった. イモの表皮 を見 ると,本来備瀬は白っぽい色 で,富農36号 は赤紫色 を している.表皮 に関 し て備瀬 は,従来の苗で も培養苗で もほ とん ど差 は認め られなか った. しか し,宮農36号では写 真で示す ごとく,従来の苗で得 られたイモ の表 皮 は全 く薄い赤紫色で, よ く見れば赤紫色 の細 い線が何重 に も縦 に走 っているのに対 して, 級 織培養苗で得 られたイモは鮮やかな濃い赤 紫色 をしめ していた (写真2). 写真3.バ イオ苗 による栽培圃場 肉色 についてはデータで論 じな くて も理解 で きるように,現在市場 に出荷 されているベニ イ モは,品種 を問わず個々のイモで全 くバ ラバ ラ である.す なわち,肉色 をいかに均-にす るか が沖縄農業の課題の一つで もあった.写真 は組 織培養苗か ら得 られた富農36号及 び備蘭の肉色 を示 した ものである (写真 4, 写真 5).富 農 36号 は明紫色 を,備瀬では暗紫色 を示 し,又収 穫 されたイモ全体 に関 して極端 にベ二の薄 い イ モがほ とん ど見 られず,ほぼ肉色が均一 になる ことが明 らか となった. 仙二 「 写真4.宮農36号 左.非バイオ苗 右.バイオ苗 写真

5.

億瀬 左.非バ イオ苗 右.バイオ首 ベ ニ イモ の病 害 虫 ベニイモの病害 については, クロマ ダラヨコ バ イによって伝播 されるてん ぐす病, さらに菌 による縮芽病等がある.現在 いずれ もその防除 については,雁病棟 の抜 き取 りを徹底す る と共 に,健全苗 を育成 し苗の更新 を図ることにな っ ている.その点,組織培 養苗 は全 て健全苗 で, 苗の更新 を定期的に行 っていけばそれ らの病害 を注意す る必要 は極 めて少 な くなる. 害虫についてはナカジ ロシタバ, イモ コガ, サ ツマイモ トリバ,サツマイモメイガ, ア リモ ドキゾウムシである.特 に組織培養苗か ら定植

(5)

演 井 義 則 ・他 用の苗 を採苗する場合,イモカゴの防除が重要 である. イモカゴの成虫は夜 に葉脈 に添 って1 粒ずつ産8Pす る.幼虫は葉 を二つ に折 ってつず り合わせ,その中で葉 を加害 し, 4月- 7月 に かけて発生が多い. このため,・著者等 はイモ コ ガの発生前 あるいは発生時期 に合 わせて, デ イ ブテ レックス1000倍 液 を10a当 り300-500e の割合で散布 し防除に努めている.一方,ベ ニ イモ栽培で一番問題 となるア リモ ドキゾウム シ は6月か ら発生が多 く, 9月-11月に ピーク と なる.成虫は土壌 の裂 目,又 は茎 との間隔か ら 潜入 し塊根 に産卵する.幼虫に加害 された魂根 は褐色 を しめ し木質化 して特 有 の悪臭 を出す. このため, ア リモ ドキゾウムシに加害 された な らば品質の低下 はおろか全 く商 品 にな らない. アリモ ドキゾウムシの撲滅 は沖縄農業の悲願 で もあるが,耕種的防除法 として連作 を避 け作 型 を統一す る.被害 イモ,宵 イモ及 びつ るは圃場 に残 さない.又薬剤防除法 として植 え付 け前 に 10a当 りア ドバ ンテージ粒剤3- 4kg,植 え付 け約1ケ月 ご とに, トクチ オ ン乳剤 1000倍 液 を300-500e散布 し防除に努めている.

青果用サ ツマイモは形状や皮色及 び食味が重 視 され,そのため商品性の高いイモ を生産す る ことが大切 とされて い る. ところが, 1975年 以降帯状租皮症が南九州 を中心 に多発 し,地上 部の症状 はないが魂根の被害が大 きく,商 品性 が著 しく低下 した. しか し,サツマ イモ を茎頂 培養 してウイルスフ リー苗 を作 出す ると,帯状 租皮症状が消失す るとともに品質の向上,収穫 量の増加が認め られ,現在では茎頂培養 に よ り 作 出 したウイルスフリー苗 を優 良種 苗 と して, 利用 した栽培が各地で行 われている.一方, 沖 縄県の場合, ウイルスによる被害 はほとん ど見 られないため,茎頂培養 による組織培養苗 の導 入 は全 く遅 れ1990年 に始 まった. 著者等 は沖 縄県 におけるベニイモの組織培養苗導入の 目的 は収穫量の増加 を含め,肉色 を均一 にす るこ と 南方資源利用技術研究会誌 と考 えている.ベニイモはご多分 に もれず,計 画生産及 び大量出荷 は行 われていない.その大 きな原因は, ア リモ ドキゾウムシによる品質 の 低下に起 因すると思われる. しか し,最近加工 技術 の進歩 によ りベニイモは洋菓子や和菓子等 に利用 され,天然色素 を有す る自然食品として, 本土の加工業者か ら熱い視線が送 られるよ うに なった.本研究では著者等が意 図 した とお り, 組織培養苗 を利用 して宮農

3

6

号及 び備瀬で収量 は

1

.

5- 2

.

0

倍 , 又表皮 の色 は富 農

3

6

号 で鮮 や かな濃い赤紫 を示 し, さらに肉色 はいずれ もほ ぼ均一 になることを明 らかに した.このことは, ベニイモ栽培 にとって組織培養苗 を利用す る こ とが極めて重要であることを示 している.事実, 読谷村 で は村 お こ しの一環 と して1990年 か ら 著者等 の組織培養苗 を利用 し一大産地化及 び団 地化 を目指す とともに,本土出荷 に向けて加工 所建設 に も力 を入れている. 組織培養苗 を実際利用す る場合,組織培 養苗 か らの採苗で述べたごとく,培養苗 を苗床 に植 え付 け,伸長 した苗 を下節2- 3節 を残 し, 上 節4- 5節の苗 を植 え付 けて収穫 を行 ってみた が,富農

3

6

号及 び備瀬 はいずれ も肉色がバ ラバ ラで,研究当初培養苗では肉色の統一 を図 るの は不可能であるもの と考 えていた. これ らの こ とは,現在沖縄では全 く知 られていない. そ こ で上節4- 5節の苗 を親苗 とし,それか ら探苗 した苗 を利用す ると,上記 したごとく肉色 はい いずれ もほぼ均一 になった. この原因は現在 明 らかにされていないが,おそ らく組織培養苗が 樹勢が強 く,仮 にその上節 を植 え付 けて もイモ の肥大 と色素の合成のバ ラ ンスが崩 れてお り, それを親苗 として採苗では,肥大 と色素のバ ラ ンスが一致 して くるもの と思われる.このため, ベニイモの培養苗 を利用す る場合, この点 を気 を付 けるべ きである. 尚,本報告 を終 えるにあた り,本論文が少 し で も沖縄 のベニイモ栽培 に寄与で きれば幸 いで ある.

(6)

文 献 1)横井義則 (1991) 組織培養 に よる農産種 苗の生産,記念 シンポジウム 「沖縄 のバ イ オ資源の利用活用 を探 る」抄録集,29-36. 2)九州農業試験研究推進会議,農林水産省 九 州農業試験場 (1990) サ ツマ イモ帯状租 皮病の発生要 因 と防除対策,36-39. 3)九叩農業試験研究推進会譲,農林水産省 九 州農業試験場 (1990) サ ツマ イモ帯状粗 皮病の発生要因 と防除対策,15-28.

参照

関連したドキュメント

挿し木苗生産システムの開発を行った。2種のフタバガキ科樹種、S/to剛Sc伽jca

 6.結節型腫瘍のCOPPとりこみの組織学的所見

RNAi 導入の 2

本格的な始動に向け、2022年4月に1,000人規模のグローバルな専任組織を設置しました。市場をクロスインダスト

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

1 昭和初期の商家を利用した飲食業 飲食業 アメニティコンダクツ㈱ 37 2 休耕地を利用したジネンジョの栽培 農業 ㈱上田組 38.

1997 年、 アメリカの NGO に所属していた中島早苗( 現代表) が FTC とクレイグの活動を知り団体の理念に賛同し日本に紹介しようと帰国後 1999