無線LAN技術を利用したインターネットの構築:2.無線LANアクセス技術2.3無線LANの実利用環境における性能 -各種規格の利用環境での比較-
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(2) 2. 無線 LAN アクセス技術 3. 無線 LAN の実利用環境における性能−各種規格の利用環境での比較−. 図 -2 戸建住宅外観 中央奥の屋根の片方だけが見えている住宅で実験を行った. 左手前は隣戸.プライバシーと防犯を考慮して画像を加工.. 図 -3 集合住宅 外観. 測定ツールと機器の設定 (1)ttcp 測 定では ttcp の Windows 版を 使 用.PC1 側(AP 側)を送信とし,PC2 側(クライアント)を受信とする.. DOS プロンプトより,送信側は ttcpw-t[IP アドレス] と入力し,受信側は ttcpw-r と入力する.ttcp の設定 はデフォルトとし,1 回の測定で TCP により 16,777,216 バイトのデータ転送を行う. ttcp については下記を参照. http://www.ccci.com/tools/ttcp/ ftp://ftp.sgi.com/sgi/src/ttcp/ http://jerry.cat.pdx.edu/netlab/products/ttcp/ 図 -4 古民家 外観. (2) 無線 LAN アクセスポイント モードはインフラストラクチャモード,ネットワーク はブリッジモードとする(表 -1).. 古民家. (3) クライアント. 神奈川県川崎市立日本民家園の伝統的建築方法による. 各方式における設定は下記の通り.. 古民家は,無線工学的見地から興味深い対象である.実. IEEE802.11a:変調レート可変 . 験に使った建物は,出羽三山の麓から移築した妻入り農. IEEE802.11g:変調レート可変. 家.屋根の途中にハッポウと呼ぶ曲線の美しい高窓を有. IEEE802.11g:54Mbps 固定 . している.豪雪地帯の建物らしく内部へ直接に入れない. IEEE802.11b:変調レート可変. ように入り口にアマヤを設けている.18 世紀後期の建 築である(同園 Web ページより引用) (図 -4) .. ■実験方法. 測定法 (1) 電波暗室 端部に AP を設置し,クライアント PC を移動させて. 実験機器構成. スループットを測定した.結果は,両者間の距離とス. AP 側 PC1 とクライアント側 PC2 ,および無線 LAN . ループットの関係をまとめた.. AP からなる(図 -5) .. (2) 住宅 図面の AP の位置に,AP を固定し,クライアント PC IPSJ Magazine Vol.45 No.8 Aug. 2004. 807.
(3) 特集 無線 LAN 技術を利用したインターネットの構築. PC1:AP側. 無線LAN-AP. 無線LANカード PC2クライアント側. 図 -5 実験機器構成図. 測定規格. アクセスポイント. 無線モード設定. チャネル(中心周波数). 802.11b. WBR-G54. 802.11b. 1 (2412MHz). 802.11g. WBR-G54. 802.11g 専用. 1 (2412MHz). 802.11a. RDA5000. 802.11a. 34 (5170MHz) . ※ WBR-G54 の送信電力は 22mW に設定.. 表 -1 各モードでの設定. スループット. 距離(m). 図 -6 電波暗室 平均値. は図面の番号の位置に置き, (距離は無関係に)スルー プットを測定した.. mbassoc.org/j-services/mbahw_exp03main.pdf を参照.. ■結 果. 機材一覧と機器仕様. 電波暗室での実験結果 . IEEE802.11b,11g に 関しては,AP として WBR-G54. 電波暗室ではアッテネータにより見かけ上の距離を延. (バッファロー製,外付アンテナ WLE-NDR 装着) ,無 線 LAN カードに WLI-CB-G54(バッファロー製) ,11a に. 長した.距離は挿入したアッテネータの値から算出した. スループットの結果を図 -6 に示す.. 関しては,AP として RDA5000(ルート製) ,無線 LAN カ ー ドに SL-5000( ア イ コ ム 製 )を, それぞれ 使 用し. 戸建住宅での実験結果. た.AP 側 PC は IBMThinkpad T30 , ク ラ イ ア ン ト 側. 戸建住宅におけるスループット実験結果を(図 -7 ,8 ,. は IBM Thinkpad X21 であった.詳細は,http://www.. 9)に示す.. 808. 45 巻 8 号 情報処理 2004 年 8 月.
(4) 2. 無線 LAN アクセス技術 3. 無線 LAN の実利用環境における性能−各種規格の利用環境での比較−. 図 -7 戸建住宅(AP 基地局:リビング・ダイニングに設置). 図 -8 戸建住宅 1 階機材配置図. 図 -9 戸建住宅 2 階機材配置図. IPSJ Magazine Vol.45 No.8 Aug. 2004. 809.
(5) 特集 無線 LAN 技術を利用したインターネットの構築. 図 -10 集合住宅 (AP 基地局:洋間 26 畳). ■古民家での実験結果 古民家におけるスループット実験結果を(図 -12 ,13 ,. 14)に示す.. まとめ ■電波暗室での実験 • 伝送距離が短い場合は,IEEE802.11a,11g の伝送速 度が 11b より速い.ある程度長いと速度差は縮まる. この結果より,実利用環境においても,基地局と端末 の物理的な距離が短い場合,11b を 11a,11g に置き 換えることでより高速な伝送性能が期待できる.. • 伝送速度の安定度の傾向は,11a および 11g は 11b よ り 低い. 特に, 測 定 時に伝 送 距 離が短いにもかかわ らず,伝送速度が低下することがある.これは,変調 レート切替境界における伝送速度の逆転現象と考えら れる.実利用環境において,端末を固定して利用する 場合には問題にならないが,移動しながら利用する時 は,伝送速度が不安定になる可能性があるので注意を 要する.. • 今回の実験では 11a が 11g より全般に伝送速度が高い が,AP および無線 LAN カードの機種が異なるため, 厳密な比較にはなっていない.. ■戸建住宅,集合住宅での実験 図 -11 集合住宅 機材配置図. • 屋外での測定ポイントを除き,伝送速度に関しては 11a および 11g が 11b より 高いといえる. したが っ て, 一 般的な間取り,床面積の戸建住宅および集合住宅にお. 集合住宅での実験結果. いて無線 LAN を利用する場合, (1)11b を今現在利用. 集合住宅におけるスループット実験結果を(図 -10 ,. しているユーザは,11a あるいは 11g への交換により,. 11)に示す.. 多くの場面で伝送速度の高速化が望める. (2) 新規に無 線 LAN を導入する場合,11a あるいは 11g を推奨する.. 810. 45 巻 8 号 情報処理 2004 年 8 月.
(6) 2. 無線 LAN アクセス技術 3. 無線 LAN の実利用環境における性能−各種規格の利用環境での比較−. 図 -12 古民家住宅 (AP 基地局:2 階) . ■古民家住宅での実験 • 古民家での実験伝送速度のグラフから,11b が比較的 安 定して 通 信 可 能であるのに 対して,11a,11g は 通 信できない場所もあった.伝統的な日本民家は,その 構造物が電波をほとんど反射せず吸収し,電波的に暗 いように思える.. ■結言 上述のように,伝送速度に関していうと,一般的な戸 建住宅や集合住宅では,IEEE802.11a あるいは 11g のほ うが,従来の 11b よりも多くの場合高速化できると考え られる.したがって,11b を使用しているユーザは,安 心して他の方式に変更してよいと思われる.ただし,少 し離れた所,屋外などではどちらともいえない面がある ので気をつける必要がある. 図 -13 古民家住宅 1 階機材配置図. 今回の実験で,日本の古民家を含め,さまざまな住宅 環境で,各方式の実力を実地で検証できたことは大きな 成果だったと自負している. 関係業界の製品およびアプリケーション開発,そして ユーザの商品選択などにおいて参考となれば真に幸いで ある. 謝辞 今回の実証実験において,実験場所を提供し ていただいた,日本アンテナ(株),パナホーム(株) , (有) テックトリリオン,川崎市立日本民家園に感謝いた します.また,AP 測定ツールなどをご提供いただいた, ルート(株)の皆様に謝意を表します. MBA ハードウェア分科会は今後ともより良いモバイ ルブロードバンドサービスの実現に向けて活動を続けて いく所存です.皆様の心からのご支援を引き続きお願い. 図 -14 古民家住宅 2 階機材配置図. 申し上げます. (平成 16 年 7 月 1 日受付). IPSJ Magazine Vol.45 No.8 Aug. 2004. 811.
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