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Title
Expression of matrix metalloproteinase-1 and
connexin-43 in oral cancer cell lines
Author(s)
原, 有沙
Journal
歯科学報, 113(4): 470-471
URL
http://hdl.handle.net/10130/3197
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 口腔癌のおよそ90%は扁平上皮癌である。癌細胞は周囲の細胞外基質を分解して浸潤し,局所ならびに全身 へ影響を与える。癌細胞の性格を把握するために培養法を用いて多くの研究がなされているが,通常は二次元 培養での検索が殆どである。癌細胞の生物学的特徴とも言える浸潤増殖態度を反映させるためには三次元的培 養法が必要で,その一つにⅠ型コラーゲンゲルを用いた培養法がある。しかしながら,口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma:OSCC)細胞を三次元的に培養した際の浸潤増殖機構は不明な点が多い。本研究の 目的は,Ⅰ型コラーゲンゲル上で OSCC 細胞を培養し,三次元的細胞の挙動を形態学的に観察するとともに, 免疫組織化学的ならびに分子生物学的に検索し浸潤増殖関連分子の動態を把握することである。
2.研 究 方 法
実験群にはBSC-OF(human basaloid squamous cell carcinoma-mouth floor)およびHSC-4(human squamous cell carcinoma)を用い,37℃,5%CO2の条件下で培養した。対照として HOK(human oral keratinocytes)を
同条件で培養した。Ⅰ型コラーゲン溶液を培養皿に注入し,37℃で10分間静置してゲル化させた後,各細胞を 5×104
cells/ml の濃度で播種した。形態学的観察のためには,培養3,5,7日後にホルマリン固定し,蛍 光染色ならびにヘマトキシリン・エオジン染色を行った。同じく培養3,5,7日後に RNA を抽出し,細胞 外基質の分解を担う matrix metalloproteinase(MMP)-1およびギャップ結合を構成する connexin の遺伝子発 現を定量的リアルタイム PCR 法にて検索した。タンパクレベルの検索のためには,培養7日後の試料を用い て MMP-1ならびに connexin-43の免疫組織化学的染色を行った。 3.研究成績および考察 試料断面像の観察より,3日では各細胞はコラーゲンゲル上に一層配列していた。5日では BSC-OF は細 胞層の厚さを増し,HSC-4はコラーゲンゲル内へ楔状に浸潤していた。7日では BSC-OF はコラーゲンゲル を圧排しながら外向性に増殖し,HSC-4は5日例よりも深部へと浸潤していた。観察期間中,HOK の基質内 への浸潤は認められなかった。定量的リアルタイム PCR の結果から,MMP-1 mRNA は5日,7日において HSC-4で他群と比べ有意に高い発現を示した。Connexin mRNA の発現は3日,5日,7日において BSC-OF
で他群と比較して有意に高い値を示した(*P <0.05,**P <0.01)。免疫組織化学的染色の結果から,MMP-1 氏 名(本 籍) はら あり さ
原
有
沙
(神奈川県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1977 号(甲第1218号) 学 位 授 与 の 日 付 平成25年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Expression of matrix metalloproteinase-1 and connexin-43 in oral cancer cell lines
掲 載 雑 誌 名 Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology http : //dx.doi.org/10.1016/j.ajoms.2013.04.003 2013年4月 論 文 審 査 委 員 (主査) 阿部 伸一教授 (副査) 井上 孝教授 柴原 孝彦教授 東 俊文教授 野村 武史講師 歯科学報 Vol.113,No.4(2013) 470 ―122―
は HOK,BSC-OF の細胞質に弱陽性で,HSC-4の細胞質に陽性であった。Connexin-43は全ての細胞の細胞 膜および細胞質に陽性で,特に BSC-OF で強陽性を示した。
Basaloid squamous cell carcinoma(BSCC)は OSCC の一亜型で,組織破壊性が強い腫瘍とされている。しか しながら,本研究において BSC-OF は浸潤性に乏しく外向性に発育した。BSCC の予後は通常の OSCC より も不良とする報告と,同程度とする報告がある。このことから,従来浸潤性が高いと考えられていた BSCC に低浸潤型が存在する可能性が示唆され,BSC-OF はこれに相当すると考えられた。MMP-1は内向性に発育 する HSC-4で高発現しており,HSC-4の浸潤に関与することが示唆された。ギャップ結合は,細胞間接着の みならずセカンドメッセンジャーを通過させることで細胞増殖に重要な役割を果たしている。本研究では外向 型の BSC-OF で connexin-43の過剰発現が認められ,connexin-43はギャップ結合を増加させることで BSC-OF の増殖に関与したと考えられた。 4.結 論 BSC-OF における MMP-1の低発現および connexin-43の過剰発現は外築性増殖をもたらし,HSC-4におけ る MMP-1の過剰発現は浸潤を引き起こしたと考えられた。 論 文 審 査 の 要 旨 本論文はⅠ型コラーゲンゲル上で口腔扁平上皮癌細胞を培養し,形態学的観察ならびに浸潤増殖に関わる遺 伝子群である MMP-1,connexin-43の発現解析を行ったものである。その結果,従来悪性度が高いと考えら れていた basaloid squamous cell carcinoma の cell line である BSC-OF は浸潤性に乏しく外向性に発育し,高 分化型 squamous cell carcinoma の cell line である HSC-4は浸潤性発育を示した。そして,外向型の BSC-OF では MMP-1の発現が低く connexin-43の過剰発現が認められること,内向型の HSC-4では MMP-1の過剰 発現が認められることを明らかとした。 本審査委員会は平成24年7月25日に行われ,まず原 有沙大学院生より論文概要が提示された後,各審査委 員より本論文に対し次のような質問がなされた。1)対照群の設定について,2)cell line の選択に関して, 3)癌細胞の浸潤様式について,4)本研究の臨床応用,などであったが概ね妥当な解答が得られた。その他 に,論文内容に適した表題への変更の検討,材料および方法の記載に対する補足,付図の修正,考察の追加 等,修正すべき点が指摘され訂正が行われた。 その結果,本研究で得られた知見は歯学の発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定し た。 歯科学報 Vol.113,No.4(2013) 471 ―123―