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IRUCAA@TDC : 上顎歯槽部拡大にコルチコトミーを併用し、下顎枝矢状分割術を行った成人開咬症例

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Academic year: 2021

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(1)Title. 上顎歯槽部拡大にコルチコトミーを併用し、下顎枝矢状 分割術を行った成人開咬症例. Author(s). 添島, 絵美; 坂本, 輝雄; 山口, 秀晴. Journal. 東京矯正歯科学会雑誌, 17(1): 10-14. URL. http://hdl.handle.net/10130/385. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 上顎歯槽部拡大にコルチコトミーを併用し、下顎枝矢状分割術を行った成人開咬症例 添島絵美、坂本輝雄、山口秀晴 東京歯科大学歯科矯正学講座 キーワード:コルチコトミー、外科的矯正治療、骨格性開咬 はじめに 開咬は日本人に限らず一般に少ない不正咬合とされているが、骨格性開咬の場合、形態 的な問題に加えて機能的な問題も併存しており、矯正治療と筋機能療法、場合によっては 外科的矯正治療も必要となり予後も不安定である。今回、外科的矯正治療によって開咬を 改善し、良好な咬合と顔貌の改善が得られ、咬合も安定した症例を報告する。 図1,図2 症例概要 患者は 22 歳 11 ヶ月の女性で、下顎の前突感ならびに開咬の改善を主訴に来院した。家 族内に開咬の者はいないが、本人は乳歯列期より開咬を呈しており、幼児期より右手で下 顎を左方へ押し出すような頬杖をついていたとのことで左側の片咀嚼である。顔貌所見と して、正貌は下顎の左方への偏位が若干認められ、側貌はストレートタイプである。口腔 内所見として、overbite −4mm、overjet −2mm、左右側ともに第二大臼歯より近心が開 咬を呈している。また上顎歯槽部は著しく狭窄し両側臼歯部交叉咬合と叢生が認められた。 上下顎第一大臼歯の咬合関係は、右側はアングルⅢ級で、左側は下顎左側第一大臼歯が欠 損している。歯列の正中線は顔面正中線に対し、上顎が右方へ 3mm、下顎は左方へ 4mm 偏位している。側面セファロ分析では、ANB+1°、FMA38.5°で骨格性開咬を呈し、正 面セファロ分析ではオトガイ部で 4mm の左方偏位が認められた。 図3 診断・治療目標・治療計画 上顎歯槽部の狭窄を伴う骨格性開咬と診断した。治療目標は、上顎歯槽部の拡大、上下 顎関係の改善、咬合の確立とした。非抜歯によりコルチコトミーを併用した急速拡大装置 による上顎歯槽部の拡大と下顎枝矢状分割術を行うこととした。 図4、図5、図6、図7 治療経過 (コルチコトミー,術前矯正 1 年 10 ヶ月・下顎枝矢状分割術,術後矯正 1 年 4 ヶ月・保定 期間 7 年 0 ヶ月) まず下顎にマルチブラケット装置(.022 スロット)を装着しレベリングを開始した。コ ルチコトミーは、上顎の唇側正中部、両側の梨状孔から上顎結節までの頬側歯槽骨、口蓋 側は正中口蓋縫合の両側部の皮質骨骨切りを行った。コルチコトミー直後に上顎に急速拡 大装置を装着し、1 日 0.5mm の割合で約 3 週間拡大を行った。その後上顎にマルチブラケ ット装置(.022 スロット)を装着しレベリングを開始した。上顎正中線の偏位に対しては、.

(3) 上顎歯槽部の拡大によって獲得された空隙を利用し、コイルスプリングを用いて空隙を確 保し舌側転位している上顎右側側切歯の唇側移動と正中線の是正を行った。また下顎枝矢 状分割術までに上下歯列幅径の調和を目標に治療を進めた。1 年 10 ヶ月の術前矯正後、下 顎枝矢状分割術による下顎の上方回転による開咬および顎の左方偏位の是正と下顔面高の 改善を行った。骨片固定はプレートにより行い、約 2 週間顎間固定を行った。顎間固定除 去後、顎間ゴムを併用した術後矯正を行い、下顎枝矢状分割術施行 11 ヶ月後に骨片固定用 プレートの除去を行い、1年4ヶ月後に上下顎にベッグタイプリテーナーを用いた保定へ と移行した。その後動的処置終了後7年経過したが咬合は安定している。 表 結果・考察 本症例は、骨格性の開咬で上顎歯槽部が著しく狭窄している成人症例であり、矯正治療 単独では咬合の改善は不可能と判断し、上顎歯槽部のコルチコトミーと下顎枝矢状分割術 を併用した。成人の上顎歯槽部が狭窄している症例に対し、Quad-helix などの緩徐拡大装 置によって拡大を行うと、拡大量が大きい場合には、歯頚部に大きな応力がかかることに より歯肉が退縮し、歯根露出や知覚過敏を起こすことが危惧される。またその拡大は歯軸 傾斜による拡大のため、咬合干渉を起こし臼歯部の咬合関係が安定しにくいという欠点も ある。従って本症例では、コルチコトミーを併用した急速拡大を行うことによって、歯や 歯周組織に為外性の少ない上顎歯槽部の拡大を行うことができ、動的処置終了時には初診 時と比較して犬歯間幅径が 4mm、第一大臼歯間幅径が 10mm 拡大し、安定した咬合関係を 得ることができた。成人でハイアングルの開咬症例は咬合の安定性を保つのが非常に困難 であるが、本症例では、動的処置終了後 7 年経過した現在でも上顎の歯列幅径の後戻りは ほとんどなく、overbite や overjet も維持されていて咬合も安定しており、コルチコトミー の有用性が示されたものと考えられる。. 参考文献 1) 寺田員人,向阪康彦,篠倉 均,他:下顎枝矢状分割法における上下顎歯列弓幅径の 調和の重要性について,日矯歯誌 46:107‐120,1987. 2) Andrew S.Glassman,Stephen J.Nahigian ,Jerald M.Medway,and Harry I. Aronowitz :Conservative surgical orthodontic adult rapid palatal expansion:Sixteen cases,Am J Orthod Dentfacial Orthop 86:207‐213,1984. 3) Paul A.Lines :Adult rapid maxillary expansion with corticotomy ,Am J Orthod Dentfacial Orthop. 67:44‐56,1975..

(4) 初診時. 動的処置終了時. 最終資料採得時. (22歳11ヶ月). (26歳2ヶ月). (33歳2ヶ月). 図1 顔面写真.

(5) 初診時 (22歳11ヶ月). 動的処置終了時 (26歳2ヶ月). 図2. 口腔内写真. 最終資料採得時 (33歳2ヶ月).

(6) 初診時(22歳11ヶ月). 動的処置終了後(26歳2ヶ月). 最終資料採得時(33歳2ヶ月) 図3 パノラマX線写真.

(7) Palatal plane at ANS 図5. SN plane at S 図4側面頭部X線規格写真の重ね合わせ. 実. 線:初. 診. 時. (22歳11ヶ月). 破. 線:動的処置終了時. (26歳2ヶ月). 一点破線:最終資料採得時. (33歳2ヶ月) Mandibular plane at Me 図6.

(8) 初診時 30mm. 43mm. 動的処置終了時 34mm. 53mm. 最終資料採得時 34mm. 図7 上顎歯列弓幅径の変化. 52mm.

(9)        頭部X線規格写真分析 (表). 計測項目 SNA SNB ANB FMA IMPA FMIA U1−SN. 初診時 (22歳11ヶ月) 84 83 1 38.5 68.5 73 101.5. 動的処置終了時 最終資料採得時 (26歳2ヶ月) ( 33歳2ヶ月) 84 84 83.5 83.5 0.5 0.5 35 35 68 71 77 74 110 110.5.

(10)

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