Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
華麗なる加齢のために : ホルモン補充療法と女性のQOL
Author(s)
髙松, 潔
Journal
歯科学報, 112(4): 531-531
URL
http://hdl.handle.net/10130/2869
Right
日本人女性の平均寿命は約86歳,一方,月経の永久停止である閉経の平均年齢は約51歳であるため,現代の 日本人女性は人生の3分の1以上を閉経後として過ごすことになる。女性の心身がエストロゲンで護られてい ることは周知であり,閉経に伴うエストロゲンの低下は,いわゆる退行期疾患と呼ばれる更年期障害,脂質異 常症,骨粗鬆症などの病態・疾患を発症・顕在化させる。口腔領域においても,閉経後には口腔関連愁訴が増 加すること,また,顎骨の骨量や唾液分泌量の低下,インプラント生着率の低下などが生じることが知られて おり,閉経後の QOL の維持・向上は女性医学のみならず,社会全体で考えるべき重要な課題の一つである。 そこで,消退したエストロゲンを補い,各種病態・疾患を予防・治療しようという考えから生まれたのがホ ルモン補充療法(HRT)である。実際,上記の退行期疾患への有用性はもちろんのこと,最近ではメタボ リック症候群といった代謝性疾患,皺の改善やコラーゲン維持などの皮膚領域,また,歯周病といった口腔領 域などへの有効性も注目されており,さらには HRT の施行期間が延びるほど寿命も延長するという報告もあ る。いわゆるアンチエイジングへの効果も期待できると考えられ,HRT が中高年女性に有用であることには 言を待たない。 一方でエストロゲンは古くから発癌リスク,特にエストロゲンに依存する組織の発癌リスクの問題が議論さ れてきた。特に乳癌については,2002年に米国の大規模研究である Women s Health Initiative(WHI)研究 のうち,エストロゲン+黄体ホルモン併用試験が乳癌リスクの上昇を理由に中止となって以来,「HRT=癌リ スク」という誤った考えが広まってしまい,HRT の有用性にすら疑問符が付いてしまった。しかし,その後 の再解析からリスクが再評価され,一定の条件下に HRT を施行すれば有効かつリスクへの影響が少ないこと が明らかになってきた。このようなパラダイムシフトを受けて,日本においても2009年6月に「HRT ガイド ライン 2009年度版」が発刊され,診療科を問わず,安全かつ有効に安心して HRT が施行できる状況になっ ている。 本年,上記 HRT ガイドラインが改訂され,2012年度版が発刊されたが,その改訂委員会委員長の立場か ら,本講演では口腔領域を含めた HRT の効果と現状でのベネフィット/リスクの考え方についてお話してみ たい。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 昭和61年3月 慶應義塾大学医学部卒業 昭和61年5月 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室入局 平成4年7月 ドイツ国ベーリングベルケ社リサーチラ ボラトリー留学 平成7年4月 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室診療 医長 平成12年5月 東京女子医科大学産婦人科学教室講師 平成14年4月 国立成育医療センター第二専門診療部婦 人科医長 平成16年4月 東京歯科大学市川総合病院産婦人科講師 平成17年4月 東京歯科大学市川総合病院産婦人科部長 (現在まで) 平成19年4月 東京歯科大学市川総合病院産婦人科教授 (現在まで) 平成20年4月 慶應義塾大学医学部客員教授(産婦人科 学)兼任(現在まで) <免許・資格> 平成3年10月 日本産科婦人科学会専門医 平成6年12月 日本臨床細胞学会細胞診専門医 平成18年4月 日本周産期・新生児医学会暫定指導医 平成18年4月 日本臨床腫瘍学会暫定指導医 平成19年2月 更年期と加齢のヘルスケア学会認定メノ ポーズカウンセラー 平成19年5月 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医 平成20年1月 日本医師会認定産業医 平成20年4月 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 平成20年4月 日本更年期医学会(現日本女性医学学会) 認定医師 平成23年1月 日本女性心身医学会認定医師 <所属学会> 日本産科婦人科学会 代議員 日本女性医学学会 理事 日本女性心身医学会 理事 国際女性心身医学会(ISPOG)Executive committee 日本婦人科腫瘍学会 評議員 日本臨床細胞学会 評議員 日本生殖医学会 代議員 日本受精着床学会 評議員 日本生殖内分泌学会 評議員 日本骨粗鬆症学会 評議員 日本心身医学会 代議員 千葉リプロダクション研究会 代表世話人 日本ドライシンドローム学会 理事