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立体造形における素材と教材

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Academic year: 2021

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(1)Title. 立体造形における素材と教材. Author(s). 八重樫, 良二; 寺田, 栄; 前田, 英伸. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 46(2): 223-237. Issue Date. 1996-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2108. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第46巻 第2号. 平成 8 年 2 月. l i i t i i f Educa i do Un t lof Hokka on(Sect onIC) Vo ve r s journa .2 .46 yo , No. Februa r y ,1996. 立体造形における素材と教材 八重樫 良. 寺. 田. 栄 ・ 前. 田. 英. 伸. 1. は じめ に 1 ) 美術の表現について中学校美術の指導書 では, 絵画.彫刻.デザイ ン.工芸の4領域に大別して各々 の 内容が記されている. さらに各領域については, 例えば絵画であれば, 水彩画と油彩画とか日本画と西洋画 というように描画材や技法の別, また静物画・人物画・風景画といった表現題材の別によって細分化した専 門を挙 げ る こ とも で きる. 他 の 領域 に お いて も そ れ は 同様 で あ り, 各々 の 実技 の 専 門 領域 は色々 な 観 点 か ら. その専門性 が深め られている. こうした専門の広 がりに対応しながら美術の教材は多様に展開されている. その一方, 特定の分野に属さない基礎的な領域も挙げられる‐ その内容としては例え ば素描や構成に関す るものが挙げられよう. 構成はデザイ ン専門の中で扱われることが多いため, その専門基礎として受け取ら れがちであるが, その表現は形態の骨格的な把握と組立に基づくものであり, 絵画・彫刻での表現にとって も必要な内容を含んでいる. 素描が絵画のみならず各分野にとって必要な基礎的表現力を養うことと同様の 目的を も っ て い る もの と い えよ う. こう した基 礎 造 形 につ いて の 題 材 はリ ズ ム感, バ ラ ンス 感 な ど美術 表 現 全 般 に共 通 して, そ の感性 の 育成 を 目指す も の と して 意 義 を持 っ て い る.. このように美術の学習には専門性を深める側面と広く美的感覚を育成する側面 が挙げられるが, それは対 立的な概念ではなく どの題材でも含まれる性格として考えられる. 本稿では立体造形に関してデザイ ン・彫 2 刻.工芸の観点からその教材について事例報告)を行うものである. 当然, それらにはそれぞれの領域での 専 門性 が 反 映 さ れて いる. 各 報 告 は 「素材」 を キ ーワ ー ドに して挙 げ た個別 の 事例 であ っ て, 統 合的 なカ リ. キュラムの中で行われた授業ではない. 各専門毎の特性に応じた実践例を提示し, その内容と各々の授業が 目指す学習目的について示したい. もしそこに共通性があるならば, それは細分化された専門領域の特質に 関わらず, 立体造形全般での基礎的な性格によるものとしてとらえられると思われる. 各報告を提示して, そ こ に 見 られ る 共 通 す る側 面 に着 目 して みた い.. 2. デザインの観点から一段ボール紙によるスツール制作 「用 の 美」 に 端 を発 す る デ ザイ ン造 形 に と っ て, 何 の 素材 で どの よう に作 る か, そ れ を決 定 す る こと 自体. がデザイ ン行為の重要な第一歩をなしているといえよう. 素材の適切な使用とその形の解釈はデザイ ンの合 理性の獲得であり, 近代デザイ ンの理念となった機能美につながる観点でもあった. とりわけ機能造形とし て 性 格 付 け られ る プロ ダ ク トデ ザイ ンの 分野 にと っ て は, こ う した 観 点を経験する上で素材特性とその加工 法の理解は基礎的かつ重要な学習内容を含んでいる. デザイ ンは思考を中心とする造形分野として特質付けられるが, 素材に関する学習は工芸での学習と同意 義であり, 創作経験を通 して素材特性を生かした造形表現を知ったり, その特色を体得することに目的があ る. 本節では紙を素材に用いた教材事例について報告する.. 223.

(3) . 八重樫. 良 二 ・ 寺 田. 栄 ・ 前. 田 英. 伸. 1 ( ) 課題内容について )ものである その内容について学生に配布 した課題 ここで記す教材は工業大学での学生を対象に試みた3 ‐ 票から転記してその概略を示したい‐ ・ 課題. : 「コ ンパ ク トに納 ま るス ツ ール (腰 掛 け椅 子)」 の制作. ・条 件. : 1. 素材 は段 ボール 紙 (大 き さ1250mm×1820皿 × 5 皿 厚) 2枚 , 2. 使用 しな い 時 はコ ンパ ク トな 大 きさ である こと. ・提 出物 : 1. アイ デアス ケ ッ チ 2. 完成 予 想 図, 3面 図, 説 明文 3. 試作 モ デル (ケ ント紙 な どに よる) 4. 作品 (実物, 座れること) ・ 工具. : カ ッ タ ー ナイ フ, 定規 な ど一般 的な道 具 を利用.. ・ その 他: 接 合 部 な ど部 分 的に 両面テ ー プ, ハ ト〆 紐など補助的な材料の使用は自由 ,. ここで用いる材料は段ボール紙であるが, それはふだんから外装箱など梱包材としてごく身近に接 してい る素材である‐ 大抵の学生は常日頃, 紙で出来ている椅子など経験したことがないので 段ボール使用につ , い て驚 きや 不 安 を抱く よ う であ る が, 授 業 ガイ ダ ンス と材 料 加 工の試 行 に よ っ て 強度 の ある 素材 と して そ の. 可能性を感じ取るようになる. 段 ボール 紙 に よる家 具 は1960年代 か ら1970年 代 に か けて実 際の 商 品 と して 製 造 さ れた り 素材 への 新鮮 な ,. 取り組みを触発するものと してデザイ ン専門の学生課題に試みられているものである‐ その後時代の経過と 共にその新規性は薄れ, 学生の制作課題はより新鮮な題材へと展開されていったが, それは素材特性とデザ イ ンの結びつきを学習する上で有効な教材であった. 近年, 環境保護やエコロジーが社会問題として取り上 げ られ る よ う な 時代 背景の も と, 自然 素材 の利用 リ サイ ク ル と い っ た 新た な 意味 付 け をも っ て 再 び デザイ , ンの 課題 と して 受 け入 れ られる よ う にも 思 われ る. 情 報 化 が 進 み グ ラフィ ッ ク や設 計 な ど様々 な 場 面 でコ ン ピ ュ ータ 利用 が 取 り入 れ られて い る 現在 素材 体 験 は硬 い軟 らか い な どと い っ た触感 質 感 な ど造 形イ メ ー , , ジに 直接 つ ながる 感 覚 の 形成 に と っ て 改めて 学 習の 意 義 が ある こ とと考 える . ( 2 ) 制 作 プロ セ ス. 本授業では制作プロセスを反映するものとして作業進行に応じた提出物を 前記 した課題票中に記 してい る‐ 一 連 の作 業 段 階を経 る こと 自体 もま た こ の授 業 目的と な っ て い る. プロ ダク トデザイ ン専 門 で は制 作 の. 実作業を中心にその準備段階, 事後の段階を含めてデザイ ンプロセスと呼んでいるが, ここではその疑似的 な体験として設定している. 以下に課題票に挙げた提出物の順に沿って制作プロセスを説明する. ① アイ デアス ケ ッ チ (アイ デアの段 階). この課題では2つの機能を満たすデザイ ンを求めている. 一つは座る加重に耐えられる構造を考える事. も う一 つ は何等 か の形 でコ ンパ ク トに なる よ う考 える 事 である‐ とも に物 理 的 ・ 合理 的な性 格 を 帯 び た 問題. となっている. デザイ ンの機能性と装飾性といった対立的な観点に立っていうなら, この課題設定は機能性 に 関わ る デザイ ン感 覚の 育成 を 目的と して い る.. 学生は最初の課題説明の際に素材サンプルの配布を受け, 実際に折ったり切ったりして直に触れてからア イ デアを は じめる‐ 段 ボー ル紙 の 特性 と して縦 目・ 横 目の方 向性 を持つ こ とが挙 げ られ る が 荷重 に 耐える ,. には縦目で力を受けるよう部品を組んで使用しなければならない. 学生は方向を考慮して形作る必要がある 224.

(4) . 立体造形における素材と教材. こと を 素材 に触 れる こと で自 ら知 る. この よう に アイ デ ア に強く 示 唆を 与え る こと か ら意 図 的 に段 ボール 紙. を素材としている. 素材特性の把握とそれを基にした造形発想のトレーニングを課題の狙いとしたかったか らであ る. この 狙 いか ら言 え ば素 材 の用 い方 がよ り合 理 的 である こと がデザイ ンと して よ り 良い 評価 が 得 られる こと. を意味するが, そうなればアイデアは合理性を追求する方向のみに向いて発想されるため, その答も画一的 な 帰結 に な り がち で デ ザ イ ンが技 術 的な 価 値 に の み終 始 して しま う. この課題 で はも う一 つ 「コ ン パ ク ト」 と い う 付加 的 な機 能 問題 を つ け加 える こと に よ り別 な方 向へ も考 え られる よ う意 図 して いる. コ ン パ ク トに な る こ との考 え方 は幾 通 りも 考 え られ る. つ ま り単 に 「スツ ー ルの制 作」 であれ ばアイ デア は結 局 一 つ の 山 頂 に 向か う よ う展 開 さ れて しま う が, 「コ ン パ ク トに納 ま るス ツ ー ル制作」 で あれ ばそ の 山 頂 は 一 つ と は 限 らなく な る‐. 学生にはサンプル配布と共に加工法について簡単な説明を加える. 近年では子供の時の工作経験も少なく 自発的な取り組みに乏しい学生も見られるため, 曲面工作やきれいな加工処理, 接着法などの工作の可能性 を 知 らせ る こ と でアイ デア展 開 の き っ か けと して い る. これ は素材 特性 に 関連 して そ の加 工特 性 もま たアイ. デア展開にとって必要な知識と考えるからである‐ 学生自身もやはり素材に直に触れることでその内容を体 験 的 に 理解 し, そ の 実感 を もつ よ う である. アイ デ ア展 開 はな る べ く 自 由に, 向 かう方 向が多く 考 えつく よ うにす る. も し絵 が描 け な けれ ばいたず ら 描 き程 度 のメ モ 描 きや 文 字 で説 明を 補 うな ど, と に かく アイ デア を 阻 害 せ ず 数 多 く 出 す よ う に す る. そ の 際, 学 生 自 身が こん な アイ デア ではだ め である と い っ た否 定 的な 観点 を 抱く ことも ある が, この 段階 で はア イ デア に否 定 的 であ っ た り自 己評価 す る観 点 は必要 と しな いの で肯 定 的 にアイ デア を考 え さ せる よ うに して. いる. アイ デアがある程度, 展開された後で絞り込みをし再度, 展開するというようにしながら具体的な制 作案の決定に至る. 提出されるアイ デアスケッチはこの過程の記録であるので用紙のばらつきや描写の質に つ いて は 問わ な い (図 1).. ②完成予想図, 3面図, 説明文 (アイデア決定とその伝達の段階) アイデアを決定する主体はむろん学生個人である. 数人がアイ デアを出しあっって決定する場合には互い の合意する基準が検討されるが, 個人の場合には最初から気分的に好きなアイデアに終始することが多いの で, な ぜそ の アイ デア に 決 定 した の かを 問わ れて も 「何 と なく」 とか 「気 に い っ たか ら」 と い っ た 漠然 と し た 意 識 に と どま り, そ れが デザイ ンに 意味 を 持つ と は さ して 意 識 さ れ な いよ う である. 専 門 的に はこ う した. アイデア決定の観点はコンセ プトと呼ばれる制作への考え方や価値観の現れとして受け取れる. デザイ ンに は造形上の趣味, 感覚とともに対象への見方や問題の捕らえ方, 考え方といった思考が反映しているので, どの よ うに そ の 対象 を と らえたか を 意 識す る こと は意味 を も っ て い る. デザイ ン造 形 は実 際に手 で作 る だ け で はなく 思考 に よ っ て作 る 側面 も 持 っ て いる. 「説 明文」 の 内 容 と して はこ う したアイ デ ア 決 定 の 観 点 に つ いて 記述 す る よ う求 めて いる. 「完成 予 想 図」 と 「3面 図」 は どん なも の を作 る の か 具体 的に考 えな けれ ばな らな いの で その描 画 は実 ,. 物制作に役立つ実際的な作業となる‐ 特に3面図はモデル制作にも実物制作にも必要な図面となるが, 同時 にこれらは他者への説明図としての意味も併せ持つ. 説明文を含めてこうした他者への説明は プレゼンテー シ ョ ンと 呼 ばれて デザイ ン プロセス の 中に 位 置 付 け られて い る. 前 記 した よう本 授 業 で はそ の プロセ ス の 体 験 も 目的 と して い た こと か ら, この 段 階 での 提 出物 は伝達 表 現 の 学 習 意義 も兼 ねて いる (図 2).. ③試作モデル (アイデアの確認, 修正の段階) 3面 図 を描く こと でそ れ ま でアイ デア に 留ま っ て いたイ メ ー ジが 自 分自 身, 具 体 的 なも の と して と らえ ら. れるようになる. 当然その部品や工作についても考えが及ぶが3面図では平面的な表現であるため大概, 実 225.

(5) . 八重樫. 良 二 ・ 寺. 田. 栄 ・ 前. 田 英 伸. 際 に どう な るの か 不明 な箇所 も 数 多く 見 られる‐ その た め ケ ント紙 な どで 5 分 の 1の 縮尺 のモ デルを 作 っ て 確 か め る と, 実 物制作 の 際 に 問題 と なる点 につ いて 検討 できる‐ 例 え ば 縦 目・ 横 目を考慮 して 1枚 の 材 料 , か ら どれく らい の部 品取 り が で きる の か 強度 的に は どうか コ ンパ ク トに す る ための 部 品や 組 立 の 関係 は , , どうか, な ど自身 が 気 づ かな か っ た ことも含 めて 多面 的に確 か め られる 実 際の デザイ ン プ ロセ ス ではアイ .. デアを試作しながら修正を加え, より良い方向へ導く段階を数度に渡って繰り返す‐ ここでは実制作に入る 前 に 自分 が どう いう もの を作 ろ う と して いる のか 実感 する こと に試作 する 目的が ある .. ④作品 (実制作の段階) 制作イメージが固まり, 畳み大ほどの ダンボール紙を材料に実際に制作する段階である. 複数生産を前提 するデザイ ン概念から見ればそれは試作にあたる. 授業としてはそれが本制作であり出来上がったものその も の が 作 品 と な る. (図 3・4). 制作 行程 につ いて は最初 に材料 取 り を す る が そ れ は 展 開 図 と して 描 か れ. る‐ 次に切断, 折り曲げ, 組立, 接着といった実際の工作行程をたどる. それらは基本的に普通の紙工作の 場合と全く同様である. 折り曲げはダンボール紙の厚みがあるため先端が細く丸い棒などで折り目に沿って な ぞ り, 厚 みを つ ぶ して 折 り 目の き っ か け を作 っ て か ら折 り 曲げ ると きれい に できる 折 り 曲げ処 理 によ っ . て はある程 度 の 曲面 を作 る ことも 可能 である. 特 に 目を 横 切 っ て 曲 げる場 合 に はこの や り方 は有効 である ‐ 接 着 に は両面 テ ー プが 適 して い る が, そ の他 にアイ デア に よ っ て ボタ ンホ ッ クや ワ ッ シ ャ ーリ ン グを はめて. 紐を通して結んで面をつなぐなど工夫した例も見られた. 試作までの段階では主に思考によってイメージを作ってきたのに対し, 実物制作には手技が直接作品の出 来に反映する‐ 手技を通して本当に制作者自らが素材特性, 加工特性を知るのであり, それはイタリアのデ )- い わ ば 素材 特性 にさか わ らな ザイ ナ ー であ る ブ ルーノ ・ ム ナ ーリ が 言う と こ ろ の 「自発 的 な形4 い 形, 材. 料がなりたがっている形」 と表した造形の基本的な考えを学習することである‐ それは教えられて知識を得 る ことと は全く 異 な り, 自 ら感 じと らな けれ ばな らな い体験 的 な学 習 と な っ て いる‐. ( 3 ) まとめ 本節ではデザイ ンプロセスを踏まえてその課題制作について記した‐ デザイ ンの分野特性と関わって記述 したが, 素材体験はデザイ ンに限らず全ての立体表現にとっての基盤であろう. この事例ではダンボール紙 が体重を支える材料となる点で意外性をもたせ, 素材へ興味を喚起してできるだけ自発的な創作学習となる ことを意図している. 実際, 授業運営の都合から作品は学生各自の自室でめいめいに作られている. 加工そ のものには特殊な工具や場所を要さないので, そうした意味では大学生に限らず中学校, 高校での題材とし ても可能な工作内容となっている. 本節ではデザイ ン専門に関わってその教材例として報告したが, 提示の しか た に よ っ て は工作 一 般 の題 材 とす る ことも 可能 と 考 え る.. 3‐ 彫刻の観点から-中学生とアルミ作品- 本節では, 中学校講師として2 0年余り彫刻 (立体造形) 部門を担当してきた私的経験の中から, アルミ板 を 使 っ た作 品の制 作 過 程 を辿 りなが らその 特性 を探 っ て い こう と 思 う.. 金属素材として様々な材料がある中で, 中学生を対象にするため比較的容易に加工できるものとしてアル ミ 板 を 使用 す る. この ア ルミ 板 は既 にナマ シて あ り (加 工後, 徐 冷 する こ と によ り軟 らかく な る‐ 金 属 板の 特 性 に よ り, そのまま の 状態 で は硬く て作 業 が 困難 で ある. ) 中学 生が 手工 具 と して 使用 す る 金 切 バ サ ミ で. 切断することが可能な硬度である. 素材の形状は平面であるが, これを必要な形に切断し各部品ごとに加工 して いく‐ パイ プ 状のも の を作 る の にも, どの よ うにす れ ば出来 る か を実 際に制 作 を 通 して学 ん でも らいた 226.

(6) . 立体造形における素材と教材. い と思 い, あ え て平 面 の アルミ 板 か ら作 業 を始 め よ う と思 う. 素 材 と使用 工 具 は以 下の 通 りであ る.. ・素材 (図5) ア ル ミ 板 (300mm×400mm× lmm厚 を2枚使用), ネジ (3 ≠ ×1omm. 3 ≠ ×30mm. 3 の×50m mの 3種), ナ ッ. ト, リ ベ ッ ト. ・使用工具 (図6) ケ ガキ 針, ケ ガキ用 コ ン パ ス, 曲尺, 金 切 バ サミ (直 刃 ・柳 刃), ヤス リ (平 ・ 甲丸), セ ンタ ポ ンチ, 電 動 ドリ ル, 電 動 糸ノ コ 盤, ヤ ッ トコ, ツカ ミ バ シ 鍛 金用 鋼 材 各種 イ モ ヅ チ 木 製 ウス 木 槌 プ ラス ドラ , , , , , イ バ ー, ボ ッ ク ス ド ラ イ バ ー, リ ベ ッ タ ー, ニ ッ パ ー , ワ イ ヤ ブ ラ シ, 方 力. ( ) 課題内容について T 表 現の 題 材 は 「住 むと ころ」 (図 7), 「動く もの」 (図 8 ・ 9), 「ム シ」 (図10~12 ) な どと して いる. この. アルミ作品の課題では生徒の創造力や創造性を制作のねらいとしているため, 課題はかなり漠然としたもの で, 生徒 自 身 がそ れ ぞれ考 える 余 地を 多く 残 した もの と す る. や や も す る と, 決 め られ たセ ッ トを 決 め られ. た通りに作りその出来映えだけを評価するという傾向に走りがちで, 生徒にも教師にも安易に流れる方向に あるの で, そ れ を 是正 す るた め にも 多少 難 しいと も 思わ れる が多く の選 択 が 可能 な 課題 と して いる‐ 例 え ば, 「住 むと ころ」 と いう 課題 では, 人や動 物 の 住ま い と い う点 に着 目 して, 自 分の 将来 住 ん でみた い と 思 う住 居 や, 建 築家 に な っ た つ も り で プラ ンニ ン グした 家 と い っ た よ う に 出 来 る だ け 既 存 の 建 物 の イ , メ ー ジに と らわ れな い所 で形 を考 え たい と 思 う. ま た動 物 の す みか につ いて も アリ が 地 中 に穴 を掘 っ て い ,. く様子を, 彼らが以前ピンの中で飼育した経験などを元にして想像してみる, といった具合に進めてみたい と 思 う. 「動く も の」 に つ いて も 同様 に, 動く 形 は様々 に あ り 生物 の動 きだ け でなく 機 械 な どの 動 き も あ , り, 時 に はこち らが予 想も しなか っ た 考 え で作 品 が 作 られる こと も あ っ た. 例 と して あ げ れ ば 風 に よ っ て , 動く であろ う 暖簾 を 制作 した もの も あ っ た. ま た 「ム シ」 に つ いて は 生物 の ム シの み な らず 空腹 の と き , , に な きだ す ハ ラノ ム シや 怒 っ た 時に 動 き出 すカ ンノ ム シ は果 た して ど ん な格 好 を して いる の だろ うと こ ち , らか ら疑 問を な げか け, 彼 らの 想像 力 を か き立 て るよ う に して み る. この よ う に生徒 の 課題 に 対す る 思考過 程 を大 事 に した い と 思 っ て い る.. ( 2 ) 制 作 プ ロセ ス ① アイ デアス ケ ッ チ 課題 か ら思 い浮 か ぶ形 をス ケ ッ チ ブ ッ ク にメ モの よ うな か た ち で描 いて いく. 出 来 る だ け多く 描く よ う に して 選 択 の 範 囲を広 げる よ う にす る.. ②完成予想図 アイ デアス ケ ッ チ を も と に して, その 中 か ら自分 の制 作 しよ う と思 う物 を 決 め そ れ につ いて の 完成 予 想 , 図を 一 枚 の 絵 と して 分 か り易く 描く. 細 部ま で詳 しく, 必要 な物 に つ いて は拡 大 図・部 分 図も併 せて 描く .. この予想図が実際の制作のもとになるため各自の思考過程がいかに画面に表現できているか また それが , , 実制作につなげるために何故必要となるかを理解させる. 次に形を展開したものを想定して 必要であれば , 展開図も書くようにする. 素材がアルミ板のため部品としてパイ プを作る場合も, その展開した形である長 方形が必要となる. また, 一つの作品を作るために幾つのパーツが必要になるかを検討し 部品数を決定す , る. なかには紙で簡単な模型や型紙を作って形を検討する生徒もいる.. 227.

(7) . 八重樫. 良 二 ・ 寺 田. 栄 ・ 前. 田 英 伸. ③ケガキ ア ルミ 板の 上 に 完成 予 想 図か ら必 要な 部 品を 展 開 した形 で, ケ ガキ針 ・ケ ガキ用 コ ンパ ス ・ 曲尺 を使 っ て 形 を 印付け して いく‐ 鉛 筆 な どでも 印付 け できる が 擦 っ た りす る と消 える 恐 れが ある の で先 の 鋭 い ケ ガキ 針 を 使用 した ほう が 良好 で ある. ケ ガキの 際ノ リ シロ部 分を確保 して おく 必 要 が あ る. 接 合 に 際 して 使用 す る ネ ジ ・リ ベ ッ ト は重 な り合 わ せる部 分 (ノ リ シロ) が 要 る た め 1~1‐5cmの 幅 で余 裕 を と っ て おく.. ④切断 金切バ サミ (直刃・柳刃) を使用‐ それぞれ直線用 (直刃) 曲線用 (柳刃) とで使い分ける. 注意すべき 点 は, 紙 と 異な り切 れ 端を 意識 的に外側 に 曲 げる よう に しな いと ハ サミ の要 に 板 が 当 た っ て しま い, 前 に進 ま なく なる こと である. ま た, 切 り落 とす 際 に力 を 入れ過 ぎる と柄 の 部 分 で自 分の体 や 指を 挟ん で しま う こ. とがある. 次に複雑な曲線や窓抜きの場合はハサミでは無理なので, 糸ノコを使用する. この場合は電動糸 ノコ盤を使用. ただし台数が少ないため交替で使い, 使用目的も上記の場合に制限する. 使用に際して, 特 に 窓抜 き では予 め ドリ ル で糸ノ コ 刃を 通す 穴 あ げ を行 う. その た め ドリ ル の使用 方 法 (キリ 先の 取 替 え方 . スイ ッ チの 入切 な ど) の 説 明 を行 う‐ 糸ノ コ盤 につ いて も 同様 に行 う‐ 切 断 した も の につ いて は必ず ヤスリ が けを行 う‐ ハ サミ で切 っ た場 合, 縁 が 鋭く な っ て お り手 に刺 さ りや すく, ま た後 の作 業 にも 差 し支 える た め. ドリ ル で穴 あ げ した 場 合も 反 対側 に バ リ が生 じる た めヤ スリ で丁寧 に 削 っ て おく.. ⑤曲げ加工 直角に曲げる場合は方力のツメの間にL字形金物を2枚置き, その間にアルミ板をはさむ. ケガキ線に注 意して ズ しないように方力を締めて固定する. 次にアルミ板を手で押して概ね折り曲げ, そのあと木槌を使 い角 を正 確 に出す よ う に する. 曲げ加 工 で パイ プ 状 の形 を作 る場 合 につ いて は, 丸 ・角 パイ プと も に 当金 と して 鉄製 の 丸 棒 ・丸 パ イ プや 角 パ イ プ等 が あ り, そ れ らを 使用 して 巻 き付 ける よう に して 作 る. 丸 パイ プの場 合, 太 い もの は当金 の 鋼管 を 方力 に はさ ん で おき, そ こに アルミ 板 を 巻 き付 ける‐ そ の後 軽く 木槌 で叩 き形 を 整 える‐ 必ず しも作 ろ う とす る もの と 同 じサイ ズ の 当金 が な い場 合, 当 金 か ら外 して 少 しづ つ 手 で絞 る よ うに して 所 定の 寸法ま で縮 めて いく と良 い. 細 い パイ プは 予 め ツカミ バ シ でU 字形 に 曲げて お き (手 で直 接 巻 き付 け るの は困難) そ の 中 に 丸棒 を入れ, ツ カ ミ バ シ で更 に締 め 付 ける よ う にす る と うまく 出 来上 がる. 角 パ イ プの 場 合 は一 つ の角. をL字金物で折り曲げておき, その角を当金に当てて次々と角を折り曲げていく方法が有効である. さ らに 曲げ 加工 の手法 と して 「打 ち 出 し」 が 挙 げ ら れ る. 曲 げ 加 工 の 中 で も 特 徴 的 で あ り, 三 次 曲 面 (ボー ル 状の もの) を作 る. 使用 す る の はイ モ ヅ チ ・木 の 臼 (直 径30~40cm) ・砂袋. 予 め, 丸く 切 っ た ア ルミ 板 を 臼の 上 に置 き全 体を 大ま か にイ モ ヅ チ で叩いて いく. 周 囲に歪 が出 てく る の で歪 が重 な らな いうち に 叩いて 均 して おく‐ 再 び臼に おいて 同様 に 繰 り返 す. ある 程度ま で叩く と 臼の 曲面 と ア ルミ 板 の 曲面 とが 一 致 してく る の で, 次 にア ルミ 板 を 臼の 面 に対 してや や 斜 め に 当て て 叩く. そ の 際, 叩く と ころ は臼 の一定. の場所を叩き, アルミ板の方を回しながら位置をずらしていく. 更に曲面を深くする場合は砂袋を使用した ほう が 作 業 がや り易く 効 果も 大 きい. 注 意 点 は金属 の 特性 と して続 けて 叩いて いく と硬く な り, 更にそ のま ま 叩 き続 ける と ヒ ビ割 れ が 生 じてく る. その た め, ある程 度 叩 いて 硬く な っ た 時点 で バ ーナ ーを 使 い加 熱 後. 自然冷却すると再び打ち出し加工が可能となる. 但し, 曲面の出っ張り部分は板厚がかなり薄くなっている の で注 意 が必要. 加 熱 の 際う っ か りす る とア ルミ 板 が溶 け る こ とも あ り, 加 熱の 見極 めと して, 表面 に石 鹸. でマーキングをしておきそれが熱で黒くなった時点で加熱を止める. この事を繰り返して丁寧に叩いていけ ば半球程度まで曲面にすることができる. 球体を作りたい場合は半球を二つ作りこれを合 わせるようにす る. 生徒が金属加工で特に興味を覚えるのがこの打ち出し加工で, 平面状のものが曲面に変化するという点 が かな り不 思議 で面 白く 感 じる よ う で, こち らで用 意 した サ ン プルを 見せて 説 明す る と興 に乗 りこの 打ち 出 228.

(8) . 立体造形における素材と教材. し作業に取り組むものが多い. 金属加工の場合, この部分が同じ平面素材である紙と大きく異なる点で, そ の特性を発揮できるのである. ⑥組み立て1 (ネジ止め) 部 品が で きる と いよ い よ組 み立 て に 入 る が, この 時点 で は仮 組 み と して ネ ジを 使 う. 理 由は 大ま か な組 み 立 て を して みて, 具 合の 悪 い 部分 は修 正 す る. そ の た め に は取 り外 しの 出 来るネ ジ止 めの方 が 都 合 よく リ ,. ベット止めは最終的な接合方法とする. ネジ止めする場合 ネジを入れるための穴を予めあげておく必要が , ありドリルでそれぞれ接合する場所に穴をあげておく. ネジの内側に入り込んだバリはケガキ針を通して落 と して おく. ネ ジ の 長 さ は三 種 の サイ ズ が あ る が, 穴 径 は3・3mmのの み と して お り これ はリ ベ ッ トにも 使用 ,. できる. 穴の大きさを種々変えると ドリルの錐先もその都度変える必要があり生徒が作業上混乱を引き起こ す こと を 防 ぐた め である. ⑦ 組 み立 て 2 (リ ベ ッ ト止 め) リ ベ ッ トはリ ベ ッ タ ーと い う器 械と 共 に使用 し, そ の 使用 法 が 簡 単 な ため 中学 生 が 作 業す る にも 適 当 であ. ると思われる. 使用方法はリベッターに装填したリベッ トの先端を重ね合わせた板に通す‐ 確実に通ってい る こと を 確認 した ら, リ ベ ッ タ ーの ハ ン ドルを 絞 る. す ると, リ ベ ッ トの 先端 が 膨 らみ最 後 に 端 が 切れる こ と に よ っ て 接 合 で きる. この リ ベ ッ トの利 点 はネ ジ止め 出 来 な い よ うな場 所 例 え ば サイ コ ロの よ うに全 部 , 塞 が れた も の も 片側 (上 か ら) か らだ け で止 め る こと が 出来 る と い う こ とに言 う点 に ある (ネ ジ止 め の よ う . に反 対側 か らナ ッ トで締 め る必 要 が な い) そ の た め 細 い パイ プや 長 いも の にも 有効 である 問題 点 は取 り , .. 外すことが困難であるという点である. 恒久的な接合を目的としているため, 不都合が生じた場合 外して , 再 び止 め ると 言 う作 業 が 難 しく, 強 いて 外 す た め に はニ ッ パ ー で切 り取 らなけ れ ばな らな い 再度 止 めよ う . とす る と穴 が広 が っ て い て うまく 止 ま らな い こと が 多 い. そ の た め 生徒 に は最 後 に す る よ う に説 明 して お り 途 中 での組 み立 て はネ ジ止 め を用 いる よ うに 指導 して いる. ま た, ネ ジ止 め に した 部 分 で外 す こと が 困難 で リ ベ ッ トと 交 換 で き ないも の はそ のま ま で 良と す る. 加 えて 可 動 部 分 はネ ジの ほ う が 良い場 合が ある , .. ⑧仕上げ 組み立て終わったら全体を 点検 して, ガタ つ きのな いよ う にす る. 更 に, 時 間 的な余 裕 が あれ ば 表面 処 理 の方 法 と して ワイ ヤ ブ ラ シを使 っ て 表 面 を一 定方 向に 擦 る と 艶消 し状と な り効 果 的 であ る そ の 際 一 部 , . , 分を セ ロテ ー プ でマス キ ン グ して おく と, 艶 消 しの 部 分と 他 の 部 分 と の 差 が で き て 効 果 と して 面 白 い と 思 う・. ( 3 ) まとめ. 永年中学校で彫刻の分野を担当指導してきて, 私立中学であるという特色を生かしながら (1~3年で3 人の講師が担当し, それぞれ1年絵画・2年彫刻・3年デザイ ンという具合に年間を通して授業を行う) か なりの時間を作 品制作に当てることができた. 私が担当する彫刻では前半・木彫 後半・アルミ加工という , 二 つ の 課 題 を 行 い, 木 彫 で は主 に対 象 を よく 観察 して 作 る と いう こと アル ミ で は想 像力 を働 か せ て と い う ,. 具合にそれぞれ異なった視点から制作にアプローチ していった. 今回の論文ではアルミ制作の過程をたどり ながら素材であるアルミ板をどの様に生徒達が扱い, その特性を理解するのか 恐らく初めて扱うアルミ板 , の 不 思 議 さと 作 業 にと も な っ て 起 こる 困難 さを いか に 克 服 して いく こと が出 来 た か を体 験 的に学 ん でほ しい と 思 っ て い る.. 229.

(9) . 八重樫. 良. 二 ・ 寺. 田. 栄 ・ 前. 田 英 伸. 4. 工芸の観点から-石膏型を用いた鋳込み成形による磁器制作- 5 ) 本 節 で はデ ザイ ン系の 高 専 に於 いて 3年 次学 生を 対 象 と し, 専 門科 目であ る工 芸 デ ザイ ンコ ー ス の 実 習. として組み立てた授業を通観 しながら, 素材と造形との関わりやその教育的意義について考察してみたい‐ 対象となる学年は5年間の一環教育のなかで基礎造形課程から専門 課程への移行期にあたり, 建築, 環 境, 工業, 工芸, 視覚の各コースに分かれる前の準備期間としてコース毎の概論とそれぞれの分野の特色を 折り込んだ実習を体験する事になる. これは学生にとって, これまで学んできた素描, 絵画, 彫塑, 構成等 の基礎的な造形実習に加え用の概念を取り入れたより実践的なデザイ ンの基礎を多角的に学ぶ機会であり, またその実習体験が将来の専門コースを選択する際の個人的な判断材料ともなっている‐ 以上のような背景 のもとに今回の工芸デザイ ン実習の目標として実材を扱いかつ実際の用 に耐え得るものをデザイ ンし制作す る事, およびイメージを具現化するための基本的な手工の技術を実習を通して身につける事とした. 石膏型を用いた陶磁器の成形法は, 日本では明治の始めに欧州より技術導入されたもので, 同一の形状の ものが容易に複製できる事から, 現在では和食器における量産の技術としても一般化されている‐ 粘土によ る立体造形と言えばその可塑性を利用して様々なジャ ンルからの多様な造形表現のア プローチが可能である が, ここでは敢えて石膏原型を削りだし, それを型取りしたものに液体状に調整した土 (泥疑) を流し込ん で成形するいわゆる鋳込み成形法と言う技法を用いて課題設定を行った‐ 石膏を削り出す作業は, 他の陶磁 器の成形法に対して, 比較的技術の熟練度を要せずかつ精度の高い形状を作り出す事が可能であり, アイデ アス ケ ッ チか ら図面, 現物 へ と デザイ ン プ ロセ ス を 踏ま えな が ら初期 の意 図 を 具現 化す る 事 が容 易 である‐. ( 1 ) 課題内容について 学 生 に 与えた テ ーマ は, 「マ グカ ッ プを作 る」 と し, 使用 者 は学 生本 人, 使用 される場 の 設 定 は 自 由 と し. た. 本人が使用するものとしたのは, 課題への動機づけは勿論であるが, 日常使用 されるもののデザイ ンを する上で, 重さや容量, 持ちやすさ, 口 ざわりなど使用者が要求するものを明確にし, その重要度に応じた ねらいや意図を直接デザインに反映させるためでもある. また最終的には, 出来上がったものを本人自身が 使用 して みる 事 で実 感 を 持 っ て そ の 意 図を検証 できる よう に す るた め で ある. マ グカ ッ プと いう 品 目 は日常 生活 に於 いて気 軽 に使用 で きる 器 であ り, 個 人 的な持 ち 物 と して の性 格も 強 く, 用 途 も コー ヒ ー, 紅 茶 に 限 らずミ ルクやス ー プ等 様々 な 飲料 に対 応す る 事や, 朝 の 食 卓, 勉 強 部屋, ア トリ エ な ど学 生 の 生活 圏のな か で広 範 囲に使用 できる 道 具 であ る と言 える. ま た この事 か ら, 場 の設 定 に 関. しては, 具体性のある多様な状況設定が可能である‐ ) 制作プロセス ( 2 授 業 の進 行 は, オリ エ ンテ ー シ ョ ンに始ま りアイ デア ス ケ ッ チ ・ 図面・ 原型 制作 ・使用 型制 作 ・鋳 込 み成. 形・素焼 き・施粕・本焼き・講評の順で行われる. 以下授業の進行に従ってプロセス毎に解説を加えていっ て みた い. ①オリ エ ンテ ー シ ョ ン. この段階では課題のテーマ説明とともに陶磁器を制作する上であらかじめ心得ておかなければならないい くつかの項目についてガイ ダンスを行う. たとえば陶磁器は乾燥及び焼成にともなって収縮するので成形時 の寸法を焼き上がりの寸法より多くとっておかなけれ ばならない‐ 鋳込み成形の場合使用する泥崇の含水率 をあらかじめ調整 してあるのでおおよその収縮率は一定しており土によって異なるが, 今回使用した天草陶 土の 場合 は含 水 率30% で収縮 を 見込 ん だ 寸法の 割掛 け率 は113% である. つま り高 さloommのカ ッ プを 作 る た 230.

(10) . 立体造形における素材と教材. め に は高 さ113皿 の原 型 寸法 が 必 要 であ り, 幅と 奥 行 き, 厚 みにつ いて も 同 じ事が い える.. また陶磁器は本焼きの際に窯のなかで収縮にともなって軟化し歪みやすい事にも注意をする必要がある. ガイ ダ ンス の 時 に学 生 に は一 人一 つ ず つ家 庭 で使 っ て いるカ ッ プを 持 っ てく る よ う にさ せ, そ の 縁 の形 状や 肉 どりの 仕方, ハ ン ドル の バ ラ ンス な ど, 普 段 なに も考 えず に使 っ て いる 焼 き物 が, 使 い勝 手 と 共 に いか に. 歪みに対して強度を持たせるために配慮されているかを説明する. さらに成形法の特徴として, 鋳込み成形の場合は型の内面に沿って陶土がほぼ均一の厚さで着肉す るた め, 形状の作り方で歪みが出にくい形に持っていく必要がある事, 鋳込み時間の長短によって肉の厚さを調 整できる事などについても説明をす る. ② アイ デアス ケ ッ チ アイ デア ス ケ ッ チ の段 階 で は使用 者 (本 人) と 使用 され る 場 のイ メ ー ジの 中 か ら で きるだ け多く の アイ デ. アを出す事は勿論であるが, ここで特に学生に要求するのは必ず原寸大で見取り図のスケッチを描いていく 事 であ る. 初 期 の 段 階 で は 大ま か な形 状のイ メ ー ジを広 げる た め に サムネイ ル ス ケ ッ チを進 め る が, ある程 度絞 りこん だ 段 階か らは, 原 寸大 でス ケ ッ チす る 事 に よ り プ ロ ポ ー シ ョ ン, 容量, 手 に持 っ たと きの 握 りと 形 状 の 関 係な どを 空 間 的 に把握 しな が ら バ リ エ ー シ ョ ンを展 開 させ るよ う にす る. ま た, 各 自 が持 ち寄 っ た サ ン プ ル を計 測 して みる の も 容量 や プ ロポ ー シ ョ ンを設 定 す る と きの手 が か りと. して有効である. こうする事で, 実際の見た目と数値的な寸法の関係を身につける事が出来るようになって く る. 具 体 的な 例 と して, 口径 と高 さの 関 係 を 1対 1の 比 率 で見 せ た い場 合, 実 際の 寸法 は口 径を 1 とす る な ら ば 高 さ はそ の 8割程 度 に抑 えた方 がよ いと い うよ う な 事が 分 か っ てく る.. 特に有機的で複雑な形状を考えている学生にはこの段階で粘土を使ってラフモデルを作らせ, 形の成り立ち や 面 の流 れ, おさま りな どにつ いて 確 認 させ る 事も 必要 に応 じて 指 導 す る.. ③図面化 図面 化 に 当 た っ て も, 先 の アイ デアス ケ ッ チ同様1月 を原則 と して 作 図 させ る. この 段 階 で は 必 ず 断 面 図. を描かせ, 鋳込み成形の着肉の仕方が理解できているかどうかチェックすると共に, 焼成に伴う歪みの出方 をある程度予測しながらなるべく学生のイメージした形状に近い形で焼き上げ るための修正をさせ る. な お, 本来ならばここから型の 図面を新たに描き起こすのであるが, 最近ではコピー機に任意倍率の機能がつ い た もの が普 及 して い る の でそ のま ま113% に拡 大 して 型 の 制作 図 と して 使用 す る.. ④原型制作 こ こか ら がい よ い よ実 際 の作 業 の始 ま りで ある. 型 を作 る作 業 の流 れ と して は 作 りた い形 状の 外形 寸法 , よ りや や 大 きめ の 囲 いに石 膏 を 流 し込 み, 荒 削 りか ら面 出 し, 仕 上 げと進 めて いく. 囲い は 木 の 板や シー , ト状 の プラス チ ッ ク 板 を 丸 め て作 り, 粘土 で 目止 め した も の を用 い る が , ・さなもの であれば粘土だけ で 作 っ て も 良 い. 石 膏を 溶く と き は必 ず 石 膏 の 重 量 と水の 量 を 計 っ て 使 う よう に させ る. 目安 と して は, 石 膏 lkgに 対 して 水 が700cc~90occぐらいが 適 当 であ る. 削 り 出 し で 形 を 作 っ て い く 都 合. 上, 石膏の水分量を一定にする事で, 硬化するまでの時間や石膏の硬さ, 吸水性などを一定にしておいた方 が 作 業 に都 合 が よ いた め である. 固め の 石 膏 を 作 る と きは 水の 量 を 少 なく し 軟 らか いも の が 欲 しい と き は , 水 の量 を 多く す る. 基 本 的 に はボ ディ と ハ ン ドル の二 つ の部 品を作 るの である が ハ ン ドルと ボディ が一 体 , にな っ た もの も あ り, 制 作 の 手順 な どが 形 状 に よ っ て 多 少 異 な っ てく る.. 回転体を基本としたボディ を作る場合は石膏ロクロを用いる. これは石膏を回転台の上に載せ回転させ , 三角カナ (カンナ) という特殊な道具を用いて削り出していくもので, 原理は旋盤加工とほぼ同様である. 回転台は一般の陶芸用電動ロクロで充分代用できる. 始めに石膏で削りの台を作り, 粘土で回転台に固定する (図13 ). 台の爪は削りの際に上に流し込んだ石膏 231.

(11) . 八重樫. 良 二 ・ 寺. 田. 栄 ・ 前. 田 英 伸. の 空 回 りを 止め る た め である. 削 り台にカ リ石 鹸を 塗 り, 水に 浸 した 海綿 で表面 の泡 を きれ い に拭 き取 る.. この時表面に形成されたカリ石鹸の皮膜を傷つけないよう注意する‐ )‐ カ ッ プの底面 の 形 を作 る た 次 に 削 り台 の 上 に 円筒 形の 囲いを作 り, 石 膏 を流 し込 ん で 削 り始 め る (図14. めにカッ プを伏せた状態で原型を削り出すが, 大まかな形は石膏が硬化を始めてから完全に硬化を終わるま での 5 ~ 6分 の 間 に 削 っ て しま う よ う にす る と後 の作 業 が非 常 に楽 に な る‐ 硬化 が 完全 に 終了 して か らカ ッ ). 多角 形の カ ッ プな ど プの 高 さや 口径, 底面 の 直 径 な どの 寸法 を 計 りな が ら少 しず つ 削 り出 して いく (図15 り易 い‐ 仕 上げ に は砥 草ま た は耐 水 ペ ー パ ー等 を用 い る. は, この 後面 を 削 っ て いく と 正確 な形 を作・ ボ ディ の原 型 が出 来 た ら表 面 にカ リ 石 鹸 を塗 り, ハ ン ドル を作 るた め の石 膏 を流 し込 む. こうす る 事 で ボ ディ の 形 状 に あ っ た接 合面 が 得 られる. 荒 削 りの 段 階で は切 り出 しナイ フを用 いて, 大 きな面か ら徐々 に細 か い部 分へ と面 と りを進 め て いく. ある 程度 面 と りが出 来た ら, 次 は金 工用 の 鋸 の 刃を 適 当な長 さに折 り,. 曲面を作るための道具として用いる. 刃の当て方は石膏の面に対して垂直になるように指先で保持し, なる べ く い ろん な方 向 か ら大 きく 曲面 を捉 える よう 掻 き傷 を つ けて いく. 一 見 ナイ フの 切 り跡 よ りも 荒れて く る. ように見えるが, 大きな面の流れを整えるためにはこの方 が効率がよい. 鋸の刃の傷は仕上げの段階で耐水 ヘーパーなどで簡単に消す事が出来る‐ 曲面の仕上げをチェックするには, 一カ所の光源から光を当て, 陰 のつき方を見ると良い. 原型の精度は最終の焼き上がりの形を決定するだけでなく, 次の型どりの工程に影 響を及ぼすので, 慎重に仕上げる. ハンドルの原型は仕上げが進むにしたがって折れ易くなるので無理な力 を掛けないよう注意して作業する. ハ ン ドル と ボ ディ の一 体 に な っ たも の は, 石 膏 の塊 か ら直接 削 りだ して も 良い が, 形 状に よ っ て は - 旦 ボ ディ を石 膏 ロ ク ロ で仕 上 げて か ら新 た に石膏 を継 ぎ足 して ハ ン ドルを 作 る 事も できる. 継 ぎ足 しの 場 合, 石 膏 同 士 が 外 れ な いよ う にす る た め, ボ ディ のライ ンか らハ ン ドルの 形 に 切 り 替 わ る ぎ り ぎ り の 所 か ら 思 い 切 っ て 深く 傷 を 入 れ, ア ン ダーカ ッ トに な る部 分を 作 っ て おく. ま た新 たに石 膏を 流 し込 む前 にも と に なる. 石膏を充分濡らして吸水性を止めておく. 石膏の水分量を計ってあれ ば, ほぼ同じ硬さで新たな石膏を継 ぎ 足す事が出来るので, 削りだしが楽になる. 仕上げまでは上記の手順と同様である‐. ⑤使用型制作 出来た原型をもとにして雌型を作る. この型を利用して繰り返し陶土を成形するので, 型数をなるべく少 なく す る 事や, 型 の縁 が 鋭角 にな らな いよ う にす る 事な ど考 えて作 る必 要 がある. ボディ の 型 で上下 の 2つ. 割から左右と上下の4つ割程度, ハン ドルの型で左右の2つ割程度でかなりの形状のバリエーショ ンに対応 で きる‐ 手順 と して はま ず原 型 に 型 割の ライ ンを 水 彩 色鉛筆 を用 いて 正確 に引く, ライ ンの精度 が 悪い とア ン ダ ーカ ッ トが出 来, 原 型 が型 か ら抜 け なく な る か らである. 原 型 にカリ 石 鹸を 塗 り, ライ ンを 基 準に原 型. の半分或いは型 どりしない部分を粘土で埋める. 露出している原型の面にもう一度カリ石鹸を塗り, 泡をき れい に拭 き取 っ て か ら回 りに 囲い を作 り石 膏 を流 し込 む. 型の 厚 み は い ち ば ん 薄 い と こ ろ で 2cm程 度 に す. ;が硬化したら粘土を取り 型を ゴム槌等で軽くたたいて原型を外す. 型同士の合わせ面を切り出し る. 石膏 , ナイ フ と鋸の 刃の 背 で きれ いな 面 にな る よう に仕 上 げ, 次 に鋳 込 む型 がず れ な い よ う に適 当なと ころ に 爪 を. 作る. 後はもう一度原型を型にいれて離型剤を塗り, 順に型どりしていく事で2つから4つ割の型が出来て くる. 型どりの際に注意しなければならないのは, 鋳込み成形の型なので泥崇を注入する口をつけてやる事 )‐ 使用 型 が と, 型 の 内面 にカ リ 石 鹸 が 着 か な い よ う にす る事, 安 定 して 置 ける型 にす る 事 な どであ る (図16. 出来たら角の面取りをし, 広げて乾燥させる. 原型は別の場所に保管 して置く. ⑥鋳込み成形・素焼き 成形は石膏の吸水性を利用して行うので, 使用型が充分乾燥しているのを確認し, 泥崇の圧力で型がひら いて しま わ な いよう ゴム バ ン ドな どで縛 っ て用 いる‐ 型 に泥 疑 を流 し込 むと き は, ゆ っ く りと縁 の 上ま で- 232.

(12) . 立体造形における素材と教材. 気 に 流 す よ う にす る (図17 ). 流 し込 みを 途 中 で止 め る と 表面 にライ ン状 の溝 が水位 の 痕 跡 と して残 る. 泥 疑. は型の内面に触れているところから次第に水分を吸われてやや固めの土の層を形成 し始める. 待ち時間の目 安 は厚 さ1~ 2mmで1~ 2 分, 3~ 4mmで5~ 6 分程 度 である が, 何度 も成 形 して 型 が 湿 っ てく ると待 ち 時. 間もやや長くなる‐ 所定の厚さまで着肉が進んだら型の中の余分な泥疑はバケツなどにあげて戻し, 乾燥し な い よ う にフタ を して 置く‐ 30分程 度 で型 か ら外す 事 が できる よ う にな る. 成 形 品を歪 め な い よう に注 意 し. ながら型から外す. 余分なバリを取り, ハンドルとボディ を泥疑で接着する. 土の乾燥は収縮を伴うので , 接着の際は互いに同程度の乾燥具合である事が必要である. 使用型は濡れてきたら乾燥させてやれば繰り返し使用が可能であるが, 寿命があり, 長く使っていくうち にだ ん だ ん 型 が 甘く な っ て く る 事 は避 け られ な い. 一 つ の型 で概ね50か ら100個 程 度 の成 形 が 可 能 で あ る ‐. 授業の中では成形後の作業の歩留まりを考えて, 1 0個程度を目標に成形をさせる. 成形品は良く乾燥させて か ら柔 らか いス ポ ンジを 湯 に浸 して 表 面 を拭 き上 げ, 仕 上 げ を する. この 時縁の 部 分 は バ リ をと り 拭 きな ,. がら丸みを着け形を整えるようにする. 仕上げが終わったらもう一度良く乾燥させ 素焼きの窯に入れる , . 素焼き温度は天草陶土の場合90 0℃程度である. ⑦施紬・本焼き 素焼 きが 上 が っ た ら表 面 の挨 を コ ン プ レッ サーの エ ア ーま た は刷 毛 な どで払 い 落 とす‐ 挨 が 着 い たま ま 施 紬 す る と 素 地 と粕 と の 密 着 を 妨 げ, 本 焼 き後 に粕 のメ ク レや ピ ンホ ールの 原 因と なる. こ の後 施粕 の 前 に呉. 須等の下絵の具で絵付けをする事もできるが, 薄く乗せすぎると発色が甘くなり, 濃く乗せすぎると上記の 挨と同じ欠点がでるなど筆の使い方に熟練が必要であり, はじめて試みる場合学生のイメージ通りには上が らない事が多い. 安易にパターンを入れると形状の美しさを損ねる事になりかねないので 今回の授業では , 線 彫 り して 絵 の 具 を流 し込 む方 法 や トイ レッ ト ペ ー パ ー で形 を作 り絵 の 具 を しみ こま せて いく 方法 な ど 筆 ,. 跡が残らない絵付けの仕方を紹介し, 絵付けを極力抑えて白磁そのものの持つ素材感とフォルムの美しさを 強調する方向で指導 した. 紬薬は透明稲を用い, 浸し掛けで施紬する. 粕掛けに際しては片方の手で素地を持って紬薬に浸し もう , 片方の手は掛け終えたものを持ち代えるために使い粕薬が着かないようにすると効率よく続けて紬掛けがで きる. 素地が比較的薄いので1個に着き1秒程度を目安に粕の中に浸し, 手際よく掛けるようにする 粕だ . れや ピ ンホ ー ル, 指跡 な どは 良く 乾 か して か ら筆 でタ ッ チア ッ プを し 指 先 でこす っ て 修 正 する 最 後 に 窯 , .. 詰めの際に接地する面を濡れたスポンジなどで拭き上げ, 粕をきれいに取り去る. カッ プの形状はハンドル が着 いて いる た め にや や バ ラ ンス が 悪く そ の まま 起 こ して 焼く と 飲 み 口 がハ ン ドル に引 っ 張 られ て 楕 円状 ,. に歪む事が多い. 歪みを防ぐためには傾斜した台の上に乗せて焼いたり 同じ土で出来た円形の台の上に伏 , せて焼く事もある. 量産の陶磁器の場合は試験を繰り返して最適な焼き方を決定できるが 授業では何度も , 焼成を繰り返す事は不可能なので, 何個かを選んで伏せ焼きにする. 伏せ焼きの場合は飲み口の部分が接地 するので縁の純薬を拭き取るようにする. 焼成は天草陶土の場合1 300℃で還元焼成をする‐. ⑧講評 窯出しの瞬間, 学生達は自分やまわりの学生達が苦労して作ってきたものが本物の白磁になって並んでい るのを見て感動を覚えるのか, 一様に歓声が揚がる. 講 評 の 際に はイ ンスタ ン トコー ヒ ーと 紅 茶 を用 意 して お き 焼 き上 が っ た ば か りのカ ッ プをま ず 自 分 で使 , っ. てみながら個々の作品のねらい等を語らせる. 形状などに着いて気が付いた事は指摘するが 全体を通して , 特に強調するのは, 最終的なデザイ ンの評価は使用する学生自身が何年か後になお愛着を持って使っている か どう か と いう 事 である (図18 ).. 233.

(13) . 八重樫. 良. 二 ・ 寺 田. 栄 ・ 前. 田 英. 伸. ( 3 ) まとめ 以上, 石膏型による陶磁器の制作実習を課程をたどりながら紹介した. 扱う素材が石膏から成形された土 の状態, 素焼きされたもの, 粕薬の掛かった状態, 最終的には白磁という永続性を持った材質へと プロセス 毎に移り変わっていく事が, 初めて体験する学生に取っては面白く新鮮な体験となっている. またそれぞれ のプロセスがすべて最終の焼き上がりに重要な影響を与えるという意味で, 制作プロセスの重要性について 体験的に学習する良い機会にもなったと思う. 本稿のテーマである素材特性や加工特性が造形に与える影響という観点から云えば, 量を持った塊の材料 を削りだして得られる形である事, 型取りを考慮した形である事, また焼成と言う工程から要求される諸条 件など, 考慮しておかなけれ ばならない事が多い. さらに用途を満たす事を前提条件として付け加える事に より, 自由な造形を楽しむ部分と必然性を伴って形を決定する部分とが制作の中に一体化しているものだと 言 える‐ いず れ にせ よカ ッ プとい う 生活 の 中 で誰 も がイ メ ー ジ できる道 具の原 形 に独 自の材 質 と形 を 与える. 作業をデザイ ンと呼ぶならば, それを作る楽しみ, 使う楽しみは, 工芸教育としては欠かせない要素だと言 え る.. 5‐ 結. び. ここに挙げた3例ははじめに記したように個別的な観点からの報告であり, 立体造形に関わる教材全般を 蹄観した上で挙げた事例ではない. しかし, そこにはすでに共通した内容と目的が感じられる. それは素材 特性に適した形, 加工法に従って得られる形を踏まえて, それを造形に反映することの面白さ, 楽しさを知 り創 作 す る こと を学 習の 狙 い と して い る 点であ る. 表 現 の質 と して 彫 刻 的 であ っ た り, 手法 的 に 工芸 的 であ る こと な どに よ りそ の造 形 は何 れ かの 分 野 に属す る 表 現 と される こと が多 い が, ここ で挙 げ た各 事例 での制. 作 プロセスは専門に関わらずアイデア展開から実制作ま での段階に至るまで共通した内容を含んでいる. それは素材そのものに触れ, 加工体験を通した理解が立体造形全般にとって重要な学習であり, そのこと は領域を越えて必要であることの現れとして受け取れよう. ともすれば領域毎に区分してとらえがちとなる 各専門での教材について, こうした側面はいわ ば 「素材に触れる事によって育まれる造形体験」 といった共 通する大テーマを与えている‐ こうした観点を得たことは互いの領域の結びつきとそれぞれの教材のねらい の 再 考 に意 義を もつ こと と考 える.. 注 1) 「中学校指導書美術編」. (文部省. 平成元年発行). 2) 本稿では大学生, 中学生, 高等専門学校生に関した実技の授業について報告する‐ デザイ ンについての教材事例は八重樫, 彫刻は 寺田, 工芸は前田が分担して記述した. 3) 室蘭工業大学1年生に行った授業を基に報告する‐ 学生の造形体験はごく一般的な水準であり, 高校の芸術教科選択が美術ではな かった学生については中学校美術での造形学習にとどまっている. 73年 (ブルーノ・ムナーリ著, 小山満男訳 19 4) 「芸術としてのデザイ ン」. ダヴィッ ド社刊 1 28頁から). 5) 札幌市立高等専門学校での授業を基に報告する. 同校は全国で唯一の芸術専門の高等専門学校であり, 各コースにわたってデザイ ンの専門教育を行っている. (八重樫良二:本学助教授 旭川校, 寺田栄:本学教授. 234. 旭川校, 前田英伸:札幌市立高等専門学校助教授).

(14) . . 立体造形における素材と教材. ◎. アイ デア ス ケ ッ チ 例 図1. .. ーL - ‐ L - - 、 -』 - - ー ノ ・ ′ . 州 ・ 「 ー -. i〈, ; . ・ ● -. , . ・ ↑′i ・ . ≠r ‘ - r. . .. - ・ー. 品 例. 図4 作. 品 例 図3 作. 樋噂 i lムセ られぐ # ;つぐ L ノ . チ くさ サリただじ;と つ る .. を ・ ; 「. . . ・ ′- . ▲. へ. 図2 伝達表現例. . \. 、N \\. 235.

(15) . . 八重樫. 良 二 ・ 寺 田. 栄 ・ 前. 田 英 伸. . 111粘W . (細い ,製. 図5. ア ル ミ 板 と り ベ ッ タ ー, リ ベ ッ ト. 図6 各種の工具. ‘ 二メモききキ に - 一. ・ 一 ・ ・ 」y - -. 図7 作品例 (住むところ). 図8 作品例 (動くもの). . メー ド Jゑ 〜. . F三森. 塞 ぎ 図9 作品例 (動くもの). ミミ,. . 図lo 作品例 (動くもの). ‐\ rノh - .. . . 、. ‘ \ ′ r “. 善 と] 図11 作品例 (ムシ) 236. 図12 作品例 (ムシ).

(16) . 立体造形における素材と教材. 工. ‐. 図13 削り台の固定. 図14 石膏の流し込み. .; 二:. 図16 原型と使用型 図15 削 り 出 し. も一 ミ キ .- 嫌 【〕 . ー-- r - --- f . ・「L . ・一一 L , ミぜ . 図17 泥築の流し込み. 図18 各 地 品 例 237.

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参照

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