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「Society 5.0」に向けた社会科におけるエネルギー環境教育に関する基礎的研究

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「Society 5.0」に向けた社会科における

エネルギー環境教育に関する基礎的研究

安 藤 雅 之

Fundamental Study on Energy and Environmental Education

in Social Studies Toward "Society 5.0"

Masayuki ANDO

2018 年 11 月9日受理 抄   録  文部科学省では「Society 5.0」に向けた人材(飛躍知を発見・創造する人材と新た なビジネスを創造する人材)育成の必要性を 2018 年 6 月に公表した。そのために社 会の安全を維持しつつ、現代的な課題の一つであるエネルギー環境に関する学習を社 会科で導入することは、子供一人ひとりが各教科等における学びを活かし、意識し、 自覚をもって、自らの選択と合意に基づいて未来像を創り上げ、持続可能な社会の形 成者としての資質・能力を育成することになる。  そこで社会科の授業では「社会にそれがどのように存在しているのか」、「なぜそれ が社会にそのように存在しているのか」という知識や概念等を身につけさせ、「それ はどのように存在するのがよいのか」という視点から現実の社会を見つめさせる。さ らに単元末ではパフォーマンス課題を位置づけ、培った知識・技能をフル稼働させて 一連の探究活動として単元を構成することが「Society 5.0」に向けた人材育成に資す ることになる。 キーワード:持続可能な社会 意思決定 合意形成 パフォーマンス課題 授業構成 はじめに  現在の社会の安全を維持しつつ現代的な課題に対応していくためには、限られた教 科、学習内容をもとにして未来像を描くのではなく、子供一人ひとりが各教科や総合 的な学習の時間における学びを活かしつつ、意識し、自覚をもって、自らの選択と合 意にもとづく未来像を創り上げていかなければならない。  小学校では、生活科、社会科、理科、家庭科において、限定的かつ個々の教科にお ける学習内容として、課題対応的にエネルギー環境教育を位置づけている。しかし、 これからの社会を生き抜くためには、教科や領域における学習内容を横断的に扱った り、それぞれの教科における学習内容を効果的に組み換えたり、内容を意図的に付加

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したり、削減したりして、見方・考え方を鍛え、求められる資質・能力を育成するこ とが必要となる。  そこで、本稿では文部科学省が公表した、到来が予測される「Society 5.0」(超スマー ト社会)に向けて、小学校の社会科におけるエネルギー環境教育の充実をいかに図る かを、学校現場における2つの実践事例をもとに、資質・能力の育成という観点から 学習内容の扱い方についての分析・考察を行い、これからのエネルギー環境教育の充 実に向けた授業構成の方法について明らかにすることを目的とする。 1.エネルギーを巡る今日的状況  ⑴ 電気と暮らし  2018 年の夏から秋にかけて日本を相次いで襲った台風と震災は、各地で長時間の 停電を発生させ、日常生活に重大な影響を与えた。台風 21 号によって 8000 人が孤立 した関西空港では電気が止まり、震度7を記録した北海道の「北海道胆振東部地震」 では道内全域が「ブラックアウト」-北海道全土が停電するという前代未聞の規模と なった。また9月末の台風 24 号では、配電線の切断や倒木、飛来物が接触したために、 静岡県富士川以西では延べ 78 万 3740 戸にも及ぶ大規模停電がおき、完全に解消する までに 6 日間を要した。既に、私たちは電気が失われると思わぬところで大きな損害 が出ることは 2011 年の東日本大震災の時に経験している。電気は生活に不可欠なも のではあるが、電気に頼る暮らしは極めて脆弱だということを今回の大停電等から改 めて教訓として学ぶ必要がある。  こうした電気をめぐって大きな混乱を招く前の 2018(平成 30)年7月3日、政府 は4年ぶりにエネルギー政策の基本方針を示す「エネルギー基本計画」を改定した。  ⑵ 新たな「エネルギー基本計画」  エネルギー基本計画は、2002 年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、 政府が策定するものである。「3つの E(エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、 環境への適合)+ S(安全性)」(3E + S)という基本方針に則り、エネルギー政策 の基本的な方向性を明らかにしている。本計画策定の経緯として 2017 年 8 月から総 合資源エネルギー調査会基本政策分科会等において検討が開始され、2018 年 5 月 16 日に素案を提示し、その後パブリックコメント等を踏まえて、2018 年 7 月 3 日に閣 議決定されるに至ったのである。  新エネルギー基本計画では、常に踏まえるべき点として「東京電力福島第一原子力 発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むこと」等を原点として検討を進 めており、2030 年、さらにはその 20 年後の 2050 年にまで視野を広げた方針が示さ れている。尚、原子力発電に関しては引き続き「重要なベースロード ( 基幹 ) 電源」 と位置づけ、再稼動を進めることで、2030 年時点での電源構成に占める割合は「20 ~ 22%」とする目標を維持した。世界的に脱炭素化の動きが加速しているが、二酸 化炭素を排出しない原子力発電の新増設については盛り込まれていない。つまり

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2030 年に向けた方針としてはエネルギーミックスの確実な実現へ向けた取組の更な る強化を行うこととしたのである。また 2050 年に向けては、「パリ協定」に見られる 脱炭素化への世界的な動きを踏まえ、エネルギー転換・脱炭素化に向けた石炭火力に よる発電をほぼゼロにする目標を掲げ、あらゆる選択肢の可能性を追求していくこと にした。  2000 年時点で日本のエネルギー自給率は 20%であった。しかし福島第一原子力発 電所事故後、原子力発電の再稼動問題等によって、周知のとおり 2016 年には8%ま で自給率は下がった。石油・ガスなどの資源を輸入に頼る日本の自給率の低さは極め て深刻な状況となっている。そのためエネルギー基本計画では、太陽光や風力などの 再生可能エネルギーを将来的に主力電源とすることを掲げた。だが、再生可能エネル ギーは時間帯や天候によって変動する出力を調整する必要があり、また技術面やコス ト面での課題を抱えている。そのため、2030 年においても石炭火力で 26%を賄うこ とになっている。石炭火力が太陽光や風力などの再生可能エネルギーや液化天然ガス (LNG ) 火力などに比べ、コストが低く、安定した発電が可能だからである。  果たして、本当に日本のエネルギー政策において、2050 年に石炭火力を全廃でき るか、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み強化とともに、改めて原子力 発電の稼動に関する議論をしっかりと行わなくてはならない局面を迎えている。  ⑶ 「科学技術基本計画」とこれからの社会づくり  エネルギー基本計画の見直しに大きな拍車をかけたのが、第5期「科学技術基本計 画」である。未来の産業創造と社会変革に向け、人々に豊かさをもたらす「超スマー ト社会」(Society 5.0)を未来の姿として、我が国の経済成長と雇用創出を実現し、 国及び国民の安全・安心の確保と豊かな生活の実現、さらには世界の発展に貢献する ために、政府、学界、産業界、国民が共に実行する計画として 2016(平成 28)年1 月 22 日に閣議決定されたことは記憶に新しい。  ここで想定された未来の姿としての「Society 5.0」は、これまでの社会を「狩猟社 会(Society 1.0)」「農耕社会(Society 2.0)」「工業社会(Society 3.0)」「情報社会(Society 4.0)」と位置づけた上での概念である。「Society 4.0」下の現在、データの共有や活 用が十分ではないと科学技術基本計画では指摘している。そのため「Society 5.0」の 社会では、あらゆるデータを共有・連携させることで、少子高齢化や地方の過疎化、 貧富の格差といった課題を解決することを目指している。重要なことは、経済や組織 などのシステムが優先されるのではなく、一人ひとりの人間が中心となって快適で活 力に満ちた質の高い生活、活き活きと楽しく、快適に暮らすことのできる社会づくり に向けての計画であるという理解である。本計画の前提には次のような現状分析結果 がある。   「我が国は、エネルギー、資源、食料等の制約、少子高齢化や地域経済社会の疲弊 といった課題を抱えている。特に、我が国の経済・社会の基盤を支える上で、エネル ギーや資源の安定的かつ安価な供給が重要であることについては、東日本大震災を契

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機として改めて経験したところである。高齢化の進行に伴う社会保障費の増大やイン フラの老朽化等は、社会コストを増大させ、我が国の経済や国民の生活水準の維持・ 向上に対する大きな制約となりつつある。さらに、大規模地震や火山噴火などの自然 災害のリスク、我が国を取り巻く安全保障環境の変化などにも適切に対応し、国土や 社会機能の強靱性(レジリエンス)を高めていくことが求められている。また、東日 本大震災からの復興再生もいまだ道半ばであり、着実に対応していく必要がある」1)  今日の社会の現状は、情報通信技術の急激な変化によって、新しいビジネスや市場 が生まれ、人々の働き方やライフスタイルが大きく変化してきている。しかしその一 方で、我が国そして世界では抱える課題が増大し、複雑化している。我が国において はとりわけエネルギーの安定的な確保と効率的な利用が大きな課題となっている。  ⑷ 現代的課題としてのエネルギー環境問題  持続的な成長を遂げていくための「経済・社会的課題」のエネルギー・資源の安定 的な確保を目指して、次のような方針が内閣府から打ち出されている2) ⅰ)エネルギーの安定的な確保とエネルギー利用の効率化  我が国のエネルギー源は化石燃料が中心であり、その大半を輸入に頼っている。中でも、 電力供給は化石燃料、原子力、水力等により賄われてきたが、東日本大震災以降の原子力発 電所の停止に伴う電力供給の減少を、主に火力発電の焚き増しで補っている状況である。近 年の政策により再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、国際的に見て非常に脆弱な エネルギー供給構造になっている。  このため、将来のエネルギー需給構造を見据えた最適なエネルギーミックスに向け、エネ ルギーの安定的な確保と効率的な利用を図る必要があり、現行技術の高度化と先進技術の導 入の推進を図りつつ、革新的技術の創出にも取り組む。  具体的には、産業、民生(家庭、業務)及び運輸(車両、船舶、航空機)の各部門におい て、より一層の省エネルギー技術等の研究開発及び普及を図る。また、再生可能エネルギー の高効率化・低コスト化技術や導入拡大に資する系統運用技術の高度化、水素や蓄エネルギー 等によるエネルギー利用の安定化技術などの研究開発及び普及を推進する。加えて、化石燃 料の高効率利用、安全性・核セキュリティ・廃炉技術の高度化等の原子力の利用に資する研 究開発を推進する。さらに、将来に向けた重要な技術である核融合等の革新的技術、核燃料 サイクル技術の確立に向けた研究開発にも取り組む。 ⅱ)資源の安定的な確保と循環的な利用  我が国は、化石燃料やレアメタルの大半を輸入に頼っており、輸出入の制限や遅延、資源 の需要増大による価格高騰等は、経済や産業の活動に直接的な影響がある。また、資源の採 掘・精錬等に伴う汚染、排出される廃棄物の増加等も喫緊の課題である。  このため、資源の安定的な確保を図りつつ、ライフサイクルを踏まえ、資源生産性と循環 利用率を向上させ最終処分量を抑制した持続的な循環型社会の実現を目指す。  具体的には、我が国の管轄海域における非在来型エネルギー資源のポテンシャル評価や利 用技術、海底熱水鉱床等での海底資源の探査・生産技術の研究開発を、海洋環境の保全との 調和を図りながら推進する。また、省資源化技術や代替素材技術、環境負荷の低い原料精製

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技術、資源の回収・分離・再生技術の研究開発を推進する。さらに、バイオマスや廃棄物等 からの燃料や化学品等の製造・利用技術及び廃棄物処理技術の研究開発等にも取り組む。 (下線は筆者による)   「将来のエネルギー需給構造を見据えた最適なエネルギーミックスに向け、エネル ギーの安定的な確保と効率的な利用を図る」ことと「持続的な循環型社会の実現」は、 こ れ か ら の 社 会 づ く り に お け る 達 成 す べ き 課 題 で あ る と 考 え る。 そ の た め に、 「Society5.0」 の社会イメージを、単に先進的な科学技術を活かした便利な社会という ことではなく,人間中心の豊かな社会という理解に立って、多様な価値観を受け止め ることができる人材の育成が重要であり、学校教育における取組への期待されるので ある。 2.学校におけるエネルギー環境教育  ⑴ 「Society 5.0」に向けて育成すべき資質・能力  文部科学省では、第5期科学技術基本計画を受け、「Society 5.0」に向けた育成す べき人材像を『Society 5.0 に向けた人材育成~ 社会が変わる、学びが変わる ~』(以 下、報告書)として 2018(平成 30)年6月5日に公表した。  「Society 5.0」では、「人間の強み」を発揮し、AI 等を使いこなしていく資質・能 力育成の必要性について報告書では明示している。ここでいう「人間の強み」とは「現 実世界を理解し、その状況に応じた意味付けができること」3)である。AI には現実 世界を理解することはできない。また社会は様々な人やモノ、情報が複雑に関係し合っ ており、調整したり想定外の事態に対処したり、自らの行動の仕方を考えたりするこ とは、人間しかできない。接客や介護のような他者との対話の中で行われる仕事は、 AI やロボットによってある程度代替されるかもしれないが、人間が担うことでそれ とは異なる付加価値が生まれる。そのために今後は「新しい価値やサービスを生み出 す事業の創出や、新しい事業モデルを構築できる人材、データ解析やプログラミング 等の基本的知識を持ちつつビッグデータやAI等の基盤技術を新しい課題の発見・解 決に活用できる人材」の強化を図ることが重要となる4)。報告書では「Society 5.0 を牽引するための鍵は、技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材 と、それらの成果と社会課題をつなげ、プラットフォームをはじめとした新たなビジ ネスを創造する人材」5)としており、これはまさに「問題・課題発見力を備えた新 たな価値を創造できる人材」が求められていると整理できる。  人間らしく豊かに生きていくために必要な力は、特殊な資質・能力ではない。むし ろ、どのような時代の変化を迎えようとも、知識・技能、思考力・判断力・表現力を 基盤とした学びに向かう能力や人間性であろう。そこで報告書では「共通して求めら れる力」として、①文章や情報を正確に読み解き、対話する力、②科学的に思考・吟 味し活用する力、③価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力が必要であると 整理し、これからの学校における「学びの在り方の変革」を求めたのである6)

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 「文章や情報を正確に読み解き、対話する力」は、知識・技能としての学力の基礎 に加え、文章や情報を正確に理解し、論理的思考を行うための読解力や、他者と協働 して思考・判断・表現を深める対話力等の社会的スキルであり、これが人間の強みを 発揮するための基盤となる。  また、これからの社会では人間とコンピュータ等の機械が複雑かつ高度に関係し合 う社会となるため、「科学的に思考・吟味し活用する力」が不可欠となる。コンピュー タ等の機械を理解し、使いこなすためのリテラシーや、科学的・分析的にクリティカ ルに思考する力や全体をシステムとしてデザインする力がこれまで以上に必要な力と なる。  さらに、現実世界を意味あるものとして理解し、それを基に新たな価値を生み出し ていくことは、AI には代替できない人間ならではの営みである。自然体験やホンモ ノに触れる実体験を通じて醸成される豊かな感性や、多くのアイディアを生み出す思 考の流暢性、感性や知性に基づく独創性と対話を通じて更に世界を広げる創造力、苦 心してモノを作り上げる力、新しいものや変わっていくものに対する好奇心や探求力、 実践から学び自信につなげていく力の育成は、まさに「Society 5.0」の鍵となろう7)  ⑵ これからの学校教育の方向性  報告書で示された育成すべき人材像が、次期学習指導要領が告示された後に文部科 学省から出されたものであることに着目すると、報告書の基盤となっている考え方は、 中央教育審議会の答申や次期学習指導要領であると推察することができる。すなわち 「Society 5.0」への対応と期待は、2016(平成 28)年 12 月 21 日の中央教育審議会答 申において「子供たちは、変化を前向きに受け止め、私たちの社会や人生、生活を、 人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしたり、現在では思いもつかない新 しい未来の姿を構想し実現したりしていくことができる」8)という形で表明されて いる。  また本答申においては、このように想定される未来社会において「人間は、感性を 豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよ りよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すことができる。多様な文脈が複 雑に入り交じった環境の中でも、場面や状況を理解して自ら目的を設定し、その目的 に応じて必要な情報を見いだし、情報を基に深く理解して自分の考えをまとめたり、 相手にふさわしい表現を工夫したり、答えのない課題に対して、多様な他者と協働し ながら目的に応じた納得解を見いだしたりすることができるという強みを持ってい る」9)と、「Society 5.0」で期待する「人間の強み」を具体的な表現で整理している。 そのために学校には、未来に生きる子供たちが、自信を持って自分の人生を切り拓き、 よりよい社会を創り出していくことができるように、必要な資質・能力を確実に育む ことが求められた、と受け止めることができる。  さらに「学校は、今を生きる子供たちにとって、未来の社会に向けた準備段階とし ての場であると同時に、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく

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場」10)であり、「社会とのつながりの中で学校教育を展開していくことは、我が国が 社会的な課題を乗り越え、未来を切り拓いていくための大きな原動力ともなる。特に、 子供たちが、身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会を よりよく変えていくことができるという実感を持つことは、困難を乗り越え、未来に 向けて進む希望と力を与えることにつながるものである」11)とする表明は、学校に おける「学びの在り方の変革」を求めた方向性を示すものであると理解できる。  今後、学校では、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力と教科等の関係 を明確にすることが重要課題となる。そしてどの教科等のどのような内容に関する学 びが資質・能力の育成につながるのかを明確にするとともに、子供たちが学ぶプロセ スにおいて、新しい知識が、既に持っている知識や経験と結び付けられ、各教科等に おける学習内容の本質的な理解に関わる主要な概念として習得され、そうした概念が さらに、社会生活において活用できる知識や概念として形成できるようにする学びを どのように創り出していくかが学校の課題となる。  ⑶ 小学校におけるエネルギー環境教育の位置づけ  次期学習指導要領では、教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される 資質・能力として、「現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」を掲げ、そ の構成要素のひとつに「自然環境や資源の有限性等の中で持続可能な社会をつくる力」 を挙げている。一方、新・エネルギー環境教育情報センターが明示するエネルギー環 境教育の目標は「持続可能な社会の構築をめざし、エネルギー・ 環境問題の解決に向 け、生涯を通じて主体的かつ 適切に判断し行動できる人間を育成する」12)ことである。 いずれも持続可能な社会を構築する上で、エネルギー環境教育が現代的な課題への対 応という極めて重要な位置づけにあるということを示唆している。特に小学校におけ る教科では、エネルギー環境教育に直接関わる内容をもつ生活科、社会科、理科、家 庭科のねらいは次のように整理される13)  ●生活科:エネルギーに関わる具体的活動や体験を通して、エネルギーに対する関 心を高める。  ●社会科:自分の生活との関わりを通して、社会におけるエネルギーの利用や保全 のあり方を考え、判断し、自分の生活に生かす。  ●理 科:エネルギーに関わる実験・操作を通して、エネルギーの性質を科学的に とらえ、エネルギーの利用や問題の解決のために必要なことを考える。  ●家庭科:衣食住など実生活と結びつけて、エネルギーの適切な利用の仕方を考え、 判断し、実践する。 3.小学校社会科におけるエネルギー環境教育  ⑴ 次期学習指導要領とエネルギー環境教育  次期学習指導要領における小学校社会科の改善の基本方針には、「社会との関わりを

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意識して課題を追究したり解決したりする活動を充実し、知識や思考力等を基盤とし て社会の在り方や人間としての生き方について選択・判断する力、自国の動向とグロー バルな動向を横断的・相互的に捉えて現代的な諸課題を歴史的に考察する力、持続可 能な社会づくりの観点から地球規模の諸課題や地域課題を解決しようとする態度など、 国家及び社会の形成者として必要な資質・能力を育んでいくことが求められる」14) 明示された。この文言は、上述してきた想定される「society 5.0」の社会における人 間の在り方を示す重要な羅針盤的表現であると解釈でき、「持続可能な社会づくり」と いう人類の最大課題を克服するうえで、いかにエネルギー環境教育が重要なポジショ ンを占めるかを十分に表明していると考えられる。すなわち、グローバル化する国際 社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者としての資質・能 力を育成することが一層重視されたのである。そのために社会にみられる課題を把握 して、その解決に向けて構想する力をいかに育成するかが学校教育の課題であり、将 来につながる社会的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しを図ることが強調されてい る。そこで、小学校では、社会科がはじまる第 3 学年から、この「社会に見られる課題」 をいかに把握させ、その解決に向けて、一人ひとりが社会への関わり方を選択・判断 できるようにするか、その力の形成が重要課題となる。  小学校社会科において唯一エネルギーに関して学ぶ第 4 学年では、「人々の健康や 生活環境を支える事業」として電気やガスというエネルギーを供給する事業を扱う。 この場合、子どもたちが電気、ガスを大切な資源として捉え、地域や生活における課 題を見出し、それらの解決のために節電や省エネ等、自分たちでできることを選択・ 判断したりする力、考えたことや選択・判断したことを表現する力を養うことが求め られている15)。そのため「指導計画の作成と内容の取扱い」における「内容の取扱い についての配慮事項」において、地域の実態を生かし、社会に見られる課題について、 多角的に考えたことや選択・判断したことを論理的に説明したり、立場や根拠を明確 にして議論したりするなど言語活動に関わる学習を重視するよう明示されている16) さらに、電気やガス、原子力など資源・エネルギーに関する博物館等の施設を積極的 に活用したり、従事する専門家や関係者、関係諸機関等の人々の協力を得たりしなが ら、子どもたちの知的好奇心を高めるとともに、正しい理解を図るようにすることが 重視されている17)  ⑵ 小学校社会科におけるエネルギー環境教育の推進と授業実践  上述のとおり、小学校社会科において直接的にエネルギー環境教育に関する内容を 扱う学年は第4学年に限られている。持続可能な社会づくりの観点から考えるならば、 当然、各学年において扱う社会的事象の多くには「社会にみられる課題」( 現代的な 課題 ) が伏在しており、その課題解決のためにエネルギー環境教育の学習内容や視点 を導入した学習計画を立てる必要があろう。  そこで、小学校社会科において意欲的にエネルギー環境教育に取り組む2人の教員 の授業実践状況を以下に紹介する。本実践はエネルギー環境教育を直接扱う第4学年

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の前後学年である第 3 学年と第 5 学年の実践である。持続可能な社づくりに向けて重 要な視点となるエネルギー環境に関する課題は、決して一学年だけで扱って完結する ものではなく、系統的、体系的に行うことが重要であることを示唆する極めて重要な 実践例であるといえる。尚、実践例は研究発表会あるいは公開授業として行われた授 業において披露された学習指導案から転載するため、掲載方法が統一されていないこ とをご了解いただきたい。また紙面の関係上、単元設定の理由と単元指導計画のみを 取り上げることとする。  ⑶ 小学校社会科におけるエネルギー環境教育の実践事例18)  ① 事例1:第3学年社会科 指導者:田原弘之教諭(常葉大学教育学部附属橘小学校) 1.単元名「変わるわたしたちのくらし」 2.単元の目標  【関心・意欲・態度】  ・昔の道具と現在の道具への変化、それに伴うくらしの変化に関心をもち、意 欲的に調べることを通して、人々のくらしの中の知恵や工夫、願いについて 考えることができる。  ・未来のくらしを考える中で、エネルギー問題や環境問題などに関する視点を もち、どう行動すべきか考えることができる。  【思考・判断・表現】  ・昔の道具と今の道具を比較する活動や未来の道具を考える活動を通して、く らしの変化や人々が生活をよりよくするための工夫や努力について考え、表 現することができる。  ・エネルギーにかかわる対策や事業が、私たちの生活や良好な生活環境の維持 と向上に役立っていることを、自分たちの生活と関連づけて考えることがで きる。  【技能】  ・意見や理由を傾聴すること、発信すること、反論することができる。  ・意見が異なる人と意見交換をしながら、自分の結論を導き出すことができる。  【知識・理解】  ・昔の道具や生活の変化を理解することができる。  ・エネルギーにかかわる対策や事業は、計画的、協力的に進められ、私たちの 生活や良好な生活環境の維持と向上に役立っていることを理解することがで きる。 3.単元について

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 東日本大震災以降、日本のエネルギー問題は多くの課題に直面している。エネ ルギー自給率の低下や電力コストの上昇など国民 1 人 1 人が考えていかなければ ならない現状にある。ただ、エネルギーとは身近でありながらも知らないこと  が多く、関心も低いと考えられる。  そこで、本校では「エネルギー教育モデル校」(主催:経済産業省資源エネルギー 庁)として、各教科や特別活動などを通してエネルギーに対する取り組みを始め ることとなった。中でも社会科部では、未来の担い手としてエネルギーに対する 意識向上だけにとどまらず、資質・能力を育成する中で「持続可能な社会」を創 造することができるようにと考えており、実践を重ねている。さて、本校社会科 部では平成 23 年度より、様々な事象に積極的にかかわる態度、他者とのかかわ りの中で多面的に考察し、自らの考えを再構成しながら判断・決定できるような 力、つまり「意思決定」する力が大切であると考え、「意思決定」型授業の授業 構成を軸とした研究を行っている。エネルギー学習においても、エネルギーが自 分たちの生活と密接に結びついていくものであるため、その活用について調べた り、多くの意見を交流し、合意形成を図る中で考えさせたりして、意思決定させ ること(行動・発信につなげること)は有効なプロセスであると考える。  本単元では、「変わるわたしたちのくらし」の単元構成の中にエネルギーの視 点を組みこみ、「意思決定」型授業を展開する。道具やライフスタイルの変化、 エネルギーや環境の変化など多くの要素を関連づけながら単元を展開する。また、 その中で過去から現在、現在から未来への視点をもたせることで、これからの生 活をどのように考え、行動すべきなのかと「意思決定」するための力を培うとい う目標にせまることができると考える。そのために、導入時には「たちばなっ子 資料館」の道具について時代を意識して整理することから昔の道具やくらしへの 興味・関心を高める。その後、調べ学習、インタビュー活動、ゲストティーチャー の話などから道具やくらしの変化、エネルギーの変化をとらえたり、体験活動を 通したりして、その意味や意義を理解していく。最終的には子どもたちが大学卒 業時に迎える 2030 年を目標として、「○○家の 2030 計画」という形で、家族を 含め近未来に向けてどんな取り組みができるのか、様々な考えを再構成させなが ら、最終的な「意思決定」(創造的な学び)へとつなげていく。あわせて、社会 的な見方・考え方を培うために企業の考え方や国の政策(スマートコミュニティ)、 保護者へのアンケート結果を提示して、子どもたちの考えを揺さぶることで多面 的・多角的に考え、「意思決定」ができるようにしたい。

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4.単元指導計画  (全 16 時間)  次 時 学習活動 1 1 2 3 4 ・教室にある電気製品を見つけ、「エネルギー」について考えよう。 ・「たちばなっ子資料館」を調査しよう。 (道具を時代別に分けてみよう) ・道具の変化を調べて発表しよう。グループごとの調べ学習 (道具年表を作ろう) 2 5 6 7 8 9 10 ・昔のせんたくを体験しよう。 (体験の感想やもっと知りたいことをまとめる。) ・洗濯のしかたの今と昔を比べよう。(洗濯板VS洗濯機) ・洗濯の体験を通して、くらしの変化やエネルギーの変化について まとめよう。 ・自分たちの調べた道具の未来(2030 年代)を考えよう。 (たちばなっ子資料館の完成) ・それにともなって、どんなくらしになるのか考えよう。 (便利さ、エネルギー、環境など) ・未来の道具をどう考えているのか、未来のエネルギーがどうなる のか話を聞いてみよう。 3 11 12 13 14 15・16 ・これまでの学習(2030 年の問題点など)をふまえながら、実現可 能な行動案を考えよう。 ・スマートコミュニティ(資源エネルギー庁)について知り、自分 の考えと比較しよう。 ・メリット、デメリットを整理し、デメリットに対しどうすればい いのか考えよう。 ・「○○家の 2030 計画」を考えよう    (ワークショップ型授業)  友達の考えと比べよう家の人の考えと比べよう ・改めて計画を見直し、決定したことをお家の人に伝えよう。 (※家庭での実践とふり返り)  ② 事例2:第5学年社会科        指導者:金澤翔平教諭(静岡市立横内小学校) 1.「日本の工業の今を見つめ、未来を考える~東海工業地域を手がかりに~」 2.単元の目標   【社会的事象等についての知識・技能】

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・我が国の工業生産が国民生活を支える重要な役割を果たしていることを理解し、 その知識を身に付けている。 ・地図帳や地球儀、各種の資料から我が国の工業生産に関わる情報を収集し、読 み取り、まとめる技能を身に付けている。 【社会的事象等についての思考・判断・表現】  ・「社会的な見方・考え方」を用いて、我が国の工業生産を支える人々の工夫や 努力を見出し、工業生産が国民生活に果たす意味や意義、特色や相互の関連を 考察し、説明したり議論したりしている。 ・「社会的な見方・考え方」を用いて、我が国の工業生産が抱える課題の解決策 を選択・判断し、説明したり議論したりしている。 【社会的事象等に主体的に関わろうとする態度】 ・我が国の工業生産について主体的に調べ分かろうとして課題を意欲的に追究し ている。 ・よりよい社会を考え、学んだことを生かそうとしている。 3.単元について  本単元「工業生産を支える人々」は小学校学習指導要領解説社会編の内容⑶を受 け、「様々な工業製品が国民生活を支えていること」や「我が国の各種の工業生産 や工業地域の分布」、「工業生産に従事している人々の工夫や努力、工業生産を支え る貿易や運輸などの働き」について調べることを通して、我が国の工業生産が国民 生活を支える重要な役割を果たしていることについて考えることをねらいとしてい る。そのために児童が「社会的な見方・考え方」を働かせて、我が国の工業生産が 国民生活に果たす役割を考察し、我が国の工業が抱える課題に対して、1人の消費 者・主権者として何ができるかを具体的に選択、判断できるよう単元を展開し、付 けるべき力をつける授業を目指したい。  小・中学校の教科書等の分析から我が国の工業の特色は、①繊維工業などの軽工 業からはじまり、外国との競争の中で重化学工業、先端技術産業へと次第に発展し てきたこと、②第二次世界大戦後、高度経済成長を経て四大工業地帯をはじめとす る臨海型の工業地域が発展し、太平洋ベルト地帯が形成されたこと、③高度経済成 長期には各地で深刻な公害が発生し、工場設置の際の環境基準が設定されたこと、 ④輸送機械工業や電気機械工業など組み立て型の工業の発展にともない内陸型の工 業地域が形成されたこと、⑤鉱産資源が乏しい日本では原料や燃料を輸入して製品 を輸出する加工貿易が発展したこと、⑥ 1980 年代にはアメリカ合衆国やヨーロッ パ諸国との間の貿易摩擦が起き、工場の海外移転が始まったこと、⑦価格が安い海 外の工業製品の輸入によって産業の空洞化などの課題を抱えていること、等ととら えることができる。  日本の地域的特色は「グローバル化」の進展とともに変容を続けてきており、我 が国の工業にも大きな影響を与えている。とりわけ 1973 年の第 1 次石油危機は我 が国に大きな影響を与え、重化学工業に打撃を与えた一方で燃費のよい自動車や消

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費電力の少ない家電製品の開発など省エネルギーの技術を使った製品の開発や、部 品の再利用等による原料確保など、結果的に我が国が「持続可能な開発」の先駆的 な取り組みを推進するきっかけとなった。1997 年には環境省と経済産業省による 「エコタウン事業」がスタートし、ゼロ・エミッション構想(廃棄物の再利用により、 産業廃棄物をゼロにする構想)と地域振興の融和を図りながら循環型社会の構築を 目指す取り組みが全国各地に広がっている。さらに電力、ガスの小売全面自由化や 電力事業者の送配電分離などエネルギーをめぐる状況が大きく変化する中、より低 コストで環境負荷の少ないエネルギーを確保することも工業に関わる企業にとって の経営課題である。エネルギー自給率が6%である我が国の工業生産の未来を考え る上では、資源・エネルギーや環境といった視点は欠かすことのできないものであ り、「持続可能な社会」の構築へ向けても工業生産に関わる企業が果たす役割は大 きいと言えよう。  前単元「食料生産を支える人々」において、単元「わたしたちのくらしと国土」 での学習を活かし、地形や気候などの地理的条件と、食料生産に従事する人々の工 夫や努力とを結び付けて学習をすすめてきた。「米づくりの盛んな地域」について 学習した際には、新潟県南魚沼市の米作りの様子を事例として取り上げ、耕地整理 や作業の機械化、品種改良等により米の生産量が向上した一方で、グローバル化に よる食生活の変化等にともなって米の消費量が低下していること等を課題として捉 えた。「水産業の盛んな地域」について学習した際は、静岡県焼津市のカツオ漁を 事例として取り上げ、立地条件や周辺施設・設備の状況等により焼津漁港が日本一 の水揚げ金額(2016 年)を誇っている一方で、水産資源の減少や排他的経済水域 の設定等、国際的な動向や環境変化の影響で遠洋漁業、沖合漁業の漁獲量が低下し ていること等を課題として捉えた。食料生産の盛んな2つの地域の学習を踏まえて 行った「これからの食料生産」の学習では、我が国の食料の輸入量が増加してきて いることを出発点として、我が国のフード・マイレージに関する資料等を読み取り ながら、輸入量の増加とエネルギー環境問題とを結び付けて考えた。単元の最後に は、我が国の食料生産が抱える課題を解決するために自分たちにできることとして、 多くの子どもが、国内の食料生産の保護と CO2削減のため、国内産の食料を購入・ 消費する地産地消に取り組むことが必要であるとの考えを表現できた。  また本校の5年生は、総合的な学習の時間を通じてエネルギーと環境をテーマと した学習に取り組んでいる。国内で消費されるエネルギー資源の 94%を海外から の輸入に頼っている現状を知った子どもたちは、各々の興味・関心に基づいて身近 な地域のエネルギーと環境をとりまく状況について調べ、テーマ別のグループで調 べたことを壁新聞にまとめる活動に取り組んできた。多くのグループが太陽光、風 力等の再生可能エネルギーに着目し、中部電力や静岡ガス、鈴与など地域のエネル ギー関連企業や、日本平動物園など静岡市次世代エネルギーパークの構成施設へ見 学や調査に出かけた。どのグループも海外からの輸入に頼らない国内産エネルギー の確保、エネルギーの地産地消を視点とした新聞をつくることができた。国語科の

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単元「明日をつくるわたしたち」の学習においても、未来のエネルギーをテーマと した提案書をまとめており、地域のエネルギーと環境、産業との関わりについての 子どもたちの関心は高いと言える。  そこで本単元では、工業の盛んな地域の具体的事例として、あえて東海工業地域 に位置する静岡のプラモデル産業を取り上げ、身近な地域の工業生産とエネルギー 環境問題との関わりを捉えさせたいと考えた。静岡県に位置する東海工業地域は、 大都市圏に挟まれ交通の便が良いことや、水資源が豊富であること、複数の発電所 が立地していること等を背景として、第二次世界大戦後に発展してきた工業地域で ある。紙・パルプは富士・富士宮、缶詰は清水、楽器や輸送機械は浜松といったよ うに、工業製品ごと生産している場所が住み分けられていることも一つの特徴であ り、プラモデルの生産工場についても静岡市内に集中している。静岡県のプラモデ ル出荷額は 171 億 4 千万円と日本一であり、全国シェアは 94%(平成 26 年)を占 めている。その他のプラスチック製がん具の出荷についても、出荷額 28 億9千8 百万円、全国シェア 26%と日本一を誇っている。静岡市内には、タミヤ、バンダイ、 アオシマ、ハセガワといったプラモデルメーカーの本社や工場が集まっており、本 校の位置する東中学校区内にもバンダイの静岡工場が存在するほか、プラモデルを 扱う商店も存在している。  静岡でプラモデル生産が盛んになった背景は、①徳川家が静岡浅間神社造営のた めに全国から集められた職人が留まり、家具や仏壇、ひな人形などの木工産業を発 展させてきたため、高い木工技術をもつ職人が集まっていたこと、②戦時中、木製 の模型飛行機が学校教材に指定され、その原料に静岡の杉や桧が使われた(全国シェ ア 80%)こと、③豊富な森林資源があり、輸送ルートが確立され、原料の確保が 容易であったこと、④戦時中に学校教材としての模型製造を行っていたことから、 戦後もその販路を活用することができたこと、⑤スケールモデル商品(戦闘機や戦 車、自動車などの実物を一定のスケールで縮小した模型商品)の販売を主としてい たことから海外にもすぐに受け入れられ、早期に海外市場へ展開したこと、⑥全国 に先駆けて「静岡模型教材協同組合」を結成し、毎年5月に世界最大の模型展示会 である「静岡ホビーショー」が開催する等、地域をあげて静岡のプラモデルを PR してきたこと、⑦近年では、スケールモデル商品に加えて架空モデル商品(漫画や アニメ、映画などに登場する架空の兵器、人物などを題材とした模型商品)を生産 するようになったこと、等をあげることができる。静岡のプラモデル産業は、木製 模型の生産を出発点として発展してきた産業であり、その発展には静岡の地理的条 件や歴史的背景が影響を与えてきたと捉えることができる。また、プラモデルは石 油の精製過程で生ずるナフサを主な原料としている。そのため、原油価格の変動に 応じてプラモデルの販売価格も変動している。原料であるナフサを海外から輸入し、 プラモデルに加工して国内外で販売する現在の状況は、我が国の工業生産の特色を よく表しており、5年1組の児童が捉えた我が国のエネルギー自給率をめぐる課題 とも合致している。静岡のプラモデルメーカーが生産したプラモデルを実際に組み

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立てた経験のある児童も存在することから、静岡のプラモデル産業は児童にとって も親しみやすく、指導のねらいを達成するための事例として申し分ないと言えよう。 4.単元構想 次 時 学習活動 1 1 2 3 身の回りの工業製品にはどんな物があるだろうか  日本では工業製品をどこで作っているか調べよう  「はてな」と思ったことについて調べよう  2 4 5 6 7 8 9 10 11 12 静岡県だけで工業生産額6位になれる東海工業地域のヒミツを探ろう 「東海工業地域 工業製品マップ」を完成させよう  工業製品マップからどんなことが言えるかな なぜプラモデル生産が静岡市でさかんなのだろう  プラモデルはどのようにして作られているのだろう  静岡の企業ではプラモデルを生産するためにどのような工夫や努力を しているのだろう バンダイやタミヤの工場は世界のどこにあるのだろう  (なぜ東南アジアやヨーロッパ、アメリカに工場が必要なのだろう) 静岡市でプラモデル生産が盛んな理由をまとめよう  (静岡県だけで工業生産額6位になれる東海工業地域のヒミツをまと めよう) 3 13 14 15 16 17 18 プラモデル以外の日本の工業製品はどこへ輸出されているのか (日本の工業製品の材料はどこから運ばれてくるのか) (日本の工業製品の貿易についてどんなことが言えるだろう) 原料を輸入に頼ることで考えられる影響は何だろう 石油や天然ガスなどの資源は日本でとれないのだろうか  (必要な原料やエネルギー確保のための対策はないだろうか) 原料やエネルギーを確保するための対策について調べよう (3E+S、エネルギーミックス、エコタウン事業) 自分たちにもできる工業の原料やエネルギー確保のための対策は何だ ろう (Web ページやエネルギー壁新聞を活用して調べる) 4 19 20 「5年1組全員で取り組む工業原料、エネルギー確保のための3つの 対策」を考えよう 自分が実際にこれから行う工業の原料やエネルギー確保のための対策 を決めよう

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 ⑷ エネルギー環境教育に取り組む意義   「Society5.0」に向けて、これからの授業あるいは子供の学びの改革・改善は、「持 続可能な社会づくりの実現」という我が国や世界の各地域が直面する課題の解決や克 服ができるようにする資質・能力の育成にかかっている。すなわち子供たち一人ひと りが、地域の将来などを自らの課題として捉え、こうした課題の解決に向けて自分た ちができることを考え、多様な人々と協働し実践できるようにすることが求められて いるからである。そこで社会科において現代的な課題であるエネルギー環境教育に取 り組む意義を次のように整理した。  第一に、社会にはエネルギーを供給している様々な事業体があるが、そのエネルギー を供給する様々な事業によって、私たちの生活に豊かで快適な環境を提供してくれて いる。つまりエネルギーに関わる産業が社会の発展に大きく寄与・貢献しているので ある。そのため、学校では産業に関わる学習を通して、社会はどのような仕組みの中 に成り立っているのかということを、エネルギーをめぐる「対立と合意、効率と公正」 とうの視点から学ぶことによって、社会の見方や考え方の基礎が身に付く点において エネルギー環境教育に取り組む意義が見出せる。換言すれば、エネルギー環境教育は 社会を理解する教育であるといえる。  第二に、グローバル化が進展する国際社会において、これからわが国はどのように 存在すべきか、そして一人ひとりの国民はどのように生きたらよいのかという課題を 見つめ、考え、未来の社会の形成者として活躍できる人材の育成が期待されている。 特にエネルギー資源の大半を外国からの輸入に頼っているわが国にとって、これから 関係国とどのように関わり、どのように支援・援助をしたり、どのように友好関係を 維持したりできるのか、わが国の在り方や方向性が問われている。この課題に正面か ら向かう教育がまさにエネルギー環境教育である。  第三に、エネルギー資源は世界においても決して無限ではない。そのため「省エネ」 という言葉に代表されるように、エネルギーをどのように使っていくのか、どのよう に活用していくのか、ということを考えるようにすると、エネルギー環境教育が一人 ひとりの日常生活における電気やガスの使い方を問うとともに、生活や生き方を考え る教育となる。エネルギー環境教育には「生き方教育」という重要な意味が伏在して いるのである。  第四として、社会科では、農林水産業、工業、情報産業等、様々な産業に携わって いる人々を取り上げている。その中でエネルギー産業に携わっている人々が社会の中 でどういう役割を担っているのかという学習をすることによって、一人ひとりの子供 が社会の様々な職業を理解することに繋がる。そのことは結果的に子供たちの将来の 生き方や進路を考える教育、すなわちエネルギー環境教育はキャリア教育でもあると いえる。  ⑸ エネルギー環境教育とこれからの授業  これからの社会科においてエネルギー環境教育を推進するためには、エネルギーや

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環境を取り巻く様々な事情に関する理解の拡大と深化を図っていくことが重要とな る。授業や学校教育においてエネルギー・環境に関する基礎的な知識や概念を教育プ ログラムの一環として取り上げることは、持続可能な社会を実現するための資質・能 力の形成において大きな効果が得られると考えられるからである。  エネルギーはあらゆる国民生活、産業活動を支える基礎であり、子供の頃からその エネルギー源のほとんどを海外に依存する我が国の現状やそれに伴う環境問題を理解 することは、社会人へと成長し、エネルギー政策に国民として関与していく主体となっ た際に、適切な判断を行っていく上で大いに役立ち、必要となる。そのために、エネ ルギーや環境の専門家や事業者、行政官のみならず、エネルギー環境問題に関係する 様々な人が積極的に教育に参加していくことも一層必要となろう。  社会科教育では社会の「事実を知る」・「事実がわかる」という社会認識形成をいか に図るかが極めて重要であり、子供の頃からのエネルギー環境教育を通じて、社会の 事実(現状や課題)を知り、社会における様々な人々の働きやその取り組みがわかり、 自分がこれからの社会の形成者としていかにあるべきという自覚や意識を高めたり、 さらには社会への関心を拡げたり深めたりすることができるようにしなければならな い。さらに「持続する社会づくりの実現」に向けてエネルギー環境の問題が社会の課 題を解決する上でのコアとなっているのかということへも関心を向けることができる ようになれば、未来に生きる子供たちが自分自身のキャリア形成を図っていく上で、 有用かつ確かなキャリアパスとして確立されることも期待できる。  これからの授業では、社会事象に関する知識について(about)教えるのではなく 社会に存在している事実(状況や問題等)に対して、体験(in)したり参加(through) したりして、子供一人ひとりが世界の人々や将来世代、また環境(生活)との関係性 の中で生きていることを明確に認識し、環境・社会(生活)のために(for)という 視点から、社会事象を「人間の生き方」に関わる自分自身の問題としてとらえ、その 解決に向けて適切に判断し行動できる人間の育成が目指されなければならない19)  ⑹ 「持続可能な社会の実現」に向けての社会科改善の要諦  「Society5.0」、「エネルギー基本計画」、「科学技術基本計画」そして次期学習指導 要領のいずれも、持続可能な社会の実現を目指すための資質・能力の育成という重要 な課題を提示している。そもそも持続可能な社会の実現は、人類が常に豊かで便利な 生活を追い求めてきた課題であり、社会科教育が国家・社会の形成者としてその発展 に尽くそうとする能力や態度を育てることを目指してきたことと相応する。つまり、 社会科教育が将来の主権者に求められる「公民としての資質・能力の基礎」を育成す ることを究極的なねらいとしているからである。次期学習指導要領ではこの究極的な ねらいをより一層重視することが強調され、まさに「society 5.0」に向けて、よりよ い社会の形成に参画するための資質や能力を培うことを重視した改善を求めているの である。  ここでいう社会の形成に参画する資質・能力とは抽象的な目標ではなく、「生きる」

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ための方法を身に付けることである。そのために授業においては、「子供が自己の意 思決定を絶対化するのではなく、自分の考えの正当化を図りながら、他者との合意形 成を構築していく授業過程を教師は企図する必要がある。そして子供一人一人が自分 の経験と知性をフルに発揮する中で意思決定を図り、他者(対象)と「対立・分化」 する状態から「共感・統一」が豊かに実現できるような合意形成を図っていく」20) ロセスを重視した知性的な問題解決活動を授業に位置付けていかなければならないと 考える。  そこで授業では「『社会にそれがどのように存在しているのか』、『なぜそれが社会 にそのように存在しているのか』、『それはどのように存在するのがよいのか』という 現実の社会における『存在』(事実)そのものに目を向けさせる」21)。つまり「事実」 から問題的状況を把握させ、その問題の解決のために仮説を立て、見方や考え方を働 かせながら「改善と正当性」の探究を行い、子供一人一人の意思決定を促すと共に、「国 家・社会の形成者」としての視点から他者との合意形成を図ることができるような授 業を構想できることが教師に求められる22)  その際、子供の知的好奇心を刺激し、未来志向をもたらすように授業が構成される とき、子供は初めて社会への扉を開けることができるようになるのである。  ⑺ 意思決定場面の設定  事例1では、意思決定力の育成を目指した単元構成を軸に実践が行われている。「単 元について」では、エネルギーが自分たちの生活と密接に結びついたものであるため、 その活用について調べたり、多くの意見を交流し、合意形成を図る中で考えさせたり して、意思決定ができるようにするために必要なプロセスとして単元を構成すると説 明している。意思決定を最終目標とし、子供が 2030 年という近未来のくらし方を考 えることは、子供たちの身に迫る意味ある課題を、これまで学んだ知識や技能を総合 するだけでなく自分ごととして、その学習の意味や意義を感じ取らせることができる と想定している点に大きな特徴がある。  一方、事例2では、一人の消費者・主権者として何ができるかを具体的に選択・判 断できるようにするための単元構成を行っている。そのために単元の終わりでは、「自 分たちにできる工業の原料やエネルギー確保の対策はなんだろう?」と課題を設定し、 続いて「5年1組全員で取り組む工業原料、エネルギーを確保するための対策を決め る」→「5年1組全員で取り組む工業原料、エネルギー確保のための3つの対策を考 えよう」→「自分が実際にこれから行う工業の原料やエネルギー確保のための対策を 決めよう」という手順で課題が深化・発展するように工夫されている。学習を通して 子供が課題を意識できるようにして、「決める」あるいは「決めよう」という指導言 が意図的におかれることによって、子供が日常生活で行っている場面と結び付けて課 題を設定し、3 つの課題それぞれに意思決定場面を設定した構成となっている。  また、いずれの課題も意思決定を重視した課題として設定されており、単元の終わ りの段階に位置づけられているのである。

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 ⑻ 未来志向の学力を育成する授業構成の視点とエネルギー環境教育  変化の激しい社会の中で持続可能な社会を実現するために、これからの学校教育に 求められている学習とは、身に付けた知識や概念、技能を総動員して他者と協働して 課題解決を遂行する学習である。これは、単に生活に直結する学習というのではない。 科学的な法則を発見したり歴史上の真理を探究したりする「知的な発見」や「創造の おもしろさ」に触れる学習である。  そこでこうした学習を創り出すためには、何といっても子供にとってリアリティさ があり、自分との関連性が感じられる課題の設定が極めて重要となる。単に教科内容 が現実世界と一致する場面を取り出して課題とするのではなく、子供が自分にとって 意味ある課題として設定し、これまで身に付けてきた知識や技能を総動員させて考え、 解決せざるを得ないという目的的な活動を教師はどのように授業に位置付け、どのよ うに「使える」レベルの学力を育成する授業とすることができるかが重要なのである。 「できる」「わかる」からといって、実生活・実社会に存在する課題(複線かつ困難な 正解のない問題)が解けるわけではない。  事例1では、「〇〇家の 2030 計画」を考えるという課題が設定されており、事例2 では「5年1組全員で取り組む工業原料、エネルギー確保のための3つの対策を考え よう」と「自分が実際にこれから行う工業の原料やエネルギー確保のための対策を決 めよう」の2つの課題が単元末に設定されている。これらは、単元の内容に即して、 これからの社会に関心を向け、態度を形成しようとする未来に向かっての「行動」を 促す課題として設定されている。  こうした課題は次期学習指導要領で示された「見方・考え方」を働かせながら、こ れまで身に付けた知識・技能を使って、「永続的な理解」へ導こうとする課題として 設定されることが重要であり、「使える」レベルの学習として相応しい課題であった かどうかという点から、課題設定について常に吟味する必要がある。  さらに身につけた知識や技能を総動員させて取り組む課題となっているか、という 視点から、まず何よりも「社会にそれがどのように存在しているのか」、「なぜそれが 社会にそのように存在しているのか」という知識や概念等を身につけることができる ように、単元構成において段階的な指導が十分に図られているかどうかを吟味する必 要がある。またとりあげる事例が「それはどのように存在するのがよいのか」という 視点から現実の社会における「存在」(事実)そのものに目を向けさせ、考えさせる ことが十分にできるのか、という点も重要である。すなわち、これからの授業では、 知識・技能をフル稼働させて取り組む課題設定の在り方を十分に検討しなければなら ない。 5.エネルギー環境教育とこれからの社会科授業  これからの社会科授業は、社会事象や問題を単に知っている、わかっているだけで はなく、状況や文脈に応じてもてる知識や技能を総動員しながら、その背景を熟考し、 それに対する自分なりの意見や考えを創り上げ、さらに友達等と交流したり、検証し

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たりしながら、より高次で確かな考えや意見、行動等へと高め、社会に参画する資質・ 能力の形成が必要となる。  そのために、授業では単元レベルでの授業構成を行うこと、そして子供が確かな知 識や技能を身につけるだけでなく、自分は将来、地域とどのように関わるのか、といっ た問いに向き合い、自分の提示したアイディアに、リアリティや説得力があるのかを 吟味する等、具体的な生活世界と科学的な学問世界との往還運動を授業に取り入れる という、身に付けた知識や技能をフル稼働させて「使える」ことを実感できる学習を 構成し、導入することによって、真の学習が確立できると考える。  そこで表1のとおり、授業を「4ステージ6段階」のひとまとまりの探究として構 成することによって、子供たちは自ら主体的に社会に参画することが出来るようにな ると考える。本授業モデルは、小原友行が提示したモデルを筆者が 2010 年に援用し て構成し直したモデルを、さらに「使える」レベル(使う活動―「自分の考えを表明 する」)の学習を充実させることを強調したモデルとして修正した。つまり、このステー ジでは、身に付けた知識や技能をフル稼働させないと解決できないような課題を設定 して取り組ませるのである。これにより学習は高次と深さを統一する学習となり、子 供の生活や未来の社会生活の質を豊かにするものになると考える。  したがってこれからの社会科授業では、まず「社会にそれがどのように存在してい るか」という事実 ( 状況や問題等 ) から「問題的状況 ( 問い ) の自覚と意識化」(第1 段階=「知る」活動A)を図り、予想をもとにその事実 ( 存在 ) に対する理由を「資 料から必要な情報を集めて読み取る」( 第2段階=『知る』活動B ) という「情報の 取り出し」( 受信 ) を行わせる23)。この際、子供の「関心」が大きな原動力であるこ とはいうまでもない。そして子供は、「なぜそれが社会にそのように存在しているか」 という事実 ( 存在 ) に対する理由の正当性を自分の予想や仮説からつくり、「社会的 事象の意味・意義を解釈」(第3段階=「わかる」活動A)させて、考えさせる24) さらに「事象の特色や事象間の関連を説明」( 第4段階=「わかる」活動B ) を明確 にすることによって確かな知識・理解とともに概念化を図るようにするのである。「わ かる活動」は子供の「関心」から喚起された必要感のある「意欲」によって知的に処 理されていくプロセスであり、子供は常に観察と推理を繰り返しながら試行錯誤する 重要な段階である。 <「知る」ステージ> □第1段階=「知る」活動A・・・・「問題的状況 ( 問い)の自覚と意識化」 :資料や教材を通して問題的場面と出会い、問題的状況を明確にして「何を知 りたいか、何を明らかにしたいのか、何を解決したいのか」、自分の思いを 十分に表出させ、問いを自覚・意識する活動 □第2段階=「知る」活動B・・・・「資料から必要な情報を集めて読み取る」 :問題的状況を解決するため必要な資料や情報を抽出したり、集めたり、まと めたり、表現したりする活動

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<「わかる」ステージ> □第 3 段階=「わかる」活動 A・・・「社会的事象の意味・意義を解釈する」 :教材の背後にある問題場面での人間(個人・集団・組織体)が行った(行っ ている)問題解決的行為の過程とその結果を「体験・追体験」させることを 通して、行為の目的とその意味・意義を目的・手段・結果の関係を軸にして 解釈する活動 □第 4 段階=「わかる」活動 B・・・「事象の特色や事象間の関連を説明する」 :社会的事象や問題の背後にある関係性をみつけ、それによって科学的に説明 する活動 <「使う」ステージ> □第 5 段階「使う」活動・・・・「自分の考えを表明する」 :問題や課題に対して、根拠を明らかにしながら自分なりの意見や考えを表現 する活動 <「生きる」ステージ> □第 6 段階「生きる」活動・・・・「振り返りによる新たな論理の構築と発信」 :自分の考えと友だちの考えの共通点・相違点を明確に理解し、問題や課題に 対して自分の考えを振り返り、評価し、再構成する活動を通して、論理的に 表現する活動 表1 4ステージ6段階による社会科の授業構成  こうした探究過程において、問題的状況の「改善と正当性」に対する個々の意思決 定、すなわち「それはどのように存在するのがよいか」という、これまでの学びの中 で身に付けた知識や技能を総動員させて「使える」レベルの課題、すなわち根拠を明 らかにしながら「自分の考えを表明する」( 第 5 段階=「使う」活動 ) という、いわ ゆる「パフォーマンス課題」を設定して取り組ませる。尚、パフォーマンス課題とは、 現実的で真実味のある場面を設定して、そこで生み出される学習者のパフォーマンス ( 振る舞い、作品等 ) である。一人ひとりの子供が世界の人々や将来世代、または環 境(生活)との関係性の中で生きていることを明確に認識し、国家・社会の形成者と しての視点から、自分なりの意見や考えを表明させることが重要となる。さらに他者 との合意形成 ( 共感・統一 ) を図り、他者との共通点・相違点を明らかにし、「振り 返りによる新たな論理の構築と発信」( 第6段階=「生きる活動」) により社会に参 画していく基礎的な方法 ( 態度 ) を身に付けていくことができるのである。   おわりに  江戸中期の蘭学者で発明家の平賀源内は、エレキテルと呼ばれる静電気を起こす装 置を使い、電気の不思議さを日本に伝えたことで知られる。さらにこのエレキテルを 医療等に実用できるように源内は研究していた。しかし実際のところ、源内の先見性 に富んだ取り組みは江戸の人々に解されることなく、単に見世物としてしか見ていな

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