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実験的に誘発したマウスのコレステリン肉芽腫における細胞分化に関する病理学的検討

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Academic year: 2021

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〔学位論文要旨〕

松本歯学 42:13₇~138,2016

Pathological analysis of cell differentiation in cholesterin

granulomas experimentally induced in mice

(実験的に誘発したマウスのコレステリン肉芽腫における

細胞分化に関する病理学的検討)

坂井 謙三

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 硬組織疾患制御再建学講座 (主指導教員: 川上 敏行 教授) 松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文

Pathological analysis of cell differentiation in cholesterin granulomas experimentally induced in mice

K

ENZO

SAKAI

Department of Hard Tissue Research, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Professor Toshiyuki Kawakami)

The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph. D. (in Dentistry) 【諸言】  コレステリン肉芽腫には多数のマクロファージ と多核巨細胞が出現する.しかし,その細胞性格 について,さらに,線維芽細胞や毛細血管内皮細 胞がどこから供給されるのかなどの知見は乏し い.そこで,実験的にコレステリン肉芽腫を惹起 させ,増殖する細胞種とその動態を明らかにすべ く病理学的に検討した. 【材料・方法】  ddY マウス( ₇ 週齢)と GFP 骨髄移植マウス を用い皮下にコレステリン10mg を埋入し,埋入 2 週間から最長 6 か月まで病理組織学的,免疫組 織化学的,ならびに免疫蛍光二重染色により比較 検討した. 【結果】  病理組織学的には ddY マウスと GFP 骨髄移植 マウスを用いたがその病理組織像について相違は なかった.埋入 2 週例では,肉芽組織がコレステ リン結晶の塊の周囲から一部を置換していた.そ の中心部は大きな不規則な形状の空隙として観察 された.これらの細胞は主に,マクロファージや 多核巨細胞であった.大きな空隙に接する内部に 毛細血管はほとんどなかった.大きな空隙に接す る部分ではマクロファージや多核巨細胞の核の染 色性は極めて悪かった. 3 週例では,さらに中心 部に行くに従いマクロファージや異物巨細胞の増 殖があったが細胞核の消失により細胞形態を有せ ず,ただコレステリン結晶を分割するような構造

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松本歯学 42⑵ 2016 138 とし観察された. 3 か月例では,器質化してい た.これらの部には,線維芽細胞と膠原線維と毛 細血管の増生があり,コレステリンの分割化が進 んでいた.最外層には線維芽細胞が膠原線維の走 向に増殖しており,毛細血管もみられた. 6 か月 例では,中心にあった大きな不規則な形状のコレ ステリン結晶はほぼ線維芽細胞や膠原線維に置き 換わっていた.最表層の被膜には,線維芽細胞と 膠原線維と毛細血管が存在していた.免疫組織化 学的検討では,CD68について,コレステリン空 隙の周囲に増殖した円形の核を持つ細胞や多核の 巨細胞は明確に CD68陽性を示した.埋入 2 週の 増殖した肉芽組織の細胞はほぼすべて GFP 陽性 であった.肉芽組織内には,極めて少量の線維芽 細胞と膠原線維が介在しており,その線維芽細胞 は GFP 陰性だった.しかし,6 か月経過すると, マクロファージと多核巨細胞の間には,多量の線 維性組織が入り込み,これらを分割していた.そ の膠原線維と線維芽細胞間と毛細血管が介在して いた.この大部分は GFP 陰性を示した.しかし, 一部の紡錘形の核を持つ線維芽細胞は GFP 陽性 を示した.次に,CD31陽性細胞はほぼ肉芽組織 の周辺部に限局していた.最外層の線維性組織内 には内層と比べ多くの CD31陽性が認められた. 免疫蛍光二重染色による検討では,GFP–CD68 の 組 み 合 わせについて,CD68 陽 性 のマクロ ファージと異物巨細胞は GFP 陽性を明確に示し た.紡錘形細胞の一部には GFP のみ陽性の細胞 も存在していた.GFP–CD31の組み合わせでは, 一部の血管内皮細胞は GFP と CD31の二重陽性 を示した. 【考察】  病理組織学的に埋入 2 週間例では,コレステリ ンの塊の残存による大きな空隙に接する部分では マクロファージや多核巨細胞の核の染色性は極め て悪かった.これは,毛細血管がほとんど進入し ていないため細胞が壊死しているものと考えられ た. 3 か月例では肉芽組織に置換していた.コレ ステリン空隙の周囲に増殖した円形の核を持つ細 胞や多核の巨細胞は明確に CD68陽性を示した. 興味深いのは,CD31陽性の血管内皮細胞の GFP 陽性を呈するものが確認されたことである.今ま で,血管内皮細胞が傷害刺激等により骨髄から移 動してきた細胞から分化することに関して,若干 の報告はあるが,これを明確に示したものはない. GFP–CD31の蛍光二重染色による検討では,形 態学的に明瞭な血管において,両陽性の血管内皮 細胞が認められ,移植骨髄細胞由来である事が 判った.以上の結果,毛細血管内皮細胞も骨髄間 葉細胞由来であることが明らかになった.今回の 実験系では 6 か月という長期にわたって肉芽組織 形成が継続的になされていたためであろう.

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