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限界点の有無からみる動作文と状態文-程度修飾の副調との共起を通して-

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限界点の有無からみる動作文と状態文-程度修飾の

副調との共起を通して-著者

蔡 薫?

雑誌名

言語科学論集

19

ページ

19-30

発行年

2015-12-01

URL

http://hdl.handle.net/10097/62687

(2)

言語科学論集第 19 号 2015 年

限界点の有無からみる動作文と状態文

一程度修飾の副調との共起を通してー

19

薫捷

キーワード:程度、有界性、有界性、動作、状態 要旨 この論文は動作文と状態文の違いが限界点の有無に帰結できることを主張し、 この主張を程度修飾の副詞との共起から説明するものである。程度修飾の副詞は 状態文にしか見られず、数量修飾の副詞は動作文にしか見られない。動作と状態を 対極的に位置づけるとしたら、その位置づけに平行して数量修飾と程度修飾が位 置づけられる。状態は時間に束縛きれないものであれば、時間軸上にある開始や終 了を示す限界点は状態文に存在し得ない。そう考えるときに、動作・状態の両極を 分別する要素は限界点の有無にあると結論付けられる。 1. はじめに この論文は動作文と状態文の違いが限界点の有無に帰結できることを主張し、こ の主張を程度修飾の副詞との共起から説明するものである。日本語では次の現象が 観察される。 (1)太郎がたくさん歩いた。

(

2

)

*太部が豊重巨歩いた。 (3)*ここのコーヒーが主i主主美味しい。 (4)ここのコーヒーが豊重巨美味しい。 「たくさんJ は数量修飾の副詞で、「非常に」は程度修飾の副詞であるが、それぞれ動 作文か形容詞文にしか見られない。表にまとめると次になる。表1 の rOJ は共起する との意味である。 rO lJから見れば、動作文は数量修飾と親和性が高く、程度修飾と親和性が低い。一 方、 r02J から見れば、状態文は数量修飾と親和性が低く、程度修飾と親和性が高い。 ここでは、この現象が現れる仕組みを次のように考える。

(3)

20 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通してー 表 1 動作文

状態文 程度修飾の副詞

x

02

数量修飾の副詞

01

x

ある意味を表す言語表現lが文法的に生成されるのには何かしらの要件を満足し なければならない。例えば、動作を表すには動作主が必要でらあるし、動作は時間軸に そって展開していくという条件も想定される。言語表現が成立要件を満足して初め て成り立つことは、状態、数量修飾・程度修飾についても同様である。いうまでもな く、個々の言語表現は異なる成立要件を要する。 このように考えれば、程度修飾が動作文に現れないという現象は、動作文の成立要 件と程度修飾の成立要件が盟齢することが予想される。もちろん、数量修飾が状態文 に現れないのも同じく成立要件が組離することに起因するのであろう。 要するに、動作文と数量修飾は同じ成立要件を要求するために、共起できるのであ るが、いくつかある成立要件のうち、程度修飾と相容れないものが存在するがため に、程度修飾が動作文に現れないという仮説をたてることができる。 結論をあらかじめ言っておけば、動作文と数量修飾はともに限界点を必要とする のに対して、状態丈と程度修飾はともに限界点を有しないことを要求する。以下は 2 で各言語表現が要求する成立要件を分析し、前述した仮説の合理性を説明する。次 に、 3 でその指摘を支持する調査データを示すことによって仮説を検証する。最後に 結論とともに、この研究の意味及び展望を述べる。 2. 成立要件としての限界点 この節では言語表現の成立要件を分析していくが、各言語表現の成立要件を分析 する方法論として、スケール構造をスキーマとして使う。スケール構造では、限界点 を有しないものを「開放スケール J といい、開始限界点か終了限界点のどちらか一つ でも有していれば「閉鎖スケール」という。要するに、開放スケールはスケールそのも ののみで構成されるが、閉鎖スケールは限界点およびスケールそのものによって構 成されるのである。詳しくは小野 (2007ab) 、北原 (2013) 、鈴木 (2007) など参照された し冶。 2-1. 動作の成立要件 「食べる Ji 歩く」などの動作を表す丈はいわば事象叙述文であるが、事象叙述文は

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言語科学論集第 19 号 2015 年 21 影山 (2012)にあるように「時間の推移によって展開(発生・継続・終了)する出来事や 状態を表す文 (p.

i

v

)

J である。したがって、動作を表すのに、時間の要素が不可欠で、 それを細かく分析すれば、動作開始の時点と動作が実行される時間の幅、そして動作 終了の時点が存在すると思われるが、この 3つの要素が全て動作動詞の語意に包含 されているとは限らない。原則的に動作の開始と動作の進行が語意的に包含されて いると思われる。いわゆる瞬間動詞というものも、物理的に時間に依存して行われる ため、動作の進行が短くても必ず時間を要するがために、時間の幅があると想定され る。動作の進行と時間の進行を表現すれば図1になろう。 時間の遂行 一J~,.t.ゑ史民一一一一・…………一一一.JÞ!.I之主主主与 動作の進行

{動作進行中}

[動作の開始限界点] [動作の終了限界点} 図 1 図lは終了限界点を持つ動作を描いているが、事象叙述においては、動作の進行は 時間に束縛されるために、「動作の開始限界点」は「開始する時点」と同定し、「動作の 終了限界点」は「終了する時点」と同定する。また、「動作進行中」の幅は開始から終了 までの時間の幅と同定する。動詞によっては終了限界点を有しない場合もあるが、 「開始限界点 J を有する「閉鎖スケール」である必要があると言える。また、目的語を取 るか否かは動詞によって異なるが、動作を行う動作主あるいは経験者(いわゆる外 項)は動作を成立させる上で必要な要素といえる。 したがって、動作の成立要件は、 「開始限界点」、「スケールそのもの」、「外項」の3つがあるといえる。 2-2. 状態の成立要件 本稿では主に静的状態を話題にして検討するが、以下は「状態」という2

0

1

寒い JI穏 やか」などの状態を表す文はいわゆる属性叙述文であるが、属性叙述文とは「時聞が 経過しても展開することなく、恒常的に持続する性質(属性)を述べる文(影山 2012

i

v

)

J である。前掲の動作と違い、状態は時間に束縛されず存在するものである。した がって、動作には必要とされる「開始限界点」が不要である。もちろん、動作主などの 外項も必要ではない。それに対して、状態の対象(内項)となるものが必要である。例 えば、単に「寒い」だけでは文が成立せず、音声にしているか否かにせよ、 100が寒

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22 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通して一 ぃ」の 100J に当てはまるものが必要である。 状態は主に形容詞によって表現されるが、この論文では属性形容詞を対象にする。 ここでは「寒い J を例に考えてみよ う。形容詞の特殊性でもあるが、話し手が100 は 寒い」と発話する際に、それは 100J の属性を規定するとともに、話し手の評価をも 表している。こういった属性と評価が同時に存在する状態では度合の差とも言うべ きものが存在する。「札幌は寒い」という発話の裏に、「沖縄は寒くない」という ような 対比の存在が想定される。話し手は比べる意識がなく「札幌は寒い」と発話すること が多いだろうが、比較の意識があろうがなかろうが、人間は「寒い一寒くない」という 相補対立によって世界を把握しているところがある。「札幌は寒い」という発話で話 し手が札幌に対して寒いと評価することは、「札幌と違って寒くない都市がある」と いう情報が話し手の認知のうちに存在するとのことである。 こういった「寒いー寒くない」の相補対立は非離散的スケールを形成するが、図2の ように図示できる。 2集〈ない 濃い ノ ~ 図 2 理論的に、こういったスケールは上限もなければ下限もない。これは、限界点が存 在しないとのことである。また、「寒いー寒くない」と設定した以上、スケールそのも のが必ず存在するが、限界点がないために開放スケールになる。状態におけるスケー ルの幅は程度修飾と深く関わっており、 2.4で改めて取り上げる。以上述べたことを ふまえて、状態の成立要件として「内項」と「スケールそのもの」があるとまとめられ る。 2-3. 数量修飾の成立要件 さて、この節では動作文にしか見られない数量修飾について検討するが、数量とい うのは数えられるものにかぎる。よって、可算的である。量と数の区別は、量は数値を 明示しないのに対して、数は数値を明示にする。例えば、ミカン 100個があるとする。 100個というのは数の表現で、「ミカンがたくさんある」の「たくさん」は量の表現とな

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言語科学論集第 19 号 2015 年 23 る。本稿では「たくさん Ji いっぱい Ji たっぷり」などの「量の副詞(仁田 2002)J を扱い、 量の表現を中心に論じることになるが、数と量は可算的なものに対して計量すると ころが本質的に同様であることから、数量修飾と一括して呼び、仁田(2002) の「量の 副詞」を、「数量修飾の副詞」とする。 また、量については鶴田(1953)や北原(1998)などに指摘されるように二通りがあ る。ここでは鶴田氏に習い「分離量」と「連続量」と呼ぶことにする。両者に関して鶴田

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1

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5

3

:

10-25)の記述を次のようにまとめておく。 (5) 分離量 ・例えば:梨一個 -物自体は本来ひとまとまりとして存在している0 .どんな社会でも共通する (6)連続量 ・例えば:酒ー升 -そのものの形状と無関係にただその物の分量測定の便宜のため、人為的に設定 した ・社会によって約束が異なる 分離量か連続量によって計量方法や単位の設け方が異なるが、いずれにせよ、(数) 量は「単位」を用いて梨や酒という対象(いわゆる内項)を計量するのである。それを スケールに書くと図 3 になる。 ミカンがア舗ある 。 2 3 4 5 6 7 少し たくさん ミカンカfたくさんある 図 3 計量するのには単位が必要であるが、量を表すには実際に数えなくてもよい。何単 位があれば「たくさん」とするのは、話し手の主観的判断に委ねられるところである。 ただし、「たくさん」はゼロから一定数の単位を離れること、それだけ意味的に決めら れている。結局のところ、量や数を指定する語葉はゼロから何単位離れているか、そ のゼロまでの距離を指定するのである。こう考えれば、量を表現するためにはスケー

(7)

24 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通してー ルそのものが必要であることが言える。また、単位はゼロから始まることを考えれ ば、ゼロはスケール構造にある開始限界点に相当するが、数量修飾の表現が成立する には必須である。つまり、数量修飾のスケールは動作と同じく閉鎖スケールである。 まとめれば、数量の成立要件は「可算的な内項Jr単位Jr 開始限界点Jr スケールそのも の」となる。 2-4. 程度修飾の成立要件 程度修飾は修飾である以上、修飾される対象および修飾される属性が必要である。 例えば、「札幌は主主ι寒い j では、「札幌」は修飾される対象で、「寒い」は修飾される 属性である。数量修飾は修飾対象が加算的なものにかぎるが、程度修飾は特にそう いった制限がないようである。「ミカンが非常に美味しい J というように、修飾対象が あればよい。また、修飾される対象はいわゆる内項である。 2.2で言及したように、属性は「寒い一寒くない」というように相補対立の非離散的 スケールを形成するが、こういったスケールに限界点が存在しない。「非常に j などの 程度修飾の副詞は修飾対象がスケールにおける位置を指示する役割を果たすが、次 の図4 に基づいて説明する。 寒くない 寒い

E

~ 全く寒くない あまり寒くない まあまあ寒い 非常に寒い 図 4 図4 は「寒さ」のスケールであるが、個々の程度副調がスケール上のどの位置にある かは語意的に決められている。「非常に」なら右側の方に位置し、「全く」なら左側に位 置する、という具合である。どのくらいの寒さを「非常に寒い」と評価するのは話し手 の主観によるが、話し手が「札幌が非常に寒い j と発話したら、話し手の評価において は、札幌の寒さは右側に位置するということは程度修飾の「非常に」によって明確に 提示される。 程度修飾がスケール上の位置を明示する指標であることは、程度修飾はスケール に依存することを意味する。なお、程度修飾が依存する属性のスケールは限界点を有 しないものである。この点は開始限界点からの幅を示す数量修飾と大きく異なる。程

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言語科学論集第 19 号 2015 年 25 度修飾は位置さえ表されれば良いので、限界点を必要としない。少数の場合、属性ス ケールに限界点が存在するが、その場合においても程度修飾は限界点とつながりを 持たない。例えば、「黒い一黒くない」という属性スケールにおいては、「真っ黒」とい う限界点を設定することができる。この場合、「非常に真っ黒」が言えないことからも 分かるように、程度修飾は限界点と共存しない。したがって、程度修飾は開放スケー ルを有すると言えよう。本節で述べたことをまとめれば、程度修飾の成立要件は、「内 項」、「修飾される属性」、「スケールそのもの J の3つである。 2-5. 成立要件のまとめと仮説 動作、状態、数量修飾と程度修飾の成立要件を次にまとめる。表に íOJ は成立要件 として必要とのこと、 íxJ は必要ではない。「ム」はあってもなくても良い。 表 2 言語表現 外 開始限界点 スケール スケール スケールに関する そのもの の種類 必要の要素 動作 。 どL 。 。 開放 ラ 数量修飾 ラ 。 。 。 開放 単位 状態 ラ 。 ラ 。 閉鎖 ラ 程度修飾 ラ 。 閉鎖 修飾される属性 表2から開始限界点を要求するか否かによって言語表現が二大別されることが分 かる。動作と数量修飾は開始限界点を要求するのに対して、状態と程度修飾は開始限 界点を要求しない。前節の考察をふまえて言えば状態と程度修飾は限界点と相容れ ない。この考察結果は表1 で示した言語現象と合致する。 程度修飾が動作文と共起しないというのは、動作は開始限界点を要するが、程度修 飾は開始限界点を要しないと考えられ、同じように、数量修飾が状態丈に現れないの も成立要件が劃離するためである。以下は、 BCCW] を用いてこの仮説を検証する。 3. 開始限界点 r ",より J との共起調査 前節の仮説では、数量修飾は開始限界点を要求し、程度修飾は要求しない。この仮 説が正しいのであれば、数量修飾の副詞は「より j と共起し、程度修飾の副詞は共起し ないという結果が予想される。また、調査した程度修飾の副調は仁田 (2002) の「純粋 程度の副詞」に相当するもので、数量修飾の副調は仁田 (2002) の「量の副詞 J に相当す るものである。程度・数量修飾の副詞の分類に関しては工藤(1 983) 、渡辺(1 990) 、佐野

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26 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通して一 (1998)、仁田(2002)などを参照されたい。 「より」はいくつかの意味があるが、今回の調査では比較の基準を表す「より J を採 用する。比較の基準はスケール上では開始限界点に相当するからである。 (7)イマジネーションとは、人よりもたくさんの選択肢をもつこと (BCCWJI r戦地 へフィリップ・トルシエの 1353 日J) (7)は「他人が持っている選択肢」を基準点にして「自分の持つ選択肢の量」を示す 文であるが、これをスケール構造に分析すると分かるように、「たくさん」は「他人が 持っている選択肢」から「自分の持つ選択肢の量」までの幅を示すものであるoつま り、比較用法では基準点はゼロという開始限界点に相当するといえる。 人が持っている選民般の数 自分が待っている還訳肢の数

-ー

少レ たくさん 図 5 さて、調査は表3 に示す条件で I~ より (は)+副詞」のフレーズを抽出する。この抽 出の仕方では述語の品詞を限定しないため、形容詞文や動詞文、名詞文などさまざま な述語がヒ ッ トされる。調査対象は程度修飾の副詞 10語、数量修飾の副詞 8語で、調査 結果は表4 に示す。 検索対象 前方共起条件 l キー 検索方法 表 3 コア・非コアの全て キーから 2 語3、語葉素読み「ヨリ」 調査対象となる語葉素読み 短単位検索

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言語科学論集第 19 号 2015 年 27 表 4 . . 修飾の副鯛 券常に とても 大変 纏めて すこぶる ごく ヒット件数 。 10 13 3 2 比較用法の数 。 5 3 。 形容悶述語の比較用法 。 3 2 。 名飼述t置の比較用法 。 。 。 。 。 動飼述1置の比較用法 。 2 。 。 あまり 著し〈 なかなか はなはだ 合計 司隠含 ヒット件数 17 。 4 50 100 比較用法の数 2 。 。 15 30 形容籾述絡の比較用法 2 。 。 10 20% 名詞述語の比較用法 。 。 。 。 2 動問述1置の比鮫用法 。 。 。 。 4 8 敏量修.の削鯛 たくさん いっ 1まい たっぷり ふんだんに どっさり 大野 ヒット件数 30 4 。 。 6 比較用法の数 11 。 3 。 。 6 形容飼述1置の比較用法 。 。 。 。 。 。 名飼述語の比較用法 3 。 。 。 5 動飼述籍の比較用法 8 。 2 。 。 たんまり ごっそり 巴 合齢 '時台 ヒット件数 。 。 41 100 比較用 j去の数 。 。 20 49 形容飼述椅の比較用法 。 。 。 0 名飼述語の比較用法 。 。 9 22首 動飼述語の比較用法 。 。 11 27 ヒッ トされた例文のう ち、比較マーカーとして用いるもののほかに、そうでないも

のもあるが、次のよ

なものを比較表法

と判断する

(8)

「美

人」と

「可愛い感

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28 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通して じ」の二者のうち、後者を選ぶもので選択用法とし排除する。 (9) は文脈から昔の状況 と比較しているニュアンスがあるが、何を基準点にしてそれと比べるかははっきり しない。よって、「より OOJ の例も排除する。 (10) I何より」は最高級の表現で、似たよ うなものは「誰より」などがあるが、このような用例も排除する。 (8) 美人というよりはとても可愛い感じの女優である。 (Yahoo! ブログ) (9) 蚕をかけ合わせることで、より長くたくさんの糸をとろうとしてきた効率だけ の時代から、糸の性質を見極め、使い手の求める糸を作ろうとする動きが、生ま れているのです。 (BCCWJIW きものサロン(家庭画報特選)

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(10) シミが気になっているのなら、何よりもたっぷりと惜しみなく使うことが鉄則 です!

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以上のものを排除して、比較マーカーとして使われる用例を「比較用法」とするが、 「比較用法の数」には形容詞、動詞などさまざまな述語の例文が含まれている。程度修 飾の副詞と数量修飾の副詞は共に合計50例前後しかヒットしなかった。そのうち、比 較用法がヒット数に対して何パーセント占めるかを割合の欄で示している。また、そ れぞれの述語の比較用法のヒット数に対する割合も示している。 結果から言うと、数量修飾の副詞において、形容調述語の比較用法は一例もヒット しなかった。これは数量修飾が状態丈に現れないのと並行する現象である。また、語 によってばらつきがあるものの、全体的には数量修飾の副詞の比較用法は 49% もあ り、一般的な使い方といえよう。これに対して、程度修飾の副詞の比較用法は 30% に 止まり、程度修飾の副詞はあまり比較用法に現れないことが分かつたらこの結果は 数量修飾の副詞は「より」と共起し、程度修飾の副調は共起しないという予想と一致 する。これは、動作と数量修飾は成立要件として限界点を要求するのに対して、状態・ 程度修飾は成立するのに限界点と相容れないことを意味する 5。この結果から、この 論文の「動作文と状態丈の違いが限界点の有無に帰結できる」という主張が支持され ることになる。 4. 結論と展望一「変化」を介して見える連続性 この論文は「程度修飾の副詞は状態丈にしか見られず、数量修飾の副詞は動作文に しか見られない」という現象から出発して丈の類型、おおまかに言って叙述類型は限 界点の有無によって分けられることを論証するものである。 限界点の定義を精級化していくなどの課題も多くあるが、プロトタイプとして、動

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言語科学論集第 19 号 20日年 29 作文(事象叙述)と状態文(属性叙述)がある。それに対応して、数量修飾は動作文(事 象叙述)に現れ、動作文(事象叙述)と同じく限界点が必要であるが、程度修飾は状態 文(属性叙述)に現れ、状態文(属性叙述)と同じく限界点と相容れない。 しかし、事象叙述から属性叙述に移行する現象はすでに益岡 (2003) などに指摘さ れるとおりである。本稿では検討できなかったのであるが、動作と状態は変化を介し て連続性を見せることを指摘しておく。 (11)身長が非常に伸びた。 (12) 身長がたくさん伸ぴた。 以上はいずれも文法的な文である。これでもって表l にまとめられた共起現象を 表5のように修正できる。表5 に示す言語現象について、次のように考えることがで きる。動作は有限界で状態は無限界であれば、変化について少なくとも 2つの考え方 ができる。まず「変化は無限界のものが有限界に変わったり、有限界のものが無限界 に変わったりする中間領域とする J 考え方、そして、「変化は多国的に限界点設定でき る」という考え方ができる。変化の本質はどれなのかまだ定かではないが、いずれに せよ、このあたりの議論は今後に譲る 表 5 動作を表す 変化を表す 状態を表す 動詞 動調 形容調 程度修飾の副詞 ラ 。 。 (純粋程度の副詞:非常に)

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数量修飾の副詞 。 。 (量の副詞・たくさん)

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ラ 注 l ここで言う「言語表現」は動作、状態、数量、程度などの意味をことばの形式として体現するものを指す。例 えば、動作の言語形式は動作動詞、状態の言語形式は、形容詞や存在動詞といった具合である。 2 これは「存在」を意識したための記述である。存在は存在動調によって表されるが、存在動詞は 110 年間い る」というように、時間とのつながりを強く持っている。一方、形容詞に表される状態は時間とのつながり が薄い。 3. キーから 2 語と設定したのは、「昨日よりは少し暖かい」のような、とりたて助詞の挿入がある例もヒットさ せるためである。 4. 向調査では、数量修飾と程度修飾両方できる「量程度の副詞」も調査した。量程度の副詞の場合、 599 例ヒッ トされ、そのうち比較用法の数は 520 例もあり 87% が比較用法であることがわかった。この結果を含めて 考えると、量程度の副詞が比較マーカー「より」と共起する数は圧倒的に多くて、程度修飾の副詞や数量修 飾の副詞が比較マーカーと共起する数が非常に少ないことがわかる。この現象について次のように考え る。限界点を要求する数量と、要求しない程度は二つのプロトタイプとして対極的に位置する。また、数量 と程度は対極しながら連続性を有し、その中間領域に位置するのは「量程度の副詞」である。量程度の副詞 の使用数が圧倒的に多いうと言う調査結果は、「数量一状態」という連続体においては中間領域が非常に広

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30 限界点の有無からみる動作文と状態文 一程度修飾の副詞との共起を通してー いことを意味する。今後、中間領域の内実を調べ、どのような要素が入り混じり、それらの要素は具体的に 数量からどのような順番で状態へと連なっていくかを検討する予定である。 5 調査では、程度修飾の富Ij詞と共起する「より」の比較用法は少ないながらも 4 例あるが、その一例をあげる。 「婿・婿養子を題材にしたことわざが、嫁を題材にしたことわざよりもたいへん少ない。 J(BCCWJI 渡辺友 左 Ir ことわざに表れた性差別j) こちらは「嫁を題材にしたことわざよりもかなり少ない J) というように、 程度修飾および数量修飾両方できる「量程度の副詞」の「かなり」に置き換えるほうが、座りが良いようであ る。これは、基準点までの距離を修飾するのに数量修飾の機能を持つ副詞が適していることを示す。それと 同時に、程度修飾の副詞は対象のスケール上の位置を示す機能しか持たないため、座りが悪しその使用を 避けることがほとんど、というふうに理解してよいだろう。また、動詞述語と共起する例も僅かながら 4 例 あったが、それらは「他の学校の子より、とても頑張っている J (BCCWJ/Yahoo! 知恵袋)というような、動詞 を一つの状態として捉えられるようなものである。 参考文献 小野尚之 (2oo7a) I序論ー結果構文をめぐる問題Jf結果構文研究の新視点』ひつじ書房 pp.1-32 小野尚之(初07b) I結果述語のスケール構造と事象タイプJr結果構文研究の新視点j ひつじ書房 pp.67 -102 影山太郎 (2012) I まえがきJr属性叙述の世界j くろしお出版 北原博雄 (1998) I 第一部数量詞の文法Jr日本語動詞句の研究j 博士学位論文東北大学所蔵 北原博雄 (2013) I量修飾の可能性と、被修飾句のスケール構造の違いに基づいた、現代日本語の程度副詞の分 類Jr国語学研究j 52pp.29 -43 工藤 浩(1983) I程度副詞をめぐってJr副用語の研究jpp.176 -198 佐野由紀子(1998) I程度副詞と主体変化動詞との共起 Jr 日本語科学J 3pp.7 -22 鈴木 亨(お07)1結果構文における有界性を再考する Jr結果構文研究の新視点』ひつじ書房 pp.103 -141 鶴田常吉 (1953) r 日本文法学原論』関書院 仁田義雄 (2002) r副詞的表現の諸相j くろしお出版 益岡隆志 (2003) r 日本語構文意味論』くろしお出版 渡辺 実(1990) I程度副詞の体系 Jr上智大学園文拳文集J 23pp.1 -16 一東北大学大学院生一

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