動的光錯乱法による高分子液晶の強い相関相互作用
と液晶ゲル形成過程についての解析
著者
及川 英俊
動的光錯乱法による高分子液晶の強い相関相互作用と、
液晶ゲル形成過程についての解析
研究課題番号:08651063 平成8年度∼平成9年度科学研究費補助金(基盤研究(C) (2)) p 研究成果報告書 \ 、 \ i 平成10年3月 研究代表者 及川 英俊 (東北大学反応化学研究所 助教授)1.はしがき 高分子はそのコンフォメーション,形態から大きくランダムコイル状高分子 と棒状高分子に分けることができる.前者には,ポリスチレン,ポリエチレン など多くの汎用高分子が含まれる.一方,後者の例としては,ポリペプチドや タンパク質に見られるようなα-ヘリックス性高分子,ポリジアセチレンある いはセルロースのような剛直性高分子,さらにはタバコモザイクウイルスなど の生体高分子が挙げられる. 棒状高分子はその形状の異方性と強い分子間相互作用によって様々な会合体 や高次構造を形成する.特に液晶形性能を有する棒状高分子は,リオトロピッ ク高分子液晶として広範な研究対象として捉えられてきた. リオトロピック高分子液晶はその濃度,温度,持続長,溶媒組成等によって きつの相を取る.つまり,等方相,液晶相,等方相と液晶相の混在相である. これまで,相図上の境界線は偏光顕微鏡観察や核磁気共鳴吸収スペクトルなど によって決定されるとともに, Floryによる棒状高分子の格子モデル理論でそ の相図の型が定性的に説明されてきた.中でもポリ(γ-ベンジルーα,L-グルタ メート)(PBLG)は一番よく研究されてきた高分子で,等方相における棒状モデ ル高分子として,また液晶状態での高分子鎖のパッキング・配列について詳細 な議論がなされてきた.ところが, PBLGは混在相でその流動性を失い,巨視的 にゲル化する.これはFloryの予測とも明らかに異なる.このような高分子液 晶ゲルに関する詳細な構造・物性・生成過程についてはいまだ不明な点が多い. PBLGゲルの電子顕微鏡観察の結果がNature誌に報告されており,そのゲルが多 孔性構造を呈していることが分かるが,これはあくまで乾燥状態での構造であ り,ゲル本来の構造とは異なることも考えられる. 一方, PBLGのような棒状高分子の会合・ゲル化過程のダイナミックス,高次 構造,ゲル構造形成は,生体系における(自己)組織形成過程のモデルと見なす こともでき,その解明が期待される. 本研究では,静的および動的光散乱法を駆使して, PBLGの混在相における会 合ゲル化過程のダイナミックスおよびそのゲル構造を解明することを目的とし た.特に, PBLG等方相での状態(PBLG溶液の濃度と重なり濃度との関連)および 等方相から混在相へのゲル化速度(準平衡的ならびに非平衡的ゲル化過程)に注 目して,研究を展開した.当初の研究計画は概ね順調に進行した.本基盤研究 を通じて,準平衡的ゲル化過程では核生成・成長型の,非平衡的ゲル化過程で はスピーノダル分解型の相分離が生じて,ゲルが生成することが明かとなった. さらに,ゲル化点近傍でプレゲルドメイン間の過小減衰的枯弾性相互作用とゲ ル濃度揺らぎがカップリングすることが初めて実験的に明かとなった.ここに, 本研究成果の大半を収め報告書とする. 00010174241 L I
2.研究組織 研究代表者:及川 英俊(東北大学反応化学研究所・助教授) 研究分担者:中西 八郎(東北大学反応化学研究所・教 授) 3.研究経費 平成8年度 平成9年度 計 1, 700 千円 400 千円 2, 100 千円 4.研究発表 4. 1 学会誌等
(1) H. Oikawa, T・ Korenaga,and H・ Nakanishi:
DynamiCLight Scattering Study on Sol-Gel Transition of
Poly(7-BenzylqL-Glutamate)-Toluene Solutions・
J. MacromoL Sci., Phys., B36, 1997, 87-loll (2) T. Korenaga, H. Oikawa,and H・ Nakanishi:
SpinodalDecompositionand Gel Structure of Quenched Poly(7-Benzy1-qL-Glutamate)-Toluene Solutions・ J. MacromoL. Sci., Phys. , B36, 1997, 487-501・
4. 2 口頭発表
(1)及川英俊,是永龍巳,中西八郎
ポリ(γ-ベンジルーα,L-グルタメート)の液晶ゲル形成過程に
おける動的光散乱
(2)是永龍巳,及川英俊,中西八郎 ポリ(γ-ベンジルーα,L-ダルクメート)液晶ゲルの動的光散乱 第4回東北大学反応化学研究所研究発表会, 1995年11月 (3)是永龍巳,及川英俊,中西八郎 ポリ(γ-ベンジルーα,L-グルタメート)液晶ゲルの光散乱 第44回高分子学会年次大会, 1996年5月 (4)及川英俊,是永龍巳,中西八郎 PBLG高分子液晶の相分離過程 第17回ALC研究会, 1996年5月 (5)及川英俊,是永龍巳,中西八郎 ポリ(γ-ベンジルーα,L-グルタメート)液晶ゲルの光散乱[Ⅱ] 第44回高分子討論会, 1996年9月
(6) T. Korenaga, II. Oikawa, and 礼 Nakanishi
Light Scattering Study on Poly(rBenzyl-α,レGlutamate)
Liquid Crystalline Gel [Ⅲ]
4md Symposium on Polymer Gels, 1996, Nov.
(7)及川英俊 リオトロピック液晶高分子ゲルの光散乱 第7回散乱研究会, 1996年11月 4. 3 出版物 (1)及川英俊 リオトロピック液晶高分子ゲルの光散乱 第7回散乱研究会要旨集, 1996, 1 (2)及川英俊 ゲルの構造と物性の評価法(機器別) ;光散乱 ゲルハンドブック(長田義仁,梶原莞爾編), 1997,エヌ・ティー・エス
5.研究成果 5._ 1 緒 言 ポリ(γ-ベンジルーα,L-グルタメート) (PBLG)は,トルエン,ベンゼン, DMFなどのヘリコジェニックな溶媒中でa-へリックス構造を取り,棒状高分子 となる.このため,これまで1ま棒状高分子のモデルとしての研究も数多ぐなさ れてきた.一方で, PBLGは典型的なリオトロピック液晶高分子として知られて おり,ある温度範囲,濃度範囲でコレステリック液晶相を形成する. PBLGの相図は,図. 1に示すように等方相(Ⅰ),液晶相(LC),二相混在相 (i+LC)からなる.この相図はFloryの格子モデル理論(濃度と配向パラメータを 考慮して,系の自由エネルギーを評価)による予測と定性的に一致した.とこ ろが,二相混在相でPBLq溶液はその流動性を失い,見掛け上ゲル化することが 知られている.実際,電子顕微鏡観察でも3次元的に発達した網目状あるいは 細孔状の構造が確認されている.さらに,このようなゲル状態が再びゾル状態 (等方相)へ転移する温度,すなわち見かけの融点の濃度依存性は,図. 1に示 す相図の共存線とも異なり,あたかも2種類の相図が存在するような複雑な系 であるが,非常に興味深い研究対象である. このような会合ゲル化は相図上,等方相と二相混在相との間の相転移に相当 するが,これまでのPBLGに関する多くの研究は等方相希薄領域での溶液論的研 究であるか,または二相混在相で完全に会合ゲル化が終了した後の構造解析・ 力学物性が中心の研究であった.ゾル-ゲル転移や会合ゲル化過程のダイナ ミックスまで踏み込んだ詳細な研究はほとんど行なわれていなかった.本基盤 研究では,準平衡的会合ゲル化過程並びに非平衡的会合ゲル化過程を主に光散 乱法を駆使して詳細に解析を行なったので,以下にその内容を研究成果として 報告する.
5・ 2 ポリ(γベンジル-α,L-ダルクメート)の準平衡的会合ゲル化過程 用いたPBLGの重量平均分子量は10万(PBLG-10)および23万(PBLG-23)の試料で, そのトルエン溶液中のPBLGの体積分率は7.7×灯3であるが,分子量の異なる pBLGの棒状高分子としての重なり濃度(¢2* ≡ 7Td2/4L2: d, PBLG鎖の流体力 学的直径;し, PBLG鎖の鎖長)がそれぞれ1.5×10-3と2.8×10-4であるので, 10 万の試料の実質濃度は重なり濃度近傍であり,一万, 23万の試料の実質鹿度は 準希薄領域にある.光散乱光度計はDLS-7000(大塚電子)を用いた.入射光光源 はIe-Neレーザー(10 mY,ス= 632.8 nm).各測定温度への冷却速度は0.3K/凪in.
表. 1はPBLG-トルエン系の各温度での状態をまとめたもので,表中には測 定された自己相関関数(ACF)についても記述してある. PBLG-10のゲル化温度は 約303K, PBLG-23では約308Kと若干上昇している.ゲル化温度以下では, ACFは 測定されなかった・こ甲ことはPBLGのゲルが濃度揺らぎを伴わない剛直な構造 を取っていることを示唆する.この表. 1の順に従って以下でさらに詳細に議 論する. 図. 2は等方相におけるPBLG-23の典型的な二次のACFを示す.このACFを キュムラント法で解析すると規格化偏差は0.3以上あり,この解析法は適当で はない.そこで, Double-Exponential法で再解析した.等方相の各温度で得ら れたファーストモードとスローモードの減衰定数rfast, rsl。Wの散乱ベクト ルq依存性をそれぞれ図・ 3および図・ 4に示す・ rfastはq2とともに増加傾 向にあるが,その関係は線形ではなく,上に凸の曲線となった.前述のように, PBLG-23は準希薄領域にあり, PBLGの過渡的網目が形成されていると思われる ので,このモードはその協同拡散モードであると考えられる.通常のランダム コイル状高分子の場合,協同拡散モードの減衰定数rはq2に対して単純比例す るが,棒状高分子では,濃度の増加とともに,拡散異方性が強くなり,排除体 積効果の増加,流体力学的相互作用の増加のため,図. 3と同じような傾向に なることが理論的にも予測されている・一方, rslowも308Xを除き, q2依存性 が見られる.しかしながら,対応する拡散定数の値は小さいことから, PBLG会 合体に由来する協同的自己拡散モードと帰属される.このことは等方相であり ながら,準希薄領域であれば, PBLG会合体が存在を示唆するものと解釈できる. 表. 1で述べたようにように308【では見掛け上はゲル化しているが,図. 3 よび図・ 4に示したように各モードの減衰定数は求まった・ 308Xでのrfastの q2依存性は他の温度での結果と同じであり,協同拡散モードであると見なせる. rfastは温度の低下とともに減少し,これは拡散定数が小さくなる傾向に対応 する.つまり,温度の低下とともに過渡的綱目の濃度揺らぎは小さくなる.こ れに対して, 308Kのrslowにはq2依存性がなく,粘弾性的緩和モードと考えら れる.つまり,巨視的にはゲル化しているが,かなりルーズなゲル構造である と言える.
pBL6-23に対して,重なり濃度近傍にあるPBLG-10のACFは極めて特異な減少 傾向を示した(図. 5および図. 6).図. 5に示したようなACFに対しては キュムラント法もDouble-Exponential法も適用できず, KYY式を用いて解析し た.その結果, KYY式の指数γは約0.6程度となり, rの分布がかなり広いこと を意味する.これは,重なり濃度近傍での不完全・不均一な過渡的綱目内で, pBLG鎖の並進あるいは回転拡散モードが非ランダムであることの反映であると 考えられる.さらに低温に下げた313Kで測定されたACF(図・ 6)は明らかに2 つのモードで減衰した.スローモードは長相関時間域でも充分ベースラインへ 収束していない.つまり,このような非緩和成分の存在は,かなり大きなドメ インが形成されていることを示唆している. さらに, 303ほで冷却するとPBLG-10は流動性を失い,見掛け上ゲル化する・ しかしながら,この時のACFは図. 7に示すように振動的な変調を受けた・こ の変調は約24時間後には消失する,また,変調の見かけの振動数は熟履歴に ょって微妙に変化した.これらの事実はこの変調現象が電気的ノイズやレー ザー光強度の揺動によるものではないことを示唆する.このような特異な現象 は以下のように理解される.既に図. 6で述べたように,ゲル化点近傍では大 きなドメインやプレゲル構造が生成している.このような会合体ドメインが強 くカップリングし,各ドメインがアンンダーダンピングな振動子と振る舞うと すれば,その振動子間の周波数をE2,ドメイン内部の揺らぎの緩和時間をTu としたとき, ACFとフーリエ変換の関係にあるパワースペクトルS(W)は次式で 与えられる: S(W) = L[(W-wo)-2g2] (1) ここで, woは入射光の中心周波数・またLはローレンツ関数を表す・つまり, S(W)はE2だけ振動数シフトしたことになる.これは本来,濃度揺らぎに基づ く時間相関を表すS(W)にドメインの存在による空間相関の寄与が重畳した 結果である.近年,クエーサーからの放射スペクトルで議論されているYolf効 果に極めて酷似しており,さらなる解析が今後待たれる.ここで, (1)式を フーリエ変換して得られるACFは(2)式で与えられる:
ACF : exp(-r I)[1+f(q)exp i-(2/Tu)I) cos(E2T)] (2)
ここで, f(q)はファクター. (2)式中のcos(E2 I)項の効果のため,指数関数減
衰のACFは振動的変調を受け,その減衰パターンは定性的に図・ 6と一致する・ pBLGの準平衡的会合ゲル化過程のモデル図を図. 8にまとめる・
5.- 3 ポ■リ(γ一ベンジル-α,L-ダルクメート)の非平衡的会合ゲル化過程 等方相から二相混在相への急冷(クエンチ)操作による非平衡的会合ゲル化過 程の相分離初期過程については,これまでスピノーダル分解型(SD型)であるの か核形成・成長型(NG型)であるのか明確な実証はなされていなかった.また, 既述のFloryの格子モデル理論においても,スピノーダル線(自由エネルギーの ÷階微分係数)についての議論は不充分なままで終わっている.本基盤研究の 後半では,急冷後の散乱光強度の経過時間変化からこれらの問題点を明らかに することとした.棒状高分子のスピノーダル分解については土井らの理論的考 察があるが,実験結果を解析する上で必ずしも便利ではない.しかしながら, 棒状高分子の場合でもスピノーダル分解で生じた濃度揺らぎの最大波長成分に 支配された並進拡散によって相分離が進行するという機構は,従来のCahn-Hilliard線形理論(CH理論)と等価である.そこで,実験結果の解析にはCⅡ理論 を用いた・これ以降,革料コードとしてPBLG-Ⅹ-Yとする・ Xはこれまで同様, PBLGの平均分子量を識別し, 10あるいは23と表記される.また, Yは重なり濃 度に対する実際の試料濃度の比を表す.冷却速度は3. 0【/sec. 図. 9および図. 10にPBLG-10- 1とPBLG-10-5をクエンチした後の散乱光強 度Is変化を示す・ Isはクエンチ直後,指数関数的に増加し,その後飽和値に達 した.図. 9および図. 10での散乱角は300 の測定例であるが,他の散乱角で も同様な結果が得られた.図. 9および図. 10の初期領域(図中では, 「I」で明 記)におけるIsの片対数プロットから成長速度R(q)が評価される:
Is(q, t)=Is(q, t=0) exp[2R(q)t] (3)
図. 11はIsの相対強度変化の散乱ベクトルqに対する時間分解パターンであ る.相対強度はクエンチ後の経過時間とともに増大し,しかも約2秒後から ピークが現われ,その高さは時間とともに大きくなった. CE理論によれば, Is(qm, t) ∼ exp[R(qm)t] (4) ここで, qmは相分離後の濃度揺らぎに基づく最大波数・しかしながら, C‡理論 の予測に反して,ピークが幅広く, qmが時間とともに低角側にシフトした・ PBLG-10-5を283X, 284X, 285R, 286Ⅹにクエンチした際のいわゆるCIIプロッ ト[R(q)/q2 vs. q2]の結果を図. 12に示す: R(q)/q2 = Dapp[1-(1/2)(q/qm)2] (5) ここで, Dappは見かけの拡散定数で・自由エネルギー密度の濃度に対する2 次編微分係数と移動度との積で定義される.しかしながら, CHプロットは線形
とはならず,下に凸の型をしている・同様な結果はクエンチ後のある種の高分 子ゲル,ポリマーアロイにもよく見られる.図. 11でのqmのシフトやCHプロッ トの非線形性,つまりCH理論からの背馳は(5)式において熟ノイズの効果を反 映する高次項を無視した結果によるものと考えられる.古典的なCE理論からは 外れているが, R(q)が正の値を取ること, qmの存在から本質的にはSD型で相分 離が進行したものと推定される.そこで,図. 12の測定結果を直線近似し,最 小自乗法でDappを求めた・ l スピノーダル線は自由エネルギー密度の濃度に対する2次編微分係数が0と なるところで定義されることから・ Dappをクエンチ温度に対してプロットし, Dapp - 0に外挿することで,スピノーダル温度Tsを見積ることが可能となる・ その結果を図. 13に示した. ‥sD型相分離の後期過程(図. 10で, 「L」と明記)では, Isがほぼ一定となり, 見掛け上 定常状態となった3次元会合ゲル構造が形成されていると思われる・ このゲル構造をフラクタル次元を考慮した一般化Zimmの式(6式))で解析した・ 通常のOrnstein-Zernikeの式やDebye-Bucheの式では相関長のみが求まり,フ ラクタル次元は考慮されない.しかしながら,相分離を通して形成されるゲル 構造では高次構造が発達し,化学架橋ゲルとはかなり異なる.そのため,ゲル の構造パラメータとしてフラクタル次元は不可欠である. Is(q)/Is(q:0) : ll+((D+1)/3)(Eq)2]-(D/2) (6) ここで, DとEはフラクタル次元と相関長を表す.図. 14と図・ 15にPBLG110-1とPBLG-10-5での非線形最小自乗法によるフィッティングの結果を示す.い ずれの場合も, 2<D<3であることから,会合ゲルはマスフラクタル構造を 取っている.また,一般にDの値の増加はゲル内部ドメイン構造がより桐密に なることに対応するので,高濃度の場合が桐密なゲル構造となっていることを 示唆する. 次に, Eと初期過程の濃度揺らぎの最大波長Am = 27T/qmを比較した結果を これまでのTsやDの値とともに表・ 2にまとめた・ PBLG-10-1では, EとAmは ほぼ等しく,相分離初期過程の濃度揺らぎが定常状態(後期過程)において,そ のまま凍結されたと考えられる.一方, PBLG-10-5のEはAmの約半分となっ たことから,後期過程でSD型相分離にNG型相分離も重畳したと示唆される・ PBLG-10- 5はPBLG-10- 1よりも高濃度で, PBLG鎖の重なりの程度が大きいため, 個々の鎖の並進拡散が抑制され,濃度揺らぎの伝搬が遅くなる.その結果,綱 目のメッシュサイズに対応するEがPBLG-10-5で小さくなるのは妥当な結果で ある. 完全に古典的CH理論に従うわけではないが,本質的にSD型相分離を引き起こ
PBL6-10- 1とPBLG-10- 5のみで, PBLG-10-10, PBLG-23- 1 , PBLG-23-10ではク エンチを行なってもSD型相分離は発生しなかった.典型例として, PBLG-23-10 におけるクエンチ後のIsの経過時間依存性を図・ 16に示す. Isが増加するまで に約40秒程度の誘導期があり,その間Isは激しく揺動した.これは前節でも述 べたように,準希薄溶液の高濃度域では等方相であってもPBLG鎖の会合体が存 在するため,図. 16にはそのスペックルパターンが見られていると考えられる これらの事実から, PBLG-10=1とPBLG-10-5以外ではクエンチを行なっ七も 会合ゲル化は基本的にSD型ではなくNG型で進行すると考えられる. 9
寸NH7 -cojT
cH2CH2COOCH「◎
eJnlt2JOd∈oJ.
Poly( γ ・benzyl L-glutamate) (PBLG)
Concentration
図・ 1ポリ(γ-ベンジルーa・L-グルタメート)(PBLG)の相図:Ⅰ,等方相;LC, 液晶相; I+LC,二相混在相.
表・ 1 PBLG-トルエン系の各温度での状態図・ ACF,自己相関関数. Temperature / K PBLG-1 0 PBLG-23 343 333 323 313 308 303 303 I C h aracteristic
Two-Modes Decay in ACF
Deny in ACF -- ePvgegnr%gqte.sJ.0,7:e,dhase
-
l- - - - ■- ■- - - ■- ■- - - ー - ー - ●- - - - -M.du.a.dACF」包
ACF was not detected.
0.50
1 015T / pS
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
1 0-10q2 / cm・2
図・ 3 PBLG-23におけるACFのファーストモードの減衰定数rfastの散乱ベク トルq依存性.
A
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
1 0・10q2 / cm・2
0.50
1 01㌔/ps
図・ 5 等方相(323 K)におけるPBLG110のACF.
15
0.0 0.50 1.0 1.5 2・0 2・5
1 0-5T / pS
1.005 1.004 1.001 1.000
1.0
1 0・5T / tis 図・ 7 ゲル化温度近傍(303 K)におけるPBLG-10の変調を受けたACF. 17PBLG-23 (02 >> 02') ルーズな会合ゲル(308K) (相互作用) PBLG-10 (12 2 12り
/ 偵「莓ニツ
ノ. イ
_♂ 洲帥 一′ ヽ._
ゲル化点近傍(303K)会合体ドメイン
0 10 20 30 40 50 60 70 80
Quenching Time / S
図・ 9クエンチ後のPBLG-10-1の散乱強度Isの経過時間変化
St
0 10 20 30 40 50 60 70 80
Quenching Time / S
to=ttb)StJ(tJb)St .0 .0 0 5 2 1 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
1 0・5q / cm-1
図. ll PBLG-10-5の相対散乱強度の時間分解パターン. qは散乱ベクトル. 21れi
i.SzuDJ(b)tjz.buoL
0 5 0 0 0.2 0.4 0.6 0・8 1 1・2 1・4 1・61 0-10q2/ cm-2
図. 12 PBLG-10-5の各クエンチ温度に対するCahn-Eilliardプロット[R(q)/q2 vs. q2]. R(q)は成長速度.可塑Li; L・SN∈DJ QuOL 5 280 285 290 295 Quenchin9 Temperatu帽/ K 図・ 13 PBL6-10-5の見かけの拡散定数Dappとクエンチ温度とのプロット 23
0
104
105
q / cm・1
106
図・ 14クエンチ後期過程におけるPBLG-10-1のIsのq依存性と一般化Zimmの式 でフィッティングした計算曲線.104
105q /cm・1
図・ 15クエンチ後期過程におけるPBLG-10-5のIsのq依存性と一般化Zimmの式 でフィッティングした計算曲線. 25106
義. 2 PBLG-10-1およびPBLG-10-5のクエンチによる非平衡的会合ゲル化過程 (スピノーダル分解型相分離過程)における諸パラメータ: 42,濃度; ¢2* 重なり濃度;, Tbバイノーダル温度;Ts,スピーノーダル温度;Am・スピ ノーダル分解初期過程における濃度揺らぎの最大波長; i,相関長; , Dフラ ー・クタル次元. Sample ¢2ゆ2★ Tb/K Ts/K Am/nm 宅/nm D PBLG・1 0 1 298 291 600J700 610 2.6 5 298 292 550-600 250 2.7 Am…27C /qm
/ヽ′h
ノ
● ● ● t ● ∫ ′ ● ● ● ● ● ● ● . ●_・.I_TT . 。●i'.・・;・..''&:・・・.'T・sT鴨
● ●PBLG・23-1 0
0=300 0 20 40 60 80 100Time/ら
図. 16クエンチ後のPBLG-23-10のIsの経過時間変化・ 27TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート
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