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パシュトー語ペシャーワル方言について : 音韻論的および形態論的考察

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(1)

パシュト一語ぺシャーワル方言について

一音韻論的および形態論的考察-八 代 隆 政

Phonological and Morphological Analysis on Peshawar Dialect of Pashto

Takamasa Yashiro Pashto, one of the official languages of Afghanistan, belongs to the Eastern group within the Iranian branch of Indo-European family of languages. Ithas been long recognized also as the most important language of the North-West Frontier Province in Pakistan. An estimated number of Pashto speakers in Afghanistan and Pakistan is approximately 25 million. Although many features vary widely in Pashto and few of their isoglosses coincide, it can be divided into the two major varieties on the basis of the phonemic and phonological features. The two groups are “Soft Pashto", or southwestern dialects spoken around Kandahar, and “Hard Pashto", or northeastern dialects spoken around Peshawar. Characteristic of Hard Pashto are the two pho -nemes, velar /x/ and /g/, respectively corresponding to retro -flex spirants

/$/

and

/?/

in Soft Pashto.

In this paper, focused on Peshawar dialect that has been most directly exposed to Indo-Aryan influence, e.g. Urdu and Punjabi,

(2)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー

a

r

e

p

r

e

s

e

n

t

e

d

s

u

c

h

a

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I

n

d

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phonemic s

y

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and i

n

-f

l

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nouns

p

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l

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r

o

n

o

u

n

s

and a

d

j

e

c

t

i

v

e

s

.

目 次 はじめに

1

パシュト一語の地理的分布と言語的特性 2 主要音素の発展過程

3

音韻体系 4 方言による発音差異 5 形態的特徴(名詞・人称代名調) 6 形態的特徴(形容詞) はじめに パシュト一語は、アフガニスタンとパキスタンの両国に跨って居住す るパシュトゥン人

(

1

パターン人」ともいわれる)によって話される言 語であり、その話者人口は約2500万人に達する。イラン語派の中で最 も保守的で、語形変化や音韻論の点で複雑な言語といわれている。また 地域による方言差が著しく、大きく 2大方言群に大別される。一つは、 アフガニスタンのカンダハールを中心とする南西方言、他はパキスタン の北西辺境州の州都ベシャーワルを中心とする北東方言である。通常そ れぞれの音韻的特般から、前者を“

S

o

f

tPashto"

、後者を“

Hard

P

a

s

h

t

o

"

と呼んでいる。ペシャーワル方言は、特にウルドゥー語、ヒ ンデイ一語、スインディ一語、パンジャーピ一語といった北西インド諸 語との言語接触があり、語棄や発音の面でその影響が多くみられる。 拙論では、パシュトー語の概説と分布(第

1

節)、イラン語派におけ る主要音素の発展過程(第

2

節)、パシュトー語の音韻体系(第

3

節)

(3)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号 を概観した上で、パシュト一語方言群のなかで最も古典的な要素を保持 しているカンダハール方言と比較することによって、インド・アーリア 諸語の影響がみられるべシャーワル方言の音韻論的(第

4

節)および名 調・人称代名調(第

5

節)、形容詞(第

6

節)の形態論的特徴を明らか にする。 1 パシ2トー語の地理的分布と言語的特性 パシュトー語は、言語系統としてはインド・ヨーロッパ語族のインド・ イラン語派に属する。インド・イラン語派を構成する

3

支派1のうちの ひとつであるイラン語派の中で、ペルシア語が近代西イラン語の代表と すれば、近代東イラン語の代表的言語がパシュト一語である。現在、ア フガニスタンの南部および東部、パキスタンの北西辺境州 (North -West Frontier Province)を中心にパシュトゥン人 (P時tun;Paxtun、 英語ではパターン人 Pathan)によって話されている。パシュトー語は、 アフガニスタンにおいては1936年の詔勅によって、ダリ一語(アフガ ン・ペルシア語)とともに公用語となった。パキスタンでは北西辺境州 の主要民族語としての地位を占めている。話者人口は約 2500万人と推 定され、その半数ずつが両国に住んでいる。地理的分布としては、一部 パローチー語の地域があるが、アフガニスタンのほほ南半分を占め、北 限はヘラートの南からカーブルの北の地域までおよぶ2。パキスタンで は北西辺境州のベシャーワルを中心に、コーハート、デーラ・イスマー イル・ハーンにおよぶ地域でユースフザイ方言などが話されており、北 西辺境州、│の80%近くをパシュト一語話者が占める。パキスタン西側は ア フ ガ ニ ス タ ン と の 国 境 に 接 す る 山 岳 地 帯 の 連 邦 政 府 直 轄 地 域 (Federally Administered Tribal Areas)であるモフマンド、ハイパ ル、クツラム、ワズィーリスターンと南下し、さらにパロチスタンにお

(4)

パシュトー語ペシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー いてパシュトゥンは州人口の 25%を占め、クエッタ管区内にカーカル、 アチヤクザイ、シーラーニーの

3

部族がアフガニスタンのカンダハール 方言に近い南東方言を話す。北西辺境州北部ではデイール、スワート、 ハザラにもダルド系少数民族集団に混じりパシュト一語圏が分布する30 このように地理的分布をみてみると、パシュト一語は、南側はパローチ一 語、西側と北側はダリ一語を含むペルシア語、北東と東側はダルド諸語 およびパンジャーピ一語、ウルドゥ一語などのインド・アーリア諸語と 接している。 以上山岳地域に広範囲にわたって分布するパシュト一語は数多くの方 言に分かれるが、カンダハールを中心とする南西~/?グループ (Pa~to) とベシャーワルを中心とする北東

x/g

グループ

(

P

a

x

t

o

)

に大きく分類 される。前者においては「パシュトー」、「パシュトゥン

J

、後者におい ては「パフトー」、「パフトゥン」とそれぞれ発音される。このように方 言差が著しいことがパシュト一語の特徴といえる。相違については第

2

節以降で取り上げるが、詳細は

H

e

n

d

e

r

s

o

n

4

MacKenzie

5、縄田6の各 文献を参照されたい。 東イラン語のパシュト一語は、西イラン語の代表であるペルシア語と 比べて古形を保っている。文法的に複雑で、名調、形容調には性、数、 格の変化があり、語中、語尾などがきわめて高い屈折性を示す。パシュ ト一語のこの古典的な文法特性は、中世ベルシア語を経て単純化が進ん だペルシア語とは著しい違いがある7。パシュト一語の名詞、形容詞は 男性、女性の

2

性を有し、それぞれが単数、複数さらに絶対格と斜格 (さらに斜格2と呼格)で変化をする。このことは同じイラン語派に属 するベルシア語よりも、ウルドゥ一語やパンジャーピ一語などの隣接す るインド・アーリア諸語と類似している。以下に性、数、格により変化 するパシュト一語およびウルドゥ一語と、その変化が少ないペルシア語

(5)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第 11号

と英語の文を例示する8。

Pashto Urdu Persian English loe sare bara mard kalan mard a great man loya xaza bari ‘aurat kalan zan a great woman da loyo saro bare mardo ka i kalan mardan of great men da loyo xazo bari ‘aurato ka i kalan zanan of great women sare raghla mard aya mard amad a man came

羽 田 raghla ‘aurat a.j zan amad a woman came

ペルシア語と英語の上記例文では形容調および動調の“kalan" “2 mad" “great" “came"は性・数・格の影響を受けずに無変化である。 一方パシュト一語とウルドゥ一語では“loe,-ya, -yo" “raghld, -a"

“bara,-i,-e" "aya,-i"と性・数・格によって変化する。

さらにパシュト一語の著しい特徴として能格構文がある。過去時制の 他動詞文において、論理的主語は斜格(=能格)で表示され、目的語が 絶対格(ゼロ語尾)をとる。述語動調は絶対格である目的語に呼応する。 これを能格構文という。過去時制の他動詞文においてのみ能格構造が出 現する特徴をもっ場合「分裂能格

J

(split ergative)というが、インド 諸語のウルドゥ一語、ヒンデイ一語、パンジャーピ一語なども分裂能格 の言語である。

"A man saw a woman." Pashto

s

a

n

xaza wulidala .J~--,品々i.$..;:" man(obl) woman(abs) saw(3.s.f)

xaze sare wulidald

}

-

-

'

~み

woman(obl)man(abs) saw(3ふm)

(6)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー larke ne larki girl(abs) dekhi

~~~j~2ρ

boy(obl) saw(3ふf) larki ne larka dekha

出兵~

L

S

'

j

~~j

girl(obl) boy(abs) saw(3ふm) neは小辞で能格を示す各標識で、ある。 パシュト一語の能格構文についての詳細はTegey9を、インド・アー リア諸語の能格構文はMatthews10を参照されたい。 パシュト一語がインド・アーリア諸語の影響を最も多く受けている特 徴の一つに、

/t

,O, 1).,

r/

などの反り舌音(反転音)がある。詳しく は次節以降で触れることとする。 2 主要音素の発展過程 パシュトー語は、古代ペルシア語 (Old Persian)、中期ペルシア語 (パフラヴィ一語)を経て発展した西イラン語の代表である現代ベルシ ア語とは姉妹関係にあり、中期東イラン語に属するホラズム語、ソグド 語、サカ語の特徴を受け継ぎ、現在カフカースで話されているオセット 語やパミール高原で話されているパミール諸語とは近代東イラン語を形 成する。 西イラン語は古代イラン語においては、語尾変化によって文法的関係 を表わす屈折言語、すなわち総合的言語であったが、中期イラン語への 移行過程で、名詞などの語尾変化がなくなり、文法的関係を前置調などの 機能語や語順で表わす分析的孤立語へと変化した。古代語にあった性 (男性、中性、女性)も、中期ペルシア語(パフラヴィ一語)では消失 し、古代語の語尾の母音や語末音節が脱落して単純化され、数は双数が なくなり、単数と複数(an)のみになった11 現代ペルシア語は分析 孤立語へと変質した中期イラン語の特徴を受け継いだといえる。一方、

(7)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第 11号 東イラン語は古代から中期の段階では商イラン語のような急激な変質は 少なく、西イラン語の語尾母音・語末音節の脱落に対して、東イラン語 は語尾母音を維持していた。また、性についても男性、女性の区別があ り、ソグド語やサカ語には中性の名残があった。 以上のイラン語派の東西イラン語の特徴を踏まえて、パシュト一語の 主要音素の歴史的発展過程の例を以下に示す120

a

.

古代イラン語の語頭の有声閉鎖音

/b//d/

/g/

は、中期東イ ラン語のホラズム語やソグド語の/戸/[戸]、

/o/[d]

、/'li/[)(]を 経て、パシュト一語で、は

/w/

/1/ /)(/と変化する。なお、 この

/b/ /d/

/g/

は西イラン語では現在でも保持されている。 "brother" Persian bratar->

s

r冗(Sogdian),

s

r'd(Khwarezmian) >wror baradar "goat" buza->'

s

z-(Sogdian),

'

s

z(Khwarezmian) >W8Z "daughter" dUd'dar->owd't(Sogdian), od'd(Khwarezmian) > lur "ten" boz doxtar

dasa->os( Sogdian), os( Khwarezmian) > las dah "ear

gausa->d'ws(Sogdian), d'wx(Khwarezmian) >d'wag gus

"mountain" gari->)(r-(Sogdian), )(ryck(Khwarezmian)>)(ar kuh b.古代イラン語の/-ft-/は、中期東イラン語では/-sd・/と有声化 して、さらにパシュトー語では/ー(w)d・/、または/-w-/と変化する。 "seven hafta->'

s

t Sogdian),

'

s

d(Khwarezmian) >OW8

(8)

パシュトー誇ペシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー

"

h

e

a

t

e

d

"

t

a

f

t

a

->t

s

t

(

S

o

g

d

i

a

n

)

>tawda

"

m

i

l

k

"

x

s

w

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f

t

a

-

>

x

s

y

s

t

(

S

o

g

d

i

a

n

)

xw

s

cy(Khwarezmian) >sauda

c

.

古代イラン語の

/-xt

・/は、中期東イラン語の /-)(d・/を経て、パ シュト一語では

/-w-/

または/併/と変化する。

"

d

a

u

g

h

t

e

r

"

d

u

)

(

t

a

r

-

>

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)

>lur

"

w

e

n

t

"

t

a

x

t

a

-

>

t

a

d

.

古代イラン語において語末、ないしは語中にあらわれる歯茎閉鎖音 または歯裏摩擦音

/t//8/ /d/

は、パシュトー語では

/1/

と変化 する。

"

f

a

t

h

e

r

"

p

i

t

a

r

->

p

l

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"

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"

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->

s

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"

b

r

o

a

d

"

p

a

8

a

n

a

->plan

"

f

o

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r

"

c

a

8

w

a

r

->

s

a

l

o

r

"

r

o

b

b

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r

"

g

a

d

a

->

)

(

a

l

"

s

t

r

e

a

m

"

wadi->wala

ただし次のように古代イラン語の音素を保持する単語もある。

"

t

h

o

u

"

tu>ta

"

e

i

g

h

t

"

a

s

t

a

>

a

t

a

"

t

w

e

n

t

y

"

w

i

s

a

t

i

>

w

i

s

t

e

.

古代イラン語の

/

-

r

t

・/と

/-rd

・/は、パシュト一語では反り舌音の

/r/

に変化する。

"

m

i

l

l

e

d

"

a

r

t

a

->ora

"

d

e

a

d

"

mrta

>mur

"

h

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a

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t

"

z

r

d

y

a

-

>

z

r

a

f.古代イラン語の

/-rn-/

は、パシュト一語では反り舌音の/!J./に 変化する。

(9)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号

g

.

古代イラン語の

/sr//rs/

は、パシュト一語では

/x//g/

(カンダハール方言では/平//?/に変化する。また、

/

-

s

t

r

-

/

/忍

t

r

-

/

/

-

r

s

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・/は、

/t/

がゼロに、

/sr//sr/ /rs/

/x/

(カンダハー ル方言では/$/)に変化する。

"

m

o

t

h

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r

-

i

n

-

l

a

w

"

h

w

a

s

r

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->xwaxe

"

b

e

a

r

"

r

a->yag

"

c

a

m

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l

"

u

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-

>

u

x

"

g

r

a

s

s

"

w

a

s

t

r

a

-

>

w

a

x

a

3

音韻体系

3

.

1

アルファベット パシュトー語のアルファベットは、ペルシア語のアルファベット

32

文字に、パシュトー語固有の音声を表記するために新たに作られた文字、 すなわち Q

ととも

./,!.I.

~ ~を加えた計40文字から成る日

独 立 形 文 字 名 称 翻 字 独 立 形 文 字 名 称 翻 字

.

1

a

l

i

f

/

a

/

e

t

c

.

1

0

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I

m

/z/

2

.

.

.

.

.

b

e

/b/

(

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e

s

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w

a

r

)

3

』'J

p

e

/p/

d

z

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4

t

e

/t/

(

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a

n

d

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h

a

r

)

5

ψ

t

e

/t/

11

ζ

h

e

/h/

6

..!J

s

e

/s/

1

2

ζ

x

e

/x/

7

ζ

j

l

m

/j/

1

3

d

a

l

/d/

8

ε

c

e

/c/

1

4

ー c ;l

a

l

/c;l/ 4色 9

s

I

m

/s/

1

5

z

a

l

/z/

(

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h

a

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1

6

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t

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1

7

..l

r

e

/r/

(

K

a

n

d

a

h

a

r

)

1

8

J

z

e

/z/

(10)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー 独 立 形 文 字 名 称 翻 字 独 立 形 文 字 名 称 翻 字 19 J :.

Z

e

/Z/

29

'i

a

i

n

/'i/ 20 :)

g

e

/g/

30

u

f

e

/f/

(

P

e

s

h

a

w

a

r

)

31 d

q

a

f

/q/

?

e

/?/

32

d

k

a

f

/k/

(

K

a

n

d

a

h

a

r

)

33

J

g

a

f

/g/

21

.

.

r

s

i

n

/s/

34

l

a

m

/1/ : . 22

.

.

r

s

i

n

/s/

35

mim /m/

23 u"!

xm /x/

36

J

nun /n/

(

P

e

s

h

a

w

a

r

)

37

J

ruIJr / 町 / 号

m

/平/

(

P

e

s

h

a

w

a

r

)

(

K

a

n

d

a

h

a

r

)

oun /0/

24 』戸9

swad /s/

(

K

a

n

d

a

h

a

r

)

25

J

zwad /z/

38 3

waw /w/etc.

26

.

k

t

o

e

/t/

39 b

h

e

/h/

27

.

1

z

o

e

/z/

40

d

y

e

/y/

28

am

/‘/

a

.

反り舌音(反転音)を表記する

ψ

も 4 の3文字はウルドゥー 語 で は そ れ ぞ れ 山

S

j

と表記される。

b

.

(

z

i

m

)

はウルドゥ一語の

ζ(jim)

で表記される単語と対応す る場合がある。 パシュト一語 ウルドゥ一語 .).)いふ

z

a

n

a

w

a

r

.).J-ij

b

.

J

a

n

w

a

r

"

a

n

i

m

a

l

"

~lふ

z

a

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~lぞ

J

a

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"

l

i

f

e

"

・ "

c

.

r

(

s

i

m

)

はウルドゥ一語のを

(

c

e

)

で表記される単語と対応す

(11)

第11号 言語と文化 文教大学 る場合がある。 ウjレドゥ一語 )l

d

.

パシュト一語で使われているアラピア文字はアラピア語の音をその "veil"

c

a

d

a

r

パシュト一語

s

a

d

a

r

)ll

まま表わしているわけではない。ペルシア語と同様パシュト一語では次 の文字はアラピア語の本来の発音と異なる。 無声唇裏摩擦音[8]が無声歯茎摩擦音[s]となる。 無声咽頭摩擦音 [h]が無声声門摩擦音 [h]となる。 無声口蓋垂摩擦音 [x]が無声軟口蓋摩擦音[x]となる。 & ~ p ﹂ -P

- a

有声歯裏摩擦音

[

δ

]

が有声歯茎摩擦音

[

z

]

となる。 咽頭化無声子音[8]が無声歯茎摩擦音[s]となる。 ~ 咽頭化有声子音 [d]が有声歯茎摩擦音

[

z

]

となる。 咽頭化無声子音[を]が無声歯茎閉鎖音[t]となる。 咽頭化有声子音[l!]が有声歯茎摩擦音

[

z

]

となる。 ~

.

1

有声咽頭摩擦音[)]が声門閉鎖、または

[

a

]

[

a

]

となる。 有声口蓋垂摩擦音[叫が有声口蓋摩擦音[)(]となる。

p

﹄ ・ 9 ﹄ 以上のアラピア語の音は、話者によって個人的には発音される場合が あり、特に宗教関係者やアラビア語を学んだ人にその傾向が強い。

e

.

I.S

y

e

の修正形としてペシャーワル方言ではI.S

c

h

o

t

i

y

e

ζbariy

e

2

形があり、前者は

/i/

/ay/

を表わし、後者は

/e/

を表わす。 d

4

形があり、それぞれ

/i/

カンダハール方言では

d

/ 可 /

/ai/

/e/

と発音される。 d f.上記の一覧表にはないが、連続する母音と母音の聞の声門閉鎖を表 記する場合には~

hamza

を使用する。

J

I

)

s

"boy" ベシャーワル方言では語末の;とーは、それぞれ

/a/

/a/

z

o

e

~.,J>

"

c

h

a

i

r

"

k

u

r

s

a

-

i

g.

(12)

パシュト一語ベシャーワル方言について 音韻論的および形態論的考察ー 表わすが、正書法では単に・としか表記されない0 3.2母音体系 パシュト一語の母音体系は次表のとおりである。 前舌 後舌 )

-( e

¥

/i/

前舌非円唇狭母音 (カンダハール方言)

/i/

前舌非円唇広め狭母音

/e/

前舌非円唇半狭母音

/a/

前舌広母音

/d/

中舌非円唇広め半狭母音

/u/

後舌円唇狭母音 (カンダハール方言)

/u/

後舌円唇広め狭母音

/0/

後舌円唇半狭母音 中舌 (u) U a O

a

[

i

:

J

英語

s

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a meat

[I

J

英語

i

t

[

e

J

英語

met

[

a

J

フランス語

p

a

t

t

e

[

d

J

英語

s

o

f

a a

b

o

u

t

[

u

:

J

英語

p

o

o

l

[

u

J

英語

p

u

t p

u

l

l

[

o

J

フランス語

b

e

a

u

ドイツ語

Sohn

[

a

:

J

英語

f

a

t

h

e

r

/a/

後舌非円唇広母音 3.3子音体系 パシュト一語の子音体系は次表のとおりである。

(13)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第 11号 閉 鎖 音 破 擦 音 摩 擦 音 鼻 音 側 音 震 え 音 反 母 音 声の有無

+ - + - + - + - + -

+ 一

+

両唇音

p b

ロ1

w

唇歯音 f 歯茎音

d t

s

d

z

s z

n

r

反り舌音

d

z

r

硬口蓋音 C

3

1

Z

y 軟口蓋音

k g

X Y 口蓋垂音

q

声門音

h

/p/ [

p

J

/q/ [

q

J

/z/ [

z

J

/m/ [

m

J

/b/ [

b

J

/‘/

[

c

J

/$/

[

s

J

/n/ [

n

J

/t/ [

t

J

/ts/ [

t

s

J

/?/

[2;

J

/1/ [

1

J

/d/ [

d

J

/dz/ [

d

z

J

/13/

m

/u/

m

/t/ [

t

J

/c/

[同]

/z/ [

3

J

/r/ [

r

J

/c;i/

[

d

J

/j/

[

d

3

J

/x/ [

x

J

/r/

[r]

/k/ [

k

J

/f/

[f] /'6/ ['6]

/w/ [

w

J

/g/ [

g

J

/s/ [

s

J

/h/ [

h

J

/y/

[j

J

上の表の中で‘

/ts//dz/ /$/

/?/はカンダハール方言で出現 する子音であるが、ベシャーワル方言ではそれぞれ

/s//z/ /x/

/g/

となる。 パシュト一語の子音体系において同じイラン語派に属するペルシア語 と著しい対照をなす点は、

/t/

/c;i/

/u/

/r/

といった反り舌音 の有無である。これはパシュトー語が隣接するインド・アーリア語派の 影響を強く受けたことによる。インド・アーリア語派に特有の反り舌音

(14)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー はその歴史を-貫して特徴づけている。この調音はインド・アーリア語 のみならず、ドラヴィダ、ムンダーというインド土着の非印欧語にも存 在する。したがってこの反り舌音は、インド・アーリア語族がインダス 文明に接したころから、その土着の話し手によって導入されたといわれ ている。パシュト一語がイラン語派の中で最も東に位置するという地理 的分布の特性からも、インド諸語との音韻的な影響関係が深いことが、 この言語の特徴である。 4 方言による発音差異 既述のとおりパシュト一語は多様な方言を有しているが、音韻論的特 徴から2大方言群に大別される。 paxto群 (Hard Pashto) とp時to群 (Soft Pash to)で、ある。前者はパキスタン北西辺境州のベシャーワルの 方言(主にユースブザーイ方言)をその代表とする。後者はアフガニス タンの公用語としての規範ともなるカンダハール方言である。アフガニ スタン北東部のナングラハール州ジャララバードを中心に話される北西 方言 (pdCtO)は前者に含まれ、パキスタンのパロチスタン汁│クエッタ で話される南東方言 (pdstO)は後者に近い。これらの方言群の主な差 異は音素の次の点にある。すなわち正書法で((:).~で書かれ る音素が以下のような相違を示す。 Soft Pashto Pd$tO 南西方言 (Kandahar) [ tsJ [dzJ [2:] [sJ PdstO 南東方言 (Quetta) [ tSJ [dzJ [d3J

m

Hard Pashto PdCtO 北西方言(]alalabad) [sJ [zJ [gJ

[

c

J

paxto 北東方言 (Peshawar) [sJ [zJ [gJ [xJ なお北西方言の一部、ワルダック県ではえを[3Jと発音する。

(15)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第 11号 地理的には次の

Henderson

による

4

方言の分布図を参照されたい九 .lIer.t K H -

い イ 久 d d H ト J F ' u ノ Y ト , 〆 , ' e KA8UL ・-一 .1-' ~---_.- // ; ( X ー-)・・ー〉〆 ι{t

t

弘 、L

d 守ト 事 • K・ndahu'

2

大方言のペシャーワル方言とカンダハール方言の相違は、インド・ アーリア諸語との直接の接触がある

p

a

x

t

o

方言の方が、インド・アーリ ア語派の音韻体系の影響を強く受けている点にあるといえる。すなわち、 カンダハール方言の歯茎破擦音

[

t

s

][

d

z

]

が、ベシャーワル方言では歯茎 摩擦音の[s][z]となる点などに、パンジャーピ一語やウルドゥ一語の影 響関係が認められる。以下にベシャーワル方言とカンダハール方言の音 韻上の具体的な相違点を挙げる。

a

.

カンダハール方言の語末

/ay//ay/

がペシャーワル方言では

/e/

となる。 カンダハール方言 ペシャーワル方言

-.$.1:"

s

a

r

a

y

~凶

s

a

r

e

"

i

s

"

a

day

ζ』

d

e

~

k

a

l

a

y

d5

k

a

l

e

(16)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音繍論的および形態論的考察ー 「疲れた

J

~.;.剖

s

t

a

r

a

y

~

s

t

a

r

e

b

.

カンダハール方言の語末

/ai/

がベシャーワル方言で、は

/a

i/

とな る。 「食事」 ~.u~ c;l

o

c;l

a

i

~.u~

c;loc;l

a

-

i

c

.

カンダ、ハール方言では

/a/

と発音されるところが、しばしばペシャー ワル方言では

/a/

となる。 「女性

J

.

)

d

a

~ pa 4叫 ~adza 』

da

"of"

n

・ 1

ω

句r pa ~凶

x

a

z

a

d

.

カンダハール方言の

/ts/

はペシャーワル方言では

/s/

となる。 「チャドjレ

J

.).)込

t

s

a

d

a

r

見込

s

a

d

a

r

"

w

h

a

t

"

4.>

t

s

a

.1.:1炉

s

a

e

.

カンダハール方言の

/dz/

はベシャーワル方言では

/z/

となる。 「自分」

m

n

a

a

qb ヲ b A U A u epJP ~

zam

~Lふ zãn "1go" f.カンダハール方言の/?/はペシャーワル方言では

/g/

となる。 「空腹の

J

~:).)

wa?ay

r:::.以

wuge

「キピ

J

~

.

)

:

)

.

?

d

a

n

~

.

)

:

)

.

gdan

g. カンダハール方言の/~/はペシャーワル方言では /x/ となる。

町J

. ) 同 詞

r

.

)

4

x

a

r

「女」ふ..;. ~adza ふ..;.

x

a

z

a

Uミ

J

.

;

.

~a ..,.;,

xa

5 形態的特徴(名調・人称代名調)

5

.

1

名調 パシュト一語の名調は性

(

g

e

n

d

e

r

)

、数

(number)

、格

(

c

a

s

e

)

にし

(17)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号 たがって変化する。性は男性(

m

a

s

c

u

l

i

n

e

)と女性(f

e

m

i

n

i

n

e

)

、数は 単数

(

s

i

n

g

u

l

a

r

)

と複数

(

p

l

u

r

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I)、格は絶対格

(

a

b

s

o

l

u

t

i

v

e

)

と斜格

(

o

b

l

i

q

u

e

)

2

種と呼格

(

v

o

c

a

t

i

v

e

)

に分かれる。 パシュトー語ベシャーワル方言の名詞は、有生物の自然性を除いて、 原則としてその語尾によって性が決定される九 <男'性名詞>

/-e/

/-a/

/-u/

語末が子音 <女性名詞> /・

i/

/-a-i/

/-a/

/-0/

/ 吾 /

d

5

k

a

l

e

"

v

i11

a

g

e

"

b~

z

a

r

a

"

h

e

a

r

t

"

.J..)~

j

a

r

u

"

b

r

o

o

m

"

.

.

)

.

.

5

k

o

r

"

h

o

u

s

e

"

“ザ

ω

b

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d

i

"

f

u

e

d

"

k

u

r

s

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-

i

"

c

h

a

i

r

"

x

a

z

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"woman"

.

.

;

. xpa "

f

o

o

t

"

p

i

s

o

"

c

a

t

"

)

(

u

w

a

"

c

o

w

"

/-tiya/

以ーい

く男性名詞の語形変化>

a

.

/-e/

で終る男4性名調の絶対格複数と斜格単数は

/e/

/i/

に変

m

e

l

m

a

s

t

i

y

a

"

h

o

s

p

i

t

a

l

i

t

y

"

わり、斜格複数は

/0/

に変わる。 絶対格単数

d

5

1

)

da k

a

l

e

i

sv

i11

a

g

e

"

絶対格複数 ~

b

da k

a

l

i

"

t

h

v

i11

a

g

e

s

"

斜格単数

.

s

~

c

:

:

)

pa de k

a

l

i

ke "

i

n

t

h

i

s

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i11

a

g

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"

斜格複数

.

s

)S

c

:

:

)

~

pa de k

a

l

o

ke "in t

h

e

s

e

v

i11

a

g

e

s

"

ペシャーワル方言で

/-e/

で終る男性名調はカンダハール方言では語 尾が

/-ay/

および、

/-ay/

の男性名詞に対応する。それぞれ

/-ay/

(18)

パシュト一語ベシャーワル方言について

音韻論的および形態論的考察ー

/-i/ /ーi//ー

0/

または/-<'lyu/、および、/-<'ly//ーi//・i/ /-u

/と語尾変化する。 絶対格単数 絶対格複数 斜格単数 斜格複数 sare (Peshawar) "man" sari saray (Kandahar) sari kale (Pesha w ar) "village" kali k;'il<'ly (Kandahar) k;'ili sap saro sari saro, sa同yu kali kalo kるli kるlu b./・<'l/で、終る男性名詞の絶対格複数は/<'l/が/-una/に、斜格複 数は/-uno/にそれぞれ変わるが、斜格単数は変化しない。 絶対格単数

T

>

>

zarl'< "a heart" 絶対格複数 4..J.,Jj zaruna "hearts" 斜格単数 斜格複数

.

U

.

い ザ

J

M

ィ げ pa zpa zaarr<'lunok ke "e "ini tn theh he heaeratr"ts" カンダハール方言は/zr<'l//zruna/ /zr<'l//zro/と変化する。 C. /-u/で、終る男性名詞の絶対格複数は/gan/が加わる。斜格単数 は絶対格単数と同形で、斜格複数は/gano/となる。 絶対格単数 .J)ぞ jaru "a broom" 絶対格複数 Q ぽ~.J~ jarugan "brooms" 斜格単数 .J.J~ ~ da jaru "of a broom" 斜格複数

yぱ~)ぞ~

da jarugano "of brooms" カンダハール方言では、斜格複数のみ dajaruganoが d<'ljaruganu となる。 d.語尾が子音で、終る男性名詞の絶対格複数は/una/が加わる。斜格 単数は絶対格単数と同形で、斜格複数は/uno/となる。 絶対格単数 .J

s

W ha'lS'a kor "that house" 絶対格複数 心I.J.J

s

W ha'lS'a koruna "those houses"

(19)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号 斜格単数

J

:

S

w

o

.

.

:

pa ha泊 korke "in that house" 斜格複数

J

:

S

~

3~ß .

.

.

i

t

J

a

A

.

;

pa ha)(o koruno ke "in those houses" 斜格複数ではお,

s

koroという形もある。 語尾が子音または/ー

i/

で終る有生名詞は、/・an/と語尾変化して絶 対格複数を形成する。 "snake" "washerman" 絶対格単数 ~l.o mar ι

s

u

:J dobi

絶対格複数

~I~ l.o

ロlaran

~L:u :J

dobian

斜格単数 J

ロlar ι

s

u

:J dobi

斜格複数

~I~ l.o

marano

l

.

;-U:J dobiano

"friend" "gardner" 絶対格単数

λ凶'3:J dost

~l.o

mali 絶対格複数 ~l.:..凶'3~ dostan ~lゥJ l.o malian 斜格単数 ι叫'3~ dost

~l.o

mali 斜格複数 ~l.::..り』 dostano

」ダ"

jW

l

.

o

maliano カンダハール方言では斜格複数はそれぞれ、 maranu,dobianu,

dostanu, malianuと語尾/ー

0/

が/-u/と変わる。

e.パシュト一語には不規則変化をする男性名調が多数ある(右はカン ダハール方言)。 絶対格単数 6乙

c

:

:

.

.

P

zoe "son ->3j zuy 絶対格複数

.

.

o

l

>

zaman

ο

.

.

o

lj zaman ‘ = 斜格単数 c::.~伊 zoe ->3~ zuy 斜格複数

y

.

.

o

l

ふ zamano

y

.

.

o

lj zam;mu <女性名詞の語形変化> a./ー

i/

で終る女性名調は、絶対格複数および斜格単数では/ー

i/

が /-a-i/に、斜格複数で、は/ー

0/

に変化する(括弧内はカンダハール方

(20)

パシュトー諾ペシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー 言)。 絶対格単数 d・.u badi "fued" 絶対格複数 ι

F

jJJ bada-i (badai) (~キ) 斜格単数 ι JJ d bada-i (badai) (~~) 斜格複数 3

bado (badるyu) (..J:!~) b. /-a-i/で終る女性名詞は、絶対格複数および斜格単数では変化せ ず、斜格複数のみ/-a-i/が/・

0/

と変化する。 絶対格単数

~Jß

kursa司 (kursai)"chair" 絶対格複数

J

I

J

s

kursa-i (kur副) 斜格単数 ぽ

:

-

J

s

kursa-i (kursai) 斜格複数 戸

I

J

s

kurso (ku凶 yu)

c

.

/-a/

で終る女性名詞は、絶対格複数および、斜格単数では

/-a/

が /・

e/

に、斜格複数では

/-a/

/-0/

に変化する。 "woman" "foot" 絶対格単数~ xaza (弱dza) 匂~ xpa (p$a) 絶対格複数ふ守 xaze(早急dzi)

~令

xpe (p平e) 斜 格 単 数 ふ や xaze(弱dzi)

~

xpe (p平e) 斜格複数

~

xazo (号制zu)

xpo (P$o)

d

.

/-0/ /-a/

で終る女性名詞は、斜格単数は変化せず、絶対格複 数と斜格複数において絶対格単数形にそれぞれ/-gane/ / gano/が 加わる。 絶・単 ~ pi!io "cat" 絶・複どLS".,..ら;pi!iogane (-gani) 絶・単

r

ふ対 pi!io 絶・複

.

i

J

y

ら;pi!iogano (-ganu)

'

.

"

どぽ,~

,~

d

'

.

"

'ls'uwa "cow"('ls'wa) 'ls'uwagane (-gani) 'ls'uwa ('ls'wa) 'ls'uwagano (-ganu)

(21)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号

e. /-tiya/で終る女性名詞は、斜格複数のみ/・

0/

が加わり変化する。 絶対格単数

.

.

.

.

melmastiya "hospitality"

絶対格複数

以ーい

melmastiya (melm部 tiyawi)

斜格単数

L

.

.

o

melmastiya

斜格複数

.J~ーν

melmastiyao (melmastiya wu)

f.子音で終る女性名詞の変化は以下のようになる。女性名詞にも親族 名詞など不規則変化になるものが存在する。 絶・単 J'J lar "road" J.Y' mor "mother" 絶・複 c:..;'J lare (lari) ー=ぷヂ mende (mandi) 斜・単 J'J lar J-'"

mor 斜・複 .J.;'J laro (laru) Jぷ ヂ mendo (mand u)

5

.

2

人称代名詞 ペシャーワル方言における人称代名詞の語形変化は次のようになる。 絶対格 属格 斜格 接尾辞的 代名詞

1

人称単数 0.; za

zama

ma

r

me 2人称単数 J,jta

sta l; ta ,)de 3人称単数 ~ ha)(a

ι

拾.)da ha)(a~ ha泊

e

:

e

l

人称複数

;

.

.

.

mung

;

.

.

.

.

>

zamung ;.Y' mung .Y'mo

2

人称複数 戸l;taso ~L::.ωtãso ."凶l;taso .Y'mo 3人称複数

J

片品

h出 ui~~ ,)da ha)(ui ~必 ha)(o

e

d

e 一方カンダハール方言における人称代名詞は次のように語形変化する。

1

人称単数

2

人称単数 絶対格 ojza J,jta 属格

l

.

.

o

jzma

"

sta 斜格 接尾辞的 代名詞

l

.

.

o

ma ι~mi l; ta !.$,)di

(22)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考察ー

3

.単・男 I.S~

day

O~ ~

d

a

d

a

O~

d

a

-ュ

ザ y

e

b

d

a

ι

3

.単・女 If~ ~

d

a

d

e

I.S~

d

e

ザ y

e

1

人称複数 :.>,.,..0

mu?

:.>,.,..0.;

zmu?

込戸

mu?

JA

mu

2人称複数

ぽ“l;

t

a

s

i

u“い凶

s

t

a

s

i

ω

l

;

t

a

s

i

JA

mu

3

人称複数 I.S.J~

duy

I.S.J~ ~

d

a

duy

I.S.J~

duy

ザ y

巴‘

e

6 形態的特徴(形容詞) パシュトー語ペシャーワル方言の形容調は付加的用法、叙述的用法、 いずれの場合も性、数、格によって次のように語形変化する。

(

1

)

"

h

a

p

p

y

"

男性 女性 絶対格単数

J~.P

x

u

s

h

a

l

.ù~ふp

x

u

s

h

a

l

a

絶対格複数

J

6

.

.

p

x

u

s

h

a

l

cl~.p

x

u

s

h

a

l

e

斜格単数

J

6

.

.

F

x

u

s

h

a

l

cl~.p

x

u

s

h

a

l

e

斜格複数 )~ふP

x

u

s

h

a

l

o

)

6

.

.

F

x

u

s

h

a

l

o

カンダハール方言では女性絶対格複数および女4性斜格複数の

x

u

s

h

a

l

e

x

u

s

h

a

l

i

となり、斜格複数の

x

u

s

h

a

l

o

x

u

s

h

a

l

u

と変化する。

(

2

)

"

l

o

n

g

"

男性 女性 絶対格単数 品込,1

ugd

ー切

1

ugda

絶対格複数 o ~:'>.J I

u

g

d

a

c::::

~:.>.JI

u

g

d

e

斜格単数 O~込, 1

u

g

d

a

:

:

~:'>.J I

u

g

d

e

斜格複数 .J~:.>.J 1

ugdo

J句~I

ugdo

カンダハール方言では、この種の語形変化はベシャーワル方言と同じ である。上の例では

/ugd

・/が

/u?d

・/と

/g/:/?/

の差異がある。

(23)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号

/-e/

/・

6/

の語尾の母音にアクセントがある点に大きな違いがある。 ( 3 ) "old" 男性 女性 絶対格単数 ~j

z

o

r

o~

z

a

r

a

絶対格複数 勺Ij

z

a

r

a

~..J

z

a

r

e

斜格単数 勺Ij

z

a

r

a

~..J

z

a

r

e

斜格複数 .J..J

z

a

r

o

.J~

z

a

r

o

最終音節に円唇母音を有する形容調は、男性絶対格複数と同斜格単数 において語末に

/a/

が加わり、さらに語幹の円唇母音が

/a/

に変わ る。女性絶対格単数、同複数、女'性斜格単数では語幹の円唇母音が

/a/

に変わり語末にそれぞ、れ

/a//e/ /e/

が加わる。斜格複数は語幹 円唇母音が

/a/

に変わり語末に

/0/

が加わる。この種の形容調はカ ンダハール方言でも同じ語形変化である。

(

4

)

"

t

h

i

n

n

a

r

r

o

w

"

男性 女性 絶対格単数 C:J

n

a

r

e

t..r..T

n

a

r

a

-

l

絶対格複数 "s..T

nan

t..r..T

n

a

r

a

-

l

斜格単数 "s..;J

nan

t..r

.

..r

.

n

a

r

a

-

l

斜格複数 .J..r

n

a

r

o

.J..r

n

a

r

o

カンダハール方言では男性絶対格単数は "sjJ

n

a

r

a

y

、女性絶対格 単・複数および同斜格単数は.,,;..;

n

a

r

a

i

、斜格複数は必..T

n

a

r

yu

となる。 ( 5)

"

n

e

w

"

男性 女性 絶対格単数 ~戸

nawe

ζ J戸

nawe

絶対格複数 "s~

n

a

w

l

"s.,;ド

n

a

w

l

(24)

斜格単数

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音領論的および形態論的考察ー

";.y

naWl

";.J凶

naWl

斜格複数 .J~

nawo

.J~

nawo

カンダハール方言では男性形は~~ naway

(絶・単)、

I

.

t

'

;

nawi

(絶・複、斜・単)、 Jグ

nawu

(斜・複)と変化し、女性形はザグ

nawe

(絶・単)、 ..;~

nawi

(絶・複、斜・単)、 .J~

nawu

(斜・ 複)と変化する。

(6)

/-a/ /-a/ /-e/ /-i/ /-0/ /-u/

で終る形容詞は、性-数・格による変化はしない。

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結 語 以上パシュト一語の多岐にわたる方言群の中でペシャーワル方言の音 韻論的特徴と、同方言の名調、形容調を中心とした形態論的特徴を概観 したが、特にカンダハール方言との比較対照によってベシャーワル方言 がパンジャーピ一語やウルドゥ一語などのインド・アーリア諸語の影響 を如何に強く受けているかが明確である。ベシャーワル方言の名詞の語 形変化において、特に斜格複数語尾の

/-0/

は、ウルドゥ一語の

/-o/

と対応する。また拙論では触れなかったが、ペシャーワル方言とパンジャー ピ一語・ウルドゥ一語の語業面の比較分析を試みることによって、その

(25)

文 教 大 学 言 語 と 文 化 第11号 影響関係は一層鮮明になるであろう。今後の研究課題としたい。 1 インド・イラン語派は、インド・アーリア語派(インド語派)、イ ラン語派、カーフィル諸語の

3

支派に分かれる。

2

アフガニスタンの首都カーブルでは、主にダリ一語が話されている。

3

パシュトゥン人に関する日本語の文献としては次の図書が詳しい。

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James W.

シルクロードの謎の民:パターン民族誌.勝藤 猛,中川弘共訳.東京,万水書房,

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4 Henderson

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9

5

5

3

.

6

縄田鉄男編.パシュト一語入門. (昭和

5

6

年度言語研修パシュトー 語テキスト 1) .東京,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研 究所,

1

9

8

1

p

.

1.

7

黒柳恒男.ベルシア語の話.東京,大学書林,

1

9

8

4

p

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1.

8 B

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9 Tegey

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11 黒柳恒男.

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2

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4

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.

1

3

パシュト一文字の書き方については、次の文献を参考にされたい。 縄田鉄男.パシュトー語文法入門.東京,大学書林,

1

9

8

5

.

(26)

パシュト一語ベシャーワル方言について 一音韻論的および形態論的考祭ー

14 Henderson

Michael M.T. op.ci

.

t

p.595・597.

15 Khaliq, Q.A.Fifty lessons to learn Pushto. 2nd ed. Peshawar,

参照

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