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周圏分布と方言周圏論: 分布に探る「つらら」方言 の音韻変化過程

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Academic year: 2022

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周圏分布と方言周圏論: 分布に探る「つらら」方言 の音韻変化過程

著者 加藤 和夫

雑誌名 国語国文学 / 福井大学国語国文学

号 23

ページ 9‑24

発行年 1982‑08‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/34942

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周 圏 分 布 と 方 言 周 圏 論 一分布に探る「つらら」方言の芒纈変化過程一

加 藤 和 夫

1 . は じ め に

柳田国男の『蝸牛藷堤始まるく方言周圏鶏が,言語地理学(言語地図解釈)の重要なプ

リンシプル(principle)の一つとされてきていることは周知のとおりである。この原理が広く 普及した理由の一つには,それが非常に単純明瞭で誰にもわかり易い原理であったことが挙げ られよう。ところが,それ故にまた,<方言周圏論>は一部の人々をしてそれの狂信的信奉者 たらしめてしまったのである。なるほどく方言周圏論>は言語地図解釈の上でまことに有力な 武器ではあるが,一方で,あらゆる方言分布事象にそれを適用しようとすることは無謀・無分 別以外の何者でもない。<方言周圏論>の基本となるく周圏分布>は,あくまで方言の地理的

分布型の一つの型にすぎないのであって,さらに柴田武氏のこと腱借りれば,「周圏分布と

表面上同じ分布型を見せても,かえって,中心地に近く分布する語のほうが古く,周辺に行く に従って新しいことがある。中心地の規制を受けないで周辺地域で別々に同一語形に変化した 場合もある。また,大きな中心地から小さな中心地へ直接飛火することもある。さらに,全く 別々に各地で同一語が生まれることもある。」のである。

<方言周圏論>をめぐるこうした事情から,言語地理学におけるく方言周圏論>の限界と可

能性をテーマに据えた,あるいはそれに関連して書かれた論慰少なくない。小論の目的は,

一方にこのく周圏分布>とく方言周圏論>のテーマを据えつつ,筆者がここ数年来フィールド

としてい鶏井県若狭地方の方言分布事象の若干を取り上げ,特に「つらら(氷柱)」の方言

分布地図にあらわれるナンリョー類の浬言の間の音韻変化過程を明らかにすることにある。

2 . 若 狭 地 方 に お け る 方 言 の 周 圏 分 布

福井県若狭地方は,古来よりその政治・文化の中心地を,北川・南川の二大河川が海に注ぐ

オ〃ミマ

河口付近小浜におき,それはあたかも小浜を要とした扇にもたとえられる。(後掲の図,「調 査地点」等の言語地図参照。)

筆者は拙稿(19804)で若狭地方における方言の分布相を主に伝播経路の観点から整理した。

(注①

そこでは,伝播パターンを次のように大きく三つに分けることができた。

、小浜を中心とした波状伝播型

タ ヵ ハ マ オ ー イ ナ タ シ ョ ー

・西部侵入伝播型(高浜.大飯型/名田庄型)

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