issue date
2020/08/04
金融市場調査部 シニアエコノミスト渡辺 浩志
-1.2 -0.8 -0.4 0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8 3.2 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 (金価格、ドル) (年) (実質金利、%) 金価格(左軸) 米国の実質金利 (右軸) 120 220 320 420 520 620 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 19/07 19/09 19/11 20/01 20/03 20/05 20/07 金価格 (左軸) 仮想通貨 (右軸) (金価格、ドル) (仮想通貨指数) (年/月) コロナ禍金価格は未踏の領域へ
金価格の上昇が続いている。その最大の要因はコロナ禍以 降の財政・金融政策の協調(財政ファイナンス)による実質金 利の低下にある(図表 1)。コロナ禍に際し、政府は拡張財政 (国債増発)を行い、FRB は国債を無制限に買入れてきた。 結果、米国の名目金利は横ばい圏に止まる一方、通貨供給 量の増加でインフレ期待が刺激され、実質金利(=名目金 利-期待インフレ率)の低下が続いている。 そもそも金価格とは、金とドル紙幣の交換レートであるから、 ドル紙幣の価値と表裏一体だ。ドル紙幣は、名目金利の分 だけ持ち分が増え、インフレの分だけ価値が下がる。そのた め、名目金利とインフレ率の差である実質金利が下がれば、 ドル紙幣の価値は下がり、金の価値が上がることになる(☞ 詳細は『コロナ・ショックと「金」「銅」「原油」 ~三者三様の値 動きの意味』 Special Report、20 年 5 月 11 日を参照)。 図表 1:実質金利と金価格 注:実質金利=10 年国債利回り-ブレークイーブン・インフレ率 10 年 出所:Bloomberg、SFH ただ、足下では実質金利の低下と比較しても金価格の上昇 幅が大きい。この背景には金とドル紙幣の希少性が影響して いると考えられる。 金の採掘量は年間 3,300 トンであり、有史以来の総採掘量 19 万トンに対する年間増加率は 1.7%に過ぎない。他方、ドル紙 幣の量を表すマネタリーベースは、財政ファイナンス(FRB の 資産購入による通貨供給)によって前年比約 40%増となって いる。ドル紙幣は発行量が急増している分、価値は希薄化し やすく、その裏側で金価格は上がりやすいのである。 なお、コロナ禍以降は、ビットコインなどの仮想通貨(暗号資 産)も金と同様に上昇している。このことはドル紙幣の価値の 希薄化に止まらず、財政ファイナンスを行う国の法定通貨全 般への信認の揺らぎを示唆している可能性がある(図表 2)。 図表 2:金価格と仮想通貨の同時上昇は ドル価値の低下や法定通貨への信認の揺らぎを反映? 注:仮想通貨指数はドル建ての主要 6 商品の加重平均値 出所:Bloomberg、SFH また、米中対立の激化といった地政学リスクが「有事の金」需要 を惹起していることも金価格の上昇を後押ししているようだ。ド ル紙幣も安全資産であるため、コロナ禍が襲った 3 月は金を売 ってでもドル紙幣を調達しようとする動きが見られた(ドル紙幣 >金)。だが、そこで財政ファイナンスが始まったことでゲームチ ェンジとなった。以降、実質金利の急低下と通貨供給量の増加 によってドル紙幣は価値を落とし、現在は金に軍配が上がる。 さらに、足下ではドルの価値は他通貨に対しても下落しやすく なっており、ユーロ高や円高の一因となっている(後述)。KEY
POINT
財政ファイナンスによる実質金利低下で金価格が上昇、未踏の領域へ。金の他、仮想通貨も上昇。ドル 紙幣の価値の希薄化や、財政ファイナンスを行う国の法定通貨全般への信認の揺らぎも背景か トランプ政権は 1 兆ドル規模の追加経済対策を計画。国債増発で金利上昇圧力が高まれば、FRB は国 債購入を強化の可能性。財政ファイナンスの第二幕で一段の実質金利低下と金価格上昇も 安全資産の金とリスク資産の株式は通常は代替関係だが、現在はいずれも実質金利の低下が価格上昇の 原動力であり、金高・株高が共存。コロナと景気の先行きは不透明であり金・米株式への分散投資が有効 ドル価値の希薄化は外国為替におけるドル安・円高のリスクもはらむ。ただし、資産価格の上昇で市場心理 は強気化し、ドル売りとともに円売り圧力も強まろう。当面、「金・米株式>ドル≒円」の関係が保たれやすい財政ファイナンス第二幕と金価格の上昇~望ましい資産配分は?
2020/08/04 2 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 経済対策のための資金調達額 (国債発行等による政府の純借入額) 国債等の資産買入れによる FRBのB/S拡大額 (兆ドル) 4-6月期の 純借入 3.0兆ドル 7-9月期 0.7兆ドル 国債増発による 金利上昇圧力 3月以降の 資産買入れ 3.0兆ドル 買入れ余力 1.5兆ドル 追加経済対策 1.0兆ドル
≒
FRBの資産買入れによる金利抑制圧力 -2.4 -2.0 -1.6 -1.2 -0.8 -0.4 0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 20/01 20/03 20/05 20/07 20/09 20/11 (%) 名目金利 (米10年国債利回り) 期待インフレ率 実質金利 財政ファイナンス財政ファイナンス第二幕
こうして金価格は未踏の領域に入った。では、金価格の上昇 は続くのか。その問いは、「財政ファイナンスによる実質金利 の低下は続くか」という問いに読み替えることが出来る。 米国では 11 月 3 日に大統領選挙が行われる。当初は現職 有利とされていたが、コロナ禍や Black Lives Matter 運動の 広がりのなかで、いまや各種世論調査では民主党のバイデ ン候補の支持率がトランプ氏を上回っている。また、大統領 に加え、議会も上下両院を民主党が制する可能性が示唆さ れる(トリプルブルー)。 劣勢のトランプ大統領はコロナ対策を建前に、選挙対策の 株高政策に踏み切った。現行の 2.9 兆ドルの経済対策に 1 兆ドルの対策を追加する計画だ。なお、下院・民主党は 3 兆 ドル規模の経済対策を提案しているため、議会下院との協 議を通じてその規模は 1.5 兆ドル程度まで増額されて着地 する可能性がある。 他方、FRB のパウエル議長は 6 月 16、17 日の議会証言で 「米国は基軸通貨国で、大いに国債発行能力がある。財政 悪化を懸念するのではなく、今は歳出増で経済再生を優先す べきだ」と、大胆な発言をした。中銀が財政出動を促すこと は異例であり、発言の裏には国債増発による金利上昇圧力 を FRB が国債購入で封殺するという決意を感じさせる。この 発言はコロナ禍の第二波が始まる前のものだが、現在は第 二波の真っ只中にある。経済・物価情勢の先行き不透明感 は当時よりも強まっており、今般の追加財政出動に伴う国 債増発も FRB が市場を通じて丸ごと引き受けることになるの ではないか。 政府は今年 4 月~9 月に 3.7 兆ドル(前年比約 80 倍)の国 債発行を行い、財政資金を調達する計画だが、ここに更に 追加経済対策の 1 兆ドル超が追加される見込みだ(総額 4.7 兆ドル)。FRB は 4.5 兆ドル規模の資産買入れ枠を用意し、 既に約 3 兆ドルの資産買入れを実施した(図表 3)。 図表 3:財政出動と同規模の資産買入れ(財政ファイナンス) 注:「経済対策のための資金調達額」は財務省の純借入額見通し。「FRB の B/S 拡大額」は、SPV への政府出資額(4,540 億ドル)の 10 倍まで資産 買入れを行った場合の金額 出所:米財務省、FRB、SFH 図表 3 の通り、FRB は、政府の国債発行と同額の資産買入 れを行ってきた。最近は、国債購入ペースは鈍化し、FRB の バランスシートの拡大は頭打ちとなっているが、追加経済対 策が実施されれば再拡大して行くと思われる。また、財政出 動による金利上昇圧力が高まる場合(クラウディング・アウト のリスクが高まる場合)には、FRB は国債購入枠の拡大な どの追加緩和を行うことも考えられる。 米国の実質金利が下がり、金価格が上昇ペースを加速し始 めたのは、左記のパウエル発言の直後からだ。その頃から、 金融市場は財政ファイナンスの第二幕を織り込み始めており、 足下で追加経済対策の実現性が高まると、実質金利の下落 や金価格の上昇に弾みが付いた。金価格の上昇(実質金利の低下)どこまで?
さて、今後、実質金利はどこまで低下するだろうか。当面は、 名目金利は現状と変わらず 0.6%前後で推移する一方、原 油価格がコロナ禍前に近付いていることを考慮すれば、期 待インフレ率もコロナ禍前の 1.8%程度までの上昇余地はあ る。その場合の実質金利の目途は▲1.2%(=名目金利 0.6%-期待インフレ率 1.8%)となる(図表 4)。 図表 4:実質金利=名目金利-期待インフレ率 注:実質金利=米 10 年国債利回り‐米ブレークイーブン・インフレ率 10 年 期待インフレ率はマイナス符合で表示 出所:Bloomberg、SFH なお、現状は米国の名目金利も期待インフレ率も FRB のコン トロール下にあるため、今後の米実質金利の動きも財政・金 融政策の行方次第だ(次頁図表 5)。 まず名目金利は、FRB の国債購入が加速すれば、更に低下し 得る。また、財政出動による金利上昇圧力が高まれば、FRB は「YCT(Yield Caps and Targets)」などの、より強力な手段で 金利を押し下げることも可能だ(ただし、同政策は出口や中銀 の独立性を確保することの困難さなどの副作用が大きいため、 FRB は導入に消極的)。なお、FRB はマイナス金利政策を採用 しないと考えられるため、量的緩和策が強化されたとしても 10 年債利回りは 0%(=FF 金利の下限)が下限とみられる。1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 -2.4 -2.2 -2.0 -1.8 -1.6 -1.4 -1.2 -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 (金価格、ドル) (実質金利、%) 金価格 = -355.21×実質金利+1538.5 R² = 0.9449 直近 財政・金融政策 名目金利 (A) 期待インフレ率 (B) 実質金利 (A)-(B) 1兆ドルの追加経済対策 量的緩和継続 0.6%前後 1.5% ~1.8% ▲0.9% ~▲1.2% 平均物価上昇率 目標の導入 0.6%前後 2%以上 ▲1.4%以下 YCTの導入 0.6%~0% 1.5% ~2% ▲0.9% ~▲2% トリプルブルー MMTに基づく政策 0% 2%以上 ▲2%以下 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 16 17 18 19 20 21 (%) コアPCEデフレータ前年比 期待インフレ率 インフレ目標 図表 5:財政・金融政策と実質金利 出所: SFH 他方、期待インフレ率については、当面の上限は FRB の物価 目標である 2%となろう。名目金利を 0%、期待インフレ率を 2%とすれば、実質金利は▲2%まで低下し得る。だが、FRB は早ければ次回 9 月の FOMC で、金融政策を危機対応モー ドから物価目標に紐づけた運用に戻すとの観測が高まって いる。その場合、「平均物価上昇率目標」を導入し、金融緩 和を長期間継続することを約束するフォワードガイダンスを 強化する可能性がある。 平均物価上昇率目標とは、物価が 2%を下回った期間を補 うべく、一定期間、物価のオーバーシュートを許容する約束 だ。これが導入されれば、実際のインフレ率(コア PCE デフ レータの前年比)が 1%である現状では、FRB が 3%のイン フレを許容する(あるいは、そのような高圧経済を追加緩和 によって演出する)との期待も高まりやすく、期待インフレ率 は 2%を超えて上昇する可能性がある(図表 6)。 図表 6:コア PCE デフレータと期待インフレ率 出所:Bloomberg、SFH さらに、11 月の大統領選・議会選でトリプルブルー(民主党 の完全勝利)が実現した場合には、財政ファイナンスを正当 化する「現代貨幣理論(MMT)」に基づき、財政は一段と大盤 振る舞いとなるおそれもある。 FRB が財政従属の度合いを強め、国債買入れを増額せざる を得なくなれば、実質金利は▲2%を下回ることもあり得る。 実質金利の低下余地が大きいとみられるなかでは、金価格 は更なる上昇が見込まれる。図表 7 に見るように、実質金利 と金価格の連動性は高い。現在の実質金利と金価格の関 係(金価格=-355.21×実質金利+1538.5、決定係数 0.94) に基づけば、実質金利が 20bp 下がるごとに、金価格は約 70 ドル上昇する。 実質金利が▲1.2%になれば、金価格は 1 オンス=1,965 ド ルとなるが、既に現在の価格はそれを上回っている。金先 物は一時 2,000 ドルを突破したが、これは実質金利が少なく とも▲1.4%まで低下することを市場が織り込んだということ かもしれない。なお、実質金利が▲2%まで低下するなら、金 価格は現在より約 15%高い 1 オンス=2,250 ドルが見込め る。 図表 7:金価格と実質金利の関係(散布図) 注:図中の単回帰式は 19 年 7 月~20 年 6 月の日次データに基づく 実質金利=米 10 年国債利利回り-ブレークイーブン・インフレ率 10 年 出所:Bloomberg、SFH
実質金利が低下するなかでの資産配分
安全資産である金とリスク資産である米国株式は、代替関 係となることが多い。金市場へ資金が流入(逃避)するような 局面では、米株式から資金が引き揚げられ、株安となりや すいためだ。だが、現状の金価格の上昇は、金の需要増よ りも、実質金利の低下によるドル紙幣価値の下落の影響が 強い。 また、米株価の上昇は、実質金利の低下に伴うバリュエー ション(PER)の上昇によるものだ。「PER=1/(実質金利- 期待成長率)」と考えることが出来るため、財政ファイナンス によって実質金利が下がるほどに PER は上がり、米国の株価 上昇をもたらすのである。 (☞詳細は『株高の謎を解く ~「財政ファイナンス相場」の 行方』 Special Report、20 年 6 月 8 日を参照)2020/08/04 4 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 -2.0 -1.6 -1.2 -0.8 -0.4 0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 15 16 17 18 19 20 21 (実質金利、%、逆目盛) (PER、倍) S&P500のPER(右軸) 実質金利(左軸) 40 16 6 0 10 20 30 40 ドル ユーロ 円 (マネタリーベース前年比、%) 低い← 通貨の希少価値 →高い -1~-2 -1.3 0.03 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 (実質金利、%) 低い← 投資リターン →高い なお、上記の期待成長率を捨象し、実質金利と PER の関係 だけを見れば、図表 8 の通りだ。今後、実質金利が▲2%ま で低下する場合には、現在 21 倍台の PER は 25 倍まで上昇 し、それだけで株価を約 15%押し上げると期待される(実際 には期待成長率の上昇や EPS の回復なども加わるため、株 価の上昇はより大きなものになると予想される)。 図表 8:米実質金利が低下すれば米株式の PER は上昇 注:実質金利=10 年国債利回り-ブレークイーブン・インフレ率 PER は 12 カ月先予想値 PER=1/(実質金利-期待インフレ率)と 考え得られるため、実質金利と PER は逆相関の関係にある 出所:Bloomberg、SFH 上記の通り、現在の金、株式のいずれもが財政ファイナンスに よる実質金利の低下を価格上昇の原動力としているため、金 高・株高が両立し得る。当面はドル紙幣の価値の下落の裏側 で金や株式などの資産インフレが続くことが予想される。 なお、今後、コロナ禍と景気が改善する場合には、実質金利 は上昇しやすくなり、金安・ドル高となろう。他方、株式は期 待成長率が高まることで PER が押し上げられる。企業業績 を表す EPS も回復しよう。よって、事態が好転するなら、リス ク資産である米株式への投資が有効だ。一方、事態が悪化 に向かうなら、実質金利は下がりやすく安全資産の金への 投資が有利となろう。コロナ禍や景気の先行きが不透明な現 状では、どちらに転んでも良いように、金と米株式への分散 投資が有効と思われる。また、期待インフレ率の上昇や名目 金利のゼロ制約を考えると、ドル現金保有や債券投資は得策 で は な い ( ☞ 詳 細 は 『ア フ タ ー コ ロ ナ の 有 望 資 産 は ?』 Economic Data Watch、20 年 5 月 26 日を参照)。
ただし、金や米株式などの「ドル建て資産」に投資する場合 には、円高への警戒も必要だ。ここまでの議論は金や株式 などの資産とドル紙幣の価値の対比でみた場合のドル安だ。 しかし、円やユーロなど他国通貨との比較、すなわち外国為 替レートにおけるドル安にも気を配る必要がある。 図表 9 の通り、通貨の「希少価値(キャピタルゲイン)」を決め る発行量と「投資リターン(インカムゲイン)」を決める実質金 利とを見ると、財政ファイナンスの度合いが際立つドルの魅 力が下がりやすくなっていることがわかる。 図表 9:通貨の「希少価値」と「投資リターン」 注:通貨の希少価値は通貨発行量(マネタリーベース)の伸び、投資リター ンは実質金利で測った。米国の実質金利は現在▲1%だが、財政・金融政 策によって▲2%程度まで低下する可能性がある 出所:Bloomberg、SFH 投資判断のポイントは円高の程度だろう。上述の通り、金価 格や米株価は 15%前後上昇する可能性があるが、円高・ド ル安となるなら、ドル建て資産から得られるリターンは減殺 されてしまう。 だが、仮にそのような円高圧力が強まる場合には、日銀が FRB に追随した金融緩和(国債購入による 10 年金利の押し 下げや ETF の追加購入等)を行い、その阻止を図るだろう。 また、今後、円高圧力が高まるとすれば、その背後には米 実質金利の低下と米株高があるはずだ。これが市場センチ メントを強気化(リスクオン)させれば、ハイリスク・ハイリター ン志向は強まり、ドル売りとともに円売り圧力も強まろう。す なわち、現状の「金・株式>ドル≒円」の関係が保たれやす いのではないか。円高圧力が強まったとしても限定的であり、 金や米株式のリターンを相殺してしまう可能性は低く、依然と して金(現物や ETF)と米国株への分散投資が有効であると 思われる。 なお、足下はコロナ禍に対抗した財政ファイナンスが進行中 のため、ドル安圧力が高まりやすくなっている。ただし、長期 的には経済の回復とともに財政再建と金融政策の正常化は 進み、基軸通貨としてのドルの復権が予想される。米国は 経常赤字国であるため海外からの円滑なファイナンスのた めにも、「強いドル」政策の旗を降ろすことはないだろう。そ の点では長期では円安・ドル高を展望でき、やはりドル建て 資産への投資が有効であると考えられる。 渡辺 浩志
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部・研究員紹介
尾河 眞樹
(おがわ まき) 執行役員 兼 金融市場調査部長 チーフアナリスト ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン証券などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと 市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、 金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。2016年8月より現職。 テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。 著書に『為替がわかればビジネスが変わる(2014年日経BP社)』、『〈新版〉本当にわかる為替相場(2016年日 本実業出版社)』、『ビジネスパーソンなら知っておきたい仮想通貨の本当のところ(2018年朝日新聞出版社』、 『富裕層に学ぶ外貨建て投資(2019年日本経済新聞出版)』などがある。ソニー銀行取締役、大阪経済大学 非常勤講師、SBI大学院大学教授。菅野 雅明
(かんの まさあき) 金融市場調査部 シニアフェロー チーフエコノミスト 1974年日本銀行に入行後、秘書室兼政策委員会調査役、ロンドン事務所次長、調査統計局経済統計課長・ 同参事などの役職を歴任。日本経済研究センター主任研究員(日本銀行より出向)を経て、1999年JPモルガン 証券入社、チーフエコノミスト・経済調査部長・マネジングディレクターとして日本の金融経済分析・予測を担当。 2017年4月より現職。総務省「統計審議会」委員、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員、内閣府「経済 財政諮問会議グローバル化改革専門調査会、金融・資本市場ワーキンググループ」メンバー、内閣官房「公 的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」メンバー、厚生労働省「年金積立金 の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班」専門委員などを歴任。日本経済新聞「十字路」 「経済教室」、日経QUICK「QUICKエコノミスト情報」、東洋経済「経済を見る眼」「論点」、NTT出版「危機の日 本経済」など執筆多数。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」レギュラーコメンテーター。1974年東京大学 経済学部卒、1979年シカゴ大学大学院経済学修士号取得。渡辺 浩志
(わたなべ ひろし) 金融市場調査部 シニアエコノミスト 1999年に大和総研に入社し、経済調査部にてエコノミストとしてのキャリアをスタート。2006年~2008年は内 閣府政策統括官室(経済財政分析・総括担当)へ出向し、『経済財政白書』等の執筆を行う。2011年からは SMBC日興証券金融経済調査部および株式調査部にて機関投資家向けの経済分析・情報発信に従事。2017 年1月より現職。内外のマクロ経済についての調査・分析業務を担当。ロジカルかつデータの裏付けを重視し た分析を行っている。石川 久美子
(いしかわ くみこ) 金融市場調査部 シニアアナリスト 商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、 外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として、外国為替相場について調査・分析、 レポートや書籍、ブログ、Twitterなどの執筆、セミナー講師、テレビやラジオなどのコメンテーターとして活動。 2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。森本 淳太郎
(もりもと じゅんたろう) 金融市場調査部 アナリスト みずほフィナンシャルグループにて企画業務、法人営業などを経験した後、2019年8月、ソニーフィナンシャル ホールディングスへ入社。外国為替市場の調査・分析業務を担当。 本レポートは、ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「当社」といいます)が経済情勢、市況などの投資環境に関する情報をお伝えするこ とを目的としてお客様にご提供するものであり、金融商品取引法に基づく開示資料ではなく、特定の金融商品の推奨や売買申し込み、投資の勧誘等を目 的としたものでもありません。 本レポートに掲載された内容は、本レポートの発行時点における投資環境やこれに関する当社の見解や予測を紹介するものであり、その内容は変更又 は修正されることがありますが、当社はかかる変更等を行い又はその変更等の内容を報告する義務を負わないものといたします。本レポートに記載され た情報は、公的に入手可能な情報ですが、当社がその正確性・信頼性・完全性・妥当性等を保証するものではありません。本レポート中のグラフ、数値等 は将来の予測値を含むものであり、実際と異なる場合があります。 本レポート中のいかなる内容も、将来の投資環境の変動等を保証するものではなく、かつ、将来の運用成果等を約束するものでもありません。かかる投 資環境や相場の変動は、お客様に損失を与える可能性もございます。 当社は、当社の子会社及び関連会社(以下、「グループ会社」といいます)に対しても本レポートに記載される内容を開示又は提供しており、かかるグルー プ会社が本レポートの内容を参考に投資決定を行う可能性もあれば、逆に、グループ会社が本レポートの内容と整合しないあるいは矛盾する投資決定を 行う場合もあります。本レポートは、特定のお客様の財務状況、需要、投資目的を考慮して作成されているものではありません。また、本レポートはお客 様に対して税務・会計・法令・投資上のアドバイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資の選択や投資時期の決定は必ずお客様ご自身 の判断と責任でなされますようお願いいたします。 当社及びグループ会社は、お客様が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したこと(お客様が第三者に利用させたこと及び依拠させたことを含 みます)による結果のいかなるもの(直接的な損害のみならず、間接損害、特別損害、付随的損害及び懲罰的損害、逸失利益、機会損失、代替商品又は 代替サービスの調達価格、のれん又は評判に対する損失、その他の無形の損失などを含みますが、これらに限られないものとします)についても一切責 任を負わないと共に、本レポートを直接・間接的に受領するいかなる投資家その他の第三者に対しても法的責任を負うものではありません。 本レポートに含まれる情報は、本レポートの提供を受けられたお客様限りで日本国内においてご使用ください。 本レポートに関する著作権及び内容に関する一切の権利は、当社又は当社に対して使用を許諾した原権利者に帰属します。当社の事前の了承なく複製 又は転送等を行わないようお願いします。 本レポートに関するお問い合わせは、お客様に本レポートを提供した当社グループ会社の担当までお願いいたします。